説明

自動帯電集塵装置及びこれを組込んだ空気調和機

【課題】集塵フィルタの経時的な集塵効率の低下を防止して長期に亘り高い集塵効率を保持し、室内空間を快適に保つことのできる自動帯電集塵装置及びこれを組込んだ空気調和機を提供する。
【解決手段】放電電極21、放電電極21と対向して配設された接地電極25、及び放電電極21と接地電極25との間に高電圧を印加する高圧電源を備えた帯電ユニット20を有し、この帯電ユニット20により、放電電極21と接地電極25との間を可動する集塵フィルタ10に電荷を帯電させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の塵埃を捕捉する電荷を保持する集塵フィルタに帯電させるための帯電手段を備えた自動帯電集塵装置、及びこの自動帯電集塵装置を組込んだ空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の集塵装置は、単に大気中の塵埃を物理的に捕捉する集塵フィルタや、集塵フィルタに電荷を保持させることにより、電気的に大気中の塵埃を捕捉する帯電フィルタを用いて集塵する場合が多かった。
しかし、これらの集塵フィルタは、大気中の塵埃を捕捉することで性能が低下し、圧力損失が増大するという問題があった。そのため、これらの集塵フィルタを水洗い等により洗浄して塵埃を除去しているが、帯電集塵フィルタの場合、水洗い等により電荷を失って集塵効率が低下し、初期の性能まで回復しないという問題があった。また、物理的に大気中の塵埃を捕捉する集塵フィルタの場合は、もともと集塵性能が低いという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、空気調和機前面枠の内側に高電圧が導通する電線を配置し、枠の前面に配置された樹脂製の枠を有する除塵フィルタの前面側表面を導電性を有する塗料でコーティングすることによって、両者間にコンデンサを形成して除塵フィルタの表面に電荷を帯電させ、この帯電した除塵フィルタに空気が流入することで空気中の塵埃が吸着されるようにした帯電集塵装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−130398号公報(第4−5頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の帯電集塵装置では、集塵した塵埃が堆積して集塵性能が低下するのを防止することができない。また、表面電位が低いため、集塵効率が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、集塵フィルタの経時的な集塵効率の低下を防止して長期に亘り高い集塵効率を保持し、室内空間を快適に保つことができる自動帯電集塵装置及びこれを組込んだ空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動帯電集塵装置は、放電電極、該放電電極と対向して配設された接地電極、及び前記放電電極と接地電極との間に高電圧を印加する高圧電源を備えた帯電ユニットを有し、該帯電ユニットにより、前記放電電極と接地電極との間を可動する集塵フィルタに電荷を帯電させるように構成したものである。
【0008】
また、本発明に係る空気調和機は、上記の自動帯電集塵装置を組込んだものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動帯電集塵装置及びこれを組込んだ空気調和機によれば、塵埃の捕捉及び清掃によって電荷を失った集塵フィルタに、帯電ユニットにより自動的に電荷を再帯電して電荷の保持量を回復することができるので、長期に亘って高い集塵効率を保つことができ、清浄で快適な室内空間を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る自動帯電集塵装置を組込んだ空気調和機の断面図、図2は図1の要部の説明図である。
両図において、ケース本体1の前面側には開閉可能な前面パネル2が設けられており、上面にはグリル状の空気の吸込口3が形成されている。また、吸込口3の下流側には熱交換器4が配設され、その下流側には吸込口3から外気を吸引する送風機5が設置されており、その下流側にはダクト6を介して空気の吹出口7が設けられて、吸込口3から吹出口7の間が送風路となっている。
【0011】
また、吸込口3と熱交換器4との間には、枠体に装着されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどからなり、空気中の塵埃を捕捉する電荷が帯電された円弧状の帯電集塵フィルタ10(以下、単に集塵フィルタという)が配設されている。そして、この集塵フィルタ10は、モータの如き駆動ユニット(図示せず)に駆動され、内側に設けたフィルタレール11に沿って図の矢印a方向又はb方向(以下、左右方向と記すことがある)に移動(以下、可動ということもある)しうるようになっている。
【0012】
15は集塵フィルタ10の上流側(前面側)の一方の側(図1の左側)において、集塵フィルタ10に近接して配置され、集塵フィルタ10に捕捉された塵埃を回収するダストボックスである。このダストボックス15の上部には、集塵フィルタ10の短手方向の長さW(図3)とほぼ等しい長さで、外周に複数の傾斜パイル18aを有し、駆動ユニット(図示せず)により矢印C方向に回転して、集塵フィルタ10に捕捉された塵埃を掻き落す回転ブラシ18が設けられている。なお、回転ブラシ18を駆動する駆動ユニットを省略し、集塵フィルタ10を可動する駆動ユニットと連結して駆動するようにしてもよい。また、ダストボックス15の下部には、集塵回収箱16が着脱可能に収容されており、ダストボックス16の内側の上下方向のほぼ中間部には、回転ブラシ18の傾斜パイル18aに付着した塵埃を掻き落す掻き落し板17が設けられている。
【0013】
ダストボックス15の上部には放電電極21が設けられており、集塵フィルタ10の背面側には、放電電極21と対向して、例えば、メッシュ状、格子状、平板状の金属材料又は導電性樹脂からなる接地電極25が設けられている。そして、放電電極21と接地電極25との間には、両電極21,25間に直流のプラス又はマイナスの高電圧(5〜10kV)を印加する高圧直流電源26(図3)が搭載されており、これら放電電極21、接地電極25及び高圧直流電源26により、集塵フィルタ10に電荷を帯電させる帯電ユニット20を構成している。そして、帯電ユニット20又はダストボックス15と帯電ユニット20とにより自動帯電集塵装置を構成する。なお、放電電極21は集塵フィルタ10の前面側から5〜10mm離れた位置に配置され、接地電極25は集塵フィルタ10の背面側に接して配置されている。また、放電電極21をダストボックス15に設けた場合を示したが、別に設けてもよい。
【0014】
図4は本実施の形態に用いた平板突起状(櫛歯状)の放電電極21の説明図である。この放電電極21は、集塵フィルタ10の短手方向の長さW(図3)とほぼ等しい長さで、例えば、板厚Eが0.005〜0.3mmのステンレス、銅等の金属板からなり、帯部22の長手方向には、間隔が9〜19mmで、長さが2〜5mm、基部の幅が0.5〜1mm、先端部の曲率半径が0.01〜0.1mmの複数の突起23(放電部)を設けたものである。
【0015】
放電電極21をこのように構成することにより、図3に示すように、集塵フィルタ10を放電電極21と接地電極25の間を矢印b方向に可動させ、両電極21,25の間に高電圧を印加して気中放電を発生させることにより、集塵フィルタ10の全領域にわたって電荷を帯電させることができ、また、オゾンの発生を抑制することができる。
【0016】
次に、上記のように構成した本実施の形態の作用について説明する。
上述のような自動帯電集塵装置を組込んだ空気調和機において、通常は、送風機5によって吸引された空気中に含まれる塵埃を集塵フィルタ10が捕捉して空気を清浄化すると共に、熱交換器4への塵埃の付着を防止する。そして、塵埃が除去された清浄な空気は、熱交換器4によって冷却又は加熱され、冷風又は温風となって吹出口7から室内に吹出される。
【0017】
一定時間経過すると、制御装置(図示せず)の指令又は手動により送風機5が停止し、集塵フィルタ10が駆動ユニットにより駆動されて、フィルタレール11に沿って一定速度で矢印a方向に可動する。このとき、回転ブラシ18は駆動ユニットにより矢印C方向に回転し、傾斜パイル18aにより集塵フィルタ10に捕捉された塵埃を掻き落し、清浄する。そして、回転ブラシ18の傾斜パイル18aに付着した塵埃は、掻き落し板17により掻き落され、ダストボックス15の塵埃回収箱16に回収される。
【0018】
このようにして清掃された集塵フィルタ10は、全面の清掃が終って他端まで移動すると、駆動ユニットが逆回転して一定速度で矢印b方向へ可動する。そして、集塵フィルタ10が矢印b方向に可動を開始すると同時に、帯電ユニット20の放電電極21と接地電極25との間に、高圧直流電源26から高電圧が印加され、両電極21と26との間に気中放電を発生させる。集塵フィルタ10はこの気中放電により、塵埃の清掃によって失われた電荷が再び帯電して復活し、高効率の集塵性能を保つことができる。
【0019】
このように、本実施の形態に係る自動帯電集塵装置によれば、集塵フィルタ10を矢印a方向に可動させて捕捉した塵埃を回転ブラシ18により除去し、ついで集塵フィルタ10を矢印b方向に可動させて、放電電極21と接地電極25との間を通過させることにより、両電極21と25との間に発生した気中放電により、清掃によって失った電荷を再び帯電させ電荷の保持量を回復することができる。なお、ダストボックス15の塵埃回収箱16が塵埃で一杯になったときは、ダストボックス15から取出して塵埃を廃棄する。
【0020】
図5に、放電電極21と接地電極25との間に、直流5kVの高電圧を10分間印加した場合の、集塵フィルタ10の帯電前後の集塵効率の変化を、また、図6に直流6kVの高電圧を1分間印加した場合の、集塵フィルタ10の帯電前後の集塵効率の変化を示す。
両者とも空気中に含まれる塵埃を、集塵フィルタ10に風速1m/sで通過させたときの、粒子の差を計数して集塵効率としたものである。なお、横軸は塵埃の粒径別とした。
【0021】
集塵フィルタ10に捕捉した塵埃が堆積して、電荷を失った状態を想定して水道水で洗浄し、乾燥後に放電電極21と接地電極25との間に前述の高電圧を印加した。
図から明らかなように、洗浄後の集塵フィルタ10は電荷を失い、集塵効率が低下している。そして、帯電ユニット20により集塵フィルタ10は再び帯電され、初期状態に近い状態まで集塵効率が回復することがわかる。
【0022】
上記の説明では、帯電ユニット20に平板突起状の放電電極21を用いた場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、針状やワイヤ線からなる放電電極、あるいは平板からなる放電電極を用いてもよい。
平板からなる放電電極を用いる場合、接地電極に対して低電圧、低エネルギで放電を発生させるためには、板厚が重要であり、気中放電発生のためには端面(放電部)の板厚が0.1mm以下であることが必要で、このように構成することにより、低エネルギで気中放電を発生させることができる。
【0023】
図7、図8は平板からなる放電電極の一例の説明図である。
図7(a)の放電電極21は、平板24そのものの板厚Eを0.1mm以下に加工し、端部を接地電極25に対向するように折曲げて、放電部24aを形成したものである。この場合、薄い金属板を切断して形成してもよいが、切断面が放電部24aとなるため、切断面を滑らかに加工することが必要である。なお、薄い金属板を加工する代りに、タングステン等の太いワイヤ線を圧延して薄い板状に加工してもよい。
【0024】
図7(b)の放電電極21は、板厚Eの平板24の端部を折曲げて、その先端部を圧延し板厚Eより薄い0.1mm以下の板厚Fとして、放電部24aを形成したものである。
また、図7(c)は、図7(b)の場合と同様に、板厚Eの平板の端部を折曲げてその先端部を斜めに切除して、板厚Fが0.1mm以下の放電部24aを形成したものである。
さらに、図8(d)は、板厚Eの平板24の端部を折曲げて、先端部を上面を円弧状に加工して0.01mm以下の放電部24aを形成し、図8(e)は、板厚Eの端部を折曲げて、その先端部を曲率半径が0.01〜0.1mmになるように加工して放電部24aを形成したものである。
【0025】
平板からなる放電電極21を上記のように構成することにより、放電部24aの端面の電界強度が高まり、放電し易くすることができる。また、電流の急激な上昇が押えられて、電流制御が容易になる。なお、図7、図8の例では、平板24の端部を折曲げて放電部24aを形成した場合を示したが、図のように折曲げることなく、放電電極21と接地電極25とが垂直に対向するような角度になっていればよい。
【0026】
上記の説明では、帯電ユニット20を備えた空気調和機に、集塵フィルタ10に捕捉された塵埃を回収するダストボックス15と、このダストボックス15に設置され、集塵フィルタ10に堆積した塵埃を掻き落す回転ブラシ18とを設けた場合を示したが、これらを省略し、フィルタレール11を含む集塵フィルタ10及び放電電極21、接地電極25及び高圧直流電源26を有する帯電ユニット20のみを設けてもよい。
【0027】
この場合は、集塵フィルタ10に捕捉された塵埃は、使用者が掃除機で吸い取ったり、取外して水道水などで洗浄して清掃すればよいが、このようにして清掃すると、集塵フィルタ10に帯電した電荷が失われるので、前述の要領で清掃後の集塵フィルタ10を可動させ、帯電ユニット20により気中放電させて再帯電させればよい。
【0028】
また、上記の説明では、集塵フィルタ10を円弧状に形成してa,b方向に移動させる場合を示したが、空気調和機の構造によっては直線状に形成してもよく、また、一方向のみに可動させるようにしてもよい。さらに、空気調和機の構造や集塵フィルタ10の形状によっては、集塵フィルタ10を上下方向に可動させるようにしてもよく、これに対応して帯電ユニット20及びダストボックス15を配置すればよい。
【0029】
上記のように構成した本実施の形態に係る自動帯電集塵装置を組込んだ空気調和機は、集塵フィルタ10を、放電電極21と接地電極25との間を矢印b方向(一方向)に可動させ、両電極21と25の間に高電圧を印加して気中放電を発生させ、清掃によって電荷を失った集塵フィルタ10の全面に電荷を再帯電させて、電荷の保持量を回復させるようにしたので、経時的な集塵効率の低下を防止して、長期に亘り高い集塵効率を保持することができ、室内空間を快適に保つことができる。
【0030】
また、上記の帯電ユニット20を備えた空気調和機において、集塵フィルタ10に近接して、塵埃を回収かつ廃棄自在のダストボックス15を設けると共に、このダストボックス15に、集塵フィルタ10に堆積した塵埃を掻き落す回転ブラシ18を設け、この回転ブラシ18によって塵埃が掻き落されたのちに、放電電極21と接地電極25との間に高電圧を印加して、集塵フィルタ10に再帯電させて電荷の保持量を回復させるようにしたので、使用者を煩わすことなく、集塵フィルタ10を自動的に清掃し、かつ電荷を帯電させることができ、使い勝手がよく常に清潔で集塵効率の高い空気調和機を得ることができる。
【0031】
[実施の形態2]
実施の形態1では、放電電極21、接地電極25及び高圧直流電源26からなる帯電ユニット20を固定し、集塵フィルタ10を放電電極21と接地電極25の間を一方向又は左右若しくは上下方向に可動させて、清掃により電荷を失った集塵フィルタ10に電荷を再帯電させる場合について説明した。
【0032】
本実施の形態は、集塵フィルタ10を着脱可能に固定し、その前面と背面に放電電極21と接地電極25を対向配置した帯電ユニット20を、集塵フィルタ10に沿って一方向又は左右若しくは上下方向に一定速度で移動させ、集塵フィルタ10に電荷を再帯電させるようにしたものである。なお、回転ブラシ18を有するダストボックス15を設ける場合は、帯電ユニット20と一体化して移動させるようにすればよい。
本実施の形態においても、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0033】
[実施の形態3]
図9は本発明の実施の形態3に係る空気清浄機能を有する空気調和機の前面パネルを取外した状態を示す斜視図、図10は図9の縦断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
両図において、本体ケース1aの前面側にはグリル状の吸込口3aを有する前面パネル2aが着脱可能に装着されており、前面パネル2aの下流側には実施の形態1と同じ材料からなる円形の集塵フィルタ30が配設されている。
【0034】
この集塵フィルタ30は、内側に内歯歯車32aを有するリング状の外枠32、中心部に設けたボス33と外枠32を連結する複数のリブ34a及びボス33と同心的に設けられてリブ34aを連結する複数の円形リブ34bからなる枠体31の前面側に取付けられている。
そして、集塵フィルタ30は、枠体31に設けたボス33が、円形の開口部36を有する四角形状の取付フレーム35の開口部36の背面側に設けたほぼコ字状の支持枠37に突設した軸38に嵌合され、開口部36内に回転自在に支持されており、内歯歯車32aと噛合う駆動ユニット39の歯車に駆動されて、矢印d方向に回転駆動される。なお、40は取付フレーム35に設けられた複数の集塵フィルタ押えである。
【0035】
15は実施の形態1のダストボックス15とほぼ同じ機能で、集塵フィルタ30の半径とほぼ等しい長さのダストボックスであり、集塵フィルタ30の中心部近傍において半径方向にほぼ水平に設置され、回転ブラシ18はダストボックス15の上部に設置され、集塵フィルタ30の前面に摺接するようになっている。なお、本実施の形態においては、回転ブラシ18は集塵フィルタ30の駆動ユニット39に連結されて回転駆動されるようになっているが、別に回転ブラシ18の駆動ユニットを設けてもよい。また、帯電ユニット20の放電電極21は、ダストボックス15に搭載してもよく、あるいは別に設けてもよい。
【0036】
20は実施の形態1の帯電ユニット20とほぼ同じ機能の帯電ユニットで、集塵フィルタ30の半径とほぼ等しい長さの放電電極21は、ダストボックス15の上方において、集塵フィルタ30の半径方向に沿ってほぼ水平に設けられており、接地電極25は放電電極21と対向して集塵フィルタ30の背面に近接して設けられている。つまり、放電ユニット20は、回転する集塵フィルタ30のダストボックス15からの出側に設けられている。
41は集塵フィルタ30の下流側に配設されて粉塵を除去する粉塵フィルタ、42は粉塵フィルタ41の下流側に配設された脱臭フィルタ、5aは送風機、7aは清浄化された空気を室内に吹出す吹出口である。なお、粉塵フィルタ41は省略してもよい。
【0037】
次に、上記のように構成した本実施の形態の作用について説明する。
運転を開始すると、集塵フィルタ30は駆動ユニット39に駆動されて矢印d方向に回転し、同時に送風機5aが駆動されて吹込口3aから塵埃を含む室内空気が吸引される。吹込口3aから吸引された空気に含まれる塵埃は塵埃フィルタ30に捕捉され、さらに粉塵フィルタ41によって粉塵が除去され、脱臭フィルタ42により脱臭されて清浄な空気となり、吹出口7aから室内に吹出されて室内の空気を清浄化する。
【0038】
このとき、集塵フィルタ30が回転を開始すると同時に、ダストボックス15に設けた回転ブラシ18も回転し、前述の要領で集塵フィルタ30が捕捉した塵埃を掻き落し、ダストボックス15に回収する。
そして、集塵フィルタ30の塵埃が除去されて清掃されたことによって電荷が失なわれた部分(ダストボックス15の出側)には、帯電ユニット20によって再び電荷が帯電され、電荷の保持量が回復する。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、集塵フィルタ30は、清掃によって電荷を失っても、帯電ユニット20により常時電荷が再帯電されるので、集塵効率を常に高く保持することができる。
上記の説明では、帯電ユニット20を常時駆動して集塵フィルタ20に電荷を帯電させるようにしたが、集塵フィルタ20への塵埃の付着状況によっては、回転ブラシ18による塵埃の掻き落し及び帯電ユニット20による集塵フィルタ30への電荷の帯電を、集塵フィルタ30の1回転ごとあるいは複数回転ごと、さらには一定時間ごとに間欠的に行ってもよい。
【0040】
上記の説明では、帯電ユニット20を備えた空気清浄機能を有する空気調和機に、回転ブラシ18を有するダストボックス15を設けた場合を示したが、ダストボックス15を省略し、帯電ユニット20のみを設けてもよい。
この場合は、集塵フィルタ30が捕捉した塵埃は、使用者が電気掃除機で吸い取ったり、取外して水道水などで洗浄して清掃すればよく、これにより、集塵フィルタ30に帯電した電荷が失われるので、前述の要領で集塵フィルタ30を回転させ、帯電ユニット20により電荷を再帯電させればよい。
【0041】
上記のように構成した本実施の形態に係る空気清浄機能を有する空気調和機は、集塵フィルタ30を、放電電極21と接地電極25との間を矢印d方向に回転させ、常時又は間欠的に両電極21と25の間に高電圧を印加して気中放電を発生させ、清掃によって電荷を失った集塵フィルタ30に電荷を再帯電して、電荷の保持量を回復させるようにしたので、常に集塵効率の低下を防止して、長期に亘り高い集塵効率を保持することができ、清浄で快適な室内空間を得ることができる。
【0042】
また、上記の空気調和機において、集塵フィルタ30に近接し、かつ帯電ユニット20の近傍に、塵埃を回収しかつ塵埃の廃棄自在なダストボックス15を設けると共に、このダストボックス15に、集塵フィルタ30に捕捉した塵埃を掻き落す回転ブラシ18を設け、回転ブラシ18によって塵埃が掻き落されたのち、放電電極21と接地電極26との間に高電圧を印加して、集塵フィルタ30に再帯電させて電荷の保持量を回復させるようにしたので、使用者を煩わすことなく、集塵フィルタ30を自動的に清掃し、かつ電荷を帯電させることができるため、使い勝手がよく、常に清潔で集塵効率の高い空気清浄機能を有する空気調和機を得ることができる。
【0043】
上記の説明では、図示の空気調和機又は空気清浄機能を有する空気調和機に、本発明に係る自動帯電集塵装置を実施した場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造の空気調和機にも本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動帯電装置を組込んだ空気調和機の断面図である。
【図2】図1の要部の説明図である。
【図3】集塵フィルタへの電荷の帯電状態を示す説明図である。
【図4】図1の放電電極の説明図である。
【図5】集塵フィルタに電荷を帯電させる前後の集塵効率の変化を示すグラフである。
【図6】集塵フィルタに電荷を帯電させる前後の集塵効率の変化を示すグラフである。
【図7】放電電極の他の例の説明図である。
【図8】放電電極の他の例の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る空気清浄機能を有する空気調和機の前面パネルを取外した状態を示す斜視図である。
【図10】図9の縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,1a 本体ケース、3,3a 吸込口、4 熱交換器、5,5a 送風機、7,7a 吹出口、10,30 集塵フィルタ、11 フィルタレール、15 ダストボックス、18 回転ブラシ、20 帯電ユニット、21 放電電極、25 接地電極、26 直流高圧電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極、該放電電極と対向して配設された接地電極、及び前記放電電極と接地電極との間に高電圧を印加する高圧電源を備えた帯電ユニットを有し、
該帯電ユニットにより、前記放電電極と接地電極との間を可動する集塵フィルタに電荷を帯電させるように構成したことを特徴とする自動帯電集塵装置。
【請求項2】
前記帯電ユニットの近傍に、前記可動する集塵フィルタの表面に摺接する回転ブラシを備えたダストボックスを設けたことを特徴とする請求項1記載の自動帯電集塵装置。
【請求項3】
放電電極、該放電電極と対向して配設された接地電極、及び前記放電電極と接地電極との間に高電圧を印加する高圧電源を備えた帯電ユニットを有し、
該帯電ユニットを、前記放電電極と接地電極との間に配設された集塵フィルタに沿って可動させ、前記帯電ユニットにより、前記集塵フィルタに電荷を帯電させるように構成したことを特徴とする自動帯電集塵装置。
【請求項4】
前記帯電ユニットの近傍に、前記集塵フィルタの表面に摺接する回転ブラシを有し、前記帯電ユニットと一体的に可動するダストボックスを設けたことを特徴とする請求項3記載の自動帯電集塵装置。
【請求項5】
吸込口、該吸込口から空気を吸引する送風機、吹出口、及び前記吸込口の下流側に設けられ駆動ユニットにより一方向又は左右方向若しくは上下方向に可動する集塵フィルタを有し、
前記集塵フィルタに、請求項1又は2記載の自動帯電集塵装置を組込んだことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
吸込口、該吸込口から空気を吸引する送風機、吹出口、及び前記吸込口の下流側に設けられた集塵フィルタを有し、
前記集塵フィルタに、請求項3又は4記載の自動帯電集塵装置を組込んだことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
吸込口、該吸込口から空気を吸引する送風機、吹出口、及び前記吸込口の下流側に設けられ駆動ユニットにより回転駆動される円形の集塵フィルタを有し、
前記集塵フィルタの半径方向に、請求項1に記載の自動帯電集塵装置を組込んだことを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
前記自動帯電集塵装置の下部に、請求項2に記載のダストボックスを設けたことを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
【請求項9】
前記放電電極を、平板突起状、針状、ワイヤ線又は平板で構成し、その放電部の板厚を0.1mm以下に形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動帯電集塵装置又は空気調和機。
【請求項10】
前記ダストボックスの上部に放電電極を搭載したことを特徴とする請求項2,4〜6,8のいずれかに記載の自動帯電集塵装置又は空気調和機。
【請求項11】
前記ダストボックスに設けた回転ブラシにより、前記集塵フィルタが捕捉した塵埃を掻き落したのちに、前記帯電ユニットにより前記集塵フィルタに電荷を帯電させることを特徴とする請求項2,4〜6,8〜10記載の自動帯電集塵装置又は空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−198077(P2009−198077A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39697(P2008−39697)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】