説明

自動的なファイバ配置用のトウ切断の検証

【課題】フォーム上に複合材料のトウを自動的に配置する装置において、トウの配置の不一致の発生がトウの切断に使用される自動化カッターの動作に関連するか否かを判定する方法と装置に関する。
【解決手段】自動化ファイバ配置マシン20のトウカッター34の動作はファイバ配置の不一致がカッターの動作に関連するか否かを決定するために監視される。マシン可視システム39はトウ配置における不一致を検出し、カッターの付勢を表すタイミング信号が発生される。タイミング信号はトウ22の配置における不一致がカッターの動作に関連するか否かを決定するため配置されたトウの記録された画像に相関される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーム(form)上に複合材料のトウを自動的に配置する装置に関し、特にトウ配置の不一致がトウが配置されるときトウを長さに切断するために使用される自動化カッターの動作に関連するか否かを決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、船舶、航空宇宙産業で使用されるような複合部品及び構造は自動化複合材料適用マシンを使用して製造されることができる。例えば自動化ファイバ配置(AFP)マシンはスリット複合テープまたは「トウ」の比較的狭い条帯をマンドレルのような回転する製造ツール周囲の広い帯へ平行に巻き付けることによりほぼ円筒形または管状の複合部品を製造することに使用されることができる。AFPマシンは典型的に「オン・ザ・フライで」ファイバのトウを配置し切断することを含めたアプリケーションヘッドおよび補助的機能の動作を制御するNC(数値制御)またはCNC(コンピュータ数値制御)制御装置により動作される。
【0003】
典型的なAFPマシン応用では、炭素ファイバエポキシのトウはガイドのセットを通って冷凍されたクリールハウスの保管スプールまたはクリールから引張られる。ガイドから、トウはカッターアセンブリに入り、ここでトウはトウの帯とも呼ばれる材料のコースが基板上に置かれるときナイフによって正確な長さに切断される。基体はツール、マンドレル、または前もって配置され圧縮されている複合材料の1以上の下に位置する層を具備することができる。各トウは専用の切断ナイフを有するが、ナイフの数はトウの数と、各トウの幅に基づいて変化することができる。トウがカッターアセンブリから現れるとき、これらは圧縮ローラー上を通過し、その圧縮ローラーはトウを基体表面上に与え加圧する。樹脂の粘着性を増加するためにトウが基体上に置かれる直前に熱がトウに与えられることができる。AFPマシンを通してトウの引張りを補助するために常に張力がトウ上で維持される。
【0004】
トウの帯が載置されるとき、幾つかの原因のために1以上のトウが帯から外れる可能性がある。例えば、クリールのトウ材料が尽きてなくなるか、トウが張力で破損し、自由セグメントが部分的なセグメントとして載置されるか、或いは全体が基体から脱落する可能性がある。また、トウはAFPマシンを通って通過するときに詰まり、基体への供給が妨げられる可能性がある。さらに切断ナイフの付勢が早まり、トウが短く切断される可能性がある。幾つかの応用では、トウの帯は設計により狭くされる場合があり、これには1以上のトウが意図的に脱落されるか短く切断されることを必要とする。他の応用では、トウの帯は狭い区域から広い区域へ幅を増加する可能性があり、先に切断され移動を遮られているトウの付加を必要とする。前述のタイプの出来事が生じたとき、またはトウが誤った位置に置かれたならば、好ましくはほぼ実時間でその発生を決定することが重要である。
【0005】
進行中の可視検査システムはミスされたおよび/または誤った位置に置かれたトウを検出するために考えられている。これらの検査システムは不一致を識別するための自動化画像化解析技術を組み込むことができるマシン可視技術を使用して基体表面の遠隔的観察にしたがっている。システムは生じ得る破断または詰まりについてトウの転送を監視するためのカメラを含むことができる。しかしながら、これらの従来のシステムにはカッターナイフが適切に動作しているか否か、またはトウの配置の不一致がカッターナイフの動作に関連しているか否かを迅速に決定することか効率的に行えるものはない。
【0006】
したがって、カッターナイフの動作を直接監視し、ミスされたトウとトウの誤った配置をカッターナイフの動作と相関させるシステムが必要とされている。本発明の実施形態はこの要求を満たすことを意図している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、切断ナイフが正常に動作しているか否か、トウの配置の不一致が切断ナイフの動作に関連しているか否かをオペレータがほぼ実時間で決定することを可能にする方法で切断ナイフの動作の直接監視を行う。切断ナイフの動作は連続的に、及び直接的に監視され、それによって機能不全は直ちにオペレータへ報告されることができるか、AFPマシンの動作を中断または変更するために使用される。トウの画像はトウが基体表面上に配置されているときに記録される。これらの画像はその後切断ナイフの動作と相関され、それによってオペレータは迅速に、可視的にトウの配置の不一致をそのトウの配置の不一致の原因となる切断ナイフの動作と関連付けることができる。
【0008】
1つの開示された実施形態によれば、自動ファイバ配置マシンで使用されるファイバのトウを長さに切断するためのカッターの動作を監視するための方法が与えられる。その方法はカッターの動作を表している時間に関するデータを記録し、トウが切断され配置されるときの各トウの画像を記録し、記録されたデータを記録された画像と関連付ける処理を含んでいる。時間に関するデータはカッターがトウを切断するように付勢されるときタイミング信号を発生し、そのタイミング信号を処理するためのプロセッサへ送信し、トウの配置を可能にするのに十分な時間の長さだけタイミング信号の処理を遅延することにより記録されることができる。記録された時間に関するデータを記録された画像と関連付けることは、隣接する画像のトウを切断するカッターが適切に機能しているか否かの可視的指示の近くに各記録された画像を配置することにより実現されることができる。この方法はさらに記録された画像を解析し、カッターの動作に関するトウの配置に不一致が存在するか否かを決定する動作を含んでいる。解析はトウの配置の不一致を表す可能性がある記録された画像の測定特性を含むことができる。
【0009】
別の開示された実施形態によれば、自動ファイバ配置マシン中でファイバのトウを長さに自動的に切断するために使用されるカッターの動作を監視するための方法が与えられる。この方法はマシンにより配置されたトウの行の少なくとも一部の画像を記録し、トウの配置期間中に各カッターがトウを長さに切断するために付勢されるときの時間点を記録し、不一致がトウの配置に存在するか否かを検出するために記録された画像を使用し、記録されている時間点を検出された不一致と相関することによって、カッターが検出された不一致の原因であるか否かを決定する処理を含んでいる。不一致の検出はその不一致を表す可能性がある記録された画像中の特性を測定することを含んでいる。特性測定の結果はその結果が不一致を明らかにするか否かを決定するために基準の標準のセットと比較されることができる。この方法はさらに検出された不一致を分類し、不一致の分類に基づいてカッターの動作の機能不全を宣言することを含むことができる。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、ファイバ配置マシンでトウを切断するために使用されるカッターの動作を監視するシステムが提供される。このシステムはマシンにより配置されたトウの画像を記録する画像記録手段と、記録された画像を使用してトウの配置の不一致を検出する手段と、不一致をカッターの動作と相関する手段とを具備することができる。システムはさらに各カッターの付勢を検出し、カッターがトウを長さに切断するために付勢されるときの時間点をそれぞれ表すタイミング信号を発生する手段を具備することができる。画像記録手段は配置されているトウを照明する手段と、トウが配置されているときトウの時間にわたる一連の画像を記録する少なくとも1つのカメラを含むことができる。照明手段は少なくとも1つのレーザを含むことができ、相関手段は画像解析プログラムを使用するプログラムされたコンピュータを含むことができる。システムはさらに画像記録手段により記録された画像を表示するためのディスプレイと、カッターの動作をそれぞれ示すための複数の可視インジケータを含んだユーザインターフェースを含むことができる。
【0011】
1.アクチュエイタの動作を示している時間に関するデータを記録し、
トウが配置されるときの各トウの画像を記録し、
記録されたデータを記録された画像と関連付けるステップを含んでいるファイバのトウを処理するための自動ファイバ配置マシンで使用されるアクチュエイタの動作を監視する方法。
【0012】
2.前記時間に関するデータの記録は、
アクチュエイタがトウを処理するように付勢されるときタイミング信号を発生し、
前記タイミング信号を処理するためにプロセッサへ前記タイミング信号を送信し、
前記トウの配置を可能にするのに十分な時間の長さだけタイミング信号の処理を遅延させるステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【0013】
3.請求項1記載の方法により監視されるアクチュエイタを有する自動化ファイバ配置マシンにより製造される航空機サブアセンブリ。
【0014】
4.記録されたデータを関連付けることは、アクチュエイタが適切に機能しているか否かの可視的指示の近くに各記録された画像を配置することを含んでいる請求項1記載の方法。
【0015】
5.時間に関するデータの記録は、アクチュエイタがトウを処理するために付勢されるときの時間点を記録処理を含み、
画像の記録はトウの一連の画像の記録を含み、
前記記録されたデータの関連付けは記録された画像をアクチュエイタの動作を表す可視的指示の近くに表示することを含んでいる請求項1記載の方法。
【0016】
6.さらに、前記記録された画像を解析し、
アクチュエイタの動作に関連する不一致がトウの配置中に存在するか否かを決定することを含んでいる請求項1記載の方法。
【0017】
7.画像の解析はトウの配置の不一致を表している記録された画像の特性の測定を含んでいる請求項6記載の方法。
【0018】
8.自動ファイバ配置マシンと共に使用するために、ファイバのトウを長さに自動的に切断するために使用されるカッターの動作を監視する方法において、
マシンにより配置されたトウの行の少なくとも一部の画像を記録し、
トウの配置期間中に各カッターがトウを長さに切断するために付勢されるときの時間点を記録し、
不一致がトウの配置に存在するか否かを検出するために記録された画像を使用し、
記録されている時間点を検出された不一致と相関することによって、カッターが検出された不一致の原因であるか否かを決定する監視方法。
【0019】
9.画像の使用は記録された時間点と行中のトウとを相関させる処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【0020】
10.請求項8記載の方法により監視されるトウカッターを有する自動ファイバ配置マシンを使用して製造されるビークルのサブアセンブリ。
【0021】
11.画像の使用は、不一致を表すことができる記録された画像中の特性を測定する処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【0022】
12.画像の使用は特性測定の結果を基準の標準セットと比較する処理を含んでいる請求項11記載の方法。
【0023】
13.さらに、検出された不一致を分類し、
不一致の分類に基づいてカッターの動作の故障を宣言する処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【0024】
14.さらに、記録された画像中の各トウを、トウを長さに切断するために使用されるカッターの動作状態と可視的に関連付ける請求項8記載の方法。
【0025】
15.さらに、記録された画像を可視的に表示し、
表示された画像中にトウに近い各カッターの動作状態をそれぞれ可視的に表示する請求項8記載の方法。
【0026】
16.ファイバ配置マシンでトウを長さに切断するために使用されるカッターの動作を監視するシステムにおいて、
マシンにより配置されたトウの画像を記録する画像記録手段と、
記録された画像を使用してトウの配置の不一致を検出する手段と、
不一致をカッターの動作と相関する手段とを具備しているシステム。
【0027】
17.さらに各カッターの付勢を検出し、カッターがトウを長さに切断するために付勢されるときの時間点をそれぞれ表すタイミング信号を発生する手段を具備している請求項16記載のシステム。
【0028】
18.画像記録手段は、
配置されているトウを照明する手段と、
配置されているトウの時間にわたる一連の画像を記録する少なくとも1つのカメラを含んでいる請求項16記載のシステム。
【0029】
19.照明手段は少なくとも1つのレーザを含んでいる請求項18記載のシステム。
【0030】
20.相関手段はプログラムされたコンピュータを含んでいる請求項16記載のシステム。
【0031】
21.さらに画像記録手段により記録された画像を表示するためのディスプレイを含んでいるユーザインターフェースを具備している請求項16記載のシステム。
【0032】
22.ユーザインターフェースはさらに、カッターの動作をそれぞれ示すための複数の可視インジケータを含んでおり、可視インジケータは表示された画像ではトウに対して可視的に関連可能な関係で整列されており、それによって不一致を有するトウはその不一致を有するトウを切断するために使用されるカッターの動作に関連されることができる請求項21記載のシステム。
【0033】
23.前記相関手段は画像解析プログラムを含んでいる請求項16記載のシステム。
【0034】
24.自動化ファイバ配置マシンでトウを長さに切断するために使用されるカッターの動作を監視するシステムにおいて、
各カッターの付勢を検出し、カッターの付勢をそれぞれ表すタイミング信号を発生する装置と、
前記タイミング信号を受信し符合化する制御装置と、
検出器装置から制御装置へタイミング信号の転送を遅延する時間遅延装置と、
配置されているトウを照明するための照明システムと、
照明されたトウの画像を記録する記録システムと、
記録された画像を解析し、配置されたトウの不一致を検出する画像解析プログラムを含み、配置されたトウの検出された不一致を、不一致を有するトウの切断に使用されるカッターの動作と相関するように動作可能であるプログラムされたコンピュータと、
不一致を有する配置されたトウをカッター動作状態の相関された指示により可視的に表示するためのディスプレイとを具備しているシステム。
【0035】
25.自動化ファイバ配置マシンでファイバトウを長さに切断するために使用されるカッターの動作を監視する方法において、
マシンにより配置されたトウの行を照明し、
照明されたトウの画像を記録し、
各カッターがトウを切断するように付勢されるときを検出し、
カッターが付勢されたときの時間点を表すタイミング信号をそれぞれ発生し、
不一致を表す可能性がある記録された画像中の特性を測定し、特性測定の結果を基準標準のセットと比較することを含めて、記録された画像を使用してトウの配置の不一致を検出し、
検出された不一致を、発生されたタイミング信号を使用してカッターの付勢と相関し、
記録された画像を可視的に表示し、
表示された画像中にトウに近い各カッターの動作状態をそれぞれ可視的に表示するステップを含んでいる方法。
【0036】
開示された実施形態のその他の特徴、便宜点、利点は添付図面と特許請求の範囲を考慮して実施形態の以下の説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】カッターナイフの動作を監視するシステムを含んでいる自動化ファイバ配置動作の側面図。
【図2】マシン可視システムのコンポーネントをよりよく示しているAFPマシンの底面図。
【図3】基体上にトウを配置するAFPヘッドの斜視図。
【図4】開位置のカッターアセンブリを示し、トウ切断用の個々のナイフを示している斜視図。
【図5】ミスされたトウとトウ配置の不一致を示している記録された画像の平面図。
【図6】図5に類似しているが、トウ配置の他の不一致を示す図。
【図7】トウ配置の不一致を明らかにするための反射されたレーザ光の使用を示すトウの帯の一部の平面図。
【図8】切断ナイフの動作を監視するシステムを示すブロック図と概略図を組み合わせた図。
【図9】オペレータのインターフェースディスプレイのスクリーン捕捉図。
【図10】図9に類似しているが、2チャンネルマシン可視システムのトウの2つの帯の表示を示す図。
【図11】アクチュエイタ動作を監視する方法を示すフロー図。
【図12】カッターナイフ動作を監視する方法を示すフロー図。
【図13】航空機製造及び運用方法のフロー図。
【図14】航空機のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
最初に、図1から7を参照すると、自動化ファイバ配置(AFP)マシン20は、基体32上で動作するための、ツールまたはマンドレルを具備することができるロボットアーム(図示せず)に取り付けられることができる。AFPマシン20は炭素ファイバエポキシトウ22のような複合材料の細長い比較的狭い条帯をそれぞれ含んでいる複数のクリール24を含むことができる。各トウ22はそのトウ22がカッターアセンブリ34を通して供給されるとき、トウ22を整列された平行の関係で維持するガイド26を通過する。カッターアセンブリ34は例えばそれに限定しないが電気ソレノイドを含むことができる対応する電気的に動作されるアクチュエイタ38により制御される複数の往復するカッターナイフ36を含んでいる。アクチュエイタ38はAFPマシン20が基体32上を移動するときナイフ36にトウ22を貫通させる。トウ22は圧縮ローラー30と基体32との間の隙間33へトウ22を供給する1以上のガイドローラ28上を通過することができる。AFPマシン20が基体32を横切って移動するとき、ローラー30はトウ22を基体32に対して加圧し、それによってトウが配置されるようにトウ22を圧縮する。カッターナイフ36はオン・ザ・フライでトウ22を所定の長さに切断する。AFPマシン20の1回の通過で、基体32には同時に平行なトウ22の帯50(図5)が載置され、これは所定のプライの単一のコースを形成することができる。
【0039】
マシン可視システム39はAFPマシン20上に取付けられ、トウ22の配置における不一致を検出するように機能する。ここで使用されているように、用語「不一致」は誤って位置付けられたトウ、配置ミスのトウおよび/またはFOD(外来物または埃)を意味している。可視システム39は1以上のレーザ40、1以上のデジタルカメラ42、通常の表面照明源を与える1以上のランプ44を含むことができる。可視システム39はAFPマシン20のヘッド35の部分(図3参照)を形成するフレーム46上に取り付けられることができる。示されている実施形態では、1対の横方向に隔てられたレーザ40はトウの帯50を横切る照明線58(図7)を与える。1対のデジタルカメラ42は3次元画像を生成するために帯50の同じ領域のデジタル画像を記録することができ、またはその代わりに帯50の2つの隣接部分の別々の画像を記録することができる。好ましくは、カメラ42は圧縮ローラー30に可能な限り近いトウの帯50の少なくとも一部を観察するように配向されている。カメラ42はトウ22が最初に基体2に接触される点である開始点からトウ22が切断され十分に配置された後の終了点までのトウ22の一連の連続的な画像を記録するように機能する。
【0040】
図5と6はそれぞれランプ44により行われる通常の照明下のカメラ42により記録されたトウの帯50の画像を示している。図5で見られるように、ミスまたは脱落したトウ54は明白に可視でき、他方で図6では、ギャップ52は不適切なトウの配置を表している幾つかの隣接するトウ22間に存在する。図7では、脱落したトウ54は反射されたレーザ線58ではオフセット60として検出されることができる。さらに、FOD62の形態の不一致は反射されたレーザ線58中の中断として見られることができる。
【0041】
システムの付加的なコンポーネントを示している図8に注目する。プログラムされたコンピュータ72を含むユーザインターフェース68はカッターアセンブリ34とマシン可視システム39から情報を集収し、カッターアセンブリ34に関するかまたはそれに起因する可能性があるトウ22の配置のミスまたは誤って配置されたトウおよび/またはFODを検出し報告するように機能する。各ソレノイドアクチュエイタ38はAFPマシン20近くで制御パネル64に接続される。制御パネル64はアクチュエイタ38を付勢するために使用される電気信号を集め、これらの信号をPLC(プログラム可能な論理制御装置)66へ送信する。制御パネル64はアクチュエイタ信号がPLC66へ転送される前に時間遅延を与えることができる。この時間遅延の量は応用に基づいているが、トウ22の切断端部が圧縮ローラー30を含めたAFPマシン20を通過することを可能にするのに十分でなければならない。このようにして、トウの帯50の画像はそれがその全体の長さにわたって配置された直後に記録されることができる。1実施形態では、タイミング信号はカッターナイフ36の付勢後に4インチのトウ材料がAFPマシン20を通して移動することを可能にするために期間遅延される。
【0042】
制御パネル64からPLC66へ転送される信号はアクチュエイタ38を制御するオン/オフタイミング信号を効率的に有し、それ故カッターナイフ36の動作を示す時間に関連するデータを表す。PLC66はアクチュエイタタイミング信号が72でコンピュータに転送される前にこれを符合化するように機能し、それによって各信号は特定のカッターナイフ36に関連されることができる。
【0043】
ユーザインターフェース68は可視システム39により記録される画像を表示するためのディスプレイ70と、ユーザがシステムのパラメータ及び基準を変更することを可能にするスクリーンを含むことができる。2つの典型的なスクリーンディスプレイ74、74aが図9および10にそれぞれ示されている。ユーザインターフェース68は検査する領域と、カッター動作の適切/不適切状態と、この検査で使用されている基準と、カッターナイフ動作インジケータを実時間で表示する。
【0044】
コンピュータ72はプライ番号とコース番号を検査記録または品質ログに記録するソフトウェアを含んでもよい。プライとプライ当りのコースの予測される数はユーザインターフェース68を介してオペレータにより入力されることができる。コンピュータ72は限定ではないが例えばエッジ検出のような標準的な画像処理ルーチンを含む画像解析プログラム73を含んでいる。1つの適切な画像解析プログラムはMatrox Image Libraryとして知られているパッケージとして入手可能である。画像解析プログラム73は形状、寸法、特性、文書拒否指示について記録された画像を解析する。
【0045】
マシン可視システム39により記録されるトウの帯50の画像はデジタル形態でコンピュータ72に転送され、これらはここでJPLC66により中継されるカッタータイミング信号と相関される。以下説明するようにコンピュータ72は記録された画像を解析し、ミスのトウ、誤って位置付けられたトウおよび/またはFODを検出するように機能する。コンピュータ72はその後、相関されたタイミング信号に基づいて、任意の不一致がカッターナイフ36の動作に関係するか否かを決定する。不一致がカッターナイフの動作のタイミングに相関されることができないならば、そのカッターナイフ36は不一致の考えられる原因としては除外されることができる。
【0046】
ギャップ52または脱落したトウ54が記録された画像中で検出されるとき、画像解析プログラム73はギャップの幅またはあり得る不一致を表す他の特性を測定するために画像に対して「ルーラー」(ruler)を適用する。測定された幅はオペレータがユーザインターフェース68を使用して入力できる最大の許容可能なギャップ幅値のような基準に対して比較される。測定された値が基準値を超えるならば、特性は許容度外であると考えられ、その後品質ファイルまたは品質ログ報告へ入力されることができる。測定されたギャップ幅がトウ22の幅全体に等しいかほぼ等しい場合、品質ファイルの入力は脱落したトウとしてリストされることができる。脱落したトウがカッターに相関されるならば、カッター相関も文書化された動作経歴を設定するために品質ファイルへ入力されることができる。
【0047】
特に図9を参照すると、コンピュータ72上のスクリーンディスプレイ74はユーザが許容規準と画像フレームサイズのようなパラメータを入力及び変更することを可能にする一連の制御入力84を含むことができる。「適切−不適切」インジケータ82はスクリーン74上に与えられることができ、ギャップおよび脱落したトウが検出され測定されるとき実時間でフラッシュできる。カラー状態インジケータ80のアレイ78はカッターナイフ36の動作状態を示すために設けられることができる。状態インジケータ80は各カッターナイフ36に対して設けられる。インジケータ80はインジケータ灯を効率的にシミュレートし、例えば赤色と緑色間で変化可能な変化可能な色を有することができる。示された実施形態では、緑色インジケータ80はカッターナイフ36の適切な動作を表し、赤色インジケータ80aは対応するカッターナイフ36の故障を表している。
【0048】
インジケータ80のアレイ78はトウの帯50の画像のディスプレイ76の上方に配置される。図9に示されている例では、ディスプレイ76はトウ22のうちの1つのトウ中のギャップ52と脱落したトウ54を示している。状態インジケータ80はこれらがそれぞれトウ22の一部と垂直に整列されるように配置されている。したがってインジケータ80aは脱落したトウ54の位置の丁度上方に垂直に整列され、それによって脱落したトウ54が対応するカッターナイフ36の動作により生じた可能性があることをオペレータに示す。前述の説明から、ミスされたトウ22の任意の画像がカッターナイフの動作の指示80を伴い、それによってカッターナイフを不明のトウの原因として排除するか承認することが認識されることができる。したがって、カッターナイフの動作は実時間で監視され、オペレータが故障プロセスを迅速に解決することを可能にする。
【0049】
図10は、2つのカメラ42により記録され、トウの帯50上の異なる領域をそれぞれ表している画像が表示されている別のスクリーンディスプレイレイアウト74aを示している。状態インジケータアレイ78a、78bはそれぞれ画像78a、78bと関連され、したがってオペレータは特定のトウ22の配置の不一致を対応するカッターナイフ36の動作状態と可視的に関連付けることができる。
【0050】
図11はトウ22の配置中の不一致がアクチュエイタ38の動作に関連されることができるか否かを決定するためのアクチュエイタ38の動作を監視する方法の全体的なブロック図である。ステップ83で開始し、アクチュエイタ38の動作を示す時間に関するデータが記録される。85で、トウ22が配置されるときの各トウ22の1以上の画像が記録される。87で時間に関するデータは記録された画像と関連付けされる。
【0051】
切断ナイフ36の動作を監視し、これらをトウ配置中に生じ得る不一致に相関させる方法のステップ全体を示している図12に注目する。88で開始して、カッター36はトウ22の長さを切断するように付勢される。ステップ90で、オン/オフカッタータイミング信号は制御パネル64で検出され、制御パネル64はその後切断トウ22が圧縮ローラー30を完全に通過することを可能にするために92で時間遅延を導入する。次にステップ94で、タイミング信号は制御パネル64からPLC66へ送信され、ステップ96で示されているようにPLC66でこれらは符合化され、コンピュータ72へ転送される。ステップ88−96が行われるとき、マシン可視システム39はステップ98で許容外のギャップ幅と脱落したトウのような不一致を含んだトウ22の配置を示しているトウの帯50の連続的な画像を記録する。符合化されたタイミング信号と、記録された画像はコンピュータ72へ転送され、コンピュータ72でこれらはステップ100で示されているように相関される。
【0052】
ステップ102で、コンピュータ72はプライ番号とコース番号を記録でき、ステップ104でトウの配置中の潜在的な不一致を識別するために画像解析が行われる。潜在的な不一致が106で検出されたならば、不一致は108で測定される。ステップ110で、不一致測定は参考標準と比較される。ステップ112で、ステップ110の比較結果に基づいて、不一致は比較結果にしたがって区分される。不一致が不一致の規準を満たすならば、不一致はステップ114に示されているように品質ファイルに記録され、不一致の区分結果は116でオペレータに表示されることができる。
【0053】
ここでは、システムをカッターナイフ動作の監視に関して説明しているが、実施形態はAFPでトウを処理するために使用される他のアクチュエイタまたは付勢可能な装置の動作を監視するために使用されることができることに注意すべきである。例えばシステムはそれぞれがトウの配置の正確性に影響しうる付加的なローラーまたはピンチローラーを動作するアクチュエイタを使用することができる。カメラ42により記録されるトウの配置において生じ得る不一致はこのようなアクチュエイタへのオン/オフ信号のタイミングに相関されることができる。
【0054】
本発明の実施形態は種々の潜在的な応用、特に例えば航空宇宙及び自動車応用を含めた輸送産業での使用を見出すことができる。したがって、図13と14を参照すると、本発明の実施形態は図13で示されているような航空機の製造と運用方法118と図14で示されているような航空機120の文脈で使用されることができる。本発明の実施形態の航空機の応用は例えば限定はしないが2、3の例を挙げると胴体の外装、翼の外装、制御表面、ハッチ、床板、戸枠、アクセスパネル、尾部のような複合補強部材を含むことができる。製造開始前の期間に、例示的な方法118は航空機120の仕様及び設計122と、材料の調達124を含むことができる。製造期間中、航空機120のコンポーネントおよびサブアセンブリの製造126とシステムの統合128が行われる。その後、航空機120は132で運用されるように130で検定と運送されることができる。カスタマによる運用では、航空機120は(変形、再構成、改装等も含むことができる)日常保守と運用134を予定されている。
【0055】
方法118の各プロセスはシステムインテグレータ、第3のパーティおよび/またはオペレータ(例えばカスタマ)により行われ、実行されることができる。この説明の目的で、システムインテグレータは限定ではないが任意の数の航空機製造業者および主要システム下請け業者を含んでもよく、第3のパーティは限定ではないが任意の数の販売者、下請け業者及び供給業者を含むことができ、オペレータは航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等を含むことができる。
【0056】
図14に示されているように、例示的な方法118により製造された航空機120は複数のシステム138と内部140と共に機体136を含むことができる。高レベルのシステム138の例には1以上の推進系142、電気系136、水力系144、環境システム148が含まれている。任意の数の他のシステムが含まれることができる。航空宇宙の例を示したが、本発明の原理は自動車産業のような他の産業に適用されることができる。
【0057】
ここで実施された装置及び方法は製造及び運用方法118の任意の1以上の段の期間に使用されることができる。例えば製造プロセス126に対応するコンポーネントまたは部品組立品は航空機120が運用中に製造されるコンポーネントまたは部品組立品に類似の方法で製造されることができる。また、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、またはその組合せは製造段126と128の期間に例えば実質的に航空機120の組立てを促進するかその価格を減少することによって使用されることができる。同様に、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態またはその組合せは例えば限定ではないが保守及び運用134を行うために航空機120が運用されている間に使用されることができる。
【0058】
本発明の実施形態をある例示的な実施形態に関して説明したが、この特別な実施形態は例示目的であり発明を限定するものではなく、他の変化は当業者により行われることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエイタの動作を示している時間に関するデータを記録し、
トウが配置されるときの各トウの画像を記録し、
記録されたデータを記録された画像と関連付けるステップを含んでいるファイバのトウを処理するための自動ファイバ配置マシンで使用されるアクチュエイタの動作を監視する方法。
【請求項2】
前記時間に関するデータの記録は、
アクチュエイタがトウを処理するように付勢されるときタイミング信号を発生し、
前記タイミング信号を処理するためにプロセッサへ前記タイミング信号を送信し、
前記トウの配置を可能にするのに十分な時間の長さだけタイミング信号の処理を遅延させるステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法により監視されるアクチュエイタを有する自動化ファイバ配置マシンにより製造される航空機サブアセンブリ。
【請求項4】
記録されたデータを関連付けることは、アクチュエイタが適切に機能しているか否かの可視的指示の近くに各記録された画像を配置することを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項5】
時間に関するデータの記録は、アクチュエイタがトウを処理するために付勢されるときの時間点を記録処理を含み、
画像の記録はトウの一連の画像の記録を含み、
前記記録されたデータの関連付けは記録された画像をアクチュエイタの動作を表す可視的指示の近くに表示することを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記記録された画像を解析し、
アクチュエイタの動作に関連する不一致がトウの配置中に存在するか否かを決定することを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項7】
画像の解析はトウの配置の不一致を表している記録された画像の特性の測定を含んでいる請求項6記載の方法。
【請求項8】
自動ファイバ配置マシンと共に使用するために、ファイバのトウを長さに自動的に切断するために使用されるカッターの動作を監視する方法において、
マシンにより配置されたトウの行の少なくとも一部の画像を記録し、
トウの配置期間中に各カッターがトウを長さに切断するために付勢されるときの時間点を記録し、
不一致がトウの配置に存在するか否かを検出するために記録された画像を使用し、
記録されている時間点を検出された不一致と相関することによって、カッターが検出された不一致の原因であるか否かを決定する監視方法。
【請求項9】
画像の使用は記録された時間点と行中のトウとを相関させる処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法により監視されるトウカッターを有する自動ファイバ配置マシンを使用して製造されるビークルのサブアセンブリ。
【請求項11】
画像の使用は、不一致を表すことができる記録された画像中の特性を測定する処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【請求項12】
画像の使用は特性測定の結果を基準の標準セットと比較する処理を含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、検出された不一致を分類し、
不一致の分類に基づいてカッターの動作の故障を宣言する処理を含んでいる請求項8記載の方法。
【請求項14】
さらに、記録された画像中の各トウを、トウを長さに切断するために使用されるカッターの動作状態と可視的に関連付ける請求項8記載の方法。
【請求項15】
さらに、記録された画像を可視的に表示し、
表示された画像中にトウに近い各カッターの動作状態をそれぞれ可視的に表示する請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−161899(P2009−161899A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−321600(P2008−321600)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】