説明

自動販売機用の決済端末

【課題】スリープ機能を備えた自動販売機に設けられる自動販売機用の決済端末の省電力化を図ることを目的とする。
【解決手段】決済端末10は、記録媒体に対しキャリアを出力すると共に出力されるキャリアを媒介として記録媒体の読み取りを行う無線リーダ12と、情報を表示する表示部14を備えている。そして、決済端末10は、スリープ動作を実行可能な自動販売機20の本体内に設けられており、自動販売機20のスリープ動作を検出すると、キャリアの出力を停止すると共に、表示部14の表示を停止するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機用決済端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策としての二酸化炭素の排出抑制、或いは電力量増大に起因するコストの削減といった観点から省電力化が求められており、清涼飲料水や食品等を販売する自動販売機においても消費電力量の削減が要望されている。特に自動販売機は様々な電気部品を数多く搭載しており、また商品購入を常時可能とする構成が求められることから、一般的に消費電力量が増大する傾向にあり、消費電力量の抑制が強く望まれている。
【0003】
このような要望に応える技術としては、例えば、下記特許文献1に示すものがある。この特許文献1に開示される自動販売機は、携帯電話のユーザに一連のコードをダイヤルさせることによって自動販売機を呼び出し、商品を排出させるように構成されている。そして、自動販売機とは別に中央コンピュータが設けられており、自動販売機に備えられるマイクロコントローラが中央コンピュータへ自動販売取引情報を送信し受領確認を受け取ると、バッテリ電力を節約するために当該自動販売機がスリーピングモードに入るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−358558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、ICカードや携帯電話等の決済用メディアに記録された金銭情報(電子マネー情報等)に基づいて商品を購入できるようにした自動販売機が普及しつつある。この種の自動販売機では、決済メディアと無線通信可能な決済端末が設けられており、この決済端末によって決済メディアに記録された金銭情報を読み取ることで、商品が購入可能か否かを判断すると共に、可能な場合には、利用者による商品購入の指示に応じた決済処理を実行している。このような決済端末によれば、商品購入に際し利用者が小銭等を準備する煩わしさがなくなり、利用者の利便性を向上することができる。しかしながら、このような決済端末を自動販売機内に更に設けると、自動販売機全体の消費電力量が増加してしまうという問題がある。特に自動販売機は、上述のように消費電力量の削減が強く求められる傾向にあるため、決済端末の設置に起因する電力量の増大を如何に解消するかが重要である。
【0006】
一方、上記特許文献1には、自動販売機を自動的にスリープ状態(スリーピングモード)に設定する技術が開示されており、この技術によれば、自動販売機本体の消費電力量を抑えるという目的は果たすことができる。しかしながら、この技術は、決済端末の消費電力量に着目したものではなく、決済端末設置に起因する消費電力量の増大を抑制するという課題は依然として解消されていなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、スリープ機能を備えた自動販売機に設けられる自動販売機用の決済端末の省電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の自動販売機用の決済端末は、スリープ動作を実行可能な自動販売機の本体内に設けられると共に、記録媒体に記録された決済用情報に基づいて決済処理を行う自動販売機用の決済端末であって、前記記録媒体に記録された前記決済用情報を読み取り可能な無線リーダと、前記無線リーダによる前記決済用情報の読取結果に基づいて前記決済処理を行う決済手段と、前記自動販売機の前記スリープ動作を検出する検出手段と、当該決済端末の動作モードを、所定の通常モードと前記通常モードのときよりも当該決済端末の消費電力量を抑える省電力モードとに切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記動作モードを前記省電力モードに切り替えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の自動販売機用の決済端末において、前記無線リーダは、前記記録媒体に対しキャリアを出力する出力手段と、前記出力手段によって出力される前記キャリアを媒介として前記記録媒体の読み取りを行う無線読取手段と、を備えており、前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記出力手段による前記キャリアの出力を停止させることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の自動販売機用の決済端末において、情報を表示する表示部を備え、前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記表示部の表示を停止させることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自動販売機用の決済端末において、前記自動販売機の本体は、前記スリープ動作を実行するスリープ動作実行手段と、前記スリープ動作実行手段によって前記スリープ動作が実行された場合に、外部にスリープ状態信号を出力する信号出力手段とを備えるものであり、前記検出手段は、前記信号出力手段からの前記スリープ状態信号を検出する信号検出手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る決済端末は、スリープ動作を実行可能な自動販売機の本体内に設けられると共に、自動販売機のスリープ動作を検出する検出手段と、当該決済端末の動作モードを、所定の通常モードと、通常モードのときよりも当該決済端末の消費電力量を抑える省電力モードとに切り替える切替手段とを備えている。そして、検出手段によって自動販売機のスリープ動作が検出された場合に、切替手段は当該決済端末の動作モードを省電力モードに切り替えるように構成されている。この構成では、自動販売機がスリープ動作に設定されると、この自動販売機の本体内に設けられる当該決済端末もこのスリープ動作をトリガとして省電力モードに切り替わるので、決済端末が使用されにくい時期において当該決済端末の省電力化を適切に図ることができる。更に、自動販売機のスリープ動作に同期して決済端末も省電力モードに切り替わるように構成されているので、自動販売機のスリープ時期と決済端末のスリープ時期とが大きくずれるといった非効率な状態が生じにくくなる。
【0013】
請求項2の発明は、無線リーダが、記録媒体に対しキャリアを出力する出力手段と、出力手段によって出力されるキャリアを媒介として記録媒体の読み取りを行う無線読取手段とを備えている。そして、検出手段によって自動販売機のスリープ動作が検出された場合に、切替手段は出力手段によるキャリアの出力を停止させるようにしている。
この構成では、決済端末が省電力モードに設定されると、消費電力が比較的大きなキャリアの出力が停止されるため、当該自動販売機用の決済端末の省電力化をより効果的に図ることができる。また、自動販売機がスリープ動作に設定される時期には、記録媒体が読み取られる可能性も低いため、キャリアの出力停止によって不便が生じることもない。
【0014】
請求項3の発明は、情報を表示する表示部を備えており、切替手段は、検出手段によってスリープ動作が検出された場合に、表示部の表示を停止させるようにしている。この構成では、通常時には表示部によって様々な情報を表示することができ、使用者の利便性の向上を図ることができる。他方、決済端末が省電力モードに設定されると、比較的消費電力の大きい表示部の表示が停止されるため、当該自動販売機用の決済端末の省電力化をより一層効果的に図ることができる。
【0015】
請求項4の発明では、自動販売機の本体は、スリープ動作を実行するスリープ動作実行手段と、スリープ動作実行手段によってスリープ動作が実行された場合に、外部にスリープ状態信号を出力する信号出力手段とを備えている。そして、検出手段は、信号出力手段からのスリープ状態信号を検出する信号検出手段を有している。
このように、決済端末はホストコンピュータ等を介することなく、自動販売機からのスリープ状態信号を直接検出することができるため、自動販売機がスリープ動作に設定されると、決済端末もこのスリープ動作とタイムラグなく省電力モードに切り替わることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係る決済端末10を自動販売機20に設けた状態を概略的に例示する正面図である。
【図2】図2は、図1の決済端末10及び自動販売機20の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る決済端末10における決済処理の流れを説明する図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る決済端末10における省電力モード切替処理の流れを説明する図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る決済端末10におけるコマンドコードの一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る決済端末10における通常モード復帰処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の自動販売機用の決済端末を具現化した実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
本第1実施形態では、図1に示すように、決済端末10を、缶飲料などの商品を販売する自動販売機20の決済システムに採用する場合を例に挙げて説明する。なお、図1は、本第1実施形態に係る決済端末10を自動販売機20に設けた状態を概略的に例示する正面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る決済端末10は、無線リーダ12と、表示部14と、LED16とを有している。この無線リーダ12は、ICカードや携帯電話等の記録媒体に記録された金銭情報を読み取ると共に、利用者による商品購入に応じて、記録されている金銭情報を書き換えるように構成されている。そして、表示部14は、無線リーダ12により読み取られた記録媒体の金銭情報(例えば、記録媒体に記録されている残金額など)や、各種メッセージ(例えば、「商品を選択してください」や「有り難うございました。」など)を表示するように構成されている。LED16は、点灯したり点滅したりすることによって、決済端末10の動作状態や記録媒体の読み取りの可/不可等を表示するように構成されている。
【0019】
そして、この決済端末10は、矩形箱状の筐体22を有する自動販売機20の外側に設けられている。自動販売機20は、筐体22内に設けられる収納ラック(図略)に販売する商品を収容している。更に、自動販売機20は筐体22の外側に、商品見本24及び商品選択ボタン26からなる商品選択部28、利用者が商品選択ボタン26により選択した商品を機外に排出する商品取出口30、金銭投入口32、金銭返却レバー34、金銭取出口36、入金金額や釣銭金額等を表示する表示部38等を備えている。なお、商品見本24は、利用者が商品選択しやすいように、図略の照明装置により照明されるように構成されている。
【0020】
(電気的構成)
次に、本実施形態の決済端末10及びこの決済端末10が設けられる自動販売機20の電気的構成について説明する。なお、図2は、図1の決済端末10及び自動販売機20の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
まず、自動販売機20は、図2に示すように、当該自動販売機20全体を制御する制御部70を有し、この制御部70には、商品選択部28、表示部38、金銭処理部72、商品搬出部74がそれぞれ接続されている。
【0021】
商品選択部28は、商品選択ボタン26が押下された場合に、当該商品選択ボタン26に対応する信号を制御部70に出力するように構成されている。また、商品選択部28は、制御部70からスリープ動作信号が入力されると、商品見本24を照明する照明装置の照明光を減光したり、消灯したりするように構成されている。
【0022】
表示部38は、制御部70から入力される信号に基づき、金銭投入口32に投入された金銭の金額を表示すると共に、釣銭金額や不足金額を表示するように構成されている。
【0023】
金銭処理部72は、金銭投入口32に金銭が投入されると、投入された金銭の総額を演算して制御部70へ出力する。また、商品選択ボタン26が押下されると、釣銭金額や不足金額を演算し、制御部70へ出力する。そして、金銭返却レバー34が操作されると、金銭取出口36へ釣銭を払い出すように構成されている。
【0024】
商品搬出部74は、制御部70から入力される信号に基づき、筐体22内の収納ラックから対応する商品を商品取出口30へ搬出するように構成されている。
【0025】
制御部70は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、日本自動販売機工業会(JVMA)により定められる通信方式により、決済端末10と通信するように構成されている。そして、制御部70は、商品選択部28から信号が入力されると、金銭処理部72若しくは、決済端末10の管理部42(後述)へ出力する。そして、金銭投入口32に投入された金銭の総額若しくは、記録媒体に記録されている残金額が、商品選択部28にて選択された商品の金額を満たすと、商品搬出部74へ選択された商品の排出の指示を与える。
【0026】
更に、制御部70は、所定のスリープ条件が成立したときに当該自動販売機20をスリープ状態に設定し、スリープ動作を実行するように機能している。所定のスリープ条件は様々に考えられ、例えば、「予め定められた所定の時間帯となった場合」や「人感センサによって人が検出されなくなってから一定時間経過した場合」などが挙げられる。具体的には、例えば、夜間など自動販売機20を利用する利用者数が少なくなると見込まれる時間帯が予め設定時間帯として登録されており、このような時間帯となったときに当該自動販売機20をスリープ状態に設定する制御を行っている。また、スリープ状態のときの動作としては、例えば、商品選択部28へ照明装置の照明光を減光したり、消灯したりする指示(スリープ動作信号)を与える動作などが挙げられる。更に本実施形態では、制御部70が上記スリープ動作を実行したときに、決済端末10の管理部42へスリープ状態信号を出力するように構成されている。なお、当該自動販売機20をスリープ状態に設定する制御部70は、「スリープ動作実行手段」の一例に相当する。また、スリープ状態信号を出力する制御部70は、「信号出力手段」の一例に相当する。
【0027】
次に、決済端末10の電気的構成について説明する。
決済端末10は、図2に示すように、操作部40と制御部50とから主に構成される。操作部40は、管理部42、無線リーダ12、表示部14、LED16とから構成されている。そして、操作部40は、自動販売機20及び制御部50との間で通信を行うためのインターフェースとして機能するように構成されている。
【0028】
操作部40を管理する管理部42には、表示部14及びLED16が接続されている。また、管理部42は、上述したように、JVMA規格により自動販売機20の制御部70と通信可能に接続されていると共に、RS−232Cの通信規格で制御部50の操作部通信部52(後述)と通信可能に接続されている。
【0029】
無線リーダ12は、ハードウェア的には公知のICカードリーダとして構成されており、ICカード等の記録媒体に対してキャリアを出力するように構成されている。そして、この出力されたキャリアを媒介として、無線リーダ12は、無線リーダ制御部60(後述)と協働して記録媒体に記録されている金銭情報の読み取りを行うと共に、利用者による商品購入に応じて、記録されている金銭情報を書き換えるように構成されている。なお、キャリアを出力する無線リーダ12は、「出力手段」の一例に相当する。また、記録媒体の読み取りを行う無線リーダ12及び無線リーダ制御部60は、「無線読取手段」に一例に相当する。
【0030】
表示部14は、例えば、蛍光表示管などから構成されており、自動販売機20及び無線リーダ12の動作に応じた信号が管理部42から入力されると、入力された信号に対応したメッセージを表示するように構成されている。
【0031】
LED16は、自動販売機20及び無線リーダ12の動作に応じた信号が管理部42から入力されると、入力された信号に応じて点灯したり点滅したり、発光時間を変えるように構成されている。なお、LED16は、発光色の異なるものが複数備えられていてもよく、入力された信号に応じて所定の発光色のLED16が発光するように構成することもできる。
【0032】
制御部50は、決済端末10を主に制御するように構成されている。そして、当該制御部50を管理する管理部54には、操作部通信部52、決済処理部56、通信部58、無線リーダ制御部60が接続されている。なお、管理部54、操作部通信部52、決済処理部56、通信部58、無線リーダ制御部60などの各機能部は、FPGAやマイコンなどの制御回路によって構成されており、各機能部毎に予め定められた手順に従って各種処理を行うように構成されている。
【0033】
操作部通信部52は、管理部54から入力される信号を操作部40の管理部42へ出力すると共に、管理部42から入力される信号を管理部54へ出力するように構成されている。
【0034】
決済処理部56は、商品選択部28にて選択された商品の金額と管理部54から入力された無線リーダ12の金銭情報とに基づき決済処理を行い、管理部54へ出力するように構成されている。具体的に、決済処理部56は、記録媒体に記録されている残金額が選択された商品の金額を満たさない場合に不足金額の情報を管理部54へ出力し、記録媒体に記録されている残金額が選択された商品の金額を満たす場合に、残金額より商品の金額を減算した金額の情報を管理部54へ出力するように構成されている。なお、決済処理部56は、「決済手段」の一例に相当する。また、記録媒体に記録されている残金額等の金銭情報は「決済用情報」の一例に相当する。
【0035】
通信部58は、外部装置等との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、管理部54と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0036】
無線リーダ制御部60は、無線リーダ12から入力される記録媒体の金銭情報等を管理部54へ出力すると共に、管理部54から入力される金銭情報の更新データを無線リーダ12へ出力するように構成されている。また、無線リーダ制御部60は、管理部54からの指示により、無線リーダ12へキャリア出力信号又はキャリア停止信号を出力し、無線リーダ12のキャリアの出力を制御している。
【0037】
次に、上述のように構成される自動販売機20に設けられる決済端末10において、実施される決済処理について、図3を用いて説明する。ここでは、記録媒体としてICカードを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0038】
まず、自動販売機20の商品選択部28により商品が選択されると、制御部70は、この選択信号を受信し、商品選択の信号を管理部42に対して出力する。管理部42は、この商品選択の信号を受信したとき、操作部通信部52に対し商品選択通知を送信する。操作部通信部52は、この商品選択通知を受信したとき、管理部54内に設けられるメモリ(図略)に選択商品データ(選択された商品の金額やコラム番号等)をセット(記憶)する(図3(1))。
【0039】
図3(1)のように操作部通信部52から管理部54へ商品選択通知が送信されると、管理部54は操作部通信部52に対してカードタッチ待ちメッセージ(例えば、「カードタッチしてください」など)の表示依頼の指示を出力する(図3(2))。そして、管理部54からカードタッチ待ちメッセージの表示依頼の指示を受信した操作部通信部52は、操作部40の管理部42へこの指示を送信する。管理部42は、操作部通信部52から表示依頼の指示を受信すると、これに応じて表示部14に当該メッセージの表示指示を与え、管理部42からの表示指示を受信した表示部14は当該メッセージを表示する。
【0040】
更に、管理部54は、上記表示依頼の指示の出力(図3(2))と同時期に、無線リーダ制御部60に対しICカードの読み取り指示を出力する(図3(3))。
【0041】
無線リーダ制御部60は、管理部54からICカードの読み取り指示(図3(3))を受信すると、無線リーダ12に対してカード読取のコマンドを出力する(図3(4))。そして、無線リーダ12は、このカード読取コマンドを取得したときにICカードに記録されている金銭情報の読み取りを行い、ICカードデータの読取結果(金銭情報など)を無線リーダ制御部60に出力する。無線リーダ制御部60は、無線リーダ12から受信したICカードデータ(残金額など)を管理部54内に設けられるメモリ(図略)にセット(記憶)し(図3(5))、その後、管理部54に読取完了通知を送信する(図3(6))。
【0042】
管理部54は無線リーダ制御部60からの読取完了通知(図3(6))を受信すると、決済処理部56へ決済指示を出力する(図3(7))。そして、管理部54からの決済指示(図3(7))を受信した決済処理部56は、上述の選択商品データから選択された商品の金額を取得し(図3(8))、ICカードの残金額から商品の金額を減算した金額の情報(ICカードデータ)をメモリにセット(更新データセット)し(図3(9))、管理部54へ決済完了通知を送信する(図3(10))。
【0043】
決済完了通知(図3(10))を受信した管理部54は、無線リーダ制御部60へICカードに記録されている金銭情報の更新指示を出力する(図3(11))。そして、この更新指示を受信した無線リーダ制御部60は、図3の(9)でメモリに記憶された上述のICカードデータ(更新データ)を取得し(図3(12))、無線リーダ12に対してカード更新の指示を与える(図3(13))。このカード更新の指示では、書込コマンドと共に上述のICカードデータ(更新データ)が送信され、無線リーダ12は、このカード更新の指示を受けたときにICカードに記憶されている金銭情報を更新する。無線リーダ制御部60は、(13)の処理の後には、管理部54へカード更新完了通知を送信する(図3(14))。無線リーダ制御部60からカード更新完了通知を受信した管理部54は、操作部通信部52に対して決済完了メッセージ(例えば、「ありがとうございました」など)の表示依頼の指示を出力する(図3(15))。そして、操作部通信部52は、操作部40の管理部42に対し決済完了メッセージの表示依頼の指示を送信する。管理部42はこの表示依頼の指示を受信したときに決済完了メッセージの表示指示を表示部14へ出力し、この指示を受信した表示部14が当該メッセージを表示することで、決済処理が終了する。
【0044】
次に、自動販売機20がスリープ動作を実行した場合に、本実施形態の決済端末10にて行われる省電力モード切替処理(通常モードから省電力モードに切り替える処理)について、図4及び図5を用いて説明する。
本発明の決済端末10が設けられる自動販売機20では、上述したように、制御部70によってスリープ動作を実行可能に構成されており、制御部70は上述の所定のスリープ条件を満たしたときに(例えば所定の時間帯となった場合に)スリープ動作(例えば、商品選択部28に対する指示信号(照明装置の照明光の減光指示或いは消灯指示の信号等)の出力など)を実行し、このスリープ動作の実行と同時期に決済端末10の管理部42へスリープ状態信号を出力するように構成されている。そして、管理部42は制御部70からのスリープ状態信号を受信すると、図5に示すコマンドコードにて操作部通信部52へスリープ状態信号を出力する。管理部42からスリープ状態信号を受信した操作部通信部52は、制御部50内の管理部54に対して自動販売機20のスリープ動作の通知を行う(図4(1))。なお、自動販売機のスリープ動作を検出する管理部42は、「検出手段」「信号検出手段」の一例に相当する。
【0045】
また、操作部通信部52から自動販売機20のスリープ動作の通知を受信した管理部54は、操作部通信部52に対して利用停止メッセージ(例えば、「カードリーダを停止します」など)の表示依頼の指示を出力する(図4(2))。管理部54から利用停止メッセージの表示依頼の指示を受信した操作部通信部52は、操作部40側の管理部42に対しこの表示依頼の指示を送信する。管理部42は、この表示依頼の指示を受信すると、表示部14に対し利用停止メッセージを表示する旨の指示を与える。
【0046】
更に、管理部54は、表示依頼の指示(図4(2))と同時期或いはこの指示の後に、決済処理部56にスレッド停止の指示を出力し(図4(3))、決済処理部56はこの停止指示(図4(3))を受信したときにスレッドを停止する(図4(4))。このスレッド停止中は、上述した決済処理(図3の(8)(9)(10)など)が停止され、決済処理部56の省電力化が図られる。
【0047】
更に、自動販売機20のスリープ動作の通知を受信した管理部54は、無線リーダ制御部60に対してスレッド停止の指示を出力する(図4(5))。このスレッド停止の指示を受信した無線リーダ制御部60は、無線リーダ12に対してキャリア出力停止の指示を与える(図4(6))。具体的には、無線リーダ制御部60から無線リーダ12に対してキャリア停止コマンドが出力され、無線リーダ12は、このキャリア停止コマンドを受信したときにキャリア出力を停止する。これにより無線リーダ12の動作(特にキャリア出力)に起因する消費電力が大幅に低減される。
【0048】
更に、スレッド停止の指示を受信した無線リーダ制御部60は、メモリにセットされているICカードデータをリセット(メモリ解放)し、当該無線リーダ制御部60はスレッドを停止する(図4(7))。このスレッド停止中は、無線リーダ制御部60で行われる上述の機能(図3の(4)(5)(6)(13)(14)など)が停止されるため、無線リーダ制御部60での省電力化が図られる。
【0049】
また、自動販売機20のスリープ動作の通知を受信した管理部54は、操作部通信部52に対して表示部14のメッセージの表示停止依頼及びLED16の消灯の指示を送信する(図4(9))。操作部通信部52は、この指示を受信すると、操作部40側の管理部42に対して当該指示を送信する。そして、操作部40側の管理部42は、操作部通信部52から表示部14の表示停止依頼及びLED16の消灯の指示を受信すると、表示部14の表示を停止すると共にLED16を消灯する。これにより、表示部14での消費電力も低減されることとなる。このようにして、当該省電力モード切替処理が終了する。このように、決済端末10は、自動販売機20からスリープ状態信号を受信すると、省電力モードに設定されて、無線リーダ12のキャリア出力を停止すると共に、表示部14の表示を停止してLED16を消灯し、更に各スレッドを停止するので、当該決済端末10の消費電力量を大幅に抑えることができる。なお、キャリア停止コマンドを実行する無線リーダ制御部60及び、表示部14の表示を停止しLED16を消灯する管理部42は、「切替手段」の一例に相当する。
【0050】
次に、上述のように省電力モードに設定された決済端末10にて行われる通常モード復帰処理(省電力モードから通常モードに切り替える処理)について、図6を用いて説明する。
本発明の決済端末10が設けられる自動販売機20では、スリープ動作を実行していた制御部70は所定のスリープ条件を満たさなくなると(例えば、所定の時間帯を経過した場合に)、スリープ動作の解除(例えば、商品選択部28に対する指示信号(照明装置の照明光の増光指示或いは点灯指示の信号等)の出力など)を実行し、このスリープ動作の解除の実行と同時期に決済端末10の管理部42へスリープ状態解除信号を出力するように構成されている。そして、管理部42は制御部70からのスリープ状態解除信号を受信すると、図5に示すコマンドコードにて操作部通信部52へスリープ状態解除信号を出力する。管理部42からスリープ状態解除信号を受信した操作部通信部52は、制御部50内の管理部54に対して自動販売機20のスリープ動作の解除通知を行う(図6(1))。
【0051】
操作部通信部52から自動販売機20のスリープ動作の解除通知を受信した管理部54は、決済処理部56にスレッド生成の指示を出力する(図6(2))。また、管理部54は、決済処理部56へのスレッド生成の指示(図6(2))と同時期或いはこの指示の後に、無線リーダ制御部60にスレッド生成の指示を出力する(図6(3))。
【0052】
無線リーダ制御部60は、このスレッド生成の指示(図6(3))を受信すると、ICカードデータをメモリ内に確保する(図6(4))。ICカードデータをメモリ内に確保した(図6(4))無線リーダ制御部60は、無線リーダ12に対してキャリア出力の指示を与える(図6(5))。具体的には、無線リーダ制御部60から無線リーダ12に対してキャリア出力コマンドが出力され、無線リーダ12は、このキャリア出力コマンドを受信したときにキャリアを出力させる。これにより、無線リーダ制御部60および無線リーダ12により、ICカードに記憶されている金銭情報の読み取りが可能となる。
【0053】
また、自動販売機20のスリープ動作の通知を受信した管理部54は、決済処理部56へのスレッド生成の指示(図6(2))および無線リーダ制御部60へのスレッド生成の指示(図6(3))と同時期或いはこれら指示の後に、操作部通信部52に対して利用可能メッセージ(例えば、「ICカード使用できます」など)の表示依頼の指示およびLED16の点灯の指示を出力する(図6(6))。管理部54から利用可能メッセージの表示依頼及びLED16の点灯の指示を受信した操作部通信部52は、操作部40側の管理部42に対しこれらの指示を送信する。管理部42は、この利用可能メッセージの表示依頼及びLED16の点灯の指示を受信すると、表示部14に対し利用可能メッセージを表示する旨の指示を与えると共に、LED16に対し点灯の指示を与える。そして、決済端末10は、表示部14に利用可能メッセージが表示されてLED16が点灯されることで、省電力モードから通常モードに切り替わり通常モード復帰処理を終了する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10は、スリープ動作を実行可能な自動販売機20の本体内に設けられると共に、自動販売機20のスリープ動作を検出すると、当該決済端末10の動作モードを、通常モードから当該決済端末10の消費電力量を抑える省電力モードに切り替えるように構成されている。この構成では、自動販売機20がスリープ動作に設定されると、この自動販売機20の本体内に設けられる当該決済端末10もこのスリープ動作をトリガとして省電力モードに切り替わるので、決済端末10が使用されにくい時期において当該決済端末10の省電力化を適切に図ることができる。更に、自動販売機20のスリープ動作に同期して決済端末10も省電力モードに切り替わるように構成されているので、自動販売機20のスリープ時期と決済端末10のスリープ時期とが大きくずれるといった非効率な状態が生じにくくなる。更に、自動販売機20が稼働しているとき(通常動作時)に決済端末10のみが省電力モードに切り替わるといった不都合(すなわち、利用者が商品を購入したいときに、決済端末10が停止している場合など)が生じない。
【0055】
また、本実施形態に係る決済端末10は、記録媒体に対しキャリアを出力すると共に、出力されるキャリアを媒介として記録媒体の読み取りを行う無線リーダ12を備えている。そして、自動販売機20のスリープ動作が検出された場合に、キャリアの出力を停止させるようにしている。
この構成では、決済端末10が省電力モードに設定されると、消費電力が比較的大きなキャリアの出力が停止されるため、当該自動販売機用の決済端末10の省電力化をより効果的に図ることができる。また、自動販売機20がスリープ動作に設定される時期には、記録媒体が読み取られる可能性も低いため、キャリアの出力停止によって不便が生じることもない。
【0056】
また、本実施形態に係る決済端末10は、情報を表示する表示部14を備えており、スリープ動作が検出された場合に、表示部14の表示を停止させるようにしている。この構成では、通常時には表示部14によって様々な情報を表示することができ、使用者の利便性の向上を図ることができる。他方、決済端末10が省電力モードに設定されると、比較的消費電力の大きい表示部14の表示が停止されるため、当該自動販売機用の決済端末10の省電力化をより一層効果的に図ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る決済端末10が設けられる自動販売機20の本体は、スリープ動作が実行された場合に、外部にスリープ状態信号を出力するように構成されている。そして、決済端末10は、この自動販売機20から出力されるスリープ状態信号を検出するように構成されている。このように、決済端末10はホストコンピュータ等を介することなく、自動販売機20からのスリープ状態信号を直接検出することができるため、自動販売機20がスリープ動作に設定されると、決済端末10もこのスリープ動作とタイムラグなく省電力モードに切り替わることができる。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、決済端末10のキャリア出力を停止すると共に、表示部14の表示を停止してLED16を消灯することで、当該決済端末10が通常モードから省電力モードに切り替わるように構成されているが、キャリア出力の停止、表示部14の表示の停止、LED16の消灯のうちいずれか1つのみを実行することで通常モードから省電力モードに切り替わるように構成されていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、記録媒体として、残金額が予め記録されている(いわゆる前払い方式)ICカードを例に挙げて説明したが、商品の受け取り後に支払いを行う(いわゆる後払い方式)クレジットカードを用いることもできる。この場合、無線リーダ12によりクレジットカードのカード番号等が決済用情報として読み取られると、通信部58によりこの読み取られたカード番号等が外部に設けられる認証装置(例えばクレジットカード会社の端末)へ送信され、この認証装置により認証されると商品が排出されるように構成することができる。
【符号の説明】
【0060】
10・・・決済端末
12・・・無線リーダ(出力手段、無線読取手段、切替手段)
14・・・表示部
20・・・自動販売機
42・・・管理部(検出手段、信号検出手段、切替手段)
56・・・決済処理部(決済手段)
60・・・無線リーダ制御部(無線読取手段)
70・・・制御部(スリープ動作実行手段、信号出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリープ動作を実行可能な自動販売機の本体内に設けられるとともに、記録媒体に記録された決済用情報に基づいて決済処理を行う自動販売機用の決済端末であって、
前記記録媒体に記録された前記決済用情報を読み取り可能な無線リーダと、
前記無線リーダによる前記決済用情報の読取結果に基づいて前記決済処理を行う決済手段と、
前記自動販売機の前記スリープ動作を検出する検出手段と、
当該決済端末の動作モードを、所定の通常モードと前記通常モードのときよりも当該決済端末の消費電力量を抑える省電力モードとに切り替える切替手段と、
を備え、
前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記動作モードを前記省電力モードに切り替えることを特徴とする自動販売機用の決済端末。
【請求項2】
前記無線リーダは、
前記記録媒体に対しキャリアを出力する出力手段と、
前記出力手段によって出力される前記キャリアを媒介として前記記録媒体の読み取りを行う無線読取手段と、
を備えており、
前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記出力手段による前記キャリアの出力を停止させることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機用の決済端末。
【請求項3】
情報を表示する表示部を備え、
前記切替手段は、前記検出手段によって前記スリープ動作が検出された場合に、前記表示部の表示を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機用の決済端末。
【請求項4】
前記自動販売機の本体は、前記スリープ動作を実行するスリープ動作実行手段と、前記スリープ動作実行手段によって前記スリープ動作が実行された場合に、外部にスリープ状態信号を出力する信号出力手段とを備えるものであり、
前記検出手段は、前記信号出力手段からの前記スリープ状態信号を検出する信号検出手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自動販売機用の決済端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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