説明

自動腹膜透析装置とこれに使用するカセット

【課題】透析治療におけるコンタミネーション部位を減らして、透析治療ごとのカセット部全体の交換を不要とすることで、透析治療のコストを大幅に低減し、省資源に資することができる腹膜透析装置とこれに使用するカセットを提供すること。
【解決手段】装置本体と、カセット部とを備え、前記カセット部には、前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブが設けられおり、透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、患者から送られる腹膜液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含み、送り用チューブと、戻り用チューブおよび排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、送り用チューブと、戻り用チューブと排液用チューブとが該カセット部から別々に導出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動腹膜透析装置と該自動腹膜透析装置に収容されるカセットの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、腎臓の機能の低下により血液透析を受ける必要がある患者は、週に3,4回通院して、血液透析装置により4,5時間も拘束されながら血液透析を受けている。
これに対して、患者の利便性の観点から自動腹膜透析装置を患者の自宅に配置して、患者自らが操作して腹膜透析を行う自動腹膜透析装置が利用されつつある(特許文献1参照)。
しかしながら、このような自動腹膜透析装置では、患者の病気の程度や進行状態を医師が診察し、その診察結果である処方に基づいた透析内容としなければならない。
そこで、病院では、医師が処方内容を記載した書面を患者に渡し、患者は自宅に帰って、自宅に備えてある透析装置に処方どおりの内容を設定し、透析を受けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の自動腹膜透析装置は、図7で説明するような構成であり、その主要な動作部である腹膜透析液バッグからの送液のためのチューブや、クランプ等送液の切換え部、および送液の駆動力を与えるためのダイヤフラムポンプ、腹膜透析液の加温部などをセットにした図8のカセット体及びチューブ一式は、使用毎に取替え廃棄されていた。
すなわち、このような自動腹膜透析装置を用いての透析治療は、患者の腹腔内に透析液を所定量注液し、所定時間貯留し、その後排液を行うようにしており、この注液、貯留、排液で1サイクルとしている。
【0005】
具体的に説明すると、図7は自動腹膜透析装置のカセット10を中心とした系統図であり、図8はカセット10とチューブ20の外観を示している。
これらの図において、図示しない自動腹膜透析装置には、着脱式のカセット10が取り付けられており、該カセット10には、送液チューブ20が通されるとともに、送液のための駆動ポンプとしてのダイヤフラムポンプ部41、腹膜透析液を腹腔へ入れる前に温めるためのヒータを内蔵した加温部42、送液チューブ20の各部をクランプして、送液と排液を制御するための流路切換え部30とを備えている。
【0006】
ここで、図7に示すように、カセット10には注液用の腹膜透析液バッグ11が送液チューブ21を介して接続されており、追加の透析液注液用の腹膜透析液バッグ12が送液チューブ22に接続されている。
注液用の腹膜透析液バッグ11から腹膜透析液が送られる送液チューブ21はクランプ部材33を介して、追加の透析液注液用の送液チューブ22は、クランプ部材34を介して、送液チューブ26に接続されている。
送液チューブ26は、第1の分岐チューブ23と第2の分岐チューブ26aが分岐されている。
【0007】
第1の分岐チューブ23は、クランプ部材32が接続され、その後段に送液ポンプ41が接続されて該送液ポンプ41の駆動により黒色の矢印の方向に透析液が送られる。送液ポンプ41の後段はそれぞれクランプ部材35と31を介して、第3の分岐チューブ24と第4の分岐チューブ25に分岐されている。第3の分岐チューブ24は、カセット10の外部に導出されて排液用タンク13に接続されている。
第4の分岐チューブ25は、加温部42に導かれ、その後段でクランプ部材36を介して第5の分岐チューブ27に接続されるとともに、当該第5の分岐チューブ27の手前で第2の分岐チューブ26の端部が接続されている。
第5の分岐チューブ27はカセット10から外部に導出され、トランスファーチューブ28を介して患者である使用者の腹腔に接続されている。
黒色の矢印は、往路であり、腹膜透析液バッグ12からの腹膜透析液を患者側に送る流れを示しており、白抜きの矢印は患者の腹腔に貯留されていた腹膜透析液をカセット10側に戻す流れを示しており、かくして、患者の腹膜の浸透圧を利用して腹膜透析を行うものである。
【0008】
ところが、図7に示すような構造であると、送液の駆動力を得るために、送液ポンプ41をひとつだけ設けることで、カセット10の製造コストを抑制することができるが、該送液ポンプであるダイアフラムポンプ41、第1の分岐チューブ23、第2の分岐チューブ26、第4の分岐チューブ25、第5の分岐チューブ27は全て患者の腹腔に新しく注入する腹膜透析液と患者の腹腔から送られる腹膜透析液の排液が混合してしまい、所謂コンタミネーション(contamination)=「汚染」が生じてしまう。
このため、透析治療が済むと、当該カセット10、すなわち図10の部分全体を交換する必要が生じており、このことは治療のコストアップにつながり、省資源にも反することになる。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、腹膜透析治療におけるコンタミネーション部位を減らして、腹膜透析治療ごとのカセット部全体の交換を不要とすることで、腹膜透析治療のコストを大幅に低減し、省資源に資することができる腹膜透析装置とこれに使用するカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入力手段と、透析液の流量制御や駆動用の電源、ヒータの加温制御等を行うための制御部を備え、表示手段を備える装置本体と、該装置本体に着脱され、送液ポンプと、透析液の加温部と腹膜透析回路を備えるカセット部とを備える自動腹膜透析装置であって、前記カセット部が前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブを有しており、該複数のチューブは、透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、患者から送られる腹膜液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、これら、送り用チューブと、戻り用チューブおよび排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、送り用チューブと、戻り用チューブと排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とする。
上記構成によれば、カセット部内で透析液の送り用チューブと、患者の腹腔から送られてくる治療済の腹膜透析液を導く、戻り用チューブおよびこれに接続される排液用チューブとが分離配置され交わることが殆どない。しかも送り用チューブと、戻り用チューブと排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出された後、交換用チューブに接続されているから、送り用チューブは、患者の腹腔から送られてくる治療済の腹膜透析液により汚染されることがない。このため、カセット部は使用の度に交換する必要が無く、腹膜透析治療に当たり繰り返し利用することができる。
【0011】
本発明は、また、入力手段と、透析液の流量制御や駆動用の電源、制御部、表示手段を備える装置本体と、 該装置本体に着脱され、腹膜透析回路を備えるカセット部と を備える自動腹膜透析装置であって、前記カセット部が前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブを有しており、該複数のチューブは、該腹膜透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、該患者から送られる該腹膜透析液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、これら、該送り用チューブと、該戻り用チューブおよび該排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、該送り用チューブと、該戻り用チューブと該排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とする。
上記構成によれば、送り用チューブは、カセット部内で戻り用チューブと交わることが殆どなく、送液用ポンプの駆動力により、加温した清潔な腹膜透析液を患者の腹腔に送出することができる。
【0012】
好ましくは、前記戻り用チューブは、カセット部内に設けられた排液用ポンプに接続されて、該カセット部の外部に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とする。
上記構成によれば、戻り用チューブは、カセット部内で送り用チューブと交わることが殆どなく、排液用ポンプの駆動力を得て、腹膜透析液を汚染することなく、排液用タンクに向けて送出される。
【0013】
また、好ましくは、前記カセット部の外部において、前記送り用チューブに対して第1ジョイント部を介して設けられた送り管部と、前記戻り用チューブに対して第2ジョイント部を介して設けられた戻り管部と、該送り管部と戻り管部とを一体化して設けられ、往路と復路の共通管部とを有し、該共通管部の第3ジョイント部により患者側と接続される交換チューブを有することを特徴とする。
上記構成によれば、前記第1、第2、第3のジョイント部を備える交換チューブを用いることにより、カセット部全体を交換することなく、透析治療に際しては、該交換チューブだけを新しい物にすれば済むので、透析治療に用いる器具を大幅にコストダウンすることができる。
【0014】
また、好ましくは、前記カセット部内で前記送り用チューブと前記戻り用チューブが近接して平行配置される箇所を設け、該近接箇所において、前記送り用チューブと戻り用チューブとに挟まれるように前記送液用ポンプと前記排液用ポンプとを兼用した一つの送・排液ポンプを設ける構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、カセット部内には、ひとつのポンプだけを装備すればよいので、送液と排液にそれぞれ専用ポンプを装備する場合に比べて、カセット部を小型化で、しかもコストダウンを図れる。
【0015】
また、本発明のカセットは、自動腹膜透析装置に着脱するカセット部を構成するためのカセットであって、内部に前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブが設けられおり、前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブが、腹膜透析液を患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、患者の腹腔から送られる腹膜透析液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、これら、送り用チューブと、戻り用チューブおよび排液用チューブとが、互いに分離して配置されているとともに、送り用チューブと、戻り用チューブと排液用チューブとが別々に外部に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とする。
上記構成によれば、カセット内で透析液の送り用チューブと、患者の腹腔から送られてくる腹膜透析液を導く戻り用チューブおよびこれに接続される排液用チューブとが分離配置され交わることが殆どない。このため、カセットに内蔵された腹膜透析液の送り用チューブは、患者からの腹膜透析液の排液により汚染されることがないから、カセット部は使用の度に交換する必要が無く、腹膜透析治療に当たり繰り返し利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、腹膜透析治療におけるコンタミネーション部位を減らして、腹膜透析治療ごとのカセット部全体の交換を不要とすることで、腹膜透析治療のコストを大幅に低減し、省資源に資することができる腹膜透析装置とこれに使用するカセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動腹透析装置の外観を示す概略斜視図である。
【図2】図1の自動腹膜透析装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1の自動腹膜透析装置のシステム構成図である。
【図4】図1の自動腹膜透析装置の構成の一例を示す系統図である。
【図5】図1の自動腹膜透析装置に用いる交換チューブの一例を示す正面図である。
【図6】図1の自動腹膜透析装置に用いる交換チューブの交換作業の一例を示す説明図である。
【図7】従来の自動腹膜透析装置の系統図である。
【図8】図7の自動腹膜透析装置のカセットの交換用カセットの外観を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1は本実施形態の自動腹膜透析装置の外観を示す概略斜視図であり、図2はその電気的構成例を示すブロック図である。
これらの図において、自動腹膜透析装置50には、腹膜透析液を腹腔に注入するためのカセット70が装着される。さらに、自動腹膜透析装置50は、カセット装着部51、操作部53,54および表示部52を備えている。
カセット70は、後述するポンプ76と、加温部72(輸液を送る送り用チューブの加温部)とチューブ流路の切替部71、カセット70から後述する外部との接続チューブ73を含んでおり、各接続チューブ71については後で詳しく説明する。
なお、カセット70は、これを単体の装置と把握する場合、すなわち、これを独立して売買の対象等としてみる時、「カセット」と呼び、自動腹膜透析装置50を機能させる部品と把握する場合、自動腹膜透析装置の一部として「カセット部」と呼ぶが、両者は同じものである。以下では、便宜上「カセット70」に統一して呼称することとする。
【0020】
カセット装着部51には、図1に実線の矢印で示すように、カセット70が装着される。すなわち、自動腹膜透析装置50の下部の扉55は鎖線の矢印方向に開閉されるようになっており、開いた状態で露出開口からカセット70を挿入してセットでき、使用後は取出すことができるようになっている。
操作部53,54は、例えば、患者が腹膜透析を開始する際の開始指示や、腹膜透析を終了する際の終了指示を入力するために使用される。
表示部52は、患者等のユーザに情報を報知するものであり、例えば、腹膜透析装置50の動作状態を報知したり、各種腹膜透析条件を入力するタッチパネル式の設定入力部としても作用する。ここで、動作状態とは、例えば、腹腔に腹膜透析液を注入する注入処理や腹腔から腹膜透析液を排液する排液処理の実施中、終了などの状態を意味する。
【0021】
ポンプ76は、後述するように腹膜透析液を送液するための駆動力を発揮するもので、後述するようにダイヤフラムポンプや間欠ポンプ等が使用される。ダイアフラムポンプを用いる場合には、後述するように、図1と異なりポンプを二つ用意する必要がある。ダイヤフラムポンプとは、フランジ部材により密閉状態で収容され、空気圧で加圧又は減圧される構造のものを指す。これにより、ダイアフラムポンプは、腹膜透析液を送液するために、加圧すると収縮し、減圧すると膨張するように構成されている。
【0022】
カセット70の加温部分には、注液処理用の加温チューブ72および排液処理用のチューブを含み、注液処理用の加温チューブ72内を流れる腹膜透析液を加温する。そのため、加温部分には、図示しない面状の電気ヒータと伝熱部材(例えば、アルミ部材)とを備えている。このヒータは、注液処理用のチューブを挟み込むように上面ヒータ及び下面ヒータを含むことで、効率的に患者の腹腔の温度に腹膜透析液を加温することができる。
【0023】
切替部71は、カセット70に内蔵配置されたチューブにおいて、腹膜透析液の流路を切替える機能を発揮する。切替部71には、後述するクランプが装備され、注液処理用又は排液処理用の流路を切替える。その内容については後で詳しく説明する。
上述したダイアフラムポンプ、カセット70の内蔵するチューブ等の構成材料としては、それぞれ、軟質の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ−(4−メチルペンテンー1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0024】
図2を参照して、自動腹膜透析装置50の電気的、機能的構成例を説明する。
図2は、自動腹膜透析装置の主要な機能的構成についてだけ示しており、重要でない部分については、図示を省略している。
自動腹膜透析装置50は、CPU56、操作部53,54、電源回路57、流量制御部58、記憶部59、流量測定部60、切替制御部62、ヒータ制御部63、ポンピング作動部64を備えている。
【0025】
すなわち、操作部53,54は、図1に示すように、腹膜透析装置50の外面に配置され、操作者からの入力を受け付けて、CPU56に通知する。例えば、腹膜透析を開始する際に、操作者によって治療の開始を指示するために使用される。
電源回路57は、CPU56へ電力を供給する。流量制御部58は、予め定められた量の腹膜透析液をポンプによって送液させるように制御する。記憶部59は、腹膜透析を行うために必要となる各パラメータ、例えば、注入する腹膜透析液の温度を予め記憶している。切替制御部62は、切替部71を制御することにより、腹膜透析液の流路を制御する。ヒータ制御部63は、加温部72の加温チューブに含まれる上面ヒータ71a、下面ヒータ71bを制御する。ポンピング作動部64は、ポンプの駆動回路である。ポンプがダイヤフラムポンプである場合には、エア回路によって加圧又は減圧させることにより、ダイアフラムポンプを制御して、透析液を送液させる。間欠ポンプ(例えばローラポンプ)である場合には、CPU56からの指令にしたがって、間欠ポンプを回転駆動させる。流量制御部58は、腹膜透析の際に送液する腹膜透析液の量に応じて、ポンピング作動部64にダイアフラムポンプの制御を指示する
こととなる。
【0026】
本実施形態によれば、流量測定部60は、腹膜透析液を送液した後に加温チューブ内から流れ出た腹膜透析液の量に基づいて、実際に腹腔に注入された腹膜透析液の量を測定する。
このため、流量測定部60は、第1及び第2の測定部として機能する測定部65を備えている。この測定部65は、腹膜透析液の腹腔への注入開始から注入終了までに、ポンプ76から送液された腹膜透析液の量を測定する。さらに、測定部65は、腹膜透析液の送液が終了した後に加温チューブ内から流れ出た腹膜透析液の量を測定する。したがって、流量測定部60は、測定部65の測定結果から、即ち、送液された新たな腹膜透析液の量及び送液後に加温チューブ内から流れ出た透析液の量に基づいて、実際に注入された腹膜透析液の量を測定する。
【0027】
また、CPU56には、カセット70に配置された温度センサ74及び気泡センサ75からの信号が入力される。温度センサ74は、例えば、上面ヒータ71a、下面ヒータ71b、透析カテーテルへ腹膜透析液が送液される出口付近に配置される。ここで、腹膜透析液の出口付近に設けられる温度センサ74は、応答速度が極めて速いものが選定されていることが好ましい。例えば、サーモパイル型赤外線センサ(非接触型の温度センサ)を用いることが望ましい。これにより、上面ヒータ71a、下面ヒータ71bの温度を高精度に制御することができる。気泡センサ75は、切替部71における透析液の入り口側及び出口側に配置され、腹膜透析液中の気泡を検知する。
【0028】
図3は、自動腹膜透析装置50を用いたシステム図の一例である。
このシステムでは、自動腹膜透析装置50に、腹膜透析液を収容した輸液バッグ66が5パック接続されている。腹膜透析液は、通常、主成分として電解液を含むぶどう糖液が使用される。符号67は追加の腹膜透析液である。また、自動腹膜透析装置50には廃液タンク68が接続されている。
自動腹膜透析装置50内には、透析用の着脱式カセット70が収容されており、その構造は既に説明した通りである。
これにより、自動腹膜透析装置50では、所定温度に加温された腹膜透析液を患者Hの腹腔へ送る。腹腔内に貯留された腹膜透析液は、腹膜の浸透圧を利用して体内の老廃物を腹膜液内に取り込み、水分とともに排液として排液タンク68に送られるようになっている。図3では、黒塗りの矢印Aが腹膜透析液の注液の流れを指し、体内の老廃物を含む腹膜透析治療済の腹膜透析液がカセット70に戻る流れが白抜きの矢印Bに示されている。
【0029】
このような自動腹膜透析装置50を用いての腹膜透析治療は、腹腔内に腹膜透析液を所定量注液し、所定時間貯留し、その後排液を行うようにしており、この注液、貯留、排液で1サイクルとしている。このような手法を前提として、腹膜透析治療を行う処方には、大きく分けて2つのタイプがある。
そのひとつは、腹膜透析液の腹腔内での1サイクル内の各貯留時間を固定時間とし、透析時間で調整するもの(Aタイプ)である。他のひとつは、透析時間全体(例えば4サイクル)を固定時間として、それに合うように、各サイクルにおける貯留期間を調整するもの(Bタイプ)である。
加えて、上記の手法をどのような治療パターンで行うかにより、次の治療パターンがある。
(NPD)
夜間連続で透析液交換を行い、昼間は腹腔内を空とする処方。
(CCPD)
夜間連続の透析液交換と最終注液を行い、昼間は透析液交換を行わず腹腔内に貯留のままとする、又は必要に応じ昼間透析液交換を行う処方。
タイダール(TPD)
初期注液量の約半分の量を頻回交換する処方。
コンディショニング
Aタイプの手法のみ可能。導入初期のコンディショニングのため、腹膜透析液の注液、排液のみを行う処方。
本発明は、いずれのタイプにも使用することができる。
【0030】
図4は、カセット70内のチューブ配置およびカセット70から導出されるチューブの構成についての実施形態を示す系統図である。
図において、カセット70は、腹膜透析回路を構成する複数のチューブを有しており、該複数のチューブは、腹膜透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、患者の腹腔から送られる腹膜透析治療済の腹膜透析液の排液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、これら、送り用チューブと、戻り用チューブおよび排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、送り用チューブと、戻り用チューブと排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出されている。
【0031】
この点を詳しく説明する。
図4にて黒塗りの矢印(矢印A)に沿ったチューブは、送り用チューブであり、白抜きの矢印(矢印B)に沿ったチューブは戻り用チューブである。戻り用チューブの一部は後述するように排液用チューブと接続されている。
具体的には、腹膜透析液を収容した5つの輸液バッグ66が並列に送り用チューブ81に接続されている。また、追加の腹膜透析液を有用した追加のバッグ67が送り用チューブ82に接続され、この各送り用チューブ81と82は、カセット70に内蔵されて、その流路を潰して閉止し、あるいは開放して流路を開ける手段としての例えばクランプ部材C2、C3がそれぞれ設けられている。これらクランプ部材が図1で説明した流路切換え手段の構成要素である。
【0032】
以下、カセット70内部でのチューブ引きまわしについて説明する。
各クランプ部材C2、C3の後段で、送り用チューブ81と82は、符号b1の箇所で一体に合流されている。b1の後段は送りチューブ83として延びており、分岐点b2で送り用チューブ84と85に分岐する。送り用チューブ84は、クランプ部材C1を介して注液用のポンプ76に接続されている。注液用のポンプ76は、例えばダイヤフラムポンプである。送り用チューブ84は、注液用ポンプから出たらクランプ部材C0を介して加温部72に直列に接続されている。加温部72の後段で送り用チューブ84は、クランプ部材C5を介して送り用チューブ86に続いている。送り用チューブ86は、分岐点b3からクランプ部材C7を介して延びる送り用チューブ85に接続されている。送り用チューブ85は、冷却用流路であり、分岐点b2に戻って接続されている。
一方、分岐点b3からはクランプ部材C4介して送り用チューブ87が伸びており、その延長部は、カセット70から外部に導出されている。
【0033】
これに対して、後述する交換用チューブ110から延びる戻り用チューブ88aは、符号88で示すようにカセット70内に導入されている。カセット70内では送り用チューブとこの戻り用チューブ88は交差もしくは接触しないようにされている。
戻り用チューブ88はクランプ部材C6を介して排液用ポンプ77に接続されており、その出口クランプ部材でC8を介して戻り用チューブ89に接続され、そのまま延長されてカセット70から外に排液用チューブ89aとして導出されている。排液用チューブ89aは排液用タンク68に接続されて、腹膜透析治療済の腹膜透析液の排液が廃棄されるようになっている。
なお、図1のカセット70は、ポンプがひとつであり、図4の場合、送り用と戻り用でそれぞれポンプを設けた結果、カセットの外観が相違するが、後述するように、ポンプはひとつのものでも兼用することができるもので、カセット70の外観自体はそれほど重要ではない。
【0034】
ところで、カセット70外部の送り用チューブ87aと、戻り用チューブ88Aとは、交換用チューブ110に接続されている。
図5は、この交換用チューブ110を拡大して示しており、特に無菌接続用チューブで形成されている。好ましくは送り用チューブ、戻り用チューブも含めて交換用チューブ110は、無菌接続用チューブで形成され、その材質としては、例えば、ガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性ポリエステルからなるチューブが適している。
【0035】
特に、この材料は、熱可塑性ポリエステルは通常公知の線状ポリエステル形成性成分からなるポリマーのうちガラス点に温度Tgが0℃以下のものを指し、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸(水添物が好ましい)、テレフタル酸、イソフタル酸、ナトリウム−5―スルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの低分子ジカルボン酸またはそのアルキルエステル類、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエチルフェニル)プロパン、ビス(p−β−ヒドロキシエチルフェニル)スルホンなどの低分子グリコール類、ε−ヒドロキシカプロン酸のごとき低分子オキシ酸、ε−カプロラクトンのごとき低分子ラクトン類、末端にエステル形成性官能基(カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基など)を有するポリエーテル類例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、ポリテトラメチレンオキシド(ポリテトラヒドロフラン)などを生成するポリエステルのガラス転移温度が0℃以下となるように適宜組み合わせて、通常公知のエステル化(エステル交換)、重縮合などの手法の適用によって得られる。
【0036】
図5に示すように、交換用チューブは、全体としてほぼアルファベットの「Y字」状の形態であり、上述した材料等でなる無菌接合用チューブにより、第1ジョイント部J1を介して設けられた送り管部E1と、戻り用チューブに対して第2ジョイント部J2を介して設けられた戻り管部E2と、該送り管部と戻り管部とを一体化して設けられ、往路と復路の共通管部E3とを有し、この共通管部の第3ジョイント部J3により患者H側と接続される(図4参照)。図4において、第3のジョイント部J3が接続されるトランスファーチューブ90は、第3のジョイント部3が接続されるチューブの先に、患者Hの腹腔内に留置される留置カテーテルを備えたものである。
したがって、腹膜透析治療においては、交換チューブ110の共通管部E3が汚染を生じる部分で、送り管部E1には、その上流の送り用チューブ88a,88を介して、注液用ポンプ76の圧力をかかっていることから、ほとんど汚染は生じない。
したがって、送り管部E1の万一の汚染を考慮したとしても図4でAR1で示す領域、すなわち交換チューブ110を交換すれば、功績治療における汚染領域は除去されるのである。
【0037】
図6を参照して、上述の材料でなる交換用チューブを無菌接続する方法を説明する。
なお、以下で述べる方法は並列に延びる2つのチューブ78を途中を切断して、7と8を入れ替えて無菌接続する方法を示しているが、1本の、あるいは多数本のチューブを無菌接続する上でも同様の原理を採用することができることは容易に理解されるところである。
【0038】
図6(a)〜(f)は、チューブの切断・接合動作を概念的に示す図である。チューブ7,8を用意し、所定の接合装置にセットした後、そのクランプによって、チューブ7,8を保持する。ウエハー6を十分温度に昇温させて、チューブ7,8の切断が行われる。すなわち、チューブ7,8の切断は、図示しないウエハーホルダの揺動によってウエハー6を上昇させ、第1チューブ保持具1及び第2チューブ保持具2によってクランプされたチューブ7,8にウエハー6を直交させる(図6(a)参照)。
このとき、チューブの接合部分に粘着物などの異物(例えば、テープ糊など)が付着していると、その異物がチューブ接合部分でウエハー6を挟んで左右に分離される。
【0039】
第1チューブ保持具1及び第2チューブ保持具2によってクランプされたチューブ7,8は、ウエハー6によって下方から切り込まれ、加熱されたウエハー6の当てられた部分が溶融し、切断される。加熱されたウエハー6は、その切断辺(上辺)がチューブ7,8に対して下方から当てられ、揺動するウエハーホルダによってチューブ7,8に対して斜めにスライドするように切り進められる。従って、チューブ7,8を切断するウエハー6の切断辺の当接部分が切断する過程でずれるため、ウエハー6における切断部分の熱量が保たれる。
【0040】
ウエハー6によるチューブ7,8の切断及び接合は、第1チューブ保持具1及び第2チューブ保持具2によって押し潰されたチューブ7,8のそれぞれの閉塞部分で行われる。
第1チューブ保持具1及び第2チューブ保持具2の間には、円筒形状のチューブ7,8が扁平形状になって管内が密着した部分が現れる。当該部分がウエハー6によって切断され、また接合される部分である。
【0041】
そこで、ウエハー6が上昇してチューブ7,8が切断される。チューブ7,8は予めクランプされて潰されて、管内の液が切断部分からクランプ時に押し流されているので、切断時には切断部から流れ出ることもない。
チューブ切断時、チューブ7,8の切断部分は樹脂が溶融又は軟化した高温の状態であるため、その切断面がウエハー6に気密に接触しているため、続いて行われるチューブ切断面の接合までの間、チューブ7,8内部が大気に触れることなく無菌状態が維持される。
そして、チューブ7,8における各切断面が所定のタイミングで軸方向に押し当てられる(図6(b))。これにより、チューブ7,8における各切断面がウエハー6の両面に押し当てられるので、チューブ7,8の接合部分に粘着物などの異物が付着していたとしても、その異物はチューブ7,8の接合面外(バリ外)に押し出される。
【0042】
次いで、ウエハー6によって切り離されたチューブ7,8すなわち、クランプされた2本のチューブ7,8は、互い違いに対面するように回転される。
ここで、上記したように、チューブ7,8の切断後にチューブ7,8の各接合面をウエハー6の両面に押し当てている。このため、チューブ7,8の接合部分に粘着物などの異物が付着していたとしても、その異物はチューブ7,8の接合面外(バリ外)に押し出されている。つまり、接合部に異物が存在しない。したがって、切断後のチューブ7,8を回転させても、チューブ7,8の接合面に異物が引き込まれることがない。
【0043】
ウエハー6を下降させてチューブ接合を行うのであるが、チューブ7,8の接合面に粘着物などの異物が付着していた場合にウエハー6を下降させる際、異物をチューブ7,8の接合面に引き込まれないようにするために、チューブ7,8をウエハー6の両面に押し付ける。これにより、異物チューブ7,8の接合面外(バリ外)に押し出される。
続いてウエハー6が降ろされ、図6(f)に示すように、切断面同士が軸方向に押し当てられれば、切断されたチューブ7,8は、互い違いに切断面同士が溶着しそれぞれ1本のチューブとなる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、送り用チューブは、カセット部内で戻り用チューブと交わることがなく、送液用ポンプの駆動力により、加温した清潔な腹膜透析液を患者の腹腔に送出することができる。
戻り用チューブは、カセット70内に設けられた排液用ポンプに接続されて、該カセット70の外部に導出されているので、戻り用チューブは、カセット70内で送り用チューブと交わることがなく、排液用ポンプの駆動力を得て、腹膜透析液を汚染することなく、排液用タンク68に向けて送出される。
さらに、図4および図5で説明したように、第1、第2、第3のジョイント部(J1、J2、J3)を備える交換チューブを用いることにより、カセット全体を交換することなく、透析治療に際しては、該交換チューブ110だけを新しい物にすれば済むので、透析治療に用いる器具を大幅にコストダウンすることができる。
つまり、従来は、透析治療毎に図8に示すカセット10全体を廃棄して新しいものと交換していたが、本実施形態によれば、透析治療毎に、図5で示す交換チューブ110だけを交換すればよいので、腹膜透析治療に大幅なコストダウンを図ることができる。
【0045】
(変形例)
図4の下部に拡大して示すのは、本実施形態の変形例を示している。
カセット760内部の領域Rで示す箇所において、送り用チューブ86と戻り用チューブ88とが近接して平行配置される箇所を設ける。この領域Rに送り用チューブ86と戻り用チューブ88とに挟まれるように送液用ポンプと排液用ポンプとを兼用した一つの送・排液ポンプ100を設ける。
【0046】
送・排液ポンプ100は例えば、断面が円形で柔軟な外層被覆部101と、その内部で図面の紙面に垂直な方向に延びる中心軸Cのまわりに矢印方向に回転し、かつ周方向に突出して外層被覆部101を外方に押圧する回転子102を備える構成のポンプ(ローラポンプ)である。外層被覆部101に両側面には、それぞれ送り用チューブ86と戻り用チューブ88とを圧接させている。
これにより、二つのチューブ(送り用チューブ86と戻り用チューブ88)の側面が、それぞれ回転子102の先端部にしごかれるので、間欠的に送り駆動力が付与されるものである。この場合、図5に示される、送り管部E1の分岐点b4の近傍部と、送り管部E2の分岐点b4の近傍部にそれぞれ逆止弁(不図示)を設けておくことで、腹膜透析液を患者の腹腔に注入している時には、黒塗りの矢印(左)方向に、一方、腹膜透析治療済の腹膜透析液を患者の腹腔から排液している時には、白抜きの矢印(右)方向に流れるようになる。
このような構成によれば、カセット70内には、ひとつのポンプ100だけを装備すればよいので、送液と排液にそれぞれ専用ポンプを装備する場合に比べて、カセットを小型化で、しかもコストダウンを図れる。
【0047】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
上述の実施形態では、図4でカセット70内のチューブの引きまわしについて説明しているが、図示の通りの構成にかかわらず、送り用チューブと戻り用チューブが合流しない構成であれば、ことなる引きまわし構造を採用しても本発明の範囲である。
送液と排液をひとつのポンプで行う場合には、図4に示すポンプ110の構成に限らず、脈動ポンプ等ひとつの駆動部で複数のチューブに送液駆動力を与えるものであれば、種々のものが採用できる。
上記実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
また、加温部を設けないカセットを使用し、送り用チューブの適所を覆う加温装置を別途設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
50・・・自動腹膜透析装置、66・・・腹膜透析液バッグ、68・・・排液タンク、70・・・カセット(部)、71・・・流路切換え部、81,82,83,84,85,86,87・・・送り用チューブ、88・・・戻り用チューブ、89・・・排液用チューブ、110・・・交換用チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と、透析液の流量制御や駆動用の電源、ヒータの加温制御等を行うための制御部を備え、表示手段を備える装置本体と、
該装置本体に着脱され、送液用ポンプと腹膜透析液の加温部と腹膜透析回路を備えるカセット部と
を備える自動腹膜透析装置であって、
前記カセット部が
前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブを有しており、
該複数のチューブは、
該腹膜透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、該患者から送られる該腹膜透析液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、
これら、該送り用チューブと、該戻り用チューブおよび該排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、該送り用チューブと、該戻り用チューブと該排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出され、交換用チューブに接続されていることを特徴とする自動腹膜透析装置。
【請求項2】
前記カセット部内で前記送り用チューブと前記戻り用チューブが近接して平行配置される箇所を設け、該近接箇所において、前記送り用チューブと戻り用チューブとに挟まれるように前記送液用ポンプと前記排液用ポンプとを兼用した一つの送・排液ポンプを設ける構成としたことを特徴とする請求項1に記載の自動腹膜透析装置。
【請求項3】
前記カセット部の外部において、前記送り用チューブに対して第1ジョイント部を介して設けられた送り管部と、前記戻り用チューブに対して第2ジョイント部を介して設けられた戻り管部と、該送り管部と戻り管部とを一体化して設けられ、往路と復路の共通管部とを有し、該共通管部の第3ジョイント部により患者側と接続される交換チューブを有することを特徴とする請求項1に記載の自動腹膜透析装置。
【請求項4】
自動腹膜透析装置に着脱するカセット部を構成するためのカセットであって、
内部に前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブが設けられおり、
前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブが、
透析液を使用者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、患者から送られる腹膜液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、
これら、送り用チューブと、前記戻り用チューブおよび排液用チューブとが、互いに分離して配置されているとともに、前記送り用チューブと、前記戻り用チューブと排液用チューブとが別々に外部に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とするカセット。
【請求項5】
入力手段と、透析液の流量制御や駆動用の電源、制御部、表示手段を備える装置本体と、
該装置本体に着脱され、腹膜透析回路を備えるカセット部と
を備える自動腹膜透析装置であって、
前記カセット部が前記腹膜透析回路を構成する複数のチューブを有しており、
該複数のチューブは、
該腹膜透析液を使用者である患者に対して送出する送り用チューブと、該送り用チューブと流路分離され、該患者から送られる該腹膜透析液を導く戻り用チューブと、排液タンクに接続される排液用チューブとを含んでいて、
これら、該送り用チューブと、該戻り用チューブおよび該排液用チューブとが、該カセット部内で互いに分離されて配置されているとともに、該送り用チューブと、該戻り用チューブと該排液用チューブのそれぞれの延長部が該カセット部から別々に導出された後、交換用チューブに接続されていることを特徴とする自動腹膜透析装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−188996(P2011−188996A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57834(P2010−57834)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】