説明

自動装填システムを備える管曲げ加工装置および管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに管を自動的に装填する方法

【課題】管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに、非円形断面の管をも自動的に装填するのを許容する管曲げ加工装置を提供する。
【解決手段】装置10は、横断する鉛直面内の少なくとも2自由度で移動可能な曲げ加工ヘッド14と、横断する鉛直面内で曲げ加工ヘッドを移動させると共に、曲げ加工ヘッドのダイ24で、曲げられる管Tを受けるのに適応した空いた空間を画定する開位置と、ダイに管を締め付ける閉位置との間で、曲げ加工ヘッドの工具26を移動させるように配置されている第1の駆動部と、横断する鉛直面に直交する回転軸X2の周りに回転可能な管運搬構造36と、管運搬構造を回転軸の周りに回転させるように配置されている第2の駆動部36と、ダイと工具との間の空いた空間に所望の方向で管が受けられる位置に曲げ加工ヘッドと管運搬構造とを移動させるように、第1および第2の駆動部を制御するように配置されている電子制御装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ加工ヘッドと曲げ加工ヘッドで曲げられる管を装填するために配置された自動装填システムとを備える管曲げ加工装置に関する。さらなる局面によると、本発明は、管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに管を自動的に装填する方法に関する。
【0002】
また、以下の明細書および特許請求の範囲において使用されている「管」という用語は、棒状物や形状成形物のような他の如何なる細長いブランク材についても意図されている。同様に、「管曲げ加工装置」という用語は、棒状物や形状成形物のような他の如何なる細長いブランク材を曲げ加工するために配置されている装置についても意図されている。
【0003】
上記管曲げ加工装置のための異なる種類の自動装填システムは、市場で入手可能であり、基本的に、それらの最も単純で安価な形態において、曲げられる管が滑り落とされる斜面からなり、上記斜面は、曲げられる管を停止するための停止部材を備えている。そのような自動装填システムを備えている管曲げ加工装置は、上記斜面に管を配置し、機械軸の適切な制御によって、加工される管を下に降ろす。これらの管曲げ加工装置において、上記斜面上の管の位置は、横断する鉛直面内(つまり、管の送り方向、または長手方向に直交する鉛直面内)で知られている。上記加工装置の制御装置は、上記加工装置、上記管、および上記斜面の適切で幾何学的なパラメータに基づいて、上記斜面から管を取り出す装填工具(上記装置の曲げ加工ヘッドに通常存在する曲げ加工工具か、この目的のために特別設計された工具のどちらかであってもよい)を配置すべき正確な点を決定できる。次に、上記管は、初期位置、例えば、上記停止部材によって定められた上記斜面の底部の停止位置で、曲げ加工ヘッドに利用できるようにされ、それから、上記曲げ加工ヘッドによって、この初期位置から最終位置(管クランプ、または装置本体によって運ばれる類似の締付部材によって締め付けられうる位置)へ直接移動させられる。現在入手可能な管曲げ加工装置のための自動装填システムは、円形断面の管には有効に機能するが、非円形断面の管にはあまり有効に機能しない。非円形断面の管の場合、さらに、装填工具の金具の間、または曲げ加工工具とダイとの間で、管が間違った方向に締め付けられることによる管への損傷を避けるために、装填工具に対して管を適切に方向付けるという課題がある。この問題を避けるために、現在市場で入手できる自動装填システムは、手動で方向付けられうる特定の装填工具か、上記装填工具と装填される管の軸との間にあるものと、まさに同じ角度を有するように設計された特定の装填固定治具を必要とする。そして、明らかに、上記自動装填システムは、セットや取り付けのための時間および費用について問題を含んでいる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに、非円形断面の管をも自動的に装填するのを許容することである。
【0005】
本発明の第1の局面によると、独立請求項1に記載されている特徴を有する管曲げ加工装置によって、本発明のさらなる局面によると、独立請求項9に記載されている管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに管を自動的に装填する方法によって、その目的や他の目的は完全に達成される。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の内容を形成し、従属請求項の内容は、以下の記載の不可欠であって統合した部分として意図されている。
【0007】
つまり、本発明は、以下を備えている管曲げ加工装置を提供するという考えに基づいている。すなわち、
−横断する鉛直面内(管送り方向に直交する鉛直面内)の少なくとも2自由度で移動可能な曲げ加工ヘッドを備え、上記曲げ加工ヘッドは、管の挿入のための空いた空間を画定する開位置と、この空いた空間に予め挿入された管を締め付ける閉位置とをとるのに適している締付固定治具。
−上記横断する鉛直面内で曲げ加工ヘッドを移動させると共に、上述した開位置と閉位置との間で上記締付固定具を移動させるように配置されている第1の駆動部。
−上記横断する鉛直面に直交する回転軸の周りに回転可能に取り付けられている管運搬構造。
−上記管運搬構造が管を受けることができる初期位置と、最終位置との間で、管運搬構造の回転軸の周りに管運搬構造を回転させるように配置されている第2の駆動部。
−曲げ加工ヘッドの初期位置を計算し、計算された初期位置の曲げ加工ヘッドと、計算された最終位置の管運搬構造とによって、管運搬構造によって運ばれる管が、固定治具によって画定される空いた空間に、曲げ加工ヘッドの締付固定治具に対して所望の方向で配置されるように、管運搬構造の最終位置を計算するように配置されている電子制御装置。さらに、上記電子制御装置は、曲げ加工ヘッドがそれぞれの計算された初期位置に到達するまで、上記横断する鉛直面内で上記曲げ加工ヘッドを移動させ、管運搬構造を、それぞれの初期位置からそれぞれの計算された最終位置へ、管運搬構造の回転軸の周りに回転させ、曲げ加工ヘッドと管運搬構造とが計算された初期位置と最終位置とにそれぞれ位置すると直ちに、締付固定治具によって管を締め付けるために、上記第1および第2の駆動部を制御するように配置されている。
【0008】
上記加工装置、上記装填システムおよび上記知られている管の幾何学的なパラメータにより、管曲げ加工装置の電子制御装置は、横断する鉛直面内の上記管曲げ加工ヘッドの経路と、回転軸廻りの運搬構造の回転とを毎回定め、したがって、関係する駆動部をそれ相応に制御することができる。これにより、それぞれ計算された初期位置の曲げ加工ヘッドと、それぞれ計算された最終位置の管運搬構造とによって、管運搬構造によって運ばれる管は、曲げ加工ヘッドの締付固定治具における空いた空間に、締付固定治具に対して所望の方向で配置される。したがって、管運搬構造によって運ばれる管は、管運搬構造によって、正確に固定されうる。したがって、先行技術とは異なり、管は、曲げ加工ヘッドによって、初期位置から装置上の最終位置へ直接移動させられない。管は、まず管運搬構造によって、初期位置から中間位置(管運搬構造の計算された最終位置と、曲げ加工ヘッドの計算された初期位置に対応する)へ移動させられ、その後、曲げ加工ヘッドによって、中間位置から装置上の最終位置へ移動させられる。管の初期位置および最終位置が固定される一方、上記中間位置は、電子制御装置によって時々設定される。
【0009】
本発明に係る装填システムにより、特別な工具または追加の装填固定治具は、管の所望の方向を確実にするために、さらに必要ではない。その上、右手側(すなわち、時計回りの方向)と、左手側(すなわち、反時計回りの方向)との両方の曲げ加工を実行できる管曲げ加工装置か、一種類だけの曲げ加工ができる管曲げ加工装置かのどちらかにより、管が自動的に装填されうる。
【0010】
好ましくは、締付固定治具は、ダイと、既に曲げ加工ヘッド上に存在する曲げ加工工具とによって形成される。したがって、付加的に締付固定治具を使用する必要はない。
【0011】
好ましくは、横断する鉛直面内における曲げ加工ヘッドの2自由度は、水平方向に沿った並進自由度と、横断する鉛直面に直交する軸の周りの回転自由度である。
【0012】
好ましくは、上記管搬送構造は、横断する鉛直面に直交する方向に曲げ加工ヘッドから距離をあけて配置されている。このため、管運搬構造と衝突するリスクなく、鉛直面内で、曲げ加工ヘッドが自由に動くことを管運搬構造は許容する。これに関連して、上記管搬送構造は、管運搬構造が計算された最終位置にあるとき曲げ加工ヘッドが管運搬構造によって運ばれる管を取るのを許容するため、管運搬構造によって曲げ加工ヘッドの方へ運ばれる管を移動させるために配置されている送り装置を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のさらなる特徴および有利な点は、以下の詳細な説明から、より明確になり、添付の図面についての非限定的な実施例によって純粋に与えられる。
【図1】本発明の好適な実施形態による、自動装填システムを備える管曲げ加工装置を示す斜視図である。
【図2】左手曲げ加工の場合に、装填段階における管によってとられた中間位置にある図1の管曲げ加工装置を拡大して示す前方立面図である。
【図3】右手曲げ加工の場合に、装填段階における管によってとられた中間位置にある図1の管曲げ加工装置を拡大して示す前方立面図である。
【図4】いわゆる「直立曲げ加工」、つまり、曲げ加工軸(曲げ加工ヘッドのダイについての軸)に平行な四角形断面の管の主軸での曲げ加工の場合に、装填段階における四角形断面の管によってとられた中間位置にある図1の管曲げ加工装置をさらに拡大して示す前方立面図である。
【図5】いわゆる「横曲げ加工」、つまり、曲げ加工軸に直交する四角形断面の管の主軸での曲げ加工の場合に、装填段階における四角形断面の管によってとられた中間位置にある図1の管曲げ加工装置をさらに拡大して示す前方立面図である。
【図6】管曲げ加工装置に装填される円形断面の管と共に、初期位置にある図1の管曲げ加工装置の管運搬構造を拡大して示す前方立面図である。
【0014】
まず、図1−3に関して、符号10は、管曲げ加工装置の全体を示す。今回の場合、上記管曲げ加工装置は、右手曲げ加工および左手曲げ加工の両方をすることができるが、右手曲げ加工および左手曲げ加工のどちらか一方だけをすることができる管曲げ加工装置であってもよい。管曲げ加工装置10は、実質的に、それ自体が周知の形式である。したがって、すべての部分を参照して詳細に記載していないが、本発明に関して、いくつかの関係のある部分だけを引用して記載する。管曲げ加工装置10は、基本的に、本体12と、本体12上に配置されている管クランプ13と、本体12によって支持されている曲げ加工ヘッド14とを備えている。曲げ加工ヘッド14は、横断する鉛直面、つまり、管送り方向(または長手方向)に直交する鉛直面内の少なくとも2自由度の動作が可能である。今回の場合、曲げ加工ヘッド14は、本体12によって、上記長手方向(すなわち、横断する鉛直面に直交する軸)に平行な回転軸X1の周りに回転可能に支持されている。さらに、本体12は、回転軸X1に直交する水平方向Y(すなわち、横断する鉛直面内の或る方向)に沿って移動するために、管曲げ加工装置10のベース16によって、スライド可能に支持されている。今回の場合、曲げ加工ヘッド14の2自由度は、回転軸X1に関する曲げ加工ヘッド14の回転と、方向Yにおける本体12および本体12に付属する曲げ加工ヘッド14の並進とである。しかしながら、横断する鉛直面内の少なくとも2つの自由度を与えることができる曲げ加工ヘッド14の他の種類の移動が考えられるのは、明らかである。例えば、曲げ加工ヘッド14は、横断する鉛直面内にある2つの直交方向に移動してもよい。曲げアーム18は、回転軸X1に直交する回転軸Zの周りに回転可能に、曲げ加工ヘッド14に取り付けられている。曲げアーム18は、回転軸X1の正反対の側に、右手曲げ加工をするために配置されている第1の曲げ加工固定治具20と、左手曲げ加工をするために配置されている第2の曲げ加工固定治具22とを持っている。各曲げ加工固定治具20,22は、ダイ24と工具26とを備えている。ダイ24は、曲げアーム18の軸(回転軸Z)と同じ回転軸の周りに回転可能である。工具26は、曲げアーム18の軸を貫通すると共にこの軸に直交する或る方向に沿ってスライド可能に、曲げアームに取り付けられている。工具26は、加工される管Tがダイ24と工具26との間の空間に挿入されうる、または加工された管Tが上記空間から排出されうる開位置(または装填/排出位置)と、加工される管Tがダイ24に対して工具26によって締め付けられる閉位置(または加工位置)との間で移動可能である。以下の記載は、曲げ加工固定治具のダイ24と工具26とが、曲げ加工ヘッドに管を装填するための締付固定治具として使用される場合に言及する。しかし、明らかに、本発明は、付加的な締付固定治具を有する曲げ加工ヘッドを備えている管曲げ加工装置の場合にも等しく十分に適用されうる。この追加の締付固定治具は、曲げ加工固定治具から離れ、例えば、開位置(管を挿入するための空いた空間を画定する)と閉位置(上記空間に予め挿入された管を締め付ける)との間で、互いに対して移動可能な一組の締付金具を備えている。
【0015】
また、管曲げ加工装置10は、第1の駆動部も備えている。この第1の駆動部は、回転軸X1に関する曲げ加工ヘッド14の回転と、方向Yに沿った本体12の移動との両方を制御することにより、上記装置の上述した部分を移動させ、それゆえ、特に、上記横断する鉛直面内で曲げ加工ヘッド14を移動させるために配置されている同様に、管曲げ加工装置10は、適切なプログラム可能な動作ロジックに従って、上記第1の駆動部を制御するために配置されている電子制御装置を備えている。上記第1の駆動部と電子制御装置との両方は周知の形式なので、さらに詳細については記載していない。
【0016】
再び図1−3に関して、管曲げ加工装置10は、さらに装填装置を備え、この装填装置全体が符号28で示される。装填装置28は、管クランプ13の軸(管送り方向)を通る鉛直面に関して、管曲げ加工装置の側面に配置されている。図示された実施例において、装填装置28は、(管送り方向に関して)管曲げ加工装置10の左手側に配置されているが、管曲げ加工装置10の右手側に配置されていてもよい。さらに、装填装置28は、横断する鉛直面内での管の移動の間に、装填装置に対して曲げ加工ヘッドが接触するリスクを避けるために、長手方向、つまり、横断する鉛直面に直交する方向に、曲げ加工ヘッド14から距離をあけて有利に配置されている。上記装填装置28は、支持フレーム30と、斜面32とを、周知の方法で備えている。この斜面32は、支持フレーム30によって支持されると共に、斜面32上に置かれた管Tを、重力によって、管曲げ加工装置10の曲げ加工ヘッド14の近くに降ろすことなどができる傾斜を有する。上記装填装置28は、斜面32の下部に管Tを停止するための停止部材34を備えている。
【0017】
本発明によると、上記管曲げ加工装置10は、装填装置28から管Tを毎回受けるために配置されている(図示された実施例では、斜面32の底部で、管Tを毎回受けるために配置されている)管運搬構造36をさらに備えている。この管運搬構造36は、管が曲げ加工ヘッド14によって取られうる或る位置に管を置くために、横断する鉛直面に直交する回転軸X2(したがって、今回の場合、曲げ加工ヘッド14の回転軸X1に平行な回転軸)の周りを回転させることによって、管曲げ加工装置10の曲げ加工ヘッド14の方へ管を移動させるためにも配置されている。図示された実施例では、管運搬構造36は、支持フレーム30によって、回転軸X2の周りに回転可能に支持されている少なくとも2つのアームまたはレバーからなる。それぞれのアームは、アームの自由端部(つまり、アームが支持フレーム30にヒンジで取り付けられている部分と反対側の部分)に、管Tと、開位置(管Tが座38の中へ挿入されると共に、座38から引っ張り出されうる)と閉位置(管が座38の内側で固定される)との間を移動可能な固定部材(周知の形式なので図示されていない)とを受けるために適用される座38を有する。座38は、例えば、直角に配置されている一組の真っ直ぐな側面によって、画定されている。
【0018】
上記管運搬構造36は、曲げ加工ヘッドによって運ばれる締付固定治具によって管Tを締め付けられるように、管Tを長手方向に、曲げ加工ヘッド14の方へ促すように配置されているシリンダ40(図1)を備えているのが好ましい。シリンダの代わりに、管Tを曲げ加工ヘッド14の方へ移動させるために採用された他の如何なる種類の直線駆動装置が当然使用されていてもよい。
【0019】
また、斜面32を備えている装填装置28は、管運搬構造36で曲げられる管Tを毎回置くために適した他の如何なる種類の装置に取り替えられてもよい。上記装填装置は、省略されてもよく、その場合、管運搬構造に曲げられる管を置く動作は、オペレータによって手動で実行される。
【0020】
第2の駆動部(公知の形式であり、したがって、さらに詳細には記載されていない)は、管運搬構造36に関連付けられ、初期位置(管運搬構造が管Tを受けることができる位置)と最終位置との間で、管運搬構造を回転軸X2の周りに回転させると共に、上記開位置と閉位置との間で、管運搬構造の固定部材を移動させるように配置されている。
【0021】
また、上記第2の駆動部(管運搬構造36に関連付けられている)は、第1の駆動部(管曲げ加工装置10の本体12および曲げ加工ヘッド14に関連付けられている)を越えて、管曲げ加工装置10の電子制御装置によって制御されている。これに関連して、本発明によると、管曲げ加工装置10の電子制御装置は、加工装置自体、管運搬構造36、装填装置28(もしあれば)および加工される管Tの適切な幾何学的なパラメータに基づいて、管運搬構造36の最終位置と、横断する鉛直面内における曲げ加工ヘッド14の初期位置とを計算するように配置されている。このため、最終位置の管運搬構造36と、初期位置の曲げ加工ヘッド14とにより、管運搬構造36で運ばれる管は、曲げ加工ヘッド14の締付固定治具によって画定される空いた空間(図示された実施形態では、工具26とダイ24との間に存在する空いた空間)に置かれる。そして、開位置の締付固定治具により、管は、曲げ加工ヘッド14によって取られるように締付固定治具によって固定され、管クランプ13によって締め付けられる装置上の最終位置における管運搬構造36によって運ばれる。曲げ加工ヘッド14および管運搬構造36の移動は、管Tが、締付固定治具によって画定される空いた空間(ダイ24と工具26との間の空いた空間)に所望の方向で配置され、締付固定治具の2つの部品の間で、損傷するリスクなく締め付けられうるのを確実にするために、管曲げ加工装置10の電子制御装置によって計算される。これに関連して、「所望の方向」という表現は、本発明の観点では、上記横断する鉛直面内の曲げ加工ヘッド14に対する管運搬構造36(および、管運搬構造36によって運ばれる管T)の方向に関して、という意図である。その結果、管Tの横断面形状は、締付固定治具(締付固定治具として曲げ加工固定治具を使用する場合におけるダイ24および工具26、または、追加の締付固定治具を使用する場合におけるクランプジョー)の2つの部品の接触面の形状と所定の角度を形成する。曲げ加工ヘッド14および管運搬構造36に与えられる移動が一旦計算されると、上記電子制御装置は、所望の移動を得るために、第1および第2の駆動部を適切に制御する。上記曲げ加工ヘッド14の移動と、上記管運搬構造36の移動とは、順番に(まず、曲げ加工ヘッド14が移動し、それから管運搬構造36が移動する。または管運搬構造36が移動し、それから曲げ加工ヘッド14が移動する。)または少なくとも部分的に同時に発生しうる。
【0022】
したがって、本発明にかかる自動装填システムを備えている管曲げ加工装置は、管の断面形状にかかわりなく、そして、特別な工具の使用または固定治具の装着の必要なく、曲げヘッドで所望の方向に曲げられるように、管を毎回配置することを許容している。これに関連して、図2および図3は、右手曲げの構成(上記管Tが、第1の曲げ加工固定治具20(図3)のダイ24と工具26との間に置かれている場合)と、左手曲げの構成(上記管Tが、第2の曲げ加工固定治具22(図2)のダイ24と工具26との間に置かれている場合)との両者において、どのように本発明が、管Tを上記曲げ加工装置10の上記曲げヘッド14に装填するのを許容するかを示す。さらに、図4および図5に示すように、四角形断面の管Tの場合、管は、いわゆる「直立曲げ加工」構成(図4)と「置き曲げ加工」構成(図5)との両者において、特別な工具または固定治具の装着の必要なく、曲げ加工ヘッド14に自動的に装填されうる。
【0023】
最終的に、図6は、円形断面を有する管Tを装填するための管運搬構造36の使用、特に管運搬構造のそれぞれのアームにおける座38の2つの直交する真っ直ぐな側面に対して隣接する管の配置を示す。図6に示すように、管運搬構造36は初期位置にある。この初期位置で、管運搬構造は、座38が装填装置28の斜面32の方を向き、斜面の底部で管Tを固定する停止部材34が開放されると、管Tが重力によって座38に滑り落ちることができるように配置されている。この初期位置からスタートして、管がそれぞれの最終位置(例えば、図2から4に示されている位置)に到達するまで、上記第2の駆動部は、管曲げ加工装置10の上記電子制御装置によって適切に計算された所定の角度だけ、管運搬構造36を回転させる。上記最終位置は、管Tが曲げ加工ヘッド14のダイ24と工具26との間に配置され、したがって、その間で締め付けられうるように計算された位置である。円形断面の管の場合、本発明は、管に存在しているかもしれない穴の向き、溶接ビードまたは他のワークを有利に考慮に入れる。
【0024】
したがって、上記管曲げ加工装置10の曲げ加工ヘッド14への管Tの自動的な装填は、以下のステップにより実行される。
上記管運搬構造36が、それぞれの座38で管Tを受ける準備のために初期位置に位置し、上記管は、例えば、装填装置28の斜面32の底部で停止部材34によって停止されるステップと、
装填装置28の斜面32の底部における停止部材34が、管運搬構造の座38に管Tを落とし、より適切には滑り降ろし、またはその代わりに、管Tが管運搬構造36に手動で装填されるように開放されるステップと、
上記管Tが、管運搬構造の固定部材によって、管運搬構造36の座38に固定されるステップと、
管Tが、曲げ加工ヘッド14における曲げ加工固定治具20または22(左手曲げ加工または、右手曲げ加工をそれぞれしなければならない装置に依存する)のダイ24と工具26との間の空いた空間に所望の方向で配置され、ダイと工具との間で締め付けられるように、上記管曲げ加工装置10の電子制御装置が、管運搬構造36の最終位置と、曲げ加工ヘッド14の初期位置とを計算するステップと、
上記第2の駆動部が、管運搬構造36が電子制御装置によって計算された最終位置に到達するまで、回転軸X2の周りに管運搬構造36を回転させるために動作されるステップと、
上記管Tが、例えばシリンダ40によって曲げ加工ヘッド14の方へ移動させられるステップと、
上記第1の駆動部が、管運搬構造36が電子制御装置によって計算された初期位置に到達するまで、横断する鉛直面内で曲げ加工ヘッド14を移動させるために動作されるステップと、
上記管Tが、曲げ加工ヘッド14の曲げ加工固定治具20または22におけるダイ24と工具26との間で締め付けられるステップと、
上記管運搬構造36の固定部材が、管Tが座38から離れるのを許容するために上記開位置に戻されるステップと、
上記管運搬構造36が、初期位置に、または、いかなる場合でも管Tを曲げている間に曲げ加工ヘッド14との接触を避けるような非作動の位置に戻されるステップと、
上記曲げ加工ヘッド14が、曲げ加工動作を開始させるために、管クランプ13が管Tを締め付けるのを許容する最終位置に、上記第1の駆動部によって移動されるステップである。
【0025】
したがって、上記管の装填は、第1のステップと第2のステップとを備えている。上記第1のステップでは、管が、それぞれの初期位置から電子制御装置によって計算されたそれぞれの最終位置へ、管運搬構造の回転軸の周りに管運搬構造を回転させることによって、それぞれの初期位置(例えば、斜面の底部における停止位置)からそれぞれの中間位置へ移動させられる。上記第2のステップでは、管が、曲げ加工ヘッドによって、それぞれの中間位置から管クランプによって締め付けられるそれぞれの最終位置へ移動させられる。
【0026】
上記記載を考慮すると、本発明に係る自動装填システムを備える管曲げ加工装置により得られうる利点は、明らかである。
【0027】
まず第1に、上記曲げられる管は、特別な工具または装填固定治具を追加する必要なく、所望の方向で、管曲げ加工装置の曲げ加工ヘッドに配置されうる。本発明は、両方のタイプ、すなわち、右手曲げ加工と左手曲げ加工との両方を行える機械と、1つのタイプの曲げ加工だけを行える機械との両方に管を自動的に装填できる。四角形断面の管の場合、上記管は、特別な工具や装填固定治具の必要無く、「直立曲げ加工」構成と「置き曲げ加工」構成との両方で曲げられるように、自動的に装填されうる。本発明で、管運搬構造および曲げ加工ヘッドの動きを予め計算することによって、装填される管の穴または溶接ビードの方向における予想される変化と同様に、曲げ加工ヘッド、管運搬構造および/または装填される管の幾何学的なパラメータの予想される変化を自動的に考慮に入れる。
【0028】
当然のことながら、本発明の原理が変更されなければ、上記実施形態および構造上の詳細は、非限定的な実施形態によって単に記載され、図示されたものに関して、広く変更してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(T)または、成形部品および棒状物のような類似の細長いブランク材を曲げ加工するための管曲げ加工装置(10)であって、
横断する鉛直面内の少なくとも2自由度で移動可能な曲げ加工ヘッド(14)を備え、この曲げ加工ヘッド(14)は、締付固定治具(20,22,24,26)を有し、この締付固定治具(20,22,24,26)は、曲げられる上記管(T)が上記曲げ加工ヘッド(14)に挿入されるのを許容する空いた空間を画定する開位置と、上記空いた空間に予め挿入された上記管(T)を締め付ける閉位置とを二者択一で選択することができ、
上記横断する鉛直面内で上記曲げ加工ヘッド(14)を移動させると共に、上記開位置と閉位置との間で上記締付固定治具(20,22,24,26)を移動させるように配置されている第1の駆動部と、
上記横断する鉛直面に直交する第1の回転軸(X2)の周りに回転可能な管運搬構造(36)と、
上記管運搬構造(36)が、上記管(T)を受けることができる初期位置と最終位置との間で、上記管運搬構造(36)を上記第1の回転軸(X2)の周りに回転させるように配置されている第2の駆動部と、
電子制御装置とを備え、
上記電子制御装置は、上記管運搬構造(36)によって運搬される上記管(T)が、上記締付固定治具(20,22,24,26)の上記空いた空間に所望の方向で配置されるように、上記曲げ加工ヘッド(14)の初期位置と、上記管運搬構造(36)の最終位置とを計算するように配置されると共に、上記曲げ加工ヘッド(14)を、上記横断する鉛直面内で上記曲げ加工ヘッド(14)がそれぞれの計算された初期位置に到達するまで移動させ、上記管運搬構造(36)を、上記それぞれの初期位置から上記それぞれの計算された最終位置へ上記第1の回転軸(X2)の周りに回転させ、上記曲げ加工ヘッド(14)と上記管運搬構造(36)とが上記計算された初期位置および最終位置にそれぞれ位置すると直ちに、上記締付固定治具(20,22,24,26)によって上記管(T)を締め付けるために、上記第1および第2の駆動部を制御するように配置されていることを特徴とする管曲げ加工装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の管曲げ加工装置において、
上記曲げ加工ヘッド(14)は、上記第1の回転軸(X2)と平行な第2の回転軸(X1)の周りに回転可能に取り付けられている本体(12)をさらに備え、上記本体(12)は、上記第1および第2の回転軸(X1,X2)に直交する水平方向(Y)に沿って移動できることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管曲げ加工装置において、
上記曲げ加工ヘッド(14)は、ダイ(24)と、このダイ(24)に対して移動可能な工具(26)とを有する曲げ加工固定治具(20,22)を移動させ、上記締付固定治具(20,22,24,26)は、上記曲げ加工固定治具(20,22)によって形成され、上記空いた空間は、上記曲げ加工固定治具(20,22)の上記ダイ(24)と上記工具(26)との間に画定されていることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管曲げ加工装置において、
上記曲げ加工ヘッド(14)は、ダイ(24)と工具(26)とを備えると共に、一方が右手曲げ動作を行い、他方が左手曲げ動作を行うように配置されている2つの曲げ加工固定治具(20,22)を移動させ、上記第1の駆動部は、上記曲げ加工固定治具(20,22)の上記ダイ(24)と上記工具(26)との間で、上記管運搬構造(36)によって運搬される管(T)を締め付けるために、上記締付固定治具(20,22)のいずれかを、上記計算された初期位置に移動させるように配置されていることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の管曲げ加工装置において、
上記管運搬構造(36)は、上記第1の回転軸(X2)の周りに回転可能な少なくとも一組のアームを備え、それぞれのアームは、上記アームの自由端部に、上記管(T)を受けるための座(38)を有していることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管曲げ加工装置において、
上記管運搬構造(36)のそれぞれのアームは、上記管(T)が上記座(38)の中へ挿入されると共に、上記座(38)の外へ引き伸ばされることを許容する開位置と、上記管(T)を上記座(38)の中に固定する閉位置との間で移動可能な固定部材を有していることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の管曲げ加工装置において、
上記管運搬構造(36)が上記初期位置にあるとき、上記管(T)を上記管運搬構造(36)に装填するように配置されている装填装置(28)をさらに備え、上記装填装置(28)は、斜面(32)を有し、この斜面(32)の傾斜は、上記斜面(32)上に配置されている上記管(T)が、上記管運搬構造(36)の方へ落ちるのを許容するようになっていることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の管曲げ加工装置において、
上記管運搬構造(36)は、上記横断する鉛直面内での上記曲げ加工ヘッド(14)の移動に干渉しないように、上記横断する鉛直面から距離をあけると共に、上記管(T)を上記曲げ加工ヘッド(14)の方へ送り出すために配置されている送り部(40)を有していることを特徴とする管曲げ加工装置。
【請求項9】
管曲げ加工装置(10)の曲げ加工ヘッド(14)に、管(T)または、成形部品または棒状物のような類似の細長いブランク材を自動的に装填するための方法であって、上記曲げ加工ヘッド(14)は、横断する鉛直面内の少なくとも2自由度で移動可能であると共に、上記曲げ加工ヘッド(14)は、締付固定治具(20,22,24,26)を有し、この締付固定治具(20,22,24,26)は、曲げられる上記管(T)が上記曲げ加工ヘッド(14)に挿入されるのを許容する空いた空間を画定する開位置と、上記空いた空間に予め挿入された上記管(T)を締め付ける閉位置とを二者択一で選択することができ、
上記方法は、
a)上記横断する鉛直面に直交する回転軸(X2)の周りに回転可能な管運搬構造(36)に管(T)を配置すると共に固定するステップと、
b)上記回転軸(X2)の周りに上記管運搬構造(36)を回転させると共に、上記管(T)が、締付固定治具(20,22,24,26)によって画定される上記空いた空間に所望の方向で配置される位置に、上記曲げ加工ヘッド(14)が到達するまで、上記横断する鉛直面内で上記曲げ加工ヘッド(14)移動させるステップと、
c)上記管(T)を上記曲げ加工ヘッド(14)の上記締付固定治具(20,22,24,26)によって締め付けるステップと、
d)上記管(T)を上記管運搬構造(36)から引き離すステップと、
e)上記管(T)を上記曲げ加工ヘッド(14)により、上記管曲げ加工装置(10)の本体(12)によって運搬される締付部(13)によって締め付けられうるような位置に移動させるステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
ステップb)とステップc)との間に、上記管(T)を上記曲げ加工ヘッド(14)へ送り出すステップをさらに備えると共に、ステップd)とステップe)との間に、上記曲げ加工ヘッド(14)が上記管運搬構造(36)に干渉しない位置に、上記管運搬構造(36)を上記曲げ加工ヘッド(14)から離すように移動させるステップをさらに備えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255421(P2011−255421A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118762(P2011−118762)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(509142807)ビエッレエンメ・ソシエタ・ペル・アチオニ (2)
【氏名又は名称原語表記】BLM S.P.A.
【Fターム(参考)】