説明

自動分析装置の運用切り替えシステム

【課題】使用状況に応じて予め登録しておいた設定に、簡単に切り替えることで、その都度の指示の煩わしさを軽減することができる自動分析装置の運用切り替えシステムを提供すること。
【解決手段】システム全体の制御を行なうコンピュータ30と、該コンピュータに接続され、臨床検査用自動分析装置50からの測定データ及び各種のデータを記憶する記憶装置と、前記コンピュータ30に各種のコマンド等を入力する操作部32と、前記コンピュータと接続され、操作画面として機能するワンタッチディスプレイを備えたディスプレイ33と、プリンタ34とを具備し、前記コンピュータは、前記ディスプレイからのディスプレイ切り替えボタンをタッチすることにより、ワンタッチディスプレイを夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面に切り替え、更に、所定の機能の選択を行なうことにより、夜間運用設定又は昼間運用設定における最適な項目を設定できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動分析装置の運用切り替えシステムに関し、更に詳しくは生化学、免疫、尿他の臨床検査用自動分析装置の運用切り替えシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血液や尿のような生体試料について、複数項目についての分析を行なうようにした臨床検査用の自動分析装置が知られている。図4は生化学自動分析装置の外観構成例を示す図である。従来の生化学自動分析装置1は、生体試料を入れた所定数のサンプル容器2、2、…および通常の希釈液である生理食塩水以外の特別な希釈液を入れた希釈液容器3、3、…がセットされるサンプルターンテーブル4、サンプル容器2から吸引され、希釈されたサンプルを入れる希釈容器5、5、…がセットされる希釈ターンテーブル6、第1試薬を入れた所定数の第1試薬容器7、7、…がセットされる第1試薬ターンテーブル8、第2試薬を入れた所定数の第2試薬容器9、9、…がセットされる第2試薬ターンテーブル10、希釈ターンテーブル6の希釈容器5からサンプリングした希釈サンプルと、第1試薬ターンテーブル8の第1試薬容器7からサンプリングした第1試薬および第2試薬ターンテーブル10の第2試薬容器9からサンプリングした第2試薬をそれぞれ入れて反応させる所定数の反応容器11、11、…がセットされる反応ターンテーブル(以下、回転反応器と呼ぶ)12からなっている。
【0003】
サンプルターンテーブル4においては、外側にサンプル容器2、2、…が2列配置されているとともに、内側に希釈液容器3、3、…が2列配置され、これらの容器2、2、…;3、3、…はそれぞれ所定本数セットされている。そして、このサンプルターンテーブル4は所定速度でステップ送りされている。
【0004】
サンプルターンテーブル4の周囲には、サンプル希釈ピペット13が配置されている。このサンプル希釈ピペット13は、図示しないサンプル希釈ピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、サンプルターンテーブル4と希釈ターンテーブル6との間で、図示しない洗浄装置を通って左右の回動により往復動する。そして、サンプル希釈ピペット13がサンプルターンテーブル4の所定位置においてサンプル容器2に上下動によるアクセスしたとき、図示しないサンプル用ポンプが作動してサンプルを所定量吸引し、希釈ターンテーブル6の所定位置において希釈容器5にアクセスしたとき、このサンプルとともにサンプル希釈ピペット13自体から供給される所定量の希釈液(通常は生理食塩水)を注入し、その結果、サンプルが希釈容器5内で所定倍数に希釈されるようにしている。その後、サンプル希釈ピペット13は図示しない希釈洗浄装置により洗浄されるようになっている。
【0005】
希釈ターンテーブル6の周囲には、サンプル希釈ピペット13の他に、サンプリングピペット14、希釈撹拌装置15、洗い壷と呼ばれている希釈洗浄装置16が配置されている。希釈容器5内の希釈サンプルは、希釈撹拌装置15により撹拌されて、試料が均一に希釈される。これらの各装置13、14、15、16の配置の自由度を確保するために、希釈ターンテーブル6は、この希釈ターンテーブル6上の円周上に配置された希釈容器5の総数と共通の因数を持たない数を1ステップの送り数としてステップ送りされるようになっている。
【0006】
サンプリングピペット14は、図示しないサンプリングピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、希釈ターンテーブル6と回転反応器12との間で希釈洗浄装置16を通って左右の回動により往復動するようになっている。そして、サンプリングピペット14は、希釈ターンテーブル6の所定位置において上下動により希釈容器5にアクセスしたとき、図示しない希釈サンプル用ポンプが作動して、所定量の希釈サンプルを吸引し、回転反応器12の所定位置において、上下動により、反応容器11にアクセスしたとき、吸引した希釈サンプルをその反応容器11に注入するようにしている。
【0007】
希釈撹拌装置15は、図示しない撹拌装置上下駆動機構により上下に駆動されるとともに、図示しない撹拌棒が前後運動(希釈ターンテーブル6の径に沿う方向の直進往復運動)されるようになっている。そして、希釈ターンテーブル6の所定の希釈容器5の希釈サンプル内に撹拌棒が進入しかつ前後運動することによりサンプルの希釈が均一に行われるようにしている。希釈洗浄装置16は、希釈サンプルを反応容器11に注入した後、サンプリングピペット14を洗浄するようになっている。
【0008】
回転反応器12の周囲には、サンプリングピペット14の他に、第1試薬ピペット17、第2試薬ピペット18、第1反応撹拌装置19、第2反応撹拌装置20、検出器である多波長光度計21、恒温槽22および反応容器洗浄装置23が配置されている。
【0009】
第1試薬ピペット17は、図示しない第1試薬ピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、回転反応器12と第1試薬ターンテーブル8との間で、左右の回動による往復動するようになっている。そして、第1試薬ピペット17は、第1試薬ターンテーブル8の所定位置において、上下動により第1試薬容器7にアクセスしたとき、図示しない第1試薬用ポンプが作動して、所定量の第1試薬を吸引し、回転反応器12の所定位置において、上下動により反応容器11にアクセスしたとき、吸引した第1試薬をその反応容器11に注入するようにしている。
【0010】
第1反応撹拌装置19は、図示しない撹拌装置上下駆動機構により上下に駆動されるとともに、図示しない撹拌棒が、回転運動かつ前後方向の往復動をされるようになっている。そして、回転反応器12の所定の反応容器11の希釈サンプルと第1試薬内に撹拌棒が進入した後、回転かつ前後運動(回転反応器12の径に沿う方向の直進往復運動)することにより、希釈サンプルの反応が均一に、かつ、確実に行われるようにしている。
【0011】
第2試薬ピペット18は、図示しない第2試薬ピペット左右・上下駆動機構により左右、上下に駆動されて、回転反応器12と第2試薬ターンテーブル10との間で、左右の回動による往復動するようになっている。そして、第2試薬ピペット18は、第2試薬ターンテーブル10の所定位置において、上下動により第2試薬容器9にアクセスしたとき、図示しない第2試薬用ポンプが作動して、所定量の第2試薬を吸引し、回転反応器12の所定位置において、上下動により反応容器11にアクセスしたとき、吸引した第2試薬をその反応容器11に注入するようにしている。
【0012】
第2反応撹拌装置20は、第1反応撹拌装置19とまったく同じ構成を有しており、図示しない撹拌装置上下駆動機構により、上下に駆動されるとともに、後述する撹拌棒が、回転運動かつ前後方向の往復動をされるようになっている。そして、回転反応器12の所定の反応容器11の希釈サンプルと第2試薬内に撹拌棒が進入した後、回転かつ前後運動することにより、希釈サンプルの反応が、均一にかつ確実に行われるようにしている。
【0013】
多波長光度計21は、反応容器11内の希釈サンプルの吸光度等を測定して、反応容器11内での希釈サンプルの反応状態を検出するようにしている。恒温槽22は、回転反応器12の反応容器11を、常時一定の温度に保持するようになっている。
【0014】
反応容器洗浄装置23は、図示しない廃液ポンプにより、反応容器11に入っている検出の終了した希釈サンプルを吸入し、かつ、これを廃液タンクに排出した後、図示しない洗浄液ポンプにより、洗浄液をこの反応容器11内に供給して、この洗浄液により反応容器11内を洗浄し、その後洗浄液を廃液タンクに排出するようになっている。
【0015】
これらの各装置14、17、18、19、20、21、22、23の配置の自由度を確保するために、回転反応器12も、この回転反応器12上の周縁部に全周に渡って配置された反応容器11の総数と共通の因数を持たない数を1ステップ当たりの反応容器の送り数として、ステップ送りされるようになっている。その場合、回転反応器12は、1ステップにつき半周以上回転するようにされている。
【0016】
このような生化学自動分析装置の報告書発行方法、オンラインシステム出力等の設定の切り替えを行なう際は、その都度それぞれの設定画面に設けられた選択肢から動作指示することにより決定していた。
【0017】
従来の生化学自動分析装置としては、複数の反応容器が周縁部に配置された回転反応器を備え、1つの反応容器が回転反応器の外周をほぼ一周するのに必要なステップ数が2であるような生化学自動分析装置において、回転反応器の1ステップの送り反応容器数をn、回転反応器の反応容器の総数をN、反応容器が最初の位置から2ステップ送り後に最初の位置からずれる反応容器本数をXとするとき、計算式2n=N+Xで表される正の整数n、N、Xにより、回転反応器の回転動作が制御されることを特徴とする生化学自動分析装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−84211号公報(段落0025〜0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
時間帯の変化に伴いルーチン作業も変化する。作業量が多い昼間と作業量が少ない夜間では、機能動作指示・設定に違いが生じる。従来は、その昼間と夜間の機能動作指示・設定の切り替えを行なうために複数の画面にある設定を一つ一つ変更しなくてはならなかった。更に、設定の変更し忘れや誤操作によって異なった変更をしてしまう等の人為的ミスも問題となっていた。
【0020】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、使用状況に応じて予め登録しておいた設定に、簡単に切り替えることで、その都度の指示の煩わしさを軽減し、作業の省力化を図れ、また人為的ミスの削減も図ることができる自動分析装置の運用切り替えシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の問題を解決するために、本発明は以下のような構成をとっている。
(1)請求項1記載の発明は、臨床検査用自動分析装置からの測定データを読み込んで分析処理を行なう分析処理システムにおいて、システム全体の制御を行なうコンピュータと、該コンピュータに接続され、臨床検査用自動分析装置からの測定データ及び各種のデータを記憶する記憶装置と、前記コンピュータに各種のコマンド及び設定データを入力する操作部と、前記コンピュータと接続され、臨床検査用自動分析装置の操作画面として機能するワンタッチディスプレイを備えたディスプレイと、分析結果及び被検体に貼るラベルを印刷するためのプリンタとを具備し、前記コンピュータは、前記ディスプレイからのディスプレイ切り替えボタンをタッチすることにより、ワンタッチディスプレイを夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面に切り替えることができ、更に、前記ワンタッチディスプレイから所定の機能の選択を行なうことにより、夜間運用設定又は昼間運用設定における最適な項目を設定できるようにしたことを特徴とする。
【0022】
(2)請求項2記載の発明は、前記夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面は、リアルタイム報告書,ホスト出力,音声ガイダンス及びラベル出力の起動設定を前記ワンタッチディスプレイに設けられた選択ボタンにより複数選択可能に構成されたことを特徴とする。 (3)請求項3記載の発明は、前記リアルタイム報告書の詳細設定として、印刷対象の設定で「至急」か「通常」の選択を、報告書のナンバ設定では、出力される報告書ナンバを前記記憶装置に予め記憶されているリストから選択することを特徴とする。
【0023】
(4)請求項4記載の発明は、業務スタイルとして、夜間のデータは詳細な報告書でプリントし、昼間のデータは見やすい簡易な報告書でプリントすることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、前記ホスト出力のオン/オフの設定を行ない、昼間の業務時はホスト出力をオンにし、夜間の業務時にはホスト出力をオフにしておくことを特徴とする。
【0024】
(6)請求項6記載の発明は、前記音声ガイダンスの詳細設定として、音声対象を「至急」と「通常」の中から選択し、音声内容を「検体ナンバ」,「位置ナンバ」,「コメント」から選択可能に構成したことを特徴とする。
【0025】
(7)請求項7記載の発明は、前記ラベル出力を、採血場所が利用できない場合、検体に貼る検体番号ラベルを前記プリンタから出力可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
発明は以下のような効果を有している。
(1)請求項1記載の発明によれば、前記ワンタッチディスプレイから所定の機能の選択を行なうことにより、夜間運用設定又は昼間運用設定における最適な項目を設定できるようにしたので、使用状況に応じて予め登録しておいた設定に、簡単に切り替えることで、その都度の指示の煩わしさを軽減し、作業の省力化を図れ、また人為的ミスの削減も図ることができる自動分析装置の運用切り替えシステムを提供することができる
(2)請求項2記載の発明によれば、前記夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面は、リアルタイム報告書,ホスト出力,音声ガイダンス及びラベル出力の起動設定を前記ワンタッチディスプレイに設けられた選択ボタンにより複数選択可能にすることができる。
【0027】
(3)請求項3記載の発明によれば、前記リアルタイム報告書の詳細設定として、印刷対象の設定で「至急」か「通常」の選択を、報告書のナンバ設定では、出力される報告書ナンバを前記記憶装置に予め記憶されているリストから選択することができる。
【0028】
(4)請求項4記載の発明によれば、夜間のデータは詳細な報告書でプリントし、昼間のデータは見やすい簡易な報告書でプリントすることにより、業務スタイルに応じたプリントをすることができる。
【0029】
(5)請求項5記載の発明によれば、昼間の業務時はホストをオン、夜間の業務時はホストをオフにして業務に応じたホストの運用を行なうことができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、音声内容を必要に応じて最適なものに選択することができる。
【0030】
(7)請求項7によれば、採血場所が利用できない時に、検体に貼る検体番号ラベルをプリンタで出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を実施するシステム構成例を示す図である。
【図2】夜間運用設定画面の一例を示す図である。
【図3】昼間運用設定画面と夜間運用設定画面の一例を示す図である。
【図4】生化学自動分析装置の外観構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明を実施するシステム構成例を示す図である。図に示すシステムは、臨床検査用自動分析装置からの測定データを読み込んで分析処理を行なう分析処理システムを構成している。図において、30はシステム全体の制御を行なうコンピュータ、31は該コンピュータ30に接続され、臨床検査用自動分析装置からの測定データ及び各種のデータを記憶する記憶装置、32は前記コンピュータ30に各種のコマンド及び設定データを入力する操作部、33は前記コンピュータ30と接続され、臨床検査用自動分析装置の操作画面として機能するワンタッチディスプレイ33aを備えたディスプレイ、34は分析結果及び被検体に貼るラベルを印刷するためのプリンタである。
【0033】
コンピュータ30としては、例えばパーソナルコンピュータが用いられ、記憶装置31はデータベースを兼ねており、例えばハードディスク装置が用いられる。操作部32としては、例えばキーボードが用いられ、ディスプレイ33としては、例えば液晶表示装置(LCD)が用いられる。ワンタッチディスプレイ33aには、ソフトウェアキーが表示され、そのキーをタッチすることにより、所定のコマンドが入力されるようになっている。
【0034】
35はコンピュータ30に接続されたマウス、40はコンピュータ30と接続されるホストコンピュータ(以下単にホストと略す)、41は該ホスト40と接続される各種情報を記憶する記憶装置で、データベース(DB)が用いられる。50は図4において説明した臨床検査用自動分析装置としての生化学自動分析装置である。該生化学自動分析装置50は、例えば血液や尿とかの成分検査を行なうものである。55は本発明システムを操作するオペレータである。このように構成されたシステムの動作を説明すれば、以下の通りである。
(実施例1)
自動分析装置の操作画面(設定画面)の一つとして夜間運用設定、昼間運用設定の画面を作成する。図2は夜間運用設定画面の一例を示す図である。それぞれの設定画面は、メイン画面の一段下層にあるユーザメンテナンス画面から編集することができる。図2に示す画面はユーザメンテナンス画面であり、ワンタッチディスプレイ33a上に表示される。
【0035】
それぞれの画面内にはリアルタイム報告書ボタン61、ホスト出力ボタン62、音声ガイダンスボタン63、ラベル出力ボタン64が設けられている。これらボタン61〜64で各項目のオン/オフ設定を行なうことが可能である。具体的には、これらボタン61〜64を指でタッチすることによりオンになる。これらボタンが押されたら、ワンタッチディスプレイ33aからタッチされたボタンの2次元の信号(X=i,Y=j:i,jは任意の整数)がコンピュータ30に入力され、該コンピュータ30はどのボタンが押されたかを判定することができる(以下同じ)。
【0036】
リアルタイム報告書の詳細設定として、印刷対象と報告書No.の設定を行なうことが可能である。印刷対象の選択では、至急ボタン65と通常ボタン66から複数選択することが可能である。ここで、「至急」とは「至急検体」のことであり、「通常」とは「通常検体」のことである。報告書No.選択では、出力される報告書No.を予め記憶装置31に記憶されていたリスト内から選択することが可能である。
【0037】
具体的には、マウス35でオペレータ55が矢印ボタン67bをクリックすれば、報告書No.の表示が表示部67aで変化する。矢印ボタン67bをクリックして所望の報告書No.が表示部67aに表示されるのを確認する。コンピュータ30は、どの報告書が選択されたかをワンタッチディスプレイ33aからの信号により確認することができる。
【0038】
これにより、業務スタイルに応じて報告書の印刷形式を切替えることが可能となる。例として、夜間のデータは詳細な報告書で印字し、昼間の忙しい時は見やすい簡易な報告書で印字する等の設定が可能である。具体的には、コンピュータ30が記憶装置31に記憶されている報告書を読み出して、プリンタ34からプリントすることにより、報告書を印刷することが可能である。
【0039】
本発明によれば、ホスト出力のオン/オフ設定を行なうことが可能である。例としては、昼間の業務時はホスト出力ボタン62をオンにしてホスト40をオンにし、夜間の業務時にはホスト40の電源を落としてしまうような状況では、ホスト出力ボタン62をオフにしておく等の設定が可能である。
【0040】
このように、本発明によれば、前記夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面は、リアルタイム報告書,ホスト出力,音声ガイダンス及びラベル出力の起動設定を前記ワンタッチディスプレイに設けられた選択ボタンにより複数選択可能にすることができる。
【0041】
また、前記リアルタイム報告書の詳細設定として、印刷対象の設定で「至急」か「通常」の選択を、報告書のナンバ設定では、出力される報告書ナンバを前記記憶装置に予め記憶されているリストから選択することができる。
【0042】
また、夜間のデータは詳細な報告書でプリントし、昼間のデータは見やすい簡易な報告書でプリントすることにより、業務スタイルに応じたプリントをすることができる。
更に、昼間の業務時はホストをオン、夜間の業務時はホストをオフにして業務に応じたホストの運用を行なうことができる。
【0043】
また、本発明によれば、音声ガイダンスの詳細設定として、音声対象、音声内容の設定を行なうことが可能である。先ず、オペレータ55は音声ガイダンスボタン63を指でタッチと音声ガイダンス選択モードになる。具体的には音声ガイダンスボタン63をタッチすることにより、その信号がワンタッチディスプレイ33aからコンピュータ30に入力され、該コンピュータ30は音声ガイダンス選択モードになったことお認識することができる。
【0044】
音声対象の選択では、至急ボタン68、通常ボタン69から選択することが可能である。具体的には、オペレータ55が至急ボタン68か通常ボタン69の何れかを指でタッチすることで、選択することができる。これにより、選択された音声対象信号は、ワンタッチディスプレイ33aからコンピュータ30に通知される。
【0045】
音声内容の選択では、検定No.ボタン70、位置No.ボタン71、コメント1ボタン72、コメント2ボタン73から選択可能である。これらボタンがタッチされると、そのタッチされた信号はワンタッチディスプレイ33aからコンピュータ30に入力され、該コンピュータ30は音声内容の選択ができる。
【0046】
これにより、業務スタイルに応じた音声ガイダンスの設定を切替えることがことが可能となる。例として、昼間の忙しい時間帯は至急検体のガイダンスのみ設定するようにし、夜間の被検体の少ない時間帯は通常検体にもガイダンスするように設定することが可能となる。
【0047】
本発明によれば、ラベル出力のオン/オフ設定を行なうことが可能である。このラベル出力の機能は、オペレータ55がラベル出力ボタン64をタッチすることによりコンピュータ30がそのことを認識し、検体に貼るラベルをプリンタ34で出力する機能である。オン/オフ設定の例として、通常は検体番号ラベル(例えばバーコード)は採血場所で検体に張り付けるが、夜間など採血場所が利用できない場合、検体に貼るためのラベルをプリンタ34で出力するのである。出力された検体番号ラベルは、検体に貼り付けられる。
【0048】
上述した動作で設定された内容は、保存ボタン74をタッチすることで記憶させることができる。記憶させた内容は記憶装置31に記憶される。一方、前述したような運用設定動作を中止する場合は、オペレータ55は中止ボタン75をタッチする。これにより、中止信号がワンタッチディスプレイ33aからコンピュータ30に入力され、コンピュータ30は入力された信号に基づき、設定情報の記憶装置31への記憶、設定動作の中止を行わせることができる。
【0049】
保存ボタン74を押し保存終了後、現運用種別の変更であれば、即設定が反映される。それ以外の場合には、保存終了後、画面が自動的に閉じる。夜間運用と昼間運用との切り替えは、ディスプレイ33のメイン画面にあるアイコンを夜間用と昼間用のうちの何れかをオペレータ55がタッチすることで実現される。
【0050】
本発明によれば、立ち上げた時間に応じた運用設定でシステムが起動する。例として、AM6時〜PM6時での立ち上げ時は昼間運用設定で起動させることが可能である。
(実施例2)
図3は昼間運用設定画面と夜間運用設定画面の一例を示す図である。(a)は昼間運用設定画面、(b)は夜間運用設定画面である。図中グレーで塗られたボタンが選択されていることを示している。図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。
【0051】
昼間運用は検体数が多く、システムを熟知しているオペレータがシステムの近くで作業を行なうことが可能な状況である。夜間運用は検体数が少なくシステムを熟知しているオペレータがいない場合が多い状況の設定例を示す。
【0052】
昼間運用は、通常検体・至急検体ともに多くの検体を分析する状況が想定される。出力データは主にホスト40で管理される。そのため、システムでは至急検体の分析結果のみを簡易な報告書としてプリントし、音声ガイダンスも至急検体のみガイダンスをする設定をする。システムを熟知しているオペレータ55がいる場合は、異常のある分析結果は、システムの操作画面により確認が可能であるため、詳細な報告書をプリントする必要はない。また、検体番号のラベルは採血場所等で貼り付けられるため、システムでラベルを出力する必要はない。
【0053】
夜間運用は、通常検体・至急検体ともに検体数が少ない状況が想定される。夜間はホストの電源を落としてしまうため、ホスト出力ボタン62をタッチしてホスト出力はオフに設定する。そのため、システムでは、通常検体・至急検体ともに詳細な報告書としてプリントし、分析結果を確認する必要がある。また、音声ガイダンスは、通常検体・至急検体ともにガイダンス対象に設定する。夜間のため採血場所で検体番号のラベルを貼ることができないので、検体に貼るラベルはシステムで出力するように設定する。具体的には、オペレータ55がラベル出力ボタン64にタッチしてラベル出力オンにし、プリンタ34からラベルを出力する。
【0054】
以上、説明したように、検体数やオペレータの技術・システムの使用環境に合わせた設定をすることで、より便利にシステムを使用することができる。
(実施例3)
夜間/昼間運用設定としてだけでなく、個人・用途別運用設定としての実施も考えることができる。システムは1台でも複数の使用者がいる場合、各人がカスタマイズして設定を登録しておくことで、それぞれのユーザが使いやすい設定を登録しておくことが可能となる。
(実施例4)
設定内容を、リアルタイム報告書・ホスト出力・音声ガイダンスだけでなく、様々な設定を行なうことも可能である。例えば、アラームの警告音の種別や音量の設定を行なうことができるなど、使用状況に応じた設定も考えられる。
(実施例5)
起動する時間によって、昼間/夜間のどちらの設定でシステムが立ち上がるかを登録しておくことが可能である。システムを運用している状況により、システムを起動する時間は様々である。その状況に合わせて登録しておけば、起動した時に切り替えを行なう必要がなくなる。
【0055】
また、システムには自動起動の機能があり、その起動設定に合わせて昼間/夜間運用の設定も登録しておくことも可能である。
以上説明した本発明の効果を列挙すれば、以下の通りである。
1)予め設定を登録しておくため、その都度行ってきた機能動作指示を省くことができ、オペレーション画面においてアイコンをワンタッチすることで切り替えが行なえるため、作業の省力化を図ることが可能である。
2)自動分析装置のオペレーション画面において、ウィンドウを開かなくてもアイコンで状態を確認できるため、設定状態の確認が容易であり、人的ミスを削減することができる。
【符号の説明】
【0056】
30 コンピュータ
31 記憶装置
32 操作部
33 ディスプレイ
33a ワンタッチディスプレイ
34 プリンタ
35 マウス
40 ホスト
41 記憶装置
50 生化学自動分析装置
55 オペレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床検査用自動分析装置からの測定データを読み込んで分析処理を行なう分析処理システムにおいて、
システム全体の制御を行なうコンピュータと、
該コンピュータに接続され、臨床検査用自動分析装置からの測定データ及び各種のデータを記憶する記憶装置と、
前記コンピュータに各種のコマンド及び設定データを入力する操作部と、
前記コンピュータと接続され、臨床検査用自動分析装置の操作画面として機能するワンタッチディスプレイを備えたディスプレイと、
分析結果及び被検体に貼るラベルを印刷するためのプリンタと、
を具備し、
前記コンピュータは、前記ディスプレイからのディスプレイ切り替えボタンをタッチすることにより、ワンタッチディスプレイを夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面に切り替えることができ、
更に、前記ワンタッチディスプレイから所定の機能の選択を行なうことにより、夜間運用設定又は昼間運用設定における最適な項目を設定できるようにした
ことを特徴とする自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項2】
前記夜間運用設定画面又は昼間運用設定画面は、リアルタイム報告書,ホスト出力,音声ガイダンス及びラベル出力の起動設定を前記ワンタッチディスプレイに設けられた選択ボタンにより複数選択可能に構成されたことを特徴とする請求項1記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項3】
前記リアルタイム報告書の詳細設定として、印刷対象の設定で「至急」か「通常」の選択を、報告書のナンバ設定では、出力される報告書ナンバを前記記憶装置に予め記憶されているリストから選択することを特徴とする請求項1又は2記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項4】
業務スタイルとして、夜間のデータは詳細な報告書でプリントし、昼間のデータは見やすい簡易な報告書でプリントすることを特徴とする請求項3記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項5】
前記ホスト出力のオン/オフの設定を行ない、昼間の業務時はホスト出力をオンにし、夜間の業務時にはホスト出力をオフにしておくことを特徴とする請求項2記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項6】
前記音声ガイダンスの詳細設定として、音声対象を「至急」と「通常」の中から選択し、音声内容を「検体ナンバ」,「位置ナンバ」,「コメント」から選択可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。
【請求項7】
前記ラベル出力を、採血場所が利用できない場合、検体に貼る検体番号ラベルを前記プリンタから出力可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動分析装置の運用切り替えシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95126(P2011−95126A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249942(P2009−249942)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】