説明

自動包装機

【課題】サーボモータを使用した紙送り手段と、実際のフィルムの動作量を検出する測長器とを備えた自動包装機において、紙送りベルトまたは、紙繰り出しローラの磨耗や経年変化によるスリップを検出し、部品交換を促すメッセージを表示する。
【解決手段】測長器13によって検出された包装材の実際の送り量42と包装材の基本の送り量41の差分45をサーボモータ15の制御に用いるのみでなく、差分45をスリップ量44として設定手段を持つ表示器60に表示するとともに、スリップ許容値46を設定可能にし、スリップ許容値46を超えた場合、スリップ警報63を表示するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータを使用した紙送り手段と、実際のフィルムの動作量を検出する測長器と設定手段を持つ表示器とを備えた自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型もしくは横型の自動包装機においては、紙送り機構により原反ロールから引き出されて下流方向に送られ、製筒器により筒状に成形された包装材の幅方向の両端部にセンタシールを施し、被包装品が投入、充填、または送り込まれ、被包装品と被包装品の間の位置で、筒状に成形された包装材の幅方向にエンドシールを施し、該エンドシールの中間で切断することにより、被包装品が包装袋内に包まれた袋包装体を製作される。
【0003】
前記紙送り機構は、横型自動包装機においては、減反ロールから引き出された帯状の包装材を上下方向から挟圧しつつ回転することで製筒器へと送り込む一対のロールと、製筒器により筒状に成形された包装材の幅方向両端部を左右方向から挟圧しつつ回転することで下流部へと送る一対のロールから構成され、その駆動源としてサーボモータが使用されることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記紙送り機構は、縦型自動包装機においては、減反ロールから引き出され製筒器により製袋充填筒に巻き付けることで筒状に成形され包装材を、前記製袋充填筒を挟んで配置され押圧しつつ動くことで下流方向へ送る一対の無端ベルトから構成され、その駆動源としてサーボモータが使用されることが一般的である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
縦型もしくは横型の自動包装機の紙送り機構の駆動源としてサーボモータが用いられるのは、包装材の正確な送りを確保するためであるが、ベルトまたはローラと包装材との間に生じるスリップが生じると包装材の正確な送りが得られなくなる。この欠点を補うため、包装材の移動量を検出する測長器を設けて、送り量を補正することで正確な包装材の送りを確保できるようにすることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−218008号公報(第4頁左上欄第9行目から同第17行目、及び図2)
【特許文献2】特開平8−2513号公報(段落2から段落3及び、図1)
【特許文献3】特開昭2001−213403号公報(段落13から段落28及び、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、紙送り機構の駆動源としてサーボモータを使用し、実際の包装材の移動量を検出する測長器を併設すれば、ベルトまたはローラが磨耗や劣化して包装材との間でスリップしても、スリップ量がサーボモータの補正の範囲内であれば、正確な包装材の送りを確保できる。しかしながら、スリップ量が補正されてしまうため、ベルトまたはローラが磨耗や劣化に気づかずにそのまま放置し、補正の限界を超えたときに初めて気づくことが多かった。補正の限界を超えてしまうと、生産中であっても生産を中断してベルトまたはローラの交換作業を行わなければならず、自動包装機の稼働率を低下させる要因となっていた。ベルトまたはローラの磨耗や劣化による突然の生産中断を避けるためには、予防保全活動として目視によるベルトまたはローラの点検が必要となるが、目視による点検は作業員の経験値に頼る部分が大であり点検を行える人員が限られてしまうという欠点もある。
【0008】
自動包装機には、包装材の正確な送りを行なうとともに、作業員の点検作業に依存することなく、自動包装機自体が、紙送り機構のベルトまたはローラの磨耗や劣化による包装材のスリップを初期段階で把握し、作業員に知らせ、予防保全を促すことで突然の機械故障を防ぐ機能を具備することが望まれている。
【0009】
本発明の自動包装機は、サーボモータを使用した紙送り手段と、実際のフィルムの動作量を検出する測長器と設定手段を持つ表示器とを備えた自動包装機において、測長器によって検出された包装材の移動量とサーボモータによる包装材の送り量の差分を制御に用いるのみでなく、前記差分をスリップ量として前記設定手段を持つ表示器に表示するようにすることで、上記課題の解決を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紙送り機構により引き出された帯状の包装材が下流方向に送られ、筒状に成形され、幅方向の両端部を貼りあわせ、被包装品が投入され、被包装品と被包装品の間の位置で、横切る方向に貼りあわせるとともに、その中間で切断することにより、被包装品が包装袋内に包まれた袋包装体を製作する自動包装機において、
前記紙送り機構を駆動するサーボモータと、
前記紙送り機構により下流に送られる前記包装材の実際の送り量を検出する測長器と、
設定された包装材の基本の送り量を記憶し、前記基本の送り量に従って前記サーボモータに指令を出力し、かつ前記測長器から入力された包装材の前記実際の送り量と前記基本の送り量とを逐次比較し算出した差分で、前記サーボモータへの指令を補正する制御手段と、
前記基本の送り量の設定を行い制御手段へ転送し、かつ前記差分をスリップ量として表示する設定機能を持つ表示器とを、
備えたことを特徴とする自動包装機である。
【0011】
本発明の自動包装機は、前記スリップ量の表示を数値として前記設定機能を持つ表示器に表示することができる。
【0012】
本発明の自動包装機は、前記スリップ量の推移を、前記設定機能を持つ表示器に表示することができる。
【0013】
本発明の自動包装機は、前記スリップ量の推移を、時間を横軸、変化量を縦軸としたグラフにして、前記設定機能を持つ表示器に表示することができる
【0014】
本発明の自動包装機は、前記スリップ量が、基準値を超えたときに、前記設定機能を持つ表示器に前記紙送り機構の部品の交換を促すメッセージを表示することができる。
【0015】
本発明の自動包装機は、前記スリップ量が基準値を超えたときに、前記設定機能を持つ表示器に警報を表示し、かつ機械を停止させることができる。
【0016】
本発明の自動包装機は、前記基準値が、前記設定機能を持つ表示器により、設定することができ、前記前記設定機能を持つ表示器又は前記制御手段に記憶することができる。
【0017】
本発明の自動包装機においては、前記設定機能を持つ表示器が、表示画面接触式スイッチを備えたパネル型表示器であるとすることができる。
【0018】
本発明の自動包装機は、筒状に成形された包装材が水平方向に送られる横型包装機であるとすることができる。
【0019】
本発明の自動包装機は、筒状に成形された包装材が垂直方向に送られる縦型包装機であるとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自動包装機は、包装材の送り量と包装材の実際の移動量の差分を送り量の補正値として制御に用いて、包材の正確な送りを行なうとともに、前記包装材の送り量と包装材の実際の移動量の差分を、スリップ量として表示にも用いることで、紙送り機構のベルトまたはローラの磨耗や劣化を初期段階で作業員に知らせ、予防保全を促すことで突然の機械故障を防ぐ効果がある。また、自動包装機自体が、ローラの磨耗や劣化による包装材のスリップを把握するので、作業員の点検作業に依存することない。これにより、作業員の経験値に頼ることなく予防保全活動を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】横型自動包装機の概略図である。
【図2】縦型自動包装機の概略図である。
【図3】サーボモータ、測長器、制御手段、設定手段を持つ表示器の関係を示す概略図である。
【図4】スリップ量モニタ画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、この発明の実施例を添付した図面に基づいて説明する。図1を用いて、本発明が実施された横型自動包装機の動作の概略を説明する。図1a)は側面から見た横型自動包装機の概略図である。図1b)は、上面から見た縦型自動包装機の概略図である。図1a)の制御手段40及び設定手段を持つ表示器60から伸びる矢印線は、データの流れを表している。図1に示す横型自動包装機においては、紙送りローラ2a、2b及び紙引きローラ4a、4bから構成される紙送り機構により包材原反ロールWrから引き出された帯状包装材Wがガイドロール50、51に案内されて、製筒器3に送られる。製筒器3は、帯状包装材Wを折り込んで幅方向の縁部を重ね合わせて筒状包装材Wfに成形する。筒状包装材Wfには、被包装品送り込み機構(図示せず)により被包装品Pが送り込まれセンタシーラ5a、5bによりセンタシール10が施される。センタシーラ5a、5bは、内部にヒータ(図示せず)を内蔵しており、被包装品Pを内部に納めた筒状包装材Wfの重ね合わされた縁部を左右方向から加熱挟圧して互いに反対方向に回転することで、筒状包装材Wfの重ね合わされた縁部にセンタシール10を施しつつ、下流のエンドシーラ6a、6bへと被包装品Pを内部に納めた筒状包装材Wfを送る。エンドシーラ6a、6bは、内部にヒータ(図示せず)と切断刃(図示せず)を内蔵しており、被包装品Pを内部に納めた筒状包装材Wfを横切る方向に、被包装品Pと被包装品Pの間の位置で、上下方向から加熱挟圧してエンドシール12が施すとともに、エンドシール12の中間で被包装品Pを内部に納めた筒状包装材Wf切断する。これにより、被包装品Pを内部に納めた袋包装体Bpが製造される。また、図1に示す横型自動包装機においては、実際の送り量42を測定する測長器13が備えられている。測長器13はロータリーエンコーダ11とロータリーエンコーダ11の回転軸に取り付けられた測長ローラ9から構成されており、ガイドロール51と測長ローラ9が帯状包装材Wを挟圧するように取り付けられている。測長ローラ9が帯状包装材Wと接触しているので、紙送り機構により帯状包装材Wが下流に向けて送られると、測長ローラ9が回転する。これにより、ロータリーエンコーダ11によって、帯状包装材Wの送り量を計測することができる。これは、紙送り機構の紙送りローラ2a、2b及び紙引きローラ4a、4bと帯状包装材Wとがスリップした場合でも、送り量を補正して正確な送り量を保つためである。
【0023】
本発明が実施された横型自動包装機の紙送り機構は、紙送りローラ2a、2b及び紙引きローラ4a、4bから構成される。紙送りローラ2a、2bはサーボモータ7により駆動され、帯状包装材Wを上下に挟圧しつつ互いに逆方向に回転し、帯状包装材Wを下流の製筒器3の方向へと送り出す。紙引きローラ4a、4bは、サーボモータ8a、8bにより、駆動され、製筒器3により筒状に形成された筒状包装材Wfの重ね合わされた縁部を左右方向から挟圧しつつ互いに逆方向に回転し、筒状包装材Wfを製筒器3から引き出し、下流のセンタシーラ5a、5bの方向へと送る。サーボモータ7、8a、8bは、制御手段40により所定の送り量43となるように制御されている。所定の送り量43は、設定手段を持つ表示器60により設定され、制御手段40に記憶される基本の送り量41と、測長器13から制御手段40に送られる実際の送り量42を制御手段40が演算して決定される。所定の送り量43を求める演算は、基本の送り量41と実際の送り量42の差分を求め、その値を基本の送り量41に付け加えることで所定の送り量43が得られる。また、基本の送り量41と実際の送り量42の差分はスリップ量44として、設定手段を持つ表示器60に送られる。
【0024】
次に、図2を用いて本発明が実施された縦型自動包装機の動作の概略を説明する。図2a)は側面から見た縦型自動包装機の概略図である。図2b)は、正面から見た縦型自動包装機の概略図である。図2a)の制御手段40及び設定手段を持つ表示器60から伸びる矢印線は、データの流れを表している。図2に示す縦型自動包装機においては、包材原反ロールWrから引き出された帯状包装材Wは、ガイドロール52、53、54に案内され、製筒器3に送られる。製筒器3は帯状包装材Wを製袋充填筒14に巻き付けるようにして幅方向の縁部を重ね合わせて筒状包装材Wfを成形する。筒状包装材Wfは、所定の送り量を紙送りベルト20a、20bにより間欠的に下方へと送られる。筒状包装材Wfは、所定の送り量分送られた後に、一時停止し、その間にセンタシール10とエンドシール12が施されるとともに、被包装品Pが、製袋充填筒14の内部を通って投入される。センタシール10は、ヒータ(図示せず)を内蔵したセンタシーラ5a、5bにより、重ね合わされた縁部を左右方向から加熱挟圧されることで施される。エンドシール12は内部にヒータ(図示せず)を内蔵したエンドシーラ6a、6bにより、筒状包装材Wfを横切る方向に、前後方向から加熱挟圧されることで施される。被包装品Pを内部に納めセンタシール10とエンドシール12が施された筒状包装材Wfはエンドシーラ6a、6bに内蔵された切断刃(図示せず)により切断される。これにより、被包装品Pを内部に納めた袋包装体Bpが製造される。また、図2に示す縦型自動包装機においては、実際の送り量42を測定する測長器13が備えられている。測長器13はロータリーエンコーダ11とロータリーエンコーダ11の回転軸に取り付けられた測長ローラ9から構成されており、製袋充填筒14と測長ローラ9が筒状包装材Wfを挟圧するように取り付けられている。測長ローラ9が筒状包装材Wfと接触しているので、紙送り機構により筒状包装材Wfが下流に向けて送られると、測長ローラ9が回転する。これにより、ロータリーエンコーダ11によって、帯状包装材Wの送り量を計測することができる。これは、紙送り機構の紙送りベルト20a、20bと帯状包装材Wとがスリップした場合でも、送り量を補正して正確な送り量を保つためである。
【0025】
本発明が実施された縦型自動包装機の紙送り機構は、製袋充填筒14を挟んで設置してある一対の紙送りベルト20a、20bから構成されている。紙送りベルト20a、20bは、筒状包装材Wfを製袋充填筒14との間で挟圧しつつ、筒状包装材Wfを下方へ送る方向に回動することで、筒状包装材Wfを下流へと送る。紙送りベルト20a、20bは、それぞれ紙送りサーボモータ7a、7bによって駆動される。紙送りサーボモータ7a、7bは、制御手段40により所定の送り量43となるように制御されている。所定の送り量43は、設定手段を持つ表示器60により設定され、制御手段40に記憶される基本の送り量41と、測長器13から制御手段40に送られる実際の送り量42を制御手段40が演算して決定される。所定の送り量43を求める演算は、基本の送り量41と実際の送り量42の差分を求め、その値を基本の送り量41に付け加えることで所定の送り量43が得られる。また、基本の送り量41と実際の送り量42の差分はスリップ量44として、設定手段を持つ表示器60に送られる。
【0026】
以上のように、横型自動包装機の場合においても、縦型自動包装機の場合においても、紙送り機構はサーボモータによって駆動され、制御手段40により制御されている。制御手段40は、設定手段を持つ表示器60により設定され、制御手段40に記憶される基本の送り量41と、測長器13から制御手段40に送られる実際の送り量42の差分を求め、その値を基本の送り量41に付け加えることで、新たな所定の送り量43を決定し、正確な送り量を確保するとともに、基本の送り量41と実際の送り量42の差分をスリップ量44として、設定手段を持つ表示器60に送り監視可能に構成されている。紙送り機構のサーボモータ7または7a、7b、8a、8b、測長器13、制御手段40、設定手段を持つ表示器60の関連の詳細を、図3を用いて説明する。図3の中の矢印線はデータの流れを表している。また、図3の中の紙送り機構の駆動源のサーボモータ15は、縦型自動包装機における紙送りサーボモータ7a、7bに、横型自動包装機における紙送りサーボモータ7及び紙引きサーボモータ8a、8bに、それぞれ相当する。本実施例における設定手段を持つ表示器60は、表示画面接触式スイッチ(以後、タッチスイッチと称する)を備えた液晶パネル表示器であり、設定はタッチスイッチ62により行なわれ、表示は液晶ディスプレー61により行なわれる。制御手段40は、設定手段を持つ表示器60のタッチスイッチ62により設定された包装材の基本の送り量41を記憶部47に記憶し、基本の送り量41に従って紙送り機構の駆動源のサーボモータ15に所定の送り量43を出力し、かつ測長器13から入力された包装材の実際の送り量42と基本の送り量41とを逐次比較し算出した差分45で、基本の送り量41を補正し、紙送り機構の駆動源のサーボモータ15への所定の送り量43を指令する。また、包装材の実際の送り量42と基本の送り量41とを比較し算出した差分45を設定手段を持つ表示器60にも送る。設定手段を持つ表示器60は制御手段40から送られてきた包装材の実際の送り量42と基本の送り量41の差分45をスリップ量44として液晶ディスプレー61に表示する。また、差分45は、設定手段を持つ表示器60のタッチスイッチ62により設定され、制御手段40の記憶部47に記憶したスリップ許容値46と比較され、比較結果がスリップ許容値46を超えた場合は、制御手段40が自動包装機を警報機械停止させるとともに、設定手段を持つ表示器60の液晶ディスプレー61にスリップ警報表示63が表示される。また、スリップ許容値46を超えた場合の処理として、制御手段40による自動包装機の警報機械停止は行わず、設定手段を持つ表示器60の液晶ディスプレー61に、紙送りベルト20a、20bの点検又は交換を促すメッセージの表示64のみを行うこともできるように構成されている。
【0027】
図4は、設定手段を持つ表示器60の液晶ディスプレー61上で表示されるスリップ量に関する画面例の図である。本実施例におけるタッチスイッチを備えた液晶表示器であり、設定はタッチスイッチ62により行なわれ、表示は液晶ディスプレー61により行なわれる。中央部のスリップ量推移グラフ34は、時間を横軸、変化量を縦軸としスリップ量44の推移を表示している。グラフ上の太い横線2本は、それぞれスリップ警報基準30、スリップメッセージ基準31の検出レベルを表している。スリップ警報基準30はこのレベルを超えたスリップ量44を検出したときに自動包装機を警報機械停止させる機能で、この機能を有効ないし無効にする設定と検出基準値の設定は、図示しない別の画面で可能となっている。スリップメッセージ基準31の検出レベルを表している。スリップメッセージ基準31はこのレベルを超えたスリップ量44を検出したときに設定手段を持つ表示器上に紙送りベルト20a、20bの点検又は交換を促すメッセージの表示64を表示させる機能で、この機能を有効ないし無効にする設定と検出基準値の設定は、図示しない別の画面で可能となっている。紙送りベルト20a、20bの点検又は交換を促すメッセージの表示64を表示させる機能は、自動包装機の運転を継続したまま、液晶ディスプレー61上にメッセージのみを表示する機能である。メッセージの内容は、紙送りベルト20a、20bの点検又は交換を促すものである。このスリップメッセージ機能を有効にし、適正な検出基準を設定しておけば、紙送りベルト20a、20bの磨耗や劣化を初期段階で作業員に知らせ、予防保全を促すことで突然の機械故障を防ぐことができる。また、メッセージを表示したときに、ブザーを鳴らしたり、シグナルタワーを点灯させたりすることももちろん可能である。グラフ表示の上部に表示されているスリップ量表示32は、スリップ量44のリアルタイムの数値表示であり、スリップ量ピーク表示33はスリップ量のピーク値(最大値)の数値表示である。
【0028】
以上、本発明の実施の一例で説明したように、本発明の自動包装機は、包装材と紙送り機構とのスリップを自動的に補正するだけでなく、その補正量をスリップ量として表示するとともに、許容値を設けて監視し、許容値を超えた場合は、作業員に知らせ、予防保全を促すことで突然の機械故障を防ぐ機能を具備している。
【符号の説明】
【0029】
Wr 包装材原反ロール W 帯状包装材
Wf 筒状包装材 Bp 袋包装体
P 被包装品
2a、2b 紙送りローラ 3 製筒器
4a、4b 紙引きローラ 5a、5b センタシーラ
6a、6b エンドシーラ
7、7a、7b 紙送りサーボモータ
8a、8b 紙引きサーボモータ 9 測長ローラ
10 センタシール 11 ロータリーエンコーダ
12 エンドシール 13 測長器
14 製袋充填筒
15 紙送り機構の駆動源のサーボモータ
20a、20b 紙送りベルト 30 スリップ警報基準
31 スリップメッセージ基準 32 スリップ量表示
33 スリップ量ピーク表示 34 スリップ量推移グラフ
40 制御手段 41 基本の送り量
42 実際の送り量 43 所定の送り量
44 スリップ量
45 基本の送り量と実際の送り量の差分
46 スリップ許容値 47 記憶部
50、51、52、53、54 ガイドロール
60 設定手段を持つ表示器 61 液晶ディスプレー
62 タッチスイッチ 63 スリップ警報表示
64 紙送りベルトの点検又は交換を促すメッセージ表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙送り機構により引き出された帯状の包装材が下流方向に送られ、筒状に成形され、幅方向の両端部を貼りあわせ、被包装品が投入され、被包装品と被包装品の間の位置で、横切る方向に貼りあわせるとともに、その中間で切断することにより、被包装品が包装袋内に包まれた袋包装体を製作する自動包装機において、
前記紙送り機構を駆動するサーボモータと、
前記紙送り機構により下流に送られる前記包装材の実際の送り量を検出する測長器と、
設定された包装材の基本の送り量を記憶し、前記基本の送り量に従って前記サーボモータに指令を出力し、かつ前記測長器から入力された包装材の前記実際の送り量と前記基本の送り量とを逐次比較し算出した差分で、前記サーボモータへの指令を補正する制御手段と、
前記基本の送り量の設定を行い制御手段へ転送し、かつ前記差分をスリップ量として表示する設定機能を持つ表示器とを、
備えたことを特徴とする自動包装機。
【請求項2】
前記スリップ量の表示を、数値として前記設定機能を持つ表示器に表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動包装機。
【請求項3】
前記スリップ量の推移を、前記設定機能を持つ表示器に表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動包装機。
【請求項4】
前記スリップ量の推移を、時間を横軸、変化量を縦軸としたグラフにして、前記設定機能を持つ表示器に表示する機能を有することを特徴とする請求項3に記載の自動包装機。
【請求項5】
前記スリップ量が、基準値を超えたときに、前記設定機能を持つ表示器に、前記紙送り機構の部品の交換を促すメッセージを表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動包装機。
【請求項6】
前記スリップ量が、基準値を超えたときに、前記設定機能を持つ表示器に警報を表示し、かつ機械を停止させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の自動包装機。
【請求項7】
前記基準値が、前記設定機能を持つ表示器により、設定することができ、前記前記設定機能を持つ表示器又は前記制御手段に記憶する機能を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の自動包装機。
【請求項8】
前記設定機能を持つ表示器が、表示画面接触式スイッチを備えたパネル型表示器であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の自動包装機。
【請求項9】
前記自動包装機は、前記筒状に成形された包装材が水平方向に送られる横型自動包装機であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の自動包装機。
【請求項10】
前記自動包装機は、前記筒状に成形された包装材が垂直方向に送られる縦型自動包装機であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の自動包装機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240982(P2011−240982A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116851(P2010−116851)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】