説明

膜貫通送達のための製剤系

上皮膜を介した治療用活性薬剤の吸収に有用な非侵襲性の薬剤送達システムについて記載する。この非侵襲性薬剤送達システムは、治療用活性薬剤をイオン化可能な又はイオン化された金属、遷移金属又は金属含有ビヒクルと共に送達する。この非侵襲性薬剤送達システムは、投与部位にて非侵襲性薬剤送達システムのpHを変化させることによって治療用薬剤の吸収を促進するpH調節ビヒクルも有し得る。活性薬剤の一貫性のある再現可能な吸収を得るための、投与された活性薬剤のpH「スイーピング」の方法も開示する。一部の製剤は、低用量の活性薬剤をその現在又は以前の形態から変化させることなく利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の上皮膜を介して治療用活性薬剤(therapeutic active agent)を吸収させるための非侵襲性のシステム及び方法に関する。本発明は、治療用活性薬剤の非侵襲的な輸送のための金属錯化ビヒクルの製造方法、それによって製造された新規なシステム及び本明細書において製造されたシステムを利用した治療方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
突然のアレルギー反応の発生は、アナフィラキシーショックに至る場合もある一連の生理的な変化を惹起する。糖尿病患者における十分なインスリンレベルの喪失は、糖尿病性昏睡につながる可能性がある。従来の治療は、適切な治療薬での即時の処置であった。しかしながら、有効量の治療薬の速やかな投与が、治療薬それ自体と同じぐらい疾患又は状態の管理又は防止に重要であり得ることがわかる。
【0003】
上記のアナフィラキシーショック及び糖尿病の例において、処置は即時に、また注射によって行われなくてはならない。自己投与型の注射剤は殆どの人、特に小児によって露骨に忌避されているが、自己投与型の注射剤には、注射器又は注射器具の破損、薬剤の中身の期限切れ、そして最も一般的には注射送達システムの持ち運びは不便であることによる使い勝手の悪さ等の潜在的な難点が他にもある。更に、急性事象の最中に経口薬の投与が必要な状況において(心筋梗塞、発作等)、患者が物理的に薬物を摂取できない場合がある。あるいは、患者には、治療薬が治療効果(症状の減少又は軽減等)を発揮するのに十分な時間が治療薬の摂取と血流への吸収との間にない場合がある。当該分野において、治療薬を急速に又はより即時に送達する、より便利で侵襲性が低く、好ましくは非侵襲性の治療システムが必要とされている。
【0004】
非侵襲性の即時速放性(rapid release)のシステムの開発は成功していない。このような非侵襲性の放出送達システムの開発において大きな障害となるのが、現行の技術では送達剤と治療用活性薬剤との抱合が起きることが多く、概して当初の治療用活性薬剤及び当初の徴候に有効な治療とは異なる新しい性質及び安全性プロファイルを有することが多い、意図していない新しい全く別の物質が生成されることであった。
【0005】
非侵襲性の送達システムの開発における別の大きな障害は、薬理学的活性薬剤の制御できず一貫性のない送達である。最善ではない患者の治療成績は、活性薬剤のバイオアベイラビリティのレベルの低さ又は変動の激しさによることが多い。また、多くの経口送達システムが消化管(GI)での吸収の不良を示すことから、投与量を上げる必要がある。投与量が上がると、典型的には関連した毒性レベルの上昇も観察される。
【0006】
非侵襲性の送達システムの開発における更に別の問題点は、これらのシステムが分子、特に極めて小さい又は極めて大きいサイズの分子の輸送で成功を収めていないことである。実際、従来技術では、約1〜約500キロダルトン(kD)の活性薬剤の膜を通しての輸送が困難であった。
【0007】
非侵襲性の送達システムの開発の別の欠点は、活性薬剤の投与を哺乳動物の膜の分解に依存していることである。膜の分解は、著しい刺激、ただれ及び不快感を患者に引き起こす場合がある。続けて投与するためには、以前の吸収部位を治癒させるために、送達手段(パッチ、ゲル等)を適用する場所を移動させなくてはならない。
【0008】
加えて、従来の非侵襲性の経口送達製剤は概して、患者に正しく投与された場合にのみ有効であることが判明している。しかしながら、データは、舌下タイプの製剤だと正しく投与されないことが度々起きることを示唆している。例えば、患者が、舌下投与では舌下で薬物を溶かす必要があり、このやり方での吸収のほうが用量によっては単に噛み砕いて飲み込むよりずっと効果的であることを理解していないことがある。
【0009】
哺乳動物の細胞内にDNAを導入するための一部の非侵襲性製剤(米国特許第6624149号明細書に記載のもの等)は、カチオン性脂質外での遷移金属エンハンサの使用を実現したものではない。その他の従来の製剤(米国特許出願公開第2008/0242595号明細書に記載のもの等)では、活性薬剤であるインスリンをビタミンB12に共有結合させている。インスリンのビタミンB12へのこの共役によって、ビタミンB12ともインスリンとも全く異なる新しい治療用活性薬剤が得られた。
【0010】
このため、即時放出性薬物の分野において、改良された非侵襲性製剤が必要とされている。より具体的には、有効量の活性薬剤を、治療活性を低下又は喪失させることなく送達し得る送達システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の原理に従って、非侵襲性の送達のための方法、組成物及びシステムが提供される。一実施形態において、細胞膜を超えての吸収による、活性薬剤を送達するための非侵襲性送達システム(例えば、錠剤、パッチ、ローション)が提供される。この非侵襲性送達システムは(a)有効量の活性薬剤と、(b)細胞膜、好ましくは粘膜又は上皮膜を超えての活性成分の吸収を促進するための少なくとも1種のビヒクルとを含み、このビヒクルは、(i)イオン相互作用を通じて活性薬剤と可逆的に錯化する金属錯化ビヒクル又は(ii)非侵襲性送達システムのpHを第1pHから第2pHに調節するpH調節ビヒクルから選択される。
【0012】
この送達システムの好ましい実施形態は少なくとも、pH調節ビヒクルと共に金属錯化ビヒクルとイオン的に相互作用する(又はイオン的に結合する)有効量の活性薬剤を含む。実施形態は、膜を介した活性薬剤の輸送を促進する追加の物質を更に含み得る。好ましくは、この金属複合ビヒクルは金属成分を含み、最も好ましくはビタミンB12金属錯体又はクロロフィリンである。より好まししい実施形態において、ビタミンB12はコバルトと結合し、コバラミンと称されることが多い。
【0013】
その他の実施形態において、この非侵襲性送達システムは、イオン化可能な遷移金属、イオン化された遷移金属、イオン化可能な金属含有化合物若しくは錯体又はイオン化された金属含有化合物若しくは錯体の少なくとも1種を含む少なくとも1種の金属錯化ビヒクルを含み得る。代替の実施形態において、この非侵襲性送達システムは少なくともイオン化可能な又はイオン化されたある塩を含む。あるいは、このシステムは、少なくとも1種のアミノ酸、タンパク質、ペプチド、糖、界面活性剤又はこれらの組み合わせを含む。好ましくは、このアミノ酸はアルギニンである。一部の実施形態において、この非侵襲性送達システムは少なくとも1種のpH緩衝剤を含む。好ましい実施形態において、この非侵襲性送達システムのpH調節ビヒクルは酸性成分及び塩基性成分を含む。
【0014】
一部の追加の実施形態は、哺乳動物、好ましくはヒトである患者の疾患又は状態を治療する方法を対象とし、この方法は、有効量の活性薬剤及び少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は少なくとも1種のpH調節ビヒクル、好ましくは金属錯化ビヒクルとpH調節ビヒクルとの両方を含む非侵襲性送達システムを投与する工程を含み、この少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は少なくともpH調節ビヒクルは、イオン相互作用を通じて活性薬剤と可逆的に錯化し、好ましくは活性薬剤の膜を超えての吸収を促進する。
【0015】
特定の実施形態において、本方法は、輸送にとって望ましいpHレベル及び/又は活性薬剤に関連したpHレベルを求めることを含む。このpH調節ビヒクル及び/又はpHに影響する送達システムのその他の成分を調節することによって、活性薬剤に合わせて最適化された望ましい又は必要なpHをターゲットとしたpHスイープ(pH sweep)を行う。一部の実施形態において、この少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は少なくとも1種のpH調節ビヒクルは、経皮的に又は粘膜を介して(舌下投与等)投与される。代替の実施形態において、このpH調節ビヒクルは、活性薬剤の膜を超えての吸収を促進するために、非侵襲性送達システムのpHを第1pH値から第2pH値に変化させるに十分な量で供給される。別の実施形態において、金属錯化ビヒクルは、好ましくは活性薬剤の膜を超えての吸収を促進するために膜を挟んで酸化状態を変化させるイオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物の少なくとも1種を含む
【0016】
追加の実施形態において、非侵襲性送達システムは少なくとも1種のイオン化された塩又は容易にイオン化可能な塩を含み得て、このイオン化された塩又は容易にイオン化可能な塩は、活性薬剤の膜を超えての吸収を促進するために、非侵襲性のシステムのイオン強度を上皮膜のイオン強度に等しいものにする。
【0017】
本明細書で開示のシステム及び方法は、活性薬剤の膜を超えての吸収の強化に影響を及ぼす、送達システムにおいて活性薬剤に(驚くべきことに組み合わせて)添加し得る多種多様な独特且つ新規なアジュバントを例証するものである。この活性薬剤は好ましくは、送達システムのビヒクルにイオン結合される。より好ましくは、活性薬剤と送達システムとの間の相互作用は可逆性である。Wet Induction Sublingual Entry SystemTM (WISE) (Protein Deliery Solutions, LLC, Lantana, FL)等の一部の実施形態は、好ましくはpH、イオン強度、より一層好ましくは活性薬剤の迅速な吸収を可能にするその他の要素を調節し得る様々なビヒクルの使用を通じた無変容活性薬剤の吸収を強化する及び/又は制御するためのシステム及び方法を含み得る。金属錯化ビヒクルは、活性薬剤の吸収を最大限にするためにシステムに送達部位でのシステムの「pHスイープ」を行わせるpH調節剤を含み得る。
【0018】
経口剤形は、患者による経口使用を可能にするいずれの形状もとり得るが、ブーメラン型又は馬蹄型の舌下経口剤形に形成することが好ましく、この形状は患者にとって、口腔内に製剤を正しく置くための視覚認識の手がかりとなるので、使用しやすくなる。舌下薬としての製剤の正しい配置によって、薬物の溶解性及び吸収性が上昇する。
【0019】
本発明の更なる特徴、その性質及び様々な利点は、添付の図面と合わせて以下の詳細な説明からより明らかとなる。図面において、同様の参照記号は、全体を通して同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のある実施形態による送達システムを例示した図である。
【図2】本発明の一実施形態による送達システムを別の角度から例示した図である。
【図3】本発明の実施形態による送達システムの例示的な製剤の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による送達システムの例示的な製剤を図で表わしたものである。
【図5】本発明の一実施形態による例示的な多層送達システムの断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による別の例示的な多層送達システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトに1種以上の活性な薬理成分(すなわち、活性薬剤)を細胞膜を介して効果的に投与する非侵襲性送達システム及び方法を開示するものである。好ましい実施形態において送達システムはビヒクルの混合物を含み、このビヒクルが活性薬剤とイオン相互作用を起こす。驚くべきことに、ビヒクルとその他の成分との組み合わせによって、細胞膜又は生体膜を超えての、好ましくは非分解形態での活性薬剤の吸収が強化される。様々な成分(本明細書においては「アジュバント」と同じ意味で使用される)の使用を通じて、本発明のシステム及び方法は、好ましくは無変容の、医薬的に有効且つ治療に効果的な状態での活性薬剤の迅速な吸収を可能にする又は強化する、膜の透過性に影響するpH、イオン強度及びその他の要素を調節し得る。更に、本発明の実施形態は、非侵襲的なタンパク質送達及び、治療用活性薬剤のより高いバイオアベイラビリティの両方にとっての新規な解決方法を提供するものである。この送達システムの高効率性は、治療用活性薬剤の即時に近いバイオアベイラビリティと相まって、投与量の減量とそれに伴う関連する毒性レベルの低下を可能にする。
【0022】
本システムの一部の実施形態は、細胞膜を介した無変容治療用活性薬剤の非侵襲的な膜内輸送のために1種以上のビヒクル、好ましくは金属錯化ビヒクル、pH調節ビヒクル又はこれらの組み合わせを有する送達システムを投与する方法及び製造する方法に関する。好ましい実施形態において、このシステム及び方法には、pH調節ビヒクルと組み合わされた金属錯化ビヒクルが含まれ、pH調節ビヒクルは、活性薬剤の吸収を最大にするために、システムの「pHスイープ」を送達部位で行う。
【0023】
本システムによって、従来の治療と比較して数多くの利点が得られる。例えば、好ましい実施形態ではより投与しやすい送達システムが得られ、この送達システムでは、それを必要とする患者が、注射ではなく経口自己投与する、好ましくは錠剤、フィルム又は液体等の舌下剤形によって治療を行うことができる。経口剤形によって薬物が入手しやすく、また使用しやすくなり、その結果、特に小児での使用が増え、患者から受け入れられやすくなる。更なる利点は、製剤、特にはタンパク質等の生物学的及び化学的に不安定な分子を有する製剤の安定性が上昇することである。本発明の送達システムは幅広い活性成分にも利用可能であるが、これはこの送達システムが最高1000kDまでの活性成分に対応し得るからである。好ましい実施形態は、約0.01kD未満〜約200kDを超える分子の膜を超えての輸送が可能である。
【0024】
本明細書の目的において、用語「非侵襲性送達システム(non-invasive delivery system)」又は「非侵襲性のシステム(non-invasive system)」には、好ましくは生理学的に無変容の状態での、活性薬剤の細胞膜を超えての吸収を促進する又は行う1種以上の製剤が含まれる。この非侵襲性のシステムは、吸収を促進するために、哺乳動物の膜内の細孔、チャネル及び/又は細胞間チャネルをプログラムすることによって、活性薬剤の哺乳動物の膜を超えての無変容の輸送を行い得る。好ましくは、膜を介した活性薬剤の輸送は受動的であり、例えば拡散、促進拡散及び/又は浸透によるものである。一部の実施形態において、輸送は能動的であり、一次性及び/又は二次性能動輸送が含まれる。
【0025】
本明細書で使用の用語「細孔プログラミング(pore programming)」とは、吸収を促進するために膜の細孔を調節する能力のことである。好ましくは、細孔プログラミングを、必要に応じて各活性薬剤に合わせて個別化し得る。更に、細孔プログラミングの間、膜の完全性が実質的に損なわれないままであることが好ましい。
【0026】
本明細書で使用の用語「膜(membrane)」とは、選択的に透過性であり、また細胞内外への物質の移動を制御する選択的な細胞障壁を意味する。一般に、膜はタンパク質及び脂質から構成される。加えて、膜には細胞電位が伴う。膜には全ての細胞膜がその範囲に含まれ、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトの細胞膜である。膜は、限定されることなく結合膜及び上皮膜の両方であり得る。結合膜の例には、滑膜が含まれる。上皮膜の例には、皮膚、粘膜及び漿膜が含まれる。膜は乾燥膜又は湿潤膜になり得る。追加の哺乳動物の膜の例には、ヒト及びその他の哺乳動物の両方に関し、腸間膜、皮膚膜、表皮膜、血液脳関門膜、膣内膜(intervaginal)、直腸膜、眼膜、鼻腔内膜(internasal)及び鼓膜が含まれる。
【0027】
システムの実施形態によって、生理学的活性薬剤が、消化管を通過することなく血流に送達され得る。好ましい実施形態は、活性成分の特定の臓器(皮膚製剤の場合は皮膚、舌下製剤の場合は血流等)への進入を可能にする。一部の実施形態において、送達システムは、活性薬剤のターゲット送達を行う。例えば、血流は、活性薬剤に消化管を経て肝臓を直接通過させることなく、活性薬剤を直接受け取る。肝臓による「初回通過(first-pass)」解毒を排除することによって、治療用活性薬剤の用量を低下させ、肝臓での解毒による代謝副産物由来の毒性を低下させ、また治療用活性薬剤の送達速度を上昇させることができる。
【0028】
本発明の実施形態は、それを必要とする動物、特には哺乳動物、より特定するとヒトである患者への投与を意図している。したがって、本明細書の目的において、用語「患者(patient、subject)」とは、治療、予防又は防止を理由として、好ましくは医療又は臨床専門家によって処方された活性薬剤を必要としている個体のことである。「患者」は哺乳動物を意味し得て、ヒト、サル、ラット、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ヤギ等が含まれるがこれらに限定されない。患者は成人又は小児を意味し得る。
【0029】
本明細書の目的において、用語「活性薬剤(active agent)」とは、治療効果を目的に投与される全ての分子のことである。活性薬剤は好ましくは薬理学的活性薬剤である。活性薬剤は生理学的に活性であり得る。活性薬剤とは限定されることなく医薬品を意味し得て、高分子医薬品、低分子医薬品、生物製剤(biopharmaceutical、biologics)、高分子生物製剤、低分子生物製剤、栄養補助食品、好ましくは単離若しくは精製された遺伝子材料(DNA、RNAを含む)、組換え核酸ベクター(例えば、プラスミド、コスミド等として)、ワクチン、タンパク質、ペプチド、ホルモン、有機若しくは無機分子、ナノ粒子(例えば、ナノカーボン、ナノダイヤモンド、シリコン、サルフェート/サルファイトテクノロジー)又はこれらのいずれの組み合わせもが含まれる。タンパク質/ペプチドの例には、抗体(MAb)、グリコシル化分子、融合タンパク質、タンパク質フラグメント、ステロール、バイオアイデンティカル化合物及びアミノ酸の多種多様な組み合わせが含まれ得る。適切な活性薬剤の追加の例を本明細書で挙げる。
【0030】
1種以上の活性薬剤を使用し得る。ある活性薬剤の組み合わせは同時に又は連続的に、好ましくは順番を問わずに提供され得る。活性薬剤のサイズは、約0〜約500kD以上にわたり得る。ある当業者は、約0〜約20kDの活性薬剤を非侵襲的に送達するような製剤の使用を好み得て、別の当業者は、約2〜約200kD又は約200〜約500kD以上の活性薬剤の製剤の使用を好む。一部の実施形態において、活性成分は最高約1000kDにも及び得る。
【0031】
本明細書の目的において、「無変容(unaltered)」治療用活性薬剤とは、輸送時に変化又は変容していない活性薬剤のことである。無変化治療用活性薬剤は、分子的な又は不可逆的な変化を経ない活性薬剤である。好ましくは、活性薬剤は、化学構造、特性又は活性においていかなる不可逆的な変化も経ない。より一層好ましくは、本開示における活性薬剤は、その本来の状態で膜を超えて輸送される。送達システムが、それを必要とする患者に提供するところの活性薬剤の医薬的な及び/又は治療的な効果を維持する又は少なくとも実質的に低下させないことがより一層好ましい。例えば、無変容活性薬剤が、吸収のためだけにグリコシル化されることはない(治療薬はグリコシル化され得ない)。別の例として、無変容活性薬剤は、吸収を目的として別の分子と共役しない(治療用活性薬剤は通常、別の分子と共役しない)。更に、別の例として、無変容活性薬剤は、うまく吸収させるためにとより小さなものに又は断片へと開裂されない(吸収は、活性薬剤が全て完全な状態で起きる)。
【0032】
好ましい実施形態において、システムのビヒクル及び活性薬剤は共有結合しない。最も好ましい実施形態において、活性薬剤及び非侵襲性の系はイオン相互作用によって結合される。活性薬剤と非侵襲性送達システムとの相互作用は、活性薬剤の治療有効性を低下させ得る共役又は新しい成分の生成を必要とせず、好ましくは回避する。システムが治療薬の化学量論又は生理的機能を変化させることがなく、その結果、活性薬剤の生理的治療効果が保たれることが好ましい。
【0033】
本明細書で使用の用語「有効量(effective amount)」は、特には治療を必要とする1種以上の状態の防止、治療又は管理と結び付けて考える場合、上記の投与量及び投与頻度スケジュールによって定められる。有効量は患者、疾患及び活性薬剤に応じて異なり得るが、一般に当該分野で公知である又は常用試験によって決定又は最適化可能である。
【0034】
本明細書の目的において、「予防(prophylaxis)」とは、疾患の症状の防止、疾患の症状の発生の遅延又は続いて出現する疾患の症状の重症度の軽減を意味し得る。用語「防止(prevent、preventing、prevention)」とは本明細書において、障害の発症若しくは発生の阻害又は治療(例えば、予防薬、治療薬)若しくは複数の治療の組み合わせ(例えば、予防薬と治療薬との組み合わせ)を受けた患者における障害の1つ以上の症状の再発、発生若しくは出現の防止のことである。本明細書の目的において、治療(therapy、treatment、treat)とは、ある疾患の症状の完全な消滅又はその疾患の症状の重症度の低下を意味し得る。
【0035】
本明細書の目的において、用語「実質的に(substantially)」は、絶対条件からの変化形、例えば絶対条件の約90%、好ましくは約95%、より好ましくは約99%を含むと意図される。好ましい実施形態において、用語「実質的に」とは、絶対条件の99.9パーセント、更には99.99パーセントのことである。
【0036】
本明細書の目的において、用語「pHスイープ(pH sweep)」とは、酸性のpHから塩基性のpHへと又は塩基性のpHから酸性のpHへと変遷することによって、製剤を取り囲む直近の環境を変化させるシステムの能力のことである。pHスイープによって、哺乳動物の膜の細孔、チャネル及び/又は細胞間チャネルに関連した送達領域において厳格なpH制御が行われる。この結果、このpHスイープによって、活性薬剤の輸送にとって最適な環境が維持され、その一方で好ましくは通常の生物学的機能下での未錯化状態の薬剤の分解が回避される。好ましくは、pHスイープは、膜の輸送部位で又は実質的に膜の輸送部位で有効である。
【0037】
本明細書の目的において、用語「直近の環境(immediate environment)」とは、製剤を直接投与する領域又は実質的にそれに近い領域のことである。好ましくは、この直近の環境はちょうど製剤を投与する時の投与部位である。好ましくは、直近の環境は、製剤と、製剤を投与する際の及び製剤が患者と接触し得る投与部位との両方を含む。この直近の環境は、製剤と膜との直接の相互作用を通じたシステムによる吸収の促進を可能にし得る。例えば、この直近の環境は、投与部位に適用される無水製剤による、その投与部位から毛管作用で運ばれる水分を利用した水分補給を可能にし得る。別の例において、この直近の環境は、酸性成分と塩基性成分との吸収部位での相互作用の増進を通じたpH調節剤による吸収の促進を可能にし得る。一部の実施形態において、直近の環境とは、投与したシステム製剤から約0〜5cm以下の範囲内である。
【0038】
天然の哺乳動物の膜は典型的には約2〜約10のpH範囲を有する。好ましい実施形態において、pHスイープは、「スイープされる」範囲が、1、2、3又はそれ以上のpH値から始まるように起き得る。より好ましくは、pHスイープはpH約2〜約10にわたり得る。その他の実施形態において、pHスイープはpH約10〜約2にわたり得る。pHスイープは、「スイープされる」範囲が、あるpH値の整数又は分数にわたるように起き得る。例えば、pHスイープは、pHを約6から約7に、約7から約8に又は約6.5から約8.5に上昇させ得る。代替の例には、pHを約8から約7、約7.5から約6又は約8.5から約6.5に低下させるpHスイープが含まれ得る。pHスイープは好ましくは、製剤が吸収部位で又は比較的短時間で溶解するにつれて起き得る。また、pHスイープは、投与から約1〜約10分以下後に起き得る。代替の例において、pHスイープは、投与から約1〜約360秒、好ましくは約1〜約180秒、好ましくは約1〜約120秒、より一層好ましくは約1〜約90秒、更に一層好ましくは約1〜60秒、最も好ましくは約1〜約30秒後に起き得る。最も好ましい実施形態において、pHスイープは、活性薬剤の完全な又は実質的に完全な吸収を起こさせるに十分な程度で起き得る。
【0039】
本明細書の目的において、用語「金属錯化ビヒクル(metal-complexed vehicle)」とは、活性成分(例えば、輸送分子)に錯化されたイオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物のことであり、活性成分は、膜を超えての活性薬剤の輸送の促進が可能なアミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖及び/又は界面活性剤から構成され得る。金属錯体は、高分子と相互作用することによって生物学的過程を増進させる金属含有補因子である化合物として特徴付けされ得る。本発明の実施形態で使用の金属錯体には、ポルフィリン、金属タンパク質及び金属酵素が含まれ得る。金属錯化ビヒクルには、ビタミンB12及びその様々な形態、例えばシアノコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンであり、好ましくはコバラミンである。別の金属錯化ビヒクルには、クロロフィル又は銅を含み得るクロロフィル錯体が含まれ得る。
【0040】
本明細書の目的において、用語「錯化(complexed)」の「錯体(complex)」とは、イオン相互作用又は水素相互作用を介して結び付けられた、送達システムの2種以上の成分のことであり、錯化によって送達システムによる無変容活性薬剤の膜を超えての送達が可能になる。
【0041】
本明細書の目的において、用語「pH調節ビヒクル(pH adjusting vehicle)」とは、少なくとも酸性成分又は塩基性成分を含む複合体のことである。好ましくは、pH調節ビヒクルは、酸性成分及び/又は塩基性成分を含み得る。酸性成分は、投与に先立って塩基性成分から分離され得る。酸性成分は、塩基性成分と投与時に直接接触し得る。pH調節ビヒクルは、投与部位での吸収条件を最適化するために、pHスイープを促進することによって膜を超えての活性薬剤の吸収を促進し得る。
【0042】
非侵襲性送達システムの実施形態には、以下の6種類の成分カテゴリーの様々な組み合わせが含まれる。
成分A:イオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物
成分B:イオン化された又は容易にイオン化可能な塩
成分C:成分A及びBに容易に、それでいて可逆的に結合するアミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖及び/又は界面活性剤
成分D:混合物のpHを最適化するための緩衝溶液、フィルム又は粉末
成分E:治療用活性薬剤
成分F:患者への投与時に活性成分を吸収させるためのpHを最適に調節する固体又は液体の送達混合物
【0043】
一部の実施形態において、製剤は、成分A〜Fの全て又はいずれかの組み合わせの一部の成分(例えば、A〜E、B〜F、A+C+E+F等)を含み得る。成分A〜Fを組み合わせることによって、膜を超えて無変容活性薬剤を非侵襲的に送達するための例示的な製剤を生成し得る。化合物及び/又は組成物によっては、複数の成分カテゴリーに分類され得る。このため、1つの成分が成分A及び成分Fとして分類され得る。システムの変化形は、哺乳動物の膜を介した薬理学的活性薬剤の非侵襲的な送達にとって最適な動態をつくりだすための複合体内での成分A〜Fの処方変化を可能にし、これが今度は臨床的なパラメータに基づいた特定の製剤の成功を可能にする。
【0044】
本明細書において、成分A及びFは、システムの「ビヒクル(vehicle)」と称される。一部の実施形態は、成分A又は成分Fと組み合わせた成分C、Eを含む。好ましい実施形態は、少なくとも成分A、F及びDを含む。一部の実施形態は、成分C、E、A及びFを含み得る。好ましい実施形態において、成分AはビタミンB12、最も好ましくはコバラミンである。別の好ましい実施形態において、成分Cはアルギニンである。好ましいシステムは少なくとも1種のビヒクルを含む。より好ましいシステムは、pH調節ビヒクルと共に金属錯化ビヒクルを含む。好ましくは、これらの成分はイオン相互作用を通じて活性薬剤と相互作用する。成分B、Dは任意である。
【0045】
好ましい実施形態に関して、活性薬剤を使用した送達システムの乾燥粉末又はフィルムへの製造手順は単純に、当業者なら理解できるように、上記の成分A〜Fの混合を含み得る。好ましくは、成分を、一般に安全とされている手順に従って混合する。加えて、活性薬剤を使用した送達システムのローションへの製造手順は、上記の成分A〜Eの混合を含み得て、成分Fは、当業者なら理解できるように、哺乳動物の膜を超えての成分の効率的な輸送に合わせて緩衝剤で処理され且つ最適化された溶液である。
【0046】
好ましい実施形態は、治療用活性薬剤の非侵襲的な輸送のための金属錯化ビヒクルを含む。このような実施形態においては、少なくとも1μgのイオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物を活性薬剤に添加して非侵襲性薬物を製造する。好ましい実施形態において、成分Aは、吸収部位の膜を超えて活性薬剤を輸送し、また貯蔵中に製剤を安定化させる機能を果たすイオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物である。理論によって拘束されるものではないが、これらのイオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物は、輸送を促進するために、膜を超える際に酸化状態を速やかに変化させ得る。
【0047】
その他の実施形態において、成分Aは成分B、C、D及び/又はFと組み合わせられ得る。材料の混合物(例えば、成分B、C、D及び/又はF)が、膜を超えての生理学的活性薬剤の効率的な輸送のために、金属/金属含有化合物(すなわち、成分A)の活性薬剤(すなわち、成分E)への結合を促進し得るということは、驚くべき予期せぬ発見であった。材料の混合物(B、C、D及び/又はF)を含むシステムの一部の製剤が、金属錯化ビヒクルの最適なpH及びイオン濃度を促進することも驚きであり、また予期せぬことであった。
【0048】
治療用活性薬剤に錯化した金属錯化ビヒクルは、本来の送達モード(例えば、筋肉内(IM)又は皮下(SC)注射、経口/経鼻送達)で必要とされる用量より少ない用量で同様の有効性をより低い毒性でもって示した。毒性の低下は、治療用活性薬剤の量の低下又は肝代謝の必要性の低下又はこれらの組み合わせによるものと考えられる。すなわち、金属錯化ビヒクルによって輸送されるより少ない用量の活性薬剤が、もっと多い用量の同じ活性薬剤を慣用の方法で投与した場合の活性薬剤の血清レベルと同様の血清レベルを示す。このため、金属錯化ビヒクルを利用した製剤は、慣用の送達方法より効率的な活性薬剤輸送体である。
【0049】
理論に限定するものではないが、口から自然に取り込まれた金属は血流に迅速に直接吸収されると考えられる。このため、金属に錯化され且つ例えば舌下投与された物質は、より効率的に舌下膜を血液中へと不可逆的な変容を起こすことなく通過する。対照的に、金属錯化ビヒクルを食べると、金属錯体は消化されてしまい、消化液及び生物由来物質が活性薬剤に作用して活性薬剤は分解されてしまう。金属錯体は、イオン相互作用を通じて生成され得る。好ましくは、金属錯化ビヒクルと活性薬剤との間の相互作用はイオン性であり、また可逆的である。
【0050】
様々な酸化状態にある慣用の元素周期表の1A、2Aから3B〜8Bの元素の金属のいずれもが、本明細書で開示の製剤で使用され得る。特定の実施形態において、元素スカンジウム(SC)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)を利用し得る。好ましくは、コバルトを使用する。
【0051】
成分Aの量は、約0〜約1000mgにわたり得る。一部の実施形態において、1つの製剤中の成分Aの具体的な用量には、約0.001、0.005、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。その他の実施形態において、成分Aは、組成物全体の質量で約0.01〜95%、例えば0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0052】
好ましい実施形態は、治療用活性薬剤の非侵襲的な輸送のために成分F等のpH調節ビヒクルも含み得る。一実施形態において、製剤は少なくとも、酸性成分及び塩基性成分を供給することによってpHを最適に調節して、膜を超えての活性薬剤の輸送を促進するある固体又は液体の送達混合物を含み、これによって、pHが製剤にとって特徴的な(調節可能な)ものとなる。活性薬剤の吸収率は患者によって異なり、吸収にとって最適なpHはそれに応じて異なり得る。各活性成分の吸収にとって理想的又は実際的なpH範囲も当業者に公知である。pH調節ビヒクルは好ましくはpH値を塩基性のpH値から酸性のpH値へと、あるいは酸性のpH値から塩基性のpH値へと「スイープ」し得る。好ましくは、pH調節ビヒクルは、固体、場合によっては液体の成分の混合物であり得る。酸性成分は、投与まで塩基性成分から物理的に分離され得る。酸性成分と塩基性成分とが吸収部位にて相互作用すると、pHは好ましくはあるpH値から別のpH値へと(例えば、6.7から7.7pH単位)ある時間で変化する(例えば、1〜180秒)。
【0053】
上述したように、成分Fは、pHスイープ作用を促進するために、同じ製剤内に酸性成分と塩基性成分の両方を含み得る。投与前に酸性成分と塩基性成分とが反応するのを防止するために、一実施形態では複数の隣り合わない層を製剤中に含む。あるいは、酸性成分と塩基性成分とを分離するための容易に除去可能な層を製剤内に設計することによって、所望の時間まで反応が回避又は制限される。一部の変化形において、この容易に除去可能な層は、酸性成分と塩基性成分との混合を防止するゼラチン状の又は疎水性の材料を含み得る。
【0054】
その他の変化形においては、製剤が溶解するにつれて製剤が酸性から塩基性のpH値へと変遷するように製剤の溶解を「プログラム」することが有利になり得る。加えて、溶解錠又はその他の送達ビヒクルは塩基性pH値から酸性pH値へと変遷し得る。どちらの場合でも、製剤は、薬剤又はその他の活性成分の吸収を最適化するpH範囲をもたらすことによって治療用活性薬剤の迅速な送達を促進する。好ましくは、ターゲットpHは製剤の活性薬剤の最適なpH範囲に対応する。
【0055】
pHスイープの作用機序は好ましくは、送達システムの吸収を引き起こす又は逆に妨げる、膜(又は組織)の通常のpHの作用を緩和し得る。pHスイープは更に、非侵襲性送達システムを使用した際に吸収を同じく潜在的に妨げ得る、活性薬剤のpHの作用を緩和し得る。製剤の影響によるpH値の変化は、活性薬剤の迅速且つ好ましくは一貫性のある送達をもたらす。
【0056】
酸性成分は、酸性度を上昇させることができる薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。製剤中で使用の酸性成分には、クエン酸、酢酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、エリトルビン酸、フマル酸、グルコン酸、イノシン酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、ペクチン酸、リン酸、ソルビン酸、プロピオン酸及び酒石酸水素カリウム又はこれらのいずれの組み合わせも含まれ得るが、これらに限定されない。追加の例には、酒石酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、リン酸塩及び混合物、ホウ砂塩、3−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、ジメチルアルシン酸、有機スルホン酸誘導体、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、様々なアミノ酸並びに吸収中にあるイオン強度又は決定済みのpHスイープ範囲をもたらすその他の化合物が含まれる。
【0057】
好ましくは、酸性成分の量は、特定の活性薬剤に望ましいpHに必要な又は相当する酸性度に対応する。酸性成分の量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤中の酸性成分の具体的な用量には、約0.05、1、2、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。酸性成分は、組成物全体の質量で約0.05〜95%、例えば0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は95%を構成し得るが、これらに限定されない。好ましくは、成分Fの量は、効果的に又は十分にpHをスイープするのに十分である。
【0058】
塩基性成分は、アルカリ度を上昇させることができる薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。製剤中で使用される塩基性成分には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酒石英(cream of tartar)、上記の酸の塩、有機アミン、様々な金属塩カーボネート、クロロフィル及び/若しくは脱金属(demetallized)クロロフィル又はこれらのいずれの組み合わせも含まれ得るが、これらに限定されない。追加の塩基には、酒石酸二カリウム、有機アミン、ピリジン、ピリミジン、ピラダジン、キナゾリン、キノキサリン、キナゾリン、プリン及びその他の窒素含有有機塩基が含まれ得る。上記のカーボネートの場合、若干の泡立ち作用が見られることがあるが、この泡立ちは、患者が錠剤の溶解の完了を認識するのに役立ち得る。
【0059】
好ましくは、塩基性成分の量は、活性薬剤に必要なアルカリ度に対応する。塩基性成分の量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤中の塩基性成分の具体的な用量には、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。塩基性成分は、組成物の総質量の0.01〜95%、例えば組成物の全体の質量で約0.01、0.02、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0060】
好ましくは、イオン化される又は容易にイオン化可能な塩である成分Bを製剤に添加することによって製剤に安定性を付与し得る。より好ましくは、塩は、製剤の様々な成分間のイオン相互作用の発生を支援することによって製剤を安定化し得る。好ましくは、塩は製剤を酸化からも保護し、また細菌、カビ又は酵母等の微生物による汚染の防止を支援し得る。この結果、製剤に関する冷蔵又は特殊な環境条件が不要となり得て、活性薬剤の生理学的機能を維持することができる及び/又は製剤の貯蔵寿命をより長くすることができる。
【0061】
本システムの塩には、活性薬剤の効率的な吸収にとってイオン的に安定した環境を提供するために使用される一般的な塩が含まれるが、これらに限定されない。具体的な塩は当業者に公知である。非限定的な例には、塩化ナトリウム、リン酸塩、安息香酸、クエン酸塩、酒石酸塩、ホウ砂塩、3−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、ジメチルアルシン酸、有機スルホン酸誘導体、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、様々なアミノ酸及び活性成分の安定性のためにあるイオン強度又は決定済みのpH緩衝範囲をもたらすその他の化合物が含まれ得る。
【0062】
溶液の生理学的イオン強度をインビボで再現して膜を超えての製剤の吸収を促進するために、製剤中の成分のイオン強度を調節し得る。当業者なら理解できるように、溶液のイオン強度は、その溶液中のイオン濃度の尺度である。イオン性化合物は、水に溶解させた場合に、イオンに解離する。溶液中の総電解質濃度は、様々な塩の解離及び/又は溶解性に影響し得る。様々な成分のイオン強度を公知の技法を利用して計算し、また引き続いてこれらの成分を調節し得る。例えば、製剤の調節を行うことによって、血液と同じイオン強度(約0.154NaCl)にし得る。例えば、本明細書で開示の製剤に所望のイオン強度を付与するために、塩(成分B)の濃度を調節し得る。
【0063】
成分Bの量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤中の成分Bの具体的な用量には、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。成分Bは、組成物の総質量の約0.01〜95%、例えば組成物全体の質量で約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0064】
アミノ酸、タンパク質、糖及び/又は界面活性剤である成分Cを製剤に添加して、迅速だが可逆的に成分A、Bに結合させ得る。好ましくは、成分Cは、膜の吸収部位を超えての金属(すなわち、成分A)の輸送を強化し得る。好ましい実施形態において、成分Cは、活性薬剤の輸送を促進するために添加される。一部の例において、成分Aで使用される化合物は成分Cの化合物と同じである。本製剤において適切なタンパク質、糖及び/又は界面活性剤の例には、クロロフィリン、グリコデオキシコール酸ナトリウム、クロロフィル、ビタミンB12、アミノ酸並びにクロロフィル及びビタミンB12の両方に見られるようなポルフィリン環構造体が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ビタミンB12は合成又は天然形態であり得て、コボラミン(cobolamine)、シアノコバラミン、ヒドロキシコバラミン及び/又はメチルコバラミンを含むが、これらに限定されない。製剤は異なる形態のビタミンB12の混合物を使用し得る。加えて、グリコデオキシコール酸ナトリウム及びその他の生物学的界面活性剤分子が対象になり得る。また、皮膚及び粘膜を介した吸収は、特にメチルスルホニルメタン(MSM)及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)等の極性有機アジュバントと共に使用した場合に強化され得る。
【0065】
糖は、天然又は合成の糖を含み得る。糖は、単糖類、二糖類又はオリゴ糖も含み得る。一部の実施形態において、糖は糖アルコールであり得る。その他の実施形態において、糖は糖置換基を含み得る。好ましくは、糖は、グルコース、キシロース、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、乳糖及びフルクトースを含み得る。一部の実施形態においては、5炭素糖が使用される。代替の実施形態においては、6炭素糖が使用される。糖は、実施形態において5又は6環糖になり得る。
【0066】
成分Cの量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤中の成分Cの具体的な用量には、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。成分Cは、組成物の総質量の約2〜95%、例えば組成物全体の質量で約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0067】
緩衝溶液、フィルム又は粉末である成分Dを製剤に添加することによって、混合物のpHを最適化し得る。好ましくは、成分Dは、製剤の貯蔵寿命にとっての安定性をもたらす。成分Dの例には、酒石酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、リン酸塩及び混合物、多価アルコール並びに様々なパラベンが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
成分Dの量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤内の成分Dの具体的な用量には、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。成分Dは、組成物の総質量の約2〜95%、例えば組成物全体の質量で約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0069】
成分Eは、本明細書に記載のシステムを介して膜を超えて輸送される治療用活性薬剤を含む。薬理学的活性薬剤には、いずれの数又は量の分子又は組成物も含まれ得る。好ましくは、活性薬剤は個別に又は互いに組み合わせて使用され得る。
【0070】
活性薬剤の種類には、鎮痛薬(アセトメナフィン(例えば、アセトメナフィン、cox−1及び/又はcox−2阻害剤、イブプロフェン、リドカイン)、救急用薬物(エピネフリン、アトロピン、17−(シクロプロピルメチル)−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルヒナン−6−オン(ナルトレキソン、フルマゼニル)、不整脈治療薬(アミオダロン、ジルチアゼム、アトロピン)、脂質モジュレータ(スタチン、アトルバスタチン);抗痙攣薬(フェニトインナトリウム、トピラメート、オキスカルバゼピン)、抗凝固薬(低分子ヘパリン、エノキサパリン)、ビタミン及び栄養サプリメント(コエンザイムQ10);コルチコステロイド(プレドニゾン)、抗腫瘍薬(パクリタキセル、カルボプラチン)、中枢作用性薬剤(スマトリプタン)、マイクロペプチド(Xen2174)、リウマチ治療薬(エタネルセプト、アダリムマブ)、骨髄刺激剤(フィルグラスチム、エポエチンアルファ)、骨粗しょう症治療薬(テリパラチド)、成長因子(ソマトトロピン)、免疫モジュレータ(ガンマグロブリン)、中枢及び末梢神経筋障害治療薬(グラチラマーアセテート)、内分泌物(ヒト成長ホルモン(HGH)、プロファシ(HCG類似体)、インスリン及び/又はインスリン類似体)並びに血管緊張モジュレータ(シルデナフィル)が含まれ得る。活性薬剤の追加の例にはPT−141が含まれ得る。
【0071】
例示的な活性薬剤には、感染症を治療するための薬剤、例えば抗菌剤、抗真菌薬及び抗生物質;心血管疾患を治療するための薬剤、例えばクロロチアジド(利尿薬)、プロプラノロール(血圧降下薬)、ヒドララジン(末梢血管拡張剤)、イソソルビド若しくはニトログリセリン(冠血管拡張剤)、メトプロロール(ベータブロッカー)、プロカインアミド(不整脈治療薬)、クロフィブラート(コレステロール低下薬)又はクマジン(抗凝固薬);内部疾患を治療するための薬剤、例えば結合型エストロゲン(ホルモン)、トルブタミド(糖尿病治療薬)、レボチロキシン(甲状腺疾患治療薬)、プロパンテリン(鎮痙剤)、シメチジン(制酸剤)、フェニルプロパノールアミン(抗肥満薬)、アトロピン若しくはジフェノキサレート(止瀉薬)、ドキュセート(緩下剤)又はプロクロルペラジン(制吐剤);精神疾患を治療するための薬剤、例えばハロペリドール若しくはクロルプロマジン(精神安定剤)、ドキセピン(覚せい剤)、フェニトイン(抗痙攣薬)、レボドパ(パーキンソン病治療薬)、ベンゾジアゼピン(抗不安薬)又はフェノバルビタール(鎮静薬);抗炎症薬、例えばフルオロメトロン、アセトアミノフェン、フェナセチン、アスピリン、ヒドロコルチゾン又はプレディゾン(predisone);抗ヒスタミン剤、例えば塩酸ジフェンヒドラミン又はマレイン酸デクスクロルフェニラミン;抗生物質、例えばスルファニルアミド、スルファメチゾール、塩酸テトラサイクリン、ペニシリン及びその誘導体、セファロスポリン誘導体又はエリスロマイシン;化学療法剤、例えばスルファチアゾール、ドキソルビシン、シスプラチン又はニトロフラゾン;局所麻酔剤、例えばベンゾカイン;強心薬、例えばジギタリス又はジゴキシン;鎮咳薬及び去痰剤、例えばリン酸コデイン、デキストロメトルファン又は塩酸イソプロテレノール;経口消毒剤、例えば塩酸クロルヘキシジン又はヘキシルレゾルシノール;酵素、例えば塩酸リゾチーム又はデキストロナーゼ;避妊薬、例えばエストロゲン;眼用治療薬、例えばチモロール又はゲンタマイシン等が含まれる。加えて、活性薬剤には、米国特許第4140763号明細書(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようなVP3カプシドタンパク質(別の命名法ではVPThr及びVP1カプシドタンパク質としても知られる)等の全タンパク質、インスリン又はインターフェロン;ポリペプチド治療薬、例えばエンドルフィン、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、更に低分子量のポリペプチド又はこれらのポリペプチド結合タンパク質担体の抱合体も含まれ得る。
【0072】
システムは任意で更に、抗感染薬、心血管系治療薬、中枢神経系治療薬、自律神経系治療薬、気道治療薬、消化管(GI)治療薬、ホルモン剤、体液又は電解質バランス改善薬、血液疾患治療薬、抗悪性腫瘍薬(antineoplactic)、免疫調節薬、眼用治療薬、耳用治療薬、鼻用治療薬、局所製剤、栄養剤、スタチン等の少なくとも1種から選択される有効量の活性薬剤を含み得る。
【0073】
活性薬剤は、非麻薬性鎮痛薬から選択される少なくとも1種又は解熱薬、非ステロイド性抗炎症薬、麻薬若しくは少なくとも1種のオピオイド鎮痛薬、催眠鎮静薬、抗痙攣薬、抗鬱剤、抗不安薬、抗精神病薬、中枢神経系刺激薬、抗パーキンソン病薬及び種々雑多な中枢神経系作用薬から選択される少なくとも1種でもあり得る。活性薬剤は、コリン作動薬(副交感神経刺激薬)、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬(交換神経刺激薬)、アドレナリン遮断薬(交感神経遮断薬)、骨格筋弛緩薬及び神経筋遮断薬から選択される少なくとも1種であり得る。非麻薬系鎮痛薬又は解熱薬は、アセトアミノフェン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサリチラート、ジフルニサル及びマグネシウムサリチラートから選択される少なくとも1種であり得る。非ステロイド性抗炎症薬は、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラクトロメタミン、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ及びスリンダクから選択される少なくとも1種であり得る。麻薬性又はオピオイド(opiod)鎮痛薬は、塩酸アルフェンタニル、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノール、リン酸コデイン、硫酸コデイン、クエン酸フェンタニル、フェンタニル経皮システム、フェンタニル経粘膜システム、塩酸ヒドロモルホン、塩酸メペリジン、塩酸メタゾン、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、酒石酸モルヒネ、塩酸ナルボフィン(nalbophine)、塩酸オキシコドン、オキシコドンペクチネート(oxycodone pectinate)、塩酸オキシモルホン、塩酸ペンタゾシン、塩酸ペンタゾシン及び塩酸ナロキソン、乳酸ペンタゾシン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシラート、塩酸レミフェンタニル、クエン酸スフェンタニル並びに塩酸トラマドールから選択される少なくとも1種であり得る。催眠鎮静薬は、抱水クロラール、エスタゾラム、塩酸フルラゼパム、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、テマゾパム(temazopam)、トリアゾラム、ザレプロン及び酒石酸ゾルピデムから選択される少なくとも1種であり得る。
【0074】
抗痙攣薬は、アセタゾラミドナトリウム、カルバマゼピン、クロナゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、ジバルプロエクスナトリウム、エトスクシムド(ethoxuximde)、ホスフェニトインナトリウム、ガバペンチン、ラモトリギン、硫酸マグネシウム、フェノバルビタール、フェノバルビタールナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、フェニトインナトリウム(徐放性)、プリミドン、塩酸チアガビン、トピラマート、バルプロ酸ナトリウム及びバルプロ酸から選択される少なくとも1種であり得る。
【0075】
抗鬱剤は、塩酸アミトリプチリン、パモ酸アミトリプチリン、アモキサピン、塩酸ブプロピオン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸クロミプラミン、塩酸デシプラミン、塩酸ドキセピン、塩酸フルオキセチン、塩酸イミプラミン、パモ酸イミプラミン、ミルタザピン、塩酸ネファゾドン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸パロキセチン、硫酸フェネルジン、塩酸セルトラリン、硫酸トラニルシプロミン、マレイン酸トリミプラミン及び塩酸ベンラファキシンから選択される少なくとも1種であり得る。抗不安薬は、アルプラゾラム、塩酸ブスピロン、クロルジアゼポキシド、塩酸クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、塩酸ドキソピン(doxopin)、ヒドロキシジンエンボナート、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、ロラゼパム、メフロバメート(mephrobamate)、塩酸ミダゾラム及びオキサゾパム(oxazopam)から選択される少なくとも1種であり得る。抗精神病薬は、塩酸クロルプロマジン、クロザピン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルエフェナジン(fluephenazine)、塩酸フルフェナジン、ハロペリドール、デカン酸ハロペリドール、乳酸ハロペリドール、塩酸ロキサピン、コハク酸ロキサピン、ベシル酸メソリダジン、塩酸モリンドン、オラザピン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、フマル酸クエチアピン、リスペリドン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、塩酸チオチキセン及び塩酸トリフロペラジンから選択される少なくとも1種であり得る。中枢神経系刺激薬は、硫酸アンフェタミン、カフェイン、硫酸デキストロアンフェタミン、塩酸ドキサプラム、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリン及び塩酸フェンテルミンから選択される少なくとも1種であり得る。抗パーキンソン病薬は、塩酸アマンタジン、メシル酸ベンズトロピン、塩酸ビペリデン、乳酸ビペリデン、メシル酸ブロモクリプチン、カルビドパ−レボドパ、エンタカポン、レボドパ、メシル酸ペルゴリド、プラミペキソールジビドロクロリド(dibydrochloride)、塩酸ロピニロール、塩酸セレギリン、トルカポン及び塩酸トリヘキシフェニジルから選択される少なくとも1種であり得る。中枢神経系活性薬剤は、リルゾール、塩酸ブプロピオン、塩酸ドネペジル、ドロペリドール、マレイン酸フルボキサミン、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、塩酸ナラトリプタン、ニコチンポラクリレクス、ニコチン経皮システム、プロポフォール、安息香酸リザトリプタン、シブトラミン塩酸塩一水和物、コハク酸スマトリプタン、塩酸タクリン及びゾルミトリプタンから選択される少なくとも1種であり得る。コリン作動性活性薬剤(例えば、副交感神経刺激薬)は、塩化ベタネコール、塩化エドロホニウム、臭化ネオスチグミン、ネオスチグミン、メチルスルファート、サリチル酸フィゾスチグミン及び臭化ピリドスチグミンから選択される少なくとも1種であり得る。抗コリン作動薬は、硫酸アトロピン、塩酸ジサイクロミン、グリコピロレート、ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化プロパンテリン、スコポラミン、臭化ブチルスコポラミン及び臭化水素酸スコポラミンから選択される少なくとも1種であり得る。アドレナリン作動性活性薬剤(交換神経刺激薬)は、塩酸ドブタミン、塩酸ドーパミン、酒石酸水素メタラミノール、酒石酸水素ノルエピネフリン、塩酸フェニレフリン、塩酸プソイドエフェドリン及び硫酸プソイドエフェドリンから選択される少なくとも1種であり得る。アドレナリン遮断薬1(交感神経遮断薬)は、メシル酸ジビドロエルゴタミン(dibyhydroergotamine )、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド及び塩酸プロプラノロールから選択される少なくとも1種であり得る。骨格筋弛緩薬は、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、塩酸シクロベンザプリン、ダントロレンナトリウム、メトカルバモール及び塩酸チザニジンから選択される少なくとも1種であり得る。
【0076】
神経筋遮断活性薬剤は、ベシル酸アトラクリウム、ベシル酸シサトラクリウム、塩化ドキサクリウム、塩化ミバクリウム、臭化パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ラパクロニウム、臭化ロクロニウム、塩化スクシニルコリン、塩化ツボクラリン及び臭化ベクロニウムから選択される少なくとも1種であり得る。抗感染活性薬剤は、抗アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗ハンセン病薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウィルス剤、マクロライド系抗感染薬及び種々雑多な抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。心血管用活性薬剤は、変力剤、不整脈治療薬、抗狭心症薬、血圧降下薬、抗脂血剤及び種々雑多な心血管系治療薬から選択される少なくとも1種であり得る。中枢神経系活性薬剤は、非麻薬性鎮痛薬から選択される少なくとも1種又は解熱薬、非ステロイド性抗炎症薬、麻薬若しくは少なくとも1種のオピオイド鎮痛薬、催眠鎮静薬、抗痙攣薬、抗鬱剤、抗不安薬、抗精神病薬、中枢神経系刺激薬、抗パーキンソン病薬及び種々雑多な中枢神経系作用薬から選択される少なくとも1種であり得る。自律神経系治療薬は、コリン作動薬(副交感神経刺激薬)、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬(交換神経刺激薬)、アドレナリン遮断薬(交感神経遮断薬)、骨格筋弛緩薬、神経筋遮断薬から選択される少なくとも1種であり得る。気道用活性薬剤は、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、去痰薬又は少なくとも1種の鎮咳薬及び種々雑多な呼吸器治療薬から選択される少なくとも1種であり得る。消化管(GI)用活性薬剤は、制酸剤又は少なくとも1種の吸着剤又は少なくとも1種の抗鼓腸剤、消化酵素又は少なくとも1種の胆石溶解薬、止瀉薬、緩下剤、制吐剤及び抗潰瘍薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン性活性薬剤は、コルチコステロイド、アンドロゲン又は少なくとも1種のタンパク質同化ステロイド、エストロゲン又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、糖尿病治療薬又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモンアンタゴニスト、下垂体ホルモン及び副甲状腺様薬剤から選択される少なくとも1種であり得る。体液及び電解質バランスを改善するための活性薬剤は、利尿薬、電解質又は少なくとも1種の補充液、酸性化剤又は少なくとも1種のアルカリ化剤から選択される少なくとも1種であり得る。血液用活性薬剤は、造血剤、抗凝固薬、血液製剤、血栓溶解酵素から選択される少なくとも1種であり得る。抗悪性腫瘍薬は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗悪性腫瘍性抗生物質、ホルモンバランスを変化させる抗悪性腫瘍薬及び種々雑多な抗悪性腫瘍薬から選択される少なくとも1種であり得る。免疫調節活性薬剤は、免疫抑制剤、ワクチン又は少なくとも1種のトキソイド、抗毒素又は少なくとも1種の抗毒血清、免疫血清、生物学的応答調節剤から選択される少なくとも1種であり得る。眼用、耳用及び鼻用活性薬剤は、眼用抗感染薬、眼用抗炎症薬、縮瞳剤、散瞳薬、眼用血管収縮薬、種々雑多な眼用、耳用及び鼻用活性薬剤から選択される少なくとも1種であり得る。局所活性薬剤は、局所抗感染薬、抗疥癬薬又は少なくとも1種のシラミ撲滅薬及び局所コルチコステロイドから選択される少なくとも1種であり得る。
【0077】
抗アメーバ薬又は抗原虫薬は、アトバコン、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール及びイセチオン酸ペンタミジンから選択される少なくとも1種であり得る。駆虫活性薬剤は、メベンダゾール、パモ酸ピランテル及びチアベンダゾールから選択される少なくとも1種であり得る。抗真菌薬は、アムホテリシンB、アムホテリシンB硫酸コレステリル複合体、アムホテリシンB脂質複合体、アムホテリシンBリポソーム、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビンマイクロサイズ、グリセオフルビンウルトラマイクロサイズ、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ナイスタチン及び塩酸テルビナフィンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の抗マラリア薬は、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、ドキシサイクリン、硫酸ヒドロキシクロロキン、塩酸メフロキン、リン酸プリマキン、ピリメタミン及びピリメタミン/スルファドキシンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の抗結核薬又は抗ハンセン病薬は、クロファジミン、サイクロセリン、ダプソン、塩酸エタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファブチン、リファンピン、リファペンチン及び硫酸ストレプトマイシンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のアミノグリコシドは、硫酸アミカシン、硫酸ゲンタナイシン(gentanicin)、硫酸ネオマイシン、硫酸ストレプトマイシン及び硫酸トブラマイシンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のペニシリンは、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、アモキシシリン三水和物、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アンピシリン三水和物(tribydrate)、アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム、クロキサシリンナトリウム、ジクロキサシリンナトリウム、メズロシリンナトリウム、ナフシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンGナトリウム及びペニシリンVカリウムから選択される少なくとも1種であり得る。セファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフィロキシムアキセチル(ceffiroxime axetil?)、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン及びロラカルベフの少なくとも1種から選択される少なくとも1種であり得る。テトラサイクリンは、塩酸デメクロサイクリン、ドキシサイクリンカルシウム、ドキシサイクリンヒクラート、塩酸ドキシサイクリン、ドキシサイクリン一水和物(monobydrate)、塩酸ミノサイクリン及び塩酸テトラサイクリンから選択される少なくとも1種であり得る。スルホンアミドは、コトリモキサゾール、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール及びスロソキサゾールアセチル(sulosoxazole acetyl)から選択される少なくとも1種であり得る。フルオロキノロンは、メシル酸アラトロフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン及びメシル酸トロバフロキサシンから選択される少なくとも1種であり得る。フルオロキノロンは、メシル酸アラトロフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン及びメシル酸トロバフロキサシンから選択される少なくとも1種であり得る。抗ウィルス活性薬剤は、硫酸アバカビル、アシクロビルナトリウム、塩酸アマンタジン、アンプレナビル、シドホビル、メシル酸デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ファムシクロビル、ホミビルセンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、硫酸インジナビル、ラミブジン、ラミボジン/ジドボジン(lamivodine/zidovodine)、メシル酸ネルフィナビル、ネビラピン、リン酸オセルタミビル、リバビリン、塩酸リマンタジン、リトナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、スタボジン(stavodine)、塩酸バラシクロビル、ザルシタビン、ザナミビル及びジドブジンから選択される少なくとも1種であり得る。
【0078】
マクロライン(macroline)抗感染活性薬剤は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン塩基、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン及びステアリン酸エリスロマイシンから選択される少なくとも1種であり得る。抗感染活性薬剤は、アズトレオナム、バシトラシン、コハク酸(sucinate)クロラムフェニコールナトリウム、塩酸クリンダマイシン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、イミペネム及びシラスタチンナトリウム、メロペネム、ニトロフラントイン巨大結晶、ニトロフラントイン微結晶、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、塩酸スペクチノマイシン、トリメトプリム並びに塩酸バンコマイシンから選択される少なくとも1種でもあり得る。変力活性薬剤は、乳酸アムリノン、ジゴキシン及び乳酸ミルリノンから選択される少なくとも1種であり得る。不整脈治療用活性薬剤は、アデノシン、塩酸アミオダロン、硫酸アトロピン、ブレチリウムトシラート、塩酸ジルチアゼム、ジソピラミド、リン酸ジソピラミド、塩酸エスモロール、酢酸フレカイニド、フマル酸イブチリド、塩酸リドカイン、塩酸メキシレチン、塩酸モリシジン、フェニトイン、フェニトインナトリウム、塩酸プロカインアミド、塩酸プロパフェノン、塩酸プロプラノロール、重硫酸キニジン、グルコン酸キニジン、ポリガラクツロン酸キニジン、硫酸キニジン、ソタロール、塩酸トカイニド及び塩酸ベラパミルから選択される少なくとも1種であり得る。
【0079】
抗狭心症活性薬剤は、ベシル酸アムロジピジン(amlodipidine besylate)、亜硝酸アミル、塩酸ベプリジル、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、ナドロール、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニトログリセリン、塩酸プロプラノロール、ベラパミル及び塩酸ベラパミルから選択される少なくとも1種であり得る。血圧降下活性薬剤は、塩酸アセブトロール、ベシル酸アムロジピン、アテノロール、塩酸ベナゼプリル、塩酸ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、カンデサルタンシレキセチル、カプトプリル、塩酸カルテオロール、カルベジロール、クロニジン、塩酸クロニジン、ジアゾキシド、塩酸ジルチアゼム、メシル酸ドキサゾシン、エナラプリラート、マレイン酸エナラプリル、メシル酸エプロサルタン、フェロジピン、メシル酸フェノルドパム、ホシノプリルナトリウム、酢酸グアナベンズ、硫酸グアナドレル、塩酸グアンファシン、塩酸ヒドララジン、イルベサルタン、イスラジピン、塩酸ラベタロール、リシノプリル、ロサルタンカリウム、メチルドパ、メチルドーパート塩酸、コハク酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ミノキシジル、塩酸モエキシプリル、ナドロール、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトロプルシドナトリウム、硫酸ペンブトロール、ペリンドプリルエルブミン、メシル酸フェントラミン、ピンドロール、塩酸プラゾシン、塩酸プロプラノロール、塩酸キナプリル、ラミプリル、テルミサルタン、塩酸テラゾシン、マレイン酸チモロール、トランドラプリル、バルサルタン及び塩酸ベラパミルから選択される少なくとも1種であり得る。抗脂血活性薬剤は、アトルバスタチンカルシウム、セリバスタチンナトリウム、コレスチラミン、塩酸コレスチポール、フェノフィブラート(微粒子化)、フルバスタチンナトリウム、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、ナイアシン、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチンから選択される少なくとも1種であり得る。心血管用活性薬剤は、アブシキシマブ、アルプロスタジル、塩酸アルブタミン、シロスタゾール、二硫酸クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、塩酸ミドドリン、ペントキシフィリン、塩酸チクロピジン及び塩酸チロフィバンから選択される少なくとも1種であり得る。抗ヒスタミン活性薬剤は、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸セチリジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンリドラミン(diphenLydramine)、塩酸フェキソフェナジン、ロラタジン、塩酸プロメタジン、テオクル酸プロメタジン及び塩酸トリプロリジンから選択される少なくとも1種であり得る。
【0080】
気管支拡張剤は、アルブテロール、硫酸アルブテロール、アミノフィリン、硫酸アトロピン、硫酸エフェドリン、エピネフリン、酒石酸水素エピネフリン、塩酸エピネフリン、臭化イプラトロピウム、イソプロテレノール、塩酸イソプロテレノール、硫酸イソプロテレノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、オクストリフィリン、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸テルブタリン及びテオフィリンから選択される少なくとも1種であり得る。去痰薬又は鎮咳薬は、ベンゾナテート、リン酸コデイン、硫酸コデイン、臭化水素酸デキストラメトルファン(dextramethorphan)、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイフェネシン及び塩酸ヒドロモルホンから選択される少なくとも1種であり得る。呼吸器用活性薬剤は、アセチルシステイン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベラクタント(beractant)、ブデソニド、カルファクタント(calfantant)、クロモリンナトリウム、ドルナーゼアルファ、エポプロステノールナトリウム、フルニソリド、パリビズマブ、トリアムシノロンアセトニド、ザフィルルカスト及びジロートンから選択される少なくとも1種であり得る。制酸剤、吸着剤及び抗鼓腸剤は、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マガルドレート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、シメチコン及び炭酸水素ナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。消化酵素又は胆石溶解活性薬剤は、パンクレアチン、パンクレリパーゼ及びウルソジオールから選択される少なくとも1種であり得る。止瀉活性薬剤は、アタパルジャイト、次サリチル酸ビスマス、カルシウムポリカルボフィル、塩酸ジフェノキシラート又は硫酸アトロピン、ロペラミド、酢酸オクトレオチド、アヘンチンキ及びアヘンチンキ(樟脳入り)から選択される少なくとも1種であり得る。緩下活性薬剤は、ビソコジル(bisocodyl)、カルシウムポリカルボフィル、カスカラサグラダ、カスカラサグラダ芳香流エキス、カスカラサグラダ流エキス、ヒマシ油、ドキュセートカルシウム、ドキュセートナトリウム、グリセリン、ラクツロース、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メチルセルロース、鉱物油、ポリエチレングリコール又は電解質溶液、アメリカオオバコ、センナ及びリン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。制吐活性薬剤は、塩酸クロルプロマジン、ジメンヒドリナート、メシル酸ドラセトロン、ドロナビロール、塩酸グラニセトロン、塩酸メクリジン、塩酸メトクロプロアミド(metocloproamide)、塩酸オンダンセトロン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、エジシル酸プロクロルペラジン、マレイン酸プロクロルペラジン、塩酸プロメタジン、スコポラミン、マレイン酸チエチルペラジン及び塩酸トリメトベンズアミドから選択される少なくとも1種であり得る。抗潰瘍活性薬剤は、シメチジン、塩酸シメチジン、ファモチジン、ランソプラゾール、ミソプロストール、ニザチジン、オメプラゾール、ラベプロゾールナトリウム(rabeprozole)、ランチジンクエン酸ビスマス(rantidine)、塩酸ラニチジン及びスクラルファートから選択される少なくとも1種であり得る。
【0081】
コルチコステロイド(coricosteroid)活性薬剤は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。
【0082】
アンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン及びテストステロン経皮システムの少なくとも1種であり得る。エストロゲン又はプロゲスチンは、エステル化エストロゲン、エストラジオール、シピオン酸エストラジオール、エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン経皮システム、吉草酸エストラジオール、エストロゲン(共役)、エストロピペート、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール及びデソゲストレル、エチニルエストラジオール及び二酢酸エチノジオール、エチニルエストラジオール及びデソゲストレル、エチニルエストラジオール及び二酢酸エチノジオール、エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル、エチニルエストラジオール及びノルエチンドロン、エチニルエストラジオール及び酢酸ノルエチンドロン、エチニルエストラジオール及びノルゲスチメート、エチニルエストラジオール及びノルゲストレル、エチニルエストラジオール及びノルエチンドロン及びアセテート及びフマル酸第一鉄、レボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール及びノルエチンドロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲストレル並びにプロゲステロンから選択される少なくとも1種であり得る。ゴナドロプトロピン活性薬剤(gonadroptropin)は、酢酸ガニレリクス、酢酸ゴナドレリン、酢酸ヒストレリン及びメノトロピンから選択される少なくとも1種であり得る。糖尿病治療用活性薬剤は、アカルボース、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グルカゴン、グリブリド、インスリン、塩酸メトホルミン、ミグリトール、塩酸ピオグリタゾン、レパグリニド、マレイン酸ロシグリタゾン及びトログリタゾンから選択される少なくとも1種であり得る。甲状腺ホルモン活性薬剤は、レボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウム、リオトリックス及び甲状腺剤から選択される少なくとも1種であり得る。甲状腺ホルモンアンタゴニスト活性薬剤は、メチマゾール、ヨウ化カリウム、ヨウ化カリウム(飽和溶液)、プロピルチオウラシル、放射性ヨード(ヨウ化ナトリウム)及び強ヨード溶液から選択される少なくとも1種であり得る。下垂体ホルモン活性薬剤は、コルチコトロピン、コシントロピン、酢酸デスモフレシン(desmophressin)、酢酸リュープロリド、持続性コルチコトロピン、ソマトレム、ソマトロピン及びバソプレシンから選択される少なくとも1種であり得る。副甲状腺様活性薬剤は、カルシフェジオール、カルシトニン(ヒト)、カルシトニン(サケ)、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール及びエチドロン酸二ナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。利尿薬は、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム、塩酸アミロライド、ブメタニド、クロルタリドン、エタクリン酸ナトリウム、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、マンニトール、メトラゾン、スピロノラクトン、トルセミド、トリアムテレン及び尿素から選択される少なくとも1種であり得る。電解質又は補充液活性薬剤は、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、リン酸カルシウム(三塩基性)、デキストラン(高分子量)、デキストラン(低分子量)、ヘタスターチ、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、リンゲル液、リンゲル液(乳酸化)及び塩化ナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。
【0083】
造血活性薬剤は、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄(乾燥)、鉄デキストラン、鉄ソルビトール、多糖類/鉄錯体、ナトリウム/グルコン酸第二鉄錯体から選択される少なくとも1種であり得る。抗凝固活性薬剤は、アルデパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、エノキサパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンナトリウム及びワルファリンナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。ある血液製剤は、アルブミン5%、アルブミン25%、抗血友病因子、抗阻害剤凝固剤複合体、アンチトロンビンm(ヒト)、第IX因子(ヒト)、第IX因子複合体及び血漿タンパク質分画から選択される少なくとも1種であり得る。血栓溶解酵素活性薬剤は、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ(遺伝子組換え)、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼから選択され得る。アルキル化活性薬剤は、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ロムスチン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、塩酸メルファラン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、チオテパから選択される少なくとも1種であり得る。代謝拮抗剤は、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、チオグアニンから選択され得る。抗悪性腫瘍性抗生物質は、硫酸ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、塩酸エピルビシン、塩酸イダウビシン(idaubicin)、マイトマイシン、ペントスタチン、プリカマイシン及びバルルビシンから選択され得る。抗悪性腫瘍薬は、アナストロゾール、ビカルタミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、エキセメスタン、フルタミド、酢酸ゴセレリン、レトロゾール、酢酸リュープロリド、酢酸メゲストロール、ニルタミド、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、クエン酸トレミフェン、アスパラギナーゼ、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ダカルバジン、ドセタキセル、エトポシド、リン酸エトポシド、塩酸ゲムシタビン、塩酸イリノテカン、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ポルフィマーナトリウム、塩酸プロカルバジン、リツキシマブ、テニポシド、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン及び酒石酸ビノレルビンから選択され得る。免疫抑制活性薬剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ−CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。ワクチン又はトソイド(tosoid)活性薬剤は、BCGワクチン、コレラワクチン、ジフテリア及び破傷風トキソイド(吸着)、ジフテリア及び破傷風トキソイド及び無細胞百日咳ワクチン(吸着)、ジフテリア及び破傷風トキソイド及び全菌体百日咳ワクチン、ヘモフィリウス(haemophilius)b結合ワクチン、A型肝炎ワクチン(不活性化)、B型肝炎ワクチン(遺伝子組換え)、インフルエンザウィルスワクチン1999−2000三価A型、B型(精製表面抗原)、インフルエンザウィルスワクチン1999−2000三価A型、B型(サブビリオン又は精製サブビリオン)、インフルエンザウィルスワクチン1999−2000三価A型、B型(全ビリオン)、日本脳炎ウィルスワクチン(不活性化)、インフルエンザH1N1ワクチン、ライム病ワクチン(遺伝子組換えOspA)、麻疹及びおたふく風邪及び風疹ウィルスワクチン(生ワクチン)、麻疹及びおたふく風邪及び風疹ウィルスワクチン(弱毒生ワクチン)、麻疹ウィルスワクチン(弱毒生ワクチン)、髄膜炎菌多糖体ワクチン、おたふく風邪ウィルスワクチン(生ワクチン)、ペストワクチン、肺炎球菌ワクチン(多価)、ポリオウィルスワクチン(不活性化)、ポリオウィルスワクチン(生ワクチン、経口、三価)、狂犬病ワクチン(吸着)、狂犬病ワクチン(ヒト二倍体細胞)、風疹及びおたふく風邪ウィルスワクチン(生ワクチン)、風疹ウィルスワクチン(弱毒生ワクチン)、破傷風トキソイド(吸着)、破傷風トキソイド(液体)、腸チフスワクチン(経口)、腸チフスワクチン(非経口)、腸チフスVi多糖体ワクチン、水痘ウィルスワクチン並びに黄熱ウィルスワクチンから選択される少なくとも1種であり得る。抗毒素又は抗毒血清(又は抗ヘビ毒素)活性薬剤は、クロゴケグモ抗毒血清、ガラガラヘビ科抗ヘビ毒素(多価)、ジフテリア抗毒素(ウマ)及びサンゴヘビ抗毒血清から選択される少なくとも1種であり得る。免疫血清活性薬剤は、サイトメガロウイルス免疫グロブリン、B型肝炎免疫グロブリン(ヒト)、免疫グロブリン(筋肉内)、免疫グロブリン(静脈内)、狂犬病免疫グロブリン(ヒト)、RSウイルス免疫グロブリン(静脈内、ヒト)、Rho(D)免疫グロブリン(ヒト)、Rho(D)免疫グロブリン(静脈内、ヒト)、破傷風免疫グロブリン(ヒト)及び水痘/帯状疱疹免疫グロブリンから選択される少なくとも1種であり得る。生物学的応答調節剤は、アルデスロイキン、エポエチンアルファ、フィルグラスチム、注射用酢酸グラチラマー、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ−2a(遺伝子組換え)、インターフェロンアルファ−2b(遺伝子組換え)、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b(遺伝子組換え)、インターフェロンガンマ−1b、塩酸レバミソール、オプレルベキン及びサルグラモスチムから選択される1種であり得る。眼用抗感染薬は、バシトラシン、クロラムフェニコール、塩酸シプロフロキサシン、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、オフロキサシン0.3%、硫酸ポリミキシンB、スルファセタミドナトリウム10%、スルファセタミドナトリウム15%、スルファセタミドナトリウム30%、トブラマイシン、ビダラビンから選択され得る。眼用抗炎症活性薬剤は、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム0.1%、フルオロメトロン、フルルビプロフェンナトリウム、ケトロラクトロメタミン、酢酸プレドニゾロン及びリン酸プレドニゾロンナトリウムから選択される少なくとも1種であり得る。
【0084】
縮瞳剤は、塩化アセチルコリン、カルバコール(眼内)、カルバコール(局所)、ヨウ化エコチオファート、ピロカルピン、塩酸ピロカルピン及び硝酸ピロカルピンから選択される少なくとも1種であり得る。散瞳活性薬剤は、硫酸アトロピン、塩酸シクロペントラート、塩酸エピネフリン、エピネフリルボラート、臭化水素酸ホマトロピン、塩酸フェニレフリン、臭化水素酸スコポラミン及びトロピカミドから選択される少なくとも1種であり得る。眼用血管収縮薬は、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン及び塩酸テトラヒドロゾリンから選択される少なくとも1種であり得る。眼用治療薬は、塩酸アプラクロニジン、塩酸ベタキソロール、酒石酸ブリモニジン、塩酸カルテオロール、塩酸ジピベフリン、塩酸ドルゾラミド、エメダスチンジフマラート、フルオレセインナトリウム、フマル酸ケトチフェン、ラタノプロスト、塩酸レボブノロール、塩酸メチプラノロール、塩化ナトリウム(高張性)及びマレイン酸チモロールから選択される少なくとも1種であり得る。耳用活性薬剤は、ホウ酸、過酸化カルバミド、クロラムフェニコール及びトリエタノールアミンオレイン酸ポリペプチド縮合体から選択される少なくとも1種であり得る。鼻用活性薬剤は、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、硫酸エフェドリン、塩酸エピネフリン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラビドロゾリン(tetrabydrozoline)、トリアムシノロンアセトニド及び塩酸キシロメタゾリンから選択される少なくとも1種であり得る。抗感染薬は、アシクロビル、アムホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、ネオマイシンスルファート、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール及びトルナフタートから選択される少なくとも1種であり得る。抗疥癬又はシラミ駆除活性薬剤は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン及びピレトリンから選択される少なくとも1種であり得る。コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、ジアセテート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシオニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコリゾンバレラート(hydrocorisone)、フロ酸モメタゾン及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。その他の追加の活性薬剤又はその他の種類の活性薬剤には、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト(例えば、TNF化学的又はタンパク質アンタゴニスト、TNFモノクローナル又はポリクローナル抗体又はフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、p85)又はフラグメント、これらの融合ポリペプチド、低分子TNFアンタゴニスト、例えばTNF結合タンパク質I又はII(TBP−I、TBP−II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エンテラセプト(enteracept)、CDP−571、25CDP−870、アフェリモマブ、レネルセプト等。ただしこれらに限定されない)が含まれる。活性薬剤は更に、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン(sulfasalzine)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔剤、鎮静薬、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウィルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルロルキノロン(flurorquinolone)、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク質同化ステロイド、糖尿病関連治療薬、鉱物、栄養剤、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗潰瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロピエイチン(erythropieitin)(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポジェン)、サルグラモスチム(GM35CSF、リューカイン)、免疫処置、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレータ、散瞳薬、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、核分裂阻止因子、放射性医薬品、抗鬱剤、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン(tacrrne)、喘息治療薬、β作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン又は類似体、ドルナーゼアルファ、サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストを含み得る。このようなサイトカインの非限定的な例には、IL−1〜IL−23を含むインターロイキンのいずれもが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
成分Eの量は、約0.01〜約1000mgにわたり得る。1つの製剤中の成分Eの具体的な用量には、約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975及び約1000mgが含まれ得るが、これらに限定されない。成分Eは、組成物の総質量の約0.01〜95%、例えば組成物全体の質量で約0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は約95%を構成し得るが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書に記載の送達システムの製剤は、いずれの適切な形状、サイズ又は形態にもなり得る。このシステムの製剤の製剤方法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A.Gennaro,ed.,20th edition,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,Pa)等の標準的な参考文献(参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。一般に、治療用製剤は、約0.01g未満〜約100gを超える量、好ましくは約0.01〜約10g、より好ましくは約0.01g〜約1gにわたり得る。
【0087】
本明細書に記載の製剤は、錠剤(徐放、放出制御、速溶、多層、2層等)、丸薬、カプセル、マイクロカプセル、カプレット、フィルム、パッチ、局所用剤、ローション、ゲル、モイスチャライジングクリーム、日焼け止め、アフターサンクリーム、アンチエイジングクリーム、軟膏、液体、粉末、シロップ、エリキシル、座薬、潅注浴、ペッサリー、懸濁液、溶液、リポソーム、ミセル、ミクロ粒子、ナノ粒子、エアロゾル、吸入剤、インプラント又は当該分野で公知のその他の適切な製剤の形態であり得る。これらの形態の追加の例には、カシェ剤、棒つき飴、ドロップ若しくはロゼンジ、スプレー、ヒドロゲル、クリーム、皮膚軟化薬、オブラート、肛門坐剤、局所塗布剤、鼻腔内エアロゾル又は乾燥粉末が含まれ得る。
【0088】
これらの形態は、独立型として又は別個の医療器具若しくは保護生体膜若しくはデバイスに挿入して使用され得て、例には角皮又は爪用塗布剤、エクスフォリエント、創傷清拭剤、ケミカルピーリング剤、光沢剤を含む化粧品、コンドーム(男性/女性)、子宮内器具(IUD)、ペッサリーが含まれ得る)。既存の生体保護バリアへの添加剤としては、その例には、手術用手袋、手術着、生物学的環境又は哺乳動物の膜と接触すると、活性化のための安定した複合体を形成する凍結乾燥粉末又は加水分解性ゲルとしての創傷保護剤又は調合剤、手術創部保護材、腹腔内(inter-abdominal)デバイス又は膜、耳用デバイス、術前/術後用デバイス、血液と事前又は事後接触する機械の血液ろ過デバイス又はフォア(phore)、人工呼吸器、植込み型ポンプ、ガーゼ、溶出プラスチック(eluding plastics)、錠剤又はフィルム、拒絶反応抑制デバイス、植込み型又はその他のデバイス、超音波及び空気圧式デバイスが含まれ得る。
【0089】
本明細書に記載の製剤はいずれの適切なやり方でも投与し得て、経口、舌下、頬側、経鼻、膣内、直腸内及び/又は経皮投与が含まれるが、これらに限定されない。製剤は、皮膚、体腔若しくは身体の開口部又はいずれの粘膜を介しても投与され得る。好ましくは、製剤は、粘膜を介して投与される。
【0090】
一般に、層は、最終的な製剤が約0.03〜約2.5cm(約0.01〜約1インチ)の高さ、幅又は長さとなるように設計され得る。別の例において、層は、最終的な製剤が約0.08〜約1.3cm(約0.025〜約0.5インチ)の高さ、幅又は長さとなるように設計され得る。最終的な製剤は、約0.03〜約2.5cm(約0.01〜約1.0インチ)の単一の高さ、幅又は長さになり得る。あるいは、輪郭制御により約0.03〜約2.5cm(約0.01〜約1インチ)の異なる高さ、幅又は長さを有し得る。製剤を、対象とする患者に合わせて設計することが好ましい。したがって、製剤は、ヒト又は獣医科用途に合わせて調節され得る。
【0091】
本明細書に記載の送達システムの製剤は、いずれの適切な方法論を利用しても製造され得る。例えば、製剤は、湿式又は乾式打錠手順を経て形成され得る。本明細書に記載のシステムは、当該分野で周知の方法によって製剤及び投与され得る(Remington: The Science and Practice of Pharmacyを参照のこと)。
【0092】
有利には、本明細書に記載の製剤を、治療薬が即時放出されるように設計し得る。「即時放出(immediate release)」とは、投与時に活性薬剤が放出されることである。このため、活性薬剤の放出は、患者との接触の瞬間に起き得る。あるいは、本明細書に記載の製剤を、当業者なら理解できるように、活性薬剤の放出を遅延させるように設計し得る。このような徐放及び/又は時効性製剤は、当業者に周知の送達デバイスの徐放手段によって形成され得て、例えば米国特許第3845770号、第3916899号、第3536809号、第3598123号、第4008719号、第4710384号、第5674533号、第5059595号、第5591767号、第5120548号、第5073543号、第5639476号、第5354556号、第5733566号及び第7714170号明細書に記載されるようなものであり、これらの文献の開示は参照により本明細書にそれぞれ組み込まれる。これらの医薬組成物を、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリクス、ゲル、透性膜、浸透圧系、多層コーティング、ミクロ粒子、リポソーム、ミクロスフィア等を使用した活性化合物の1種以上の緩慢な放出、すなわち徐放に使用し得る。本明細書に記載のものを含めた当業者に公知の適切な徐放製剤を、本発明の医薬組成物での使用のために容易に選択し得る。したがって、活性薬剤の放出は、患者と接触した瞬間からある時間が過ぎてから起き得る。加えて、製剤は、遅延放出及び即時放出との組み合わせを含み得る。
【0093】
一部の製剤においては、製剤全体が溶解するため、患者による除去を必要としない。代替の実施形態において、製剤は完全に溶解しない。一部の実施形態においては、製剤の約2〜約100%が溶解し得る。好ましい実施形態においては、製剤の約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%が溶解し得る。実施形態において、製剤は不溶性の中心部を含み得る。不溶性の中心部は、活性薬剤が正しく放出されたか否かを患者が確認する助けとなり得る。あるいは、固形物を噛み砕くことの防止に役立つ。この不溶性中心部が、不活性な、生物学的に活性ではない材料から実質的に構成されることが好ましい。
【0094】
有利には、本明細書に記載の製剤を、正しい及び/又は効果的な投与に役立つような形状にし得る。上述したように、患者は、一部の従来の非侵襲性製剤を正しく投与できないことが多い。例えば、舌下吸収では製剤を噛み砕いて飲み込まないことを患者がわからずに、舌下製剤を舌下で溶解させて吸収させる代わりに単に噛み砕いて飲み込んでしまうことがある。
【0095】
図1〜6に示されるように、本明細書に記載の製剤を、視覚認識可能な形状又は形態、例えば馬蹄、ブーメラン又は患者の歯の後ろにフィットする若しくは歯の後ろに置くことを示唆しさえするその他の形状に成形し得る。好ましくは、製剤のデザインは、固体又はゲルマトリックスの口内への容易な挿入を可能にし、また製剤が口内に正しく置かれたか否かを患者が確認できるようなものである。好ましい形態は、製剤がその意図された吸収領域から簡単にずれるのを防止することができ、これによって送達システムは意図した治療効果を患者にもたらすことができるようになる。
【0096】
例えば、図1は、ブーメラン型製剤100の例を図示したものである。この形状は、製剤を舌下に挿入するためのものであり、形状それ自体が、この医薬製剤をどこに置くべきかを示唆している。製剤のサイズを調節することによって、製剤を最小又は最大の口に挿入できる。一部の実施形態において、送達システムは、患者に合わせて個別にカスタマイズされ得る。
【0097】
図2は、図1の製剤100の例示的な形状を更に図示したものである。ブーメランに近いこの形状それ自体が、患者に、製剤を正しく挿入するように促す。製剤100は、裏側の凹面部130と表側の凸面部120とを有し得て、これらの面が、錠剤を舌下の「正しい位置」に維持するのに役立つ。舌下の凹面部130は、敏感な組織(例えば、舌小帯)の摩擦を防止する。切欠き部125が製剤100をこの特徴的なブーメラン形状にしており、またこの切欠き部は、舌の動きによって製剤100がずれるのを防止するための十分な翼部126、127(例えば、長さ、幅及び/又は高さ)が得られるように特別に設計される。好ましくは、製剤100の形状は、製剤100の噛み砕き又は飲み込みを防止する又はその傾向を軽減する。
【0098】
図3及び図4は、楕円、実質的に円形又は円形の製剤100の例を図示したものである。好ましくは、この製剤は、舌下に容易にフィットするような形状及びサイズに形成される。製剤100の形状は、患者に、製剤を食べるのではなく、舌下での非侵襲性送達投与を促す。
【0099】
図4は、図3の製剤100の形状を更に図示したものである。この例において、製剤100は、凹状下面(図示せず)と、凸状上面120とを備えた楕円形の錠剤になり得る。製剤100の形状によって、好ましくは、患者は、製剤100が飲み込むべきではない舌下錠であると見分ける又は理解する。
【0100】
図5は、図1の製剤100の断面図の一例である。製剤100は、凹面130を有し得る。この凹面130が口内の舌下での負担を和らげて舌(例えば、舌小帯)の摩擦が防止される。実施形態において、製剤100の平坦、凸状又は凹状の上面が使用され得る。本例において、製剤100は凸面120を有し、この凸面で製剤を支持する。
【0101】
図6は、図3の製剤100の断面図の一例である。本例において、製剤100は平坦な上面120と平坦な下面130とを有し得る。
【0102】
図5及び6は、様々な層を有する製剤の例も図示している。好ましくは、これらの層は、製剤がその意図する作用を及ぼせるように構築される。例えば、酸性層102は、活性薬剤の受け入れのために口内の状態を整え、また固体の形態の活性成分の溶解にとって安定した環境をもたらす最初の酸性層となる。好ましくは、酸性層102は成分Fに対応する又は成分Fを含み得る。加えて、活性成分層104は好ましくは活性成分(例えば、成分E)を含み得て、またその他のアジュバント(例えば、成分A、B)も含み得る。その他のアジュバントの例には、ビタミンB12及び/又はその他の添加剤(例えば、アルギニン)が含まれる。徐溶性緩衝層106が製剤100の外側の化合物層の吸収を制御することが好ましい。徐溶性緩衝層106の溶解によって、細孔の調節を通じて吸収が、また膜に対する口内(又はその他の吸収部位)の液体と接する部位のイオン強度が制御され得る。この層は、アミノ酸、塩及び緩衝剤から構成され得る。糖及び糖アルコール層108は、例えばソルビトール、エリスリトール、マンニトール、乳糖、キシリトール、キシロース、フルクトース、グルコース及び/又は活性成分の吸収を制御及び強化し得るその他の様々な糖の1種以上を含み得る。糖及び糖アルコール層108は成分Cに対応し得る。好ましくは、pH変更層110がpH「スイープ」を行い、また上記の成分Fを含み得る。酸性から塩基性へとpHスイープを行う場合、pH変更層110は、炭酸水素ナトリウム又は炭酸(水素)カリウム又は酸性層102由来の酸を中和する性質を有するその他の塩基性化合物を含み得る。一部の実施形態において、製剤100の溶解は、口内(又はその他の吸収部位)に弱塩基性の環境をもたらす。
【0103】
図5、6に図示した製剤100は例示的なものであって、本発明を限定するとは見なされない。好ましくは、製剤の層は、いずれの層も別の層と入れ替え、交換、並べ直し及び重複させ得るように選択される。層の順序はいずれであってもよい。製剤が含む層の数はいずれにもなり得て、図5、6に図示のものより多く、少なく又は等しくなり得る。吸収並びに/又はpH及びイオン強度の制御性を高めるために、層を多種多様な異なるやり方で排除する又は重複させることが考えられる。したがって、本明細書に記載のシステムによる製剤の層は、図5、6に図示のものとは異なるやり方で配置され得る。
【0104】
上述したように、製剤の層は、いずれの順序でも設計し得る。しかしながら、層の順序が、製剤の機能に関係する場合がある。例えば、製剤が塩基感受性活性成分を含む場合、酸性層が製剤の外側にきて、塩基性成分が製剤の中心に向かって配置されるようにpHスイープを行うのが有利である。このような設計は、図5、6で開示の製剤によって例示される。
【0105】
例えば、製剤が酸感受性活性成分を含む場合、塩基性層が製剤の外側にきて、酸性成分が製剤の中心に向かって配置されるようにpHスイープを行うのが有利である。このような設計は、図5、6で開示の製剤とは逆になる。
【0106】
製剤の層は固体、半固体、ゲル又は液体層であり得る。製剤は、単一の状態の層を含み得る(例えば、全ての層が固体層である。あるいは全ての層がゲル層である)。物理的な状態は、製剤の機能に関係し得る。例えば、製剤がゲル層を含むことが望ましい場合がある。ゲル層は製剤の溶解を早めることによって、pHスイープを促進し得る。当業者なら理解できるように、これは活性成分が溶解のpH範囲全体に亘って安定ではない場合に有用になり得る。加えて、ゲル層は、活性成分の吸収を停止させる又は低下させる時宜を得た迅速なpH変化をもたらすことによって、吸収領域での錠剤の接触時間の制御を支援し得る。また、ゲル製剤は、粘着性又は生体付着性を強化することによって、製剤がずれるのを防止し得る。また、ゲル製剤は、患者にとってより触り心地がよく快適な感触を有し得る。
【0107】
送達システムの製剤は、上記の機能を果たす多種多様な異なる成分を含む。任意の活性薬剤の投与には多種多様な異なる方法があることから、この異なるタイプの投与法に対応させるために変更を加え得る。例えば、一部のタンパク質は塩基による切断に対する感受性が極めて高い。これらの変化形においては、溶解製剤を酸性から塩基性へとpHスイープすることが考えられる。したがって、製剤の外側の層は酸性成分及び「活性タンパク質」を含み得る。内側の層は逆に、酸性化合物を中和するより塩基性の成分を含み得て、製剤が溶解するにつれてタンパク質の環境をより塩基性に変化させる。
【0108】
特定の実施形態において、塩基性成分は徐溶性コーティング(例えば、ゼイン)でコーティングされ、酸性成分と完全に混合される。これによって、全ての成分が単一の錠剤として製剤される。
【0109】
別の実施形態において、一部の活性薬剤(例えば、タンパク質)は固体としての投与が困難ではあるが、別個の溶液として投与され得る。このような実施形態においては、塩基性成分を徐溶性コーティングでコーティングし、次に、活性薬剤溶液、酸性成分と混合し、このコーティング済み塩基性成分は、投与直前に液体となる。この液体は、塩基性成分が完全に溶解してpHが「スイープ」されてしまうまで投与され得る。
【0110】
更に別の実施形態において、混合物の望ましく且つ最適なpHが既知である場合、製剤は緩衝pH材料を含み得る。緩衝pH材料は例えばリン酸塩及び有機酸塩であり得て、また正しpH及び緩衝能力を製剤の投薬形態に提供する役目を果たす。緩衝pH材料は、タンパク質配位子とのイオン化された元素であり得て、これは一部の変化形においてビタミンB12及び/又はクロロフィル配位子の使用を伴う。
【0111】
その他の実施形態において、プログラムされたpH変化は、pH調節ビヒクルの酸性成分又は塩基性成分をカプセル化することによって設計され得る。酸性成分をカプセル化する又は別の方法でその溶解を緩慢にし、塩基性成分を急速に溶解させる場合、塩基性から酸性への「プログラムされた」pH変化が達成される。反対に、塩基性成分をカプセル化する又は別の方法でその溶解を緩慢にし、酸性成分を急速に溶解させる場合、酸性から塩基性への「プログラムされた」pH変化が達成され得る。
【0112】
更に、様々な追加の添加剤、アジュバント又は薬学的に許容可能な賦形剤(本明細書では集合的に「賦形剤」と称する」)を実施形態に配合し得る。任意の賦形剤には、限定するものではないが、バインダ、賦形剤、安定剤、接着剤、滑沢剤、可塑剤、崩壊剤、着色剤、増量剤、着香料、甘味料、pH調節剤、緩衝剤、吸着剤、デンプン、糖、脂肪、酸化防止剤、アミノ酸、タンパク質、カロテノイド及びこれらの誘導体又はこれらの組み合わせが含まれる。より具体的な賦形剤には、医薬品グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれるが、これらに限定されない。医薬品業界の当業者ならば、好ましくは治療効果を有しない賦形剤の使用及び選択を理解できる。
【0113】
本明細書に記載の送達システムの高い効率によって、治療用活性薬剤の用量を低下させ、また関連する毒性レベルを低下させることができる。加えて、製剤のより高い安定性によって、貯蔵寿命の短い生物学的及び化学的に不安定な分子(例えば、タンパク質)の使用が可能になる。本明細書に記載の製造及び製剤は、視覚認識の手がかりと層構造とが組み合わさることで現在知られている非侵襲性送達システムの問題点を解決するものである。
【実施例】
【0114】
実施例1.0
クエン酸シルデナフィル製剤は、著しく向上した作用発現を可能にすることによって、市販のクエン酸シルデナフィル製剤より急速な応答をもたらす。本発明のクエン酸シルデナフィル/ブレメラノチド(bremelanotide)組み合わせ製剤は、慣用のブレメラノチド又はクエン酸シルデナフィルの臨床試験で報告されたものと同様の有効性を示すと判明しているが、その毒性はより低く、また作用発現はより迅速である。
【0115】
実施例1.1
例示的な製剤は、1.00gの粉末クエン酸シルデナフィル(120メッシュ)、0.300gのクエン酸、0.20gのカリウムビタルトレート(potassium bitartarate)、150mgのブレメラノチド(120メッシュ)及び50mgのビタミンB12(120メッシュ又はそれより細かいもの)を含み、1.00gのスクロース(120メッシュ)及び50mgのステアリン酸を100mLプラスチックビーカーに加える。乾燥粉末を完全に混合した後、粉末混合物を50個の錠剤に軽くプレスし得る。錠剤は、錠剤の製造において当業者に公知であるように、破損させることなく取り扱えるように十分にプレスされる。これらの錠剤に、錠剤の表面を半分覆うに十分なソルビトール(120メッシュ)の薄層を加える。各錠剤を次に、1.5gのフルクトース(120メッシュ又はそれより細かいもの)、750mgの炭酸水素ナトリウム(120メッシュ)及び25mgのステアリン酸マグネシウムの、等しく比例する量の混合物でプレスすることによって、錠剤を「2層」にする。次に、この錠剤の塩基性部を、錠剤の酸性部分より数秒長く溶解に時間がかかる保護コーティング層でコーティングする。錠剤の塩基性部上にゼイン(100mLの95%エタノール中に3g)を浸漬被覆する。
【0116】
次に、各錠剤を患者に、舌下(舌の下)薬として投与して、舌下薬を舌の下での最低滞留時間を30秒として1秒から3分かけて口内で溶解させる。
【0117】
錠剤は、
成分A:ビタミンB12(50mg)(これはコバルト金属イオン上のタンパク質配位子である)
成分B:なし
成分C:ブレメラノチド(150mg)(ビタミンB12と相互作用する活性成分タンパク質)
成分D:カリウムビタルトレート(0.20g)(クエン酸と共に開始時pH点をもたらす)
成分E:粉末クエン酸シルデナフィル(任意)(1.00g)及びブレメラノチド(150mg)及び
成分F:クエン酸(0.300g)及び炭酸水素ナトリウム(ゼインで封入)(750mg)
を含む。
【0118】
ソルビトールを添加して酸性成分と塩基性成分とを分離する。ゼインコーティングは、錠剤の酸性サイドを最初に溶解させて、次に錠剤の塩基性サイドを溶解させて「pH範囲をスイープ」するために存在する。
【0119】
実施例2
エタネルセプト製剤は、200kDを超える分子の膜を超えての非侵襲的な吸収を可能にする。
【0120】
乾燥エタネルセプト粉末に、エタネルセプトのモル量に等しいモル量のビタミンB12(メチルコアルミン)(methylcoalmine)、エタネルセプトのモル量に等しいモル量のビタミンB12(アデノシルコルバラミン(adenosil colbalamine))、エタネルセプトのモル量の1〜10倍の量のソルビトールでコーティングされたNaHCO3(PDS−01−19製剤)、エタネルセプトの0.25モル当量の量のクロロフィリン、エタネルセプトの0.5モル当量の量のL−アルギニン粉末、エタネルセプトの2.0モル当量の量のMSM、エタネルセプトの2.0モル当量の量のソルビトール、エタネルセプトの0.5モル当量の量のキシリトール、エタネルセプトの2.0モル当量の量のキシロース及び希釈されると混合物の総イオン強度を健康な人間のイオン強度とほぼ同じにする量の塩化ナトリウムを添加する。量は、処方箋の投与方法に応じて異なる。
【0121】
次に、乾燥混合物を使用して先行の実施例に記載されるように錠剤を形成する。あるいは、乾燥混合物を、舌下薬として又は他の項に記載されているような局所皮膚吸収製剤としての使用のために、細かく粉砕した粉末として口内又は粘膜領域に直接投与し得る。
【0122】
エタネルセプトの場合、約8.0にpHを調節することによって、膜輸送速度は実質的に上昇した。より低いpH値では、吸収速度は、少なくとも5倍、劇的に低下した。
【0123】
エタネルセプトの輸送のために製剤中で使用した様々な補因子のそれぞれを排除しても、薬剤の輸送には役立たなかった。実際、殆どの試験において、エタネルセプトの輸送に若干〜かなりの低下が認められた。
【0124】
実施例3
動物又はヒトでの試験に先立って、多種多様な活性薬剤を含む一部の製剤をインビトロで試験することによって薬剤送達の有効性を測定した。一般に、インビトロの実験においては、活性薬剤又は対照を含有する製剤を高出力液体クロマトグラフィの直径17mmのバイアルに入れる。ブタ又はヒツジの腸管膜の平坦な切片をバイアルの開いた口に載せる。次に、(約)7mmの孔を有するねじ蓋をバイアルの口に取り付けて閉めることによって、膜をバイアルに固定する。バイアルを反転させて等張液(例えば、生理食塩水)に浸漬する。次に、製剤の拡散を進行させる。等張液をマグネチックスターラで撹拌し得る。設定した時間間隔で(例えば、5、10、30、60、90、180、600秒)、ピペットを使用して生理食塩水の試料採取を行う。
【0125】
その他の膜も使用し得て、これには一般に流通している調理用の天然のソーセージの皮又は培養したヒトの膜(例えば、MatTek Corporation(Ashland,MA)製の膜)が含まれる。対照試料は、いかなるアジュバントも加えていない希釈された活性薬剤である。試料はビタミンB12及びアルギニンを含有し得る。製剤のpHは必要に応じて調節され得る。エタネルセプトの輸送はpH8で起きた。
【0126】
実施例4
以下の化合物をインビトロ試験で分析した。また、溶液のpHを、炭酸水素ナトリウム(固体)又はクエン酸を使用して下記の値に調節することによって、望ましい試験pH溶液を調製した。実施例3に記載の手順に従って、溶液を試験膜に導入した。以下のpH範囲は、膜を超えての急速な拡散をもたらすと判明した。全てのケースにおいて、非侵襲性送達製剤を排除すると、同じ試験時間で膜を超えての拡散は殆どなかった。
【0127】
【表1】

【0128】
実施例5
多種多様な活性薬剤を含む製剤をインビボでも試験した。300ml体積/400gの動物用製剤をラット(スプレーグ・ドーリーラット)に舌下投与した(頸静脈カテーテルはCharles River Laboratoriesから購入した)。全ラットが、275〜300gの体重範囲内にあった。
【0129】
全製剤を投与する当日に調製した。製剤の投与に先立って、各ラットに、ケタミン:キシラジン(7:1、60mg/kg、IM)で麻酔をかけ、薬剤が気管又は食道に流れ込まないように頭及び肩が一直線になるように位置決めした(仰臥位)。口を開けさせて口腔(舌下を含む)を乾いた綿棒でぬぐった。舌を持ち上げ、薬を舌の下の窪みに投与した(投与は全て同じ技術者によって行われた)。舌を通常の位置に戻し、口を閉じさせた。
【0130】
製剤に投与された具体的な量を以下の表1に示す。投与から10分後に又は投与から30秒、1分、5分及び15分を含むある時間範囲の経過後にカテーテル又は心臓穿刺によって血液を採取した。ラットの血漿中の活性薬剤の濃度(ng/mL)を、高出力液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用して計算した。効率を、(ng/mL血清中の投与された活性薬剤量)/(ng/mL文献からの血清中の活性薬剤量)として計算した。
【0131】
【表2】

【0132】
インビボでの試験結果は、投薬した製剤が著しく少ない量しか含有しないが、慣用の製剤より1回あたりにはるかに高い血清レベル濃度を示すことを表している。したがって、実験製剤を用いて投与すると、従来の投与方法で見られるものと同じ治療効果をより少ない活性薬剤で達成できる。この結果は、製造業者及び患者にとっての大きな費用節約となり、経済的に恵まれない患者層を含む市場で入手しやすくなる。
【0133】
実施例6
エピネフリン製剤は、アナフィラキシーショックを治療又は防止するための、膜を超えてのエピネフリンの非侵襲的な吸収を可能にする。
【0134】
例示的な製剤は、1.00gの粉末クエン酸シルデナフィル(120メッシュ)、0.300gのクエン酸、0.20gのカリウムビタルトレート、150mgのブレメラノチド(120メッシュ)及び50mgのビタミンB12(120メッシュ又はそれより細かいもの)を含み、1.00gのスクロース(120メッシュ)及び50mgのステアリン酸を100mLプラスチックビーカーに加える。乾燥粉末を完全に混合した後、粉末混合物を50個の錠剤に軽くプレスし得る。錠剤は、錠剤の製造において当業者に公知であるように、破損させることなく取り扱えるように十分にプレスされる。これらの錠剤に、錠剤の表面を半分覆うに十分なソルビトール(120メッシュ)の薄層を加える。各錠剤を次に、1.5gのフルクトース(120メッシュ又はそれより細かいもの)、750mgの炭酸水素ナトリウム(120メッシュ)及び25mgのステアリン酸マグネシウムの等しく比例する量の混合物でプレスすることによって、錠剤を「2層」にする。次に、この錠剤の塩基性部を、錠剤の酸性部分より数秒長く溶解に時間がかかる保護コーティング層でコーティングする。錠剤の塩基性部上にゼイン(100mLの95%エタノール中に3g)を浸漬被覆する。
【0135】
次に、各錠剤を患者に、舌下(舌の下)薬として投与して、舌下薬を舌の下での最低滞留時間を30〜90秒として1秒から3分かけて口内で溶解させる。
【0136】
錠剤は、
成分A:ビタミンB12(50mg)
成分B:塩化ナトリウム(5mg)
成分C:アルギニン(150mg)
成分D:カリウムビタルトレート(0.20g)
成分E:エピネフリン(150mg)及び
成分F:クエン酸(0.300g)及び炭酸水素ナトリウム(ゼインで封入)(750mg)
を含む。
【0137】
ソルビトールを添加して酸性成分と塩基性成分とを分離する。ゼインコーティングは、錠剤の酸性サイドを最初に溶解させて、次に錠剤の塩基性サイドを溶解させて「pH範囲をスイープ」する。
【0138】
本発明が本明細書で図示又は説明した構成そのものには限定されないことを理解されたい。したがって、本明細書に記載の開示に基づいて又は慣例の実験によって当業者が容易に思い至る全ての目的に応じた変更が、添付の請求項によって定義される本発明の精神及び範囲内に含まれると考えられる。
【0139】
実施例7
本発明の送達システムは、多くの異なる活性成分と共に使用し得る。任意のアジュバントの使用を、成分に錯化した活性薬剤が膜を超えて拡散する速度を測定する1種以上の拡散試験を通じて決定し得る。所定の濃度(すなわち、濃度10%)を得るのに必要な拡散速度又は時間は、拡散した溶液の試料を採取することによって測定される。これらの測定を様々な異なるpH値について行い得る。この結果、活性薬剤の吸収にとって望ましいpHが決定され得る。
【0140】
一部の方法では、成分の量及び濃度を製剤より増やす又は減らし、例えば拡散試験を利用して試験することによって特定の活性薬剤にとって最適に狙いを定めた配合にし得る。成分の量及び希釈度を計算及び調節することによって、通常の血液(等張)のものに近いイオン強度を有する製剤を製造する。
【0141】
一部の実施形態においては、ビタミンB12、アルギニン、キシロース及びマンニトールの混合物を活性薬剤と組み合わせると特に効果的であると判明している。
【0142】
本発明に従った説明のための態様を本明細書において開示したが、当業者によって数多くの変更及びその他の実施形態が考案可能であることがわかる。本明細書に記載の態様を組み合わせ、分離し、交換し及び/又は再編成することによって別の実施形態を作り出し得る。したがって、添付の請求項は、本発明の精神及び範囲内に含まれる全てのこのような変更及び実施形態をその範囲に含むことを意図していると理解される。多くの変化形及び変更が、当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮膜を超えた吸収によって活性薬剤を送達するための非侵襲性送達システムであって、
(a)有効量の活性薬剤と、
(b)上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収を促進するための少なくとも1種のビヒクルと、
を含み、
前記ビヒクルが、
(i)イオン相互作用を通じて前記活性薬剤と可逆的に錯化する金属錯化ビヒクル及び
(ii)第1pHから第2pHへとpHを調節するpH調節ビヒクル、
から選択されることを特徴とする、非侵襲性送達システム。
【請求項2】
イオン化可能な遷移金属、イオン化された遷移金属、イオン化可能な金属含有化合物又はイオン化された金属含有化合物の少なくとも1種を含む少なくとも1種の金属錯化ビヒクルを含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項3】
イオン化可能な又はイオン化された少なくとも1種の塩を含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項4】
少なくとも1種のアミノ酸、タンパク質、糖、界面活性剤又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項5】
少なくとも1種のpH緩衝剤を含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項6】
少なくとも1種のpH調節ビヒクルを含み、前記少なくとも1種のpH調節ビヒクルが、pHを調節するための相対量で存在する酸性成分と塩基性成分とを含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項7】
前記少なくとも1種の酸性成分が、クエン酸、酢酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、エリトルビン酸、フマル酸、グルコン酸、イノシン酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、ペクチン酸、リン酸、ソルビン酸、プロピオン酸、カリウムビタルトレート、カリウムビタルトレート、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸塩、ホウ砂塩、3−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、ジメチルアルシン酸、有機スルホン酸誘導体、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、アミノ酸又はこれらのいずれの組み合わせである、請求項6に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項8】
前記少なくとも1種の塩基性成分が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酒石英、有機アミン、金属塩カーボネート、クロロフィル、脱金属クロロフィル、酒石酸二カリウム、有機アミン、ピリジン、ピリミジン、ピラダジン、キナゾリン、キノキサリン、キナゾリン、プリン、窒素含有有機塩基又はこれらのいずれの組み合わせである、請求項6に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項9】
前記少なくとも1種の金属錯化ビヒクルが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム又はルテチウムの少なくとも1種を含む金属成分を含む、請求項2に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項10】
前記金属が、コバルトである、請求項9に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項11】
錠剤、パッチ又はローションの形態である、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項12】
舌下、皮膚への局所、膣内又は直腸内投与が可能である、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項13】
ブーメラン型多層製剤を有し、第1層が金属成分を有する金属錯化層であり、第2層が第1副層と第2副層とを有するpH調節層であり、前記第1副層が酸性成分であり、前記第2副層が塩基性成分である、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項14】
前記金属錯化ビヒクル及び前記pH調節ビヒクルの両方を有する製剤を含む、請求項1に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項15】
アミノ酸を更に含み、前記アミノ酸が、アルギニンである、請求項14に記載の非侵襲性送達システム。
【請求項16】
哺乳動物の疾患又は状態を治療する方法であって、
有効量の活性薬剤と、少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は少なくとも1種のpH調節ビヒクルとを含む非侵襲性送達システムを投与することを含み、
前記少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は前記少なくとも1種のpH調節ビヒクルが、イオン相互作用を通じて前記活性薬剤と可逆的に錯化することによって、上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収が促進されることを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は前記少なくとも1種のpH調節ビヒクルが、舌下、経皮又は経粘膜投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記pH調節ビヒクルが、上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収を促進するために、前記非侵襲性送達システムのpHを第1pH値から第2pH値へと変化させる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記金属錯化ビヒクルが、イオン化可能な又はイオン化された遷移金属又は金属含有化合物の少なくとも1種を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記非侵襲性送達システムが、少なくとも1種のイオン化された塩又は容易にイオン化可能な塩を含み、前記イオン化された塩又は容易にイオン化可能な塩が、上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収を促進するために、前記非侵襲性送達システムに上皮膜のイオン強度と同様のイオン強度を付与する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
上皮膜を超えての吸収によって患者に活性薬剤を送達するための非侵襲性送達システムの製造における、
(a)有効量の活性薬剤と、
(b)上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収を促進するための少なくとも1種のビヒクルであって、
(i)イオン相互作用を通じて前記活性薬剤に可逆的に錯化する金属錯化ビヒクル及び
(ii)前記非侵襲性送達システムのpHを第1pHから第2pHに調節するpH調節ビヒクル、
から選択されるビヒクルと、
の使用。
【請求項22】
前記送達システムが、前記活性薬剤の即時の、持続的な又は遅延した放出を必要とする状態の治療に使用するためのものである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記送達システムが、アナフィラキシーショック又は糖尿病の治療における使用のためのものである、請求項21又は22に記載の使用。
【請求項24】
非侵襲性送達システムであって、
有効量の活性薬剤と、
少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は少なくとも1種のpH調節ビヒクルと、
を含み、
前記少なくとも1種の金属錯化ビヒクル又は前記少なくとも1種のpH調節ビヒクルが、イオン相互作用を通じて前記活性薬剤に可逆的に錯化することによって、上皮膜を超えての前記活性薬剤の吸収が促進され、
前記活性薬剤の即時の、持続的な又は遅延した放出を必要とする状態の治療に使用するためのものであることを特徴とする、非侵襲性送達システム。
【請求項25】
前記状態が、アナフィラキシーショック及び糖尿病から選択される、請求項24に記載の非侵襲性送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526840(P2012−526840A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510990(P2012−510990)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034606
【国際公開番号】WO2010/132605
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511274846)プロテイン デリヴァリー ソリューションズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】