説明

膵臓治療用灌流システム

【課題】抗がん剤等の薬剤を全身に廻すことなく、膵臓がん等の治療を行える閉塞灌流システムを提供すること。
【解決手段】バルーンカテーテルを用いて、膵臓に関連する動脈系と膵臓に関連する静脈系のそれぞれに、閉じた領域を設定し、静脈系の閉じた領域内の血液を体外に取り出し、抗がん剤等の薬剤を投与した後、再び体内の動脈系の閉じた領域内に灌流させるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に抗がん剤などの膵臓の治療薬を特定の領域にのみ灌流させるための灌流システムに関する。本願明細書で用いる語「灌流」とは、膵臓への主要な血流及び膵臓からの主要な血流を開塞し、それによって形成された実質的に閉じた領域内の血液を一度体外に取り出し、膵臓の治療薬、例えば抗がん剤などの薬剤を投入した後再度体内に戻すこと、あるいは上記閉じた領域内に膵臓の治療薬を直接投入することを意味する。
【背景技術】
【0002】
以下、膵臓がんの治療を例にとって、背景技術について説明する。膵臓は胃と背骨に挟まれた位置にあって、その形状は、ちょうどおたまじゃくしに似ている。おたまじゃくしの頭のような部分は膵頭部と呼ばれ、十二指腸側にある。また、尻尾のような部分は膵尾部と呼ばれ、脾臓側にある。膵臓はインシュリンなどの重要なホルモンを分泌するほか、消化液である膵液をつくり出し、これを膵管を通して十二指腸に与えている。膵臓がんのほとんどは膵管の細胞から発生するが、早期発見が極めて困難で、そのほとんどが手遅れとなっているのが現状である。
【0003】
膵臓がんの治療として、一般に外科的治療が行われているが、複数の臓器や血管が入り組んでいる場所にある膵臓がんの外科手術は極めて困難な場合が多い。また、抗がん剤を用いた化学療法も行われているが、他の正常な臓器に悪影響を及ぼすため、抗がん剤の濃度を高めることができない。従って、抗がん剤の濃度は、がん細胞の増殖を抑える程度であって、がん細胞の成長を抑止し、死滅させるほどの効果は期待できていない。要するに、膵臓がんは、現在直面している最大の難治性の癌であって、これを効果的に治療するためのシステムは残念ながらまだ存在していない。なお、本願発明に用いられる血液灌流回路と類似の回路が、特許文献1に開示されている。また、本願発明に用いられるバルーンカテーテルに類似の血管閉塞器具が、特許文献2及び特願2006−357556(非公知文献)に開示されている。
【特許文献1】特開2006−26368
【特許文献2】特開2007−21143
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、膵臓用治療薬を実質的に膵臓にのみ集中的に投与し、他の臓器に影響を与えることなく膵臓を治療できる膵臓治療用灌流システムを提供することにある。一例としては、現在行われている開腹手術を伴う外科的療法や点滴によって全身に抗がん剤を灌流させる化学的療法に代わって、何等開腹手術を必要とせずに、あるいは全身に抗がん剤を灌流させることなく、膵臓がんのがん細胞に対してその成長を抑止し、死滅させるなどの画期的効果を与えることができる灌流システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
膵臓がんの治療を例にとって説明すると、本発明の基本的原理は、腹腔動脈を介して膵臓に供給された動脈流が、膵臓内において静脈流となって、どのような挙動を示すかを詳細に解析した結果に基づいて、膵臓周辺の主要な動脈流と主要な静脈流を他の臓器から実質的に遮断し、膵臓のがん細胞を含む閉じた領域を形成し、その閉じた領域内のみの血液に抗がん剤を投入して、閉じた領域内にあるがん細胞に対して、点滴による全身投与の場合の抗がん剤濃度の何十倍もの抗がん剤を晒すようにしたことにある。今回の灌流システムに使用する個々の機器は、すでに子宮頸がん等の治療に使用される骨盤内灌流システムにおいて使用されており公知である。従って、ここでは、使用する個々の機器の詳細については簡略説明に留める。
【0006】
豚を用いて膵臓における血液の流れについて研究した結果、膵臓内への動脈流の中でも背側膵動脈を介して流れる動脈流が膵臓全体に行き渡るという意味において、抗がん剤を投与する際に最も重要な動脈であることがわかった。また、動脈からの血液が膵臓内で静脈流となり、そのほとんどが後上膵十二指腸静脈を介して門脈に流れ出ることがわかった。後述される本発明の灌流システムは、すべてこのような知見に基づいて構成されている。
【0007】
膵臓の血管構造、特に背側膵動脈の血管構造は、参考文献1(図3にも示す)に記載されているように、Woodburnらの1951年の報告によれば、主として5つのパターンに分類される。本発明者は、このパターン以外にがん細胞の存在する部位についても考慮し、膵臓がん治療用灌流システムの構成を研究した。その結果、上述の閉じた領域を作る方法として、バルーンカテーテルとコイルを用いるか、脳梗塞等の治療に使用されるマイクロバルーンカテーテルとコイルを用いることが、簡便で有効であると考えた。
【0008】
バルーンカテーテルとしては、例えば、先に述べた特開2006−26368に開示されたバルーンカテーテルや特願2006−357556に記載されているバルーンカテーテルが特に好適である。
また、マイクロバルーンカテーテルを使用する方法では、比較的細い血管を閉塞できるため、通常のバルーンカテーテルを使用する場合よりも、効果的に各種血管を閉塞することができる。マイクロバルーンカテーテルを用いることによって、灌流システムをより一層簡潔に構成することができる。なお、当然のことながら一部またはすべての血管閉塞用コイルを、マイクロバルーンカテーテルで置き換えることも可能である。
【0009】
最も一般的かつ基本的な膵臓治療用灌流システムは、
膵臓に関連する動脈系の血液が、実質的に膵臓以外の他の臓器に流入しないように、該動脈系の主要血管を閉塞し、膵臓に関連する上記動脈系に閉じた領域を形成するための動脈系閉塞手段と、
膵臓に関連する静脈系の血液が、実質的に膵臓以外の他の臓器に流出しないように、静脈系の主要血管を閉塞し、膵臓に関連する静脈系に閉じた領域を形成するための静脈系閉塞手段と、
上記静脈系の閉じた領域内の血液を体外に取り出し、取り出された血液に薬剤を投入した後、該静脈血を上記動脈系の閉じた領域内に灌流させる灌流装置と、
上記静脈系の閉じた領域内に流入しようとする静脈流を一度体外に取り出し、再び別の部位から体内に供給する手段を備えている。
また、上記動脈系の閉じた領域への血液の灌流を上記動脈系閉塞手段を介して行い、上記静脈系の閉じた領域からの血液の灌流を上記静脈系閉塞手段を介して行うようになっている。
ここで、「実質的に膵臓以外の他の臓器に流入しない」あるいは「実質的に膵臓以外の他の臓器に流出しない」とは、それぞれ他の臓器に悪影響を与えない程度の微量の流入及び流出は問題がないことを意味する。
【0010】
上述の膵臓治療用灌流システムにおいて、上記動脈系閉塞手段を、多数のマイクロバルーンカテーテルで構成することもできるが、少なくとも1個のバルーンカテーテルと多数のコイル装置から構成することによって、より一層簡単に血管を閉塞することができる。
【0011】
より一層具体的な膵臓治療用灌流システムの1つは、
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
腹部大動脈の血流が脾動脈に流入する分岐部よりも下流であって、上記脾動脈からの血流が背側膵動脈に流入する分岐部よりも上流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
比較的大量の動脈流が胃及び十二指腸に流入することを防止するための第2の閉塞器具、及び
体内の静脈血を体外に取り出し、取り出された静脈血中に薬剤を投入した後、該静脈血を再び体内に灌流させる灌流装置を備えている。
そして、上記複数個の閉塞器具によって血流的に閉塞された、閉じた領域内にある静脈血を上記第1のバルーンカテーテルを介して体外に取り出し、上記灌流装置によって血液中に薬剤を投入した後、上記第3のバルーンカテーテルを介して再び上記閉じた領域内の動脈に戻すとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの留置位置よりも上流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すように構成される。
ここで、上流とは血液の流れて来る方向をいい、下流とは血液が流れて行く方向をいう。従って、動脈流の場合には、相対的に心臓に近い方向が上流であり、相対的に心臓に遠い方向が下流となる。静脈流の場合には、動脈流の場合の定義と逆になる。
【0012】
本発明の別な観点にかかる具体的な膵臓治療用灌流システムは、
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
背側膵動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
比較的大量の動脈流が胃及び十二指腸に流入することを防止するための第2の閉塞器具、及び
体内の静脈血を体外に取り出し、取り出された静脈血中に薬剤を投入した後、該静脈血を再び体内に灌流させる灌流装置を備えている。
そして、上記複数個の閉塞器具によって血流的に閉塞された、閉じた領域内にある静脈血を上記第1のバルーンカテーテルを介して体外に取り出し、上記灌流装置によって血液中に薬剤を投入した後、上記第3のバルーンカテーテルを介して再び上記閉じた領域内の動脈に戻すとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの留置位置よりも上流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すように構成される。
【0013】
また、別の態様の1つである膵臓治療用灌流システムは、
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
腹部大動脈の血流が脾動脈に流入する分岐部よりも下流であって、上記脾動脈からの血流が背側膵動脈に流入する分岐部よりも上流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
胃十二指腸動脈及び後上膵十二指腸動脈の血流を閉塞するように配置された少なくとも1個の第2の閉塞器具、
体内の血液を体外に吸引し、該血液を再び体内に戻すポンプ装置、及び
上記閉じた空間内に薬剤を注入するシリンジ装置を備えている。
そして、上記シリンジ装置によって、上記第3のバルーンカテーテルを介して上記閉じた領域内の動脈流に薬剤を投入するとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの配置部位よりも下流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る膵臓治療用灌流システムを使用することによって、これまで極めて困難とされてきた膵臓がん等の治療が、開腹することなく可能となる。また、これまでの抗がん剤治療のように抗がん剤を全身に廻すことがないので、抗がん剤による副作用が極めて少ない。さらに、このシステムは、膵臓がんの治療だけに限らず、投入する薬剤を変えることによって、遺伝子治療や糖尿病の治療にも有効であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
初めに、図1乃至図3を参照しながら、本発明の基本的考え方について説明する。図1は、人の膵臓に関係する動脈系の概要を説明する図である。また、図2は、人の膵臓に関係する静脈系の概要を説明する図である。各図を通して、同一の参照符号は同一あるいはそれに類似した部分を表すものとする。
【0016】
本願発明の理解を容易にするため、図1を参照して、膵臓付近の動脈系について説明し、その後図2を参照して、膵臓付近の静脈系について説明する。図1において、100は膵臓、200は脾臓を示し、矢印は動脈血の流れる方向を示す。大動脈80から腹腔動脈52に流入する動脈流は、脾動脈54、総肝動脈56及び左胃動脈55に分岐して流れる。最も大きな確率で生ずる血管構造の場合、脾動脈54に流れた血液は、脾臓200に達する前に、背側膵動脈53、大膵動脈62、膵尾動脈63などを介して膵臓100内を流れる。また、総肝動脈56に流れた血液は、肝臓(図示せず)に向かう固有肝動脈57と、胃、十二指腸等(図示せず)に向かう胃十二指腸動脈58に分岐して流れる。胃十二指腸動脈58に流れた血液は、その後、後上膵十二指腸動脈59、前上膵十二指腸動脈60、右胃大網動脈61などに流れ込む。後上膵十二指腸動脈59を流れる動脈流は、下膵十二指腸動脈65と合流する。以上が動脈系の概要である。
【0017】
次に図2を参照して、膵臓付近の静脈系の概要について説明する。図2において、脾臓200からの静脈流は、脾静脈71を図中の矢印方向に流れ、上腸間膜静脈73からの静脈流と合流して、門脈70に流れる。膵臓の静脈流は、背側膵静脈72から脾静脈71に流入するほか、後上膵十二指腸静脈74を介して門脈70に直接流入する。ここで注目すべきは、背側膵動脈53(図1)を通って膵臓に流入した動脈流は、静脈流となってそのほとんどが後上膵十二指腸静脈74を介して門脈70に流入することである。このことは、本願発明の構成に重要な意味を持っている。すなわち、閉塞灌流システムを用いて膵臓を治療するに当たっては、背側膵動脈53(図1)の入口位置と、後上膵十二指腸静脈74の出口位置を基準にして、それぞれ動脈系と静脈系の閉じた領域を設定する必要があることを意味する。
【0018】
次に、図3A及び図3Bを参照する。図3A及び図3Bは人の背側膵動脈の状態を、起こりえる確立の高い順に示している。図3A及び図3Bの(a)(b)(c)(d)(e)の順に起こりえる確立が小さくなり、約半数近くの人は図3A(a)に示されているように、背側膵動脈が脾動脈から分岐するような構造となっている。図3Bの(d)(e)は、逆に特殊な構造例である。以下の実施例1乃至13は、これらの背側膵動脈の状態パターンごとに如何にして効果的に閉じた領域を形成するかを示している。なお、本発明を理解する上で特に留意すべきは、閉じた領域の形成方法が人によって異なるのは、動脈系だけであり、静脈系については各人に共通して、同一の形態の閉じた領域が形成される。
【0019】
次に、図4を参照して、静脈系の閉じた領域を如何に形成するかについて説明する。なお、以降の図面においては、閉塞用バルーンカテーテルの配置を理解しやすいように、すべての図面においてバルーンカテーテルを実線で表している。さて、図4において、10及び20はそれぞれ別個のバルーンカテーテルであり、300は肝臓である。その他の符号は図2と同一物を示している。静脈系の閉じた領域は、2個のバルーンカテーテルを用いて形成される。この2個のバルーンカテーテルは、1個のダブルバルーンカテーテルによっても形成することが可能である。初めに、バルーンカテーテル20が経皮経肝的門脈穿刺によって肝臓及び門脈を通して挿入され、上腸間膜静脈73と脾静脈71の合流部よりも上流側の上腸間膜静脈73内において膨張させられ、そこに留置される。次に、バルーンカテーテル10が、バルーンカテーテル20と同様に、肝臓を通して門脈70に挿入され、後上膵十二指腸静脈74が門脈70と合流する部位よりも下流側の門脈70内において膨張させられ、そこに留置される。2つのバルーンカテーテル10及び20は、この例においては実質的に同一の構造を持ち、カテーテルチューブの先端から必要な量の血液を吸い込むことが可能になっている。このバルーンカテーテル10及び20としては、先に説明した特願2006−357556に示されているバルーンカテーテルが、カテーテルチューブの強度、並びにバルーンの膨張率及び強度等の面から好適である。閉じた領域の形成後の動作については、図6以降の実施例において説明する。
【0020】
次に図5を参照して、動脈系における閉じた領域の形成方法について説明する。図5において、30はバルーンカテーテルであり、31乃至34は多くの細いコイルである。その他の符号は、図1の場合と同一物を示している。図5は、人の背側膵動脈の配置として最も一般的な構造を例として、閉じた領域の形成方法を示している。初めに、動脈流の脾臓200への流入を防止するため、大動脈80から腹腔動脈52、脾動脈54を介して多数のコイル31が順次脾臓200付近の脾動脈54に挿入される。同様にして、上腸間膜動脈51から膵臓100への動脈流の流入を防止するため、図示のように前上膵十二指腸動脈60及び右胃大網動脈61もコイルで閉塞する。次いで、後上膵十二指腸動脈59及び胃十二指腸動脈58をコイルで閉塞する。これらの閉塞によって、胃や十二指腸(図示せず)との動脈流の接続が実質的に絶たれる。最後に、図示のようにして、バルーンカテーテル30が、大腿部から大動脈80及び腹腔動脈52を介して脾動脈54に挿入され、背側膵動脈53よりも上流側の脾動脈54の位置において膨張させられ、脾動脈54を腹腔動脈52、総肝動脈56等から流体的に遮断する。以上の手順によって、膵臓に関係する動脈系が他の臓器等から実質的に隔離され、閉じた領域が作られる。なお、コイルやバルーンによる血管の閉塞順序は、必ずしも上述の順番に制限されるものではない。要は最終的に動脈系に閉じた領域が形成されれば良いのであって、その形成手順は本発明とは直接関係しない。
【0021】
以下、幾つかの実施例について、図6から図13を用いて説明する。ここで、図6から図12までは、人の膵臓に関係する動脈系の閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置位置を示しているが、図13A及び図13Bは、それぞれ実施例1の結果を説明するためのグラフ及びそのデータを表している。
【実施例1】
【0022】
図6は、図3Aの(a)に示されているように、背側膵動脈53が脾動脈54から分岐している最も一般的な構造を持つ人に対する、灌流システムの一構成例を示している。図6の実施例では、膵臓治療用灌流システムの理解を早めるために、図4に示された静脈系と図5に示された動脈系が重畳して示されている。図6において、符号1及び2は灌流用ポンプであり、6は抗がん剤等の薬剤を投入するリザーバである。バルーンカテーテル10及び20の静脈系への留置方法と、バルーンカテーテル30の動脈系への留置方法は、すでにそれぞれ図4及び図5において説明した通りである。なお、以下の実施例では、バルーンカテーテル10として10Frのカテーテルを使用し、バルーンカテーテル20として12Frのカテーテルを使用した。
【0023】
静脈系に留置されたバルーンカテーテル10のカテーテルチューブの先端から、閉じた領域内にある静脈血が灌流ポンプ1によって吸引される。吸引され、体外に取り出された血液に対して、リザーバ6で抗がん剤等の薬剤が投入される。その後、薬剤を含んだ血液は、バルーンカテーテル30のカテーテルチューブを介して動脈系の閉じた領域内に供給される。動脈系の閉じた領域内に供給された抗がん剤は、膵臓以外の他の臓器や他の血管系に実質的に漏洩することなく、癌等の腫瘍部(図示せず)と接触したのち、静脈系の閉じた領域内に流れ込む。そして再び静脈系に留置されたバルーンカテーテル10のカテーテルチューブの先端から、灌流ポンプ1によって吸入される。また、上腸間膜静脈73に流れ込む静脈流の圧力を下げるため、上述の灌流と同時にバルーンカテーテル20のカテーテルチューブの先端から、遠心ポンプ2によって上腸間膜静脈73に流れ込む静脈血が吸入される。この静脈血は一度体外に出された後、内頸静脈等から再び体内の静脈に戻される。以上の処置において、腫瘍が晒される抗がん剤の濃度は、通常の60倍となる。これによって、腫瘍が縮減したり、消滅することになる。また、閉じた領域からの外部領域へ漏洩する抗がん剤の量は、投入量の100分の1程度であり、他の臓器に与える影響もほとんどないと言える。
【0024】
ここで、上記実施例1の効果について、図13A及び図13Bを参照して説明する。図13Aは、抗がん剤等の薬剤の灌流を始めてから30分間の動脈血、静脈血及び全身採決血のプラチナ濃度(mg/l)を5分毎にプロットしたグラフである。また、図13Bは、図13Aのグラフの具体的データ値を示している。これらのデータから、動脈血に与えられた抗がん剤等の薬剤が効果的に静脈血に流れていること、及び動脈血に与えられた薬剤が予め設定された閉じた領域の外にはほとんど漏洩していないことが分かった。
【実施例2】
【0025】
次に、図7を参照する。図7は、図3Aの(b)に示されているように、背側膵動脈が腹腔動脈本幹から出ている場合における、動脈系の閉じた領域の形成方法を示している。この場合、コイルでの閉塞箇所は図6の場合と同一であるが、バルーンカテーテル30とバルーンカテーテル40の2本を使用する。図6と同様にして先に脾動脈54をコイル31で閉塞する。次いで、前上膵十二指腸動脈60及び右胃大網動脈61をコイル34で閉塞する。その後、後上膵十二指腸動脈59及び胃十二指腸動脈58をそれぞれコイル33及び32で閉塞する。コイルでの閉塞が完了した後、最初にバルーンカテーテル40が大動脈80、腹腔動脈52を介して、総肝動脈56に挿入され、その位置で膨張させられ、留置される。最後に、バルーンカテーテル30が大動脈80を介して、腹腔動脈52に挿入され、左胃動脈55への分岐部よりも下流側にて腹腔動脈52に配置され、そこで膨張させられ留置される。なお、本実施例ではバルーンカテーテル30を腹腔動脈52から左胃動脈55への分岐部よりも下流側に留置しているが、場合によっては、腹腔動脈52を塞ぐように留置されたとしても特に問題はない。
【0026】
以上のようにして閉じた領域が形成された後、抗がん剤等の薬剤がバルーンカテーテル30のカテーテルチューブから動脈系の閉じた領域内に供給される。閉じた領域内に供給された抗がん剤等の薬剤は、主として背側膵動脈53を介して膵臓に与えられる。バルーンカテーテル40は、抗がん剤等の薬剤が固有肝動脈57を介して肝臓(図示せず)に流れるのを防止するために設けられている。その他の灌流動作は、図6の場合と同様であるので省略する。
【実施例3】
【0027】
次に、図8を参照する。図8は、図3Aの(c)に示されているように、背側膵動脈が総肝動脈から出ている場合における、動脈系の閉じた領域の形成方法を示している。この場合、コイルでの閉塞箇所は図6の場合と同一である。バルーンカテーテルを2本使用するのは実施例2と同様であるが、それらの留置個所が違ってくる。コイルでの閉塞箇所及び閉塞方法は、実施例2と同様である。コイルでの閉塞が完了した後、最初にバルーンカテーテル40が大動脈80、腹腔動脈52及び総肝動脈56を介して固有肝動脈に挿入され、その位置で膨張させられ、留置される。最後に、バルーンカテーテル30が大動脈80及び腹腔動脈52を介して総肝動脈56に挿入され、背側膵動脈53への分岐部よりも上流側の総肝動脈56または腹啌動脈52に配置され、そこで膨張させられ留置される。
【0028】
抗がん剤等の薬剤はバルーンカテーテル30のカテーテルチューブから動脈系の閉じた領域内に供給される。閉じた領域内に供給された抗がん剤等の薬剤は、主として背側膵動脈53を介して膵臓に与えられる。バルーンカテーテル40は、抗がん剤等の薬剤が固有肝動脈57を介して肝臓(図示せず)に流れるのを防止するために設けられている。その他の灌流動作は、図6の場合と同様であるので省略する。
【実施例4】
【0029】
次に、図9を参照する。図9は、図3Bの(d)に示されているように、背側膵動脈が上腸間膜動脈から出ている場合における、動脈系の閉じた領域の形成方法を示している。この場合、コイルでの閉塞箇所は図6の場合と同一個所のほかに、図示のように、上腸間膜動脈51から出ている背側膵動脈53をコイルで閉塞する。それによって、背側膵動脈の機能を封止する。コイルでの閉塞が完了した後、バルーンカテーテル30が図6に示された実施例1と同様に脾動脈54に挿入され、適切な位置で膨張させられ、留置される。
【0030】
抗がん剤等の薬剤はバルーンカテーテル30のカテーテルチューブから動脈系の閉じた領域内に供給される。閉じた領域内に供給された抗がん剤等の薬剤は、実施例1と同様にして膵臓に与えられる。その後の灌流動作は、図6の場合と同様であるので省略する。
【実施例5】
【0031】
次に、図10を参照する。図10は、図3Bの(e)に示されているように、背側膵動脈が存在しない場合における、動脈系の閉じた領域の形成方法を示している。この場合、コイルでの閉塞箇所は図6の場合と同一である。また、バルーンカテーテルの留置箇所及びその動作は、図9に示された実施例4の場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。この実施例に係る灌流システムは、がん細胞によって背側膵動脈53が侵されている場合にも、そのまま適用可能である。
【実施例6】
【0032】
次に、図11を参照する。図11は、マイクロバルーンカテーテルを使用した場合における、動脈系の閉じた領域の形成方法を示している。図11では、背側膵動脈が脾動脈から出ているが、背側膵動脈が図3Aに示された別の形態であっても、動脈系の閉じた領域は、図11と同様に形成される。ここで使用されるマイクロバルーンカテーテルとしては、3Fr程度のものが好適である。なお、背側膵動脈53が十分太い患者の場合には、マイクロバルーンカテーテルでなく、通常のバルーンカテーテルを使用しても良いことは明らかであろう。
【実施例7】
【0033】
実施例1から実施例5では、いずれも比較的大型の灌流装置を用いて、閉じた静脈系内の血液を体外に取り出し、必要な処理を行った後、閉じた動脈系内に戻すようにしている。しかし、簡単な治療では、薬剤を注射器等のシリンジ装置から投与することもできる。図12に、シリンジ装置を使用した場合の膵臓治療用灌流システムの一構成例を示す。図12に示された膵臓治療用灌流システムの基本的な構成は、図6に示された実施例1の灌流システムの基本的な構成とほぼ同一である。すなわち、図12の灌流システムでは、「体内の血液を体外に取り出し、血液中に薬剤を投入した後、該血液を体内に灌流させる灌流装置」に替えて、「体内の血液を体外に吸引し、該血液をリザーバに送り込むポンプ装置、及び上記閉じた空間内に薬剤を注入するシリンジ装置」を使用し、上記シリンジ装置によって、上記第3のバルーンカテーテルを介して上記閉じた領域内の動脈流に薬剤を投入するような構成になっている。シリンジ装置からの薬剤の投入量は、毎分30−60cc程度で20−40分間投入するのが好適である。また、リザーバに一時的に蓄えられた血液は、処置終了後廃棄される。
【0034】
以上、本発明について幾つかの実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の精神に従って解釈されるべきである。例えば、上述の実施例では幾つかの個所をコイル装置によって閉塞しているが、これらの個所を細長いバルーンによって閉塞することも可能である。
【0035】
本願明細書では、参考文献として、株式会社医学書院から出版された、平松京−編集の「腹部血管のX線解剖図鑑」(1991年9月1日発行)を使用した。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は膵臓がんの治療に極めて有効であることについては、上述の通りである。しかし、薬剤として抗がん剤の代わりに遺伝子を用いた遺伝子治療薬や他の薬剤を使用することによって、本発明に係る灌流システムを遺伝子治療や糖尿病の治療に有効に使用できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】 人の膵臓に関係する動脈系の構造を説明する概略図である。
【図2】 人の膵臓に関係する静脈系の構造を説明する概略図である。
【図3A】 人の背側膵動脈の構造パターンを示す概略図である。
【図3B】 人の背側膵動脈の構造パターンを示す概略図である。
【図4】 人の膵臓に関係する静脈系に閉じた領域を形成する方法を説明するための概略図である。
【図5】 人の膵臓に関係する動脈系に閉じた領域を形成する方法を説明するための概略図である。
【図6】 本発明の一実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図7】 本発明の他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図8】 本発明のさらに他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図9】 本発明のさらに他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図10】 本発明のさらに他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図11】 本発明のさらに他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図12】 本発明のさらに他の実施例を説明するための図であって、人の膵臓に関係する動脈系に形成された閉じた領域とバルーンカテーテル等の配置を示す概略図である。
【図13A】 本発明の実施例1の結果を説明するためのグラフである。
【図13B】 本発明の実施例1の結果を説明するためのグラフのデータを示す表である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 ポンプ
10 第1のバルーンカテーテル
20 第2のバルーンカテーテル
30 第3のバルーンカテーテル
31、32、33、34 コイル装置
40 第4のバルーンカテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膵臓に関連する動脈系の血液が、実質的に膵臓以外の他の臓器に流入しないように、該動脈系の主要血管を閉塞し、膵臓に関連する上記動脈系に閉じた領域を形成するための動脈系閉塞手段と、
膵臓に関連する静脈系の血液が、実質的に膵臓以外の他の臓器に流出しないように、静脈系の主要血管を閉塞し、膵臓に関連する静脈系に閉じた領域を形成するための静脈系閉塞手段と、
上記静脈系の閉じた領域内の血液を体外に取り出し、取り出された血液に薬剤を投入した後、該静脈血を上記動脈系の閉じた領域内に灌流させる灌流装置と、
上記静脈系の閉じた領域内に流入しようとする静脈流を一度体外に取り出し、再び別の部位から体内に供給する手段を備え、
上記動脈系の閉じた領域への血液の灌流を上記動脈系閉塞手段を介して行い、上記静脈系の閉じた領域からの血液の灌流を上記静脈系閉塞手段を介して行うことを特徴とする膵臓治療用灌流システム。
【請求項2】
請求項1に記載の膵臓治療用灌流システムにおいて、上記動脈系閉塞手段が少なくとも1個のバルーンカテーテルと多数のコイル装置から構成され、上記静脈系閉塞手段が2個のバルーンカテーテルから構成されていることを特徴とする膵臓治療用灌流システム。
【請求項3】
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
腹部大動脈の血流が脾動脈に流入する分岐部よりも下流であって、上記脾動脈からの血流が背側膵動脈に流入する分岐部よりも上流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
比較的大量の動脈流が胃及び十二指腸に流入することを防止するための第2の閉塞器具、及び
体内の静脈血を体外に取り出し、取り出された静脈血中に薬剤を投入した後、該静脈血を再び体内に灌流させる灌流装置を備え、
上記複数個の閉塞器具によって血流的に閉塞された、閉じた領域内にある静脈血を上記第1のバルーンカテーテルを介して体外に取り出し、上記灌流装置によって薬剤を含んだ血液を上記第3のバルーンカテーテルを介して再び上記閉じた領域内の動脈に戻すとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの留置位置よりも上流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すことを特徴とする灌流システム。
【請求項4】
請求項3に記載の灌流システムにおいて、上記第1及び第2の閉塞器具はそれぞれが複数本のコイルによって血管を閉塞するコイル装置であることを特徴とする灌流システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の灌流システムにおいて、上記第1及び第2のバルーンカテーテルが、カテーテル管に取り付けられた2個のバルーンの間に設けられた少なくとも1個の血液吸入口を持つ、1個のダブルバルーンカテーテルで形成され、上記閉じた領域内の血液を上記吸入口を介して体外に取り出し、薬剤を投入後、上記第3のカテーテルを介して再度体内に戻すことを特徴とする灌流システム。
【請求項6】
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
背側膵動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
比較的大量の動脈流が胃及び十二指腸に流入することを防止するための第2の閉塞器具、及び
体内の静脈血を体外に取り出し、取り出された静脈血中に薬剤を投入した後、該静脈血を再び体内に灌流させる灌流装置を備え、
上記複数個の閉塞器具によって血流的に閉塞された、閉じた領域内にある静脈血を上記第1のバルーンカテーテルを介して体外に取り出し、上記灌流装置によって薬剤を含んだ血液を上記第3のバルーンカテーテルを介して再び上記閉じた領域内の動脈に戻すとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの留置位置よりも下流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すことを特徴とする灌流システム。
【請求項7】
脾静脈の血流が門脈に流入する合流部よりも下流において、上記門脈を閉塞するように配置された第1のバルーンカテーテル、
上記合流部よりも上流において、上腸間膜静脈を閉塞するように配置された第2のバルーンカテーテル、
腹部大動脈の血流が脾動脈に流入する分岐部よりも下流であって、上記脾動脈からの血流が背側膵動脈に流入する分岐部よりも上流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第3のバルーンカテーテル、
上記脾動脈を流れる血流が脾臓に流入することを防止するため、上記脾動脈が脾動脈膵枝に分岐する部位よりも下流において、上記脾動脈を閉塞するように配置された第1の閉塞器具、
胃十二指腸動脈及び後上膵十二指腸動脈の血流を閉塞するように配置された少なくとも1個の第2の閉塞器具、
体内の血液を体外に吸引し、該血液を再び体内に戻すポンプ装置、及び
上記閉じた空間内に薬剤を注入するシリンジ装置を備え、
上記シリンジ装置によって、上記第3のバルーンカテーテルを介して上記閉じた領域内の動脈流に薬剤を投入するとともに、
上記第2のバルーンカテーテルを介して、該第2のバルーンカテーテルの配置部位よりも下流から、上記上腸間静脈の血液を体外に取り出し、取り出された血液を再度別の部位から体内に戻すことを特徴とする灌流システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2009−34462(P2009−34462A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220378(P2007−220378)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(507033462)株式会社コーセイアドバンス (2)
【Fターム(参考)】