説明

自動販売機の商品搬出装置

【課題】形状の違いに関わらず商品を確実に個別に搬出すること。
【解決手段】上下方向に沿って複数の商品Gを収納する商品収納通路53に進退可能に配設し、待機状態においては商品収納通路53に進出することにより商品Gの下方への移動を規制する一方、搬出指令に応じて退行移動した場合には商品Gの下方への移動を許容するペダル部材66を備えた自動販売機の商品搬出装置60において、ペダル部材66が、その延在方向に沿って移動することにより商品収納通路53に対して進退するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の商品搬出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機では、本体キャビネットに構成した断熱構造の商品収納庫に商品ラックが設けられている。商品ラックは、上下方向に沿って複数の商品を収納するための商品収納通路を有したもので、その下端部に商品搬出装置を備えている。
【0003】
商品搬出装置は、販売待機状態においては商品の下方への移動を規制する一方、販売指令に応じて駆動した場合には商品の下方への移動を許容するもので、上下2つのペダル部材と、これら2つのペダル部材を動作させるための電磁ソレノイドとを備えて構成されたものが一般的である。上ペダル部材及び下ペダル部材は、それぞれ商品収納通路に進退移動する態様で装置本体に揺動可能に配設されている。下ペダル部材に関しては、装置本体との間にバネ部材が介在されており、このバネ部材の弾性力により常時商品収納通路に進出移動される一方、商品の荷重が作用した場合にはバネ部材の弾性力に抗して商品収納通路から退行移動されるようになっている。電磁ソレノイドは、プランジャが上下方向に沿って移動するように設けられたもので、カム機構を介して上ペダル部材と連係されている一方、ストッパ部材を介して下ペダル部材に係合することができる。カム機構は、プランジャが上下方向に移動した場合に上ペダル部材を商品収納通路に進退移動させるものである。ストッパ部材は、下ペダル部材の退行移動を規制するためのものである。
【0004】
この種の商品搬出装置では、販売待機状態において上ペダル部材が退行移動された状態にある一方、ストッパ部材が係合することによって下ペダル部材が商品収納通路に進出移動された状態に保持されており、下ペダル部材によって商品の下方への移動が規制されている。この販売待機状態において販売指令が与えられると、電磁ソレノイドの駆動により上ペダル部材が前傾するように商品収納通路に進出移動され、上ペダル部材が最下位から2番目の商品に当接することによってその下方への移動が規制される。さらに、上ペダル部材が進出移動した後、ストッパ部材と下ペダル部材との係合状態が解除され、下ペダル部材が下方に向けて揺動することになる。この結果、下ペダル部材が商品収納通路から退行することになり、最下位の商品が下方へ搬出されることになる。その後、下ペダル部材がバネ部材の弾性復元力により商品収納通路に進出移動され、さらにストッパ部材が下ペダル部材に係合する一方、上ペダル部材が退行移動されることにより、上述した販売待機状態に復帰する。
【0005】
上記のように構成した商品搬出装置によれば、上ペダル部材によって最下位から2番目に位置する商品の下方への移動が規制された状態で下ペダル部材が退行移動するため、商品収納通路において最下位に位置する商品のみを下方に搬出することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−213539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、自動販売機において搬出対象となる商品には種々のものがあり、その形状も様々である。しかしながら、商品搬出装置に適用される上ペダル部材は、商品収納通路に収納された複数の商品荷重が加わるものであるため、容易に変形や損傷することがないように、金属や硬質の樹脂材によって構成されたものが一般的であり、形状が異なるすべての商品に対して必ずしも最適とはならない。
【0008】
また、上ペダル部材を確実に商品に当接させるためには、商品収納通路へ進出移動した場合の上ペダル部材の進出量を大きくすることが好ましい。しかしながら、上ペダル部材の進出量を大きく設定した場合には、商品収納通路へ進出移動させる際に必要となる扇形状の移動域も進出量の増大に応じて大きく拡大することになり、進出移動する際に商品収納通路の商品に干渉する事態が起こり得る。
【0009】
これらの結果、搬出指令に応じて上ペダル部材を前傾姿勢となるように揺動させた場合にも、搬出対象となる商品の形状によっては上ペダル部材を最下位から2番目に位置する商品に対して十分に当接させることができず、商品を個別に搬出することができなくなる虞れがある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品の形状に関わらず確実に個別に搬出することのできる自動販売機の商品搬出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る自動販売機の商品搬出装置は、上下方向に沿って複数の商品を収納する商品収納通路に進退可能に配設し、待機状態においては商品収納通路に進出することにより商品の下方への移動を規制する一方、搬出指令に応じて退行移動した場合には商品の下方への移動を許容する商品規制部材を備えた自動販売機の商品搬出装置において、前記商品規制部材は、その延在方向に沿って移動することにより商品収納通路に対して進退するものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項1において、作動軸心が商品収納通路に交差する態様でシリンダアクチュエータを配設するとともに、このシリンダアクチュエータに流体圧を作用させた場合に商品収納通路に進出する態様で商品規制部材を配設したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項1において、少なくとも商品規制部材の外表面となる部位に、当接した商品の外形形状に倣って変形可能となる可変当接部を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機の商品搬出装置は、上下方向に沿って複数の商品を収納する商品収納通路に配設し、待機状態においては商品の下方への移動を規制する一方、搬出指令に応じて駆動した場合には商品の下方への移動を許容する自動販売機の商品搬出装置において、商品収納通路の商品に対して流動体による圧力を作用させることにより、商品の下方への移動を規制する商品規制手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項4において、商品規制手段は、ノズルから商品に向けて噴射する流体の噴射圧力により、商品収納通路において商品の下方への移動を規制するものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項4において、商品規制手段は、内部に流動体を供給することによって容積増大状態となった場合に商品収納通路において商品の下方への移動を規制する一方、内部の流動体を排出して容積減少状態となった場合に商品収納通路において商品の下方への移動を許容する流体バッグを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項6において、流体バッグは、容積増大状態となった場合に少なくとも下方に向かう部分に補強部を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に係る自動販売機の商品搬出装置は、上述した請求項6において、流体バッグの内部に粒状固体を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、商品規制部材を、その延在方向に沿って移動することにより商品収納通路に対して進退させるようにしているため、進出移動時の商品規制部材の進出量を増大した場合にも移動域が大きく拡大する事態を招来する虞れがない。従って、商品の形状の影響を受けることなく商品の相互間に商品規制部材を挿入して確実に当接させることが可能となり、商品を個別に搬出することができるようになる。
【0020】
また、本発明によれば、商品規制手段として、商品収納通路の商品に対して流動体による圧力を作用させるものを適用しているため、商品の形状の影響を受けることなく商品の下方への移動を規制することが可能となり、商品を個別に搬出することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である商品搬出装置を適用した自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット10、外扉20及び内扉30を備えている。
【0023】
本体キャビネット10は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面が開口した箱状に構成したもので、その内部に断熱構造の商品収容庫11を有している。外扉20は、本体キャビネット10の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット10の一側縁部に開閉可能に配設してある。図には明示していないが、この外扉20の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択押ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口、商品取出口21等々、商品Gを販売する際に必要となる構成が設けてある。内扉30は、商品収容庫11の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉20よりも内方となる位置において本体キャビネット10の一側縁部に開閉可能に配設してある。この内扉30の下方部には、商品Gを商品収容庫11の外部に搬出するための商品搬出口31が設けてある。
【0024】
また、上記自動販売機には、商品収容庫11の内部に商品シュータ12が設けてあり、この商品シュータ12よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」という)に温度調整ユニット40が配設してある一方、商品シュータ12よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」という)に複数の商品ラック50が配設してある。
【0025】
商品シュータ12は、商品ラック50から払い出された商品Gを内扉30の商品搬出口31に案内するためプレート状部材であり、手前側に向けて下方に傾斜する態様で配設してある。図には明示していないが、この商品シュータ12には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通するための通気孔が多数穿設してある。
【0026】
温度調整ユニット40は、商品収容庫11の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクル41の蒸発器41a、電熱ヒータ42及び送風ファン43を備えて構成してある。この温度調整ユニット40においては、例えば冷凍サイクル41を運転した状態で送風ファン43を駆動すると、蒸発器41aにおいて冷却された空気が商品シュータ12の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。これに対して電熱ヒータ42に通電した状態で送風ファン43を駆動すると、電熱ヒータ42によって加熱された空気が商品シュータ12の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。尚、冷凍サイクル41の圧縮機41b、凝縮器41c及び膨張弁41dは、いずれも商品収容庫11の外部となる部位に配設してある。
【0027】
商品ラック50は、一対の側板51の間にセグメントと称される湾曲形状の案内部材52を配設することによって蛇行状に構成した商品収納通路53を備え、商品収納通路53の内部に上下方向に沿って複数の商品Gを収納するものである。商品収納通路53には、それぞれの上端部にトップトレイ54が設けてある一方、それぞれの下端部に商品搬出装置60が設けてある。
【0028】
トップトレイ54は、商品収容庫11の前面開口から投入された商品Gを商品収納通路53の上端開口に案内するためのプレート状部材であり、商品収納通路53の上端から手前側に向けて漸次上方に傾斜する態様で配設してある。
【0029】
商品搬出装置60は、商品収納通路53の下端部において商品Gの挙動を制御することにより、販売待機状態においては商品収納通路53に商品Gを収納する一方、販売指令が与えられた場合には対応する商品Gを1つずつ商品シュータ12に払い出すように機能するもので、図2に示すように、商品収納通路53を挟んで互いに対向する部位に通路幅規定板61とベース部材62とを備えている。
【0030】
通路幅規定板61は、案内部材52の下端部から鉛直方向に沿って延在するもので、その中間部の上下2カ所に偏倚部61aを有している。偏倚部61aは、商品収納通路53の内部に向けて突出した部分であり、互いに間隔を確保した位置にそれぞれ通路幅規定板61の幅方向全域に亘る態様で水平方向に延設してある。
【0031】
ベース部材62は、案内基壁62aの両側にそれぞれ側壁62bを備えて構成したもので、案内基壁62aの外表面を通路幅規定板61に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。このベース部材62には、案内基壁62aの上下2カ所にペダル挿通孔62cが設けてあるとともに、案内基壁62aの内表面側となる部位の上下2カ所にシリンダアクチュエータ63が設けてある。
【0032】
ペダル挿通孔62cは、それぞれ矩形状の貫通開口であり、互いに間隔を確保した位置に案内基壁62aのほぼ全幅に亘る態様で形成してある。
【0033】
シリンダアクチュエータ63は、図2〜図4に示すように、圧力室64aを有したシリンダ64と、シリンダ64の圧力室64aに対する流体の供給制御を行うバルブユニット65とを備え、圧力室64aに流体圧を作用させた場合にペダル挿通孔62cを通じてペダル部材(商品規制部材)66が商品収納通路53の延在方向に交差する態様で進出移動するように構成したものである。本実施の形態1で適用するペダル部材66は、ベース部材62に形成したペダル挿通孔62cの幅とほぼ同じ軸方向長さを有した三角柱状を成す商品当接部66aと、商品当接部66aの基端面から延在してシリンダ64に挿入された複数の円柱状を成すロッド部66bとを備えたものである。このペダル部材66は、ロッド部66bの延在方向に沿って移動させ、三角柱の稜縁66cを先端とした状態で商品収納通路53に進出移動した場合、通路幅規定板61との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保し、かつ商品当接部66aの上方側に位置する上方傾斜面66dを介して商品Gに当接することが可能である。ペダル部材66の商品当接部66a及びロッド部66bは、それぞれ中空状に構成してあり、例えば硬質の樹脂材によって一体に成形してある。尚、ペダル部材66のロッド部66bとシリンダ64との間には、流体の漏れを防止するためのシール部材67が設けてある。
【0034】
それぞれのシリンダアクチュエータ63には、流体供給通路68を介して流体供給ポンプ69が接続してあり、図示せぬ制御ユニットからの制御信号に従ってバルブユニット65が適宜動作することにより、シリンダ64の圧力室64aに対して流体供給ポンプ69から個別に流体が供給されることになる。供給する流体としては、空気等の気体であっても良いし、水や作動油等の液体であっても構わない。
【0035】
以下、上述した商品搬出装置60を適用した自動販売機の動作について説明する。尚、以下の説明においては便宜上、商品収納通路53の上方側に配設したシリンダアクチュエータ63及びペダル部材66をそれぞれ上方シリンダアクチュエータ63及び上ペダル部材66と称し、商品収納通路53の下方側に配設したシリンダアクチュエータ63及びペダル部材66をそれぞれ下方シリンダアクチュエータ63及び下ペダル部材66と称する。
【0036】
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置60では、販売待機状態にある場合、図2に示すように、商品収納通路53に対して下ペダル部材66が進出した位置に保持された状態にある一方、上ペダル部材66が退行した位置に保持された状態にある。具体的には、上方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aを開放する一方、下方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aに流体圧を作用させることにより、下ペダル部材66のみが商品収納通路53に進出した状態となっている。この結果、下ペダル部材66の上方傾斜面66dが最下位の商品G1に当接し、この最下位の商品G1を介して商品収納通路53に収納された商品G1,G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G1,G2,G3…が収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品G1,G2,G3…が所望の温度状態に維持されることになる。
【0037】
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、まず、図5に示すように、商品収納通路53に対して下ペダル部材66及び上ペダル部材66の双方がいずれも進出した位置に保持された状態となる。具体的には、上方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64a及び下方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aにそれぞれ流体圧を作用させることにより、上ペダル部材66及び下ペダル部材66がそれぞれ商品収納通路53に進出した状態となる。この結果、下ペダル部材66の上方傾斜面66dが最下位の商品G1に当接し、最下位の商品G1の下方への移動が規制されるとともに、上ペダル部材66の上方傾斜面66dが最下位から2番目の商品G2に当接し、この最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動が規制されることになる。
【0038】
上ペダル部材66が商品収納通路53に進出すると、図6に示すように、上ペダル部材66を進出させた状態で下ペダル部材66が退行移動した状態となる。具体的には、下方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aを開放すると、下ペダル部材66の上方傾斜面66dに作用する商品荷重によって下ペダル部材66が退行移動することになる一方、上方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aに流体圧を作用させることで、上ペダル部材66のみが商品収納通路53に進出した状態となる。この結果、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が下方に搬出され、さらに商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。
【0039】
ここで、上述した商品搬出装置60では、シリンダアクチュエータ63が駆動した場合に、上ペダル部材66をロッド部66bの延在方向に沿って移動させることにより商品収納通路53に対して進退させるようにしているため、例えば最下位から2番目の商品G2に対して上ペダル部材66を確実に当接させるべくその進出量を増大した場合にも移動域が大きく拡大する事態を招来する虞れがない。従って、商品収納通路53に形状が異なる商品Gを収納した場合にも、上ペダル部材66を商品Gの相互間に挿入して最下位から2番目の商品G2に確実に当接させることが可能となり、最下位から2番目以上の商品G2,G3…が下方に移動する事態を招来する虞れが無くなる。
【0040】
最下位の商品G1が搬出されると、図7に示すように、下ペダル部材66を進出させた後に上ペダル部材66が退行移動した状態となる。具体的には、上方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aを開放すると、上ペダル部材66の上方傾斜面66dに作用する商品荷重によって上ペダル部材66が退行移動することになる一方、下方シリンダアクチュエータ63におけるシリンダ64の圧力室64aに流体圧を作用させることで、下ペダル部材66のみが商品収納通路53に進出した状態となる。この結果、下ペダル部材66の上方傾斜面66dが最下位から2番目に位置していた商品G2に当接し、この商品G2を介して商品収納通路53に収納された商品G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G2,G3…が収納された状態となる。
【0041】
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品G2,G3…を個別に搬出することができるようになる。
【0042】
尚、上述した実施の形態1では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置60を例示しているが、その他の商品を販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置60を例示しているが、商品収納通路の延在態様は必ずしも蛇行状のものである必要はない。
【0043】
また、上述した実施の形態1では、シリンダアクチュエータ63の作動によって商品規制部材であるペダル部材66を進退移動させるようにしているが、必ずしもシリンダアクチュエータ63を適用する必要はなく、例えば電磁ソレノイドを適用して商品規制部材をその延在方向に沿って進退移動させるようにしても構わない。尚、商品規制部材を上下に配設する場合において上述した実施の形態1ではそれぞれを延在方向に沿って進退させるようにしているが、少なくとも上方に位置する商品規制部材がその延在方向に沿って進退すれば十分である。
【0044】
さらに、上述した実施の形態1では商品規制部材として、三角柱状を成す商品当接部66aと円柱状を成すロッド部66bとを備えたものを例示しているが、商品規制部材の形状は必ずしもこれらに限定されない。例えば、単にプレート状を成す商品規制部材を適用し、この商品規制部材をその延在方向が商品収納通路53の延在方向に交差し、かつ延在方向に沿って移動させることにより商品収納通路53に進退するように配設しても良い。
【0045】
またさらに、上述した実施の形態1では、商品規制部材であるペダル部材66を硬質の樹脂材によって成形するようにしているが、例えば図8及び図9に示す変形例のように、少なくとも商品規制部材の外表面において商品Gが当接する部位に、当接した商品Gの外形形状に倣って変形可能となる可変当接部70を設けることが好ましい。可変当接部70としては、商品Gが当接した場合に容易に変形するものであれば良く、具体的には発砲ウレタン、軟質ゴム、シリコンによって成形したものを適用することが可能である。図示の変形例においては、商品規制部材66の上方傾斜面66d及び商品当接部66aの下方側に位置する下方傾斜面66eを覆う態様でそれぞれの外表面に厚膜状に構成した可変当接部70を貼着するようにしている。
【0046】
このような変形例によれば、商品収納通路53に収納する商品G,G′の形状に関わらず、常に密着した状態でこれを支持することが可能となり、上述した作用効果が一層顕著となる。尚、可変当接部70を設ける場合においても商品規制部材の形状が三角柱状を成す商品当接部66aと円柱状を成すロッド部66bとを備えたものである必要がないのはいうまでもない。また、図8及び図9に示す変形例において実施の形態1と同様の構成には、同一の符号を付してある。
【0047】
(実施の形態2)
図10及び図11は、本発明の実施の形態2である自動販売機の商品搬出装置80を示したものである。ここで例示する商品搬出装置80は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において互いに対向する部位に通路幅規定板81とベース部材82とを備えている。尚、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0048】
通路幅規定板81は、案内部材52の下端部から鉛直方向に沿って延在するもので、その上方部に規定板側噴射用開口81aを有している。規定板側噴射用開口81aは、水平方向に沿って延在したもので、通路幅規定板81のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。
【0049】
ベース部材82は、案内基壁82aの両側にそれぞれ側壁82bを備えて構成したもので、案内基壁82aの外表面を通路幅規定板81に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁82aは、通路幅規定板81と平行となる態様で上下方向に延在した部分であり、その上方部にベース側噴射用開口82cを有しているとともに、その下半部にペダル挿通孔82dを有している。ベース側噴射用開口82cは、通路幅規定板81に形成した規定板側噴射用開口81aと同一形状の開口であり、規定板側噴射用開口81aに対向する部位に設けてある。ペダル挿通孔82dは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁82aのほぼ全幅に亘る部位に形成してある。
【0050】
このベース部材82には、一対の側壁82bの間に揺動支持軸83が架設してあるとともに、揺動支持軸83よりも上方となる部位にペダルアクチュエータ84が配設してある。
【0051】
揺動支持軸83は、ペダル挿通孔82dの上方部に対応する高さ位置において一対の側壁82bの間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、一対の側壁82bの間に位置する部位に下ペダル部材85を支承している。
【0052】
下ペダル部材85は、ペダル本体85aがベース部材82に形成したペダル挿通孔82dとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸83を挿通させることによりこの揺動支持軸83の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル本体85aの先端部は、揺動支持軸83の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸83の軸心回りに揺動した場合に案内基壁82aに形成したペダル挿通孔82dを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。ペダル本体85aの長さは、商品収納通路53に対して進出した場合に、通路幅規定板81との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保するように設定してある。
【0053】
この下ペダル部材85には、その基端部に押圧片85bが設けてあるとともに、ベース部材82との間にペダル付勢バネ86が設けてある。押圧片85bは、ペダル本体85aの基端部からペダル本体85aとは逆方向に向けて揺動支持軸83の径外方向に突出した部分である。ペダル付勢バネ86は、商品収納通路53に対して下ペダル部材85を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
【0054】
ペダルアクチュエータ84は、揺動支持軸83よりも上方となる部位に配設した電磁ソレノイドであり、プランジャ84aの先端を下ペダル部材85の押圧片85bに対向させた状態でベース部材82に取り付けてある。このペダルアクチュエータ84には、プランジャ84aとベース部材82との間にプランジャ付勢バネ87が設けてある。プランジャ付勢バネ87は、ペダルアクチュエータ84が消磁された状態にある場合、ペダルアクチュエータ84のプランジャ84aを下動させ、プランジャ84aの先端を押圧片85bに当接させることにより、下ペダル部材85を商品収納通路53に進出した状態に保持する一方、ペダルアクチュエータ84が励磁された場合、プランジャ84aの上動を許容するものである。
【0055】
さらに、商品搬出装置80は、通路幅規定板81の内表面側に位置する部位及びベース部材82における案内基壁82aの内表面側に位置する部位にそれぞれ流体噴射ノズル90を備えている。流体噴射ノズル90は、個々の噴射口90aが規定板側噴射用開口81a及びベース側噴射用開口82cから商品収納通路53に臨む態様で複数個ずつ並設してある。図からも明らかなように、個々の流体噴射ノズル90は、商品収納通路53に向かうに従って漸次上方となるように傾斜配置してある。
【0056】
それぞれの流体噴射ノズル90は、流体供給通路91を介して開閉バルブ92及び流体供給ポンプ93が接続してあり、図示せぬ制御ユニットからの制御信号に従って開閉バルブ92が適宜動作することにより、商品収納通路53に流体を噴射することが可能である。供給する流体としては、空気等の気体であっても良いし、水等の液体であっても構わない。
【0057】
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置80では、販売待機状態においてペダル付勢バネ86の付勢力により下ペダル部材85が進出した状態にあり、さらにペダルアクチュエータ84が消磁された状態にあり、図10に示すように、プランジャ付勢バネ87の付勢力により下ペダル部材85の押圧片85bにプランジャ84aが当接することにより、下ペダル部材85が商品収納通路53に進出移動した状態に保持されている。また、開閉バルブ92が閉成した状態となっており、流体噴射ノズル90からの流体の噴射はない。この結果、下ペダル部材85が最下位の商品G1に当接し、この最下位の商品G1を介して商品収納通路53に収納された商品G1,G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G1,G2,G3…が収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品G1,G2,G3…が所望の温度状態に維持されることになる。
【0058】
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、まず、開閉バルブ92が開成し、図12に示すように、流体噴射ノズル90から商品収納通路53に対して流体の噴射が開始される。流体噴射ノズル90から噴射される流体は、商品収納通路53において最下位から2番目に位置する商品G2の下面に対して上方に向かう態様で衝突し、それぞれの噴射圧力によって商品G2の下方への移動を規制するように作用することになる。この結果、流体噴射ノズル90から流体が噴射された場合には、最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…が流体噴射ノズル90から噴射される流体の噴射圧力によって下方への移動が規制された状態となる。
【0059】
流体噴射ノズル90から流体が噴射されると、図13に示すように、ペダルアクチュエータ84が励磁され、プランジャ付勢バネ87の付勢力に抗してプランジャ84aが上動することにより、下ペダル部材85の押圧片85bとの当接状態が解除される。この結果、最下位の商品G1が当接した下ペダル部材85がペダル付勢バネ86の付勢力に抗して下方に揺動するため、最下位の商品G1が下方に搬出され、さらにこの商品G1が商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。
【0060】
ここで、上述した商品搬出装置80では、流体噴射ノズル90から噴射した流体の噴射圧力によって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動を規制するようにしているため、商品収納通路53に形状が異なる商品Gを収納した場合にもその下方への移動を確実に規制することが可能になり、最下位から2番目以上の商品G2,G3…が下方に移動する事態を招来する虞れが無くなる。
【0061】
最下位の商品G1が搬出されると、図14に示すように、ペダル付勢バネ86の弾性復元力により下ペダル部材85が商品収納通路53に進出した状態に復帰する。その後、ペダルアクチュエータ84が消磁することにより、プランジャ付勢バネ87の付勢力により下ペダル部材85の押圧片85bにプランジャ84aが当接し、下ペダル部材85が商品収納通路53に進出移動した状態に保持される。
【0062】
下ペダル部材85が商品収納通路53に進出移動した状態に保持されると、開閉バルブ92が閉成し、図15に示すように、商品収納通路53への流体の噴射が停止するため、商品収納通路53に収納された商品G2,G3…の下動が許容され、最下位から2番目に位置していた商品G2が下ペダル部材85に当接する。この結果、下ペダル部材85によって商品収納通路53に収納された商品G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G2,G3…が収納された状態となる。
【0063】
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品G2,G3…を個別に搬出することができるようになる。
【0064】
尚、上述した実施の形態2では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置80を例示しているが、その他の商品Gを販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置80を例示しているが、商品収納通路53の延在態様は必ずしも蛇行状のものである必要はない。
【0065】
また、上述した実施の形態2では、商品収納通路53の両側に位置する部分からそれぞれ流体を噴射するようにしているため、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等のように比較的重量の大きな商品Gに対してもその下方への移動を確実に規制することが可能であるが、必ずしも商品収納通路53の両側に位置する部分から流体を噴射する必要はない。
【0066】
さらに、上述した実施の形態2では、最下位の商品G1の下方への移動を下ペダル部材85によって規制するようにしているが、例えば最下位から2番目の商品G2と同様に、流体噴射ノズル90から噴射する流体の噴射圧力によって下方への移動を規制するようにしても良い。
【0067】
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3である自動販売機の商品搬出装置100を示したものである。ここで例示する商品搬出装置100は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において互いに対向する部位に通路幅規定板101とベース部材102とを備えている。尚、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0068】
通路幅規定板101は、案内部材52の下端部から鉛直方向に沿って延在するもので、その中間部に偏倚部101aを有している。偏倚部101aは、商品収納通路53の内部に向けて突出した部分であり、通路幅規定板101の幅方向全域に亘る態様で水平方向に延設してある。
【0069】
ベース部材102は、案内基壁102aの両側にそれぞれ側壁102bを備えて構成したもので、案内基壁102aの外表面を通路幅規定板101に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。このベース部材102には、図16〜図19に示すように、案内基壁102aにバッグ挿通孔102cが設けてあるとともに、案内基壁102aの外表面側となる部位の上下2カ所にエアバッグ103が設けてある。
【0070】
バッグ挿通孔102cは、案内基壁102aを貫通する開口であり、案内基壁102aの上下左右4カ所にそれぞれ形成してある。個々のバッグ挿通孔102cには、案内基壁102aの内表面側となる部位に電磁バルブ104が設けてあり、これらの電磁バルブ104を介して上下個別のエアバッグ103が配設してある。
【0071】
エアバッグ103は、気密性を有した袋状部材であり、互いに左右となる部位に吸気口103a及び排気口103bを有し、これら吸気口103a及び排気口103bが電磁バルブ104に接続してある。それぞれのエアバッグ103の吸気口103aには、電磁バルブ104を介してエア供給通路105及びエアポンプ106が接続してある一方、それぞれのエアバッグ103の排気口103bには、電磁バルブ104を介してエア排出通路107が接続してある。エアバッグ103としては、案内基壁102aとほぼ同等の幅を有し、かつ外力が加えられた場合に容易に変形するものであることが好ましく、例えば軟質の合成樹脂やゴムによって成形することができる。
【0072】
ベース部材102の下方側に配設したエアバッグ103には、圧力センサ110及び補強板111が設けてある。圧力センサ110は、圧力が加えられた場合にこれを検出するもので、エアを供給することによってエアバッグ103の容積が増大した状態となった場合にその先端上方部となる部位に取り付けてある。補強板111は、エアバッグ103の外力に対する耐性を向上させるためのプレート状部材であり、エアバッグ103の容積が増大した状態となった場合にその下方に向かう面全域を覆う態様でエアバッグ103に貼着するとともに、ベース部材102に揺動可能に配設してある。
【0073】
以下、上述した商品搬出装置100を適用した自動販売機の動作について説明する。尚、以下の説明においては便宜上、ベース部材102の上方側に配設したエアバッグ103を上方エアバッグ103と称し、上方エアバッグ103の吸気口103aに接続した電磁バルブ104を上方吸気バルブ104、上方エアバッグ103の排気口103bに接続した電磁バルブ104を上方排気バルブ104と称する。同様に、ベース部材102の下方側に配設したエアバッグ103を下方エアバッグ103と称し、下方エアバッグ103の吸気口103aに接続した電磁バルブ104を下方吸気バルブ104、下方エアバッグ103の排気口103bに接続した電磁バルブ104を下方排気バルブ104と称する。
【0074】
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置100では、販売待機状態において上方排気バルブ104が開成する一方、上方吸気バルブ104が閉成した状態にある。この場合、上方エアバッグ103は、容積が減少した状態となっており、通路幅規定板101との間に商品Gを通過させることのできる間隙を確保するようになる。一方、販売機待機状態においては、下方排気バルブ104が閉成する一方、内部にエアを供給した状態で下方吸気バルブ104が閉成した状態にある。この場合、下方エアバッグ103は、容積が増大して商品収納通路53に進出した状態となっており、通路幅規定板101との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保するようになる。
【0075】
これらの結果、図16に示すように、下方エアバッグ103が最下位の商品G1に当接し、この最下位の商品G1を介して商品収納通路53に収納された商品G1,G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G1,G2,G3…が収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品G1,G2,G3…が所望の温度状態に維持されることになる。また、最下位の商品G1が当接することにより圧力センサ110からその検出信号が出力されるため、商品収納通路53に商品Gが存在することを認識することができる。
【0076】
ここで、上記商品搬出装置100によれば、最下位の商品G1に当接した下方エアバッグ103が、その下方に向かう面全域が補強板111によって覆われた状態となる。従って、商品収納通路53から針金や刃物等の異物が挿入された場合にも下方エアバッグ103が損傷する事態を招来する虞れが無く、上述した販売待機状態が維持されることになるため、防盗性の点で不利となることはない。
【0077】
上述の販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、まず、上方排気バルブ104が閉成する一方、上方吸気バルブ104が開成することにより、上方エアバッグ103の内部にエアが供給され、図20に示すように、上方エアバッグ103の容積が増大して商品収納通路53に進出した状態となる。その後、上方吸気バルブ104が閉成し、上述した状態が保持される。この場合、上方エアバッグ103は、容積が増大して商品収納通路53に進出した状態となっており、通路幅規定板101との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保するようになる。これらの結果、上方エアバッグ103が最下位から2番目の商品G2に当接し、この上方エアバッグ103によって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動が規制されることになる。
【0078】
上方エアバッグ103の容積が増大した状態となると、下方排気バルブ104が開成することになる。この結果、図21に示すように、下方エアバッグ103に当接する商品G1の荷重によって内部のエアが下方排気バルブ104を通じて外部に排出されることになり、下方エアバッグ103の容積が減少した状態となる。従って、最下位の商品G1が下方エアバッグ103と通路幅規定板101との間の間隙を通じて下方に移動し、さらにこの商品G1が商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。
【0079】
ここで、上述した商品搬出装置100では、内部にエアを供給した上方エアバッグ103を当接させることによって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動を規制するようにしているため、換言すれば、当接する商品Gの形状に倣って容易に変形可能な上方エアバッグ103によって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動を規制するようにしているため、商品収納通路53に形状が異なる商品Gを収納した場合にもその下方への移動を確実に規制することが可能になり、最下位から2番目以上の商品G2,G3…が下方に移動する事態を招来する虞れが無くなる。
【0080】
最下位の商品G1が搬出されると、下方排気バルブ104が閉成する一方、下方吸気バルブ104が開成することにより、下方エアバッグ103の内部にエアが供給され、図22に示すように、下方エアバッグ103の容積が増大して商品収納通路53に進出した状態となる。その後、下方吸気バルブ104が閉成し、上述した状態が保持される。この場合、下方エアバッグ103は、再び容積が増大して商品収納通路53に進出した状態となっており、通路幅規定板101との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保するようになる。
【0081】
下方エアバッグ103が商品収納通路53に進出移動した状態に保持されると、上方排気バルブ104が開成することになる。この結果、図23に示すように、最下位から2番目に位置していた商品G2を介して加えられる商品荷重により上方エアバッグ103の内部エアが上方排気バルブ104を通じて外部に排出されることになり、上方エアバッグ103の容積が減少した状態となる。従って、最下位から2番目に位置していた商品G2が上方エアバッグ103と通路幅規定板101との間の間隙を通じて下方に移動した後、下方エアバッグ103に当接してその下方への移動が規制されることになり、商品ラック50の商品収納通路53に商品G2,G3…が収納された状態となる。
【0082】
この場合、最下位から2番目に位置していた商品G2が当接することにより圧力センサ110からその検出信号が出力されるため、商品収納通路53に商品Gが存在することを認識することができる。これに対して商品収納通路53に商品Gが存在しない場合には、圧力センサ110から検出信号が検出されないことになる。従って、例えば商品Gを搬出した後に上方排気バルブ104を開成した場合にも圧力センサ110から検出信号が検出されない場合には、商品収納通路53に商品Gが存在しないことになるため、これが解除されるまでの間、商品収納通路53に対して売り切れ表示を行うことが好ましい。
【0083】
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品G2,G3…を個別に搬出することができるようになる。
【0084】
尚、上述した実施の形態3では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置100を例示しているが、その他の商品Gを販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置100を例示しているが、商品収納通路53の延在態様は必ずしも蛇行状のものである必要はない。
【0085】
また、上述した実施の形態3では、内部にエアを供給することによって容積増大状態となるエアバッグ103を例示しているが、必ずしもエアに限らず、水や作動油等の液体を供給することによって容積増大状態となる流体バッグを適用しても構わない。尚、商品収納通路53の上下にそれぞれ流体バッグを配設するようにしているが、少なくとも上方に位置する部位にのみ流体バッグを配設すれば十分である。
【0086】
さらに、上述した実施の形態3では、プレート状を成す補強板111を補強部として適用しているが、必ずしもプレート状を成すものを適用する必要はない。例えば流体バッグに合成樹脂製シートや織物シートを貼着することによって補強部を構成しても良いし、これらのシートによって流体バッグそのものを構成するようにしても構わない。
【0087】
また、流体バッグの表面に圧力センサ110を設け、この圧力センサ110の検出結果に基づいて商品収納通路53に商品Gが存在するか否かを判断するようにしているが、必ずしも流体バッグの表面に圧力センサ110を設ける必要はない。
【0088】
(実施の形態4)
図24及び図25は、本発明の実施の形態4である自動販売機の商品搬出装置120を示したものである。ここで例示する商品搬出装置120は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において互いに対向する部位に通路幅規定板121とベース部材122とを備えている。尚、実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0089】
通路幅規定板121は、案内部材52の下端部から鉛直方向に沿って延在するプレート状部材である。
【0090】
ベース部材122は、案内基壁122aの両側にそれぞれ側壁122bを備えて構成したもので、案内基壁122aの外表面を通路幅規定板121に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。このベース部材122には、案内基壁122aの下方部にバッグ挿通孔122cが設けてある。バッグ挿通孔122cは、案内基壁122aを貫通する開口であり、通路幅規定板121の幅方向全域に亘る部位に形成してある。
【0091】
また、上記ベース部材122には、上下一対の流体バッグ123が設けてある。流体バッグ123は、それぞれ気密性を有した袋状部材であり、開閉バルブ124を介して互いに接続してある。これらの流体バッグ123には、一方の容積を増大させるだけの流体が予め充填してある。つまり、一方の流体バッグ123が容積増大状態となった場合に、他方の流体バッグ123が容積減少状態となるだけの流体が予め充填してある。
【0092】
流体バッグ123が容積増大状態となった場合には、バッグ挿通孔122cを通じて商品収納通路53に進出移動し、通路幅規定板121との間に販売対象となる商品Gの最小外形寸法よりも小さい間隙を確保するようになる。流体バッグ123としては、案内基壁122aとほぼ同等となる幅を有し、かつ外力が加えられた場合に容易に変形するものであることが好ましく、例えば軟質の合成樹脂やゴムによって成形することができる。尚、流体バッグ123に充填する流体としては、空気等の気体であっても良いし、水や作動油等の液体であっても構わない。
【0093】
以下、上述した商品搬出装置120を適用した自動販売機の動作について説明する。尚、以下の説明においては便宜上、ベース部材122の上方側に配設した流体バッグ123を上方流体バッグ123と称する一方、ベース部材122の下方側に配設した流体バッグ123を下方流体バッグ123と称する。
【0094】
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置120では、販売待機状態において下方流体バッグ123が容積増大状態となる一方、上方流体バッグ123が容積減少状態となっており、この状態において互いの間の開閉バルブ124が閉成した状態にある。これにより、図24に示すように、下方流体バッグ123が商品収納通路53に進出した状態となり、下方流体バッグ123が最下位の商品G1に当接し、この最下位の商品G1を介して商品収納通路53に収納された商品G1,G2,G3…の下方への移動が規制されるため、商品ラック50の商品収納通路53に商品G1,G2,G3…が収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品G1,G2,G3…が所望の温度状態に維持されることになる。
【0095】
上述の販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、互いの間に介在させた開閉バルブ124が開成することになる。これにより、下方流体バッグ123に当接する商品G1の荷重によって内部の流体が開閉バルブ124を介して上方流体バッグ123に移行することになり、図26に示すように、上方流体バッグ123が容積増大状態となる一方、下方流体バッグ123が容積減少状態となる。従って、最下位から2番目に位置する商品G2が上方流体バッグ123に当接し、最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動が規制される一方、最下位の商品G1が下方流体バッグ123と通路幅規定板121との間の間隙を通じて下方に移動し、さらにこの商品G1が商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。
【0096】
ここで、上述した商品搬出装置120では、内部に流体が充填された上方流体バッグ123を当接させることによって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動を規制するようにしているため、換言すれば、当接する商品Gの形状に倣って容易に変形可能な上方流体バッグ123によって最下位から2番目以上に位置する商品G2,G3…の下方への移動を規制するようにしているため、商品収納通路53に形状が異なる商品Gを収納した場合にもその下方への移動を確実に規制することが可能になり、最下位から2番目以上の商品G2,G3…が下方に移動する事態を招来する虞れが無くなる。
【0097】
上述した状態から最下位の商品G1が搬出されると、図27に示すように、下方流体バッグ123に作用していた商品荷重が消滅する一方、最下位から2番目に位置していた商品G2が上方流体バッグ123に当接することにより、最下位から2番目に位置していた商品G2を介して上方流体バッグ123に商品荷重が作用することになる。この結果、上方流体バッグ123の内部の流体が開閉バルブ124を介して下方流体バッグ123に移行することになり、再び図24に示すように、下方流体バッグ123が容積増大状態となる一方、上方流体バッグ123が容積減少状態となり、この状態において互いの間の開閉バルブ124が閉成した状態となる。
【0098】
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品G2,G3…を個別に搬出することができるようになる。
【0099】
尚、上述した実施の形態4では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置120を例示しているが、その他の商品Gを販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置120を例示しているが、商品収納通路53の延在態様は必ずしも蛇行状のものである必要はない。
【0100】
また、上述した実施の形態4では、流体バッグ123に流体を充填するようにしているが、必ずしも流体である必要はなく、例えば図28及び図29に示す変形例のように、粒状固体を流体バッグ123に充填するようにしても同様の作用効果を奏することが可能である。流体バッグ123に充填する粒状固体としては、例えばスチロール樹脂、アクリル、発泡スチロールによって成形したものを適用することが可能である。尚、変形例においては、流体バッグ123の相互間を流通管路125によって接続するとともに、この流通管路125に開閉バルブ126及びコンプレッサー127を接続し、コンプレッサー127の駆動により空気の流れを発生させて粒状固体を移動させるようにしている。また、図28及び図29に示す変形例において実施の形態4と同様の構成には、同一の符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態1である商品搬出装置を適用した自動販売機を示した断面側面図である。
【図2】図1に示した商品搬出装置の断面側面図である。
【図3】図1に示した商品搬出装置の要部を外表面側から見た概念斜視図である。
【図4】図1に示した商品搬出装置に適用するシリンダアクチュエータを概念的に示した断面側面図である。
【図5】図1に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図6】図1に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図7】図1に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図8】図1に示した実施の形態1の変形例である商品搬出装置の断面側面図である。
【図9】図8に示した商品搬出装置において異なる横断面形状の商品を収納した状態を示す断面側面図である。
【図10】本発明の実施の形態2である自動販売機の商品搬出装置を示した断面側面図である。
【図11】図10に示した商品搬出装置の断面平面図である。
【図12】図10に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図13】図10に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図14】図10に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図15】図10に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図16】本発明の実施の形態3である商品搬出装置の断面側面図である。
【図17】図16に示した商品搬出装置の要部を外表面側から見た概念斜視図である。
【図18】図16に示した商品搬出装置の要部を内表面側から見た概念斜視図である。
【図19】図16に示した商品搬出装置の断面平面図である。
【図20】図16に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図21】図16に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図22】図16に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図23】図16に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図24】本発明の実施の形態4である商品搬出装置の断面側面図である。
【図25】図24に示した商品搬出装置の断面平面図である。
【図26】図24に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図27】図24に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【図28】図24に示した実施の形態4の変形例である商品搬出装置の断面側面図である。
【図29】図28に示した商品搬出装置の動作を示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0102】
53 商品収納通路
60 商品搬出装置
61 通路幅規定板
62 ベース部材
63 シリンダアクチュエータ
64 シリンダ
65 バルブユニット
66 ペダル部材
68 流体供給通路
69 流体供給ポンプ
70 可変当接部
80 商品搬出装置
81 通路幅規定板
82 ベース部材
83 揺動支持軸
84 ペダルアクチュエータ
85 下ペダル部材
86 ペダル付勢バネ
87 プランジャ付勢バネ
90 流体噴射ノズル
91 流体供給通路
92 開閉バルブ
93 流体供給ポンプ
100 商品搬出装置
101 通路幅規定板
102 ベース部材
103 エアバッグ
104 電磁バルブ
105 エア供給通路
106 エアポンプ
107 エア排出通路
110 圧力センサ
111 補強板
120 商品搬出装置
121 通路幅規定板
122 ベース部材
123 流体バッグ
124 開閉バルブ
125 流通管路
126 開閉バルブ
127 コンプレッサー
G 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に沿って複数の商品を収納する商品収納通路に進退可能に配設し、待機状態においては商品収納通路に進出することにより商品の下方への移動を規制する一方、搬出指令に応じて退行移動した場合には商品の下方への移動を許容する商品規制部材を備えた自動販売機の商品搬出装置において、
前記商品規制部材は、その延在方向に沿って移動することにより商品収納通路に対して進退するものであることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項2】
作動軸心が商品収納通路に交差する態様でシリンダアクチュエータを配設するとともに、このシリンダアクチュエータに流体圧を作用させた場合に商品収納通路に進出する態様で商品規制部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置。
【請求項3】
少なくとも商品規制部材の外表面となる部位に、当接した商品の外形形状に倣って変形可能となる可変当接部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の商品搬出装置。
【請求項4】
上下方向に沿って複数の商品を収納する商品収納通路に配設し、待機状態においては商品の下方への移動を規制する一方、搬出指令に応じて駆動した場合には商品の下方への移動を許容する自動販売機の商品搬出装置において、
商品収納通路の商品に対して流動体による圧力を作用させることにより、商品の下方への移動を規制する商品規制手段を備えることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項5】
商品規制手段は、ノズルから商品に向けて噴射する流体の噴射圧力により、商品収納通路において商品の下方への移動を規制するものであることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機の商品搬出装置。
【請求項6】
商品規制手段は、内部に流動体を供給することによって容積増大状態となった場合に商品収納通路において商品の下方への移動を規制する一方、内部の流動体を排出して容積減少状態となった場合に商品収納通路において商品の下方への移動を許容する流体バッグを備えたことを特徴とする請求項4に記載の自動販売機の商品搬出装置。
【請求項7】
流体バッグは、容積増大状態となった場合に少なくとも下方に向かう部分に補強部を備えることを特徴とする請求項6に記載の自動販売機の商品搬出装置。
【請求項8】
流体バッグの内部に粒状固体を供給することを特徴とする請求項6に記載の自動販売機の商品搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−133504(P2007−133504A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323889(P2005−323889)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】