説明

自動復帰型シーソー型電子部品

【課題】簡単な構成でキートップの厚みの薄型化が図れる自動復帰型シーソー型電子部品を提供する。
【解決手段】揺動自在に軸支されるキートップ150と、キートップ150を中立位置に弾発する弾発バネ210等からなる弾発手段250と、キートップ150を露出するキートップ露出穴231を有する外装ケース230と、を具備し、キートップ150の揺動によって電気的出力(抵抗値等)が変化する自動復帰型シーソー型電子部品1である。弾発手段250はキートップ150の側壁152のその外方に設置され、且つ弾発手段250は外装ケース230によって覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動復帰型シーソー型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯機器(ビデオカメラやデジタルカメラ等)のズーム用の操作部品としてシーソー型電子部品が利用されている。この種のシーソー型電子部品は、例えば特許文献1の図1,図4に示すように、揺動自在に軸支されるキートップ(90)と、キートップ(90)の揺動によって電気的出力を変化する摺動子(30)等からなる電気的機能部と、キートップ(90)を中立位置に弾発するコイルバネ(40)とを具備し、キートップ(90)を左右何れかの方向に向けて傾けることで摺動子(30)を移動して所望の電気的出力を得、キートップ(90)への押圧を解除することでコイルバネ(40)の弾発力によってキートップ(90)を元の中立位置に自動復帰させて電気的出力も元の状態に戻す構成となっている。なお弾発部材としては、上記コイルバネ(ねじりコイルバネ)の他に、特許文献2に示す板バネのように、他の構造の弾発部材が使用される場合もある。
【0003】
そして上記従来のシーソー型電子部品においては、高さ寸法の小型化等のため、キートップの下面に設けた凹部(収納部)内に電気的機能部やコイルバネ等の弾発部材を収納していた。このためキートップの厚み(キートップの揺動中心軸に平行な方向の幅)が厚くなり、デザイン上の理由等からキートップの厚みを薄くしたいという要望に答えることができなかった。
【特許文献1】実開平6−26130号公報
【特許文献2】特開平11−195352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、簡単な構成でキートップの厚みの薄型化が図れる自動復帰型シーソー型電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、キートップがケース(外装ケース等)のキートップ露出穴から露出した状態で操作されることに着目し、以下のように構成することでキートップの厚みの薄型化を図っている。
【0006】
即ち本願請求項1に記載の発明は、揺動中心軸を中心に揺動自在に軸支されるキートップと、前記キートップの揺動によって電気的出力を変化する電気的機能部と、前記キートップを所定位置に弾発復帰させる弾発手段と、前記キートップを露出するキートップ露出穴を有するケースと、を具備する自動復帰型シーソー型電子部品において、前記弾発手段は前記キートップの揺動中心軸方向に対して略直交する側の側壁のその外方に設置され、且つこの弾発手段は前記ケースによって覆われることを特徴とする自動復帰型シーソー型電子部品にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記弾発手段は、コイル部とコイル部両端から半径方向外方に向けて突出する一対の引出部とを具備し、前記キートップの側壁の外方の前記揺動中心軸近傍位置に設置される弾発バネと、前記キートップの側壁の外方の前記揺動中心軸近傍位置に設置され前記弾発バネの一対の引出部を弾接する一対の固定側弾接部と、前記キートップの側壁の前記揺動中心軸の左右両側位置から突出して前記弾発バネの一対の引出部を弾接する一対の揺動側弾接部と、を具備して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動復帰型シーソー型電子部品にある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、キートップ内に弾発手段を内蔵しないので、その分キートップの厚み寸法を薄くすることができる。このとき弾発手段はキートップの側壁のその外方に設置されるが、この弾発手段はケースによって覆われるので、外観上何ら問題ない。また弾発手段をキートップの外部に設置するので、弾発手段をキートップの内部に収納する場合に比べ、その組み立てが容易になる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、キートップ自体に弾発バネの両引出部を弾接する一対の揺動側弾接部を設けたので、部品点数を増加することなく、簡単な構成で弾発手段を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態にかかる自動復帰型シーソー型電子部品1(但しケース230を除く)を一方の側から見た分解斜視図、図2は自動復帰型シーソー型電子部品1(但しケース230を除く)を他方の側から見た分解斜視図である。両図に示すように自動復帰型シーソー型電子部品(以下「シーソー型電子部品」という)1は、基板取付部材(以下「基板取付板」という)10と、基板取付板10の一方の面に取り付けられる第1回路基板部41及び第2回路基板部51を有する回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)40と、第1回路基板部41に対向して設置される摺動子90を取り付ける揺動体70と、揺動体70の背面側に設置される押え部材(以下「押え板」という)110と、前記第2回路基板部51の下側に設置される載置部材(以下「載置板」という)130と、前記基板取付板10や第1回路基板41等を覆うように設置されるキートップ150と、キートップ150の外方に設置される弾発バネ210を取り付ける固定側弾接部材(弾発バネ取付部材でもある)180と、キートップ150を覆うケース(以下「外装ケース」という)230(図7,図8参照)とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。なお以下の説明において、「上」とは基板取付板10やフレキシブル回路基板40からキートップ150側を向く方向をいい、「下」とはその反対方向を言うものとする。
【0011】
基板取付板10は合成樹脂(この実施形態ではポリカーボネート樹脂)を平板状で横長の略矩形状に成形して構成されている。そしてその略中央には円形に貫通する小孔からなる軸支穴11が設けられ、また前記第1回路基板部41側を向く面(基板取付面)21の複数ヶ所(6ヶ所)には小突起状の基板取付部13が設けられ、また基板取付面21の上部中央と左右両端には柱状に突出する支柱部15が設けられ、各支柱部15の先端には小突起状の押え板取付部17が設けられている。また基板取付板10の下面の複数ヶ所(5ヶ所)には下方向に向かって突出する小突起状の載置板取付部19が設けられている。
【0012】
フレキシブル回路基板40は1枚の合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリエチレンテレフタレートフイルム)上に回路パターンを形成して構成されており、第1回路基板部41と第2回路基板部51とを帯状の連結部65によって連結している。第1回路基板部41は前記基板取付板10の基板取付面21に面接触して載置される外形寸法形状に形成されており、基板取付板10の軸支穴11に対向する位置にこれと同一内径の軸挿通穴43を設け、また基板取付板10の各基板取付部13に対向する位置にこれらを挿入する小孔からなる挿入孔45を設けている。また第1回路基板部41の摺動子90側を向く面の前記軸挿通穴43から等距離離れた180°対向する位置には一対の摺接パターン47a,47bが設けられている。これら摺接パターン47a,47bは軸挿通穴43を中心とする円弧上に設けられており、一方の摺接パターン47aは抵抗値の低い導電パターン(例えば銀ペーストの塗布による)、もう一方の摺接パターン47bは抵抗値の高い抵抗体パターン(例えばカーボンペーストの塗布による)で構成されている。
【0013】
第2回路基板部51は帯状であって、その複数位置(4ヶ所)に小孔からなる挿通部53を設けている。またその1側辺(連結部65を設けた反対側の辺)には1つの切り欠きからなる挿通部55を設けている。また連結部65を設けた側の辺には長尺に切り欠いてなる切り欠き部57を設けている。第1回路基板部41上の摺接パターン47a,47bへの入出力は、第1,第2回路基板部41,51に設けた図示しない回路パターンによって行われる。
【0014】
揺動体70は合成樹脂(この実施形態ではPOM樹脂)を略矩形状に成形して構成されており、その略中央には両面から垂直に突出する柱状の回動軸71が設けられており、回動軸71の両端面には、左右両面が平行でその端面が上から下方向に向かって突出していくテーパ面となる係止部73が設けられている。揺動体70の前記第1回路基板部41側を向く面は摺動子取付面75となっており、摺動子取付面75の回動軸71の左右両側には小突起状の摺動子取付部77が形成されている。
【0015】
摺動子90は弾性金属板(この実施形態ではリン青銅板)製であり、略矩形状の摺動子基部91の上下辺の中央から左右に略コ字状に突出するアーム部93を設け、両アーム部93のそれぞれ中央に第1回路基板部41側に突出するように湾曲する摺接部95を設けて構成されている。摺動子基部91の中央には円形に貫通して前記揺動体70の回動軸71を挿通する貫通孔97が設けられ、貫通孔97の左右両側には前記揺動体70の摺動子取付部77を挿通する貫通孔99が設けられている。
【0016】
押え板110は金属板(この実施形態ではステンレス板)を略矩形状に形成して構成されており、その略中央に前記揺動体70の回転軸71を回動自在に挿入・軸支する軸支孔111を設け、またその中央上部と左右両端部近傍に小孔からなる挿入取付部113を設け、またその左右両下端部から細帯状で根元部分で基板取付板10側に直角に折れ曲がってさらにその中間部分が下方向にL字状に屈曲してなる係止片115を設けて構成されている。
【0017】
載置板130は金属板(この実施形態ではステンレス板)製であり、前記第2回路基板部51を載置するように帯状に形成されている。載置板130の前記第2回路基板部51の各挿通部53に対向する位置にはこれら挿通部53と同一形状の貫通する小孔からなる挿通固定部131が複数(4ヶ所)設けられ、また前記第2回路基板部51の挿通部55に対向する位置にはこの挿通部55と同一形状の切り欠きからなる挿通固定部132が1つ設けられ、また挿通固定部132を設けた反対側の辺には、挿通固定部133が複数(5ヶ所)設けられている。全ての挿通固定部133は、前記第2回路基板部51に設けた切り欠き部57内に露出する位置にある。
【0018】
図3はキートップ150を下面側から見た斜視図である。同図及び図1,図2に示すように、キートップ150は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂)を横長の略矩形状の薄板状に成形して構成されており、その下面には前記基板取付板10や揺動体70,押え板110等を収納する凹状の収納部151を設けている。キートップ150の横長方向の中央下部の左右両側には、小判型に貫通する小孔からなる一対の軸係合部153が設けられ、一方の(押え板110側の)軸係合部153の左右両側には、キートップ150の下辺からキートップ150の外方(下記する揺動中心軸L方向)に向けて突出する矩形平板状の一対の揺動側弾接部155が設けられ、他方の(基板取付板10側の)軸係合部153の部分には、キートップ150の外方(揺動中心軸L方向)に向けて突出する半円筒状の押え部受け部157が設けられている。即ち一対の揺動側弾接部155は、キートップ150の側壁152の軸係合部153の中心に仮想される揺動中心軸Lの左右両側位置から突出しており、この実施形態では揺動中心軸Lからの距離が同一の位置に設けられている。両揺動側弾接部155の上面の対向する内側部分は弾接部156となっている。押え部受け部157は軸係合部153の部分から揺動中心軸L方向に向けて外方に突出するように設けられ、上面側がカットされた半円筒形状に形成され、カットされた上面側の凹部が被当接部159となっている。
【0019】
図4は固定側弾接部材180の拡大斜視図である。同図及び図1,図2に示すように、固定側弾接部材180は合成樹脂(この実施形態ではポリカーボネート樹脂)の一体成形品であり、略平板状の基部181の一方の面の中央から先端が下向きとなるようにL字状のコイル部係止部183を突出して設け、またコイル部係止部183の左右両側に所定の隙間を介して一対の固定側弾接部185を突出して設けて構成されている。一対の固定側弾接部185は水平方向外向きにL字状及び逆L字状の左右対称形状であり、それらの上端面は弾接部187となっている。またコイル部係止部183及び一対の固定側弾接部185の下面からはそれぞれ1本ずつ小突起状の載置板取付部189が突出して設けられている。
【0020】
弾発バネ210はバネ線材をコイル状に巻き回してなるコイル部211と、コイル部211の両端から半径方向外方に向けて直線状に突出する一対の引出部213とを具備して構成されている。この弾発バネ210は一対の引出部213を円周方向に向かって押圧していくことでコイル部211のバネ線材をねじって両引出部213に円周方向の弾発力を生じさせるねじりコイルバネである。
【0021】
外装ケース230は図7,図8に示すように、合成樹脂(この実施形態ではポリカーボネート樹脂)をキートップ150の上部を覆う形状に成形して構成されている。外装ケース230には、前記キートップ150の上部の部分を挿入して外装ケース230の表面側に露出する寸法の長孔からなるスリット状のキートップ露出穴231が設けられている。外装ケース230の下面のキートップ露出穴231の長手方向に向かう一方の辺の中央近傍部分には、図8に示すように、下方向に向かって突出する略平板矩形状でその先端面が円弧状(円柱の外周面形状)の当接部233aとなっている押え部233が設けられている。押え部233の当接部233aは前記キートップ150の押え部受け部157の被当接部159に当接し、押え部受け部157を回動自在に押えるものである。
【0022】
次にシーソー型電子部品1の製造方法を説明する。まず基板取付板10の基板取付面21に第1回路基板部41を載置し、その際基板取付板10の各基板取付部13を第1回路基板部41の各挿入孔45に挿入し、各基板取付部13の先端を熱かしめすることで基板取付板10に第1回路基板部41を取り付ける。このとき基板取付板10の軸支穴11と第1回路基板部41の軸挿通穴43の位置が一致している。次に揺動体70の摺動子取付面75に摺動子90の摺動子基部91を載置し、その際揺動体70の回転軸71と一対の摺動子取付部77を摺動子基部91の貫通孔97と一対の貫通孔99とにそれぞれ挿入する。そして一対の摺動子取付部77の先端を熱かしめすることで、揺動体70に摺動子90を取り付ける。
【0023】
次に図4に点線で示すように、固定側弾接部材180のコイル部係止部183に弾発バネ210のコイル部211を挿入し、弾発バネ210の両引出部213を固定側弾接部材180の両弾接部187に当接しておく。このときコイル部211は円周方向に少しねじられ、従って両引出部213は弾接部187に弾接する。
【0024】
そして前記摺動子90を取り付けた揺動体70を基板取付板10に取り付けた第1回路基板部41上に配置し、その際揺動体70の回動軸71を第1回路基板41の軸挿通穴43と基板取付板10の軸支穴11とに回動自在に挿入する。このとき摺動子90の一対の摺接部95は摺接パターン47a,47bに当接する。なおこれら摺動子90及び摺接パターン47a,47bによって電気的機能部が構成されている。次に揺動体70の摺動子90を取り付けた面の反対側の面に押え板110を配置し、その際揺動体70の回動軸71を押え板110の軸支孔111に回動自在に挿入すると共に、基板取付板10の各押え板取付部17を押え板110の各挿入取付部113に挿入し、各押え板取付部17の先端を熱かしめすることで揺動体70及び摺動子90を基板取付板10と押え板110の間に揺動自在に保持する。このとき揺動体70の回動軸71の両端に設けた係止部73は、基板取付板10と押え板110の両外側面から突出している。
【0025】
次に載置板130上に第2回路基板部51を載置し、その際各挿通固定部131と挿通部53との位置、及び挿通固定部132と挿通部55との位置を合わせ、また第2回路基板部51の切り欠き部57内に複数(5ヶ所)の挿通固定部133の全てを露出させる。そしてこの第2回路基板部51上に前記弾発バネ210を取り付けた固定側弾接部材180を載置し、その際固定側弾接部材180に設けた複数(3つ)の載置板取付部189を第2回路基板部51と載置板130にそれぞれ設けた中央2つの挿通部53と挿通固定部131、及び1つの挿通部55と挿通固定部132に挿入し、載置板130の下面に突出する各載置板取付部189の先端を熱かしめすることで載置板130及び第2回路基板部51上に固定側弾接部材180を取り付ける。
【0026】
次にフレキシブル回路基板40の連結部65の部分を略直角に折り曲げることで、第1回路基板部41及びこれに取り付いている基板取付板10や押え板110等を第2回路基板部51及び載置板130に対して略垂直に立設して設置し、その際基板取付板10の下面の複数(5つ)の載置板取付部19を、第2回路基板部51の切り欠き部57及び左右両端の挿通部53を介して載置板130の中央3つの挿通固定部133と左右両端の挿通固定部131とに挿入し、載置板130の下面から突出する各載置板取付部19の先端を熱かしめして取り付ける。同時に押え板110の一対の係止片115を第2回路基板部51の切り欠き部57を介して載置板130の左右両端の挿通固定部133に挿入し、載置板130の下面から突出する各係止片115の先端を載置板130に沿うように折り曲げることで取り付け、図5,図6に示す状態とする。この実施形態の場合、基板取付板10を載置板取付部19によって第2回路基板部51及び載置板130に取り付けるだけでなく、押え板110を係止片115によって第2回路基板部51及び載置板130に取り付けているので、その取り付けが強固且つ確実に行える。
【0027】
次に図5,図6に示すように、組み立てて第2回路基板部51上に立設した基板取付板10及び揺動体70及び押え板110等の上に、キートップ150を設置し、その際キートップ150の収納部151内に基板取付板10及び揺動体70及び押え板110等を収納する。その際同時に弾発バネ210の両引出部213をそれぞれキートップ150の両揺動側弾接部155の上面側の弾接部156に係止し、且つ揺動体70の両係止部73にキートップ150の両軸係合部153をそれぞれスナップイン係合し、図7,図8に示す状態とする。
【0028】
そして図7,図8に示すように、前記キートップ150の上に外装ケース230を被せ、その際外装ケース230のキートップ露出穴231からキートップ150の上部の部分を外装ケース230の上面側に露出(突出)する。外装ケース230は図示しない固定部によって載置板130に固定される。このとき図8に示す外装ケース230の押え部233の当接部233aは、前記キートップ150の押え部受け部157の被当接部159に当接し、押え部受け部157を回動自在に上から押える。これによって図9に示すシーソー型電子部品1が完成する。
【0029】
以上のようにして構成されたシーソー型電子部品1において、弾発バネ210の両引出部213は、固定側弾接部材180の両弾接部187と、キートップ150の両揺動側弾接部155の弾接部156に同時に弾接し、これによってキートップ150は中立位置に保持されている。そしてキートップ150上面の左右何れかの部分を押圧すれば、キートップ150及びこれと一体の揺動体70及び摺動子90が押圧した方向に一体に揺動し、摺動子90の摺接部95が摺接パターン47a,47b上を摺動し、その電気的出力を変化する。このとき押圧して下降する側の弾発バネ210の引出部213は固定側弾接部材180の弾接部187に当接して静止したまま、押圧によって上昇する側の弾発バネ210の引出部213はキートップ150の揺動側弾接部155の弾接部156によって上方向に引き上げられる。これによって弾発バネ210のコイル部211はねじられて、前記キートップ150に中立位置への弾性復帰力が働く。従ってキートップ150への押圧を解除すれば、キートップ150は元の中立位置に揺動して自動復帰し、前記電気的出力も元の状態に戻る。キートップ150を逆方向に揺動させた場合も同様に動作する。
【0030】
ところで上記シーソー型電子部品1においては図1に示すように、固定側弾接部材180の一対の固定側弾接部185と、弾発バネ210と、キートップ150の一対の揺動側弾接部155とによって弾発手段250が構成されている。即ち詳細に説明すれば、弾発手段250は、コイル部211とコイル部211両端から半径方向外方に向けて突出する一対の引出部213とを具備しキートップ150の側壁152の外方の揺動中心軸L近傍位置に設置される弾発バネ210と、キートップ150の側壁152の外方の揺動中心軸L近傍位置に設置され弾発バネ210の一対の引出部213を弾接する一対の固定側弾接部185と、キートップ150の側壁152の揺動中心軸Lの左右両側位置から突出して弾発バネ210の一対の引出部213を弾接する一対の揺動側弾接部155と、を具備して構成されている。
【0031】
そしてこの弾発手段250は、キートップ150の揺動中心軸L方向に対して略直交する側の側壁152のその外方に設置され、且つこの弾発手段250は外装ケース230によって覆われている。このようにこのシーソー型電子部品1においては、キートップ150内に弾発手段250を内蔵しないので、その分キートップ150の厚み寸法(揺動中心軸L方向に向かう幅寸法)を薄くすることができる。このとき弾発手段250はキートップ150の側壁152の外方に設置されるが、前述のように弾発手段250は外装ケース230によって覆われるので、外観上何ら問題ない。また弾発手段250をキートップ150の外部に設置するので、弾発手段250をキートップ150の内部に収納する場合に比べ、その組み立てが容易になる。
【0032】
またこのシーソー型電子部品1の場合、キートップ150に収納部151を設けることで、電気的機能部である摺動子90及び摺接パターン47a,47b(及びそれ以外の第2回路基板部51上に立設している各部品)をキートップ150内に内包しているが、このように構成することにより、シーソー型電子部品1の高さ寸法の小型化も図られている。
【0033】
また上記シーソー型電子部品1によれば、キートップ150自体に弾発バネ210の両引出部213を弾接する一対の揺動側弾接部155を設けたので、部品点数を増加することなく、簡単な構成で弾発手段250を構成することができる。
【0034】
また上記シーソー型電子部品1において、キートップ150に設けた押え部受け部157に外装ケース230の押え部233の当接部233aを当接したのは以下の理由による。即ちキートップ150の揺動側弾接部155を設けた側の側壁152は、弾発バネ210の引出部213が揺動側弾接部155上面の弾接部156に弾接することによって常に下方向(外装ケース230の下面から離れる方向)に弾発されている。このためその反対側の側壁152は上方向に持ち上がろうとし、これを放置するとキートップ150は厚み方向に少し傾いてしまい、直立状態を維持できない。そこでこの実施形態においては、キートップ150の持ち上がろうとする側壁152に設けた押え部受け部157に外装ケース230の押え部233の当接部233aを当接してこれが持ち上がるのを阻止し、これによってキートップ150の姿勢が確実に所望の方向を向く(直立状態となる)ようにしたのである。
【0035】
また固定側弾接部材180は、基部181にコイル部係止部183を設けてその両側に一対の固定側弾接部185を設けるだけの構造なので、構造が簡単で容易に小型化が図れるばかりか、両引出部213の弾接機能と、弾発バネ210の取り付け機能とを容易に兼用させることができ、好適である。
【0036】
また上記基板取付板10の基板取付面21の反対側の面の軸支穴11の下部には、図2に示すように、小突起状の支え部25が設けられている。この支え部25は図7に示すように、その真上にキートップ150の押え部受け部157が位置する。これによってキートップ150を無理に強い力で下方向に押圧した場合、押え部受け部157の下面が支え部25上面に当接し、これを支える。従って回動軸71の係止部73がキートップ150の軸係合部153から外れることはなく、キートップ150の係止部73による係止が確実となる。
【0037】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では固定側弾接部185を設けた固定側弾接部材180が弾発バネ210(そのコイル部211)を取り付ける弾発バネ取付部材を兼用しているが、弾発バネ210を取り付ける部材と固定側弾接部185を設ける固定側弾接部材を別々の部材で構成しても良い。例えば固定側弾接部材180のコイル部係止部183を省略して別の固定側(静止側)の部材にコイル部係止部に相当する部材を設けても良いし、またキートップ150側(揺動する側)にコイル部係止部に相当する部材を設けてキートップ150側に弾発バネ210を取り付けても良い。また弾発バネは板バネや圧縮コイルバネや引っ張りコイルバネ等の他の構造の弾発バネであっても良い。
【0038】
またシーソー型電子部品を構成する各構成部品の材質は上記実施形態に示した材質に限定されず、他の各種材質のものを用いても良い。またキートップを揺動自在に軸支する構造も種々の変更が可能である。また電気的機能部を構成する摺動子や摺接パターンの形状・構造等も種々の変形が可能であり、例えば摺接パターンはスイッチパターンでも良いし、摺動子と摺接パターンを用いない構造の電気的機能部であっても良い。要は揺動体の揺動によって電気的出力が変化する構造であればどのような構造であってもよい。弾発手段の構造も上記実施形態に限定されず、要はキートップを所定位置(中立位置以外の所定位置を含む)に弾発復帰させるものであればどのような構造の弾発手段であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シーソー型電子部品1(但し外装ケース230を除く)を一方の側から見た分解斜視図である。
【図2】シーソー型電子部品1(但し外装ケース230を除く)を他方の側から見た分解斜視図である。
【図3】キートップ150を下面側から見た斜視図である。
【図4】固定側弾接部材180の拡大斜視図である。
【図5】シーソー型電子部品1の組立方法説明図である。
【図6】シーソー型電子部品1の組立方法説明図である。
【図7】シーソー型電子部品1の組立方法説明図である。
【図8】シーソー型電子部品1の組立方法説明図である。
【図9】シーソー型電子部品1の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シーソー型電子部品(自動復帰型シーソー型電子部品)
10 基板取付板(基板取付部材)
40 フレキシブル回路基板(回路基板)
41 第1回路基板部
47a,47b 摺接パターン(電気的機能部)
51 第2回路基板部
70 揺動体
90 摺動子(電気的機能部)
110 押え板(押え部材)
130 載置板(載置部材)
150 キートップ
L 揺動中心軸
152 側壁
155 揺動側弾接部(弾発手段)
180 固定側弾接部材(弾発バネ取付部材)
185 固定側弾接部(弾発手段)
210 弾発バネ(弾発手段)
211 コイル部
213 引出部
230 外装ケース(ケース)
231 キートップ露出穴
250 弾発手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動中心軸を中心に揺動自在に軸支されるキートップと、
前記キートップの揺動によって電気的出力を変化する電気的機能部と、
前記キートップを所定位置に弾発復帰させる弾発手段と、
前記キートップを露出するキートップ露出穴を有するケースと、を具備する自動復帰型シーソー型電子部品において、
前記弾発手段は前記キートップの揺動中心軸方向に対して略直交する側の側壁のその外方に設置され、且つこの弾発手段は前記ケースによって覆われることを特徴とする自動復帰型シーソー型電子部品。
【請求項2】
前記弾発手段は、コイル部とコイル部両端から半径方向外方に向けて突出する一対の引出部とを具備し、前記キートップの側壁の外方の前記揺動中心軸近傍位置に設置される弾発バネと、
前記キートップの側壁の外方の前記揺動中心軸近傍位置に設置され前記弾発バネの一対の引出部を弾接する一対の固定側弾接部と、
前記キートップの側壁の前記揺動中心軸の左右両側位置から突出して前記弾発バネの一対の引出部を弾接する一対の揺動側弾接部と、を具備して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動復帰型シーソー型電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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