説明

自動変速機の作動油充填方法

【課題】自動変速機の初期の変速性能の安定性を確保する。
【解決手段】ケース10にバルブボディを組み付ける前に、真空ポンプ401を用いて作動油室312の内部及び油路313の内部を負圧に減圧した状態で、作動油タンク402から作動油を作動油室312の内部及び油路313の内部に送り込んで、当該作動油室312の内部及び油路313の内部に作動油を充填する。このように、作動油室312の内部及び油路313の内部を負圧に減圧した状態で作動油を充填することにより、作動油室312及び油路313によって構成される油回路内にエアが混入することがなくなり、自動変速機の初期の変速性能の安定性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内部にクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素が配設された自動変速機に作動油を充填する方法に関し、さらに詳しくは、摩擦係合要素を作動するための作動油室の内部に作動油を充填する自動変速機の作動油充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン(内燃機関)を搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。車両に搭載される自動変速機としては、例えば、変速比を無段階に調整するベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)や、クラッチやブレーキなどの摩擦係合要素と遊星歯車装置とを用いて変速比(ギヤ比)を設定する遊星歯車式変速機がある。
【0003】
車両に搭載される自動変速機においては、例えば複数のアウタプレート(摩擦板)と、その各アウタプレートの間に配置された複数のインナプレート(摩擦板)とによって摩擦係合要素を構成し、この摩擦係合要素を押圧してアウタプレートとインナプレートとを係合させるピストンを備えている。また、ピストンの背面側に作動油室が形成されており、この作動油室にバルブボディからの作動油(ATF:Automatic Transmission fluid)を油路を通じて供給することにより、ピストンが摩擦係合要素を押圧して当該摩擦係合要素が係合状態となり、また、作動油室から作動油を抜くことにより、リターンスプリングの弾性力などによって摩擦係合要素が解放状態となる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−155071号公報
【特許文献2】特開2008−215503号公報
【特許文献3】特開2005−076527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動変速機のケースにバルブボディを組み付ける際に、摩擦係合要素を作動する作動油室内にエアが残留する場合があり、作動油室内にエアが残留すると、変速特性が安定しない可能性がある。特に、ブレーキを作動する作動油室(ブレーキサーボ)はエアが抜ける構造とはなっていないため、バルブボディを組み付けたときに、油路及びブレーキサーボ内に存在したエアが油回路内に残留する。そして、このようにエアが残留すると、ブレーキサーボに作動油が供給された際に残留エアが圧縮されてしまい、ブレーキの係合特性つまり変速性能が安定しない場合がある。特に、クラッチツウクラッチ変速機構を有する自動変速機において、エアの混入により初期の変速性能の安定性が影響を受ける可能性がある。
【0006】
なお、ブレーキ等の摩擦係合要素の係合応答性は学習されるので、その学習が進行していくうちに、変速性能は安定するようになる。
【0007】
本発明はこのような実情を考慮してなされたもので、摩擦係合要素を作動する作動油室及び油路によって構成される油回路内にエアが混入しないように作動油を充填することができ、初期の変速性能の安定性を確保することが可能な自動変速機の作動油充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケース内部に配設された摩擦係合要素を備え、前記ケース内部に、前記摩擦係合要素を作動するための作動油室と、前記作動油室に一端が連通し、他端が前記ケースのバルブボディとの合わせ面に臨む油路とが形成された自動変速機において、前記作動油室の内部に作動油を充填する方法であって、前記ケースにバルブボディを組み付ける前に、前記作動油室の内部及び前記油路の内部を負圧に減圧した状態で、前記作動油室の内部及び油路の内部に作動油を送り込んで、当該作動油室の内部及び油路の内部に作動油を充填することによって特徴づけられる。
【0009】
本発明の具体的な構成として、真空ポンプと、作動油タンク(オイルタンク)と、前記自動変速機ケースの油路を真空ポンプまたは作動油タンクのいずれか一方に選択的に接続する切替弁(例えば3方弁)とを用い、前記切替弁によって油路を真空ポンプに接続した状態で当該真空ポンプを作動して作動油室の内部及び油路の内部を負圧に減圧した後に、前記切替弁を切り替えて前記油路を作動油タンクに接続し、この作動油タンク内の作動油を作動油室の内部及び油路の内部に送り込んで、当該作動油室の内部及び油路の内部に作動油を充填するという構成を挙げることができる。
【0010】
本発明によれば、自動変速機のケースにバルブボディを組み付ける前に、作動油室の内部及び油路の内部を負圧に減圧した状態で、それら作動油室の内部及び油路の内部に作動油を送り込んで作動油を充填するので、作動油室及び油路によって構成される油回路内にエアが混入することがなくなる。これによって、自動変速機の初期の変速性能の安定性を確保することができる。なお、自動変速機のケースにバルブボディを組み付ける際には、バルブボディ内部のバルブや各油路等には作動油が充填されているので、バルブボディの組み付け時においてもエアが作動油室や油路に混入することもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用する自動変速機の一例を示すスケルトン図である。
【図2】図1に示す自動変速機の作動表である。
【図3】本発明を適用する自動変速機の一部を示す縦断面図である。
【図4】本発明の作動油充填方法の一例を模式的に示す図である。
【図5】自動変速機のハウジングケースにバルブボディを組み付けた状態を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明を適用する自動変速機(トルクコンバータを含む)の一例を示すスケルトン図である。この例の自動変速機1はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に搭載される。
【0014】
まず、トルクコンバータ200は、入力軸側のポンプインペラ201と、出力軸側のタービンランナ202と、トルク増幅機能を発現するステータ203と、ワンウェイクラッチ204とを備え、ポンプインペラ201とタービンランナ202との間で流体を介して動力伝達を行う。
【0015】
トルクコンバータ200には、入力側と出力側とを直結状態にするロックアップクラッチ205が設けられており、このロックアップクラッチ205を完全係合させることにより、ポンプインペラ201とタービンランナ202とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ205を所定のスリップ状態で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ202がポンプインペラ201に追随して回転する。
【0016】
自動変速機1は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置103を主体として構成され
る第1変速部1Aと、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置104及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置105を主体として構成される第2変速部1Bとが同軸線上に配置されており、入力軸100の回転を変速して出力軸106に伝達し、出力歯車107から出力する遊星歯車式多段変速機である。出力歯車107は、車両に搭載される差動歯車装置に直接的にもしくはカウンタ軸を介して連結される。なお、自動変速機1及びトルクコンバータ200は中心線に対して略対称的に構成されているので、図1では中心線の下半分を省略している。
【0017】
第1変速部1Aを構成している第1遊星歯車装置103は、サンギヤS1、キャリアCA1、及び、リングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸100に連結される。さらに、サンギヤS1は、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して非回転のハウジングケース10に固定されることにより、キャリヤCA1を中間出力部材として入力軸100に対して減速回転される。
【0018】
第2変速部1Bを構成している第2遊星歯車装置104及び第3遊星歯車装置105においては、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。
【0019】
具体的には、第3遊星歯車装置105のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成されており、第2遊星歯車装置104のリングギヤR2及び第3遊星歯車装置105のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成されている。さらに、第2遊星歯車装置104のキャリアCA2及び第3遊星歯車装置105のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成されている。また、第2遊星歯車装置104のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。
【0020】
第2遊星歯車装置104及び第3遊星歯車装置105は、キャリアCA2及びCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されている。さらに、第2遊星歯車装置104のピニオンギヤが第3遊星歯車装置105の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
【0021】
第1回転要素RM1(サンギヤS3)は、中間出力部材である第1遊星歯車装置103のキャリアCA1に一体的に連結されており、第1ブレーキB1によってハウジングケース10に選択的に連結されて回転停止される。第2回転要素RM2(リングギヤR2及びR3)は、第2クラッチC2を介して入力軸100に選択的に連結される一方、ワンウェイクラッチF1及び第2ブレーキB2を介してハウジングケース10に選択的に連結されて回転停止される。
【0022】
第3回転要素RM3(キャリアCA2及びCA3)は出力軸106に一体的に連結されている。第4回転要素RM4(サンギヤS2)は、第1クラッチC1を介して入力軸100に選択的に連結される。
【0023】
以上の自動変速機1では、摩擦係合要素である第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、及び、ワンウェイクラッチF1などが、所定の状態に係合または解放されることによって変速段が設定される。
【0024】
図2は、自動変速機1の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、「×」は解放をそれぞれ表している。この図2に示すように、この例の自動変速機1において、クラッチC1を係合させると前進段の1速(1st)が成立し、この1速ではワンウェイクラッチF1が係合する。第1クラッチC1及びブレーキB1を係合させると前進段の2速(2nd)が成立する。第1クラッ
チC1及び第3ブレーキB3を係合させると前進段の3速(3rd)が成立する。
【0025】
また、第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させると前進段の4速(4th)が成立する。第2クラッチC2及び第3ブレーキB3を係合させると前進段の5速(5th)が成立する。第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させると前進段の6速(6th)が成立する。一方、第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3を係合させると後進段(Rev)が成立する。
【0026】
図3は図1に示す自動変速機1の第2変速部1Bの縦断面図である。この図3を参照して、本発明の潤滑油充填方法を適用する第2ブレーキB2について説明する。なお、自動変速機1は中心線に対して略対称的に構成されているので、図3では中心線の下半分を省略している。
【0027】
まず、この例の第2変速部1Bは、ハウジングケース10にベアリングを介して相対回転可能に支持された入力軸100、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置104、ダブルピニオン型の第3遊星歯車装置105、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第2ブレーキB2、及び、第2ブレーキB2を作動するピストン311などを備えている。
【0028】
第2ブレーキB2の構成部材である摩擦係合要素300は、複数のアウタブレーキプレート(摩擦板)301、及び、その各アウタブレーキプレート301の間に配置された複数のインナブレーキプレート(摩擦板)302によって構成されている。摩擦係合要素300は、当該摩擦係合要素300とワンウェイクラッチF1との間に配置されたスナップリング303によって、ワンウェイクラッチF1側への移動(軸方向への移動)が規制されている。
【0029】
アウタブレーキプレート301は、非回転のハウジングケース10の内周面にワンウェイクラッチF1の外輪とともにスプライン嵌合されている。一方、インナブレーキプレート302は、ラビニオリングギヤ310の端部外周面にスプライン嵌合されている。
【0030】
摩擦係合要素300の背面側(トルクコンバータ200側)にはピストン311が配置されている。ピストン311は略円環状の部材であって、押圧部材311aが一体形成されている。ピストン311は、ハウジングケース10内に設けられた略円環状の凹部10aに摺動自在に嵌め込まれており、入力軸100と平行な方向に変位自在となっている。
【0031】
ピストン311の背面側には作動油室(ブレーキサーボ)312が形成されている。作動油室312は、図4の模式図に示すように略円環状の油室である。
【0032】
作動油室312には、図4に示すように油路313の一端が連通している。油路313の他端は、図4及び図5に示すように、ハウジングケース10のバルブボディ500との合わせ面10bに臨んでいる。
【0033】
そして、図5に示すように、ハウジングケース10にバルブボディ500を組み付けた状態で、ハウジングケース10の第2ブレーキB2用の油路313と、バルブボディ500の第2ブレーキB2用の油路501とが連通するようになっており、バルブボディ500をハウジングケース10に組み付けた状態で、図3に示す作動油室312内に、バルブボディ500からの作動油が油路313を通じて供給されると、図3に示すピストン311が摩擦係合要素300に向けて移動し、このピストン311の押圧部材311aが摩擦係合要素300を押圧する。このようにして摩擦係合要素300が押圧されることにより、当該摩擦係合要素300を構成するアウタブレーキプレート301とインナブレーキプレート302とが互いに係合する(第2ブレーキB2の係合)。この係合状態から、作動油室312の作動油が抜けると、リターンスプリング(図示せず)の弾性力により、ピストン311が摩擦係合要素300に対して離反する向きに移動し、アウタブレーキプレート301とインナブレーキプレート302との係合が外れて第2ブレーキB2が解放状態となる。なお、図5に示す油路323は、第3ブレーキB3の作動油室(図示せず)に連通する油路であり、この第3ブレーキB3についても、ハウジングケース10にバルブボディ500を組み付けた状態で、ハウジングケース10の第3ブレーキB3用の油路323と、バルブボディ500の第3ブレーキB3用の油路502とが連通するようになっている。
【0034】
−作動油充填方法−
上記した自動変速機1の第2ブレーキB2の作動油室312に作動油を充填する方法の一例について図3〜図5を参照して説明する。
【0035】
この例では、真空ポンプ401、自動変速機1に充填する作動油を貯留したオイルタンク402、3方弁403、及び、配管411,412,413を用いて作動油を第2ブレーキB2の作動油室312に充填する。
【0036】
3方弁403は、一般に知られている公知のロータリ式の3方弁であって、第1接続ポート403a、第2接続ポート403b、及び、第3接続ポート403cが設けられており、第1接続ポート403aと第3接続ポート403cとを接続する位置(図4(a)の接続状態;この接続状態を[第1接続位置]という)、または、第2接続ポート403bと第3接続ポート403cとを接続する位置(図4(b)の接続状態;この接続状態を[第2接続位置]という)のいずれか一方の位置に選択的に切り替えることができる。
【0037】
次に、作動油充填の手順を以下に説明する。
【0038】
(1)自動変速機1のハウジングカバー10にバルブボディ500を組み付ける前に、ハウジングカバー10を、バルブボディ500の組み付け面10bが上となるように配置する。
【0039】
(2)図4に示すように、3方弁403の第1接続ポート403aに真空ポンプ401を配管411を用いて接続し、第2接続ポート403bにオイルタンク402を配管412を用いて接続する。また、3方弁403の第3ポート403cにハウジングケース10の第2ブレーキB2用の油路313を配管413を用いて接続する。
【0040】
(3)以上のセッティングが完了した後、図4(a)に示すように、3方弁403を[第1接続位置]に設定し、第2ブレーキB2用の油路313を真空ポンプ401に接続した状態で真空ポンプ401を作動する。この真空ポンプ401の作動により、第2ブレーキB2の作動油室312の内部及び油路313の内部のエアが吸引(真空引き)され、それら作動油室312の内部及び油路313の内部が減圧されて負圧となる。
【0041】
(S4)次に、図4(b)に示すように、3方弁403を[第2接続位置]に切り替えて、第2ブレーキB2用の油路313をオイルタンク402に接続する。このような接続により、負圧状態(真空状態)の第2ブレーキB2の作動油室312の内部及び油路313の内部とオイルタンク402の内部とが連通し、これによってオイルタンク402から作動油が油路313の内部及び作動油室312の内部に流入していき、作動油室312の内部及び油路313の内部に作動油が充填される。
【0042】
このように作動油室312の内部及び油路313の内部を負圧に減圧した状態で、作動油室312の内部及び油路313の内部に作動油を送り込んで作動油を充填することにより、作動油室312及び油路313によって構成される油回路内にエアが混入することがない。
【0043】
(5)以上の作動油の充填が完了した後、ハウジングケース10の油路313に接続している配管413等を外し、図5に示すように、ハウジングケース10にバルブボディ500を上方から組み付ける。このとき、バルブボディ500の内部のバルブ及び各油路等には作動油が充填されているので、バルブボディ500の組み付け時においてもエアが作動油室312及び油路313によって構成される油回路内に混入することもない。
【0044】
以上のように、この例によれば、作動油室312及び油路313によって構成される油回路内にエアが混入することがないので、自動変速機1の初期の変速性能の安定性を確保することができる。また、作動油室312の内部及び油路313の内部を負圧にした状態で作動油を充填することにより、作動油の充填時間が短くて済む。
【0045】
−他の実施形態−
以上の例では、第2ブレーキB2の作動油室(ブレーキサーボ)に作動油を充填する例について説明したが、第1ブレーキB1や第3ブレーキB3の作動油室に作動油を充填する場合にも本発明は適用可能である。また、本発明は、自動変速機のブレーキに限られることなく、クラッチの作動油室(クラッチサーボ)に作動油を充填する場合にも適用できる。
【0046】
以上の例では、前進6段変速の自動変速機の作動油充填に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の遊星歯車式自動変速機の作動油充填にも適用可能である。
【0047】
また、本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に搭載される自動変速機に限れられることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両、4輪駆動車に搭載される自動変速機の作動油充填にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動変速機
10 ハウジングケース
10b 合わせ面
B2 第2ブレーキ
300 摩擦係合要素
301 アウタブレーキプレート
302 インナブレーキプレート
311 ピストン
312 作動油室(ブレーキサーボ)
313 油路
401 真空ポンプ
402 オイルタンク
403 3方弁
500 バルブボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部に配設された摩擦係合要素を備え、前記ケース内部に、前記摩擦係合要素を作動するための作動油室と、前記作動油室に一端が連通し、他端が前記ケースのバルブボディとの合わせ面に臨む油路とが形成された自動変速機において、前記作動油室の内部に作動油を充填する方法であって、
前記ケースにバルブボディを組み付ける前に、前記作動油室の内部及び前記油路の内部を負圧に減圧した状態で、前記作動油室の内部及び油路の内部に作動油を送り込んで、当該作動油室の内部及び油路の内部に作動油を充填することを特徴とする自動変速機の作動油充填方法。
【請求項2】
請求項1記載の自動変速機の作動油充填方法において、
真空ポンプと、作動油タンクと、前記ケースの油路を前記真空ポンプまたは前記作動油タンクのいずれか一方に選択的に接続する切替弁とを用い、前記切替弁によって前記油路を前記真空ポンプに接続した状態で当該真空ポンプを作動して前記作動油室の内部及び油路の内部を負圧に減圧した後に、前記切替弁を切り替えて前記油路を前記作動油タンクに接続することにより、前記作動油室の内部及び油路の内部に作動油を充填することを特徴とする自動変速機の作動油充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−156445(P2010−156445A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264(P2009−264)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】