説明

自動変速装置およびロックアップクラッチの係合方法

【課題】ロックアップクラッチをロックアップする際に生じ得るショックを抑制する。
【解決手段】アクセルオフのコースト状態で且つロックアップクラッチのロックアップが解除された状態でロックアップする条件が成立したときには、ロックアップクラッチをロックアップしてもショックが生じないエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの回転速度差として変速段Gが低速側になるほど小さな値として予め定められた係合閾値Nonを変速段Gに応じて設定し(S100)、回転速度差ΔNが係合閾値Non以下のときにロックアップ制御を開始する(S150)。これにより、いずれの変速段においてもロックアップクラッチをロックアップするときに生じ得るショックを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速装置およびロックアップクラッチの係合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動変速装置としては、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータを備える車載用の装置において、車両がアクセルオフのコースト状態のときにトルクコンバータの入力軸回転数と出力軸回転数との回転数差が所定回転数以下になったときにロックアップクラッチを係合するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、コースト状態でもロックアップクラッチをロックアップすることにより、コースト状態における伝動効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−236966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックアップクラッチは、油圧の作用によりクラッチにトルクが生じ始めると、クラッチの係合力が急に強くなるという特性を有するものが多く、アクセルオフのコースト状態で係合する際のトルクの伝達は、変速段によって異なるものとなる。このため、トルクコンバータの入力軸回転数と出力軸回転数との回転数差が所定回転数以下になったときにロックアップクラッチを係合すると、変速段によってはショックが生じる場合がある。
【0005】
本発明の自動変速装置およびロックアップクラッチの係合方法は、ロックアップクラッチをロックアップする際に生じ得るショックを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動変速装置およびロックアップクラッチの係合方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動変速装置は、
ロックアップクラッチを有する流体伝動装置と有段式の自動変速機とを備える車載用の自動変速装置であって、
アクセルオフを取得するアクセルオフ取得手段と、
前記ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差を取得する回転速度差取得手段と、
前記アクセルオフが取得されている状態で前記ロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、前記取得された回転速度差が前記自動変速機の変速段に応じて予め定められた係合閾値以下のときに前記ロックアップクラッチを係合する係合制御を開始する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の自動変速装置では、アクセルオフ時にロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差が自動変速機の変速段に応じて予め定められた係合閾値以下のときにロックアップクラッチを係合する係合制御を開始する。このように自動変速機の変速段に応じた係合閾値を用いてロックアップクラッチの係合制御を開始するから、ロックアップクラッチを係合(ロックアップ)するときに生じ得るショックを抑制することができる。
【0009】
こうした本発明の自動変速装置において、前記係合閾値は、変速段が低速側になるほど小さくなる傾向に定められた閾値である、ものとすることもできる。これは、低速側の変速段になるほど減速比が大きくなり、ロックアップクラッチの係合時に大きなトルクの伝達が行なわれると考えられることに基づく。したがって、こうすれば、ロックアップクラッチを係合(ロックアップ)するときに生じ得るショックをより適正に抑制することができる。この場合、前記係合閾値は、所定変速段より高速側の変速段では同一の値の閾値である、ものとすることもできる。例えば、6速の自動変速機を備える場合には、4速から6速の変速段に対応する係合閾値を同一の値としてもよいのである。さらに、この場合、前記係合閾値は、前記所定変速段より低速側の変速段では変速段のギヤ比を減速比としたときに各変速段のギヤ比と係合閾値との積が略一定となるよう定められた閾値である、ものとすることもできる。これは、変速段のギヤ比と係合閾値との積と係合時のショックとに相関があると考えられることに基づく。これにより、各変速段におけるロックアップクラッチを係合(ロックアップ)するときに生じ得るショックの抑制の程度を同程度とすることができる。
【0010】
また、本発明の自動変速装置において、前記制御手段は、前記係合制御を開始して前記ロックアップクラッチが完全に係合されるまでに前記取得された回転速度差が前記係合閾値より大きい値として予め設定された解除閾値以上に至ったときには係合制御を中止する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、回転速度差が大きくなった状態でロックアップクラッチを係合するときにショックが生じるのを回避することができる。なお、係合制御の中止の後は、再び回転速度差が係合閾値以下に至ったときにロックアップクラッチの係合制御を開始すればよい。即ち、係合制御をやり直せばよいのである。ここで、解除閾値は、係合閾値と同様に、変速段が低速側になるほど小さくなる傾向に定められた閾値であるものとすることもできる。
【0011】
本発明のロックアップクラッチの係合方法は、
ロックアップクラッチを有する流体伝動装置と有段式の自動変速機とを備える車載用の自動変速装置におけるロックアップクラッチの係合方法であって、
前記アクセルオフ時に前記ロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、前記ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差が前記自動変速機の変速段が低速側になるほど小さくなる傾向に予め定められた係合閾値以下のときに前記ロックアップクラッチを係合する、
ことを特徴とする。
【0012】
この本発明のロックアップクラッチの係合方法では、アクセルオフ時にロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差が自動変速機の変速段に応じて予め定められた係合閾値以下のときにロックアップクラッチを係合する。このように自動変速機の変速段に応じた係合閾値を用いてロックアップクラッチを係合するから、ロックアップクラッチを係合(ロックアップ)するときに生じ得るショックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例としての自動変速装置20を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】自動変速装置20の機械的構成の概略を示す構成図である。
【図3】自動変速機30の各変速段とクラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1,B−2の作動状態との関係を表した作動表を示す説明図である。
【図4】自動変速機30を構成する回転要素間における回転速度の関係を例示する共線図を示す説明図である。
【図5】油圧回路50のロックアップクラッチ用油圧系の構成の概略を示す構成図である。
【図6】変速マップの一例を示す説明図である。
【図7】図6の変速マップにおける低車速部分(一点鎖線で示した部分)を拡大してロックアップクラッチのロックアップラインと共に示す説明図である。
【図8】変速機ECU80により実行されるアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】変速段閾値関係マップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例としての自動変速装置20を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、自動変速装置20の機械的構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車10は、図1および図2に示すように、ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関としてのエンジン12と、エンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)16と、エンジン12のクランクシャフト14に取り付けられた流体伝動装置22と、この流体伝動装置22の出力側に入力軸31が接続されると共にギヤ機構48やデファレンシャルギヤ49を介して駆動輪11a,11bに出力軸32が接続され入力軸31に入力された動力を変速して出力軸32に伝達する有段の自動変速機30と、流体伝動装置22や自動変速機30に作動油を供給する油圧回路50と、油圧回路50を制御することによって流体伝動装置22や自動変速機30を制御する変速機用電子制御ユニット(以下、変速機ECUという)80と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)17と、を備える。ここで、実施例の自動変速装置20としては、主に自動変速機30,油圧回路50,変速機ECU80が該当する。
【0016】
エンジンECU16は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。エンジンECU16にはクランクシャフト14に取り付けられた回転速度センサ14aからのエンジン回転速度Neなどのエンジン12の運転状態を検出する各種センサからの信号やアクセルペダル93の踏み込み量としてのアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Acc,車速センサ98からの車速Vなどの信号が入力ポートを介して入力されており、エンジンECU16からは、スロットルバルブを駆動するスロットルモータへの駆動信号や燃料噴射弁への制御信号,点火プラグへの点火信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0017】
流体伝動装置22は、図2に示すように、ロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト14に接続された入力側流体伝動要素としてのポンプインペラ23と、タービンハブを介して自動変速機30の入力軸31に接続された出力側流体伝動要素としてのタービンランナ24と、ポンプインペラ23およびタービンランナ24の内側に配置されてタービンランナ24からポンプインペラ23への作動油の流れを整流するステータ25と、ステータ25の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26と、ダンパ機構を有するロックアップクラッチ28と、を備える。この流体伝動装置22は、ポンプインペラ23とタービンランナ24との回転速度の差が大きいときにはステータ25の作用によってトルク増幅機として機能し、ポンプインペラ23とタービンランナ24との回転速度の差が小さいときには流体継手として機能する。また、ロックアップクラッチ28は、ポンプインペラ23(フロントカバー18)とタービンランナ24(タービンハブ)とを連結するロックアップとロックアップの解除とを実行可能なものであり、自動車10の発進後にロックアップオン条件が成立すると、ロックアップクラッチ28によってポンプインペラ23とタービンランナ24とがロックアップされてエンジン12からの動力が入力軸31に機械的かつ直接的に伝達されるようになる。なお、この際に入力軸31に伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構によって吸収される。
【0018】
ロックアップクラッチ28は、流体伝動装置22のポンプインペラ23やタービンランナ24が配置される流体伝動室22aにロックアップピストン28pを介して対向するロックアップオフ室22b内の圧力を変化させることにより、ロックアップおよびロックアップの解除を実行するように構成されている。即ち、ロックアップオフ室22b内の圧力が流体伝動室22a内の圧力よりも高いときや流体伝動室22a内の圧力とロックアップオフ室22b内の圧力とが等圧であるときには、ロックアップピストン28pは係合側には移動せず、ロックアップは実行されない(解除される)。一方、ロックアップオフ室22b内に流体伝動室22a内の圧力よりも低い圧力が供給されてロックアップオフ室22b内の圧力が低下すると、ロックアップピストン28pがフロントカバー18側に移動して摩擦材をフロントカバー18の内面に圧着させ、それによりロックアップが実行される(完了する)。
【0019】
自動変速機30は、6段変速の有段変速機として構成されており、シングルピニオン式の遊星歯車機構35とラビニヨ式の遊星歯車機構40と3つのクラッチC−1,C−2,C−3と2つのブレーキB−1,B−2とワンウェイクラッチF−1とを備える。シングルピニオン式の遊星歯車機構35は、外歯歯車としてのサンギヤ36と、このサンギヤ36と同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤ37と、サンギヤ36に噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のピニオンギヤ38と、複数のピニオンギヤ38を自転かつ公転自在に保持するキャリア39とを備え、サンギヤ36はケースに固定されており、リングギヤ37は入力軸31に接続されている。ラビニヨ式の遊星歯車機構40は、外歯歯車の2つのサンギヤ41a,41bと、内歯歯車のリングギヤ42と、サンギヤ41aに噛合する複数のショートピニオンギヤ43aと、サンギヤ41bおよび複数のショートピニオンギヤ43aに噛合すると共にリングギヤ42に噛合する複数のロングピニオンギヤ43bと、複数のショートピニオンギヤ43aおよび複数のロングピニオンギヤ43bとを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア44とを備え、サンギヤ41aはクラッチC−1を介してシングルピニオン式の遊星歯車機構35のキャリア39に接続され、サンギヤ41bはクラッチC−3を介してキャリア39に接続されると共にブレーキB−1を介してケースに接続され、リングギヤ42は出力軸32に接続され、キャリア44はクラッチC−2を介して入力軸31に接続されている。また、キャリア44はブレーキB2を介してケースに接続されると共にワンウェイクラッチF−1を介してケースに接続されている。図3に自動変速機30の各変速段とクラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1,B−2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図4に自動変速機30を構成する回転要素間における回転速度の関係を例示する共線図を示す。この自動変速機30は、図3の作動表に示すように、クラッチC−1〜C−3のオンオフ(オンが係合状態でオフが解放状態)とブレーキB−1,B−2のオンオフとの組み合わせによって前進1速〜6速と後進とニュートラルとを切り替えることができる。
【0020】
流体伝動装置22や自動変速機30は、変速機ECU80によって駆動制御される油圧回路50によって作動する。油圧回路50は、いずれも図示しないが、エンジン12からの動力を用いて作動油を圧送するオイルポンプや、オイルポンプからの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ,プライマリレギュレータバルブからのライン圧PLを減圧してセカンダリ圧Psecを生成するセカンダリレギュレータバルブ,プライマリレギュレータバルブからのライン圧PLを調圧して一定のモジュレータ圧Pmodを生成するモジュレータバルブ,シフトレバー91の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブからのライン圧PLの供給先(クラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2)を切り替えるマニュアルバルブ,マニュアルバルブからのライン圧PLを調圧して対応するクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2へのソレノイド圧を生成する複数のリニアソレノイドバルブなどを備える。
【0021】
また、油圧回路50は、流体伝動装置22のロックアップクラッチ28を作動させるために、図5に示すように、モジュレータバルブからのモジュレータ圧Pmodを調圧してロックアップソレノイド圧Psluを生成するロックアップソレノイドバルブSLUと、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluに応じたロックアップクラッチ28へのロックアップクラッチ圧Plucを生成するロックアップ制御バルブ52と、流体伝動装置22のロックアップオフ室22bへのロックアップ制御バルブ52からのロックアップクラッチ圧Plucの供給を許容・規制するロックアップリレーバルブ54と、を備える。以下、油圧回路50のうちロックアップクラッチ28の作動に関する部分をロックアップクラッチ用油圧系という。
【0022】
ロックアップソレノイドバルブSLUは、モジュレータバルブからのモジュレータ圧Pmodを補機バッテリ(図示せず)から印加される電流値に応じて調圧してロックアップソレノイド圧Psluを生成するものであり、変速機ECU80によって制御される。ロックアップ制御バルブ52は、ロックアップソレノイドバルブSLUから供給される信号圧としてのロックアップソレノイド圧Psluに応じてセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧Psecを調圧してロックアップクラッチ28へのロックアップクラッチ圧Plucを生成するスプールバルブである。このロックアップ制御バルブ52は、実施例では、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップソレノイド圧Psluが高いほど元圧であるセカンダリ圧Psecを減圧してロックアップクラッチ圧Plucを生成し、ロックアップソレノイド圧Psluがロックアップ係合圧P1以上のときにロックアップクラッチ28の完全係合に要求されるロックアップクラッチ圧Plucを出力する。ロックアップリレーバルブ54は、ロックアップソレノイドバルブSLUから供給されるロックアップソレノイド圧Psluを信号圧として入力するスプールバルブである。このロックアップリレーバルブ54は、実施例では、ロックアップソレノイドバルブSLUからロックアップソレノイド圧Psluが供給されないときにはロックアップオフ室22bにセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧Psecを供給し、ロックアップソレノイドバルブSLUからロックアップソレノイド圧Psluが供給されるときには流体伝動室22aにセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧Psecを供給すると共にロックアップオフ室22bにロックアップ制御バルブ52からのロックアップクラッチ圧Plucを供給するように構成されるものとした。
【0023】
こうして構成されたロックアップクラッチ用油圧系では、ロックアップソレノイドバルブSLUによりロックアップソレノイド圧Psluが生成されないときには、ロックアップリレーバルブ54からロックアップオフ室22bに作動油(セカンダリ圧Psec)が供給されると共にロックアップオフ室22bから流体伝動室22aに作動油が流入してロックアップオフ室22b内と流体伝動室22a内とが等圧になるため、ロックアップは実行されない(解除される)。なお、ロックアップオフ室22bから流体伝動室22aに流れ込んだ作動油の一部は、作動油出入口を介してロックアップリレーバルブ54側に流出する。一方、ロックアップソレノイドバルブSLUにより生成されたロックアップソレノイド圧Psluがロックアップ制御バルブ52およびロックアップリレーバルブ54に供給されるときには、ロックアップ制御バルブ52により生成されたロックアップクラッチ圧Pluc(セカンダリ圧Psecよりも低い圧力)がロックアップリレーバルブ54からロックアップオフ室22bに供給されると共にセカンダリレギュレータバルブからのセカンダリ圧Psecがロックアップリレーバルブ54から流体伝動室22a内に供給されることになり、ロックアップオフ室22b内の圧力低下に伴ってロックアップピストン28pが係合側に移動し、ロックアップソレノイド圧Psluがロックアップ係合圧P1以上に至るとロックアップクラッチ28が完全係合してロックアップが完了する。
【0024】
変速機ECU80は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。変速機ECU80には、入力軸31に取り付けられた回転速度センサ31aからの入力軸回転速度Ninや、出力軸32に取り付けられた回転速度センサ32aからの出力軸回転速度Nout,シフトレバー91の位置を検出するシフトポジションセンサ92からのシフトポジションSP,アクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル95の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ96からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ98からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されており、変速機ECU80からは、油圧回路50への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0025】
なお、エンジンECU16とブレーキECU17と変速機ECU80は、相互に通信ポートを介して接続されており、相互に制御に必要な各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。また、シフトレバー91のシフトポジションSPとしては、実施例では、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)、アップシフト指示ポジションおよびダウンシフト指示ポジションが用意されている。
【0026】
図6は変速マップの一例を示す説明図であり図7は、図6の変速マップにおける低車速部分(一点鎖線で示した部分)を拡大してロックアップクラッチのロックアップラインと共に示す説明図である。実施例の自動変速装置20は、シフトレバー91のシフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)のときには、図6の変速マップに示すように、アクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが1−2アップシフトライン,2−3アップシフトライン,3−4アップシフトライン,4−5アップシフトライン,5−6アップシフトラインを左の数字以下の変速段(例えば2−3アップシフトラインでは1速〜2速)の状態で左側から右側に超えるときにそのときの変速段から右の数字の変速段(例えば2−3アップシフトラインでは3速)にアップシフトするようクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフし、アクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが6−5ダウンシフトライン,5−4ダウンシフトライン,4−3ダウンシフトライン,3−2ダウンシフトライン,2−1ダウンシフトラインを左の数字以上の変速段(例えば4−3ダウンシフトラインでは4速〜6速)の状態で右側から左側に超えるときにそのときの変速段から右の数字の変速段(例えば4−3ダウンシフトラインでは3速)にダウンシフトするようクラッチC−1〜C−3やブレーキB−1,B−2をオンオフする。また、実施例の自動変速装置20は、図7に示すように、2速から6速の各変速段においてロックアップクラッチ28がオフの状態でアクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが各変速段に対するロックアップライン(図7中、2ONライン〜6ONライン)より右側の領域に至ったときにロックアップクラッチ28がロックアップされ、ロックアップクラッチ28がロックアップされている状態でアクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントがアップシフトラインやダウンシフトラインを超えて自動変速機30の変速段を変更するときに変速段の変更に先立ってロックアップクラッチ28のロックアップが解除される。
【0027】
次に、実施例の自動変速装置20の動作、特に、アクセルオフ時(コースト状態)に流体伝動装置22のロックアップクラッチ28をロックアップする際の動作について説明する。図8は、変速機ECU80により実行されるアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、アクセルオフの状態で且つ各変速段においてロックアップクラッチ28がオフの状態でアクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが各変速段に対するロックアップラインより右側の領域に至ったときや自動変速機30の変速段を変更した後に作動ポイントが変更後の変速段に対するロックアップラインより右側の領域にあるときに実行される。例えば、図7における作動ポイントP1によりロックアップクラッチ28のロックアップが解除された状態で4速により走行していたときにアクセルオフされて作動ポイントP2となったときや、減速により作動ポイントP2から作動ポイントP3に至る途中の4−3ダウンシフトラインを超える際に4速から3速に変速段が変更された直後や作動ポイントP3から作動ポイントP4に至る途中の3−2ダウンシフトラインを超える際に3速から2速に変速段が変更された直後に実行される。なお、実施例では、アクセルペダルポジションセンサ94からのアクセル開度Accが値0であるときにアクセルオフと判断するものとした。したがって、アクセルオフの取得は、値0のアクセル開度Accをアクセルペダルポジションセンサ94から入力することによって実現される。
【0028】
アクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンが実行されると、変速機ECU80は、まず、自動変速機30の変速段Gに応じた係合閾値Nonと解除閾値Noffとを設定する(ステップS100)。ここで、係合閾値Nonは、ロックアップクラッチ28をロックアップする制御(ロックアップ制御)を開始してもロックアップクラッチ28のロックアップによりショックが生じないクランクシャフト14と入力軸31との回転速度差として設定されるものであり、解除閾値Noffは、ロックアップ制御を開始した後にクランクシャフト14と入力軸31との回転速度差が大きくなってショックを伴ってロックアップクラッチ28がロックアップされるのを回避するためにロックアップ制御を中止するクランクシャフト14と入力軸31との回転速度差として変速段Gに応じた係合閾値Nonより大きな値として設定されるものである。実施例では、変速段Gと係合閾値Nonおよび変速段Gと解除閾値Noffの関係を予め定めて変速段閾値関係マップとして記憶しておき、変速段Gが与えられるとマップから対応する係合閾値Nonおよび解除閾値Noffを導出することにより行なうものとした。変速段閾値関係マップの一例を図9に示す。図示するように、係合閾値Nonは、変速段Gが2速から4速までは変速段Gが低速側になるほど小さな値として設定されており、変速段Gが4速から6速までは同一の値として設定されている。このように、係合閾値Nonを変速段Gが低速側になるほど小さな値とするのは、低速側の変速段Gになるほど減速比が大きくなり、ロックアップクラッチ28のロックアップ時に大きなトルクの伝達が行なわれると考えられることに基づいている。実施例では、2速から4速までの変速段のギヤ比を減速比としたときの各変速段のギヤ比と各変速段における係合閾値Nonとの積が略同一となるように、即ち、2速から4速までの変速段のギヤ比をG2,G3,G4(例えば、2.0,1.5,1.0)とすると共に2速から4速までの係合閾値NonをNon2,Non3,Non4(例えば、図9に例示する40,60,80)とすると、次式(1)が成立するように2速から4速までの係合閾値Nonが設定されている。これは、変速段のギヤ比と係合閾値Nonとの積とロックアップクラッチ28のロックアップ時に生じ得るショックとに相関があると考えられることに基づいている。
【0029】
G2・Non2≒G3・Non3≒G4・Non4 ・・・(1)
【0030】
こうして係合閾値Nonと解除閾値Noffとを設定すると、回転速度センサ14aからのエンジン回転速度Neと回転速度センサ31aからの入力軸回転速度Ninとを入力すると共に(ステップS110)、入力したエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNを計算し(ステップS120)、回転速度差ΔNが係合閾値Non以下であるか否かを判定し(ステップS130)、回転速度差ΔNが係合閾値Non以下のときにはロックアップクラッチ28をロックアップするロックアップ制御を開始し(ステップS140)、回転速度差ΔNが係合閾値Nonより大きいときには、ステップS110〜S130の処理を繰り返してエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが係合閾値Non以下に至るのを待つ。このように、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが変速段Gに応じて設定された係合閾値Non以下のときにロックアップ制御を開始するから、ロックアップクラッチ28をロックアップするときに生じ得るショックを抑制することができる。なお、ロックアップ制御は、ロックアップソレノイドバルブSLUにより生成されるロックアップソレノイド圧Psluをロックアップ制御バルブ52およびロックアップリレーバルブ54に供給する動作を開始することにより開始される。
【0031】
ロックアップ制御が開始されると、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが値0となりロックアップクラッチ28が完全にロックアップ(係合)されるまで、回転速度センサ14aからのエンジン回転速度Neと回転速度センサ31aからの入力軸回転速度Ninとを入力する処理(ステップS160)、入力したエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNを計算する処理(ステップS160)、回転速度差ΔNが解除閾値Noff未満であるか否かを判定する処理(ステップS170)、回転速度差ΔNが係合閾値Non以下であるか否かを判定する処理(ステップS180)、を繰り返し、回転速度差ΔNが値0となりロックアップクラッチ28が完全にロックアップすると、本ルーチンを終了する。
【0032】
一方、ロックアップ制御が開始された後にエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが大きくなって解除閾値Noff以上に至ると、ステップS180で回転速度差ΔNが解除閾値Noff以上であると判定され、ロックアップ制御を中止して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。このように、ロックアップ制御を開始した後にエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが変速段Gに応じた係合閾値Nonより大きく設定された解除閾値Noff以上に至ったときにロックアップ制御を中止するから、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの回転速度差ΔNが大きいときにショックを伴ってロックアップクラッチ28がロックアップするのを回避することができる。なお、ロックアップ制御の中止は、ックアップクラッチ28のロックアップを解除する動作と同様に、ロックアップソレノイドバルブSLUによりロックアップソレノイド圧Psluを生成するのを中止することにより行なわれる。ロックアップ制御が中止されたときに図7のアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンを実行する条件が成立しているとき、即ち、アクセルオフの状態で且つ各変速段においてロックアップクラッチ28がオフの状態でアクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントが各変速段に対するロックアップラインより右側の領域にあるときには、直ちに図7のアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンが実行され、このルーチンの処理にしたがってロックアップクラッチ28のロックアップが行なわれる。
【0033】
以上説明した実施例の自動変速装置20によれば、アクセルオフのコースト状態で且つロックアップクラッチ28のロックアップが解除された状態からロックアップクラッチ28をロックアップする条件として変速段Gに対するロックアップライン(図7中、2ONライン〜6ONライン)より右側の領域に至った条件が成立したときには、変速段Gに応じてロックアップクラッチ28をロックアップする制御(ロックアップ制御)を開始してもロックアップクラッチ28のロックアップによりショックが生じないクランクシャフト14と入力軸31との回転速度差として予め定められた係合閾値Nonを設定し、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが変速段Gに応じて設定された係合閾値Non以下のときにロックアップ制御を開始することにより、いずれの変速段においてもロックアップクラッチ28をロックアップするときに生じ得るショックを抑制することができる。しかも、ロックアップ制御を開始した後にロックアップクラッチ28が完全にロックアップされるまでにエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが変速段Gに応じた係合閾値Nonより大きく設定された解除閾値Noff以上に至ったときにロックアップ制御を中止することにより、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの回転速度差ΔNが大きいときにショックを伴ってロックアップクラッチ28がロックアップするのを回避することができる。
【0034】
実施例の自動変速装置20では、2速から6速の各変速段においてロックアップクラッチ28をロックアップするロックアップラインを設定すると共に2速から6速の各変速段に対して係合閾値Nonや解除閾値Noffを設定するものとしたが、1速に対してもロックアップラインを設定すると共に係合閾値Nonや解除閾値Noffを設定するものとしてもよい。即ち、全ての変速段に対してロックアップラインを設定すると共に係合閾値Nonや解除閾値Noffを設定するものとしてもよい。実施例で1速に対してロックアップラインを設定する場合には、例えば、係合閾値Nonには値20を設定すると共に解除閾値Noffに値40を設定すればよい。
【0035】
実施例の自動変速装置20では、係合閾値Nonとしては、変速段Gが2速から4速までは変速段Gが低速側になるほど小さな値を設定し、変速段Gが4速から6速までは同一の値を設定するものとしたが、変速段Gが4速から6速までに対しても変速段Gが低速側になるほど小さな値となるよう設定するものとしてもよい。この場合、解除閾値Noffについても同様に変速段Gが4速から6速までに対しても変速段Gが低速側になるほど小さな値となるよう設定するものとすればよい。例えば、図9の変速段閾値関係マップの例に対して、5速の係合閾値Nonを値100としたり、6速の係合閾値Nonを値120としてもよい。
【0036】
実施例の自動変速装置20では、係合閾値Nonとしては、各変速段のギヤ比を減速比としてたときの各変速段のギヤ比と各変速段における係合閾値Nonとの積が略同一となるように設定するものとしたが、各変速段のギヤ比と各変速段における係合閾値Nonとの積が略同一とならないものとしてもよい。この場合、各変速段のギヤ比と各変速段における係合閾値Nonとの積が略同一としたときの積の値より小さくするのが好ましい。例えば、図9の変速段閾値関係マップの例に対して、2速の係合閾値Nonを値30としたり、3速の係合閾値Nonを値50としてもよい。
【0037】
実施例の自動変速装置20では、ロックアップ制御を開始した後にロックアップクラッチ28が完全にロックアップされるまでにエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差としての回転速度差ΔNが解除閾値Noff以上に至ったときにはロックアップ制御を中止するものとしたが、回転速度差ΔNが解除閾値Noff以上に至ったときでもロックアップ制御を中止しないものとしても構わない。
【0038】
実施例の自動変速装置20では、ロックアップクラッチ28がロックアップされている状態でアクセル開度Accと車速Vとからなる作動ポイントがアップシフトラインやダウンシフトラインを超えて自動変速機30の変速段を変更するときには変速段の変更に先立ってロックアップクラッチ28のロックアップを解除するものとしたが、ロックアップクラッチ28のロックアップを保持した状態で自動変速機30の変速段を変更するものとしても構わない。
【0039】
実施例の自動変速装置20では、6速の自動変速機30を用いるものとしたが、3速や4速,5速の自動変速機を用いるものとしてもよいし、7速や8速以上の自動変速機を用いるものとしてもよい。
【0040】
実施例では、本発明を自動変速装置20の形態として説明したが、ロックアップクラッチの係合方法の形態としてもよい。
【0041】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、
ロックアップクラッチ28が「ロックアップクラッチ」に相当し、流体伝動装置22が「流体伝動装置」に相当し、自動変速機30が「自動変速機」に相当し、アクセルペダルポジションセンサ84からアクセル開度Accを取得する変速機ECU80が「アクセルオフ取得手段」に相当し、クランクシャフト14からエンジン回転速度Neを取得すると共に回転速度センサ31aから入力軸回転速度Ninを取得しその差として回転速度差ΔNを計算する図8のアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンのステップS110,S120やS150,S160の処理を実行する変速機ECU80が「回転速度差取得手段」に相当し、アクセルオフのコースト状態で且つロックアップクラッチ28のロックアップが解除された状態からロックアップクラッチ28をロックアップする条件として変速段Gに対するロックアップライン(図7中、2ONライン〜6ONライン)より右側の領域に至った条件が成立したときに図8のアクセルオフ時ロックアップ制御ルーチンを実行してステップ140,S150の処理を実行する変速機ECU80が「制御手段」に相当する。
【0042】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0043】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、自動変速装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 自動車、11a,11b 駆動輪、12 エンジン、14 クランクシャフト、14a 回転速度センサ、16 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、18 フロントカバー、20 動力伝達装置、22 流体伝動装置、22a 流体伝動室、22b ロックアップオフ室、23 ポンプインペラ、24 タービンランナ、25 ステータ、26 ワンウェイクラッチ、28 ロックアップクラッチ、28p ロックアップピストン、30 自動変速機、31 入力軸、31a 回転速度センサ、32 出力軸、32a 回転速度センサ、35 遊星歯車機構、36 サンギヤ、37 リングギヤ、38 ピニオンギヤ、39 キャリア、40 遊星歯車機構、41a サンギヤ、41b サンギヤ、42 リングギヤ、43a ショートピニオンギヤ、43b ロングピニオンギヤ、44 キャリア、48 ギヤ機構、49 デファレンシャルギヤ、50 油圧回路、52 ロックアップ制御バルブ、54 ロックアップリレーバルブ、80 変速機用電子制御ユニット(変速機ECU)、90 メイン電子制御ユニット(メインECU)、91 シフトレバー、92 シフトポジションセンサ、93 アクセルペダル、94 アクセルペダルポジションセンサ、95 ブレーキペダル、96 ブレーキスイッチ、98 車速センサ、B1,B2 ブレーキ、C1〜C3 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックアップクラッチを有する流体伝動装置と有段式の自動変速機とを備える車載用の自動変速装置であって、
アクセルオフを取得するアクセルオフ取得手段と、
前記ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差を取得する回転速度差取得手段と、
前記アクセルオフが取得されている状態で前記ロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、前記取得された回転速度差が前記自動変速機の変速段に応じて予め定められた係合閾値以下のときに前記ロックアップクラッチを係合する係合制御を開始する制御手段と、
を備える自動変速装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動変速装置であって、
前記係合閾値は、変速段が低速側になるほど小さくなる傾向に定められた閾値である、
自動変速装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動変速装置であって、
前記係合閾値は、所定変速段より高速側の変速段では同一の値の閾値である、
自動変速装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動変速装置であって、
前記係合閾値は、前記所定変速段より低速側の変速段では変速段のギヤ比を減速比としたときに各変速段のギヤ比と係合閾値との積が略一定となるよう定められた閾値である、
自動変速装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の自動変速装置であって、
前記制御手段は、前記係合制御を開始して前記ロックアップクラッチが完全に係合されるまでに前記取得された回転速度差が前記係合閾値より大きい値として予め設定された解除閾値以上に至ったときには係合制御を中止する手段である、
自動変速装置。
【請求項6】
ロックアップクラッチを有する流体伝動装置と有段式の自動変速機とを備える車載用の自動変速装置におけるロックアップクラッチの係合方法であって、
前記アクセルオフ時に前記ロックアップクラッチを係合する条件が成立したときには、前記ロックアップクラッチにより係合および係合の解除が行なわれる2つの回転要素の回転速度差が前記自動変速機の変速段に応じて予め定められた係合閾値以下のときに前記ロックアップクラッチを係合する、
ことを特徴とするロックアップクラッチの係合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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