説明

自動注湯機への溶湯供給方法およびその設備

【課題】高速鋳型造型機の鋳型造型速度に対応することが可能な上に、注湯取鍋の溶湯の材質と鋳型に注湯するそれとが合致する溶湯を自動注湯機へ供給可能な自動注湯機への溶湯供給方法を提供する。
【解決手段】溶解炉から自動注湯機の注湯取鍋に溶湯を供給する方法であって、溶解炉と前記注湯取鍋とを溶湯について連結する処理取鍋に所要量の合金成分材を投入したのち、処理取鍋に溶解炉から溶湯を供給し、供給された溶湯を貯留した処理取鍋を待機させる工程と、自動注湯機から取り外した注湯取鍋を、待機中の処理取鍋まで移動させる工程と、待機中の処理取鍋から注湯取鍋に溶湯を空ける工程と、溶湯を注湯された注湯取鍋を自動注湯機に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動注湯機への溶湯供給方法およびその設備に係り、より詳しくは、高速鋳型造型機で造型された鋳型数の情報と、予定された鋳型数にしたがって、自動注湯機の注湯情報および溶解炉からの溶湯情報をもとにして、自動注湯機に溶湯を供給するのに好適な方法およびその設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動注湯機を用いた鋳造設備の一つとして、複数の造型枠を列状に搬送する枠体搬送装置と、造型枠に掛堰を装着する掛堰移動装置と、造型枠に溶湯を注湯する注湯取鍋を有する注湯台車装置と、注湯取鍋に供給する溶湯を適温に保持して貯留する保持炉と、注湯取鍋に合金成分材を投入する合金成分材投入装置と、各装置を制御する制御装置とを備え、注湯台車装置は、合金成分材投入装置から合金成分材を受け取る合金成分材投入位置と、保持炉から溶湯を受け取る溶湯投入位置と、枠体搬送装置上の造型枠に注湯する注湯位置とに亘って巡回移動する機能を有する構成としたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1 : 特開平11−207458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように構成された従来の鋳造設備を、造型タクトが例えば数秒から数十秒と短い高速の鋳型造型機に適用すると、鋳型造型の高速化に伴って溶解炉の原料の溶解時間が短くなり、しかも、溶湯の温度管理上、取鍋内の溶湯量を多くする必要がある。また、鋳型造型機から鋳型内蔵の鋳枠が列状に送り出されて構成された造型鋳型ラインにおける注湯待ち鋳型の数が多くなり、しかも、鋳型に注湯すべき溶湯の材質と合致する溶湯を注湯取鍋に適確に貯留しておくことが困難なため、取鍋の溶湯が余って廃棄することさえある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、高速鋳型造型機の鋳型造型速度に対応することが可能な上に、注湯取鍋の溶湯の材質と鋳型に注湯するそれとが合致する溶湯を自動注湯機に適確に供給可能な自動注湯機への溶湯供給方法およびその設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明における自動注湯機への溶湯供給方法は、溶解炉から自動注湯機の注湯取鍋に溶湯を供給する方法であって、溶解炉と注湯取鍋とを溶湯について連結する処理取鍋に所要量の合金成分材を投入したのち、処理取鍋に溶解炉から溶湯を供給し、供給された溶湯を貯留した処理取鍋を待機させる工程と、自動注湯機から取り外した注湯取鍋を、待機中の処理取鍋まで移動させる工程と、待機中の処理取鍋から注湯取鍋に溶湯を空ける工程と、溶湯を注湯された注湯取鍋を自動注湯機に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、溶解炉と注湯取鍋とを溶湯について連結する処理取鍋に所要量の合金成分材を投入したのち処理取鍋に溶解炉から溶湯を供給し、供給された溶湯を貯留した処理取鍋を待機させる工程と、自動注湯機から取り外した注湯取鍋を待機中の処理取鍋まで移動させる工程と、待機中の処理取鍋から注湯取鍋に溶湯を空ける工程と、溶湯を注湯された注湯取鍋を自動注湯機に取り付ける工程と、を含むから,待機中の処理取鍋から注湯取鍋に所要量の溶湯を適確に供給することができ、高速鋳型造型機の鋳型造型速度に対応させることが可能な上に、注湯取鍋の溶湯の材質と鋳型に注湯するそれとが合致する溶湯を自動注湯機に短時間に供給することが可能になるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した鋳造設備の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の鋳造設備における主要部の装置である処理取鍋搬送台車の正面図である。
【図3】図1の鋳造設備における主要部の装置である合金成分材投入装置の側面図である。
【図4】図1の鋳造設備における主要部の装置である自動注湯機の正面図である。
【図5】図1の鋳造設備における主要部の装置である第1溶湯取鍋搬送台車の正面図である。
【図6】図1の鋳造設備における主要部の装置である第2溶湯取鍋搬送台車の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した鋳造設備の一実施例について図1〜図6に基づき詳細に説明する。図1に示すように、本鋳造設備は、合金成分材投入装置4と共に造型鋳型ライン7と平行に左右方向に一列に並べて設置された複数の溶解炉1・1と、各溶解炉1から溶湯を受け入れ一時的に貯留する処理取鍋2を各溶解炉1の位置に搬入・搬出する処理取鍋搬送台車3と、左端の溶解炉1に隣接して設置されて処理取鍋2に合金成分材を投入する合金成分材投入装置4と、鋳型造型機5から鋳型内蔵の鋳枠6が列状に送り出されて構成された造型鋳型ライン7と、造型鋳型ライン7の鋳枠6群に同調して移動可能でありかつ注湯取鍋8を備えて鋳型に自動注湯を行う自動注湯機9と、注湯取鍋8を造型鋳型ライン7に沿って搬送可能な第1溶湯取鍋搬送台車10と、注湯取鍋8を処理取鍋搬送台車3と第1溶湯取鍋搬送台車10との間を往復搬送する第2溶湯取鍋搬送台車11と、各装置をそれぞれ制御する制御手段(図示せず)と、で構成してある。
なお、各種の装置は、溶解炉1群の熱から作業者を保護するため、溶解炉1群から引き離して設置してある。
【0010】
そして、図2に示すように、処理取鍋搬送台車3は、台車本体12に車輪駆動機構13が設けてあって、車輪駆動機構13の駆動により、図1において、合金成分材投入装置4および溶解炉1群の前方位置に敷設した第1レール14上を走行可能になっている。また、図2に示すように、処理取鍋搬送台車3においては、処理取鍋2は、台車本体12に設けた昇降機構15に装着してあって昇降可能であり、かつ、昇降機構15に装着した傾動機構16によって傾動可能になっている。さらに、処理取鍋2内の溶湯重量は台車本体12に装着した重量計量機構17によって計量可能になっている。
【0011】
また、図3に示すように、合金成分材投入装置4においては、4種の合金成分材をそれぞれ収納した4個のホッパ18・18が設けてあり、各ホッパ18の下端の排出口には重量計量機構19が、また重量計量機構19の下面には開閉機構20がそれぞれ装着してある。また、4個の開閉機構20・20の真下にはこれらに沿って延びるベルトコンベア21が配設してあり、ベルトコンベア21の左端の搬出位置には合金成分材投入機構22が配設してある。
【0012】
また、図4に示すように、自動注湯機9には、走行台車23と、走行台車23に装着されて走行台車23の車輪を駆動する車輪駆動機構24と、走行台車23に装着されかつ着脱可能にして載置された注湯取鍋8を昇降可能な昇降機構25と、昇降機構25に装着されて注湯取鍋8を傾動可能な傾動機構26と、走行台車23に装着されて昇降機構25および傾動機構26を前後方向へ移動可能な前後移動機構27と、走行台車23に装着されて注湯取鍋8を前後に移動させる駆動ローラ機構28と、走行台車23に装着されて注湯取鍋8内の溶湯重量の計量が可能な重量計量機構29と、造型鋳型ライン7の鋳枠6に対する位置を検出する位置検出機構30とが設けてある。そして、自動注湯機9は車輪駆動機構24の駆動により、図1において、造型鋳型ライン7に沿って敷設されたレール31を介して走行可能になっている。
【0013】
また、図5に示すように、第1溶湯取鍋搬送台車10は、台車本体32に車輪駆動機構33が設けてあって、車輪駆動機構33の駆動により、図1において、自動注湯機9群の背後位置にこれに沿って敷設された第2レール34上を走行可能になっている。
また、図5に示すように、台車本体32に装着した駆動ローラ35の駆動によって注湯取鍋8を前後方向へ移動可能になっている。
【0014】
また、図6に示すように、第2溶湯取鍋搬送台車11は、台車本体36に車輪駆動機構37が設けてあって、車輪駆動機構37の駆動により、図1において、処理取鍋搬送台車3と第1溶湯取鍋搬送台車10とを繋ぐようにして第1レール14と第2レール34との間にこれらと直交して敷設された第3レール38上を走行可能になっている。そして、注湯取鍋8は、台車本体36に装着した駆動ローラ39上に着脱可能にして載せられ、かつ駆動ローラ39の駆動によって注湯取鍋8を第3レール38の延びる方向へ往復移動が可能になっている。これにより、第2溶湯取鍋搬送台車11は、処理取鍋搬送台車3と第1溶湯取鍋搬送台車10との間を往復移動して空の注湯取鍋8を処理取鍋搬送台車3位置に搬送するとともに、溶湯が注湯された注湯取鍋8を処理取鍋搬送台車3位置から第1溶湯取鍋搬送台車10位置まで搬送することができるようになっている。
【0015】
このように構成したものは、合金成分材投入装置4の重量計量機構19および開閉機構20をそれぞれ作動させて所要量の合金成分材をベルトコンベア21に落下させたのち、合金成分材投入機構22によって合金成分材を処理取鍋2に投入し、続いて、合金成分材を投入した処理取鍋2を処理取鍋搬送台車3によって溶解炉1位置まで移動させて、合金成分材の溶湯に対する成分比率を精確にすべく、予め受信している供給溶湯量を、処理取鍋搬送台車3の重量計量機構17の管理の下に、溶解炉1から処理取鍋2に供給する。そして供給された溶湯を貯留した処理取鍋2を第3レール38と対応する位置まで処理取鍋搬送台車3によって搬送して待機させる。
【0016】
こうして、溶解炉1から処理取鍋2に溶湯を供給している間に、2台の自動注湯機9・9によって造型鋳型ライン7の2個の鋳型にそれぞれ注湯する。
すなわち、各自動注湯機9は、位置検出機構30の検出結果に基づき、相対向する鋳型に注湯すべき溶湯の材質、鋳込み量を読み込み、注湯すべき溶湯の材質と注湯取鍋8内のそれとが合致していることを確認したのち、重量計量機構29の管理の下に、昇降機構25、傾動機構26および前後移動機構27を連動させて、注湯取鍋8から鋳型に鋳込み量を注湯する。こうして注湯を繰り返して、注湯取鍋8内の残留している溶湯量が1個の鋳型の鋳込み量未満になった時点で、その注湯取鍋8は注湯完了とみなす。
【0017】
注湯取鍋8が注湯完了の状態になると、昇降機構25によって注湯完了の注湯取鍋8を下降させて駆動ローラ機構28上に載せ、続いて、注湯完了の注湯取鍋8を、駆動ローラ機構28および第1溶湯取鍋搬送台車10の駆動ローラ35の連動によって、自動注湯機9から第1溶湯取鍋搬送台車10に移し替える。次いで、注湯完了の注湯取鍋8を第1溶湯取鍋搬送台車10によって第3レール38と対向する位置(第3レール38と最近接する位置)まで搬送し、続いて、駆動ローラ35および第2溶湯取鍋搬送台車11の駆動ローラ39の連動により、注湯完了の注湯取鍋8を第1溶湯取鍋搬送台車10から第2溶湯取鍋搬送台車11に移し替えたのち、注湯完了の注湯取鍋8を第2溶湯取鍋搬送台車11により処理取鍋搬送台車3の待機位置まで搬送する。
【0018】
次いで、処理取鍋搬送台車3の重量計量機構17の管理の下に、処理取鍋搬送台車3の傾動機構16によって処理取鍋2を傾動させて処理取鍋2の溶湯を注湯完了の注湯取鍋8に空け、続いて、溶湯を供給された注湯取鍋8を第2溶湯取鍋搬送台車11により、第1溶湯取鍋搬送台車10が待機している位置まで戻す。次いで、溶湯を供給された注湯取鍋8を、駆動ローラ39・35の連動により、第2溶湯取鍋搬送台車11から第1溶湯取鍋搬送台車10に移し替え、続いて、注湯取鍋8を駆動ローラ35・28の連動により、第1溶湯取鍋搬送台車10から自動注湯機9に移し替え、その後、同様にして自動注湯機9から造型鋳型ライン7の鋳型に注湯する。
【0019】
こうして、1台の自動注湯機9で鋳型に注湯を行っている間、他の1台の自動注湯機9に溶湯を供給するため、制御手段において、次の回路によって演算などの工程を行う。すなわち、処理取鍋2の溶湯を注湯完了の注湯取鍋8に空け終えた時点で、注湯中の他方の自動注湯機9の注湯取鍋8内に残留している溶湯が鋳込み可能な鋳型数と、処理取鍋2から注湯完了の注湯取鍋8に空けられた溶湯が鋳込み可能な鋳型数とを演算する回路によって注湯取鍋8内に残留している溶湯が鋳込み可能な鋳型数と、処理取鍋2から注湯完了の注湯取鍋8に空けられた溶湯が鋳込み可能な鋳型数とを演算し、こうして演算した2つの鋳込み可能な鋳型数を足し算して鋳込み可能な総鋳型数を求める回路によって鋳込み可能な総鋳型数を求める。次いで、この鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン7上の未注湯の鋳型数を超えるか否かを判定する回路によって鋳型数を越えるか否かを判定し、総鋳型数が未注湯の鋳型数以内ならば、総鋳込み量と造型鋳型ライン7上の未注湯の鋳型数とから、溶解炉1から注湯完了の処理取鍋2に供給すべき溶湯量を演算する回路によって供給すべき溶湯量を演算し、この演算結果に基づき、合金成分材投入装置4から注湯完了の処理取鍋2に供給すべき4種の合金成分材の目標値を決定する回路によって目標値を決定し、この目標値を合金成分材投入装置4の制御装置に送信する。また、溶湯量目標値も処理取鍋搬送台車3の制御装置に送信する。
【0020】
また、造型鋳型ライン7上の未注湯の鋳型に注湯する溶湯に材質の変更があるか否かを判定する回路によって材質の変更があるか否かを判定し、変更がある場合には、材質変更時点までの総鋳込み量を再演算し、かつ、予定した最低総鋳込み量を超えていることを確認して、4種の合金成分材の目標値を決定する回路によって目標値を決定する。
なお、総鋳込み量が予定の最低総鋳込み量未満の場合には、溶湯を処理取鍋2から注湯取鍋8に空ける工程を停止する回路によって溶湯を処理取鍋2から注湯取鍋8に空ける工程を停止する。
【0021】
他方、上述の鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン7上の未注湯の鋳型数を超えた場合には、予定鋳型数の次回分に係る溶湯の材質が、注湯中のそれと同一か否か判定する回路によって注湯中のそれと同一か否かを判定する。
予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと同一の場合には、鋳込み量と造型鋳型ライン7上の未注湯の鋳型数とから注湯取鍋8の容量以下の溶湯量を演算する回路によって注湯取鍋8の容量以下の溶湯量を演算し、かつ、この演算結果に基づき、合金成分材投入装置4から空の処理取鍋2に供給すべき4種の合金成分材の計量値を決定する回路によって4種の合金成分材の計量値を決定する。
なお、本明細書、図面における合金成分材投入装置では4種の合金成分材を収納した4個のホッパが設けてあるが、合金成分材は4種に限らず必要に応じてその種類を増減することができ、それに対応してホッパ数を適宜調整することができる。
【0022】
また、予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと相違する場合には、予定の最低総鋳込み量を超えることを確認して、4種の合金成分材の目標値を決定する回路によって目標値を決定する。
なお、総鋳込み量が予定の総鋳込み量以内の場合には、溶湯を処理取鍋2から注湯取鍋8に空ける工程を停止する回路によって注湯取鍋8に空ける工程を停止する。
【0023】
なお、上述の実施例では、自動注湯機9を2台設けたが、注湯領域が長くとれ、同期注湯などで注湯時間に余裕がある場合は、自動注湯機を1台にしてもよい。
【0024】
この出願は、日本国で2009年6月16日に出願された特願2009−142986号及び2010年1月8日に出願された特願2010−003149号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は本明細書の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 溶解炉
2 処理取鍋
3 処理取鍋搬送台車
4 合金成分材投入装置
7 造型鋳型ライン
8 注湯取鍋
9 自動注湯機
10 第1溶湯取鍋搬送台車
11 第2溶湯取鍋搬送台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解炉から自動注湯機の注湯取鍋に溶湯を供給する方法であって、
前記溶解炉と前記注湯取鍋とを溶湯について連結する処理取鍋に所要量の合金成分材を投入したのち、この処理取鍋に前記溶解炉から溶湯を供給し、供給された溶湯を貯留した処理取鍋を待機させる工程と、
前記自動注湯機から取り外した注湯取鍋を、待機中の処理取鍋まで移動させる工程と、
待機中の処理取鍋から前記注湯取鍋に溶湯を空ける工程と、
溶湯を注湯された注湯取鍋を前記自動注湯機に取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする溶解炉から自動注湯機への溶湯供給方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶解炉から自動注湯機への溶湯供給方法において、
ある1台の前記自動注湯機で鋳型に注湯を行っている間、他の1台の前記自動注湯機に溶湯を供給するため、
処理取鍋の溶湯を注湯完了の注湯取鍋に空け終えた時点で、注湯中の自動注湯機の注湯取鍋内に残留している溶湯が鋳込み可能な鋳型数と、処理取鍋から注湯完了の注湯取鍋に注湯された溶湯が鋳込み可能な鋳型数とを演算する工程と、
こうして演算した2つの鋳込み可能な鋳型数を足し算して鋳込み可能な総鋳型数を求める工程と、
この鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数を超えるか否かを判定する工程と、
総鋳型数が未注湯の鋳型数以内ならば、総鋳込み量と造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数とから、溶解炉から注湯完了の処理取鍋に供給すべき溶湯量を演算する工程と、
この演算結果に基づき、合金成分材投入装置から注湯完了の処理取鍋に供給すべき合金成分材の目標値を決定する工程と、
造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型に注湯する溶湯に材質の変更があるか否かを判定する工程と、
変更がある場合には、材質変更時点までの総鋳込み量を再演算し、かつ、予定した最低総鋳込み量を超えていることを確認して、合金成分材の目標値を決定する工程と、
鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数を超えた場合には、予定鋳型数の次回分に係る溶湯の材質が、注湯中のそれと同一か否か判定する工程と、
予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと同一の場合には、鋳込み量と造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数とから注湯取鍋の容量以下の溶湯量を演算する工程と、
この演算結果に基づき、合金成分材投入装置から空の処理取鍋に供給すべき合金成分材の計量値を決定する工程と、
予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと相違する場合には、予定の最低総鋳込み量を超えることを確認して、各合金成分材の目標値を決定する工程と、
を行うことを特徴とする溶解炉から自動注湯機への溶湯供給方法。
【請求項3】
溶解炉から溶湯を自動注湯機に供給する設備であって、
溶解炉から溶湯を受け入れ一時的に貯留する処理取鍋を溶解炉位置に搬入・搬出する処理取鍋搬送台車と、
溶解炉に隣接して設置されて処理取鍋に合金成分材を投入する合金成分材投入装置と、
鋳型造型機から鋳型内蔵の鋳枠が列状に送り出されて構成された造型鋳型ラインの鋳枠群に同調して移動可能でありかつ注湯取鍋を備えて鋳型に自動注湯を行う自動注湯機と、
注湯取鍋を造型鋳型ラインに沿って搬送可能な第1溶湯取鍋搬送台車と、
前記注湯取鍋を前記処理取鍋搬送台車と前記第1溶湯取鍋搬送台車との間を往復搬送する第2溶湯取鍋搬送台車と、
各装置をそれぞれ制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項4】
前記溶解炉が、合金成分材投入装置と共に前記造型鋳型ラインと平行に一列に設置された複数の溶解炉であることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項5】
前記処理取鍋搬送台車は、
台車本体と、前記台車本体に設けた昇降機構と、前記昇降機構に装着した傾動機構と、処理取鍋内の溶湯重量を計量する重量計量機構を備え、
前記合金成分材投入装置および前記溶解炉の前方位置に敷設した第1レールを介してこれらの間を走行可能になっていることを特徴とする請求項3又は4記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項6】
前記合金成分材投入装置は、
4種の合金成分材をそれぞれ収納した4個のホッパと、
前記ホッパの下端の排出口にある重量計量機構と、
前記重量計量機構の下面にある開閉機構と、
前記開閉機構の真下にこれらに沿って延びるベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの左端の搬出位置に配設される合金成分材投入機構と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項7】
前記自動注湯機は、
走行台車と、
前記走行台車に装着されて前記走行台車の車輪を駆動する車輪駆動機構と、
前記走行台車に装着されかつ着脱可能にして載置された注湯取鍋を昇降可能な昇降機構と、
前記昇降機構に装着されて前記注湯取鍋を傾動可能な傾動機構と、
前記走行台車に装着されて前記昇降機構および前記傾動機構を走行方向と直交する前後方向へ移動可能な前後移動機構と、
前記走行台車に装着されて前記注湯取鍋を前後に移動させる駆動ローラ機構と、
前記走行台車に装着されて前記注湯取鍋内の溶湯重量を計量可能な重量計量機構と、
前記造型鋳型ラインの鋳枠に対する位置を検出する位置検出機構、
を備えることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項8】
前記第1溶湯取鍋搬送台車は、
台車本体と、台車本体に設けられた車輪駆動機構と、台車本体に装着した駆動ローラを備え、
前記車輪駆動機構の駆動により前記自動注湯機の背後位置にこれに沿って敷設された第2レール上を走行可能、かつ、前記駆動ローラの駆動によって注湯取鍋を第2レールと直交する前後方向へ移動可能になっていることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項9】
前記第2溶湯取鍋搬送台車は、
台車本体と、前記台車本体に設けられた車輪駆動機構と、前記台車本体に装着された駆動ローラを備え、
前記車輪駆動機構の駆動により前記処理取鍋搬送台車と前記第1溶湯取鍋搬送台車とを繋ぐようにして第1レールと第2レール間にこれらと直交して敷設された第3レール上を走行可能かつ、前記注湯取鍋は、前記駆動ローラ上に着脱可能にして載せられ、前記駆動ローラの駆動によって第3レールの延びる方向へ往復移動が可能になっていることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。
【請求項10】
前記制御手段が、
ある1台の前記自動注湯機で鋳型に注湯を行っている間、他の1台の前記自動注湯機に溶湯を供給するため、
処理取鍋の溶湯を注湯完了の注湯取鍋に空け終えた時点で、注湯中の自動注湯機の注湯取鍋内に残留している溶湯が鋳込み可能な鋳型数と、処理取鍋から注湯完了の注湯取鍋に空けられた溶湯が鋳込み可能な鋳型数とを演算する回路と、
こうして演算した2つの鋳込み可能な鋳型数を足し算して鋳込み可能な総鋳型数を求める回路と、
この鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数を超えるか否かを判定する回路と、
総鋳型数が未注湯の鋳型数以内ならば、総鋳込み量と造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数とから、溶解炉から注湯完了の処理取鍋に供給すべき溶湯量を演算する回路と、
この演算結果に基づき、合金成分材投入装置から注湯完了の処理取鍋に供給すべき合金成分材の目標値を決定する回路と、
造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型に注湯する溶湯に材質の変更があるか否かを判定する回路と、
変更がある場合には、材質変更時点までの総鋳込み量を再演算し、かつ、予定した最低総鋳込み量を超えていることを確認して、合金成分材の目標値を決定する回路と、
鋳込み可能な総鋳型数が造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数を超えた場合には、予定鋳型数の次回分に係る溶湯の材質が、注湯中のそれと同一か否か判定する回路と、
予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと同一の場合には、鋳込み量と造型鋳型ライン上の未注湯の鋳型数とから注湯取鍋の容量以下の溶湯量を演算する回路と、
この演算結果に基づき、合金成分材投入装置から空の処理取鍋に供給すべき合金成分材の計量値を決定する回路と、
予定鋳型数の次回分の溶湯材質が注湯中のそれと相違する場合には、予定の最低総鋳込み量を超えることを確認して、各合金成分材の目標値を決定する回路と
を備えていることを特徴とする請求項3記載の自動注湯機への溶湯供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166271(P2012−166271A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134544(P2012−134544)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2011−519646(P2011−519646)の分割
【原出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【出願人】(391020492)藤和電気株式会社 (11)
【Fターム(参考)】