説明

自動取引装置の遠隔監視制御装置

【課題】キャッシュカードを取り忘れた預金者22の本人確認処理を監視端末装置30側で行う。
【解決手段】監視員36は、預金者22からキャッシュカードを取り忘れた旨の電話を受ける。預金者22に対して、自動取引装置12を操作して暗証番号を入力するように要求する。自動取引装置12が記憶装置に記憶させた取引履歴から預金者の識別情報(ID)を取得する。この識別情報と預金者22が入力した暗証番号をホストコンピュータ28に送信する。同時に、ホストコンピュータ28に何らかの取引開始を要求する。正常に取引が開始されたならば、監視端末装置30から自動取引装置12にカード返却コマンドを送信する。遠隔制御でカードを返却できるから、預金者22を長時間待たせない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関で使用される自動取引装置の遠隔監視制御装置自動取引装置の遠隔監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動取引装置は金融機関の預貯金を管理するホストコンピュータに、ネットワークを介して接続されている。自動取引装置は、預金者の操作によって、預貯金の入出金取引処理を自動的に実行する。預貯金の入出金取引を開始する前に、預金者はキャッシュカードを自動取引装置のカード挿入口に挿入する。キャッシュカードには、預金者の識別情報を記憶したメモリが組み込まれている。
【0003】
自動取引装置は、キャッシュカードのメモリから、預金者の識別情報を読み取る。自動取引装置の操作盤には、暗証番号の入力を要求する画面が表示される。暗証番号が正しく入力されると、ホストコンピュータと自動取引装置が相互にデータを送受信して、預貯金の入出金取引が開始される。
【0004】
キャッシュカードが使用されると、自動取引装置は、キャッシュカードのメモリに、使用履歴を示す情報を記憶させる。従って、入出金取引を終了するまで、キャッシュカードは自動取引装置の内部に収容されている。預貯金の入出金取引が終了すると、自動的にキャッシュカードがカード挿入口から排出される。
【0005】
しかしながら、預金者が、排出されたキャッシュカードを取り忘れて、立ち去ってしまうことがある。この場合に、自動取引装置は、キャッシュカードを自動的に装置内部に取り込んで保管する。取り忘れに気付いた預金者にキャッシュカードを返却する場合には、返却を要求する者が、キャッシュカードを取り忘れた本人かどうかを確認しなければならない。特許文献1では、次のようにして、本人確認処理をしている。
【0006】
特許文献1の装置で取り扱うキャッシュカードのメモリには、暗証番号が記憶されている。自動取引装置は、装置内部に取り込んだキャッシュカードのメモリから、暗証番号を読み取る。次に、自動取引装置のディスプレイに暗証番号入力画面を表示して、預金者に暗証番号の入力を要求する。預金者が入力した暗証番号とキャッシュカードのメモリから読み取った暗証番号が一致すれば、暗証番号を入力した者が、キャッシュカードの持ち主と判断する。
【0007】
自動取引装置がこの機能を備えていれば、自動取引装置とネットワークを通じて接続された監視端末装置から自動取引装置を遠隔制御して、キャッシュカードを預金者に返却できる。即ち、預金者が監視員に電話をした後に、監視員が自動取引装置の動作を遠隔監視する。預金者が入力した暗証番号とキャッシュカードのメモリから読み取った暗証番号が一致したという情報を、自動取引装置から監視端末装置が受信した場合には、監視員は、遠隔操作で、自動取引装置の内部に収容したキャッシュカードを排出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−335289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
キャッシュカードのメモリに暗証番号を記憶させておくと、特殊な読み取り装置により、不正に暗証番号が読み取られるおそれがある。そこで、近年では、キャッシュカードのメモリに暗証番号を記憶させておかない。自動取引装置は、預金者に暗証番号の入力を要求し、入力された暗証番号と預金者の識別情報をホストコンピュータに送信する。ホストコンピュータは、預金者の識別情報と暗証番号を受信して、データベースに登録されたデータと照合し、両者が一致したときに、入出金取引を開始する。
【0010】
キャッシュカードのメモリに暗証番号が記憶されていないと、特許文献1の技術を利用できない。これを解決するには、ホストコンピュータに、預金者の識別情報と暗証番号を送信したとき、ホストコンピュータが、預金者の識別情報と暗証番号の組み合わせがデータベースに登録されたものであるかどうかの照合処理をして、その結果を自動取引装置に返す機能を設けるとよい。しかしながら、既存のホストコンピュータのシステムに、この機能を追加するには、費用も手数も時間もかかる。しかも、何の取引も伴わずに暗証番号の照合処理を実行してその結果をホストコンピュータから外部に通知するのは、暗証番号の安全な管理目的に反するおそれがある。
【0011】
従って、従来は、監視員や警備担当者が自動取引装置を設置した場所に出向いて、預金者に対して、本人しか知ることができない取引状況を尋ねて、本人であるかどうかを確認するようにしていた。即ち、近年では、特許文献1に記載されたような自動取引装置の遠隔監視制御をそのまま採用することができない。
上記の課題を解決するために、本発明は、キャッシュカードを取り忘れた預金者の本人確認処理を遠隔監視制御装置側で実行することができる、自動取引装置の遠隔監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
自動取引装置とネットワークを介して接続されており、前記自動取引装置を遠隔制御する遠隔監視制御装置であって、前記自動取引装置は、カード挿入口から挿入されたキャッシュカードを装置の内部に収容する搬送制御手段と、装置の内部に収容された前記キャッシュカードのメモリから前記預金者の識別情報を読み取る読取り制御手段と、操作盤の表示部に暗証番号の入力を要求する画面を表示する表示部制御手段と、操作盤のスイッチ部により入力された暗証番号を取得するスイッチ部制御手段と、前記識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求する取引依頼手段と、前記預金者の識別情報と前記取引の結果を含む取引履歴を記憶装置に記憶させる取引情報管理手段とを備えており、前記搬送制御手段は、前記取引が終了すると前記キャッシュカードを前記カード挿入口から排出し、前記カード挿入口から抜き取られなかった前記キャッシュカードを前記装置の内部に再び収容する制御を実行するものであって、前記遠隔監視制御装置は、前記取引情報管理手段に対して、前記記憶装置に記憶された取引履歴を受信する監視情報受信手段と、前記受信した取引履歴を含む監視画面データを編集して、遠隔監視制御装置のディスプレイに監視画面を表示する監視画面制御手段と、前記自動取引装置の表示部制御手段に対して、前記自動取引装置の操作盤の表示部に暗証番号の入力を要求する画面を表示させて、前記スイッチ部制御手段に対して、前記操作盤のスイッチ部により入力された暗証番号を取得させるコマンドを送信するコマンド送信手段と、前記取引依頼手段が、前記取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記スイッチ部に取得させた暗証番号とを、前記ホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求するように制御し、前記取引が開始されることを検出した後に、前記キャッシュカードの返却を許可する情報を前記ディスプレイに表示するように制御する、本人確認手段を備えたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0013】
〈構成2〉
構成1に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記本人確認手段は、前記取引依頼手段が、ホストコンピュータに取引の開始を要求するように制御した後、要求した取引の取引画面が、前記自動取引装置の操作盤の表示部に表示されないように制御することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0014】
〈構成3〉
構成1または2に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記本人確認手段は、前記キャッシュカードが前記自動取引装置の搬送制御手段により搬送可能な状態かどうかを判断して、搬送可能な状態のときは、前記遠隔監視制御装置のディスプレイに、前記キャッシュカードを前記カード挿入口から排出させるコマンドを、前記搬送制御手段に対して送信する処理の、起動ボタンを表示することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0015】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記本人確認手段は、前記キャッシュカードが前記自動取引装置の搬送制御手段により搬送可能な状態かどうかを判断して、搬送不可能な状態のときは、前記本人確認の結果を示す情報と、前記取引履歴の全部または一部を示す情報を含む監視報告書を生成し、前記遠隔監視制御装置の監視報告送信手段は、前記監視報告書を、自動取引装置を管理する警備員の端末装置に送信することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0016】
〈構成5〉
構成4に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記監視報告書には、前記取引履歴から抽出した情報であって、キャッシュカードに文字や記号で印刷してあって、各カードを区別できる情報を含めたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0017】
〈構成6〉
構成4または5に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記本人確認手段は、前記自動取引装置の記憶装置に、複数の預金者の取引履歴が記憶されているとき、前記取引依頼手段は、いずれかの取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求し、前記取引が正常に開始されないとき、残りの前記取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求するという処理を、記憶されている全ての取引履歴について繰り返して、前記取引が正常に開始されたとき、該当する識別情報を含む取引履歴の預金者に対して前記キャッシュカードの返却を許可する情報を、前記ディスプレイに表示する本人確認手段を備えたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0018】
〈構成7〉
構成6に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、前記本人確認手段は、遠隔操作により本人確認のために取引を要求して、不正に取引を要求したという結果が記録された識別情報については、その記録を消去するように依頼する通知メールを、ホストコンピュータの管理者の端末装置に送信することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【0019】
〈構成8〉
遠隔監視制御装置のコンピュータを、構成1に記載の前記監視情報受信手段と、前記監視画面制御手段と、前記コマンド送信手段と、前記本人確認手段として機能させる遠隔監視制御プログラム。
【0020】
〈構成9〉
遠隔監視制御装置のコンピュータを、構成1に記載の前記監視情報受信手段と、前記監視画面制御手段と、前記コマンド送信手段と、前記本人確認手段として機能させる遠隔監視制御プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0021】
〈構成1の効果〉
キャッシュカードに暗証番号が記憶されていない場合でも、遠隔監視制御装置から自動取引装置を制御して、確実に本人確認ができる。取引履歴から抽出した預金者の識別情報と、預金者本人により入力された暗証番号とを、自動取引装置からホストコンピュータに送信させて、いずれかの取引が開始できれば本人確認ができる。
〈構成2の効果〉
ホストコンピュータにいずれかの取引の開始を要求することで、本人確認処理を実行する。その取引は預金者が希望するものでないから、取引画面の表示をさせない。
〈構成3の効果〉
キャッシュカードが搬送可能な状態のときは、遠隔制御によりキャッシュカードを預金者に返却できる。従って、警備員が現場に出動しなくてもよい。キャッシュカードの返却動作を実行させるボタンをディスプレイに表示して高輝度表示する等の方法で、監視員の確認後に、監視員の操作によるカード返却処理が可能になる。
〈構成4の効果〉
キャッシュカードが自動搬送できない状態のときは、警備員が自動取引装置の設置された場所に出動して、直接預金者から事情を聞く。警備員は、監視報告書を参照することにより、簡単な問答で本人確認を終了させることができる。
〈構成5の効果〉
回収トレイに複数のキャッシュカードが収容されているとき、そのいずれかを目視で選別することができる。
〈構成6の効果〉
過去に複数の預金者がキャッシュカードを取り忘れている場合には、複数の取引履歴が記憶装置に記憶されていることがある。その場合には、いずれかの取引履歴から抽出した預金者の識別情報を使用して、残高照会取引を依頼する。それがだめなら、残りの別の取引履歴から抽出した預金者の識別情報を使用して、残高照会取引を依頼する。これを繰り返して、暗証番号を入力した預金者の取引履歴を特定することができる。
〈構成7の効果〉
自動的に、該当する識別情報をリストアップし、記録を取り消す要求を記載したメールを発信する。本人確認のために使用した識別情報について、不正に取引を要求したという結果が残らないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の遠隔監視制御装置10が使用されるシステムの概念図である。
【図2】自動取引装置12のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図3】キャッシュカード56の構造例説明図である。
【図4】自動取引装置12のカード挿入口20の内側に設けられた機構の概略斜視図である。
【図5】自動取引装置12が動作したときの機能ブロック図である。
【図6】ホストコンピュータ28のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図7】ホストコンピュータ28が動作したときの機能ブロック図である。
【図8】図5の装置のA−A線に沿う縦断面図で、それぞれ異なる状態のものである。
【図9】自動取引装置の操作開始時の動作フローチャートである。
【図10】自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
【図11】自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
【図12】自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
【図13】別の手順で動作する自動取引装置の操作画面である。
【図14】図13の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図15】取引終了時のキャッシュカード返却処理動作フローチャートである。
【図16】出金取引中に表示される画面の例である。
【図17】出金取引中に表示される画面の例である。
【図18】取引終了メッセージの例である。
【図19】監視端末装置30のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図20】監視端末装置30が動作したときの機能ブロック図である。
【図21】キャッシュカードを遠隔制御により返却する場合の監視端末装置30の動作フローチャートである。
【図22】監視端末装置30に表示される監視画面の説明図である。
【図23】遠隔操作される自動取引装置12の操作盤14に表示される画面の説明図である。
【図24】自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
【図25】自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
【図26】キャッシュカード56が搬送不可能な状態のときの動作フローチャートである。
【図27】自動取引装置に表示される画面の説明図である。
【図28】監視報告書の例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(ネットワーク構成)
図1は本発明の遠隔監視制御装置10が使用されるシステムの概念図である。
図の自動取引装置12は、預貯金の入出金のために、預金者22に利用される。自動取引装置12は、ネットワーク26を介して銀行のホストコンピュータ28に接続されている。例えば、ネットワーク26は、銀行の建物の内部に設置されたローカルエリアネットワークである。また、あるいは、ネットワーク26は、任意の広域通信網である。預金者22は、キャッシュカード56を自動取引装置12のカード挿入口20に挿入する。預金者22は、自動取引装置12の操作盤14を操作して、例えば、預金の出金取引を指定する。自動取引装置12はホストコンピュータ28と通信をして、指定された出金取引を実行する。
【0024】
一方、自動取引装置12は、ネットワーク26を介して監視端末装置30と接続されている。監視端末装置30は、ネットワーク26に接続された任意の自動取引装置12を、遠隔地で集中的に監視するための装置である。監視端末装置30は、監視対象の全ての自動取引装置12の状態を、ディスプレイ32に表示することができる。例えば、預金者22が、電話機24を使用して、監視員36に対して操作方法等の質問をすることができる。監視員36は該当する自動取引装置12の状態を確認しながら、預金者22に案内をする。
【0025】
自動取引装置12を利用した後、預金者22がキャッシュカード56を取り忘れて帰ることがある。キャッシュカード56の取り忘れに気付いた預金者22は、電話機24を使用して監視員36に連絡をする。このとき、電話をした人がキャッシュカード56を取り忘れた本人かどうかを確認しなければならない。
【0026】
本発明の遠隔監視制御装置10は、遠隔制御によって預金者22の本人確認をし、遠隔制御によりキャッシュカード56を自動取引装置12から排出させることができる。また、あるいは、本発明の遠隔監視制御装置10は、遠隔制御によって預金者22の本人確認をしてから、本人確認の結果を示す情報とその他の必要な情報を、警備員38の端末装置39に送信する。警備員38は、預金者22の使用した自動取引装置12が設置された場所まで出動して、自動取引装置12からキャッシュカード56を取り出して、それを預金者22に返却する。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
(自動取引装置)
図2は自動取引装置12のハードウエア構成例を示すブロック図である。
自動取引装置12の動作は、CPU(中央処理装置)122により制御される。CPU122には、バスライン120を介して、ネットワークインタフェース121と、ROM(リードオンリメモリ)123と、RAM(ランダムアクセスメモリ)124と、HDD(ハードディスク)125と、入出力インタフェース126とが接続されている。CPU122は、ROM123やRAM124に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って演算処理を実行する。演算処理の結果は、RAM124やHDD125に記憶される。
【0028】
ネットワークインタフェース121は、ネットワーク26を介してホストコンピュータ28(図1)や監視端末装置30(図1)と通信を制御する通信制御装置である。入出力インタフェース126は、CPU122と各種のデバイスとの間の通信を制御する通信制御装置である。入出力インタフェース126には操作盤14が接続されている。
【0029】
操作盤14の表示部16には自動取引装置12の操作方法や入出金取引の結果が表示される。表示部16は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。操作盤14のスイッチ部18は、預金者22(図1)が入出金取引に必要なデータを入力するためのものである。スイッチ部18は、例えば、押しボタンスイッチや感圧フィルムによるスイッチである。カード読取り機46と入口ローラ48と内部ローラ50については、図3や図4を参照して説明する。
【0030】
(キャッシュカード)
図3はキャッシュカード56の構造例説明図である。
預金者22(図1)は、入出金取引のためにキャッシュカード56を使用する。キャッシュカード56には、電子データを読み書きすることができるメモリ57が組み込まれている。メモリ57は、磁気記録装置、光学的記録装置、あるいは読み書き可能な半導体不揮発性記憶装置が適する。帯状の磁気テープを貼り付けたものが最も汎用されている。メモリ57には、預金者22を識別するための識別情報58が記憶されている。メモリ57には、さらに、例えば、取扱銀行名とか、預金口座番号といった任意の管理情報60が記憶されている。帯状の磁気テープと半導体不揮発性記憶装置の両方を組み込んだキャッシュカード56には、帯状の磁気テープと半導体不揮発性記憶装置の両方またはいずれか一方に上記の情報が記憶されている。
【0031】
図4は自動取引装置12のカード挿入口20の内側に設けられた機構の概略斜視図である。
自動取引装置12(図1)には、カード挿入口20(図1)の内側に、入口ローラ48と搬送路62と内部ローラ50と回収トレイ64とが配置されている。入口ローラ48は、カード挿入口20から挿入されたキャッシュカード56を搬送路62上に引き込む装置である。カード読取り機46は、搬送路62上に引き込まれたキャッシュカード56のメモリ57中のデータを読み書きする装置である。内部ローラ50は、搬送路62上のキャッシュカード56を回収トレイ64側に搬送して収納する装置である。回収トレイ64は取り忘れられたキャッシュカード56を収納しておく容器である。
【0032】
(自動取引装置の機能)
図5は自動取引装置12が動作したときの機能ブロック図である。
自動取引装置12がコンピュータプログラムを実行することによって実現する機能ブロックを、図の演算処理装置101の部分に列挙した。上記のようなハードウエアを備えた自動取引装置12は、次のような機能を持つ装置として動作する。
【0033】
なお、図4には、本発明の装置の動作説明に必要なハードウエアブロックのみを図示した。また、図5には、本発明の装置の動作説明に必要な機能ブロックのみを図示した。即ち、本発明の装置の動作説明に不要な既知の一般的技術事項については図示も説明も省略した。記憶装置102に記憶されるデータも、本発明の装置の動作説明に必要なもののみを図示し、それ以外のデータについては図示も説明も省略した。
【0034】
図5において、表示部制御手段68は、操作盤14の表示部16に暗証番号の入力を要求する画面を表示する機能を持つ。スイッチ部制御手段70は、操作盤14のスイッチ部18により入力された暗証番号を取得する機能を持つ。読み書き制御手段72は、キャッシュカード56のメモリ57から預金者22の識別情報58を読み取る機能を持つ。
【0035】
搬送制御手段74は、カード挿入口20から挿入されたキャッシュカード56を装置の内部に収容する機能を持つ。取引依頼手段76は、取引の種別を指定する情報と識別情報58と暗証番号とをホストコンピュータ28(図1)に送信して、指定した取引の開始を要求する機能を持つ。取引情報管理手段78は、預金者22の識別情報58と取引の種別と取引の結果を含む取引履歴80を、記憶装置102に記憶させる機能を持つ。
【0036】
(ホストコンピュータ)
図6は、ホストコンピュータ28のハードウエア構成例を示すブロック図である。
ホストコンピュータ28(図1)は、CPU(中央処理装置)142により制御される。CPU142には、バスライン140を介して、ネットワークインタフェース141と、ROM(リードオンリメモリ)143と、RAM(ランダムアクセスメモリ)144と、HDD(ハードディスク)145とが接続されている。CPU142は、ROM143やRAM144に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って演算処理を実行する。演算処理の結果は、RAM144やHDD145に記憶される。ネットワークインタフェース141は、ネットワーク26を介して監視端末装置30(図1)や自動取引装置12(図1)と通信を制御する通信制御装置である。
【0037】
図7は、ホストコンピュータ28が動作したときの機能ブロック図である。
ホストコンピュータ28がコンピュータプログラムを実行することによって実現する機能ブロックを、図の演算処理装置105の部分に預貯金取引制御手段96と表示した。また、ホストコンピュータ28の記憶装置106には、預金者データベース98が記憶されている。図6に示したようなハードウエアを備えたホストコンピュータ28は、次のような機能を持つ装置として動作する。
【0038】
預金者データベース98は、預金者毎の識別情報58と暗証番号100と預貯金データ99とを含むデータを集積したものである。預貯金取引制御手段96は、自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)から、例えば、取引の種別と識別情報と暗証番号とを受信すると、受信した識別情報をキーにして、預金者データベース98を検索する。そして、そのキーと一致した識別情報58を検出すると、暗証番号100を読み出して、受信した暗証番号と比較する。両者が一致したときには、預貯金データ99を読み出して、指定された取引を開始する。
【0039】
なお、ホストコンピュータ28が、取引の種別の指定を、暗証番号の照合処理後に、預貯金取引制御手段96から自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)に要求する場合もある。即ち、預貯金取引制御手段96は、自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)から、始めに、識別情報と暗証番号とを受信すると、受信した識別情報をキーにして、預金者データベース98を検索する。そして、そのキーと一致した識別情報58を検出すると、暗証番号100を読み出して、受信した暗証番号と比較する。両者が一致したときには、預貯金取引制御手段96から自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)に対して、取引の種別を指定するように要求する。取引開始後の処理は既知の装置と変わらない。
【0040】
なお、図6には、本発明の装置の動作説明に必要なハードウエアブロックのみを図示した。また、図7には、本発明の装置の動作説明に必要な機能ブロックのみを図示した。即ち、本発明の装置の動作説明に不要な既知の一般的技術事項については図示も説明も省略した。記憶装置106に記憶されるデータも、本発明の装置の動作説明に必要なもののみを図示し、それ以外のデータについては図示も説明も省略した。
【0041】
(キャッシュカード搬送機構)
図8は、図5の装置のA−A線に沿う縦断面図で、それぞれ異なる状態のものである。
この図を用いて、自動取引装置12の搬送制御手段74による図5に示した装置の制御動作を説明する。まず、図8(a)はキャッシュカード56がカード挿入口20から挿入されて、入口ローラ48が回転をして、矢印B方向に、キャッシュカード56を内部ローラ50の方向に引き込む状態を示す。図8(b)は、キャッシュカード56が、内部ローラ50に突き当たって入口ローラ48が回転を停止し、搬送路62上の定位置に収容された状態を示す。この状態で、自動取引装置12による入出金取引が開始される。カード読取り機46は、キャッシュカード56のメモリ57から情報を読み取ることができる。
【0042】
図8(c)は入口ローラ48を回転させて、矢印C方向に、キャッシュカード56を搬送路62上からカード挿入口20の外(図の右側)へ排出する状態を示す。これは、入出金取引終了後に預金者22(図1)にキャッシュカード56を返却するための動作である。なお、入口ローラ48は、図8(c)の状態までキャッシュカード56が移動したときに回転を停止し、預金者22(図1)によりキャッシュカード56が抜き取られるのを待つ。
【0043】
キャッシュカード56がカード挿入口20から抜き取られないでいると、例えば、キャッシュカード56の移動停止から10秒後に、自動取引装置12はキャッシュカード56を装置の内部に収容する。取り忘れられたキャッシュカード56を他人が抜き取るのを防止するためである。即ち、図8(a)に示したように入口ローラ48を回転させて、図8(b)の状態までキャッシュカード56を移動させて一定時間待機する。一定時間は、例えば、5分とか10分といった時間である。図8(b)の状態で、キャッシュカード56が取り込まれた状態では、他の新たな取引は受け付けられない。
【0044】
上記の一定の待機時間を経過すると、図8(b)の状態から入口ローラ48と内部ローラ50が回転を開始して、図8(d)に示すように、矢印Dの方向にキャッシュカード56を搬送する。そして、回収トレイ64の中にキャッシュカード56を収納する。なお、図8に示した装置には、既に、例えば、2枚の既回収カード66が収容されている。過去に2名の預金者がキャッシュカード56を取り忘れたという状態である。
【0045】
キャッシュカード56が図8(b)の状態のときに、預金者22からカード返却の要請があれば、図8(c)に示すように入口ローラ48を回転させて、キャッシュカード56を排出できる。この処理は後で説明するように、監視員36(図1)の操作により遠隔制御できる。一方、図8(d)に示す状態を経て、キャッシュカード56が回収トレイ64に収容された後は、警備員38(図1)が対処する。
【0046】
(自動取引装置の操作開始)
図9は、自動取引装置の操作開始時の動作フローチャートである。図10〜図12は自動取引装置の操作部に表示される画面例説明図である。
図9のフローチャートを、図1〜図8等を参照して説明する。まず、預金者22(図1)が自動取引装置12(図1)の操作を開始すると、ステップS11で、表示部制御手段68(図5)が自動取引装置12の表示部16(図2)に取引選択画面の表示をする。図10は取引選択画面の例を示す。預金者22(図1)が「入金」「出金」等のいずれかのボタンを押すと、スイッチ部18(図2)がその信号を検出する。ステップS12で、スイッチ部制御手段70(図5)が検出信号を使用して取引の種別の入力受付けを完了する。
【0047】
ステップS13では、表示部制御手段68(図5)が、図11に示した画面を表示して、カード挿入要求をする。ステップS14では、搬送制御手段74(図5)が、挿入されたキャッシュカード56を、図8(a)で説明したとおりに装置内部に引き込む。ステップS15で、読み書き制御手段72(図5)は、カード読取り機46(図8)を通じてキャッシュカード56から預金者の識別情報を読み取る。ステップS16では、取引依頼手段76(図5)が、キャッシュカード56の情報が正常かどうかという判断をする。例えば、取扱銀行が異なる場合にはこの判断の結果がノーとなり、処理を終了する。一方、正常なキャッシュカード56の場合には、この判断の結果がイエスとなり、ステップS17の処理に移行する。
【0048】
ステップS17では、表示部制御手段68(図5)が、図12に示した画面を表示して、暗証番号の入力要求をする。ステップS18では、スイッチ部18(図2)とスイッチ部制御手段70の動作により、暗証番号の入力を受付ける。以上のようにして識別情報と暗証番号の取得が完了すると、取引依頼手段76(図5)は、ステップS19で、ホストコンピュータ28(図1)に接続をして、ステップS20で、取引情報の送信をする。
【0049】
ステップS20で送信される取引情報は、取引の種別を指定する情報と、識別情報と暗証番号である。自動取引装置12はその後、ホストコンピュータ28の応答を待つ。ステップS21では、取引依頼手段76が、ホストコンピュータ28の応答を受信して、取引開始可能かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS22の処理に移行して入出金等の取引が開始される。その後の処理は図15で説明する。一方、暗証番号の照合ができず、取引を開始することができないときには、ホストコンピュータ28からNGの応答が受信される。即ち、ステップS21判断の結果がノーとなり、取引は開始されずに処理を終了する。
【0050】
図13は上記とは別の手順で動作する自動取引装置の操作画面で、図14はその動作フローチャートである。
まず、ステップS24で、操作開始時に、表示部制御手段68(図5)が、図13に示したような操作画面を表示する。この操作画面を使用して、スイッチ部制御手段70(図5)が、ステップS25で識別番号の入力を受付け、ステップS26で、暗証番号の入力を受付ける。
【0051】
取引依頼手段76(図5)は、ステップS27でホストコンピュータ28に接続をして、ステップS28で預貯金取引制御手段96(図7)に対して取引開始要求をする。ホストコンピュータ28からNGの応答が受信されたときは、取引を開始できないから、ステップS29を経て、そのまま処理を終了する。ステップS29で取引開始可と判断されると、ステップS30で、表示部制御手段68(図5)が、図10に示した取引選択画面の表示をする。
【0052】
即ち、図14の動作例では、識別番号と暗証番号をホストコンピュータ28に送信して、取引開始可能かどうかの判断を終了した後に、取引の種別選択を要求する。取引の種別が選択された後は、図9のステップS22以下の処理に進む。入出金取引では、ホストコンピュータ28と自動取引装置12が通信をしながら、自動取引装置12の中に収容された金庫から預金者22の指定した現金を出金したり、預金者22の投入した現金を金庫に収納する処理を実行する。ホストコンピュータ28は、その結果を預貯金データ99(図7)に記録する。
【0053】
(キャッシュカード返却処理)
図15は、取引終了時のキャッシュカード返却処理動作フローチャートである。図16と図17は、出金取引中に表示される画面の例である。図18は取引終了メッセージの例である。
自動取引装置では、ステップS31で、上記の手順により入出金取引処理が実行される。例えば、図16に示した画面により、出金金額の入力を受付ける。操作開始からその後の取引終了までの間に処理された主要なデータは、ステップS32で、取引情報管理手段78が取得して取引履歴80を生成する。取引履歴80は、記憶装置102(図5)に記憶される。取引履歴80には、預金者の識別情報と暗証番号が含まれている。
【0054】
ステップS33では、取引が終了したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS34の処理に移行し、ノーのときはステップS31の処理に戻って、別の取引を実行する。ステップS34では、図17に示した終了メッセージの表示をする。ステップS35で、現金とキャッシュカードが排出される。即ち、図8(c)で説明した状態になる。
【0055】
そして、ステップS36で、カードが抜き取られたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときは全ての処理を終了する。ノーのときはステップS37の処理に移行する。ステップS37では、図8(c)で説明した状態で例えば10秒待機する。そして、この待機時間が経過したかどうかという判断をする。この判断の結果がノーのときは待機する。イエスのときは、ステップS38の処理に移行する。ステップS38では、図8(c)の状態からキャッシュカードを吸入して図8(b)の状態にする。
【0056】
ステップS39では、吸入したキャッシュカードを搬送路に保留する。同時に、カードの取り忘れが発生したことを取引履歴80に追加して、記憶装置102(図5)に記憶させる。ステップS40では、図8(b)の状態で、待機時間例えば10分間が経過したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS41の処理に移行し、ノーのときは待機する。ステップS41では、キャッシュカードを回収トレイに取り込む。即ち、図8(d)の動作をする。同時に、取り忘れたキャッシュカードを回収トレイに取り込んだことを取引履歴80に追加して、記憶装置102(図5)に記憶させる。
【0057】
(監視端末装置の構成)
図19は、監視端末装置30のハードウエア構成例を示すブロック図である。
監視端末装置30(図1)は、CPU(中央処理装置)132により制御される。CPU132には、バスライン130を介して、ネットワークインタフェース131と、ROM(リードオンリメモリ)133と、RAM(ランダムアクセスメモリ)134と、HDD(ハードディスク)135とが接続されている。CPU132は、ROM133やRAM134に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って演算処理を実行する。演算処理の結果は、RAM134やHDD135に記憶される。
【0058】
ネットワークインタフェース131は、ネットワーク26を介してホストコンピュータ28(図1)や自動取引装置12(図1)と通信を制御する通信制御装置である。入出力インタフェース136は、CPU132と各種のデバイスとの間の通信を制御する通信制御装置である。入出力インタフェース136にはディスプレイ32とキーボード34が接続されている。図1に示したように、監視員36はディスプレイ32を監視しながらキーボード34を操作して監視業務を行う。
【0059】
図20は監視端末装置30が動作したときの機能ブロック図である。
監視端末装置30がコンピュータプログラムを実行することによって実現する機能ブロックを、図の演算処理装置103の部分に列挙した。また、このコンピュータプログラムの演算処理に必要なデータが、記憶装置104に記憶される。上記のようなハードウエアを備えた自動取引装置12は、次のような機能を持つ装置として動作する。
【0060】
なお、図20には、本発明の装置の動作説明に必要な機能ブロックのみを図示し、それ以外の既知の一般的機能については図示も説明も省略した。記憶装置104に記憶されるデータも、本発明の装置の動作説明に必要なもののみを図示し、それ以外のデータについては図示も説明も省略した。
【0061】
図20において、監視情報受信手段84は、自動取引装置12の取引情報管理手段78(図5)から、その記憶装置102に記憶された取引履歴80を受信する機能を持つ。例えば、カードの取り忘れが生じたとき、自動取引装置12の取引情報管理手段78は、自動的に監視情報受信手段84に対して、該当する取引履歴80を送信するように構成することが好ましい。監視情報受信手段84が受信した取引履歴80は、監視端末装置30の記憶装置104に記憶される。
【0062】
監視画面制御手段82は、受信した取引履歴80を含む監視画面データ90を編集する機能を持つ。複数のカード取り忘れが発生すると、複数の取引履歴80が受信される。監視画面制御手段82は、全ての取引履歴80について、監視画面データ90を編集して、記憶装置104に記憶させる。さらに、監視画面制御手段82は、遠隔監視制御装置のディスプレイ32に対して、監視画面データ90を使用した監視画面を表示する機能を持つ。こうして、自動取引装置12の状態を遠隔監視することができる。
【0063】
コマンド送信手段86は、自動取引装置12の表示部制御手段68に対して、自動取引装置12の操作盤14の表示部16に暗証番号の入力を要求する画面(図12)を表示させるコマンドを送信する機能を持つ。同時に、スイッチ部制御手段70に対して、操作盤14のスイッチ部18により入力された暗証番号を取得させる遠隔制御コマンド92を送信する機能を持つ。こうして、遠隔制御により、自動取引装置に指定された動作をさせることができる。
【0064】
本人確認手段87は、自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)に対して、本人確認のために、いずれかの取引開始処理を実行させる機能を持つ。この場合に、取引依頼手段76(図5)は、例えば、預金者22の識別情報58と暗証番号とをホストコンピュータ28に送信して、いずれかの取引の開始を要求する。ホストコンピュータ28は、預金者22の識別情報58と暗証番号とが正当であると判断すると、取引を開始する旨の応答をする。本人確認手段87は、ホストコンピュータ28の応答を受信して、取引が正常に開始されることを検出したとき、キャッシュカード56の返却を許可する情報をディスプレイ32に表示する機能を持つ。
【0065】
本人確認手段87を設けることにより、キャッシュカード56に暗証番号が記憶されていない場合でも、遠隔監視制御装置30から自動取引装置12を制御して、本人確認ができる。自動取引装置12やホストコンピュータ側の既存の機能を変更することなく本人確認処理ができる。例えば、残高照会手続きを選択して、取引履歴80から抽出した預金者22の識別情報58と、預金者22本人により入力された暗証番号とを、自動取引装置12からホストコンピュータ28に送信させて、残高照会取引が開始できれば本人確認ができる。
【0066】
暗証番号は預金者本人が自動取引装置の操作盤を使用して入力する。暗証番号は自動取引装置からホストコンピュータに直接送信される。暗証番号のデータが遠隔監視制御装置を経由しないから、秘密を保つことができる。自動取引装置12からホストコンピュータ28に対していずれかの取引の開始を要求する処理に対する、ホストコンピュータ28の応答を受信して、遠隔監視制御装置30が本人確認処理をするので、自動取引装置12もホストコンピュータ28も、本人確認のための新たな機能を追加する必要はない。
【0067】
(遠隔操作によるカード返却処理)
図21はキャッシュカードを監視端末装置30の遠隔制御により預金者22に返却する場合の監視端末装置30の動作フローチャートである。図22は監視端末装置30に表示される監視画面の説明図である。図23〜図25は、遠隔操作される自動取引装置12の操作盤14に表示される画面の説明図である。
例えば、図1に示したように、キャッシュカード56を取り忘れた預金者22から、電話機24を使用して監視員36に問い合わせがあった場合に、図21のステップS51で遠隔処理を起動する。電話機24は携帯電話でもよいし、自動取引装置12に備え付けられた専用の電話機でもよい。
【0068】
既に説明したように、キャッシュカード56の取り忘れが発生したときには、自動取引装置12の取引情報管理手段78(図5)が取引履歴80を監視端末装置30に送信する。監視情報受信手段84は監視画面データ90を生成し、監視画面制御手段82は監視画面データ90を使用して、監視画面150(図22)をディスプレイ32に表示する。図22の例では、監視画面150に、障害情報152と障害処置154とが含まれている。障害情報152は、自動取引装置12から受信した取引履歴80の内容である。障害情報152には、取扱店舗、取引口座、取扱自動取引装置が何号機かを示す記号、預金者の識別情報、取引種別、取引日時、取引金額等を含まれる。さらに、発生した障害の種別、カード残留の有無、カードの残留位置等の情報が含まれる。
【0069】
監視員36は預金者22から電話を受けると、この障害情報152を参照して、状況を把握する。障害処置154の領域には、複数のボタン155〜164と、本人確認の結果を表示する本人確認結果160の画像とが配置されている。監視員36は、始めに、預金者22から事情を聞く。このとき、「聞き取り」と表示したボタン155をクリックする。ボタン155を操作すると、本人確認手段87が、監視報告書94の作成を開始し、監視報告書94に障害情報152を転記する。さらに、ボタン158と159の操作が可能になる。
【0070】
「聞取情報」と表示したボタン158をクリックすると、図示しない任意の文書作成ソフトが起動する。この文書作成ソフトを利用して、預金者22から聞き取った聞取情報を文章にして監視報告書94に書き加える。また、例えば、「撮影」と表示したボタン159をクリックして、自動取引装置12に取り付けられた図示しないカメラで、預金者22を撮影する。その画像を監視報告書94に添附する。監視員36が障害情報152を見てカード返却が不適切と判断した場合には、ステップS52以降の自動処理を中止して、預金者22に対して、銀行の窓口に相談に行くように薦める。
【0071】
自動処理が実行される場合には、図21のステップS52で、本人確認手段87(図20)が監視画面データ90の内容からカードの状態を読み取る。ステップS53で、本人確認手段87は、キャッシュカード56が搬送路上にあるかどうかという判断をする。図8の(b)に示す状態にあるときはイエスである。図8の(d)の状態にあるときはノーである。この判断の結果がイエスのときはステップS54の処理に移行し、ノーのときは図26で説明する処理に移行する。
【0072】
ステップS54では、本人確認手段87(図20)が、自動取引装置12の操作盤14に暗証番号入力画面を表示する。ステップS52〜ステップS61の処理は全自動処理が可能である。しかし、例えば、ステップS53の判断の結果がイエスのときは、図22に示した監視画面150のボタン156を高輝度表示して、監視員36(図1)に操作を促すようにしてもよい。このときは、監視員36(図1)は、高輝度表示された「暗証入力要求」のためのコマンドを送信するボタン156をクリックする。
【0073】
図23は、暗証番号入力画面の例である。本人確認のために、預金者22に対して暗証番号の入力を要求する。ステップS55では、本人確認手段87(図20)が、暗証番号の入力完了を検出する。ステップS56では、本人確認手段87(図20)が、自動取引装置12から受信した取引履歴80を参照して、預金者の識別情報を抽出する。
【0074】
その後、ステップS57で、本人確認手段87(図20)は、自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)を制御して、通信回線をホストコンピュータ28に接続させる。ステップS58で、取引依頼手段76(図5)は、ホストコンピュータ28に対して、預金者の識別情報と暗証番号の送信をする。続いて、ステップS59で、取引依頼手段76(図5)は、取引種別を指定して取引開始を要求する。
【0075】
図21のステップS57とステップS58の処理は、図9で説明したステップS19とステップS20の動作に該当する。即ち、図9で説明したとおりの動作をする自動取引装置12の、取引開始要求機能をそのまま利用している。ステップS57〜ステップS59の処理も全自動で実行できる。しかし、例えば、ステップS57の直前で、ボタン157を高輝度表示させて、監視員36の操作を促すようにしてもよい。この場合には、監視員36がボタン157をクリックしたときに、ステップS57とステップS58の処理が実行される。
【0076】
ホストコンピュータ28に取引開始を依頼すると、ホストコンピュータ28では、預金者の識別情報と暗証番号が預金者データベース98(図7)に実在するかどうかの判断をする。実在すれば、預金者の本人確認が終了して、指定された取引を開始する。一方、預金者の識別情報と暗証番号が預金者データベース98(図7)に実在しないときは、取引きが開始できない旨の「NG」という応答が、ホストコンピュータ28から自動取引装置12に返される。なお、自動取引装置12が図14で説明した動作をするものの場合には、図21のステップS59の処理で、取引種別の指定はしない。それ以外の処理は変わらない。
【0077】
ホストコンピュータ28の預貯金取引制御手段96(図7)が自動取引装置12の取引依頼手段76(図5)に対して返した応答は、監視端末装置30の本人確認手段87(図20)に転送される。なお、図21のステップS57〜ステップS59の処理は、実際に取引を始めるためのものではない。本人確認のためだけの処理である。従って、本人確認手段87は、指定した取引が正常に開始される場合でも、その取引画面が前記自動取引装置12の操作盤14の表示部16に表示されるのを禁止する。
【0078】
図21のステップS55以後は、自動取引装置12の操作盤14に対して、図24に示した案内画面を表示しておく。図21の処理は、キャッシュカード56が図8(d)の状態のときに実行される。従って、遠隔操作によりキャッシュカード56を返却できる。図24に示した案内画面には、「確認できたらカードをお返しします」というメッセージを含めることが好ましい。
【0079】
ステップS60では、本人確認手段87が、ホストコンピュータ28の応答を受信して、取引開始可能な状態かどうかという判断をする。取引きが開始できない旨の「NG」という応答がきた場合には、この判断の結果がノーである。それ以外の場合には、この判断の結果がイエスである。監視画面150(図22)の本人確認結果160の部分に、「NG」または「OK」という表示がされる。「NG」という応答がきた場合には本人確認ができないということである。この場合にはカードを返却することができないから、処理を終了する。その後は、監視員36(図1)が預金者22に銀行の窓口で相談をするように案内する。
【0080】
一方、ステップS60の判断の結果がイエスのときは、ステップS61に進む。ステップS61では、「カード返却」と表示したボタン162が高輝度表示される。これは、本人確認手段87が、カード排出コマンドの送信を許可をした状態である。ステップS51〜ステップS61までの処理は、全て自動化することができる。しかし、キャッシュカード56を返却する処理は重要な処理であって、監視員36による確認が必要である。そこで、監視員36は、監視画面150(図22)に「OK」という表示がされたのを確認してから、起動ボタン162(図22)をクリックする。
【0081】
ボタン162(図22)がクリックされると、ステップS62で、コマンド送信手段86は、キャッシュカード56をカード挿入口20から排出させる遠隔制御コマンド92を、自動取引装置12の搬送制御手段74(図5)に対して送信する。これにより、自動取引装置12が、図8(b)の状態から図8(c)の動作をして、キャッシュカード56が預金者22に返却される。このとき、自動取引装置12には、図25に示した案内画面が表示されて、預金者22に対して、処理結果を伝えることができる。以上のように、キャッシュカード56が搬送可能な状態のときは、遠隔制御によりキャッシュカード56を預金者22に返却できる。従って、警備員38が現場に出動しなくてもよく、預金者22を長時間待たせることがない。
【実施例2】
【0082】
(監視報告書の送信)
図26は、キャッシュカード56が自動取引装置12の搬送制御手段74により搬送不可能な状態のときの動作フローチャートである。図27は自動取引装置に表示される画面で、図28は監視報告書の例である。
この処理は、図21のステップS53で、ノーと判断されたときに開始される。まず、ステップS71とステップS72とで、図21のステップS54とステップS55と同様の処理を実行する。即ち、自動取引装置12に、図23で示した暗証番号入力画面を表示し、預金者22による暗証番号の入力完了を検出する。
【0083】
次に、預金者22の識別情報を取得する。キャッシュカード56が回収トレイ64に回収された後、ある程度時間が経過していると、複数の取引履歴80(図5)が監視端末装置30の記憶装置104に記憶されていることも少なく無い。カード返却を依頼した預金者22の取引の結果がどの取引履歴80に該当するかを判断しなければならない。この判断を監視員36が行う方法と、全自動で行う方法とがある。いずれの場合でも、自動取引装置12には、図27に示す画面を表示して、監視員38(図1)の現場への到着を待つように案内する。
【0084】
監視員36が判断する場合には、監視画面150(図22)の障害情報152を参照しながら、電話機24を用いて預金者22と話をして、内容の一致する取引履歴80を探す。取引履歴80が特定できたら、ステップS73以降に進むとよい。一方、全自動で判断をするには、図26のステップS73で、記憶装置104に記憶された全ての取引履歴80を検索する。そして、ステップS74で、各取引履歴80から、全預金者の識別情報を取得する。
【0085】
次に、本人確認手段87が自動取引装置12の取引依頼手段76を制御して、本人確認処理を実行する。即ち、ステップS75で、自動取引装置12をホストコンピュータ28に接続する。さらに、取引依頼手段76は、ステップS76で、暗証番号と預金者の識別情報をホストコンピュータ28に送信する。ステップS77で、取引依頼手段76はいずれかの取引種別を指定して、ホストコンピュータ28に取引開始依頼をする。その後、ホストコンピュータ28からの応答を待つ。ステップS78で、取引開始状態かどうかという判断をする。
【0086】
この判断の結果がノーのときは、使用した識別情報と預金者22が入力した暗証番号の組み合わせが不正だったことになる。そのときは、ステップS74で取得した別の識別情報を用いて、再び、ステップS76〜ステップS78の処理を繰り返す。ステップS78の判断の結果がイエスのときは、ステップS79の処理に移行する。なお、取得した全ての識別情報を使用しても、図26のステップS78の判断結果がノーのときは、処理を終了する。
【0087】
ステップS79では、該当する預金者の識別情報を取得する。そして、ステップS80で、該当するカードの取引履歴を選択する。その後ステップS81で、監視画面制御手段82が、この取引履歴を使用した監視画面データ90を生成して、監視報告書94を生成する。監視画面制御手段82は図22に示した監視画面150をディスプレイ32に表示する。監視員36は預金者と会話をした結果を監視画面150を利用して入力する。
【0088】
監視報告書94は、警備員38が現場に到着したときに、キャッシュカードを手渡す相手を確認するために使用する。そのために、監視員36(図1)が電話で問い合わせを受けたとき、例えば、監視端末装置30(図1)を使用して、自動車運転免許証番号を聞き取って入力する。これが聞取情報153である。本人確認手段87は、図28に示すように、障害情報152と聞取情報153とを含む監視報告書94を生成する。監視報告書94に、図22の「撮影」ボタン159を操作した撮影した預金者の写真を添附することが好ましい。
【0089】
監視報告書94が生成されると、監視報告送信手段88は、ボタン164(図22)を高輝度表示する。即ち、監視員36に監視報告書94の送信を促す。ステップS82で、監視員36がボタン164(図22)をクリックすると、監視報告書94は、警備員38(図1)の端末装置39(図1)にメール送信される。
【0090】
警備員3は、回収トレイ64に複数のキャッシュカード56が収容されているとき、そのいずれかを選別して預金者22に返却しなければならない。そのために、監視報告書94には、取引履歴80から抽出した情報であって、キャッシュカード56に文字や記号で印刷してあって、各カードを区別できる情報を含めることが好ましい。例えば、支点番号や口座番号が適する。
【0091】
なお、監視端末装置30のディスプレイ32に表示される監視画面150は、様々な遠隔操作の手順を監視員36に伝える機能を持つ。図22において、障害情報152は預金者22から問い合わせを受けたときに内容を確認できる取引履歴80を含む。また、障害処置154の領域に配置されたボタンは、監視員36に対して次の操作を促す機能を持つ。上記の説明で、各ボタンを高輝度表示させたのは、操作を促すための処理である。こうした操作を促すための処理は、高輝度表示以外に、点滅表示やボタン色の変更等の方法がある。これらは、次の操作のために自動取引装置12に遠隔制御コマンドを送信するボタンの機能を有効にする処理ということができる。
【0092】
また、上記のように複数の預金者の取引履歴から、複数の識別情報を取得して、1個の暗証番号と組み合わせると、1個の識別情報以外については、不正に取引を要求したという結果がホストコンピュータに記録される。例えば、誤った暗証番号を使用した取引の要求を数回繰り返すと、該当する識別情報の口座は取引を停止されることがある。そこで、遠隔操作により本人確認のために取引を要求して、不正に取引を要求したという結果が記録された識別情報については、その記録を消去するように、依頼する通知メールを自動的に送信することが好ましい。この通知メールはホストコンピュータを管理する管理者の端末装置に向けて送信されるとよい。
【0093】
以上のように、キャッシュカードに暗証番号が記憶されていない場合でも、遠隔監視制御装置から自動取引装置を制御して、確実に本人確認ができる。ホストコンピュータや自動取引装置に本人確認のための機能を新たに追加する必要がない。キャッシュカードが搬送可能な状態のときは、遠隔制御によりキャッシュカードを預金者に返却できる。取引履歴から抽出した預金者の識別情報と、預金者本人により入力された暗証番号とを送信して、いずれかの取引開始を要求したときに本人確認ができるので、既存の機能を利用して、遠隔制御ができる。
【0094】
なお、上記の演算処理装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 遠隔監視制御装置
12 自動取引装置
14 操作盤
16 表示部
18 スイッチ部
20 カード挿入口
22 預金者
24 電話機
26 ネットワーク
28 ホストコンピュータ
30 監視端末装置
32 ディスプレイ
34 キーボード
36 監視員
38 警備員
39 端末装置
46 カード読取り機
48 入口ローラ
50 内部ローラ
56 キャッシュカード
57 メモリ
58 識別情報
60 管理情報
62 搬送路
64 回収トレイ
66 既回収カード
68 表示部制御手段
70 スイッチ部制御手段
72 読み書き制御手段
74 搬送制御手段
76 取引依頼手段
78 取引情報管理手段
80 取引履歴
82 監視画面制御手段
84 監視情報受信手段
86 コマンド送信手段
87 本人確認手段
88 監視報告送信手段
90 監視画面データ
92 遠隔制御コマンド
94 監視報告書
96 預貯金取引制御手段
98 預金者データベース
99 預貯金データ
100 暗証番号
101 演算処理装置
102 記憶装置
103 演算処理装置
104 記憶装置
105 演算処理装置
106 記憶装置
120 バスライン
121 ネットワークインタフェース
122 CPU
123 ROM
124 RAM
125 HDD
126 入出力インタフェース
130 バスライン
131 ネットワークインタフェース
132 CPU
133 ROM
134 RAM
135 HDD
136 入出力インタフェース
140 バスライン
141 ネットワークインタフェース
142 CPU
143 ROM
144 RAM
145 HDD
146 入出力インタフェース
150 監視画面
152 障害情報
153 聞取情報
154 障害処置
155 ボタン
156 ボタン
157 ボタン
158 ボタン
159 ボタン
160 本人確認結果
162 ボタン
164 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置とネットワークを介して接続されており、前記自動取引装置を遠隔制御する遠隔監視制御装置であって、
前記自動取引装置は、
カード挿入口から挿入されたキャッシュカードを装置の内部に収容する搬送制御手段と、
装置の内部に収容された前記キャッシュカードのメモリから前記預金者の識別情報を読み取る読取り制御手段と、
操作盤の表示部に暗証番号の入力を要求する画面を表示する表示部制御手段と、
操作盤のスイッチ部により入力された暗証番号を取得するスイッチ部制御手段と、
前記識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求する取引依頼手段と、
前記預金者の識別情報と前記取引の結果を含む取引履歴を記憶装置に記憶させる取引情報管理手段とを備えており、
前記搬送制御手段は、前記取引が終了すると前記キャッシュカードを前記カード挿入口から排出し、前記カード挿入口から抜き取られなかった前記キャッシュカードを前記装置の内部に再び収容する制御を実行するものであって、
前記遠隔監視制御装置は、
前記取引情報管理手段に対して、前記記憶装置に記憶された取引履歴を受信する監視情報受信手段と、
前記受信した取引履歴を含む監視画面データを編集して、遠隔監視制御装置のディスプレイに監視画面を表示する監視画面制御手段と、
前記自動取引装置の表示部制御手段に対して、前記自動取引装置の操作盤の表示部に暗証番号の入力を要求する画面を表示させて、前記スイッチ部制御手段に対して、前記操作盤のスイッチ部により入力された暗証番号を取得させるコマンドを送信するコマンド送信手段と、
前記取引依頼手段が、前記取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記スイッチ部に取得させた暗証番号とを、前記ホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求するように制御し、前記取引が開始されることを検出した後に、前記キャッシュカードの返却を許可する情報を前記ディスプレイに表示するように制御する、本人確認手段を備えたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記本人確認手段は、
前記取引依頼手段が、ホストコンピュータに取引の開始を要求するように制御した後、要求した取引の取引画面が、前記自動取引装置の操作盤の表示部に表示されないように制御することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記本人確認手段は、前記キャッシュカードが前記自動取引装置の搬送制御手段により搬送可能な状態かどうかを判断して、搬送可能な状態のときは、前記遠隔監視制御装置のディスプレイに、前記キャッシュカードを前記カード挿入口から排出させるコマンドを、前記搬送制御手段に対して送信する処理の、起動ボタンを表示することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記本人確認手段は、前記キャッシュカードが前記自動取引装置の搬送制御手段により搬送可能な状態かどうかを判断して、搬送不可能な状態のときは、
前記本人確認の結果を示す情報と、前記取引履歴の全部または一部を示す情報を含む監視報告書を生成し、
前記遠隔監視制御装置の監視報告送信手段は、前記監視報告書を、自動取引装置を管理する警備員の端末装置に送信することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記監視報告書には、前記取引履歴から抽出した情報であって、キャッシュカードに文字や記号で印刷してあって、各カードを区別できる情報を含めたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記本人確認手段は、
前記自動取引装置の記憶装置に、複数の預金者の取引履歴が記憶されているとき、前記取引依頼手段は、いずれかの取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求し、前記取引が正常に開始されないとき、残りの前記取引履歴から抽出した預金者の識別情報と前記暗証番号とをホストコンピュータに送信して、取引の開始を要求するという処理を、記憶されている全ての取引履歴について繰り返して、前記取引が正常に開始されたとき、該当する識別情報を含む取引履歴の預金者に対して前記キャッシュカードの返却を許可する情報を、前記ディスプレイに表示する本人確認手段を備えたことを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動取引装置の遠隔監視制御装置において、
前記本人確認手段は、遠隔操作により本人確認のために取引を要求して、不正に取引を要求したという結果が記録された識別情報については、その記録を消去するように依頼する通知メールを、ホストコンピュータの管理者の端末装置に送信することを特徴とする自動取引装置の遠隔監視制御装置。
【請求項8】
遠隔監視制御装置のコンピュータを、
請求項1に記載の前記監視情報受信手段と、前記監視画面制御手段と、前記コマンド送信手段と、前記本人確認手段として機能させる遠隔監視制御プログラム。
【請求項9】
遠隔監視制御装置のコンピュータを、
請求項1に記載の前記監視情報受信手段と、前記監視画面制御手段と、前記コマンド送信手段と、前記本人確認手段として機能させる遠隔監視制御プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate