説明

自動分析装置及びその洗浄方法

【課題】分注プローブの洗浄に用いる洗浄液の供給が可能な自動分析装置及びその洗浄方法を提供する。
【解決手段】被検試料を分注するサンプル分注プローブ16を洗浄する第1の洗浄液を貯留する第1の洗浄槽81cと、第1の洗浄槽81c内の第1の洗浄液を検出する液面検出器18aと、第1の洗浄槽81cに第1の洗浄液を供給する供給部81bとを備え、影響を受ける測定項目を含む被検試料の分注前に第1の洗浄液槽81cに貯留した第1の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄する。このときの液面検出器18aの検出信号に基づいて第1の洗浄槽81c内の洗浄液量を計測し、計測した洗浄液量が量V1よりも少ない場合、第1の洗浄槽81c内に第1の洗浄液を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に含まれている成分を分析する自動分析装置及びその洗浄方法に係り、特に、ヒトの血液や尿などの体液を分注して体液に含まれる成分を自動的に測定する自動分析装置及びその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検試料と各項目に該当する試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を測定する。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に分析条件の設定により測定可能になった多数の項目の中から、検査に応じて選択された項目の測定が行われる。そして、被検試料はサンプル分注プローブによりサンプラに収納された試料容器から反応容器に分注され、試薬は試薬分注プローブにより試薬庫に収納された試薬容器から反応容器に分注される。次いで、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液は撹拌子により撹拌された後、測光部により測定される。そして、サンプル分注プローブは被検試料の分注終了毎に洗浄水で洗浄され、試薬分注プローブは試薬分注終了毎に洗浄水で洗浄される。
【0004】
しかしながら、洗浄水洗浄だけでは以前に分注した被検試料がサンプル分注プローブを介して次の被検試料に持ち越されると、次の被検試料に免疫学的検査など微量成分の測定項目が含まれている場合、被検試料間のキャリーオーバによりその測定項目の分析データが悪化してしまう問題がある。また、洗浄水洗浄だけでは以前に分注した試薬が試薬分注プローブを介して次に分注する試薬に持ち越されると、試薬間のキャリーオーバにより以前の試薬と反応して次の試薬に該当する測定項目の分析データが悪化してしまう問題がある。
【0005】
このような問題を避けるために、影響を受けやすい測定項目を含む被検試料を分注する前に、試薬容器に収容した洗剤を用いて分注プローブを洗浄する方法や、影響を与える試薬を分注した後に、その洗剤を用いて分注プローブを洗浄してから影響を受ける試薬を分注する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−207944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、測定開始前に試料容器や試薬容器内に充分量の洗浄液を補充し忘れると、測定中に洗浄液が不足して洗浄液による分注プローブの洗浄ができなくなるため、測定動作が停止する恐れがある。
【0007】
また、測定する被検試料や測定項目数が多いと被検試料を収容した試料容器や試薬を収容した試薬容器の数が多くなるので、収納可能な洗浄液の試料容器や試薬容器の数が限定され、測定中に洗浄液が不足して測定動作が停止する恐れがある。そして、測定中に測定動作が停止すると、洗浄液を補充する手間が掛かると共に処理能力が低下する問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、分注プローブの洗浄に用いる洗浄液の供給が可能な自動分析装置及びその洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記被検試料を分注する分注プローブと、前記分注プローブを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給する供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る本発明の自動分析装置は、被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬を分注する分注プローブと、前記分注プローブを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給する供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項12に係る本発明の自動分析装置の洗浄方法は、被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置の洗浄方法において、前記被検試料を分注する分注プローブを、前記測定項目の内の予め設定された影響を受ける測定項目を含む被検試料の分注前に洗浄するための洗浄液を洗浄液槽内に貯留し、前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測手段により計測し、前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給手段により供給することを特徴とする。
【0012】
更にまた、請求項13に係る本発明の自動分析装置の洗浄方法は、被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の洗浄方法において、前記試薬を分注する分注プローブを、前記試薬の内の予め設定された影響を与える試薬を分注した後に前記影響を与える試薬から影響を受ける試薬を分注する場合、前記影響を受ける試薬の分注前に洗浄するための洗浄液を洗浄液槽に貯留し、前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測手段により計測し、前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給手段より供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分注プローブを強力に洗浄できる洗浄液を貯留する洗浄槽を設け、この洗浄槽内に貯留した洗浄液が所定の量よりも少ないときに、その洗浄液を洗浄槽に供給することにより、洗浄液を補充する手間を省くと共に処理能力の低下を防ぎ、精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図16を参照して説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置200は、様々な測定項目の標準試料や被検試料を選択した測定項目毎に測定する分析部19と、分析部19の測定動作の制御を行う分析制御部30と、分析部19で標準試料や被検試料の測定により生成された標準データや被検データを処理してキャリブレーションテーブルの作成や分析データの生成を行うデータ処理部40と、データ処理部40からのキャリブレーションテーブルや分析データを出力する出力部50と、測定項目毎の分析条件の設定や被検試料毎の測定項目の選択入力、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、上述したこれらのユニットを統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0016】
分析部19は、標準試料、被検試料などのサンプルを取り扱うユニットやこのユニットを純水装置110の水を洗浄水として用いて洗浄するユニットを有するサンプル部20と、サンプル中の測定項目の成分と反応させるための試薬を取り扱うユニットやこのユニットを前記洗浄水を用いて洗浄するユニットを有する試薬部21とを備えている。
【0017】
また、サンプルと試薬の混合液を取り扱うユニットを有する反応部22と、サンプル部20及び試薬部21のサンプルや試薬を取り扱うユニットを洗浄水よりも強力に洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄部23とを備えている。そして、標準試料や被検試料の測定により生成された標準データや被検データなどは、反応部22からデータ処理部40に出力される。
【0018】
分析制御部30は、分析部19のサンプル部20、試薬部21、反応部22を構成している各ユニット、及び洗浄部23を構成している各ユニットを駆動する機構を備えた機構部31と、機構部31の各機構を制御する制御部32とを備えている。
【0019】
データ処理部40は、分析部19の反応部22から出力された標準データから各測定項目のキャリブレーションテーブルの作成や、反応部22から出力された被検データから分析データの生成などを行う演算部41と、演算部41で作成されたキャリブレーションテーブルや生成された分析データなどを保存する記憶部42とを備えている。
【0020】
演算部41は、反応部22から出力された各測定項目の標準データから各測定項目のキャリブレーショテーブルを作成して、記憶部42に保存すると共に出力部50に出力する。また、反応部22から出力された被検データに対して、この被検データに対応する測定項目のキャリブレーションテーブルを記憶部42から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを生成する。そして、生成した分析データを記憶部42に保存すると共に出力部50に出力する。
【0021】
記憶部42は、ハードディスクなどを備え、演算部41から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データなどを保存する。
【0022】
出力部50は、データ処理部40の演算部41から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データなどを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。
【0023】
印刷部51は、プリンタなどを備え、演算部41から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷出力する。
【0024】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部41から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データなどの表示を行う。また、被検体のID及び氏名などの被検体情報を入力する被検体情報入力画面、測定項目毎の分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検試料毎に測定項目を設定するための測定項目設定画面等の表示を行う。
【0025】
更に、分析部19の洗浄部23における洗浄液を用いてサンプル部20のユニットを洗浄する条件である影響を受ける測定項目を設定するための影響項目設定画面や、試薬部21のユニットを洗浄する条件である影響を与える試薬及びこの試薬から影響を受ける試薬を設定するための影響試薬設定画面などの表示を行う。
【0026】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、測定項目毎の分析条件の設定、被検体情報の入力、被検試料毎の測定項目の選択入力、影響を受ける測定項目の設定、影響を与える試薬及びこの試薬から影響を受ける試薬の設定などの様々な操作を行う。
システム制御部70は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部60から供給されるコマンド信号、測定項目の分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目、影響を受ける測定項目、影響を与える試薬及びこの試薬から影響を受ける試薬など操作部60からの入力情報を記憶する。そして、記憶したこれらの情報に基づいて、分析部19の各分析ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御や、キャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力などシステム全体の制御を行う。
【0027】
次に、図2乃至図5を参照して、分析部19のサンプル部20、試薬部21、及び反応部22の構成の詳細を説明する。図2は、分析部19のサンプル部20、試薬部21、及び反応部22の構成を示す斜視図である。図3は、サンプル部20、反応部22、及び洗浄部23の一部のユニットの配置を示す図である。図4及び図5は、試薬部21、反応部22、及び洗浄部23の一部のユニットの配置を示す図である。
【0028】
図2において、サンプル部20は、標準試料、被検試料などのサンプルを収容する試料容器17と、この試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ6と、ディスクサンプラ6に収納した試料容器17内のサンプルを吸引して反応部22に吐出するサンプル分注プローブ16とを備えている。
【0029】
また、サンプル分注プローブ16を用いてサンプルの吸引及び吐出を行うサンプル分注ポンプ部10aと、被検試料の分注終了毎に純水装置110の洗浄水を用いてサンプル分注プローブ16の洗浄を行う洗浄水槽16aとを備えている。
【0030】
更に、サンプル分注プローブ16を、図3に示した破線の円軌道に沿って矢印R1及びR2方向への水平移動、円軌道下に配置される洗浄水槽16a、試料容器17、反応部22、及び洗浄部23の一部の上方の各上停止位置への停止、及び各上停止位置における上下移動を可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0031】
更にまた、上停止位置から下への移動によりサンプル分注プローブ16が試料容器17内のサンプルや洗浄部23の洗浄液と接触したときに、その液面を検出する液面検出器18aを備えている。そして、検出したサンプルや洗浄液の検出信号を分析制御部30の制御部32に出力する。制御部32では、液面検出器18aからの検出信号に基づいて、サンプル分注プローブ16の先端部がサンプルや洗浄液の液面から所定の深さに達した液面検出位置でサンプル分注アーム10を停止させる。
【0032】
試薬部21は、サンプルに対して選択的に反応する複数の第1試薬及びこの第1試薬と対をなす第2試薬が入った試薬容器7a,7bと、試薬容器7aを収納した試薬ラック1aを回動可能に保持する試薬庫2と、試薬容器7bを収納した試薬ラック1bを回動可能に保持する試薬庫3と、試薬庫2,3の試薬容器7a,7bから第1及び第2試薬を吸引して、反応部22に吐出する第1及び第2試薬分注プローブ14,15とを備えている。
【0033】
また、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を用いて第1及び第2試薬の吸引及び吐出を行う試薬分注ポンプ部8a,9aと、第1及び第2試薬の分注終了毎に純水装置110の洗浄水を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄する洗浄水槽14a,15aとを備えている。
【0034】
更に、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を、図4及び図5に示した破線の円軌道に沿って矢印R1及びR2方向への水平移動、円軌道下に配置された洗浄水槽14a,15a、試薬容器7a,7b、反応部22、及び洗浄部23の上方の各上停止位置への停止、及び各上停止位置における上下移動を可能に保持する第1及び第2試薬分注アーム8,9を備えている。
【0035】
更にまた、上停止位置からの下移動により第1及び第2試薬分注プローブ14,15が試薬容器7a,7b内の第1及び第2試薬や洗浄部23の洗浄液と接触したときに、その液面を検出する液面検出器18b,18cを備えている。そして、検出した第1及び第2試薬や洗浄液の検出信号を制御部32に出力する。制御部32では、液面検出器18b,18cからの検出信号に基づいて、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の先端部が第1及び第2試薬や洗浄液の液面から所定の深さに達した液面検出位置で第1及び第2試薬分注アーム8,9を停止させる。
【0036】
反応部22は、サンプル部20のサンプル分注プローブ16から吐出されたサンプル、試薬部21の第1試薬分注プローブ14から吐出された第1試薬、及び第2試薬分注プローブ15から吐出された第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器4と、この反応容器4を回転可能に保持する反応ディスク5と、反応容器4内のサンプル及び第1試薬からなる第1の混合液を撹拌する第1撹拌子11a1とを備えている。
【0037】
また、第1の混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子11a1を洗浄水を用いて洗浄する洗浄水槽11a2と、第1の混合液を収容した反応容器4及び洗浄水槽11a2の各上停止位置への水平移動、及び各上停止位置における上下移動を可能に第1撹拌子11a1を保持する第1撹拌ユニット11aとを備えている。
【0038】
更に、反応容器4内のサンプル、第1試薬、及び第2試薬からなる第2の混合液を撹拌する第2撹拌子11b1と、第2の混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子11b1を洗浄水を用いて洗浄する洗浄水槽11b2と、第2の混合液を収容した反応容器4及び洗浄水槽11b2の各上停止位置への水平移動、及び各上停止位置における上下移動を可能に第2撹拌子11b1を保持する第2撹拌ユニット11bとを備えている。
【0039】
更にまた、撹拌後の第1の混合液や第2の混合液を収容した反応容器4に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する測光ユニット13と、測定を終えた反応容器4内の第1及び第2の混合液を吸引する吸引ノズル、第1及び第2の混合液を吸引した後の反応容器4内をアルカリ性洗浄液、酸性洗浄液、及び水で洗浄する複数の洗浄ノズル、及び洗浄した後の反応容器4内を乾燥する乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0040】
そして、反応容器4は、第1及び第2の混合液の測定終了毎に、洗浄ユニット12によりその反応容器4内が洗浄及び乾燥され、再び測定に使用される。また、測光ユニット13は、吸光度測定により生成した各測定項目の標準試料の標準データや被検試料の被検データをデータ処理部40に出力する。
【0041】
次に、図2乃至図12を参照して、洗浄部23の構成の詳細について説明する。図6は、洗浄部23の構成を示す図である。図7は、表示部52に表示される影響項目設定画面の一例を示す図である。図8、図9、図11、及び図12は、図6の洗浄部23を構成している各洗浄部の構成を示す図である。図10は、表示部52に表示される影響試薬設定画面の一例を示す図である。
【0042】
図6において、洗浄部23は、サンプル部20のサンプル分注プローブ16の洗浄に用いる洗浄液を貯留するサンプル分注プローブ洗浄部80と、試薬部21の第1試薬分注プローブ14の洗浄に用いる洗浄液を貯留する第1試薬分注プローブ洗浄部90と、試薬部21の第2試薬分注プローブ15の洗浄に用いる洗浄液を貯留する第2試薬分注プローブ洗浄部100とを備えている。
【0043】
まず、サンプル分注プローブ洗浄部80の構成の詳細を説明する。サンプル分注プローブ洗浄部80は、サンプル分注プローブ16を洗浄水よりも強力に洗浄するための洗浄液を補充可能に貯留している。この洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16の洗浄を行うために、サンプル分注プローブ16を介して以前に分注した被検試料から影響を受けやすい例えば微量成分である免疫学的検査項目などの影響を受ける測定項目、及びこの測定項目の洗浄に適した洗浄液を表示部52の影響項目設定画面に設定する。
【0044】
図7は、表示部52に表示される影響項目設定画面の一例を示した図である。この影響項目設定画面53は、分析条件設定画面で設定された項目の項目名を略称で表示する「項目」の欄と、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いる洗浄液の洗浄液名を表示する「洗浄液」の欄と、影響を受ける測定項目の項目名及びこの項目名の測定項目の洗浄に適した洗浄液を設定するための影響項目設定エリア53aから構成される。
【0045】
「洗浄液」の欄には、例えば酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、界面活性剤を含む中性洗浄液等である「第1の洗浄液」、及びこの「第1の洗浄液」とは異なる洗浄力を有する洗浄液である「第2の洗浄液」が表示されている。また、「項目」の欄には、分析条件設定画面に設定された例えば「GOT」、「GPT」、「Ca」、「HBsAg」などの項目名が表示されている。
【0046】
影響項目設定エリア53aには、「項目」の欄の影響を受ける測定項目の項目名を選択し、選択した項目名に対応する「洗浄液」の欄の「第1の洗浄液」、又は「第2の洗浄液」、又は「第1及び第2の洗浄液」を選択すると、選択した項目名及び洗浄液に対応する位置に「○」が表示され、選択されない位置には「・」が表示される。
【0047】
そして、操作部60から影響を受ける測定項目として例えば「HBsAg」を選択し、また「HBsAg」の洗浄に適した洗浄液として例えば「第2の洗浄液」を選択すると、影響項目設定エリア53aの「HBsAg」及び「第1の洗浄液」に対応する位置53bに「○」が表示される。影響項目設定画面53に設定された影響を受ける測定項目及び浄液の情報は、システム制御部70の内部記憶回路に保存される。
【0048】
図8は、サンプル分注プローブ洗浄部80の構成を示した図である。このサンプル分注プローブ洗浄部80は、図7の影響項目設定画面53に表示された「第1の洗浄液」に対応する第1の洗浄液を貯留する第1の洗浄部81と、「第2の洗浄液」に対応する第2の洗浄液を貯留する第2の洗浄部82と、第1及び第2の洗浄部81,82の第1及び第2の洗浄液を外部に排出する排液ポンプ83とを備えている。
【0049】
第1の洗浄部81は、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いる第1の洗浄液を貯留する第1の洗浄液槽81cと、この第1の洗浄液槽81cに第1の洗浄液を供給する供給部81bとを備えている。
【0050】
第1の洗浄液槽81cは、図3に示したサンプル分注プローブ16の円軌道の下方に配置される。そして、図9に示すように、供給部81bから供給される第1の洗浄液を貯留する洗浄槽81iと、チューブを介して供給部81bに接続された吐出管81jと、洗浄槽81i内に貯留した第1の洗浄液を外部に排出するための排液口81kと、洗浄槽81i内に貯留した第1の洗浄液を室温よりも高い所定の温度に加熱する加熱部81mとを有する。
【0051】
加熱部81mは、洗浄槽81iの外周に配置され、洗浄槽81iを介して第1の洗浄液を周囲よりも高い温度に加熱するヒータ、洗浄槽81i内の第1の洗浄液の温度を検出する温度センサ、及びヒータを制御する制御回路を備えている。そして、温度センサからの温度検出信号に基づく制御回路の制御により、第1の洗浄液が所定の温度よりも低いときにヒータで加熱する。
【0052】
このように、第1の洗浄液を室温よりも高い温度に加熱しておくことにより、この第1の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄したときに、サンプル分注プローブ16に付着した汚れを強力に洗い落とすことができる。
【0053】
供給部81bは、図2に示した分析部19の下側に配置され、例えば第1の洗浄液の濃縮液を収容する洗剤ボトル81aと、第1の洗浄液槽81c内に第1の洗浄液を供給する供給ポンプ81dと、チューブを介して第1端部が洗剤ボトル81aに接続し、また第2端部が第1の洗浄液槽81cの吐出管81jに接続し、更に第3端部が供給ポンプ81dに接続した三方弁81eとを備えている。
【0054】
洗剤ボトル81aは、第1の洗浄液の濃縮液であるため、広い収納場所を必要とせず装置の小型化を図ることができる。なお、第1の洗浄液として酸性洗浄液を用いる場合、反応部22の洗浄ユニット12で反応容器4の洗浄に用いる酸性性洗浄液と共用するようにしてもよい。
【0055】
供給ポンプ81dは、洗剤ボトル81aから第1の洗浄液の濃縮液を吸引する洗剤ポンプ81fと、洗剤ボトル81aから吸引した濃縮液を希釈して第1の洗浄液槽81cに供給する希釈ポンプ81gと、チューブを介して第1端部が三方弁81eの第3端部に接続し、また第2端部が洗剤ポンプ81fに接続し、更に第3端部が希釈ポンプ81gに接続した三方の分岐管81hとを備えている。
【0056】
洗剤ポンプ81fは、第1及び第3端部が開放した三方弁81e、及び分岐管81hを介して、洗剤ボトル81aから例えば分岐管81hと三方弁81eの間のチューブ内の三方弁81eの近傍の矢印L1範囲内に第1の洗浄液の濃縮液を吸引する。
【0057】
希釈ポンプ81gは、洗剤ポンプ81fが吸引した第1の洗浄液の濃縮液の量の例えば100倍量の水を純水装置110から吸引する。そして、洗剤ポンプ81fが吸引した後、分岐管81h、及び第2及び第3端部を開放した三方弁81eを介して、吸引した水と共にL1範囲の第1の洗浄液の濃縮液を第1の洗浄液槽81cに供給する。この供給により、濃縮液が水で希釈された第1の洗浄液が第1の洗浄液槽81c内に貯留される。
【0058】
三方弁81eは、例えば三方電磁弁であり、洗剤ポンプ81fにより洗剤ボトル81aから第1の洗浄液の濃縮液の吸引が行われるときには、第1及び第3端部を開放し、第2端部を閉じている。また、第1の洗浄液槽81c内に吸引した第1の洗浄液の濃縮液の供給が行われるときには、第2及び第3端部を開放し、第1端部を閉じている。
【0059】
第2の洗浄部82の構成を説明する。第2の洗浄部82が第1の洗浄部81と異なる点は、第1の洗浄液を第2の洗浄液に置き換えた点である。第1の洗浄部81と同じ機能を有する第2の洗浄部82の構成ユニットを、第1の洗浄部81と同じ名称で呼び、異なる符合を付している。
【0060】
第2の洗浄部82は、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いる第2の洗浄液を貯留する第2の洗浄液槽82cと、この第2の洗浄液槽82cに第2の洗浄液を供給する供給部82bとを備えている。
【0061】
第2の洗浄液槽82cは、図3に示したサンプル分注プローブ16の円軌道の下方に配置される。そして、供給部82bからの第2の洗浄液を貯留する洗浄槽82iと、供給部82bから供給される第2の洗浄液を洗浄槽内82i内に吐出する吐出管82jと、洗浄槽82i内に貯留した第2の洗浄液を外部に排出するための排液口82kと、洗浄槽82i内に貯留した第2の洗浄液を周囲よりも高い所定の温度に加熱する加熱部82mとを有する。
【0062】
供給部82bは、分析部19の下側に配置され、第2の洗浄液の濃縮液を収容した洗剤ボトル82aと、第2の洗浄液槽82c内に第2の洗浄液を供給する供給ポンプ82dと、チューブを介して第1端部が洗剤ボトル82aに接続し、また第2端部が第2の洗浄液槽82cに接続し、更に第3端部が供給ポンプ82dに接続した三方弁82eとを備えている。
【0063】
供給ポンプ82dは、洗剤ボトル82aから第2の洗浄液の濃縮液を吸引する洗剤ポンプ82fと、洗剤ボトル82aから吸引した第2の洗浄液の濃縮液を希釈して第2の洗浄液槽82cに供給する希釈ポンプ82gと、チューブを介して第1端部が三方弁82eの第3端部に接続し、また第2端部が洗剤ポンプ82fに接続し、更に第3端部が希釈ポンプ82gに接続した三方の分岐管82hとを備えている。なお、第2の洗浄液が例えばアルカリ性洗浄液である場合、反応部22の洗浄ユニット12で反応容器4の洗浄に用いるアルカリ性洗浄液と共用するようにしてもよい。
【0064】
なお、影響項目設定画面53に影響を受ける測定項目の洗浄液として「第1及び第2の洗浄液」を選択することにより、サンプル分注プローブ洗浄部80の第1の洗浄液及び第2の洗浄液を用いて、サンプル分注プローブ16の洗浄が行われる。
【0065】
また、サンプル分注プローブ16は、測定終了後の洗浄のときにも、サンプル分注プローブ洗浄部80の洗浄液を用いて洗浄される。
【0066】
このように、サンプル分注プローブ洗浄部80の第1及び第2の洗浄液槽81c,82cに貯留した第1及び第2の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄することにより、サンプル分注プローブ16に残存した被検試料をサンプル部20の洗浄水槽16aの洗浄水による洗浄よりも強力に洗い落とすことができる。
【0067】
また、供給部81b,82bを設けることにより、第1及び第2の洗浄槽81c,82c内に第1,第2の洗浄液を供給することができる。
【0068】
更に、第1及び第2の洗浄槽81c,82cを分析部19上に配置し、供給部81b,82bを分析部19の下側に配置することにより、分析部19の占有面積の増大を防ぐことができる。また、洗剤ボトル81a,82a内の第1及び第2の洗浄液の濃縮液を、希釈ポンプ81g,82gを用いて外部の純水装置110からの水で希釈して第1及び第2の洗浄槽81c,82c内に供給することにより、装置の小型化を図ることができる。
【0069】
次に、第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の構成の詳細を説明する。第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100は、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄するためのサンプル分注プローブ洗浄部80と同じ第1及び第2の洗浄液を補充可能に貯留している。なお、第1及び第2の洗浄液と異なる第3及び第4の洗浄液を用いるようにしてもよい。
【0070】
そして、表示部52の影響試薬設定画面に、第1試薬分注プローブ14を介して影響を与えやすい第1試薬を、影響を与える第1試薬として設定する。また、第1試薬分注プローブ14を介して影響を与える第1試薬から影響を受けやすい第1試薬を、影響を受ける第1試薬として設定する。更に、影響を与える第1試薬を第1試薬分注プローブ14から洗い落とすための洗浄液を設定する。
【0071】
上記第1試薬の場合と同様にして、影響を与える第2試薬、この影響を与える第2試薬から第2試薬分注プローブ15を介して影響を受ける第2試薬、及び影響を与える第2試薬を第2試薬分注プローブ15から洗い落とすための洗浄液を設定する。
【0072】
この設定により、第1及び第2試薬分注プローブ14,15は、測定中に影響を与える第1及び第2試薬を分注した後に影響を受ける第1及び第2試薬の分注が行われる場合、影響を受ける第1及び第2試薬の分注前に、第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100に貯留した洗浄液を用いて洗浄される。なお、測定終了後の洗浄のときにも、第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の洗浄液を用いて洗浄される。
【0073】
図10は、表示部52に表示される影響試薬設定画面の一例を示した図である。この影響試薬設定画面54は、分析条件設定画面で設定された項目の第1試薬の項目名を略称で横軸に表示する「影響を与える第1試薬」及び縦軸に表示する「影響を受ける第1試薬」の欄と、この欄に影響を与える第1試薬の項目名、影響を受ける第1試薬の項目名、及び影響を与える第1試薬の洗浄に適した洗浄液を設定するための第1試薬設定エリア54aとにより構成される。
【0074】
また、分析条件設定画面で設定された項目の第2試薬の項目名を略称で横軸に表示する「影響を与える第2試薬」及び縦軸に表示する「影響を受ける第2試薬」の欄と、この欄に影響を与える第2試薬の項目名、影響を受ける第2試薬の項目名、及び影響を与える第2試薬の洗浄に適した洗浄液を設定するための第2試薬設定エリア54bとにより構成される。
【0075】
「影響を与える第1試薬」及び「影響を受ける第1試薬」の欄の横軸には、図7に示した「項目」の欄と同じ項目名である「GOT」、「GPT」、「Ca」、及び「HBsAg」などが表示されている。また、縦軸には、横軸と同じ項目名が表示されている。
【0076】
第1試薬設定エリア54aでは、「影響を与える第1試薬」及び「影響を受ける第1試薬」の欄の横軸に表示された影響を与える第1試薬の項目名、及びこの項目名の第1試薬から影響を受ける第1試薬の項目名を選択する。また、影響を与える第1試薬の洗浄に適した第1の洗浄液及び/又は第2の洗浄液を選択する。この選択した横軸及び縦軸の項目名の位置に、選択した例えば第1の洗浄液に対応する「1」、又は第2の洗浄液に対応する「2」、又は第1及び第2の洗浄液に対応する「3」が表示される。
【0077】
そして、項目名を選択しない位置には場合には「・」が表示される。また、横軸及び縦軸の項目名が同じである位置には、項目名の選択ができないように「−」が表示されている。
【0078】
「影響を与える第2試薬」及び「影響を受ける第2試薬」の欄の横軸には、「影響を与える第1試薬」及び「影響を受ける第1試薬」の欄の横軸の項目名の第1試薬と対をなす第2試薬に対応する「GOT」、「GPT」、「Ca」、及び「HBsAg」などの項目名が表示されている。また、縦軸には、横軸と同じ項目名が表示されている。なお、第2試薬を有しない項目名は表示されないようになっている。
【0079】
第2試薬設定エリア54bには、「影響を与える第2試薬」及び「影響を受ける第2試薬」の欄の横軸に表示された影響を与える第2試薬の項目名、この項目名の第2試薬から影響を受ける第2試薬の項目名、及び影響を与える第2試薬の洗浄に適した第1の洗浄液及び/又は第2の洗浄液を選択する。この選択した横軸及び縦軸の項目名の位置に、選択した第1の洗浄液に対応する「1」、又は第2の洗浄液に対応する「2」、又は第1及び第2の洗浄液に対応する「3」が表示される。
【0080】
そして、項目名を選択しない位置には場合には「・」が表示される。また、横軸及び縦軸の項目名が同じである位置には、項目名の選択ができないように「−」が表示されている。
【0081】
ここで、操作部60から例えば「影響を与える第1試薬」及び「影響を受ける第1試薬」の欄の影響を与える第1試薬の項目名として「GPT」を選択し、「影響を受ける第1試薬」の欄の影響を受ける第1試薬の項目名として「Ca」を選択する。また、第1の洗浄液の選択により、第1試薬設定エリア54aの横軸の「GPT」に対応する縦軸の「Ca」の位置54cに「1」が表示される。そして、影響試薬設定画面54に設定された影響を与える第1及び第2試薬、この第1及び第2試薬から影響を受ける第1及び第2試薬、及び影響を与える第1及び第2試薬の洗浄に適した洗浄液の情報は、システム制御部70の内部記憶回路に保存される。
【0082】
図11及び図12は、洗浄部23における第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の構成を示した図である。各第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100は、サンプル分注プローブ洗浄部80と同じユニットで構成される。サンプル分注プローブ洗浄部80と同じ機能を有する各第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の各構成ユニットをサンプル分注プローブ洗浄部80と同じ名称で呼び、異なる符号を付して各構成ユニットの説明を省略する。
【0083】
このように、第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の第1及び第2の洗浄液槽91c,92c,101c,102cに貯留した第1及び第2の洗浄液を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄することにより、第1及び第2試薬分注プローブ14,15に残存する第1及び第2試薬を、試薬部21の洗浄水槽14a,15aにおける洗浄水による洗浄よりも強力に洗い落とすことができる。
【0084】
また、供給部91b,92b,101b,102bを設けることにより、第1及び第2の洗浄槽91c,92c,101c,102c内に第1及び第2の洗浄液を供給することができる。
【0085】
更に、第1及び第2の洗浄槽91c,92c,101c,102cを分析部19上に配置し、供給部91b,92b,101b,102bを分析部19の下側に配置することにより、分析部19の占有面積の増大を防ぐことができる。また、洗剤ボトル91a,92a,101a,102a内の第1及び第2の洗浄液の濃縮液を、希釈ポンプ91g,92g,101g,102gを用いて外部の純水装置110からの水で希釈して第1及び第2の洗浄槽91c,92c,101c,102c内に供給することにより、装置の小型化を図ることができる。
【0086】
なお、サンプル分注プローブ洗浄部80、及び第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の3つの供給部81b,91b,101bを、第1の洗浄液を供給する1つの第1の洗浄液供給部に置き換えて共用し、この第1の洗浄液供給部からの第1の洗浄液を第1の洗浄液槽81c側及び第1の洗浄液槽91c,101c側に切替可能な第1の三方弁と、第1の三方弁を介しての第1の洗浄液槽91c,101c側への第1の洗浄液を第1の洗浄液槽91c側及び第1の洗浄液槽101c側に切替可能な第2の三方弁とを設ける。そして、第1の洗浄液供給部からの第1の洗浄液を、第1及び第2の三方弁を切替えて各第1の洗浄液槽81c,91c,101cに供給するようにしてもよい。
【0087】
また、3つの供給部82b,92b,102bを、第2の洗浄液を供給する1つの第2の洗浄液供給部に置き換えて共用し、この第2の洗浄液供給部からの第2の洗浄液を第1の洗浄液槽82c側及び第2の洗浄液槽92c,102c側に切換可能な第3の三方弁と、第3の三方弁を介しての第2の洗浄液槽92c,102c側への第2の洗浄液を第2の洗浄液槽92c側及び第2の洗浄液槽102c側に切換可能な第4の三方弁とを設ける。そして、第2の洗浄液供給部からの第2の洗浄液を、第3及び第4の三方弁を切替えて各第2の洗浄液槽82d,92d,102dに供給するようにしてもよい。
【0088】
これにより、第1及び第2の洗浄液を第1及び第2の洗浄液槽に供給する供給部の数を三分の一に減らすことができる。
【0089】
更に、サンプル分注プローブ洗浄部80、及び第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の各第1の洗浄部81,91,101及び各第2の洗浄部82,92,102に加えて、第1の洗浄液及び第2の洗浄液では洗浄不足となる成分に対して強い洗浄力を発揮する、例えば界面活性剤を含む洗浄液や界面活性剤を含むアルカリ性洗浄液や酸性洗浄液等を貯留する複数の洗浄液槽及び各洗浄液槽への供給が可能な複数の供給部を設けるようにしてもよい。
【0090】
次に、図2乃至図12を参照して、分析制御部30の構成を詳細に説明する。
分析制御部30の機構部31は、サンプル部20におけるディスクサンプラ6を回動する機構、反応ディスク5を回転する機構、サンプル分注アーム10を回動及び上下移動する機構、サンプル分注プローブ16を介してのサンプルの吸引及び吐出や、洗浄水槽16aにサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄水の供給を行うサンプル分注ポンプ部10aを駆動する機構等を備えている。
【0091】
また、試薬部21における試薬庫2,3を夫々回動する機構、第1及び第2試薬分注アーム8,9を夫々回動及び上下移動する機構、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を介しての第1及び第2試薬の吸引及び吐出や、洗浄水槽14a,15aに第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄する洗浄水の供給を行う試薬分注ポンプ部8a,9aを夫々駆動する機構等を備えている。
【0092】
更に、反応部22における第1及び第2撹拌ユニット11a,11bを夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構、第1及び第2撹拌子11a1,11b1を夫々撹拌駆動する機構、洗浄ユニット12の吸引ノズルから第1及び第2の混合液を吸引する吸引ポンプを駆動する機構を備えている。また、洗浄ユニット12の各洗浄ノズルからアルカリ性洗浄液、酸性洗浄液、及び水の吐出及び吸引を行う洗浄ポンプを夫々駆動する機構、及び洗浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行う乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0093】
更にまた、洗浄部23におけるサンプル分注プローブ洗浄部80、第1試薬分注プローブ洗浄部90、及び第2試薬分注プローブ洗浄部100における洗剤ポンプ81f,82f,91f,92f,101f,102fを夫々駆動する機構を備えている。また、希釈ポンプ81g,82g,91g,92g,101g,102gを夫々駆動する機構、及び三方弁81e,82e,91e,92e,101e,102eを夫々第1及び第3端部と第2及び第3端部に開放する機構等を備えている。
【0094】
制御部32は、機構部31の各機構を制御する制御回路を備え、分析サイクル単位で、機構部31にサンプル部20のディスクサンプラ6、サンプル分注アーム10、及びサンプル分注ポンプ部10a等と、試薬部21の試薬庫2、試薬庫3、試薬分注ポンプ部8a、試薬分注ポンプ部9a、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9等とを作動させる。
【0095】
また、分析サイクル単位で、機構部31に反応部22の反応ディスク5、第1撹拌ユニット11a、第2撹拌ユニット11b、洗浄ユニット12、第1撹拌子11a1、第2撹拌子11b1、洗浄ユニット12の吸引ポンプ、洗浄ポンプ、及び乾燥ポンプ等を作動させる。
【0096】
更に、分析部19の各液面検出器18a,18b,18cから出力される洗浄部23の各第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内における各第1及び第2の洗浄液の液面検出信号に基づいて、第1及び第2の洗浄槽81c,82c,91c,92c,101c,102cの上停止位置と検出位置の間の移動距離を算出する。
【0097】
そして、算出した移動距離が図9(b)に示した距離H1よりも長いとき、分析部19のサンプル分注プローブ16、及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15の各分注プローブの洗浄が例えば3回可能な量V1よりも少ないと判断し、機構部31に洗浄部23の各洗剤ポンプ81f,82f,91f,92f,101f,102f、各希釈ポンプ81g,82g,91g,92g,101g,102g、及び各三方弁81e,82e,91e,92e,101e,102eを作動させる。そして、各第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内に補充量V2(V2>V1)の各第1及び第2の洗浄液を供給して、図9(a)に示した規定量V3(V3>V2)の各第1及び第2の洗浄液を貯留する。
【0098】
次に、図2乃至図13を参照して、洗浄部23のサンプル分注プローブ洗浄部80の洗浄液を用いたサンプル分注プローブ16の洗浄工程、第1試薬分注プローブ洗浄部90の洗浄液を用いた第1試薬分注プローブ14の洗浄工程、及び第2試薬分注プローブ洗浄部100の洗浄液を用いた第2試薬分注プローブ15の洗浄工程を説明する。
【0099】
図13は、サンプル分注プローブ洗浄部80の洗浄液を用いたサンプル分注プローブ16の洗浄工程S80を示したフローチャートである。なお、第1及び第2試薬分注プローブ洗浄部90,100の洗浄液を用いた第1及び第2試薬分注プローブ14,15の各洗浄工程S90,S100は、サンプル分注プローブ16の洗浄工程S80と同じステップで同様に動作するので、各洗浄工程S90,S100の各ステップの説明を省略する。
【0100】
測定中では、第1又は第2の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16の洗浄を行うときに洗浄工程S80を実行する。また、第1及び第2の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16の洗浄を行うときに、第1又は第2の洗浄液の一方の洗浄液を用いて洗浄工程S80を実行した後、他方の洗浄液を用いて洗浄工程S80を実行する。
【0101】
測定終了後の洗浄中では、一方の洗浄液を用いて洗浄工程S80を複数回実行した後、更に他方の洗浄液を用いて複数回洗浄工程S80を実行する。
【0102】
以下において、第1の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄する例を説明する。
まず、サンプル分注プローブ16は、分析制御部30の制御部32の制御信号に基づくサンプル分注アーム10の動作により、第1の洗浄液槽81cの上停止位置まで水平移動した後、下に移動する。次いで、第1の洗浄槽81c内の第1の洗浄液の液面検出位置で停止する(ステップS81)。
【0103】
停止した後に、サンプル分注プローブ16は、サンプル分注ポンプ部10aの動作により、第1の洗浄液を吸引する(ステップS82)。
【0104】
第1の洗浄液の吸引後に上停止位置まで上へ移動した後、サンプル部20の洗浄水槽16aの上停止位置まで水平移動する。次いで、洗浄水槽16a内の洗浄水による洗浄が可能な高さまで下に移動する(ステップS83)。
【0105】
下に移動した後に、サンプル分注ポンプ部10aの動作により、吸引した第1の洗浄液を吐出した後、洗浄水槽16aで洗浄水により洗浄される(ステップS84)。
【0106】
一方、ステップS81の後に、サンプル部20の液面検出器18aは、サンプル分注プローブ16が第1の洗浄液槽81c内の第1の洗浄液と接触したときに、その液面の検出信号を制御部32に出力する。制御部32は、液面検出器18aからの検出信号に基づいて、第1の洗浄液槽81cの上停止位置と検出位置の間の移動距離を算出する(ステップS85)。
【0107】
そして、算出した移動距離が距離H1以下である場合(ステップS86のはい)、第1の洗浄液槽81c内の洗浄液量が量V1以上であると判断し、第1の洗浄液槽81cには第1の洗浄液を供給しない(ステップS87)。また、算出した移動距離が距離H1よりも長い場合(ステップS86いいえ)、第1の洗浄液槽81c内の洗浄液量が量V1よりも少ないと判断し、供給部81bに第1の洗浄液槽81c内に補充量V2の第1の洗浄液を供給させる(ステップS88)。
【0108】
このように、第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内の第1及び第2の洗浄液量が量V1よりも少ないときに、補充量V2の洗浄液を供給することができる。
【0109】
以下、図1乃至図16を参照して、自動分析装置200の動作の一例を説明する。図14は、表示部52に表示される測定項目設定画面の一例を示す。図15は、測定の開始から被検試料の分注及びサンプル分注プローブ16の洗浄までの動作を示すフローチャートである。図16は、第1試薬の分注から測定終了までの動作を示すフローチャートである。
【0110】
システム制御部70の内部記憶回路には、図7の影響項目設定画面53に設定された影響を受ける測定項目である「HBsAg」、及びこの測定項目の洗浄液である「第1の洗浄液」の情報が保存されている。また、図10の影響試薬設定画面54に設定された影響を与える第1試薬である「GPT」、この第1試薬から影響を受ける第1試薬である「Ca」、及び影響を与える第1試薬の洗浄液である第1の洗浄液としての「1」の情報が保存されている。
【0111】
データ処理部40の記憶部42には予め各測定項目のキャリブレーションテーブルが保存されている。また、操作部60からの測定項目選択入力により、システム制御部70の内部記憶回路には、被検試料毎に選択入力された測定項目が保存されている。
【0112】
図14は、表示部52に表示される測定項目設定画面の一例を示した図である。この測定項目設定画面55は、被検体情報入力画面に入力された被検体のIDを表示する「ID」の欄と、図7の影響項目設定画面53と同じ項目名を略称で表示する「項目」の欄と、「ID」の欄に表示された被検体のID毎に「項目」の欄に表示された項目名の測定項目を設定するための測定項目設定エリア55aから構成される。
【0113】
「ID」の欄には、予め入力された被検体のIDである例えば「1」及び「2」が表示されている。また、「項目」の欄には、例えば「GOT」、「GPT」、「Ca」、「HBsAg」などの項目名が表示されている。
【0114】
測定項目設定エリア55aには、「ID」の欄の各被検体のIDに対応した「項目」の欄の項目名が選択された場合には「○」が表示され、設定されない場合には「・」が表示される。そして、操作部60から例えば「ID」の欄に表示された「1」に対して「GOT」及び「GPT」が選択されており、測定項目設定エリア55aの「1」及び「GOT」に対応する位置に1テストである「○」が表示され、「1」及び「GPT」に対応する位置に2テストである「○」が表示されている。
【0115】
また、「ID」の欄に表示された「2」に対して「Ca」及び「HBsAg」が選択されており、測定項目設定エリア55aの「2」及び「Ca」に対応する位置に3テストである「○」が表示され、「2」及び「HBsAg」に対応する位置に4テストである「○」が表示されている。
【0116】
測定項目設定画面55に設定された測定項目設定情報は、システム制御部70の内部記憶回路に保存される。そして、被検試料の測定は測定項目設定画面55に設定されたテストの順に測定されることになる。
【0117】
図15は、測定の開始から被検試料の分注及びサンプル分注プローブ16の洗浄までの動作を示したフローチャートである。まず、操作部60からの測定開始操作により、自動分析装置200は動作を開始する(ステップS1)。
【0118】
システム制御部70は、分析制御部30、データ処理部40、及び出力部50に測定を指示する。分析制御部30の制御部32は、分析部19の各分析ユニットを一旦ホームポジションに移動させる。
【0119】
次いで、洗浄部23におけるサンプル分注プローブ洗浄部80、第1試薬分注プローブ洗浄部90、及び第2試薬分注プローブ洗浄部100の各排液ポンプ83,93,103を作動させて、各第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内の各第1,第2の洗浄液を排出する。排出後、各供給部81b,82b,91b,92b,101b,102bを作動させて、各第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内に規定量V3の各第1及び第2の洗浄液を供給する(ステップS2)。
【0120】
分析部19のサンプル分注プローブ16は、測定項目設定画面55に設定された被検体ID「m」のmテスト及び(m+1)テストの測定項目を測定するための被検試料をサンプル部20のディスクサンプラ6に収納された試料容器17から反応部22の反応容器4に分注する(ステップS3)。
【0121】
被検体ID「m」の全ての測定項目の被検試料の分注を終了した後、制御部32は、システム制御部70から供給される影響を受ける測定項目及びこの測定項目の洗浄液の情報と、被検体ID「m+1」の測定項目の情報に基づいて、サンプル分注プローブ16の洗浄を行う。
【0122】
そして、被検体ID「m+1」の被検試料に影響を受ける測定項目が含まれていない場合(ステップS4のいいえ)、サンプル部20の洗浄水槽16aでサンプル分注プローブ16を洗浄する(ステップS5)。
【0123】
また、次の被検体ID「m+1」の被検試料に影響を受ける測定項目が含まれている場合(ステップS4のはい)、サンプル分注プローブ洗浄部80の影響を受ける測定項目の洗浄液を用いて洗浄工程S80(図13のステップS81乃至S88)を実行する。ここでは、被検体ID「2」に影響を受ける測定項目の「HBsAg」が含まれているので、ステップS4の「はい」の後に、洗浄工程S80を実行して第1の洗浄液による洗浄を行う。
【0124】
ステップS5又は洗浄工程S80の後に、mが2である場合(ステップS6のはい)、図16のステップに移行する。また、mが2未満である場合(ステップS6のいいえ)、ステップS3に戻る。
【0125】
図16は、第1試薬の分注から測定の終了までの動作を示したフローチャートである。図15でサンプル分注動作を繰り返し実行して、被検体ID「1」及び「2」の被検試料の分注、及びサンプル分注プローブ16の洗浄を終了した後に、試薬部21の第1試薬分注プローブ14は、試薬庫2の試薬容器7aからnテスト(n=1)の測定項目の被検試料が分注された反応容器4に、nテストの測定項目に該当する第1試薬を分注する(ステップS21)。
【0126】
第1試薬が分注された後に、反応容器4内の被検試料及び第1試薬からなる第1の混合液が第1撹拌ユニット11aの第1撹拌子11a1によって撹拌される。
【0127】
nテストの第1試薬の分注後、制御部32は、システム制御部70から供給される影響を与える第1試薬、この第1試薬から影響を受ける第1試薬、影響を与える第1試薬の洗浄液、及びnテスト及び(n+1)テストの測定項目の情報に基づいて、第1試薬分注プローブ14の洗浄を行う。
【0128】
そして、nテスト及び(n+1)テストの測定項目の第1試薬が、影響を与える第1試薬及び影響を受ける第1試薬の組合せでない場合(ステップS22のいいえ)、試薬部21の洗浄水槽14aで第1試薬分注プローブ14を洗浄する(ステップS23)。
【0129】
また、nテスト及び(n+1)テストの測定項目の第1試薬が、影響を与える第1試薬及び影響を受ける第1試薬の組み合わせである場合(ステップS22のはい)、第1試薬分注プローブ洗浄部90の影響を与える第1試薬の洗浄液を用いて図13の洗浄工程S90を実行する。
【0130】
ステップS23又は洗浄工程S90の後に、nが4である場合(ステップS24のはい)、ステップS25に移行する。また、nが4未満である場合(ステップS24のいいえ)、ステップS21に戻る。
【0131】
ここでは、2テストである「GPT」の第1試薬の後に、この「GPT」の第1試薬から影響を受ける3テストである「Ca」の第1試薬の分注が行われるので、「Ca」の第1試薬を分注する前に、洗浄工程S90を実行して第1の洗浄液による洗浄を行う。
【0132】
1テスト乃至4テストにおける測定項目の第1試薬分注、第1撹拌、及び第1試薬分注プローブ14の洗浄を繰り返し実行した後に、試薬部21の第2試薬分注プローブ15は、試薬庫3の試薬容器7bからpテスト(p=1)である測定項目の被検試料及び第1試薬が分注された反応容器4に、pテストの測定項目に該当する第2試薬を分注する(ステップS25)。
【0133】
第2試薬が分注された後に、反応容器4内の被検試料、第1試薬、及び第2試薬からなる第2の混合液が反応部22の第2撹拌ユニット11bの第2撹拌子11b1によって撹拌される。
【0134】
pテストである測定項目の第2試薬の分注後、制御部32は、システム制御部70から供給された影響を与える第2試薬、この第2試薬から影響を受ける第2試薬、影響を与える第2試薬の洗浄液の情報、及びpテスト及び(p+1)テストの測定項目の情報に基づいて、第2試薬分注プローブ15の洗浄を行う。
【0135】
そして、pテスト及び(p+1)テストの測定項目の第2試薬が、影響を与える第2試薬及び影響を受ける第2試薬の組み合わせでない場合(ステップS26のいいえ)、試薬部21の洗浄水槽15aで第2試薬分注プローブ15を洗浄する(ステップS27)。
【0136】
また、pテスト及び(p+1)テストの測定項目の第2試薬が、影響を与える第2試薬及びこの第2試薬から影響を受ける第2試薬の組み合わせである場合(ステップS26のはい)、第2試薬分注プローブ洗浄部100の影響を受ける試薬の洗浄液を用いて図13の洗浄工程S100を実行する。
【0137】
ステップS27又は洗浄工程S100の後に、pが4である場合(ステップS28のはい)、ステップS29に移行する。また、nが4未満である場合(ステップS28のいいえ)、ステップS25に戻る。
【0138】
1テスト乃至4テストにおける測定項目の第2試薬分注、第2撹拌、及び第2試薬分注プローブ15の洗浄を繰り返し実行した後に、反応部22の測光ユニット13は、第2の混合液が入った反応容器4に光を照射して、透過した光から設定波長の吸光度を測定する。そして、被検体ID「1」及び「2」の被検試料の各測定項目の被検データを生成してデータ処理部40に出力する(ステップS29)。
【0139】
測光ユニット13による測定の後に、反応部22の洗浄ユニット12は、第2の混合液が入った反応容器4内の測定を終えた第2の混合液を吸引した後、反応容器4内をアルカリ性洗浄液、酸性洗浄液、及び水による洗浄及び乾燥を行う。
【0140】
データ処理部40の演算部41は、測光ユニット13から出力された被検データから各被検試料の各測定項目の分析データを生成して記憶部42に保存すると共に、出力部50に出力する(ステップS30)。
【0141】
そして、全ての反応容器4の洗浄及び乾燥が終了し、被検体ID「1」及び「2」の全ての測定項目の分析データが出力された時点で、自動分析装置200は、測定動作を終了する(ステップS31)。
【0142】
以上述べた本発明の実施例によれば、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いる第1及び第2の洗浄液を貯留する第1及び第2の洗浄液槽81c,82cを設けることにより、予め設定した影響を受ける測定項目を含む被検試料の分注前に、予め設定した洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄することができる。また、測定終了後の洗浄のときに、第1及び第2の洗浄液槽81c,82c内の第1及び第2の洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄することができる。
【0143】
また、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の洗浄に用いる第1及び第2の洗浄液を貯留する第1及び第2の洗浄液槽91c,92c,101c,102cを設けることにより、予め設定した影響を与える試薬を分注した後に、予め設定された前記影響を与える試薬から影響を受ける試薬を分注する場合、前記影響を受ける試薬の分注前に、予め設定した洗浄液を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄することができる。また、測定終了後の洗浄のときに、第2の洗浄液槽91c,92c,101c,102c内の第1及び第2の洗浄液を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄することができる。
【0144】
そして、第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内の第1及び第2の洗浄液を吸引するために、第2の洗浄層81c,82c,91c,92c,101c,102cの上停止位置から第1,第2の洗浄液を検出する位置までサンプル分注プローブ16、及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15の各分注プローブを下に移動したときの上停止位置と検出位置の間の移動距離を算出し、算出した移動距離が距離H1よりも長い場合、第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内の洗浄液量が量V1よりも少ないと判断し、第1及び第2の洗浄液槽81c,82c,91c,92c,101c,102c内に補充量V2の第1及び第2の洗浄液を供給することができる。
【0145】
これにより、第1及び第2の洗浄液を補充する手間を省くと共に処理能力の低下を防ぎ、精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部のサンプル部、試薬部、及び反応部の構成の詳細を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る分析部のサンプル部、反応部、及び洗浄部の一部のユニットの配置を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る分析部の試薬部、反応部、及び洗浄部の一部のユニットの配置を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る分析部の試薬部、反応部、及び洗浄部の一部のユニットの配置を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る洗浄部の構成を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示される影響項目設定画面の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係るサンプル分注プローブ洗浄部の構成を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る第1の洗浄液槽の構成を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る表示部に表示される影響試薬設定画面の一例を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る第1試薬分注プローブ洗浄部の構成を示す図。
【図12】本発明の実施例に係る第2試薬分注プローブ洗浄部の構成を示す図。
【図13】本発明の実施例に係るサンプル分注プローブ洗浄部の洗浄液を用いたサンプル分注プローブの洗浄工程を示すフローチャート。
【図14】本発明の実施例に係る表示部に表示される測定項目設定画面の一例を示す図。
【図15】本発明の実施例に係る測定の開始から被検試料の分注及びサンプル分注プローブの洗浄までの動作を示すフローチャート。
【図16】本発明の実施例に係る第1試薬の分注から測定終了までの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0147】
16 サンプル分注プローブ
18a 液面検出器
20 サンプル部
30 分析制御部
31 機構部
32 制御部
80 サンプル分注プローブ洗浄部
81 第1の洗浄部
81a,82a 洗剤ボトル
81b,82b 供給部
81c,82c 第2の洗浄槽
81d,82d 供給ポンプ
81e,82e 三方弁
81f,82f 洗剤ポンプ
81g,82g 希釈ポンプ
81h,82h 分岐管
81i,82i 洗浄槽
81j,82j 吐出管
81k,82k 排液口
81m,82m 加熱部
82 第2の洗浄部
83 排液ポンプ
110 純水装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記被検試料を分注する分注プローブと、
前記分注プローブを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄液槽と、
前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給する供給手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記測定項目の内の予め設定された影響を受ける測定項目を含む被検試料の分注前に、前記洗浄液槽に貯留された前記洗浄液を用いて前記分注プローブを洗浄するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記被検試料の分注終了毎に、前記分注プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄水槽を有し、
前記洗浄液は、前記洗浄水よりも強い洗浄力を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を分注する分注プローブと、
前記分注プローブを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄液槽と、
前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給する供給手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記試薬の内、予め設定された影響を与える試薬を分注した後に前記影響を与える試薬から影響を受ける試薬を分注する場合、前記影響を受ける試薬の分注前に、前記洗浄液槽に貯留された前記洗浄液を用いて前記分注プローブを洗浄するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記試薬の分注終了毎に、前記分注プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄水槽を有し、
前記洗浄液は、前記洗浄水よりも強い洗浄力を有することを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄液は、アルカリ性洗浄液、又は酸性洗浄液、又は界面活性剤を含む洗浄液であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記洗浄液槽内に貯留した前記洗浄液を加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記供給手段は、前記洗浄液槽内に供給する前記洗浄液の濃縮液を所定の希釈倍率に希釈する希釈手段を有し、
前記洗浄槽内には、前記希釈手段により前記濃縮液が希釈された前記洗浄液が貯留されることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記分注プローブを前記洗浄槽に移動する分注プローブ移動手段と、
前記分注プローブ移動手段により前記分注プローブが前記洗浄液槽の上方の所定の位置から下に移動し、前記洗浄液槽内の洗浄液と接触したときにその液面を検出する液面検出手段とを有し、
前記計測手段は、前記所定の位置と前記液面検出手段により検出される検出位置の間の前記分注プローブの移動距離を算出し、算出した移動距離に基づいて前記洗浄液槽内の洗浄液量を計測するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記洗浄槽は、前記洗浄液の少なくとも第1の洗浄液を貯留する第1の洗浄液槽及び第2の洗浄液を貯留する第2の洗浄液槽からなり、
前記分注プローブを、前記第1の洗浄液槽に貯留された前記第1の洗浄液及び/又は前記第2の洗浄液槽に貯留された前記第2の洗浄液を用いて洗浄するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項12】
被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置の洗浄方法において、
前記被検試料を分注する分注プローブを、前記測定項目の内の予め設定された影響を受ける測定項目を含む被検試料の分注前に洗浄するための洗浄液を洗浄液槽内に貯留し、
前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測手段により計測し、
前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給手段により供給することを特徴とする自動分析装置の洗浄方法。
【請求項13】
被検試料とこの被検試料の測定項目に対応する試薬とを反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の洗浄方法において、
前記試薬を分注する分注プローブを、前記試薬の内の予め設定された影響を与える試薬を分注した後に前記影響を与える試薬から影響を受ける試薬を分注する場合、前記影響を受ける試薬の分注前に洗浄するための洗浄液を洗浄液槽に貯留し、
前記洗浄液槽内に貯留された前記洗浄液の量を計測手段により計測し、
前記計測手段により計測された洗浄液量が所定の量よりも少ないときに、前記洗浄液槽内に前記洗浄液を供給手段より供給することを特徴とする自動分析装置の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−202945(P2008−202945A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36012(P2007−36012)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】