説明

自動調心型クラッチレリーズ軸受装置

【課題】
カバーの偏摩耗を防止して所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受を長期間安定して保持することができる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供する。
【解決手段】
レリーズ軸受2の外輪6がレリーズハブ1のフランジ1aとこのレリーズハブ1に取り付けられたカバー5との間に弾性部材4を介装させて軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、弾性部材4が、自然状態でその外径がカバー5の内径より大きく設定され、縮径してカバー5内に弾性挿入されてカバー5の内周に密着して保持されている。これにより、レリーズ軸受2が半径方向に調心する際、弾性部材4と外輪6間で確実に摺動し、この弾性部材4とカバー5の内フランジ5a間で摺動することはなく、カバー5に偏摩耗が生じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のマニュアルトランスミッションに装着されるクラッチレリーズ軸受装置、特に、レリーズハブにレリーズ軸受の外輪が軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のクラッチレリーズ軸受装置は、自動車のエンジンとトランスミッションとの間に介装され、エンジンからトランスミッションへの動力の伝達・遮断を行うクラッチ部に使用されている。図4に示すクラッチレリーズ軸受装置はこの代表的な一例で、トランスミッション装置のフロントカバーF/Cに突設されたボスB上に軸方向に移動可能なレリーズハブ51が設けられ、このレリーズハブ51の外周にレリーズ軸受52が調心自在に配設されている。
【0003】
この自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、円筒状のレリーズハブ51と、このレリーズハブ51に外嵌されたレリーズ軸受52と、クラッチフォーク(図示せず)が当接される側板57と、レリーズ軸受52に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材53と、これらを保持するカバー54とからなる。レリーズ軸受52を構成する内輪55には、ダイヤフラムスプリングD/Sに接触し、一端に円弧面を有する鍔55aが一体形成されている。
【0004】
レリーズ軸受52は、弾性部材53を介してカバー54の一端とレリーズハブ51のフランジ51aとの間に保持されている。また、カバー54の他端が側板57の外径部に加締られ、弾性部材53、レリーズ軸受52の外輪56、およびレリーズハブ51が分離しないように保持されている。
【0005】
この種の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、レリーズ軸受52の軸心と、ダイヤフラムスプリングD/Sの回転中心とを正確に一致させて組み付けることは、各部品の精度および組み付け作業上極めて困難なことである。この不一致はダイヤフラムスプリングD/Sの回転中心との平行なずれ(偏心)として生じ、ダイヤフラムスプリングD/Sあるいは内輪55の偏摩耗を招来せしめると共に、ダイヤフラムスプリングD/Sと内輪55との接触時における振動や異音を誘発させて好ましくない。
【0006】
したがって、同図の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置にあっては、レリーズハブ51とレリーズ軸受52との間に半径方向の隙間を設け、かつレリーズハブ51に対して弾性部材53を介してレリーズ軸受52を弾性的に保持することにより、半径方向に調心可能にすると共に、一旦調心が得られた後は、この調心状態が崩れないようにしている。
【0007】
弾性部材53は、図5(a)に示すように、3〜5個の複数の波を有する断面が平坦な一つの割りリングからなる有端リングで構成され、鋼線等の線材を波押しおよび丸め成形によって形成されている。波の山部58と谷部59とは弾性部材53の円周方向に等間隔で交互に形成され、軸方向の弾性を付与している。また、端部53a、53bは、波の山部58と谷部59との中間に位置させてあり、互いに略突き合わせ状態とされている。また、図5(b)に示すように、端部53a、53bは、互いに軸方向に重合させても良い。
【0008】
このように、弾性部材53を複数の波を有する有端リングとしたので、各部の寸法が精度良く得られ、調心位置にレリーズ軸受52を安定して保持することができると共に、弾性部材53の歩留まりの向上を図ることができる。
【特許文献1】特開平8−184329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、図6に拡大して示すように、弾性部材53の自由時の外径が、組立性の面からカバー54の内径より小さく設定され、弾性部材53とカバー54との間には半径方向の隙間δが残存している。この隙間δにより、レリーズ軸受52が半径方向に調心する際、弾性部材53とレリーズ軸受52間で摺動するか、もしくは弾性部材53とカバー54間で摺動することになる。ところが、弾性部材53がカバー54上を摺動した場合、組み付けにおいて加締加工されるカバー54は、硬化処理された弾性部材53に対して表面硬さが低く、カバー54に偏摩耗が生じる恐れがあった。
【0010】
このカバー54の偏摩耗により、弾性部材53のセット高さが変動し、ばね荷重が低下すると共に、ばね荷重にバラツキが生じることになる。そして、このばね荷重の変動により、レリーズ軸受52の保持力の低下とバラツキが生じて、安定したレリーズ機能が阻害される恐れがあった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、カバーの偏摩耗を防止して所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受を長期間安定して保持することができる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周にフランジを一体に有した円筒状のレリーズハブと、このレリーズハブに外嵌されたレリーズ軸受と、クラッチフォークが当接される側板と、前記レリーズ軸受に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材と、これらを保持するカバーとを備え、前記レリーズ軸受の外輪が、前記レリーズハブのフランジと、前記レリーズ軸受を覆うように取り付けられたカバーとの間に、前記弾性部材を介装させて軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、前記弾性部材が前記カバーの内周に密着して保持されている構成を採用した。
【0013】
このように、弾性部材がカバーの内周に密着して保持されているので、レリーズ軸受が半径方向に調心する際、弾性部材と外輪間で確実に摺動し、この弾性部材とカバーの内フランジ間で摺動することはなく、カバーに偏摩耗が生じることはない。したがって、所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受を長期間安定して保持することができる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記弾性部材が、自然状態でその外径が前記カバーの内径より大きく設定され、縮径させてカバー内に弾性挿入されているので、弾性部材をカバーの内周に確実に密着させることができ、ガタなく保持することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、前記弾性部材が、線材の波押しおよび丸め成形により形成された複数の波を有する有端リングからなり、その端部が、前記波の山部と谷部との中間に形成されているので、組織のファイバーの方向が一定となって熱処理後の寸法が安定し、所定の保持力が得られると共に、荷重が負荷された際に、端部のエッジがレリーズ軸受の調心を阻害することがなく、所定の保持力を維持して調心位置にレリーズ軸受を長期間安定して保持することができる。
【0016】
また、前記端部が、請求項4に記載の発明のように、互いに略突き合わせ状態に所定の間隙を介して対向していても良いし、また、請求項5に記載の発明のように、互いに重合していても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、外周にフランジを一体に有した円筒状のレリーズハブと、このレリーズハブに外嵌されたレリーズ軸受と、クラッチフォークが当接される側板と、前記レリーズ軸受に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材と、これらを保持するカバーとを備え、前記レリーズ軸受の外輪が、前記レリーズハブのフランジと、前記レリーズ軸受を覆うように取り付けられたカバーとの間に、前記弾性部材を介装させて軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、前記弾性部材が前記カバーの内周に密着して保持されているので、レリーズ軸受が半径方向に調心する際、弾性部材と外輪間で確実に摺動し、この弾性部材とカバーの内フランジ間で摺動することはなく、カバーに偏摩耗が生じることはない。したがって、所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受を長期間安定して保持することができる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
外周にフランジを一体に有した円筒状のレリーズハブと、このレリーズハブに外嵌されたレリーズ軸受と、クラッチフォークが当接される側板と、前記レリーズ軸受に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材と、これらを保持するカバーとを備え、前記レリーズ軸受の外輪が、前記レリーズハブのフランジと、前記レリーズ軸受を覆うように取り付けられたカバーとの間に、前記弾性部材を介装させて軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、前記弾性部材が、自然状態でその外径が前記カバーの内径より大きく設定され、縮径してカバー内に弾性挿入されて前記カバーの内周に密着して保持されている。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る自動調心型クラッチレリーズ軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2(a)は、弾性部材を示す斜視図、(b)は、(a)の変形例を示す斜視図、図3は、図1の要部拡大図である。
【0020】
この自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、円筒状のレリーズハブ1と、このレリーズハブ1に外嵌されたレリーズ軸受2と、クラッチフォーク(図示せず)が当接される側板3と、レリーズ軸受2に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材4と、これらを保持するカバー5とを主たる構成としている。
【0021】
レリーズハブ1は、PA(ポリアミド)66等の熱可塑性合成樹脂をベースに、CF(カーボンファイバー)等の強化材を5〜25wt%添加させ、射出成形により円筒状に形成されている。レリーズハブ1の外周の一端部にフランジ1aが一体形成され、内周の軸方向の略中間部に環状の凹所1bが形成されている。フランジ1aは後述するレリーズ軸受2と側板7を軸方向に支持するために設けられている。また、凹所1bは、フロントカバーF/CのボスBに外嵌されるレリーズハブ1において、内周面がその両端部でボスB上に安定して支持されるために設けられている。なお、しばしば、レリーズハブ1とフロントカバーF/CのボスBとの間の摺動抵抗を減少させるために潤滑グリースが塗布されるが、この場合、レリーズハブ1の内周に形成された凹所1bは潤滑グリースの保持部となる。
【0022】
レリーズ軸受2はレリーズハブ1に所定の径方向隙間を介して外嵌され、内周に外側転走面6aが形成された外輪6と、この外輪6に内挿され、外周に外側転走面6aに対向する内側転走面7aが形成され、径方向外方に延び、円弧状断面を有する鍔8が一端部に一体形成された内輪7と、両転走面6a、7a間に保持器9を介して転動自在に収容された複数の転動体(ボール)10とを備えている。外輪6の両端部にはシール11、12が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0023】
側板3は、例えば、冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系)等をプレス加工にて全体として円板状に形成され、周方向外縁の2箇所から軸方向に延びる支持部3aが対向して形成されている。この支持部3aは、クラッチフォークに係合してそれをガイドする。また、側板3は、浸炭焼入れ等により表面に54〜64HRCの範囲に硬化処理され、クラッチフォークの当接によって側板3が摩耗するのを抑制している。
【0024】
弾性部材4は、図2(a)に示すように、複数、例えば3〜5個の波を有する断面が平坦な有端リングからなり、鋼線(JIS規格のSW、SWP系)等の線材から波押しおよび丸め成形され、熱処理により歪み取り焼鈍後、時効硬化処理が施されている。弾性部材4の波の山部4aと谷部4bとは円周方向に等間隔で交互に形成され、軸方向の弾性を付与している。端部4c、4dは、波の山部4aと谷部4bとの中間に位置させてあり、互いに略突き合わせ状態に所定の間隙を介して対向している。
【0025】
また、この有端リングからなる弾性部材4は、図2(b)に示すように、端部4c、4dが互いに重合していても良い。このように端部4c、4dを重合させることにより、製造過程で弾性部材4同士が絡み合って切り出し等の作業性が低下するのを防止できる。本実施形態では、弾性部材4が線材から波押しおよび丸め成形され、熱処理により歪み取り焼鈍後、時効硬化処理が施されているので、組織のファイバーの方向が一定となって熱処理後の寸法が安定し、弾性部材4の寸法精度が向上して所定の保持力が安定して得られる。
【0026】
カバー5は、例えば、冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系)等をプレス加工にて前記レリーズ軸受2を覆う円筒状に形成され、一端部に弾性部材4を収容する内フランジ5aが形成されると共に、他端部に周方向複数箇所に舌片5bが形成されている。この舌片5bが側板3の外径部に加締られ、弾性部材4、外輪6、および側板3が分離しないように保持している。
【0027】
本実施形態では、図3に示すように、有端リングからなる弾性部材4は、自由時、すなわち自然状態ではその外径がカバー5の内径より大きく設定されている。したがって、この弾性部材4は、縮径した状態でカバー5内に弾性挿入され、組立後は弾性部材4が復元し、カバー5との間には従来のような半径方向の隙間が残存せず、カバー5の内周に密着して保持される。これにより、ガタなく弾性部材4をカバー5に保持することができると共に、レリーズ軸受2が半径方向に調心する際、レリーズ軸受2(外輪6)間で確実に摺動し、摩擦係数が安定する。また、この弾性部材4とカバー5の内フランジ5a間で摺動することはなく、カバー5に偏摩耗が生じることはない。したがって、所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受2を長期間安定して保持することができる自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を提供することができる。
【0028】
次に、本発明に係る自動調心型クラッチレリーズ軸受装置の作用を、図1を用いて説明する。
レリーズ軸受2の外輪6は、複数の波を有する有端リングからなる弾性部材4によって弾性的に保持され、かつレリーズ軸受2はレリーズハブ1に所定の径方向隙間を介して外嵌されているため、ダイヤフラムスプリングD/Sの回転中心とレリーズ軸受2の軸心との間に偏心があっても、両者の1〜3回程度の接触回転中にこの偏心が修正され、調心位置にレリーズ軸受2が保持される。
【0029】
また、弾性部材4が自然状態でその外径がカバー5の内径より大きく設定され、縮径した状態でカバー5内に弾性挿入されているため、カバー5の内周に密着して保持され、レリーズ軸受2が半径方向に調心する際、弾性部材4と外輪6間で確実に摺動する。さらに、弾性部材4の波の山部4aと谷部4bとの中間に端部4c、4dが形成されているため、荷重が負荷された際に、端部4c、4dのエッジがレリーズ軸受2の調心を阻害することがない。したがって、所定の保持力を維持し、調心位置にレリーズ軸受2を長期間安定して保持することができる。
【0030】
なお、ここでは、弾性部材4に有端リングを例示したが、これに限らず、所定の軸方向の弾性を付与すると共に、組立性を確保するために縮径可能な構成を有していれば良く、例えば、リング状に形成されたゴムや合成樹脂等のエラストマーであっても良い。これにより、弾性部材4の角部の面取りを大きくすることが容易にでき、カバー5の内フランジ5aの隅部に弾性部材4が干渉するのを防止することができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る自動調心型クラッチレリーズ軸受装置は、レリーズハブにレリーズ軸受の外輪を軸方向に弾性的に保持した自動調心型クラッチレリーズ軸受装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る自動調心型クラッチレリーズ軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は、同上、弾性部材を示す斜視図である。 (b)は、(a)の変形例を示す斜視図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】従来の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置を示す縦断面図である。
【図5】(a)は、同上、弾性部材を示す斜視図である。 (b)は、(a)の変形例を示す斜視図である。
【図6】図4の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・・・・・・・レリーズハブ
1a・・・・・・・・フランジ
1b・・・・・・・・凹所
2・・・・・・・・・レリーズ軸受
3・・・・・・・・・側板
3a・・・・・・・・支持部
4・・・・・・・・・弾性部材
4a・・・・・・・・山部
4b・・・・・・・・谷部
4c、4d・・・・・端部
5・・・・・・・・・カバー
5a・・・・・・・・内フランジ
5b・・・・・・・・舌片
6・・・・・・・・・外輪
6a・・・・・・・・外側転走面
7・・・・・・・・・内輪
7a・・・・・・・・内側転走面
8・・・・・・・・・鍔
9・・・・・・・・・保持器
10・・・・・・・・転動体
11、12・・・・・シール
51・・・・・・・・レリーズハブ
51a・・・・・・・フランジ
52・・・・・・・・レリーズ軸受
53・・・・・・・・弾性部材
53a、53b・・・端部
54・・・・・・・・カバー
55・・・・・・・・内輪
55a・・・・・・・鍔
56・・・・・・・・外輪
57・・・・・・・・側板
58・・・・・・・・山部
59・・・・・・・・谷部
B・・・・・・・・・ボス
D/S・・・・・・・ダイヤフラムスプリング
F/C・・・・・・・フロントカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周にフランジを一体に有した円筒状のレリーズハブと、このレリーズハブに外嵌されたレリーズ軸受と、クラッチフォークが当接される側板と、前記レリーズ軸受に所定の軸方向荷重を付与する弾性部材と、これらを保持するカバーとを備え、前記レリーズ軸受の外輪が、前記レリーズハブのフランジと、前記レリーズ軸受を覆うように取り付けられたカバーとの間に、前記弾性部材を介装させて軸方向に弾性的に保持された自動調心型クラッチレリーズ軸受装置において、前記弾性部材が前記カバーの内周に密着して保持されていることを特徴とする自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
【請求項2】
前記弾性部材が、自然状態でその外径が前記カバーの内径より大きく設定され、縮径して前記カバー内に弾性挿入されている請求項1に記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
【請求項3】
前記弾性部材が、線材の波押しおよび丸め成形により形成された複数の波を有する有端リングからなり、その端部が、前記波の山部と谷部との中間に形成されている請求項1または2に記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
【請求項4】
前記端部が互いに略突き合わせ状態に所定の間隙を介して対向している請求項3に記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。
【請求項5】
前記端部が互いに重合している請求項3に記載の自動調心型クラッチレリーズ軸受装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−38159(P2006−38159A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221542(P2004−221542)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】