説明

自動パラメータ化RFIDアンテナエクステンダ

本発明は、RFID読取り/書込みステーション(10)に電磁的に結合されるように意図されるアンテナエクステンダ(20)であって、可変周波数で発振する第1の回路(21)と、第1の発振回路(21)に結合される第2の発振回路(31)とを備えるアンテナエクステンダ(20)に関する。エクステンダは、該エクステンダが読取り/書込みステーション(10)の近傍に置かれるときに第2の発振回路(31)によって供給されるエネルギーにより給電される処理ユニット(35)を備える。処理ユニットは、第2の発振回路の端子の電圧を測定するための手段と、測定された電圧の値に応じて第1の発振回路の共振周波数を変えるために使用され得る制御手段とを含み、それにより、エクステンダと読取り/書込みステーションとの間の周波数同調を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDとも呼ばれる高周波識別であって、1個または複数のRFIDタグ(トランスポンダ、またはスマートラベルとも呼ばれる)がステーションの検出域と呼ばれる領域でRFIDステーションの近傍に置かれるときに、RFID読取り/書込みステーション(RFIDステーション、またはRFIDリーダーとも呼ばれる)が、RFIDタグとデータを交換できるようにする高周波識別の分野に関する。特に、本発明は、RFIDステーションのアンテナと電磁的に結合されることにより、このステーションの検出域を変える、すなわち、RFIDステーション検出の領域および/または距離を増大するように意図されるアンテナエクステンダ(フィールドエクスパンダとも呼ばれる)に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID技術によってデータを交換するシステムは、特に、短い距離を隔てて置かれるRFIDタグを有する任意のタイプの物体を、電波を使用することによって最小限の時間で認識および/または識別するために、産業界において既に幅広く使用されている。RFIDステーションは、発振回路により形成されるアンテナを有しており、この場合、RFIDステーションの検出域内に置かれる任意の発振回路、例えばRFIDタグのアンテナとの電磁結合(誘導結合とも呼ばれる)によって、無線通信を可能にする電磁場を生成または拾い上げることができる。一般に、電磁信号のキャリア周波数の振幅変調および/または位相変調によって、バイナリデータがステーションとタグとの間で交換される。
【0003】
したがって、RFIDタグは、無線信号を受信できるとともに、それに応じて、情報の関連項目を含む異なる信号を返信することができる。RFIDタグは、識別、認識、および/または、プロセスに関する様々な情報を記憶できるようにするメモリを有する。特定のタグは、ステーションが近傍に置かれるときに既に記憶されたデータの読み取りを可能にするだけであるが、他のタグの場合には、タグに記憶されたデータの書き込み(単一または複数の書き込み)も可能にする。
【0004】
また、いわゆる受動タグの場合、RFIDステーションのアンテナによって生成される電磁信号(キャリア)は、タグがステーションの検出域に入るときに、タグに給電する役目も果たす。タグのアンテナによって拾い上げられるエネルギーは、実際には、このタグの内部回路(メモリ、処理ユニットなど)に給電する電気エネルギーへと変換される。したがって、ステーションの電磁場によって生成される電力を使用することにより、タグは、電池またはバッテリなどの内部電源を何ら必要としないという利点を与える。
【0005】
RFID読取り/書込みステーションの標準的な検出域が、タグの読み取り/書き込みを困難にする非常に限られた範囲を呈する多数の用途が存在する。そのため、RFIDアンテナ拡張装置を使用することが既に知られている。RFIDアンテナエクステンダは、一般に、コイルLとコンデンサCとを備えるLC発振回路を備える。この発振回路は、読取り/書込みステーションのアンテナの範囲よりも大きい範囲(dimensions)を有しており、ステーションのアンテナと読み取られ/書き込まれるべきタグとの間に位置される。この場合、発振回路は、ステーションの検出域を拡大できるようにする。したがって、エクステンダのLC発振回路は、RFIDステーションのアンテナと電磁的に結合される。エクステンダは、例えば標準的なレンジのステーションの検出域を増大させることが望ましい用途の場合にだけそれを使用することができるように、RFIDステーションから離れた別個の製品であることが好ましい。文献、欧州特許第1385120号明細書、仏国特許第2896898号明細書、および欧州特許第1309938号明細書は、RFIDアンテナのレンジを拡大できるようにする拡張装置について既に記載している。
【0006】
適切に動作するように、エクステンダは、読取り/書込みステーションと同じ共振周波数に同調されなければならない。ここで、使用状態および環境は、RFIDステーションの発振回路とエクステンダの発振回路との同調に影響を及ぼす。RFIDステーションの発振回路の周波数の変化は小さい。これは、ステーションが一般にシールドされているからである。一方、用途にもよるが、環境の変化に応じて、エクステンダの発振回路の周波数の変化はかなり大きい。したがって、損失が増大する危険があり、それにより、同一のタグ/エクステンダの距離の場合には、通信したいタグへ送られる電力の減少をもたらし、そのため、暗黙のうちに、読取り/書込み距離が減少する。
【0007】
エクステンダの周囲にシールドを配置することは、実行することが高価で困難なことになる解決策である。また、エクステンダとRFIDステーションとの同調の調整を行なうことが制約している。これは、それぞれの異なる用途ごとに、それをその最終使用環境でRFIDステーションと同じ周波数に同調させる必要があるからである。これは、エクステンダのそれぞれの設置において、高価な測定装置と専門家の存在とを必要とすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1385120号明細書
【特許文献2】仏国特許第2896898号明細書
【特許文献3】欧州特許第1309938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、自動パラメータ化できるアンテナ拡張装置、言い換えると、自律的に、つまり、外部エネルギー源にそれを連結させる必要なく、かつ人または外部装置の支援なしにそれ自体をパラメータ化できるとともに、それ自体をそれが結合される読取り/書込みステーションの共振周波数に自動的に同調することができるアンテナ拡張装置を提案することである。この学習機能(自動パラメータ化または自動同調とも呼ばれる)のおかげで、この読取り/書込みステーションの検出域を増大させることが望ましい場合に、そのようなアンテナアクステンダを任意の読取り/書込みステーションと共に非常に簡単にかつ迅速に設置してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、RFID読取り/書込みステーションに電磁的に結合されるように意図されるアンテナエクステンダであって、第1の可変周波数発振回路と、第1の発振回路と結合される第2の発振回路とを備えるアンテナエクステンダについて記載する。エクステンダは、該エクステンダが読取り/書込みステーションの近傍に置かれると、第2の発振回路によって与えられるエネルギーにより給電される処理ユニットを備え、処理ユニットは、第2の発振回路の端子の両端間の電圧を測定するための手段を備えるとともに、測定された電圧の値に応じて、第1の発振回路の共振周波数を変えることができる制御手段を備え、それにより、エクステンダと読取り/書込みステーションとの間の周波数同調を最適化する。
【0011】
一つの特徴によれば、制御手段は、測定される電圧の最大値を得るために、第1の発振回路の共振周波数を変える。
【0012】
他の特徴によれば、第1の発振回路が可変コンデンサを備え、制御手段が可変コンデンサの値を変える。
【0013】
また、本発明は、RFID読取り/書込みステーションと、アンテナエクステンダと、少なくとも1つのRFIDタグとを備える、データを交換するためのシステムであって、RFID読取り/書込みステーションがアンテナエクステンダによって電磁結合によりRFIDタグと通信できるシステムについても記載する。
【0014】
また、本発明は、RFID読取り/書込みステーションと電磁的に結合されるアンテナエクステンダの周波数同調を最適化する方法であって、エクステンダが、処理ユニットと、第1の発振回路と、第2の発振回路とを備える方法についても記載する。処理ユニットは、第2の発振回路の端子の両端間の電圧を測定するとともに、測定される電圧の最大値を得るために、測定される電圧に応じて、第1の発振回路の共振周波数を変える。
【0015】
他の特徴および利点は、実施例として与えられて添付図面に表わされる実施形態を参照しつつ、以下の詳細な説明において明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるデータ交換のためのシステムを示している。
【図2】アンテナエクステンダの機能的なレイアウトの例示的実施形態を表わしている。
【図3】エクステンダの可変コンデンサの例示的実施形態を詳しく示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2を参照すると、RFID技術によってデータを交換するためのシステムは、発振回路によって形成されるアンテナ11を有するRFID読取り/書込みステーション10と、同様に発振回路によって形成されるアンテナ51を有する少なくとも1つのRFIDタグ50とを備える。RFID読取り/書込みステーション10は、ステーション10の標準レンジに対応する検出域15内に、電磁信号を放射することができる。RFID読取り/書込みステーション10の公称放射周波数は、例えば13.56MHzであり、これは特にISO14443AまたはISO14443Bの標準規格を満たす。この公称放射周波数は、RFIDステーション10に使用される構成要素と、それらが経時的に展開する態様とに応じて、僅かに変化する場合がある。
【0018】
また、データを交換するためのシステムはアンテナエクステンダ20も備え、その機能は、ステーション10の検出域を増大させ、したがって、ステーション10のレンジを増大させることである。エクステンダ20は、第1の発振回路21と、別個の第2の発振回路31とを備える。第1の発振回路21および第2の発振回路31は、互いに電磁的に結合されるが、直接的な電気的接続を何ら有していない。エクステンダ20がステーション10の近傍に、すなわち、標準検出域15内に置かれると、エクステンダがステーション10と電磁的に結合され、それにより、ステーション10+エクステンダ20のアセンブリが拡大された検出域25を呈することができる。したがって、この拡大された検出域25内に位置される任意のタグ50は、電磁結合により、エクステンダ20を経由して、RFID読取り/書込みステーション10と通信できる。
【0019】
エクステンダ20の第1の発振回路21の主な機能は、ステーション10の検出域を拡大させることである。したがって、第1の発振回路は拡大された範囲を備える。第1の発振回路は、コイルL2とコンデンサC2とから成る。本発明によれば、少なくともコイルL2またはコンデンサC2が可変であり、それにより、第1の発振回路21の共振周波数を変えることができる。
【0020】
エクステンダ20の第2の発振回路31の主な機能は、ステーション10との電磁結合によって受信する信号に基づいて、エクステンダ20の電子回路に給電することである。本実施形態において、第2の発振回路は、コイルL3から成り、また、随意的にはコンデンサC3を備えており、ほぼ一定の共振周波数を有する。
【0021】
エクステンダ20は、処理ユニット35を備える。この処理ユニット35は、第2の発振回路31の端子の両端間の電圧を表わす電気量、または、第2の発振回路31内を流れる電流を表わす電気量を測定するための手段36を備える。また、処理ユニット35は、第1の発振回路21の共振周波数を変えることを目的として、コンデンサC2の値および/またはコイルL2の値を変えることができる制御手段37も備える。
【0022】
第2の発振回路31がステーション10の標準検出域15の電磁場内に位置するように、エクステンダ20がRFIDステーション10の近傍に置かれるときに、処理ユニット35は第2の発振回路31によって供給されるエネルギーにより給電される。したがって、エクステンダ20は、例えばバラストトランジスタを有するリニア電源、あるいはチョップ電源である電源モジュール34を備える。この電源モジュール34は、第2の発振回路31から発生する電圧を入力として受けて、エクステンダ20の回路、特に処理ユニット35に給電するのに十分な安定したDC電圧を出力として供給する。
【0023】
本発明によるアンテナエクステンダは自律(autonomous)装置であることが有利である。アンテナエクステンダは、外部電源に電気的に連結される必要がなく、電池などの内部電源を使用する必要もない。したがって、アンテナエクステンダは、RFID読取り/書込みステーション10との電磁的な結合によってのみ給電される非常に簡単で安価な装置である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、測定手段36は、コイルL3と直列の負荷R3の端子の両端間の第2の発振回路31により供給されるピーク電圧VCRを測定する。したがって、エクステンダ20は、ピーク電圧VCRを出力として与えるピーク検出モジュール33を備える。既知の態様で、ピーク検出モジュール33は、例えば、図2に示されるように並列を成すダイオードとコンデンサとから成る。ピーク電圧VCRは電源モジュール34の入力としても使用される。測定手段36はアナログ/デジタル変換器を備え、アナログ/デジタル変換器はピーク電圧VCRのデジタル値を処理ユニット35へ供給できる。過度に大きい消費を回避するために、負荷R3は簡単な抵抗器または電流発生器であってもよい。
【0025】
また、測定手段36が、平均電圧または有効電圧など、第2の発振回路31の端子の両端間の電圧を表わす他の電気量を測定することも想起できる。それにもかかわらず、これらの電圧を測定することは更に難しく、また、これらの測定はより多くのエネルギーを消費する。同様に、本発明の枠組みの中で、測定手段36が第2の発振回路31の端子の両端間の電圧を測定するのではなく、第2の発振回路31のコイルLの周囲を流れる電流Iを測定することが同等のことであることは当業者にとって明らかである。
【0026】
エクステンダがRFID読取り/書込みステーション10と結合されると、測定手段36によって測定されるピーク電圧VCRの値は、一方のステーション10の共振周波数と、他方のエクステンダ20の2つの発振回路21,31のアセンブリの共振周波数との間の周波数同調に直接に依存する。このことは、第1の発振回路21の共振周波数の変化が、第2の発振回路31によって供給されるピーク電圧VCRの値の変化を自動的にもたらすことを意味する。
【0027】
制御手段37がコンデンサC2の値を変更すると、これが第1の発振回路21の共振周波数を変える。このとき、測定手段36は、ステーション10の共振周波とエクステンダ20の共振周波数との間の同調に対して、この変化が引き起こす影響を検出することができる。実際に、この周波数同調は、測定されたピーク電圧VCRが最大のときに最適となる。
【0028】
本明細書で前述した例示的実施形態において、制御手段37は、可変コンデンサC2の値を変えることによって、第1の発振回路21の共振周波数を変える。他の同等な実施形態は、その値が制御手段37によって変えられ得る可変インダクタンスL2を使用することであろう。
【0029】
したがって、処理ユニット35は、RFID読取り/書込みステーションと、RFIDステーションに電磁的に結合されるアンテナエクステンダとの間の周波数同調を最適化するための方法を実行する。この最適化方法により、エクステンダ20は、自動パラメータ化でき、すなわち、それ自身の共振周波数を最適化でき、その結果、その使用環境とそれが結合されるRFID読取り/書込みステーション10とに最良に適合される。
【0030】
最適化方法は、エクステンダ20の学習から成る。すなわち、処理ユニット35は、コンデンサC2を変更するように制御手段37に命令した後、この変更によってもたらされ、測定手段36により測定されるピーク電圧VCRの変化の方向を解析する。コンデンサC2の変化がピーク電圧VCRの増大をもたらす場合、このことは周波数同調が改善されたことを意味する。逆に、コンデンサC2の変化がピーク電圧VCRの減少をもたらす場合、このことは周波数同調が悪化されたことを意味する。
【0031】
したがって、学習は、単に、コンデンサC2の値の連続的変更を行なって、これがもたらすピーク電圧VCRの変化の方向を検出することにある。学習は、ピーク電圧VCRの最大値に達するときに終了し、これは最適の周波数同調に対応する。有利なことには、この学習を実施するためにユーザ介入も外部手段も必要とされない。
【0032】
学習は、ピーク電圧VCRの代わりに、第2の発振回路31の平均電圧、有効電圧、または、電流などの他の電気量を使用することにより同一の態様で行なわれ得るであろう。
【0033】
第1の発振回路21のコンデンサC2を変えるための幾つかの解決策が存在する。第1の解決策において、コンデンサC2は、カソードに印加される逆電圧レベルに応じて変化する容量値を有する、1個または複数の可変容量ダイオード(バリキャップ、またはバラクタとも呼ばれる)を備える。この場合、制御手段37は、例えば、印加されるこの逆電圧の値を調節でき、したがって、コンデンサC2の値を変えることができるアナログ出力を備える。
【0034】
図3に示される第2の解決策において、コンデンサC2は、並列に連結され、かつ、それぞれがスイッチS1,S2,S3,S4により切り換え可能な幾つかのコンデンサC21,C22,C23,C24を備える。スイッチS1,S2,S3,S4は、双安定であり、スイッチごとの開信号および閉信号に基づいて制御手段37により制御される。したがって、それぞれのスイッチの閉または開が対応するコンデンサC21,C22,C23,C24を接続しまたは切断し、それにより、コンデンサC2の全体の値が変化する。例えば、C21=X、C22=2X、C23=4X、C24=8Xなど、コンデンサC21,C22,C23,C24のそれぞれの値ごとに異なる重みが選択され、それにより、スイッチの閉/開を組み合わせることによってコンデンサC2に関して更に幅広い範囲の異なる値をカバーすることが好ましい。
【0035】
また、第1の発振回路21の共振周波数に対して固定のベース値を与えることを目的として、第1の発振回路21は、可変コンデンサC2と並列に連結される固定の追加のコンデンサを備えることもできる。したがって、可変コンデンサC2の変化は、単に、この固定のベース値付近で共振周波数を調整する役目を果たし、それにより、より正確な調整が可能になる。
【0036】
学習は、処理ユニット35が給電されるたびに、すなわち、エクステンダ20がステーション10の近傍に置かれる瞬間に実施される。処理ユニット35は、動的な同調を行なうために、すなわち、例えば環境の想定し得る変化にもかかわらずデータを交換するためのシステムが永続的に適切に同調されたままであることを確保するために、学習を定期的に実施することを決めてもよい。処理ユニット35は、他の状況で、例えばそれがピーク電圧VCRの急激な変化を検出するときに学習を行なうことを決定することもできる。
【0037】
また、エクステンダ20が再び給電されるとき、学習全体のやり直しを避けるために、電源が切断される前に使用されていた可変コンデンサC2の最後の値を用いて学習を再開することが好ましい。このことは、例えば、処理ユニット35がコンデンサC2の最後の値に対応する調整をバックアップメモリに保存すること、または、可変コンデンサC2を具現化するのに使用されるスイッチが電源が切断されるときの状態を維持することを意味する。
【0038】
処理ユニット35は、好ましくは電力消費量の低いマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサに基づいて具現化されてもよい。測定手段36および制御手段37は、マイクロコントローラに直接に組み込んでもよいし、または、マイクロコントローラに接続される別個の構成要素に設置されてもよい。
【0039】
処理ユニット35への電力供給を最適化するために、制御手段37により制御される常時開型(OFF)の電源スイッチを、第1の発振回路21のコイルL2と並列に配置することを想起することもできる。エクステンダ20の給電時、処理ユニット35に十分にエネルギーが与えられない限り、このスイッチは開状態にあり、第1の発振回路21は動作できない。これにより、第2の発振回路31は、RFIDステーション10との結合により生成されるエネルギーの全てを回復でき、それにより、処理ユニット35に十分なエネルギーをより迅速に蓄えることができる。処理ユニット35にエネルギーが十分に与えられると直ぐに、制御手段37は、エクステンダ20の通常の動作を得るために、電源スイッチを閉じる。
【0040】
構成要素L3,C3は、第2の発振回路31の共振周波数がステーション10によって放射される電磁信号のキャリアの公称共振周波数とはかなり異なるように選択されることが好ましい。したがって、第2の発振回路31は、特に自動パラメータ化段階中に、アンテナエクステンダ20の全体の性能を過度に妨げずに処理ユニット35の動作に必要なエネルギーを取り出すように、意図的に不十分に同調されるにすぎない。例えば、ステーション10の公称共振周波数が13.56MHzに等しい場合には、第2の発振回路31の共振周波数は15MHzに等しく選択されてもよい。確かに、第2の発振回路31がステーション10の共振周波数とうまく同調されればされるほど、処理ユニット35を給電するためにより多くのエネルギーを利用できるが、第1の発振回路21を正確に同調する際の精度は低くなる。これは、エクステンダ20の性能を保証するために最も重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID読取り/書込みステーション(10)と電磁的に結合されるようにするためのアンテナエクステンダ(20)であって、
第1の可変周波数発振回路(21)と、
前記第1の発振回路(21)と結合される第2の発振回路(31)と、を備え、
− 当該エクステンダ(20)は、該エクステンダ(20)が前記読取り/書込みステーション(10)の近傍に置かれるときに、前記第2の発振回路(31)によって供給されるエネルギーによって給電される処理ユニット(35)を備え、
− 前記処理ユニット(35)は、
前記第2の発振回路(31)の端子の両端間の電圧を測定する測定手段(36)と、
測定された電圧の値に応じて、前記第1の発振回路(21)の共振周波数を変えることができる制御手段(37)と、を有し、
それにより、前記エクステンダ(20)と前記読取り/書込みステーション(10)との間の周波数同調を最適化することを特徴とするアンテナエクステンダ(20)。
【請求項2】
前記制御手段(37)は、測定された電圧の最大値を得るために、前記第1の発振回路(21)の前記共振周波数を変えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項3】
前記測定手段(36)が前記第2の発振回路(31)のピーク電圧を測定することを特徴とする請求項2に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項4】
前記測定手段(36)が前記第2の発振回路(31)の有効電圧または平均電圧を測定することを特徴とする請求項2に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項5】
前記第1の発振回路(21)が可変コンデンサ(C2)を備え、
前記制御手段(37)が前記可変コンデンサ(C2)の値を変えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項6】
前記可変コンデンサ(C2)が1個または複数の可変容量ダイオードを備えることを特徴とする請求項5に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項7】
前記可変コンデンサ(C2)は、並列に連結され、前記制御手段(37)により制御される双安定スイッチ(S1,S2,S3,S4)を用いて切り換え可能な複数のコンデンサ(C21,C22,C23,C24)を備えることを特徴とする請求項5に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項8】
前記第1の発振回路(21)は、前記可変コンデンサ(C2)と並列に連結される、追加の非可変コンデンサも備えることを特徴とする請求項5に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項9】
前記第1の発振回路(21)が可変コイル(L2)を備え、
前記制御手段(37)が前記可変コイル(L2)の値を変えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項10】
前記第2の発振回路の共振周波数は、前記読取り/書込みステーションのアンテナの共振周波数とは異なるように選択されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナエクステンダ。
【請求項11】
データを交換するためのシステムであって、
RFID読取り/書込みステーション(10)と、
少なくとも1つのRFIDタグ(50)と、を備え、
電磁結合によって、前記RFID読取り/書込みステーションが前記RFIDタグと通信できるようにする請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナエクステンダ(20)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
RFID読取り/書込みステーション(10)と電磁的に結合されるアンテナエクステンダ(20)の周波数同調を最適化するための方法であって、
前記エクステンダ(20)が、
処理ユニット(35)と、
第1の発振回路(21)と、
第2の発振回路(31)と、を備え、
前記処理ユニット(35)は、前記第2の発振回路(31)の端子の両端間の電圧を測定し、
前記測定された電圧の値に応じて、前記第1の発振回路(21)の共振周波数を変え、これにより前記測定された電圧の最大値を得ることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記処理ユニット(35)が給電されるたびに当該方法が実行されることを特徴とする請求項12に記載の最適化方法。
【請求項14】
処理ユニット(35)によって、当該方法が定期的に実行されることを特徴とする請求項12に記載の最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512518(P2013−512518A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541387(P2012−541387)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067213
【国際公開番号】WO2011/067084
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(594083128)シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス (52)
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
【Fターム(参考)】