説明

自動ゲインコントロール回路及び受信回路

【課題】増幅回路のバンドパスフィルタ特性と自動ゲインコントロールとを両立して実現できる自動ゲインコントロール回路、受信回路の提供。
【解決手段】自動ゲインコントロール回路はバンドパスフィルタの周波数特性を有し、入力信号が入力され、入力信号を増幅して出力信号を出力する増幅回路61と、出力信号に基づいて増幅回路61のゲインをコントロールする制御信号を出力する制御回路70と、カットオフ周波数制御回路100とを含む。増幅回路61は、その第1の入力端子に入力信号が入力される第1のオペアンプと、その第1の入力端子に第1のオペアンプの出力が入力され、その出力がその第2の入力端子及び第1のオペアンプの第2の入力端子に入力されるボルテージフォロワ接続の第2のオペアンプとを含む。カットオフ周波数制御回路100は、制御回路70からの制御信号に基づいて、第1のオペアンプ及び第2のオペアンプの少なくとも一方のカットオフ周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ゲインコントロール回路及び受信回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば無線信号等の信号を受信する受信回路では、受信信号を増幅するための増幅回路が設けられる。このような増幅回路では、受信信号の信号強度が変化した場合に、信号強度に応じて増幅回路のゲインを制御できることが望ましい。一方、増幅回路に、所望周波数成分だけを選択的に抽出するバンドパスフィルタ特性を持たせれば、S/N比の向上を期待できる。
【0003】
しかしながら、従来は、このような自動ゲインコントロールとバンドパスフィルタ特性とを両立して実現できる増幅回路については提案されていなかった。
【0004】
また従来より、スマートキーの携帯機を所持したユーザが車に近づくと、ID認証を行い、正規なユーザであることが確認されると、車のドアをアンロックするスマートエントリシステムが知られている(特許文献1)。
【0005】
このスマートエントリシステムでは、車載機は、LF帯域のASK変調の信号を送信する。携帯機を所持したユーザが車に近づき、携帯機のアンテナ部がこの信号の電界を検知し、携帯機の受信部が車載機からのリクエスト信号を受信すると、携帯機の送信部がIDコードを送信する。そしてIDコードが一致すると、車のドアのアンロック等が行われるようになる。
【0006】
この携帯機の受信部には受信信号を増幅するための増幅回路が設けられているが、実際に使用される場面では、車載機と携帯機との距離が一定ではないために、受信信号の信号強度がその距離に応じて大きく変化する。そのために、信号強度に応じて増幅回路のゲインを制御しなければならないという課題がある。
【特許文献1】特開2006−37493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、増幅回路のバンドパスフィルタ特性と自動ゲインコントロールとを両立して実現できる自動ゲインコントロール回路及びこれを含む受信回路等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、バンドパスフィルタの周波数特性を有し、入力信号が入力され、前記入力信号を増幅して出力信号を出力する増幅回路と、前記出力信号に基づいて、前記増幅回路のゲインをコントロールする制御信号を出力する制御回路と、カットオフ周波数制御回路とを含み、前記増幅回路は、その第1の入力端子に前記入力信号が入力される第1のオペアンプと、その第1の入力端子に前記第1のオペアンプの出力が入力され、その出力がその第2の入力端子及び前記第1のオペアンプの第2の入力端子に入力されるボルテージフォロワ接続の第2のオペアンプとを含み、前記カットオフ周波数制御回路は、前記制御回路からの前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプ及び前記第2のオペアンプの少なくとも一方のカットオフ周波数を制御することを特徴とする自動ゲインコントロール回路に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、第1のオペアンプの出力が、ボルテージフォロワ接続の第2のオペアンプを介して、第1のオペアンプの第2の入力端子にフィードバックされることで、例えば増幅回路のバンドパスフィルタ特性を実現できる。また、これらの第1、第2のオペアンプのカットオフ周波数が制御回路からの制御信号により制御されることで、増幅回路の自動ゲインコントロールが実現される。これにより、増幅回路のバンドパスフィルタ特性と自動ゲインコントロールとを両立して実現することが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記カットオフ周波数制御回路は、前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御を行うことによって、前記増幅回路の所望周波数でのゲインを下げてもよい。
【0011】
このようにすれば、第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御により増幅回路のバンドパスフィルタの周波数特性を変化させて、増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることで、自動ゲインコントロールを実現できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記カットオフ周波数制御回路は、前記制御信号に基づいて、前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を行うことによって、前記増幅回路の前記所望周波数でのゲインを下げてもよい。
【0013】
このようにすれば、第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御により増幅回路のバンドパスフィルタの周波数特性を変化させて、増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることで、自動ゲインコントロールを実現できる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記カットオフ周波数制御回路は、前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御を行うと共に、前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を行うことによって、前記増幅回路の前記所望周波数でのゲインを下げてもよい。
【0015】
このようにすれば、第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御と第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御により増幅回路のバンドパスフィルタの周波数特性を変化させて、増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることで、自動ゲインコントロールを実現できる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記カットオフ周波数制御回路は、前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数と前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を共に下げる制御を行うことによって、前記増幅回路の前記所望周波数でのゲインを下げてもよい。
【0017】
このようにすれば、第1、第2のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御により増幅回路のバンドパスフィルタの周波数特性を変化させて、増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることで、自動ゲインコントロールを実現できる。
【0018】
また本発明の一態様では、カットオフ周波数制御回路は、基準電流生成回路と、第1のバイアス電圧生成回路と、第2のバイアス電圧生成回路とを含み、前記第1のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づいて生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して前記第1のオペアンプに供給し、前記第2のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流の電流値に対応する一定の電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して前記第2のオペアンプに供給してもよい。
【0019】
このように、基準電流から制御信号に応じた電流を減算することで得られる第1のバイアス電圧を、第1のオペアンプに供給することで、第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御を実現できる。
【0020】
また本発明の一態様では、カットオフ周波数制御回路は、基準電流生成回路と、第1のバイアス電圧生成回路と、第2のバイアス電圧生成回路とを含み、前記第1のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流の電流値に対応する一定の電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して前記第1のオペアンプに供給し、前記第2のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流に、前記制御信号に基づいて生成された電流を加算した電流値に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して前記第2のオペアンプに供給してもよい。
【0021】
このように、基準電流に制御信号に応じた電流を加算することで得られる第2のバイアス電圧を、第2のオペアンプに供給することで、第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を実現できる。
【0022】
また本発明の一態様では、カットオフ周波数制御回路は、基準電流生成回路と、第1のバイアス電圧生成回路と、第2のバイアス電圧生成回路とを含み、前記第1のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づいて生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して前記第1のオペアンプに供給し、前記第2のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流に、前記制御信号に基づいて生成された電流を加算した電流値に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して前記第2のオペアンプに供給してもよい。
【0023】
このように、基準電流から制御信号に応じた電流を減算することで得られる第1のバイアス電圧を、第1のオペアンプに供給し、基準電流に制御信号に応じた電流を加算することで得られる第2のバイアス電圧を、第2のオペアンプに供給することで、第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御と、第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を実現できる。
【0024】
また本発明の一態様では、カットオフ周波数制御回路は、基準電流生成回路と、第1のバイアス電圧生成回路とを含み、前記第1のバイアス電圧生成回路は、前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づいて生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつバイアス電圧を生成して前記第1のオペアンプと前記第2のオペアンプに供給してもよい。
【0025】
このように、基準電流から制御信号に応じた電流を減算することで得られるバイアス電圧を、第1、第2のオペアンプに供給することで、第1のオペアンプのカットオフ周波数と第2のオペアンプのカットオフ周波数を共に下げる制御を実現できる。
【0026】
また本発明の一態様では、第1のオペアンプに流れる第1のバイアス電流をIB1とし、前記第2のオペアンプに流れる第2のバイアス電流をIB2とした場合に、IB1>IB2に設定することで前記バンドパスフィルタの周波数特性を持たせた前記増幅回路を含んでもよい。
【0027】
このようにすれば、第1のオペアンプは高周波数帯域でも動作する高速なオペアンプとなり、第2のオペアンプは低周波数帯域でしか動作しない低速なオペアンプとなるから、増幅回路にバンドパスフィルタの周波数特性を持たせることが可能になる。
【0028】
また本発明の一態様では、前記バンドパスフィルタの低周波数側のカットオフ周波数は、前記第2のオペアンプの出力インピーダンスと前記第2のオペアンプの出力ノードの負荷容量とにより設定され、前記バンドパスフィルタの高周波数側のカットオフ周波数は、前記第1のオペアンプの出力インピーダンスと前記第1のオペアンプの出力ノードの負荷容量とにより設定されてもよい。
【0029】
このようにすれば、第2のオペアンプの出力インピーダンスや負荷容量を調整することで、バンドパスフィルタの低周波数側のカットオフ周波数を設定し、第1のオペアンプの出力インピーダンスや負荷容量を調整することで、バンドパスフィルタの高周波数側のカットオフ周波数を設定することができる。
【0030】
また本発明の一態様では、前記ゲイン設定部は、前記第1のオペアンプの出力と前記第1のオペアンプの前記第2の入力端子との間に設けられる第1のキャパシタと、前記第2のオペアンプの出力と低電位側電源ノードとの間に設けられる第2のキャパシタを含んでもよい。
【0031】
このようにすれば、第1、第2のキャパシタの容量比で、例えばバンドパスフィルタの中心周波数での増幅回路のゲイン等を設定できる。
【0032】
また本発明の一態様では、前記第1のオペアンプのオフセット電圧をVOF1とし、前記第2のオペアンプのオフセット電圧をVOF2とした場合に、VOF1>VOF2に設定されてもよい。
【0033】
このようにすれば、増幅回路のオフセット電圧を最小限に抑えることが可能になり、動作点のシフトの防止と低消費電力化を両立できる。
【0034】
また本発明の一態様では、前記第1のオペアンプを構成する差動対トランジスタのゲート長をL1、ゲート幅をW1とし、前記第2のオペアンプを構成する差動対トランジスタのゲート長をL2、ゲート幅をW2とした場合に、L1×W1<L2×W2に設定されてもよい。
【0035】
このようにすれば差動対トランジスタのゲート長やゲート幅の設定で、オフセット電圧にVOF1>VOF2の関係を成り立たせることが可能になる。
【0036】
また本発明の一態様では、前記第2のオペアンプがレール・ツー・レール型のオペアンプにより構成されてもよい。
【0037】
このようにすれば、第2のオペアンプにより、小信号振幅の動作点を中心に上側も下側もバランス良く信号増幅できるようになる。この結果、第1のオペアンプの出力からその反転入力端子への信号のフィードバックのアンバランスを軽減でき、動作点がシフトしてしまうなどの事態を防止できる。
【0038】
また本発明の一態様では、前記第1のオペアンプは差動部により構成され、前記第2のオペアンプは第1、第2の差動部により構成され、前記第1のオペアンプの前記差動部の出力は、前記第2のオペアンプの前記第1、第2の差動部の第1の入力端子に接続され、前記第1の差動部の出力と第2の差動部の出力は共通接続されると共に、前記第1、第2の差動部の出力は、前記第1、第2の差動部の第2の入力端子に接続されてもよい。
【0039】
このようにすれば、第1のオペアンプを差動部により構成し、第2のオペアンプを第1、第2の差動部により構成できるため、回路規模を小さくでき、低消費電力化を図れる。また第1、第2の差動部により、動作点を中心に上側も下側もバランス良く信号増幅できるため、第1のオペアンプの出力から反転入力端子への信号のフィードバックのアンバランスを軽減できる。
【0040】
また本発明の一態様では、前記第1のオペアンプの前記差動部は、カレントミラー回路と、一方のトランジスタのゲートに前記入力信号が入力され、他方のトランジスタのゲートに前記第1、第2の差動部の出力が接続される差動対トランジスタと、前記カレントミラー回路及び前記差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給する電流源トランジスタとを含み、前記第2のオペアンプの前記第1の差動部は、P型トランジスタにより構成される第1のカレントミラー回路と、一方のN型トランジスタのゲートに前記差動部の出力が接続され、他方のN型トランジスタのゲートに前記第1及び第2の差動部の出力が接続される第1の差動対トランジスタと、前記第1のカレントミラー回路及び前記第1の差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給し、N型トランジスタにより構成される第1の電流源トランジスタを含み、前記第2のオペアンプの前記第2の差動部は、N型トランジスタにより構成される第2のカレントミラー回路と、一方のP型トランジスタのゲートに前記差動部の出力が接続され、他方のP型トランジスタのゲートに前記第1及び第2の差動部の出力が接続される第2の差動対トランジスタと、前記第2のカレントミラー回路及び前記第2の差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給し、P型トランジスタにより構成される第2の電流源トランジスタを含んでもよい。
【0041】
このようにすれば、第1、第2の差動部を用いたレール・ツー・レール型のオペアンプを、簡素な回路構成で実現できると共に、消費電力の軽減も容易になる。
【0042】
また本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の自動ゲインコントロール回路と、受信信号を受けるハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタの出力信号のDCレベルシフトを行うDCレベルシフタとを含む受信回路に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0044】
1.基本的な構成例
図1に本実施形態の自動ゲインコントロール回路の基本的な構成例を示す。なお本実施形態の自動ゲインコントロール回路は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えばゲイン設定部)を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0045】
図1の自動ゲインコントロール回路は、増幅回路61と制御回路70とカットオフ周波数制御回路100を含む。また増幅回路61は、第1のオペアンプOPC1と第2のオペアンプOPC2とゲイン設定部63を含む。
【0046】
増幅回路61はバンドパスフィルタの周波数特性を有し、入力信号INを増幅し、増幅後の信号OUTを出力する。具体的には、増幅回路61は所望周波数である入力信号INの搬送波の周波数帯域(例えば120〜140KHz)を中心周波数とするバンドパスフィルタ特性を有する。
【0047】
制御回路70は、増幅回路61の出力信号OUTの振幅(振幅の大きさ)に応じて、増幅回路61のゲインをコントロールするための制御信号VCを出力する。
【0048】
カットオフ周波数制御回路100は、制御信号VCに基づいて、第1のオペアンプOPC1及び第2のオペアンプOPC2の少なくとも一方のカットオフ周波数を制御する。
【0049】
ここで第1のオペアンプOPC1は、その非反転入力端子(広義には第1の入力端子)に入力信号INが入力される。第2のオペアンプOPC2は、その非反転入力端子(広義には第1の入力端子)にオペアンプOPC1の出力OUTが入力され、その出力がその反転入力端子(広義には第2の入力端子)及びオペアンプOPC1の反転入力端子(広義には第2の入力端子)に入力される。即ちOPC2はボルテージフォロワ接続のオペアンプとなっている。
【0050】
ゲイン設定部63は、増幅回路61のゲインを設定するものであり、第1、第2のキャパシタCC1、CC2を含む。具体的には第1のキャパシタCC1は、オペアンプOPC1の出力とOPC1の反転入力端子(第2の入力端子)との間に設けられる。また第2のキャパシタCC2は、オペアンプOPC2の出力とVSS(広義には第1の電源)との間に設けられる。なおゲイン設定部63の構成は本構成例に限定されず、その接続関係を変更したり回路要素を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0051】
本実施形態では、例えばオペアンプOPC1として高速なオペアンプを用い、オペアンプOPC2として低速なオペアンプを用いる。具体的には例えばオペアンプOPC1に流れるバイアス電流を、オペアンプOPC2に流れるバイアス電流よりも大きくしたり、オペアンプOPC1を構成するトランジスタのゲート長を小さくする。即ちオペアンプOPC1として、高周波数帯域でも動作する高速なオペアンプを採用し、オペアンプOPC2として、低周波数帯域でしか動作しない低速なオペアンプを採用する。このようにすることで、増幅回路61にバンドパスフィルタの周波数特性を持たせることが可能になる。
【0052】
図2を用いて、増幅回路61が有するバンドパスフィルタ特性について説明する。例えば図2において、GF1はオペアンプOPC1のゲイン対周波数特性、GF2はオペアンプOPC2のゲイン対周波数特性、GF3はOPC2を介して出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性、GF4は増幅回路61のゲイン対周波数特性を表す。オペアンプOPC2は、バイアス電流IB2が小さい低速なオペアンプであり、GF2に示すようなローパスフィルタの特性を有する。従ってオペアンプOPC2は、そのカットオフ周波数fc3よりも低い周波数帯域では、そのゲインが1のボルテージフォロワ接続のオペアンプとして機能するが、fc3よりも十分に高い周波数帯域では、ボルテージフォロワ接続のオペアンプとして機能しなくなる。
【0053】
カットオフ周波数fc3よりも低い周波数帯域では、OPC2がボルテージフォロワ接続のオペアンプとして機能する。従って、オペアンプOPC1の出力信号OUTが、ボルテージフォロワ接続のオペアンプOPC2を介して、OPC1の反転入力端子にフィードバックされる。従って、結局、OPC1もボルテージフォロワ接続のオペアンプとして機能し、図2のA1に示すように増幅回路61のゲインはほぼ1に設定される。
【0054】
そして信号周波数が高くなり、図2のA2のようにオペアンプOPC2のゲインGF2が下がって行くと、OPC2がボルテージフォロワ接続のオペアンプとしては徐々に機能しなくなる。これによりA3に示すように増幅回路61のゲインGF4は徐々に上昇する。
【0055】
そして信号周波数がオペアンプOPC2のカットオフ周波数fc3よりも十分に高くなると、OPC2はボルテージフォロワ接続のオペアンプとしては全く機能しなくなり、OPC2はその存在が無いものと同然になる。すると、増幅回路61は、オペアンプOPC1とキャパシタCC1、CC2とで構成される回路と同等になる。従って、キャパシタCC1、CC2の容量をCA1、CA2とすると、増幅回路61のゲインはGF1=CA1/CA2に設定される。即ち図2のA4に示すように、バンドパスフィルタ特性のピークの周波数fd(所望信号、搬送波の周波数)におけるゲインは、GF1=CA1/CA2に設定される。そして信号周波数が周波数fdよりも高くなると、A5に示すように増幅回路61のゲインGF4は徐々に減少する。このようにして、A3、A4、A5に示すバンドパスフィルタの周波数特性が設定される。
【0056】
このように本実施形態では、オペアンプOPC1としてそのバイアス電流が大きな高速のオペアンプを使用し、オペアンプOPC2としてそのバイアス電流が小さな低速のオペアンプを使用しているため、図2に示すようなバンドパスフィルタ特性を実現できる。これにより、所望信号(搬送波)の周波数fdの帯域の信号だけを通過させ、ノイズ信号等の他の周波数帯域の信号を除去できるため、S/N比等を向上できる。また増幅回路61に対して、増幅機能とバンドパスフィルタ機能の両方を持たせることができる。従って、増幅回路61と別個にバンドパスフィルタを設ける必要がないため、回路の小規模化を図れると共に、回路要素を減らすことで低消費電力化も図れる。
【0057】
スマートエントリシステムでは、車載機からの信号は無線でスマートキーの携帯機(電子機器)に送信されるため、車載機と携帯機との間の距離に応じて受信信号の振幅が、例えば1mV〜数百mVというように大きく変動する。従って受信信号の振幅が変動した場合にも、増幅回路61の出力信号OUTの振幅が一定になるようにゲインを自動調整する必要がある。
【0058】
本実施形態では、入力信号INが最小の場合(例えば1mV)に、その時の信号振幅で適正な信号増幅ができるとともに、消費電流を最小限に抑えられるように、増幅回路61が最適設計される。そして入力信号INの振幅が増加すると、制御信号VCの電圧もそれに応じて増加し、カットオフ周波数制御回路100は制御信号VCの電圧の変化を受けて、オペアンプOPC1へ供給するバイアス電圧VB1と、オペアンプOPC2へ供給するバイアス電圧VB2の両方又はどちらか一方を変化させる。
【0059】
上述したように、バイアス電圧VB1が増加してオペアンプOPC1のバイアス電流IB1が増加すると、OPC1のカットオフ周波数が高くなる。逆に、VB1が減少してIB1が減少すると、OPC1のカットオフ周波数が低くなる。また同様にバイアス電圧VB2が増加してオペアンプOPC2のバイアス電流IB2が増加すると、OPC2のカットオフ周波数が高くなる。逆に、VB2が減少してIB2が減少すると、OPC2のカットオフ周波数が低くなる。
【0060】
このようにしてバイアス電圧VB1、VB2を変化させることにより、OPC1とOPC2のカットオフ周波数を変化させることができる。上述したように、増幅回路61のバンドパスフィルタの周波数特性はOPC1とOPC2のカットオフ周波数により設定されるから、結果としてバイアス電圧VB1、VB2を変化させることにより所望周波数fdでのゲインを制御することができる。
【0061】
具体的には、例えば図3に本実施形態によるゲイン制御の第1の手法を示す。図3において、GF1a〜GF1cはオペアンプOPC1のゲイン対周波数特性、GF2はオペアンプOPC2のゲイン対周波数特性、GF3はOPC2を介して出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性、GF4a〜GF4cは増幅回路61のゲイン対周波数特性を表す。
【0062】
図3に示す手法では、入力信号INの振幅が増加すると、カットオフ周波数制御回路100はオペアンプOPC1のカットオフ周波数を下げる制御を行って所望周波数fd(例えば受信信号の搬送波の周波数)でのゲインを低下させる。例えば入力信号INが最小の場合に所望周波数fdでのゲインが最大(図3のB3に示す)となるようにOPC1のカットオフ周波数が設定されている。このときのOPC1のゲイン対周波数特性はGF1aであり、増幅回路61のゲイン対周波数特性はGF4aである。ここでOPC1のカットオフ周波数が下がると、OPC1の高周波数側の減衰特性はB1、B2に示すように変化する。この変化に対応して増幅回路61の特性もB1、B2に示すように変化する。結果として所望周波数fdでのゲインはB3に示す最大値からB4へ、さらにB5へと減少する。
【0063】
以上説明したように、図3に示す手法によれば、入力信号INの振幅が最小値より大きくなるにしたがって、オペアンプOPC1のカットオフ周波数を下げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで低下させることができる。
【0064】
なお、上述した状況とは反対に、入力信号INの振幅が大きな値から減少していく場合には、上記の制御の逆の制御すなわちオペアンプOPC1のカットオフ周波数を上げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで上昇させることができる。
【0065】
図4に本実施形態によるゲイン制御の第2の手法を示す。図4において、GF1はオペアンプOPC1のゲイン対周波数特性、GF2a〜GF2cはオペアンプOPC2のゲイン対周波数特性、GF3a〜GF3cはOPC2を介して出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性、GF4a〜GF4cは増幅回路61のゲイン対周波数特性を表す。
【0066】
図4に示す手法では、入力信号INの振幅が増加すると、カットオフ周波数制御回路100はオペアンプOPC2のカットオフ周波数を上げる制御を行って所望周波数fdでのゲインを低下させる。例えば入力信号INが最小の場合に所望周波数fdでのゲインが最大(図4のC3に示す)となるようにOPC2のカットオフ周波数が設定されている。このときのOPC2のゲイン対周波数特性はGF2aであり、出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性はGF3aであり、増幅回路61のゲイン対周波数特性はGF4aである。ここでOPC2のカットオフ周波数が上がると、OPC2の高周波数側の減衰特性はC1、C2に示すように変化する。この変化に対応してフィードバックによるOPC1の特性もC6、C7に示すように変化するから、増幅回路61の特性もC6、C7に示すように変化する。結果として所望周波数fdでのゲインはC3に示す最大値からC4へ、さらにC5へと減少する。
【0067】
以上説明したように、図4に示す手法によれば、入力信号INの振幅が最小値より大きくなるにしたがって、オペアンプOPC2のカットオフ周波数を上げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで低下させることができる。
【0068】
なお、上述した状況とは反対に、入力信号INの振幅が大きな値から減少していく場合には、上記の制御の逆の制御すなわちオペアンプOPC2のカットオフ周波数を下げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで上昇させることができる。
【0069】
図5に本実施形態によるゲイン制御の第3の手法を示す。図5において、GF1a〜GF1cはオペアンプOPC1のゲイン対周波数特性、GF2a〜GF2cはオペアンプOPC2のゲイン対周波数特性、GF3a〜GF3cはOPC2を介して出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性、GF4a〜GF4cは増幅回路61のゲイン対周波数特性を表す。
【0070】
図5に示す手法では、入力信号INの振幅が増加すると、カットオフ周波数制御回路100はオペアンプOPC1のカットオフ周波数を下げる制御を行うとともに、オペアンプOPC2のカットオフ周波数を上げる制御を行って所望周波数fdでのゲインを低下させる。例えば入力信号INが最小の場合に所望周波数fdでのゲインが最大(図5のD3に示す)となるようにOPC1とOPC2の各々のカットオフ周波数が設定されている。このときのOPC1のゲイン対周波数特性はGF1aであり、OPC2のゲイン対周波数特性はGF2aであり、出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性はGF3aであり、増幅回路61のゲイン対周波数特性はGF4aである。ここでOPC1のカットオフ周波数が下がると、OPC1の高周波数側の減衰特性はD1、D2に示すように変化する。また、OPC2のカットオフ周波数が上がると、OPC2の高周波数側の減衰特性はD6、D7に示すように変化し、この変化に対応してフィードバックによるOPC1の特性もD8、D9に示すように変化する。結果として、増幅回路61の特性はD1、D2に示す変化とD8、D9に示す変化を重ねたものになるから、所望周波数fdでのゲインはD3に示す最大値からD4へ、さらにD5へと減少する。
【0071】
なお、上述した状況とは反対に、入力信号INの振幅が大きな値から減少していく場合には、上記の制御の逆の制御すなわちオペアンプOPC1のカットオフ周波数を上げるとともに、オペアンプOPC2のカットオフ周波数を下げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで上昇させることができる。
【0072】
図6に本実施形態によるゲイン制御の第4の手法を示す。図6において、GF1a〜GF1cはオペアンプOPC1のゲイン対周波数特性、GF2a〜GF2cはオペアンプOPC2のゲイン対周波数特性、GF3a〜GF3cはOPC2を介して出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性、GF4a〜GF4cは増幅回路61のゲイン対周波数特性を表す。
【0073】
図6に示す手法では、入力信号INの振幅が増加すると、カットオフ周波数制御回路100はオペアンプOPC1のカットオフ周波数とオペアンプOPC2のカットオフ周波数を共に下げる制御を行って所望周波数fdでのゲインを低下させる。例えば入力信号INが最小の場合に所望周波数fdでのゲインが最大(図6のE3に示す)となるようにOPC1とOPC2の各々のカットオフ周波数が設定されている。このときのOPC1のゲイン対周波数特性はGF1aであり、OPC2のゲイン対周波数特性はGF2aであり、出力信号OUTがフィードバックされた場合のOPC1のゲイン対周波数特性はGF3aであり、増幅回路61のゲイン対周波数特性はGF4aである。ここでOPC1のカットオフ周波数が下がると、OPC1の高周波数側の減衰特性はE1、E2に示すように変化する。また、OPC2のカットオフ周波数が下がると、OPC2の高周波数側の減衰特性はE6、E7に示すように変化し、この変化に対応してフィードバックによるOPC1の特性もE8、E9に示すように変化する。結果として、増幅回路61の特性はE1、E2に示す変化とE8、E9に示す変化を重ねたものになるから、所望周波数fdでのゲインはE3に示す最大値からE4へ、さらにE5へと減少する。
【0074】
この図6に示す手法は、2つのオペアンプOPC1、OPC2のカットオフ周波数を共に下げる制御を行うから、初期状態の特性GF4aをそのまま低周波数側へ平行移動するものと考えてもよい。したがって増幅回路61のバンドパスフィルタ特性のピークの位置は図6のE3、E10、E11に示すように低周波数側に移動する。
【0075】
なお、上述した状況とは反対に、入力信号INの振幅が大きな値から減少していく場合には、上記の制御の逆の制御すなわちオペアンプOPC1とOPC2のカットオフ周波数を共に上げることによって所望周波数fdでのゲインを適正な値まで上昇させることができる。
【0076】
以上図3乃至図6によって説明した4つの手法のうち、第1の手法(図3)と第2の手法(図4)は2つのオペアンプOPC1、OPC2のうち一方のカットオフ周波数のみを制御すればよいので、ゲイン設定が容易である。しかし、ゲインを下げるにつれて、所望周波数がバンドパスフィルタ特性の中心周波数からずれてしまい、S/N比が低下するという欠点がある。また、第4の手法(図6)はゲインのピーク値を維持したままバンドパスフィルタ特性を低周波数側へ平行移動したものであるから、やはりS/N比が低下するという欠点がある。これに対して、第3の手法(図5)はバンドパスフィルタ特性の中心周波数をずらさずにゲインだけを下げることができるから、高いS/N比を維持しながら自動ゲインコントロールを実現できる。ただしこの第3の手法は2つのオペアンプのカットオフ周波数を同時に制御しなければならないから、他の手法に比べてゲイン設定が複雑になる。
【0077】
以上説明したように、図1に示した本実施形態の基本的な構成例では、増幅回路61にバンドパスフィルタ特性を持たせることができるから、所望周波数成分を選択的に通過させて、ノイズ成分を除去することでS/N比を向上させることができる。さらに入力信号の振幅が変化した場合にも増幅回路61の出力信号の振幅が一定になるように、増幅回路61のゲインを自動的にコントロールすることができる。
【0078】
2.カットオフ周波数制御回路
図7〜図10に本実施形態のカットオフ周波数制御回路100の詳細な構成例を示す。なお本実施形態のカットオフ周波数制御回路100は図7〜図10の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0079】
図7にカットオフ周波数制御回路100の第1の構成例を示す。本構成例のカットオフ周波数制御回路100は、第1、第2のバイアス電圧生成回路101、102及び基準電流生成回路103を含む。本構成例は、上述した第1のゲイン制御手法(図3)を用いる。
【0080】
具体的には、第1のバイアス電圧生成回路101は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFから、制御信号VCに基づいて生成された電流ICを減算した電流値(IREF−IC)に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧VB1を生成してオペアンプOPC1に供給する。また、第2のバイアス電圧生成回路102は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFの電流値に対応する一定の電圧値をもつ第2のバイアス電圧VB2を生成してオペアンプOPC2に供給する。
【0081】
すなわち、入力信号INの振幅が増大すると制御信号VCの電圧が上がり、VCに基づいて生成された電流ICも増加するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は減少し、結果としてOPC1に供給されるバイアス電圧VB1が下がる。逆に入力信号INの振幅が減少すると制御信号VCの電圧が下がり、VCに基づいて生成された電流ICも減少するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は増加し、結果としてOPC1に供給されるバイアス電圧VB1が上がる。一方、OPC2に供給されるバイアス電圧VB2は、VCの変化に関わらず基準電流IREFの電流値に対応する一定の電圧値を維持する。
【0082】
より具体的には、例えば図7に示すように、第1の構成例におけるカットオフ周波数制御回路100はP型トランジスタTP1〜TP3、TP5及びTP6と、N型トランジスタTN1〜TN6を含む。TP6とTN6は一定のバイアス電圧VRに応じた基準電流IREFを生成する。制御回路70から出力された制御信号VCはTN1のゲートに供給されて、TP1とTN1にはVCに対応した電流ICが流れる。TP1とTP2はカレントミラー回路を構成しているから、TP2とTN2にはICと等しい電流値をもつ電流IC1が流れる。さらに、TN2とTN3もカレントミラー回路を構成しているから、TN3にはIC1と等しい電流値をもつ電流ID1が流れる。また、TP3とTP6もカレントミラー回路を構成しているから、TP3には基準電流IREFと等しい電流IS1が流れる。ここでIS1はノードN1で電流IA1と電流ID1に分かれるが、電流保存則(キルヒホッフの法則)よりIA1=IS1−ID1が成り立つ。電流IA1はダイオード接続されたTN4を流れるから、結局ノードN1にはIA1(=IREF−IC)に対応する電圧が発生し、これがバイアス電圧VB1となる。
【0083】
一方、TP5とTP6はカレントミラー回路を構成しているから、TP5とTN5には基準電流IREFと等しい電流IS2が流れる。TN5はダイオード接続されているから、結局基準電流IREFに対応する一定の電圧が発生し、これがバイアス電圧VB2となる。
【0084】
以上説明したように、図7に示すカットオフ周波数制御回路100の第1の構成例によれば、上述した第1のゲイン制御手法(図3)によって増幅回路61のゲインを自動的にコントロールすることができる。
【0085】
図8にカットオフ周波数制御回路100の第2の構成例を示す。本構成例のカットオフ周波数制御回路100は、第1、第2のバイアス電圧生成回路101、102及び基準電流生成回路103を含む。本構成例は、上述した第2のゲイン制御手法(図4)を用いる。
【0086】
具体的には、第1のバイアス電圧生成回路101は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFの電流値に対応する一定の電圧値をもつ第1のバイアス電圧VB1を生成してオペアンプOPC1に供給する。また、第2のバイアス電圧生成回路102は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFに、制御信号VCに基づいて生成された電流ICを加算した電流値(IREF+IC)に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧VB2を生成してオペアンプOPC2に供給する。
【0087】
すなわち、入力信号INの振幅が増大すると制御信号VCの電圧が上がり、VCに基づいて生成された電流ICも増加するから、上記の加算した電流値(IREF+IC)は増加し、結果としてOPC2に供給されるバイアス電圧VB2が上がる。逆に入力信号INの振幅が減少すると制御信号VCの電圧が下がり、VCに基づいて生成された電流ICも減少するから、上記の加算した電流値(IREF+IC)は減少し、結果としてOPC2に供給されるバイアス電圧VB2が下がる。一方、OPC1に供給されるバイアス電圧VB1は、VCの変化に関わらず基準電流IREFの電流値に対応する一定の電圧値を維持する。
【0088】
より具体的には、例えば図8に示すように、第2の構成例におけるカットオフ周波数制御回路100はP型トランジスタTP1、TP3〜TP6と、N型トランジスタTN1、TN4〜TN6を含む。TP6とTN6は一定のバイアス電圧VRに応じた基準電流IREFを生成する。制御回路70から出力された制御信号VCはTN1のゲートに供給されて、TP1とTN1にはVCに対応した電流ICが流れる。TP1とTP4はカレントミラー回路を構成しているから、TP4にはICと等しい電流値をもつ電流IC2が流れる。また、TP5とTP6もカレントミラー回路を構成しているから、TP5には基準電流IREFと等しい電流IS2が流れる。ここでIC2とIS2はノードN2で合流し電流IA2となるが、電流保存則(キルヒホッフの法則)よりIA2=IC2+IS2が成り立つ。電流IA2はダイオード接続されたTN5を流れるから、結局ノードN2にはIA2(=IREF+IC)に対応する電圧が発生し、これがバイアス電圧VB2となる。
【0089】
一方、TP3とTP6はカレントミラー回路を構成しているから、TP3とTN4には基準電流IREFと等しい電流IS1が流れる。TN4はダイオード接続されているから、結局基準電流IREFに対応する一定の電圧が発生し、これがバイアス電圧VB1となる。
【0090】
以上説明したように、図8に示すカットオフ周波数制御回路100の第2の構成例によれば、上述した第2のゲイン制御手法(図4)によって増幅回路61のゲインを自動的にコントロールすることができる。
【0091】
図9にカットオフ周波数制御回路100の第3の構成例を示す。本構成例のカットオフ周波数制御回路100は、第1、第2のバイアス電圧生成回路101、102及び基準電流生成回路103を含む。本構成例は、上述した第3のゲイン制御手法(図5)を用いる。
【0092】
具体的には、第1のバイアス電圧生成回路101は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFから、制御信号VCに基づいて生成された電流ICを減算した電流値(IREF−IC)に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧VB1を生成してオペアンプOPC1に供給する。また、第2のバイアス電圧生成回路102は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFに、制御信号VCに基づいて生成された電流ICを加算した電流値(IREF+IC)に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧VB2を生成してオペアンプOPC2に供給する。
【0093】
すなわち、入力信号INの振幅が増大すると制御信号VCの電圧が上がり、VCに基づいて生成された電流ICも増加するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は減少し、結果としてOPC1に供給されるバイアス電圧VB1が下がる。一方、上記の加算した電流値(IREF+IC)は増加し、結果としてOPC2に供給されるバイアス電圧VB2が上がる。逆に入力信号INの振幅が減少すると制御信号VCの電圧が下がり、VCに基づいて生成された電流ICも減少するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は増加し、結果としてOPC1に供給されるバイアス電圧VB1が上がる。一方、上記の加算した電流値(IREF+IC)は減少し、結果としてOPC2に供給されるバイアス電圧VB2が下がる。
【0094】
より具体的には、例えば図9に示すように、第3の構成例におけるカットオフ周波数制御回路100はP型トランジスタTP1〜TP6と、N型トランジスタTN1〜TN6を含む。TP6とTN6は一定のバイアス電圧VRに応じた基準電流IREFを生成する。制御回路70から出力された制御信号VCはTN1のゲートに供給されて、TP1とTN1にはVCに対応した電流ICが流れる。TP1とTP2はカレントミラー回路を構成しているから、TP2とTN2にはICと等しい電流値をもつ電流IC1が流れる。さらに、TN2とTN3もカレントミラー回路を構成しているから、TN3にはIC1と等しい電流値をもつ電流ID1が流れる。また、TP3とTP6もカレントミラー回路を構成しているから、TP3には基準電流IREFと等しい電流IS1が流れる。ここでIS1はノードN1で電流IA1と電流ID1に分かれるが、電流保存則(キルヒホッフの法則)よりIA1=IS1−ID1が成り立つ。電流IA1はダイオード接続されたTN4を流れるから、結局ノードN1にはIA1(=IREF−IC)に対応する電圧が発生し、これがバイアス電圧VB1となる。
【0095】
一方、TP1とTP4はカレントミラー回路を構成しているから、TP4にはICと等しい電流値をもつ電流IC2が流れる。また、TP5とTP6もカレントミラー回路を構成しているから、TP5には基準電流IREFと等しい電流IS2が流れる。ここでIC2とIS2はノードN2で合流し電流IA2となるが、電流保存則(キルヒホッフの法則)よりIA2=IC2+IS2が成り立つ。電流IA2はダイオード接続されたTN5を流れるから、結局ノードN2にはIA2(=IREF+IC)に対応する電圧が発生し、これがバイアス電圧VB2となる。
【0096】
以上説明したように、図9に示すカットオフ周波数制御回路100の第3の構成例によれば、上述した第3のゲイン制御手法(図5)によって増幅回路61のゲインを自動的にコントロールすることができる。
【0097】
図10にカットオフ周波数制御回路100の第4の構成例を示す。本構成例のカットオフ周波数制御回路100は、第1のバイアス電圧生成回路101及び基準電流生成回路103を含む。本構成例は、上述した第4のゲイン制御手法(図6)を用いる。
【0098】
具体的には、第1のバイアス電圧生成回路101は、基準電流生成回路103で生成された基準電流IREFから、制御信号VCに基づいて生成された電流ICを減算した電流値(IREF−IC)に対応する電圧値をもつ第1、第2のバイアス電圧VB1、VB2を生成して各々オペアンプOPC1、OPC2に供給する。
【0099】
すなわち、入力信号INの振幅が増大すると制御信号VCの電圧が上がり、VCに基づいて生成された電流ICも増加するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は減少し、結果としてバイアス電圧VB1、VB2がともに下がる。逆に入力信号INの振幅が減少すると制御信号VCの電圧が下がり、VCに基づいて生成された電流ICも減少するから、上記の減算した電流値(IREF−IC)は増加し、結果としてバイアス電圧VB1、VB2がともに上がる。
【0100】
より具体的には、例えば図10に示すように、第4の構成例におけるカットオフ周波数制御回路100はP型トランジスタTP1〜TP3及びTP6と、N型トランジスタTN1〜TN4及びTN6を含む。TP6とTN6は一定のバイアス電圧VRに応じた基準電流IREFを生成する。制御回路70から出力された制御信号VCはTN1のゲートに供給されて、TP1とTN1にはVCに対応した電流ICが流れる。TP1とTP2はカレントミラー回路を構成しているから、TP2とTN2にはICと等しい電流値をもつ電流IC1が流れる。さらに、TN2とTN3もカレントミラー回路を構成しているから、TN3にはIC1と等しい電流値をもつ電流ID1が流れる。また、TP3とTP6もカレントミラー回路を構成しているから、TP3には基準電流IREFと等しい電流IS1が流れる。ここでIS1はノードN1で電流IA1と電流ID1に分かれるが、電流保存則(キルヒホッフの法則)よりIA1=IS1−ID1が成り立つ。電流IA1はダイオード接続されたTN4を流れるから、結局ノードN1にはIA1(=IREF−IC)に対応する電圧が発生し、これがバイアス電圧VB1、VB2となる。
【0101】
以上説明したように、図10に示すカットオフ周波数制御回路100の第4の構成例によれば、上述した第4のゲイン制御手法(図6)によって増幅回路61のゲインを自動的にコントロールすることができる。
【0102】
上述した4つの構成例では、いずれもカレントミラー回路を用いてバイアス電圧生成に必要な電流を得ている。上記の説明では全てのカレントミラー回路のミラー比(例えばICとIC1の電流比をいう)が1の場合について説明したものであるが、各々のカレントミラー回路のミラー比を1以外の別々の値に設定することができる。こうすることによりバイアス電圧VB1、VB2の変化する範囲をより望ましい範囲に設定することができる。このミラー比はカレントミラー回路を構成する2つのトランジスタのゲート幅(チャネル幅)の比を変えることによって任意の値に設定することが可能である。
【0103】
なお、本実施形態のカットオフ周波数制御回路100は、以上説明した図7〜図10の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0104】
例えば図11にその変形例の一つを示す。図11の変形例は、上述した第1の構成例(図7)にP型トランジスタTP7〜TP9を追加したものである。追加されたTP7〜TP9はレベルシフタを構成し、制御信号VCの電位を適当な電位まで上昇させてからN型トランジスタTN1のゲートに入力している。こうすることにより、制御信号VCの電位と制御信号VCに基づいて生成された電流ICの関係をより望ましいものにすることができる。具体的にはレベルシフタがない場合(図7)では、制御信号VCが直接TN1のゲートに入力されるから、しきい値電圧の近くのわずかな電位変化に対して、電流ICが急激に変化してしまう。これによって制御信号VCのノイズやトランジスタ特性のばらつきなどの影響を受けやすくなる。一方、レベルシフタを設けた場合(図11)では、しきい値電圧より高い領域でゲート電圧が変化することになるから電流ICの変化は緩やかになる。したがって、制御信号VCのノイズやトランジスタ特性のばらつきなどの影響を受けにくくなり、より安定な動作を得ることができる。
【0105】
なお、上記変形例(図11)は第1の構成例(図7)にレベルシフタを追加したものであるが、これ以外に上述した第2乃至第4の構成例(図8〜図10)に追加することもできる。
【0106】
3.増幅回路
図12に本実施形態の増幅回路61の基本的な構成例を示す。なお本実施形態の増幅回路61は図12の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0107】
本実施形態では、例えばオペアンプOPC1として高速なオペアンプを用い、オペアンプOPC2として低速なオペアンプを用いる。具体的には例えばオペアンプOPC1に流れるバイアス電流を、オペアンプOPC2に流れるバイアス電流よりも大きくしたり、オペアンプOPC1を構成するトランジスタのゲート長を小さくする。例えば、図12に示すように、オペアンプOPC1に流れる第1のバイアス電流をIB1とし、オペアンプOPC2に流れる第2のバイアス電流をIB2とした場合に、IB1>IB2に設定する。例えばバイアス電流IB2をIB1の1/10〜1/40程度に設定する。即ちオペアンプOPC1として、高周波数帯域でも動作する高速なオペアンプを採用し、オペアンプOPC2として、低周波数帯域でしか動作しない低速なオペアンプを採用する。このようにすることで、増幅回路61にバンドパスフィルタの周波数特性を持たせることが可能になる。つまり図13のF1に示すように、増幅回路61のバンドパスフィルタの低周波数側のカットオフ周波数fc1は、オペアンプOPC2の出力インピーダンスROUT2と、OPC2の出力ノードNA3の負荷容量COUT2により設定される。
【0108】
なおオペアンプOPC2の出力インピーダンスROUT2(電流供給能力)は、OPC2のバイアス電流IB2や、OPC2を構成するトランジスタのゲート長などにより決まる。例えばバイアス電流が大きくなるほど、或いはゲート長が短くなるほど、出力インピーダンスROUT2は小さくなる。またノードNA3の負荷容量COUT2は、キャパシタCC1、CC2の容量や、オペアンプOPC1の反転入力端子のゲート容量や、オペアンプOPC2自身のトランジスタのドレイン容量や、ノードNA3の配線の寄生容量などにより決まる。
【0109】
一方、図13のF2に示すように、バンドパスフィルタの高周波数側のカットオフ周波数fc2は、オペアンプOPC1の出力インピーダンスROUT1と、OPC1の出力ノードNA4の負荷容量COUT1により設定される。
【0110】
なおオペアンプOPC1の出力インピーダンスROUT1は、OPC1のバイアス電流IB1や、OPC1を構成するトランジスタのゲート長などにより決まる。またノードNA4の負荷容量COUT1は、キャパシタCC1の容量や、オペアンプOPC2の非反転入力端子のゲート容量や、オペアンプOPC1自身のトランジスタのドレイン容量や、ノードNA4の配線の寄生容量などにより決まる。
【0111】
図14に増幅回路61の詳細な構成例を示す。図14では、増幅回路61のオペアンプOPC2としてレール・ツー・レール型のオペアンプを採用している。但し本実施形態では、オペアンプOPC2としてレール・ツー・レール型以外のオペアンプを採用してもよい。
【0112】
図14において、オペアンプOPC1は差動部(差動段)により構成され、出力部(出力段)を含まない構成になっている。またオペアンプOPC2は、第1、第2の差動部66、68により構成され、各々の差動部は出力部を含まない構成になっている。
【0113】
そしてオペアンプOPC1の差動部64の出力(NA4、VS4)は、オペアンプOPC2の差動部66、68の非反転入力端子(第1の入力端子)に接続される。具体的には例えば差動対トランジスタの一方のトランジスタのゲートに接続される。また差動部66の出力と差動部68の出力は共通接続されると共に、差動部66、68の出力(NA3、VS3)は、差動部66、68の反転入力端子(第2の入力端子)に接続される。具体的には差動対トランジスタの一方とは異なる他方のトランジスタのゲートに接続される。
【0114】
このように、オペアンプOPC1、OPC2として、出力部を設けずに、差動部64、66、68だけにより構成されるオペアンプを採用することで、低消費電力化を図れる。即ち一般的なオペアンプに設けられている出力部では、バイアス電流が流れるため、そのバイアス電流の分だけオペアンプの消費電流が増えてしまう。この点、図14のように出力部を設けない構成とすれば、出力部に流れるバイアス電流を節約でき、低消費電力化を図れる。
【0115】
特に本実施形態では、差動部66、68に流れるバイアス電流IB2を極力小さくすることで、図2のA2に示すようなオペアンプOPC2のローパスフィルタの減衰特性を実現し、これによりA3に示すような増幅回路61のバンドパスフィルタの減衰特性を実現している。即ち高周波数帯域においてボルテージフォロワ接続のオペアンプOPC2の存在を無くすことで、バンドパスフィルタの周波数特性を実現しているため、差動部66、68に流れるバイアス電流は例えば数nA程度に絞られており、非常に小さい。従って、これらの差動部66、68の出力をショート接続しても、それにより生じる貫通電流も数nA程度であり、無視できる。
【0116】
一方、本実施形態では、差動部64に流れるバイアス電流IB1については、差動部66、68に流れるバイアス電流IB2よりも大きくすることで、図2のA6に示すようなオペアンプOPC1のローパスフィルタの減衰特性を実現し、これによりA5に示すような増幅回路61のバンドパスフィルタの減衰特性を実現している。従ってバイアス電流IB1が大きいため、差動部64に出力部を設けなくても、その出力の負荷容量については十分に駆動できる。
【0117】
従って図14の構成によれば、増幅回路61に対して増幅機能とバンドパスフィルタ機能の両方を持たせることができると共に、低消費電力化も実現できるという効果がある。
【0118】
図15に差動部64、66、68の更に詳細な構成例を示す。なお差動部64、66、68は図15の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0119】
図15に示すようにオペアンプOPC1の差動部64は、トランジスタTC1、TC2により構成されるカレントミラー回路を含む。また一方のトランジスタTC3のゲートに入力信号VS2が入力され、他方のトランジスタTC4のゲートに第1、第2の差動部66、68の出力(NA3)が接続される差動対トランジスタTC3、TC4を含む。またカレントミラー回路(TC1、TC2)及び差動対トランジスタTC3、TC4に流れるバイアス電流を供給する電流源トランジスタTC5を含む。
【0120】
なお図15ではTC1、TC2はP型トランジスタになっており、TC3、TC4、TC5はN型トランジスタになっている。またトランジスタTC5のゲートにはバイアス電圧BC1が入力される。
【0121】
オペアンプOPC2の第1の差動部66は、P型トランジスタTC6、TC7により構成される第1のカレントミラー回路を含む。また一方のN型トランジスタTC8のゲートに差動部64の出力(NA4)が接続され、他方のN型トランジスタTC9のゲートに第1及び第2の差動部66、68の出力(NA3)が接続される第1の差動対トランジスタTC8、TC9を含む。また第1のカレントミラー回路(TC6、TC7)及び第1の差動対トランジスタTC8、TC9に流れるバイアス電流を供給し、N型トランジスタにより構成される第1の電流源トランジスタTC10を含む。
【0122】
オペアンプOPC2の第2の差動部68は、N型トランジスタTC11、TC12により構成される第2のカレントミラー回路を含む。また一方のP型トランジスタTC14のゲートに差動部64の出力(NA4)が接続され、他方のP型トランジスタTC13のゲートに第1及び第2の差動部66、68の出力(NA3)が接続される第2の差動対トランジスタTC13、TC14を含む。また第2のカレントミラー回路(TC11、TC12)及び第2の差動対トランジスタTC13、TC14に流れるバイアス電流を供給し、P型トランジスタにより構成される第2の電流源トランジスタTC15を含む。
【0123】
図15によれば、差動部66、68によりレール・ツー・レール型のオペアンプを構成できる。
【0124】
即ちノードNA4に出力される信号VS4は、その小信号増幅の動作点(増幅中心)が例えば0.8〜1.0Vに設定されている。従ってオペアンプOPC2に差動部66しか設けないと、動作点の下側の電圧範囲で、差動部66のN型トランジスタTC8がオフ状態になり、電源電圧範囲の下側に不感帯領域が形成されてしまうおそれがある。
【0125】
この点、図15では差動部66の他に差動部68が設けられている。従ってノードNA4の電圧が低くなっても、差動部68のP型トランジスタTC14がオン状態になるため、差動部68を用いて信号VS4を増幅することが可能になる。従って、電源電圧範囲の下側に不感帯領域が形成されるのを防止できる。
【0126】
一方、オペアンプOPC2に差動部68しか設けないと、動作点の上側の電圧範囲で、差動部68のP型トランジスタTC14がオフ状態になり、電源電圧範囲の上側に不感帯領域が形成されてしまうおそれがある。
【0127】
この点、図15では差動部68の他に差動部66が設けられている。従ってノードNA4の電圧が高くてなっても、差動部66のN型トランジスタTC8がオン状態になるため、差動部66を用いて信号VS4を増幅することが可能になる。従って、電源電圧範囲の上側に不感帯領域が形成されるのを防止できる。
【0128】
このように図15の構成によれば、電源電圧範囲の下側及び上側に不感帯領域が形成されるのを防止でき、レール・ツー・レール型のオペアンプを実現できる。
【0129】
例えばオペアンプOPC2としてレール・ツー・レール型のオペアンプを用いないと、オペアンプOPC1の出力からOPC1の反転入力端子への信号のフィードバックにアンバランスが生じ、オペアンプOPC1による増幅後の信号VS4の中心レベルがシフトしてしまう現象が生じる。特に複数の増幅回路をカスケード接続すると、このシフト量が更に増えてしまう。
【0130】
この点、オペアンプOPC2としてレール・ツー・レール型のオペアンプを用いれば、動作点を中心に上側も下側もバランス良く増幅できる。従って、オペアンプOPC1の出力からOPC1の反転入力端子への信号のフィードバックのアンバランスを軽減でき、増幅後の信号VS4の中心レベルがシフトしてしまう現象を防止できる。この結果、後段の回路(例えば後述する復調回路)への出力信号の中心レベルがシフトして、後段の回路の処理が困難になるという事態を防止できる。
【0131】
また前述したように差動部66、68に流れるバイアス電流IB2は極力絞られている。具体的には電流源トランジスタTC10のW/L(ゲート幅/ゲート長)を極力小さくしている(例えばW/L=1/10〜1/30)。またトランジスタTC15のW/Lを小さくしたり、トランジスタTC15のバイアス電圧BC3を生成するN型トランジスタのW/Lを極力小さくしている。これによりバイアス電流IB2は例えば数nAに絞られる。
【0132】
従って例えばVDDからトランジスタTC7、TC11を介してVSSに至る経路や、VDDからトランジスタTC15、TC13、TC9、TC10を介してVSSに至る経路などで貫通電流が流れても、その貫通電流は例えば数nA程度であり非常に小さい。従って、図15のように差動部66、68の出力をショート接続しても、貫通電流による悪影響はほとんど無視できる。そして差動部66、68の出力をショート接続することで、オペアンプOPC2に出力部等を設けなくても済むため、低消費電力化や回路の小規模化を図れる。
【0133】
なおオペアンプOPC2として図16のような一般的なレール・ツー・レール型のオペアンプを採用してもよい。図16のオペアンプによれば、差動部の出力同士はショート接続されないため貫通電流は防止できるが、トランジスタTG15、TG16で構成される出力部や、トランジスタTG11、TG12、TG13、TG14等が必要になるため、消費電流が大きくなると共に回路が大規模化する。この点、図15の構成によれば図16に比べて低消費電力を低減できると共に回路を小規模化できる。
【0134】
4.オフセット電圧
本実施形態では図17に示すように、オペアンプOPC1のオフセット電圧をVOF1とし、オペアンプOPC2のオフセット電圧をVOF2とした場合に、VOF1>VOF2に設定している。具体的にはオペアンプOPC1を構成する差動対トランジスタTC3、TC4のゲート長をL1、ゲート幅をW1とし、オペアンプOPC2を構成する差動対トランジスタTC8、TC9のゲート長をL2、ゲート幅をW2とした場合に、L1×W1<L2×W2に設定している。
【0135】
例えば図1の増幅回路を複数設けて、これらをカスケード接続することで、高い増幅率を得ることができる。この場合に、各増幅回路のオフセット電圧が大きいと、動作点がシフトしてしまい、適正な増幅動作を実現できなくなるおそれがある。
【0136】
この場合に、例えば1段目の増幅回路と2段目の増幅回路の間にDCカット用のキャパシタを設けて、オフセット電圧の影響を排除する手法も考えられる。しかしながら、この手法によると、DCカット用のキャパシタを充放電するために、オペアンプOPC1の電流供給能力を高める必要があり、消費電力が増加する。
【0137】
従って、動作点のシフトの防止と低消費電力化を両立するためには、オペアンプOPC2(OPC4)の差動対トランジスタのL×W=L2×W2を大きくして、オフセット電圧を小さくすると共に、複数の増幅回路をDCカット用のキャパシタを介さずに直接接続することが望ましい。
【0138】
ところが、本実施形態では、前述したように低消費電力化のために、オペアンプOPC1として高速なオペアンプを用い、オペアンプOPC2として低速なオペアンプを用いている。従って、オフセット電圧を小さくするためにオペアンプOPC1の差動対トランジスタTC4のL×W=L1×W1を大きくすると、TC4のドレイン容量も増えてしまい、オペアンプOPC1の高速化の妨げとなる。
【0139】
一方、オペアンプOPC2については、オフセット電圧を小さくするために差動対トランジスタTC8、TC9のL×W=L2×W2を大きくしても、オペアンプOPC2は元々低速で動作すれば十分であるため、それほど問題が生じない。
【0140】
そこで本実施形態では、オペアンプOPC2の差動対トランジスタTC8、TC9のL2×W2を大きくして、そのオフセット電圧VOF2を小さくする。一方、オペアンプOPC1の差動対トランジスタTC4のL1×W1については、L2×W2よりも小さくして、そのオフセット電圧をVOF1>VOF2に設定する。これにより、動作点のシフトの防止と低消費電力化を両立できる。
【0141】
5.制御回路
図18に本実施形態の制御回路70の詳細な構成例を示す。なお本実施形態の制御回路70は図18の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0142】
制御回路70は、充電ノードNCとVSS(第1の電源)との間に設けられた充電用キャパシタCD1と、充電ノードNCとVDD(広義には第2の電源)との間に設けられた充電用トランジスタTD1を含む。制御回路70が含む比較回路72(充電制御回路)は、増幅回路61の出力信号OUTと基準電圧VREFの比較処理を行い、比較結果に基づいて充電用トランジスタTD1により充電用キャパシタCD1の充電を制御する。これにより充電ノードNCの電圧が制御信号VCとしてカットオフ周波数制御回路100に出力される。
【0143】
なお制御回路70は、充電ノードNCとVSS(第1の電源)との間に設けられ、VSS側に定電流を流す放電用トランジスタTD2を含む。この放電用のトランジスタTD2は、充電用トランジスタTD1に比べて例えば電流供給能力が低いトランジスタになっている。例えば放電用トランジスタTD2のW/L(ゲート幅/ゲート長)はTD1のW/Lよりも小さくなっている。
【0144】
更に具体的には、放電用トランジスタTD2に流れる定電流と充電用キャパシタCD1の容量により設定される放電期間は、ASK変調される受信信号の論理レベル1(広義には第1の論理レベル)の転送期間T1よりも長くなっている。即ち放電用トランジスタTD2のゲートにはバイアス電圧BD1が入力され、これにより定電流が流れる。放電用トランジスタTD2による放電期間は、この定電流の大きさと充電用キャパシタCD1の容量により設定される。そしてこの放電期間が、論理レベル1の転送期間T1よりも十分に長い期間(例えばT1の10倍以上の期間)になるように、放電用トランジスタTD2に流れる定電流が設定される。具体的にはバイアス電圧BD1の大きさや放電用トランジスタTD2のW/Lが設定される。
【0145】
即ち受信信号INの振幅は、車載機と携帯機との距離が離れると小さくなるため、本実施形態の受信回路では、微少な振幅の受信信号についても検知できるように、受信回路の回路定数が設定されている。従って、ノイズ信号についても受信信号として検知してしまい、これにより制御信号VCの電圧が上昇してしまうおそれがある。そしてノイズ信号により制御信号VCの電位が上昇し、本来の受信信号が入力される前に、増幅回路61のゲインが小さな値に設定されてしまう。そしてゲインがそこから戻らなくなり、適正なゲイン制御を実現できなくなるおそれがある。
【0146】
この点、図18では、放電用トランジスタTD2により、微少な定電流がVSS側に常に流れる。従って、ノイズ信号により制御信号VCの電位が上昇したとしても、その電位が放電用トランジスタTD2によりVSS側に戻される。この結果、ノイズ信号に起因して制御信号VCの電位が上昇し、本来の受信信号の入力前に増幅回路61のゲインが小さな値に設定されてしまう事態を防止できる。
【0147】
また、この時、放電用トランジスタTD2による放電期間は、長い方の転送期間である論理レベル1の転送期間T1よりも十分に長くなるように設定されている。従って、本来のデータ転送期間においては、放電用トランジスタTD2による放電についてはほとんど無視できるようになり、適正なデータ転送を実現できる。
【0148】
また図18では、ウェイクアップ用のトランジスタTD3も設けられている。このN型のトランジスタTD3は、そのゲートに制御信号VCが入力され、そのソースはVSSに接続され、そのドレインにウェイクアップ信号WAKEを出力する。従って、制御信号VCの電位が上昇し、例えばトランジスタTD3のしきい値電圧よりも大きくなると、ウェイクアップ信号WAKEがアクティブになる(HレベルからLレベルに変化する)。これにより、受信回路や、受信回路を含む集積回路装置の他の回路に対して、バースト期間TBでのバースト信号が検出され、ウェイクアップすべきことを伝えることが可能になる。
【0149】
更に図18では、リセット用のトランジスタTD9も設けられている。このN型のトランジスタTD9は、そのゲートにリセット信号が入力され、そのソースはVSSに接続される。そしてリセット信号がHレベル(アクティブ)になると、充電ノードNCをVSSレベルにリセットする。
【0150】
6.受信回路
図19に本実施形態の自動ゲインコントロール回路を含む受信回路の構成例を示す。なお本実施形態の受信回路は図19の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0151】
図19の受信回路は、ハイパスフィルタ40、DCレベルシフタ50、自動ゲインコントロール回路200、基準電圧生成回路80及び復調回路90を含む。
【0152】
コイル(LC共振回路)等で構成されるアンテナ部10からの受信信号AINはハイパスフィルタ40に入力される。
【0153】
ハイパスフィルタ40は、受信信号AINの入力ノードNA0とハイパスフィルタ40の出力ノードNA1との間に設けられたキャパシタCA1と、出力ノードNA1とVSS(広義には第1の電源)との間に設けられ、そのゲートに一定のバイアス電圧VHが入力されるN型のトランジスタTA1を含む。即ちキャパシタCA1の容量とトランジスタTA1のオン抵抗によりハイパスフィルタ40が構成される。
【0154】
スマートエントリシステムを例にとれば、搬送波の振幅を入力デジタル信号に対応させて変化させるASK(Amplitude Shift Keying)変調されたLF(Low Frequency)帯域の受信信号AINが、ハイパスフィルタ40に入力される。そしてハイパスフィルタ40は、ASK変調(振幅変調)された例えば120〜140KHzのLF帯域の受信信号AINを通過させ、これより低い周波数の信号を減衰させる。
【0155】
DCレベルシフタ50は、ハイパスフィルタ40を通過した信号VS1のDCレベルシフトを行って、DCレベルシフト後の入力信号INを出力する。即ちDCレベルシフタ50は、増幅回路61の小信号増幅の動作点(増幅中心)に入力信号INのDCレベルが設定されるようにレベルシフト変換を行う。このDCレベルシフタ50は、VSS(第1の電源)とその出力ノードNA2との間に設けられ、そのゲートにハイパスフィルタ40からの信号VS1が入力されるN型のトランジスタTB1と、VDD(広義には第2の電源)とその出力ノードNA2との間に設けられる電流源ISHを含む。ここで電流源ISHはそのゲートに一定のバイアス電圧が入力されるP型のトランジスタで構成してもよいし、電流源として機能する抵抗等で構成してもよい。
【0156】
増幅回路61、62はDCレベルシフト後の信号INを増幅し、出力信号OUTを出力する。増幅回路61、62は各々図2で説明したバンドパスフィルタの周波数特性を有する。具体的には受信信号INの搬送波(所望信号)の周波数帯域(例えば120〜140KHz)を中心周波数とするバンドパスフィルタ特性を有する。なお、この増幅回路は図19に示すようなカスケード接続された2個の増幅回路に限定されるものではなく、1個のみでもよいし、あるいは3個以上の増幅回路をカスケード接続してもよい。
【0157】
制御回路70は増幅回路61、62の出力信号OUTと基準電圧VREFを比較して、制御信号VCを出力する。
【0158】
上述したように、カットオフ周波数制御回路100は制御信号VCに基づいてオペアンプOPC1、OPC2のカットオフ周波数を制御することにより、増幅回路61、62の所望周波数でのゲインを適正な値に設定することができる。このような自動ゲイン調整を行うことで、復調回路90には一定の振幅の出力信号OUTが入力されるようになり、復調回路90での復調処理が容易になる。
【0159】
基準電圧生成回路80は基準電圧VREFを生成して出力する。
【0160】
復調回路90は、増幅回路61、62からの出力信号OUTに基づいて復調処理を行う。即ちASK変調された信号から入力デジタル信号を得るため復調処理を行う。
【0161】
図20に受信回路の動作を説明するための信号波形例を示す。図20のG1に示すように、受信回路はバースト期間TBにおいて、車載機から所与のパルス数のバースト信号を、受信信号AINとして受信する。このバースト期間TBはプリアンブル期間に相当し、バースト期間TBにおいてはASK変調されていないバースト信号が受信される。このバースト期間TB内において受信信号AINの自動ゲイン調整が行われる。
【0162】
図20のG2に示すように、バースト期間TBに続く転送期間T0、T1において、デジタル信号の論理レベル0、1に相当するASK変調された信号が送信される。この期間T0とT1の長さは異なっており(例えばT0<T1)、この期間の長さを検出することで、車載機から論理レベル0、1のいずれのデジタル信号が送信されたのかを検知できる。なお図20ではT0<T1となっているが、T0>T1としてもよい。
【0163】
図20のG3では、受信信号AINは0Vを中心とした信号になっている。G4に示すようにDCレベルシフタ50は、この受信信号AINのDCレベルを、増幅回路61、62の小信号増幅の動作点(増幅中心)の電圧レベル(VM)にシフトする。そしてG5に示すように増幅回路61、62は、DCレベルシフト後の信号INを増幅して、増幅後の信号OUTを出力する。
【0164】
出力信号OUTの振幅が、基準電圧生成回路80からの基準電圧VREFよりも大きい場合には、図20のG6に示すように制御信号VCの電位が上昇する。すると、カットオフ周波数制御回路100がバイアス電圧VB1、VB2を変化させて増幅回路61、62のゲインを適正な値に調整する。
【0165】
そしてこのように自動ゲイン調整が行われると、図20のG7に示すようにバースト期間TB内において出力信号OUTの振幅がほぼ一定になる。このように出力信号OUTの振幅が一定になることで、復調回路90は、バースト期間TBの後の期間T0、T1でのASK変調された信号を安定して復調できる。
【0166】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の電源、第2の電源、第1の論理レベル等)と共に記載された用語(VSS、VDD、論理レベル1等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また増幅回路、受信回路の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本実施形態の自動ゲインコントロール回路の構成例。
【図2】増幅回路のバンドパスフィルタ特性の説明図。
【図3】ゲイン制御の第1の手法の説明図。
【図4】ゲイン制御の第2の手法の説明図。
【図5】ゲイン制御の第3の手法の説明図。
【図6】ゲイン制御の第4の手法の説明図。
【図7】カットオフ周波数制御回路の第1の構成例。
【図8】カットオフ周波数制御回路の第2の構成例。
【図9】カットオフ周波数制御回路の第3の構成例。
【図10】カットオフ周波数制御回路の第4の構成例。
【図11】カットオフ周波数制御回路の変形例。
【図12】増幅回路の基本的な構成例。
【図13】オペアンプの周波数特性の説明図。
【図14】増幅回路の詳細な構成例。
【図15】増幅回路の更に詳細な構成例。
【図16】レール・ツー・レール型オペアンプの他の構成例。
【図17】オフセット電圧の設定手法の説明図。
【図18】制御回路の詳細な構成例。
【図19】本実施形態の自動ゲインコントロール回路を含む受信回路の構成例。
【図20】受信回路の動作を説明するための信号波形例。
【符号の説明】
【0168】
OPC1 第1のオペアンプ、OPC2 第2のオペアンプ、
CC1、CC2 キャパシタ、
40 ハイパスフィルタ、50 DCレベルシフタ、61、62 増幅回路、
63 ゲイン設定部、64 差動部、66 第1の差動部、68 第2の差動部、
70 制御回路、72 比較回路、80 基準電圧生成回路、90 復調回路、
100 カットオフ周波数制御回路、101 第1のバイアス電圧生成回路、
102 第2のバイアス電圧生成回路、103 基準電流生成回路、
200 自動ゲインコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドパスフィルタの周波数特性を有し、入力信号が入力され、前記入力信号を増幅して出力信号を出力する増幅回路と、
前記出力信号に基づいて、前記増幅回路のゲインをコントロールする制御信号を出力する制御回路と、
カットオフ周波数制御回路とを含み、
前記増幅回路は、
その第1の入力端子に前記入力信号が入力される第1のオペアンプと、
その第1の入力端子に前記第1のオペアンプの出力が入力され、その出力がその第2の入力端子及び前記第1のオペアンプの第2の入力端子に入力されるボルテージフォロワ接続の第2のオペアンプとを含み、
前記カットオフ周波数制御回路は、
前記制御回路からの前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプ及び前記第2のオペアンプの少なくとも一方のカットオフ周波数を制御することを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御を行うことによって、前記増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項3】
請求項1において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
前記制御信号に基づいて、前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を行うことによって、前記増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項4】
請求項1において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数を下げる制御を行うと共に、前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を上げる制御を行うことによって、前記増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項5】
請求項1において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
前記制御信号に基づいて、前記第1のオペアンプのカットオフ周波数と前記第2のオペアンプのカットオフ周波数を共に下げる制御を行うことによって、前記増幅回路の所望周波数でのゲインを下げることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項6】
請求項2において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
基準電流生成回路と、
第1のバイアス電圧生成回路と、
第2のバイアス電圧生成回路とを含み、
前記第1のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づき生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して、前記第1のオペアンプに供給し、
前記第2のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流の電流値に対応する一定の電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して、前記第2のオペアンプに供給することを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項7】
請求項3において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
基準電流生成回路と、
第1のバイアス電圧生成回路と、
第2のバイアス電圧生成回路とを含み、
前記第1のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流生成回路で生成された基準電流の電流値に対応する一定の電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して、前記第1のオペアンプに供給し、
前記第2のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流に、前記制御信号に基づき生成された電流を加算した電流値に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して、前記第2のオペアンプに供給することを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項8】
請求項4において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
基準電流生成回路と、
第1のバイアス電圧生成回路と、
第2のバイアス電圧生成回路とを含み、
前記第1のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づき生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつ第1のバイアス電圧を生成して、前記第1のオペアンプに供給し、
前記第2のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流に、前記制御信号に基づき生成された電流を加算した電流値に対応する電圧値をもつ第2のバイアス電圧を生成して、前記第2のオペアンプに供給することを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項9】
請求項5において、
前記カットオフ周波数制御回路は、
基準電流生成回路と、
第1のバイアス電圧生成回路とを含み、
前記第1のバイアス電圧生成回路は、
前記基準電流生成回路で生成された基準電流から、前記制御信号に基づき生成された電流を減算した電流値に対応する電圧値をもつバイアス電圧を生成して、前記第1のオペアンプと前記第2のオペアンプに供給することを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記第1のオペアンプに流れる第1のバイアス電流をIB1とし、前記第2のオペアンプに流れる第2のバイアス電流をIB2とした場合に、IB1>IB2に設定することで、前記増幅回路に前記バンドパスフィルタの周波数特性を持たせることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項11】
請求項10において、
前記バンドパスフィルタの低周波数側のカットオフ周波数は、
前記第2のオペアンプの出力インピーダンスと前記第2のオペアンプの出力ノードの負荷容量とにより設定され、
前記バンドパスフィルタの高周波数側のカットオフ周波数は、前記第1のオペアンプの出力インピーダンスと前記第1のオペアンプの出力ノードの負荷容量とにより設定されることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項12】
請求項10又は11において、
前記増幅回路は、前記増幅回路のゲインを設定するためのゲイン設定部を含み、
前記ゲイン設定部は、
前記第1のオペアンプの出力と前記第1のオペアンプの前記第2の入力端子との間に設けられる第1のキャパシタと、
前記第2のオペアンプの出力と低電位側電源ノードとの間に設けられる第2のキャパシタを含むことを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかにおいて、
前記第1のオペアンプのオフセット電圧をVOF1とし、前記第2のオペアンプのオフセット電圧をVOF2とした場合に、VOF1>VOF2に設定されることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1のオペアンプを構成する差動対トランジスタのゲート長をL1、ゲート幅をW1とし、前記第2のオペアンプを構成する差動対トランジスタのゲート長をL2、ゲート幅をW2とした場合に、L1×W1<L2×W2に設定されることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれかにおいて、
前記第2のオペアンプがレール・ツー・レール型のオペアンプにより構成されることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかにおいて、
前記第1のオペアンプは差動部により構成され、
前記第2のオペアンプは第1、第2の差動部により構成され、
前記第1のオペアンプの前記差動部の出力は、前記第2のオペアンプの前記第1、第2の差動部の第1の入力端子に接続され、
前記第1の差動部の出力と第2の差動部の出力は共通接続されると共に、前記第1、第2の差動部の出力は、前記第1、第2の差動部の第2の入力端子に接続されることを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項17】
請求項16において、
前記第1のオペアンプの前記差動部は、
カレントミラー回路と、
一方のトランジスタのゲートに前記入力信号が入力され、他方のトランジスタのゲートに前記第1、第2の差動部の出力が接続される差動対トランジスタと、
前記カレントミラー回路及び前記差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給する電流源トランジスタとを含み、
前記第2のオペアンプの前記第1の差動部は、
P型トランジスタにより構成される第1のカレントミラー回路と、
一方のN型トランジスタのゲートに前記差動部の出力が接続され、他方のN型トランジスタのゲートに前記第1及び第2の差動部の出力が接続される第1の差動対トランジスタと、
前記第1のカレントミラー回路及び前記第1の差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給し、N型トランジスタにより構成される第1の電流源トランジスタを含み、
前記第2のオペアンプの前記第2の差動部は、
N型トランジスタにより構成される第2のカレントミラー回路と、
一方のP型トランジスタのゲートに前記差動部の出力が接続され、他方のP型トランジスタのゲートに前記第1及び第2の差動部の出力が接続される第2の差動対トランジスタと、
前記第2のカレントミラー回路及び前記第2の差動対トランジスタに流れるバイアス電流を供給し、P型トランジスタにより構成される第2の電流源トランジスタを含むことを特徴とする自動ゲインコントロール回路。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載の自動ゲインコントロール回路と、
受信信号を受けるハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタの出力信号のDCレベルシフトを行うDCレベルシフタとを含むことを特徴とする受信回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−118831(P2010−118831A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289769(P2008−289769)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】