説明

自動機、操作案内装置、操作案内方法及び操作案内プログラム

【課題】利用者を操作に集中させて、操作を円滑に行なうことができるようにし、また、利用者に対して不快感を生じさせにくくする。
【解決手段】利用者の操作に応じて所定の処理を行なうもので、利用者の画像を撮像する撮像手段(1)と、撮像手段(1)で撮像した利用者の画像に基づいて、利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段(2)と、注意方向検出手段(2)が検出した注意方向に基づいて、利用者の操作に関連する特定部位に利用者の注意を誘導する注意誘導手段(4,50〜54)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、公営競技の投票券の発券機、現金自動支払機、現金自動預払機などの自動機、この自動機に対する利用者の操作を案内する自動機の操作案内装置、操作誘導方法及び自動機の操作誘導プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営競技の投票券の発券機や、現金自動支払機(CD)、現金自動預払機(ATM)などの自動機においては、自動機の利用者が、自動機を円滑に操作できるようにしたり、操作ミスを防止するために、所定の操作案内を行なう技術がある。
この自動機の操作案内は、例えば、例えば、ボタンの押釦や現金、投票券の取り出し操作に要する平均的な時間よりも、利用者が操作に時間がかかっているときに行なわれるもので、例えば、現金、投票券の取り出し操作を忘れ防止用のアラーム、対応する操作に関する音声案内などがある。
【0003】
また、この種の技術に関連するものとしては、例えば、特許文献1及び2記載の技術が提案されている。
特許文献1記載の技術は、現金取扱装置である自動機の警報システムに関連するものであって、利用者が現金取扱装置の前にいること及び離れたことを検出する人検知部と、現金、現金取扱い装置における入金や出金を行なうとともに、カード又は通帳等を取り忘れたことを検出する現金取扱部と、人検知部が現金取扱装置から離れたことを検知し、かつ、現金取扱部が、例えば、利用者が出勤した現金を取り忘れているときに警報を発生する警報部とを備えている。
この警報システムは、利用者が、現金、カード又は通帳を取らずに、現金取扱装置から離れようとすると、警報部が警報を利用者に報知することにより、取り忘れを防ぐことができる。
【0004】
また、特許文献2記載には、ATMの技術が記載されている。
この特許文献2記載のATMは、紙幣及び硬貨の入出金部と、顧客による取引入力するための顧客誘導表示を行なったり、顧客により操作入力されるタッチパネルなどの接客部と、顧客を撮影する映像撮影部と、映像撮影部よりの撮像の処理を行なう映像処理部と、記憶部に記憶された各種制御プログラムを実行することにより上記の各部を制御する主制御部とを備えている。
そして、主制御部が、各取引入力操作段階毎の入力状況を時間や、映像撮影部の撮像した顧客の動作(しぐさ)を監視することにより、顧客が「不慣れ」と判断したときに、接客部の表示画面により詳細な誘導画面表示を行なう。
【0005】
【特許文献1】特開2002−117429号公報
【特許文献2】特開平09−198545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような自動機にあっては、アラームや音声などの利用者に対する操作案内を、操作に要する平均的な時間や、人検知部が自動機から利用者が離れたか否かに応じて行なうので、例えば、周囲の他のものごとに気をとられることにより、注意が自動機から離れている利用者に対しては、利用者がすでに操作に集中していないことから、音や光で操作案内しても、利用者が操作案内を気付きにくくなっているという問題があった。
特に、コンビニ等に設置されたATMなどの自動機においては、自動機の設置場所の周囲に、自動機の利用者の注意を、自動機の操作以外に向けさせる要素が多く存在しているので、利用者がATMの操作に集中しにくくなっている環境となっており、上述の現金の取り忘れなどを起こしやすくなっていた。
【0007】
また、操作に要する時間により上記の操作案内を行なう場合には、操作に不慣れな利用者や、操作に戸惑っている利用者に対しては、操作に集中しているにもかかわらず、不用意に注意喚起を促すことになるので、不快感を与えるおそれもあった。
また、特許文献2記載の自動機にあっては、操作に要する時間及び利用者の画像に応じて単に、詳細な案内を行なうだけであった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、利用者の注意が操作以外に向かわないように操作を案内して、利用者を操作に集中させ、利用者が操作を円滑に行なうことができるようにし、また、利用者に対して不快感を生じさせにくくした自動機、操作案内装置、操作案内方法及び操作案内プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の自動機は、利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機であって、前記利用者の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段と、前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段とを備えている。
【0010】
また、本発明の操作案内装置は、利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機における前記利用者の操作案内装置であって、前記利用者の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段と、前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段とを備えている。
【0011】
また、本発明の操作案内方法は、利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機における前記利用者の操作案内方法であって、前記利用者の画像を撮像する撮像ステップと、前記撮像手段が撮像した利用者の画像から前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出ステップと、前記注意方向検出ステップで検出した注意方向に基づいて、前記利用者の操作に関連する前記自動機の特定部位に前記利用者の注意を誘導する注意誘導ステップとをを含む構成としている。
【0012】
また、本発明の操作案内プログラムは、利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機のコンピュータを、前記利用者の画像を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段、前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段として機能させる構成としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動機、操作案内装置、操作案内方法及び操作案内プログラムによれば、利用者の注意が操作以外に向かわないように操作を案内することができるようになり、利用者を操作に集中させることができる。
そのため、利用者の操作を円滑に行なわせしめることができる。
また、利用者に対して不快感を生じさせにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る自動機、操作案内装置、操作案内方法及び操作案内プログラムの好ましい実施形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
[第一実施形態]
図1には、本発明の第一実施形態に係る自動機の概略構成図を示している。
図2及び図3には、本発明の第一実施形態に係る自動機を、利用者とともに示している。
【0015】
これらの図に示すように、第一実施形態に係る自動機M1は、利用者Pの操作に応じて所定の処理を行なうものであって、例えば、競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営競技の投票券の発券機や、現金自動支払機(CD)、現金自動預払機(ATM)などに用いられている。
本実施形態において、自動機M1は、ATMであり、例えば、現金の入出金操作を行なう入出金部3と、自動機M1が備える各部の制御を行なう制御部2を備えている。
【0016】
入出金部3は、例えば、利用者Pが操作するタッチパネルなどのボタン操作部30と、預金通帳を出し入れ可能な通帳出入部34、カードを出し入れ可能なカード出入部33、紙幣を出し入れ可能な紙幣出入部31、硬貨を出し入れ可能な硬貨出入部32などを備えている。
制御部2は、所定の演算処理を行なうCPU及びRAMなどを有した処理部20と、例えば、入出金取引などのプログラムを記憶するハードディスク等の記憶媒体で構成された記憶部21とを備えている。
【0017】
また、自動機M1は、利用者Pの画像を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像した利用者Pの画像に基づいて、利用者Pの注意方向を検出する注意方向検出手段と、注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、利用者の操作に関連する特定部位に利用者Pの注意を誘導する注意誘導手段とを備えている。
なお、本発明でいう利用者Pの操作とは、例えば、ボタン操作部30であるタッチパネルへのタッチ、カード・通帳の挿入及び取り出し、硬貨・紙幣の出し入れなどのことをいう。
また、操作に関連する特定部位とは、上述の利用者Pの操作に関連する部位のことであり、例えば、ボタン操作部30、通帳出入部34、カード出入部33、紙幣出入部31、硬貨出入部32をいう。
【0018】
撮像手段は、例えば、防犯用に設置され、利用者Pの顔を含む画像を撮像可能なカメラ1で構成されている。このカメラ1は、所定の周期(例えば、一秒間に20回)で撮像した画像を制御部2に出力している。
【0019】
本実施形態において、注意方向検出手段は、注意方向として、カメラ1が撮像した利用者Pの画像に含まれる利用者Pの顔から利用者Pの視線d1,d2を検出するもので、記憶部21に記憶されるとともに、処理部20で実行される画像解析プログラム22で構成されている。
画像解析プログラム22は、例えば、顔を認識するとともに、顔自体及び黒目の向きを検出し、これらの検出した顔自体及び黒目の向きに基づいて注意方向としての視線d1,d2を検出する。
【0020】
注意誘導手段は、アラーム発生手段、利用者Pの操作を音声で通知する音声通知手段、特定部位付近に設けられ、利用者P側に向けて発光する発光手段を備えている。
本実施形態において、アラーム発生手段及び音声通知手段は、音声通知部4で構成されている。
【0021】
音声通知部4は、例えば、自動機M1の全面に設けられたスピーカを備えている。
この音声通知部4は、スピーカからアラーム音声や操作に関する案内音声を出力させることにより、利用者Pの注意を特定部位側に向けさせる。
音声通知部4には、利用者Pの操作状態及び取引の種類に応じて、種々のタイプの案内音声が設定されている。
【0022】
また、発光手段は、第一〜第五の発光部50〜54を備えている。
第一〜第四の発光部51〜54は、通帳出入部34、カード出入部33、紙幣出入部31、硬貨出入部32の近傍に設けられている。そして、これらの発光部51〜54のうち、利用者Pの操作状態及び取引の種類に関連したそれぞれの部位31〜34の近傍の発光部51〜54が点灯することにより、利用者Pの注意をその方向に向けさせる。
【0023】
また、第五の発光部50は、例えば、ボタン操作部30自体であって、タッチパネルに表示されたボタンが、通常時とは異なる色で表示させる表示制御機能を備えている。
これらの音声通知部4及び第一〜第五の発光部50〜54は、制御部2に接続されるとともに制御部2によりその動作が制御される。
このように、自動機M1が音声通知部4及び発光部50〜54を備えているので、自動機M1は、利用者Pの聴覚及び視覚を介して、利用者Pの注意を自動機M1側に向けさせることができる。
【0024】
また、自動機M1には、注意方向検出手段が、検出した注意方向が特定部位に向いているか否かを判定する注意方向判定手段と、注意方向判定手段が注意方向が特定部位に向いていないと判定したときに、注意誘導手段を動作させる誘導動作制御手段とが備えられている。
【0025】
注意方向判定手段は、注意方向が特定部位を向いているとみなす特定範囲Sを設定する特定範囲設定手段を備えている。
具体的には、注意方向判定手段は、記憶部21に記憶され、処理部20で実行される注意方向判定プログラム23で構成されている。
【0026】
また、注意方向判定プログラム23は、処理部20で実行されると、視線d1,d2の方向が、特定範囲S内にあるか否かを判定する。
また、注意方向判定プログラム23は、処理部20で実行されることにより、特定範囲設定処理を行なう機能を備えている。
そして、特定範囲Sを設定する機能は、例えば、自動機M1がATMとしての営業作動前に、予め、特定範囲Sを設定するものであり、ボタン操作部30、通帳出入部34、カード出入部33、紙幣出入部31、硬貨出入部32などを含む平面の四隅の空間的な座標位置を指定することにより、特定範囲Sを設定する。
【0027】
誘導動作制御手段は、記憶部21に記憶され、処理部20で実行される誘導制御プログラム24で構成されている。
この誘導制御プログラム24は、処理部20で実行されることにより、利用者Pの操作状態及び取引の種類に応じて、音声通知部4、第一〜第五の発光部50〜54に対して、所定の動作を行なわせる機能を備えている。
【0028】
また、自動機M1には、自動機M1の正面の人を利用者Pとして検知する人検知センサ(図示せず)が備えられている。
本実施形態の自動機M1は、例えば、人検知センサが、利用者Pを検知したときに、利用者Pとの取引動作を開始する。
【0029】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の自動機M1の動作について、図4を参照しつつ説明する。
図4には、本実施形態に係る自動機M1の制御部2のフローチャート図を示している。
【0030】
自動機M1は、所定の初期化処理を行なうとともに、処理部20のRAMなどに、記憶部21に記憶された各種プログラム(注意方向判定プログラム23、画像解析プログラム22、誘導制御プログラム24、入出金部3の制御プログラム(図示せず)等)を読み込むとともに、これらをCPUで実行可能にする(S1−1)。
この際、必要に応じて、注意方向判定プログラム23の実行により、所定の特定範囲Sの設定を行なう。
【0031】
そして、この状態で自動機M1は、利用者Pが現れるまで待機する(S1−2)。
制御部2は、自動機M1の前に、人が立つと、人検知センサがこれを検知するとともに金銭の入出金に関する取引処理を開始する(S1−3)。
取引処理中においては、制御部2は、カメラ1から利用者Pの画像が入力される。
そして、制御部2は、この利用者Pの画像を解析する(S1−4)。
この際、制御部2は、利用者Pの顔を含む画像を解析して利用者Pの視線d1,d2を検出する。
【0032】
次に、制御部2は、視線d1,d2が、特定範囲S内にあるか否かを判定する(S1−5)。
この際、利用者Pの視線d1が特定範囲Sを通過するときに、利用者Pの視線d1,d2が特定範囲S内にあると判定する(S1−5Yes,図2)。
【0033】
一方、利用者Pが、例えば、自動機M1の周囲張り紙などを見るため余所見をすると、制御部2が検出した視線d2が特定範囲Sを通過しなくなるので、制御部2が利用者Pの注意が自動機M1の操作以外に向けられたと判定する(S1−5No,図3)
この場合、自動機M1の制御部2は、誘導制御プログラムにより、利用者Pに対して誘導処理を行なう(S1−7)。
誘導処理において、まず、制御部2は、入出金部3で行なわれている現在の取引処理内容を参照する。
次に、この取引処理内容に応じて、音声通知部4及び第一〜第五の発光部50〜54に所定の動作を行なわせる。
【0034】
即ち、制御部2は、誘導処理として、例えば、音声通知部4及び第一〜第五の発光部50〜54の動作を以下のように制御する。
例えば、利用者Pが取引内容を選択するとき、音声通知部4は、「ご希望のお取引ボタンを押してください」などの音声を出力させられ、また、第五の発光部50としてのボタン操作部30は、ボタン操作部30が表示する所定のボタンを、通常の色彩とは別の色彩を付させられる。
また、振り込み金額の入力などのときにも、上記と同様に、音声通知部4及び第五の発行部50が動作させられる。
【0035】
また、自動機M1が利用者Pに通帳やカードを挿入させるとき、音声通知部4は、「通帳又はカードを入れてください」などの音声を出力させられ、通帳及びカードの出入部の近傍に位置する第三及び第四の発光部53,54は、所定の点灯表示が行なわせられる。
自動機M1が、通帳やカードを利用者Pに受け取らせるとき、音声通知部4は、「通帳、カードをお受け取りください」などの音声が出力させられ、第三及び第四の発光部53,54は、所定の点灯表示が行なわせられる。
【0036】
また、自動機M1が利用者Pに現金を投入させるときに、音声通知部4は、「現金を入れてください」などの音声が出力させられ、紙幣出入部31及び硬貨出入部32の近傍である第一及び第二の発光部51,52は、所定の点灯表示が行なわせられる。
自動機M1が利用者Pに現金を払い出すときに、音声通知部4は、「現金をお受け取りください」などの音声やアラーム音が出力させられ、第一及び第二の発光部51,52は、所定の点灯表示が行なわせられる。
【0037】
その後、自動機M1の制御部2は、利用者Pの視線d1,d2を、取引が終了するまで解析し続け(S1−6No)、視線d1,d2が特定範囲Sの外に向いたときに、上述と同様の誘導動作を、音声通知部4及び発光部に行なわせる。
そして、取引が終了したならば、次の利用者Pが、自動機M1の前に現れるまで待機する(S1−6Yes,S1−2)。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る自動機M1によれば、自動機M1が、撮像手段(カメラ1)及び注意検出手段(制御部2)により、カメラ1が撮像した画像から、利用者Pの注意方向(視線d1,d2)がどこに向けられているかを検出することができる。
そして、自動機M1は、検出した視線d1,d2に基づいて、注意誘導手段(音声通知部4、発光部50〜54)で利用者Pの注意を、特定部位に誘導するので、利用者Pに自動機M1の操作に集中させることができる。
これにより、自動機M1は、利用者Pが、上述の操作を忘れたり、操作が遅延したりする事態を防止できるようになり、利用者Pが操作を円滑に行なわせしめることができる。
【0039】
また、自動機M1は、利用者Pの画像を解析して、注意方向として利用者Pの視線d1,d2を検出し、この視線d1,d2が自動機M1の特定範囲S以外の部分に外れたときに、注意誘導手段である音声通知部4や発光部50〜54が音声や発光などの誘導動作を行なうので、利用者Pが操作に不慣れなどの理由で、自動機M1の操作に集中しているにも関わらず、自動機M1の不用意な誘導動作が利用者Pに対して行なわれる事態を防止することができる。
これにより、自動機M1は、例えば、利用者Pに、操作を焦らせたりするなどの不快感を生じさせにくくすることができる。
【0040】
また、自動機M1は、利用者Pの視線d1,d2が特定範囲Sから外れたときに、音声通知部4や発光部50〜54の誘導動作が、利用者Pに対して動作するので、利用者Pに注意方向の誤差があっても、特定範囲Sを所定の誤差範囲内に設定することにより、多くの利用者Pに対応させることができる。
なお、特定範囲Sが、ボタン操作部30、通帳出入部34、カード出入部33、紙幣出入部31、硬貨出入部32などを含む平面である構成としたが、これに限定されるものでなく、各部に個別に設定してもよい。このようにすると、取引内容に対応して、各部に、利用者Pの視線d1,d2が向けられていないときに、上述の注意方向の誘導動作を行なうことができるようになるので、自動機M1は、より一層確実に利用者Pの操作を円滑に行なわせしめることができる。
【0041】
また、自動機M1は、視線d1,d2を検知しているので、利用者Pは、上述の操作を行なうときに、操作に関連する部位を目視する場合が多いことから、確実に、利用者Pの注意が自動機M1に離れたか否かを判断することができる。
これにより、自動機M1の制御部2が、音声通知部4及び発光部50〜54に、誘導動作を的確に行なわせることができる。
【0042】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自動機について説明する。
図5は、本発明の第二実施形態に係る自動機を、利用者とともに示す図である。
同図に示すように、本実施形態の自動機M2は、第一実施形態の自動機M1と異なり、撮像手段として複数のカメラ1a,1bを備えている。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
【0043】
このような構成とすると、本実施形態の自動機M2の制御部2は、複数のカメラ1a,1bによる複数の画像に基づいて、利用者Pの視線d1を検出できるようになり、利用者Pの視線d1の検出精度を向上させることができる。
【0044】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る自動機について説明する。
図6は、本発明の第三実施形態に係る自動機を、利用者とともに示す図である。
同図に示すように、本実施形態の自動機M3は、第一実施形態の自動機M1と異なり、制御部2の画像解析プログラム22が、カメラ1が撮像した画像を解析し、注意方向として利用者Pの体の一部又は全部の向きd3がどの方向を向いているかを検出する構成としている。
ここでいう体の向きd3とは、例えば、利用者Pの正面が向いている方向や、顔の正面が向いている方向、腕や手、指が向けられている方向などのことである。本実施形態においては、例えば、利用者Pの上半身の正面の向きd3を検出している。
その他の構成は上記実施形態と同様である。
【0045】
このような構成とすると、本実施形態の自動機M3の制御部2が、利用者Pの体の一部又は全部の向きd3を、注意方向として検出するので、例えば、利用者Pに両眼が無いような障碍があり、視線d1,d2を検出できないような利用者Pにも対応することができる。
なお、上述の第一及び第二実施形態の自動機M1,M2と、本実施形態の自動機M3を組み合わせてもよい。
この場合には、より一層、注意方向の検出精度を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の自動機、操作案内装置、操作案内方法及び操作案内プログラムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、自動機が、競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営競技の投票券の発券機や、現金自動支払機、現金自動預払機である構成としたが、これに限定されるものでなく、例えば、コピー機など人が操作するものであればどのような自動機であってもよい。
【0047】
また、撮像手段であるカメラが、自動機の金銭処理を行なう制御部に接続され、この制御部で、撮像した画像の画像解析を行なう構成としたがこれに限定されるものでなく、例えば、音声などにより誘導動作を行なう部分(操作案内装置)が、自動機と別体である構成としてもよい。自動機と別体の操作案内装置は、既存の自動機にも設けられるので好ましい。
【0048】
また、特定範囲が、ボタン操作部、通帳出入部、カード出入部、紙幣出入部、硬貨出入部などを含む平面である構成としたが、これに限定されるものでなく、例えば、視線の開始点と、その角度範囲などの他のパラメータで設定されてもよい。
また、上述の注意誘導手段の音声通知部が、予め、登録されている音声を出力する構成としたが、例えば、コールセンターなどのオペレータに接続する通話手段を備える構成としてもよい。この場合、オペレータが直接、利用者に音声指示を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一実施形態に係る自動機を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る自動機を利用者とともに示す図であって、利用者の注意方向が特定部位に向けられた状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る自動機を利用者とともに示す図であって、利用者の注意方向が特定部位以外に向けられた状態で示す斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る自動機の動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る自動機を利用者とともに示す斜視図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る自動機を利用者とともに示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
P 利用者
M1〜M3 自動機
1,1a,1b カメラ
2 制御部
20 処理部
21 記憶部
22 画像解析プログラム
23 注意方向判定プログラム
24 誘導制御プログラム
3 入出金部
30 ボタン操作部
31 紙幣出入部
32 硬貨出入部
33 カード出入部
34 通帳出入部
4 音声通知部
50〜54 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機であって、
前記利用者の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段と、
前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段とを備えることを特徴とする自動機。
【請求項2】
前記注意誘導手段が、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導する請求項1記載の自動機。
【請求項3】
前記注意方向検出手段が検出した注意方向が前記特定部位に向いているか否かを判定する注意方向判定手段と、
前記注意方向判定手段が前記注意方向が前記特定部位に向いていないと判定したときに、前記注意誘導手段を動作させる誘導動作制御手段とを備える請求項2記載の自動機。
【請求項4】
前記注意方向判定手段が、前記注意方向が前記特定部位を向いているとみなす特定範囲を設定する特定範囲設定手段を備え、
前記注意方向判定手段が、前記特定範囲設定手段で設定された特定範囲に基づいて、前記注意方向が前記特定部位に向いているか否かを判定する請求項3記載の自動機。
【請求項5】
前記注意方向検出手段が、前記注意方向として、前記利用者の画像に含まれる当該利用者の顔から前記利用者の視線を検出する請求項3又は4記載の自動機。
【請求項6】
前記注意方向検出手段が、前記注意方向として、前記利用者の画像に含まれる当該利用者の体の一部又は全部の方向を検出する請求項3又は4記載の自動機。
【請求項7】
利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機における前記利用者の操作案内装置であって、
前記利用者の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段と、
前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段とを備えることを特徴とする操作案内装置。
【請求項8】
前記注意誘導手段が、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導する請求項7記載の操作案内装置。
【請求項9】
利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機における前記利用者の操作案内方法であって、
前記利用者の画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像手段が撮像した利用者の画像から前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出ステップと、
前記注意方向検出ステップで検出した注意方向に基づいて、前記利用者の注意を誘導する注意誘導ステップとを含むことを特徴とする操作案内方法。
【請求項10】
前記注意誘導ステップにおいて、前記利用者の操作に関連する前記自動機の特定部位に前記利用者の注意を誘導する請求項9記載の操作案内方法。
【請求項11】
利用者の操作に応じて所定の処理を行なう自動機のコンピュータを、
前記利用者の画像を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した利用者の画像に基づいて、前記利用者の注意方向を検出する注意方向検出手段、
前記注意方向検出手段が検出した注意方向に基づいて、前記利用者の注意を誘導する注意誘導手段として機能させるための操作案内プログラム。
【請求項12】
前記自動機のコンピュータを、
前記注意誘導手段が、前記利用者の操作に関連する特定部位に前記利用者の注意を誘導するように機能させるための請求項10記載の操作案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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