説明

臨床侵襲的処置の際に電気生理学的及び血行動態生理学的診断用監視を行うための単一収集システム

【課題】関心のある被検体からの電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視するための単一収集診断用監視システムを提供する。
【解決手段】本システムは、関心のある被検体に結合された複数の第1のセンサ(14)を介して電気生理学的データを受け取る第1のモジュール(12)と、前記被検体に結合された複数の第2のセンサ(18)を介して血行動態生理学的データを受け取る第2のモジュール(16)と、前記の各モジュールに結合されていて、各モジュールに電力を供給し、各モジュールからデータを受け取り、且つ各モジュールからのデータを同期化する基部装置(20)と、基部装置に結合されていて、基部装置から同期化された電気生理学的及び血行動態生理学的データを受け取り、該同期化されたデータを単一のデータベースに組み合わせ、且つ同期化され処理されたデータを伝送する処理装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的データ収集に関するものであり、より具体的には、臨床侵襲的処置の際に電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視するための簡単な収集診断用監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓又は放射線介入(インターベンション)処置の際には、患者の生理学的データを連続的に監視することが必要である。患者の監視には複数のパラメータの測定及び分析を必要とする。これらのパラメータの幾分かは侵襲性圧力測定と侵襲性電圧及び時間測定とである。今日利用可能である全ての生理学的診断用監視システムは両方のこれらのパラメータを同時に供給していない。ユーザは、複数のチャンネルで記録及び表示している複数の波形について両方のこれらの測定を行うことができるようにするために、1つのアプリケーションを出て別のアプリケーションに入るか又は1つのモードから別のモードへ移らなければならない。この変更は余分な時間遅延を生じさせて、処置を長引かせる。
【0003】
殆どのシステムでは、収集されたデータは、生のデータの分析及び診断のために単一の場所で一緒に視覚化することができない。これはワークフローを更に妨げて、患者について必要な看護を行うための時間を増大させる。或る特定の場合では、処置のワークフローは患者についての血行動態の分析を行い、次いで同じ患者について電気生理学的(EP)処置を行うことである。最初の血行動態(HEMO)検査は、不整脈の虚血性原因や、存在するはずのない心臓の室間に生じた孔や、心臓弁の拘縮又は漏洩を探すこと、或いは他のこのような処置を行うことであり、何ら虚血性の又は構造的な原因が識別されなかったときは、患者は直ちにEP処置を受ける。今日、これは、ユーザがその事例を完了するために一種類のアプリケーションから別のアプリケーションへ切り替えるとき、より長い時間が掛かる。この問題の時間の増大により患者にとって合併症の危険性が生じる。更に、アプリケーションが切り替えられている間、患者は訓練を受けた職員又は別の監視装置を持つ職員によって監視される。もしこのアプリケーション変更の際に患者に(不整脈のような)何らかの関連した変化が起こった場合、臨床医はその事象についての電子的コピーを持たないので、処置の残りの期間中に見付けられる不整脈に対して比較を行えない。
【0004】
部屋内の設備の複数の部品は部屋の周囲電気ノイズ・レベルを増大させる。心臓電気生理学的設備は小さい電気信号(50hz未満)を収集して、臨床医が評価できるように増幅する。漏洩のない適切に接地された設備は妨害を加えないが、設備の部品が多くなればなるほど、背景ノイズの発生源を突き止めることが一層困難になる。更に、臨床医が同じコンピュータを使用して一種類の処置から別の種類の処置へ変更したとき、アクセスしているハードウエアが変化したことがユーザにとって常に明らかであるとは限らない。
【0005】
電気生理学研究室で現在利用可能なシステムでは、患者を輸送モニタから離して、それをEP増幅器を介して監視することが必要とされている。もしこの移行中に不整脈が生じた場合、不整脈を評定するために臨床医が利用できる資料が制限されることになる。処置が血行動態又は電気生理学的処置から他の種類の処置へ変更されたとき、設備を再較正し且つ零点再調節を行わなければならない。再較正を行っている間、システムの他の機能が利用できなくなり、ユーザは処置を続行することが妨げられ、治療が遅らされる。接続の物理的変更は何ら必要とされないので、臨床医がデータ損失の源を突き止めて、較正プロセスを行っている間、重要な時間が失われることがある。
【特許文献1】米国特許第5566096号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、臨床的侵襲性処置の際に電気生理学的及び血行動態生理学的診断用監視の両方ための単一収集システムが必要である。また、処理装置を使用して、単一データベース内の関心のある被検体の電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視するためのツールも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、関心のある被検体からの電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視するための単一収集診断用監視システムに関する。本システムは、関心のある被検体に結合された複数の第1のセンサを介して電気生理学的データを受け取るように構成されている第1のモジュールを含む。本システムはまた、前記被検体に結合された複数の第2のセンサを介して血行動態生理学的データを受け取るように構成されている第2のモジュールを含む。本システムはまた、各モジュールに結合されていて、各モジュールに電力を供給し、各モジュールからデータを受け取り、且つ各モジュールからのデータを一緒に同期化するように構成されている基部装置を含む。本システムはまた、前記基部装置に結合されていて、前記基部装置から同期化された電気生理学的及び血行動態生理学的データを受け取り、該同期化されたデータを単一のデータベースに組み合わせ、且つ更に使用するために前記同期化され処理されたデータを伝送するように構成されている処理装置を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態は、関心のある被検体についての電気生理学的及び血行動態生理学的データを監視する方法に関し、本方法は、電気生理学的データを受け取るように構成されている第1のモジュールと、血行動態生理学的データを受け取るように構成されている第2のモジュールとを使用し、これらの各々のモジュールは基部装置及び処理装置に結合されている。本方法は、電気生理学的データを受け取る段階と、血行動態生理学的データを受け取る段階と、2つのデータ・セットを同期化する段階と、これらの同期化されたデータ・セットを組み合わせて単一のデータベースを生成する段階とを含み、この単一のデータベースは更なる使用のために利用可能である。
【0009】
本発明の別の実施形態は、処理装置を使用して、関心のある被検体についての電気生理学的及び血行動態生理学的データを監視するためのツールに関する。本ツールは、関心のある被検体から電気生理学的データ・セットを受け取る手段を含む。本ツールはまた、関心のある被検体から血行動態生理学的データ・セットを受け取る手段を含む。本ツールはまた、2つのデータ・セットを同期化する手段、及び処理装置内で同期化されたデータ・セットを組み合わせて単一のデータベースを生成する手段を含み、ここで、単一のデータベースは更なる使用のために利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照して説明すると、図1は単一ディジタル収集システム10の模範的な実施形態を例示し、システム10は、一組の患者接続部を使用して、関心のある被検体から血行動態(血圧及び生体)データ・セット7及び電気生理学的(電気)データ・セット5の両方を同時に速やかに収集し、フィルタリングし、コンピュータ30にディジタル式に伝送する。コンピュータ30は、これを表示、分析、保存及び更なる使用のために処理するソフトウエア・ツール70を有する。
【0011】
システム10は、同じ設定で血行動態の場合から電気生理学的アブレーション(焼灼)処置へ滑らかの移行を可能にする。
【0012】
模範的な一実施形態では、関心のある被検体は人間である。他の模範的な実施形態では、関心のある被検体は、犬、猫、馬又は霊長類のような別の解剖学的構造である。別の模範的な実施形態では、システム10は、例えば、病院又は病室のような患者治療看護施設内に含まれ、また更に別の実施形態では、施設は関心のある被検体について、例えば、イメージング、侵襲性処置、又は診断用処置などのような、医学的処置を遂行するのに適した任意の施設であってよい。
【0013】
関心のある被検体からの電気生理学的データ5及び血行動態生理学的データ7を監視するための単一収集診断用監視システム10は、関心のある被検体に結合された複数の第1のセンサ14を介して電気生理学的データ5を受け取るように構成されている第1のモジュール12を含む。第2のモジュール16が、関心のある被検体に結合された複数の第2のセンサ18を介して血行動態生理学的データを受け取るように構成されている。モジュール12,16の各々に結合された基部装置20がデータ・セット5,7を受け取り、基部装置20は、各モジュールに電力を供給すると共に、各モジュールからのデータ5,7を一緒に同期化するように構成されている。基部装置20に結合された処理装置30が、基部装置20から同期化された電気生理学的及び血行動態生理学的データを受け取り、これらの同期化されたデータを単一のデータベースに組み合わせ、また同期化され処理されたデータを更に使用するために伝送するように構成されている。
【0014】
第1のモジュール12は、関心のある被検体から、ECG信号、侵襲性血圧、非侵襲性血圧、温度監視、エンド・タイトル二酸化炭素、熱希釈心拍出量(TDCO)のようなデータを得る。このモジュールは、ユーザによって決定されたとき、16000サンプリング速度でサンプリングすることができ、またデータは処理装置30によって選択された流れ(例えば、血行動態対電気生理学的処置)に依存して500k又は240kにダウン・サンプリングすることができる。データは、該モジュールにおいて、ECG信号を分析して、ぺーシング・スパイク(pacing spike)を探し、ぺーシング・スパイクが検出されたときにそれらのスパイクを心拍として計数しないようにするために、使用される。データは複数のセンサを介して収集され、これらのセンサは所望のデータを得るように構成される。
【0015】
第2のモジュール16は、カテーテルのような複数の第2のセンサ18を介して予め選択されたサンプリング速度で心臓内信号を得る。典型的には、該モジュールで又は基部装置20で心臓内信号について何らフィルタリング又は増幅は行われない。
【0016】
基部装置20内の他のモジュールに追加のモジュールを結合することができる。
【0017】
基部装置20は各々のモジュールに結合されて、それらのモジュールに電力を供給する。電力は各々のモジュールに直接供給することができ、或いは主モジュールに結合された複数の従属モジュールを持つ1つのモジュールに供給することができる。
【0018】
各モジュール12,8及び基部装置20、並びに処理装置30は、クロック40を含む。標準的な通信プロトコルを使用して、モジュール、基部装置及びCPUのクロック40を同期化する。モジュール12,18で受け取ったデータには、各モジュールによってタイム・スタンプが記録される。各モジュール12,14は、アナログ/ディジタル回路24においてアナログ−ディジタル変換を行い、変換後のデータを基部装置20へ伝送する。基部装置20は、データを受け取ったとき、タイム・スタンプを利用してデータを同期化して、データを標準的なTPCP/IPパケットに変換する。これらのパケットは次いでイーサーネット・パケットとして処理装置30及び(基部装置20に結合された)アナログ出力回路22へ転送される。無線回路網、例えば、ブルートゥース・システムを使用することもできる。
【0019】
処理装置30はラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ又はサーバー型コンピュータのような任意の種類の中央処理装置(CPU)であってよいが、処理装置30は基部装置20から同期化された電気生理学的データ5及び血行動態生理学的データ7を受け取る。処理装置はこれらの同期化されたデータを組み合わせて、更なる処理のための単一のデータベースを生成する。
【0020】
アナログ出力回路22はデータに複数のフィルタ34を適用する。複数のフィルタ34は高域通過フィルタ、低域通過フィルタ、又は高域通過及び低域通過フィルタの組合せとすることができ、複数のフィルタ34は処理装置30上に保存され且つ作成された一群から選択される。システム10のユーザは処理装置30上のそれらのフィルタを選択することができ、またアナログ出力回路22に伝送される。アナログ出力回路22は処理装置30から受け取った所定のフィルタ32を処理データに適用する。ここで、複数のフィルタ34は処理装置30上で周知のプログラミング手法によって時々変更することができることに留意されたい。
【0021】
処理装置30はまた入力装置64を含み、入力装置64は、例えば、キーパッド、キーボード、ジョイスティック、ローラーボール、タッチペン、又は音声認識システムとすることができる。また、処理装置30には表示装置60も結合される。表示装置60は、関心のある被検体からの実時間波形データ、関心のある被検体についての保存された波形データ、及び関心のある被検体の生の又はセーブした生理学的画像を同時に表示するように構成されている3つの別々のモニタを含むことができる。
【0022】
収集されたデータと分析されたデータと注釈付きデータとは、処理装置30に結合された記憶装置62に保存することができ、記憶装置62は、例えば、ハード・ドライブ、別のコンピュータ、テープ又はディスク記憶媒体とすることができる。
【0023】
本発明ではまた、関心のある被検体についての電気生理学的及び血行動態生理学的データ5,7を監視する方法を提供し、本方法では、電気生理学的データ5を受け取るように構成されている第1のモジュール12と、血行動態生理学的データ7を受け取るように構成されている第2のモジュール16とを使用し、これらの各々のモジュール12,16は基部装置20及び処理装置30に結合されている。本方法は、電気生理学的データを受け取る段階と、血行動態生理学的データ7を受け取る段階と、2つのデータ・セットを同期化する段階とを含む。更に、これらの同期化されたデータ・セットを組み合わせて単一のデータベースを生成する段階を含み、この単一のデータベースは更なる使用のために利用可能である。
【0024】
本方法はまた、処理装置30内にフィルタ32を設ける段階、及び同期化されたデータ・セットをフィルタ32に適用する段階も含む。フィルタ32は、低域通過フィルタと、高域通過フィルタと、低域及び高域通過フィルタの組合せとからなる群34から選択される。フィルタはユーザによって決定された通りに処理装置30にプログラムすることができるか、又は処理装置30上に保存されたテーブルから選択することができる。
【0025】
電気生理学的及び血行動態生理学的データ5,7を監視するためのシステム10では、モジュール12及び16の各々、基部装置20並びに処理装置30はクロック40を含む。本方法は、各々のモジュール12,16、基部装置20及び処理装置30の中のクロック40を同期化する段階を含む。データの同期化は、モジュールから基部装置へ及び処理装置30へのデータに日付スタンプを押す手段を提供する。
【0026】
同期化されたデータ・セットはコンピュータによって第3者の装置へ、或いは表示装置60又は記憶装置62へ伝送される。また、データはストリップ・チャートのようなアナログ出力装置22で供給することも可能である。
【0027】
システム10は、処理装置30を使用して、関心のある被検体についての電気生理学的及び血行動態生理学的データ5,7を監視するためのツール70を含む。ツール70は関心のある被検体から電気生理学的データ・セットを受け取る手段を含む。本ツールはまた、関心のある被検体から血行動態生理学的データ・セットを受け取る手段、及び2つのデータ・セット5,7を同期化する手段も含む。ツール70はまた、処理装置内に同期化されたデータ・セットを組み合わせて単一のデータベースを生成する手段を含み、ここで、単一のデータベースは更に使用するために可変である。
【0028】
処理装置30内で、EP及びHEMOデータ・セットの単一のアプリケーションで幾つかの機能が並列に遂行される。図2に示されているように、ユーザによって選択された通りにデータのフィルタリングが遂行される。選択されたデータの表示が、処理装置30に結合されているビデオ・モニタ60に送られる。類似のアルゴリズムがユーザによって選択された通りにHEMO又はEPデータ・セットに適用されて、表示モニタ60又は記憶装置62へ送られる。記憶装置は処理装置30に結合されている。記憶装置は、生のデータ及び分析後のデータ及び模倣データを単一のデータベース内に含む。表示装置60は、関心のある被検体からの実時間波形データと、関心のある被検体についての保存されている波形データと、関心のある被検体についての生の又はセーブした生理学的画像とを同時に表示するように構成することができる。表示装置60は単一のスクリーン、例えば、大形のプラズマ又は液晶表示装置、或いは複数のスクリーンとすることができる。いずれの場合でも、表示装置60は、ユーザにとって適当な画像及びテキストを提供するために高速のリフレッシュ速度を有していなければならない。
【0029】
模範的な一実施形態では、システム10はユーザに対して単一のユーザ・インターフェース上で複数のパラメータを同時に一斉に収集し表示し分析する。システム10は、複数侵襲性血圧測定のような血行動態(HEMO)測定及び分析機能、並びに非侵襲性血圧、酸素飽和度、心拍数などのような生体データ収集を行うと共に、電圧データ測定のような電気生理学的(EP)測定及び分析、並びに無線周波アブレーション・パラメータのような治療データ収集を行う。更に、システム10は、他の結合された装置からの画像、例えば、X線、超音波、永久的保管画像及び3D心臓マッピング・システムからの画像を受け取るように構成されている。このようなシステムからの画像は処理装置30に結合された同じデータベース内に保存することができる。このような画像がシステム10を使用している処置中に収集される場合、関心のある被検体からの生理学的信号がこれらの画像に付加されて、これにより、ユーザは選択により選択した画像を見ながら、同じ期間に生じた波形を見ることができる。
【0030】
収集したデータの波形が単一のスクリーン及びウィンドウに同時に表示され、個別の表示チャンネル上に最大4つの侵襲性圧力測定値及び128個の心臓内電気生理学的波形が表示される。表示は12リード体表面心電図(ECG)データ、非侵襲性血圧、及び患者の生体状態を決定するためのパルス酸素濃度計のような他の血行動態波形を含む。単一のアプリケーションにより、その事例の始めからその事例の終わりまで各収集点にタイム・スタンプを付して上記の表示データを同時に保存することができる。このセーブしたデータは別個のウィンドウ内の第2のスクリーン上に同時に表示される。システムは、セーブした又は保存したデータセットを表示する別個のウィンドウ又はスクリーン上のデータ・セットを同時に測定し分析することができる。これらの測定値は、基本的な血圧測定値、心臓弁(弁口面積)を横切る血流測定値、1つの室から別の室へ孔を通る血流(分流計算値)、熱希釈心拍出量、心臓内及び体表面心電図(ECG)電圧測定値、並びに電圧、電力、温度及びインピーダンスのような無線周波アブレーション・パラメータを含むことができる。これらの波形の収集は、ユーザによって定められた通りに250Hzから10KHzまでの複数の周波数で行われて、生のモード又はセーブしたモードで1つのスクリーン上に同期して表示される。ユーザは、幾つかの種類の入力装置64を使用することによって増幅、注釈、並列比較、マップなどのようなシステムで利用可能な制御を用いて信号を測定し操作することができる。システムは、圧力及び電気的データ・セット、並びに圧力曲線の傾斜(dp/dt)などのようなより複雑なパラメータを自動的に計算する周知のソフトウエア・アルゴリズムを有する。ユーザは、メモ、測定値、薬剤などが処置を通じて記録される単一のウィンドウ(ログ(log) )を持つ。この能力は、患者の健康のための臨床上の意志決定プロセスにおいてユーザを支援する。これらの(ハード・ドライブ、DVDのような取り出し可能な媒体上に、又はサーバーに)保存された信号は、電子ファイル上に電子的に印刷し、或いはプリンタを使用してハード・コピーとして物理的に印刷することができる。
【0031】
同時に収集された圧力及び電気波形についての血行動態及び電気生理学的分析ツールの両方に同時にアクセスできることによって、ユーザは侵襲性心臓カテーテル挿入及び侵襲性電気生理学的処置のような複数の臨床的処置の間を切れ目なく移行させるか又は統合して、処置を完了する時間を短縮し、また前に述べたアブレーション処置と組み合わせた心臓内の孔の修復のような現在厄介であるか又は困難なワークフローを容易にすることができる。ユーザはまた、完了した事例をより良く文書化し、また両方の種類の処置を含む事例の終わりに患者の状態について単一の合同な記録を持つことができる。
【0032】
システム10は、センサ14,18を使用して、例えば、胸部及び胴体上に配置された表面パッチ、並びに様々なアクセス点(大腿静脈、大腿動脈(HEMO用)、頸静脈など)を介して挿入された身体内カテーテル(血行動態のための中空管及び電気生理学的処置のための閉じたルーメン)を使用して、関心のある被検体から直接にデータ収集する。これらのカテーテルには、圧力及び電圧を記録して、それらを波形に変換するためにセンサ・アレイが取り付けられており、波形はシステム10の表示装置60に表示されて、ユーザが視覚できるようにする。ユーザはシステム10を使用することにより、記録されたデータ・セットを分析して、患者の健康状態を確かめ且つ臨床的判断を行う。最後に、システムは処置についての包括的な報告書を作成し、この報告書は印刷し、ディジタル的に記憶し、また永久的保管のために病院情報システムへ送ることができる。
【0033】
処置中に得られるデータには、圧力の波形、圧力測定値のような事項の計算、弁ついての計算、分流の計算、X線画像のスナップ写真、超音波画像のスナップ写真又は超音波画像のループ(動画)、A−H及びH−V(信号が心房内の洞結節から心室へ伝わるのに掛かる時間)のような電気生理学的測定値を含むことができ、このデータは、最初はバッファ内のハード・ドライブに記憶し、CPU処理電力が利用可能になったとき、データを取出し可能な媒体(例えば、DVD)に記憶させ、またオプションとして、サーバーに書き込むことができる。
【0034】
本明細書での説明のために、用語「結合」とは、2つの(電気的又は機械的)構成部品が互いに直接に又は間接的につなぎ合わされることを意味する。このようなつなぎ合わせは、事実上不動であっても、事実上可動であってもよい。このようなつなぎ合わせは2つの(電気的又は機械的)構成部品と任意の付加的な中間部材とにより達成することができ、この場合、それらの任意の付加的な中間部材は、互いと、又は2つの構成部品と、又は互いに取り付けられている2つの構成部品及び任意の1つの付加的な部材と単一の一体物として一体に構成される。このようなつなぎ合わせは、事実上永久的なものであってよく、またその代わりに、事実上取外し可能又は解放可能であってもよい。
【0035】
本発明の開示を実施例について説明したが、当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに形態及び細部を変更し得ることが認められよう。例えば、1つ以上の利点を与える1つ以上の特徴を含むものとして異なる実施例を説明したかもしれないが、記載した特徴を互いに交換し、或いは記載した実施例において又は代替の他の実施形態において互いに組み合わせることができると考えられる。本発明開示の技術は比較的複雑であるので、該技術の全ての変更を予測することはできない。実施例について詳述した本発明の開示はできる限り広くすることを目的とする。例えば、特別な注記がなければ、一つの特定の素子は複数のこのような特定の素子を含むように変えることもできる。
【0036】
また大切なこととして、好ましい及び他の模範的な実施形態で示された素子の構成及び配置が単に例として示したものに過ぎないことに留意されたい。本書では幾つかの実施形態のみを詳しく説明したが、当業者には、本書を検討すれば、開示内容の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく多数の修正(例えば、様々な素子の大きさ、寸法、構造、形状及び割合、パラメータの値、取り付け装置、材料の使用法、カラー、配置方向などを変えること)が可能であることが理解されよう。例えば、一体に形成されているものとして示した素子を複数の部品で構成することができ、又は複数の部品として示した素子を一体に形成することができ、またアセンブリの動作を逆にし、さもなければ変えることができ、またシステムの構造及び/又は部材又はコネクタ又は他の素子の長さ又は幅を変えることができ、また素子間に設けられた調節位置又は取付け位置の性質又は数を変えることができる。ここで、システムの素子及び/又はアセンブリは充分な強度又は耐久性を与える広範な材料の任意のもので構成することができることに留意されたい。従って、全てのこのような修正は本発明開示の範囲内に含まれるものである。好ましい及び他の模範的な実施形態の設計、動作条件及び配置構成について、本発明開示内容の精神から逸脱することなく、その他の置換、修正、変更及び省略を行うことができる。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】関心のある被検体からの電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視し処理するための単一収集診断用監視システムの模範的な一実施形態の概略図である。
【図2】関心のある被検体からの電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視し処理するためのツールの模範的な一実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0038】
5 電気生理学的データ・セット
7 血行動態データ・セット
10 単一ディジタル収集システム
12 第1のモジュール
14 第1のセンサ
16 第2のモジュール
18 第2のセンサ
20 基部装置
22 アナログ出力回路
24 アナログ/ディジタル回路
30 処理装置
32 所定のフィルタ
34 フィルタ
40 クロック
60 表示装置
62 記憶装置
64 入力装置
70 ソフトウエア・ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心のある被検体からの電気生理学的データ及び血行動態(7)生理学的データを監視するための単一収集診断用監視システム(10)であって、
関心のある被検体に結合された複数の第1のセンサ(14)を介して電気生理学的データを受け取るように構成されている第1のモジュール(12)と、
前記被検体に結合された複数の第2のセンサ(18)を介して血行動態(7)生理学的データを受け取るように構成されている第2のモジュール(16)と、
各モジュール(12,16)に結合されていて、各モジュール(12,16)に電力を供給し、各モジュール(12,16)からデータを受け取り、且つ各モジュール(12,16)からのデータを一緒に同期化するように構成されている基部装置(20)と、
前記基部装置(20)に結合されていて、前記基部装置(20)から同期化された電気生理学的及び血行動態生理学的データを受け取り、該同期化されたデータを単一のデータベースに組み合わせ、且つ更に使用するために前記同期化され処理されたデータを伝送するように構成されている処理装置と、
を有している単一収集診断用監視システム(10)。
【請求項2】
前記基部装置(20)及び前記処理装置に結合されていて、前記処理装置から受け取った所定のフィルタ(32)を処理済みのデータに適用するように構成されているアナログ出力回路(22)を含んでいる請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記処理装置に対して利用可能であるような、低域通過フィルタと、高域通過フィルタと、低域通過及び高域通過の組合せフィルタとよりなる群(34)から所定のフィルタ(32)を作成するように構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記モジュール(12,16)、基部装置(20)及び処理装置の各々がクロック(40)を含み、これらの全てのクロック(40)が通信プロトコルにより同期化されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置及び基部装置(20)は有線ケーブル及び無線ネットワークの一方によって結合されている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記モジュール(12,16)の各々は、前記基部装置(20)にデータを伝送する前に、前記センサ(14,18)から受け取ったデータを処理するために、アナログ−ディジタル変換器を含んでいる、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記処理装置に結合された表示装置(60)であって、関心のある被検体からの実時間波形データ、関心のある被検体の保存された波形データ、及び関心のある被検体の生の又はセーブした生理学的画像を同時に表示するように構成されている表示装置(60)を含んでいる請求項1記載のシステム。
【請求項8】
処理装置を使用して関心のある被検体の電気生理学的データ及び血行動態生理学的データを監視するためのツールであって、
関心のある被検体から電気生理学的データ・セット(5,7)を受け取る手段と、
関心のある被検体から血行動態生理学的データ・セット(5,7)を受け取る手段と、 前記の2つのデータ・セット(5,7)を同期化する手段と、
処理装置内で前記同期化されたデータ・セットを組み合わせて単一のデータベースを生成する手段であって、前記単一のデータベースが更に使用するために利用可能である当該手段と、
を有しているツール。
【請求項9】
前記処理装置内にフィルタ(34)を設ける手段と、前記フィルタ(34)に前記同期化されたデータ・セット(5,7)を適用する手段とを含んでいる請求項8記載のツール。
【請求項10】
前記処理装置に結合された表示装置(60)であって、関心のある被検体からの実時間波形データ、関心のある被検体の保存された波形データ、及び関心のある被検体の生の又はセーブした生理学的画像を同時に表示するように構成されている表示装置(60)を含んでいる請求項8記載のツール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−307365(P2007−307365A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124094(P2007−124094)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】