説明

自動販売機用包装容器

【課題】飲料用自動販売機に適する菓子類の容器であって、安価に製造できて、かつ、リサイクル容易であり、しかも保冷に伴う水分の存否に関わらずスムーズに自動販売機の取り出し口に誘導することができる容器を提供すること。
【解決手段】紙を主たる構成材料とする容器と、この容器の筒状胴部を被覆するシュリンクフィルムとで包装容器を構成し、この容器を、筒状の紙管と、開口部周壁部に嵌合される両封止部材とで構成すると共に、前記シュリンクフィルムの静摩擦係数及び動摩擦係数をいずれも0.4以下とする。胴部が紙管から構成されており、紙管は緩衝性に優れるから、自動販売機の取り出し口に落下させたときにも、菓子類が容器内壁に衝突する際の衝撃を吸収して、菓子類の破砕を防止することができる。また、摩擦係数の小さいシュリンクフィルムで被覆しているから、水分の存否に関わらずスムーズに誘導することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用自動販売機による、菓子販売用の容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機が普及し、扱われる商品も、清涼飲料水や酒類など液体飲料を始め、菓子類や栄養補助食品のような食品、さらにはマスクやストッキングなどのような非食品など、多岐に渡っている。
【0003】
従来、飲料用販売機と共に菓子用販売機が別々に供される場合が多く、同時に購入したいと考える利用者から見れば至極不便であり、一方設置者および販売者から見れば、設置場所の制限や流通費用が嵩むなどの点から著しく不経済であった。このような状況を鑑みて、飲料用販売機にて供される缶容器と略同一の形状のプラスチック容器に菓子類を充填することで、菓子用販売機を設けずとも飲料用販売機にて菓子類を供することが提案されている(特許文献1,2)。また、飲料用販売機にて供される缶容器と略同一の形状の容器であって、紙製ブランクから製缶したものも知られている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−165226号公報
【特許文献2】実開平3−15321号公報
【特許文献3】実開平5−86818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2の容器では、プラスチック製の容器を使用しているため原材料が高く、かつリサイクル原料として有効活用されにくいといった問題があった。
【0006】
これに対し特許文献3に記載の容器は紙製ブランクから製缶したものであるから、その原材料は安価であり、またリサイクルも容易である。しかし、紙製ブランクから製缶した容器は摩擦係数が大きく、このため、その販売時に取り出し口にスムーズに誘導することができない場合があった。また、紙製ブランクから製缶した容器は水分に弱く、このため、自動販売機にて保冷時に発生する水分によって容器そのものが弱化し、この弱化がさらに摩擦係数を増大させて、その取出しを困難にするという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、飲料用自動販売機に適する菓子類の容器であって、安価に製造できて、かつ、リサイクル容易であり、しかも水分の存否に関わらずスムーズに自動販売機の取り出し口に誘導することができる容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、紙を主たる構成材料とし、菓子類を収納した容器と、この容器の筒状胴部を被覆するシュリンクフィルムとで構成された自動販売機用包装容器であって、
前記シュリンクフィルムの静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれもが0.4以下であることを特徴とする自動販売機用包装容器である。
【0009】
この発明によれば、菓子類を収納した容器が紙を主たる構成材料としてその製造が安価であり、かつ、リサイクルも容易であるにも拘らず、その容器の筒状胴部がシュリンクフィルムで被覆されており、こうして容器外面に露出したシュリンクフィルムの静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれもが0.4以下であるから、その販売時にも自動販売機の内部で引っかかって滞留することがなく、スムーズにその取り出し口に誘導することができる。しかも、容器がシュリンクフィルムで被覆されているから、保冷時に発生する水分に接触して弱化することがなく、このため、水分の存否に関わらずスムーズに自動販売機の取り出し口に誘導することが可能となるのである。
【0010】
なお、シュリンクフィルムは容器の筒状胴部の全体に密着してこれを緊縛するものであればよく、例えば、容器の上下に突出する長さを有する一軸延伸フィルムを使用して、その延伸方向が容器の円周方向を向くように容器を包んで両端部を互いに接着した後、このシュリンクフィルムを収縮させることにより前記筒状胴部を被覆することができる。また、シュリンクフィルムとして二軸延伸フィルムを使用して、容器の両端部を含む全体をシュリンクフィルムで包み、このシュリンクフィルムを収縮させて、前記両端部と筒状胴部とを含む容器の全体を被覆してもよい。
【0011】
次に、請求項2に記載の発明は、前記シュリンクフィルムの材質を特定したものである。すなわち、請求項2に記載の発明は、前記シュリンクフィルムが延伸ポリスチレンフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の自動販売機用包装容器である。そして、この発明によれば、水分の存否に関わらずスムーズに自動販売機の取り出し口に誘導することができることに加えて、自動販売機内部で冷却された際にも前記シュリンクフィルムが劣化することがなく、亀裂や裂けやすくなることなどが生じない。このため、安定して自動販売機に長期間保存することが可能となる。また、長期間保存した後にも前記シュリンクフィルムに損傷が生じないから、長期間保存した後にもスムーズに取り出し口に誘導することが可能となる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記シュリンクフィルムを多層構造として、そのシュリンク性能と滑り性能とを、それぞれ、別の層に負担させたものである。すなわち、請求項3に記載の発明は、前記シュリンクフィルムが、基材フィルムと、静摩擦係数及び動摩擦係数を低下させる表面層とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動販売機用包装容器である。基材フィルムとしては、前記延伸ポリスチレンフィルムのほか、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリ塩化ビニルフィルム等が使用できる。また、静摩擦係数及び動摩擦係数を低下させる前記表面層としては、熱可塑性樹脂に滑剤を添加した塗料の塗膜が使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が例示できる。また、滑剤としては、界面活性剤、各種ワックス、シリコーンオイル等が使用できる。
【0013】
次に、本発明に係る筒状容器としては紙を主たる構成材料とするものであれば任意の容器が使用できるが、自動販売機の取り出し口に落下させたときの容器の損傷を防ぎ、また、この落下時の衝撃による菓子類の破砕を防止するため、強度が高く、しかも衝撃に対する緩衝性を有するものが好ましい。
【0014】
請求項4〜6に記載の発明は、このような観点から、容器を特定したものである。
【0015】
すなわち、請求項4に記載の発明は、前記容器が、両端に開口部を有する筒状の紙管と、この紙管の開口部のうちいずれか一方の開口部周壁部に着脱自在に嵌合される第一封止部材と、前記紙管の他方の開口部周壁部に嵌合される第二封止部材とを有し、
前記紙管の開口部及び周壁部は前記第一封止部材及び第二封止部材により被覆されてい
ることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の自動販売機用包装容器である。
【0016】
この発明によれば、その胴部が筒状の紙管から構成されているため、安価に製造でき、また、廃棄の後紙原料としてリサイクル容易である。しかも、筒状の紙管は、プラスチック製容器と比較して緩衝性に優れるから、例えば、自動販売機の取り出し口に落下させたときにも、この落下に伴って菓子類が容器内壁に衝突する際の衝撃を吸収して、これら菓子類の破砕を防止することができる。
【0017】
なお、この筒状紙管の両端の開口部に嵌合される第一封止部材及び第二封止部材としては、紙製の封止部材、紙とプラスチックとを積層して構成される複合材からなる封止部材、あるいは、プラスチック製の封止部材が使用できる。
【0018】
これら第一封止部材及び第二封止部材として紙製の封止部材を使用する場合には、これら封止部材も安価かつリサイクル容易で、しかも、これら封止部材内面に衝突する菓子類の破砕も防止することができる。なお、筒状紙管の両端の開口部をこれら第一封止部材及び第二封止部材によって嵌合しているから、収納した菓子類の保護性能も優れている。例えば、耐水性、耐熱性、防傷性、防汚性などの保護性能である。
【0019】
また、第一封止部材及び第二封止部材として、紙とプラスチックの複合材を使用する場合には、この複合材には紙が使用されているから、これら封止部材も安価かつリサイクル容易で、しかも、封止部材内面に衝突する菓子類の破砕も防止することができる。また、これら封止部材は紙に加えてプラスチックを利用しているから、封止部材が紙単体で構成されている場合と比較して、前記保護性能が格段に向上する。
【0020】
次に、第一封止部材及び第二封止部材として、プラスチック製の封止部材を使用する場合には、この封止部材が紙単体で構成されている場合や紙とプラスチックの複合材から構成されている場合と比較して、前記保護性能が一層向上する。
【0021】
次に、請求項5に記載の発明は、前記第二封止部材が前記紙管に貼着されていることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機用包装容器である。この発明によれば、前記第一封止部材が着脱自在に嵌合されているのに対し、第二封止部材は紙管に貼着されて着脱が困難であり、従って、容器の開封は常に第一封止部材の取り外しによって行うことになる。このため、誤って両端が開くことがなく、菓子類の落下を防止することが可能となる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、前記紙管が厚さ0.1〜5.0mmのスパイラル紙管であり、前記紙管の最大内径が50〜300mmの範囲内にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の自動販売機用包装容器である。この発明によれば、前記紙管がスパイラル紙管であるため、低コストで製造が容易である。また、その厚さが0.1mm以上のスパイラル紙管であるため強度が高く、例えば自動販売機の取り出し口に落下したときにも歪むことがなく、菓子類の破砕を防止することもできる。また、5mmより厚いとその製造コストが高くなる。なお、前記紙管の最大内径が50〜300mmの範囲内にあるから、汎用の飲料用自動販売機にて、飲料缶と同様に販売することが可能である。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、前記第一封止部材に開封用切込み線が刻設されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の自動販売機用包装容器である。この発明によれば、この切込み線から第一封止部材切断して容易に開封できる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明は、前記第一封止部材及び第二封止部材は、サック貼りした筒状部材と、この筒状部材のいずれか一方の開口部に蓋部材を固定してなることを特徴
とする請求項4〜7のいずれかに記載の自動販売機用包装容器である。この発明では、封止部材の筒状部材をサック貼りして製造するから、その製造が容易となる。なお、蓋部材としては、この筒状部材の開口端部と略同一形状の平坦な板部材が使用でき、その周辺を筒状部材の端部で巻き締めることによって固定できる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、安価かつリサイクル容易で、しかも、水分の存否に関わらずスムーズに自動販売機の取り出し口に誘導することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る容器を、紙管、第一封止部材、第二封止部材に分離して示す斜視図
【図2】本発明の実施例の斜視図
【図3】本発明の第2の実施例の斜視図
【図4】本発明の第3の実施例の斜視図
【図5】本発明の第4の実施例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明を説明する。
【0028】
本発明に係る包装容器は、紙を主たる構成材料とし、菓子類を収納した容器と、この容器の筒状胴部を被覆するシュリンクフィルムとで構成されるものである。
【0029】
容器は任意のものでよいが、例えば、筒状紙管と、有底筒状の第一封止部材と、有底筒状の第二封止部材とでその主要部が構成されるものが好ましく使用できる。図1は、この容器を、紙管、第一封止部材、第二封止部材に分離して示すものである。なお、図2には、組み立てた容器の全体をシュリンクフィルムで被覆して得られた包装容器を図示している。
【0030】
この例では、筒状紙管の両端の開口部のうちいずれか一方の開口部周壁部に前記第一封止部材が着脱自在に嵌合されている。なお、図示の例では、第一封止部材の周壁に開封用切込み線が設けられている。この場合には、開封の際にこの切込み線から第一封止部材の周壁を切断することによって前記第一封止部材を開封できる。なお、この場合、第一封止部材は切断後に筒状紙管に残る先端部が筒状紙管に貼着固定されていることが望ましい。この場合でも、切断された前記第一封止部材は筒状紙管から分離可能であると共に、筒状紙管の端部に再度被せることができる。すなわち、着脱自在である。
【0031】
次に、他方の開口部周壁部に前記第二封止部材が嵌合されている。第二封止部材は筒状紙管に貼着固定されていてもよいし、着脱自在に筒状紙管に嵌合されていてもよい。好ましくは、第二封止部材は筒状紙管に貼着固定されている。この場合、容器の開封は常に第一封止部材の取り外しによって行うことになる。このため、誤って両端が開くことがなく、菓子類の落下を防止することが可能となる。
【0032】
なお、図1に示すように、筒状紙管の長さaは、第一封止部材の高さbと第二封止部材の高さcの合計b+cより大きいか、せいぜい等しいことが望ましい。図1及び図2に示す例はa=b+cを満たすもので、このため、図2の斜視図では筒状紙管が第一封止部材と第二封止部材の内部に隠れている。
【0033】
そして、本発明の自動販売機用包装容器は、この容器の筒状胴部又は筒状胴部を含む容器の全体をシュリンクフィルムで被覆したものである(図2参照)。この例では、容器の
両端部を含む全体をシュリンクフィルムで包み、このシュリンクフィルムを収縮させて、前記両端部と筒状胴部とを含む容器の全体を被覆している。容器の全体を被覆する場合、あるいは、筒状胴部を選択的に被覆する場合のいずれの場合においても、シュリンクフィルムとしては、シュリンク後において、JIS K 7125にしたがって測定した金属に対しての静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれもが0.4以下であることが必要である。これより静摩擦係数及び動摩擦係数が大きいと、自動販売機にて販売する場合、その内部に引っ掛かって商品取り出し口までスムーズに誘導できないことがある。なお、一般に動摩擦係数は静摩擦係数より小さいことから、JIS K 7125にしたがって測定した金属に対しての静摩擦係数が0.4以下であれば、動摩擦係数も0.4以下であると推定することができる。
【0034】
次に、この自動販売機用包装容器は、その容器の胴部に筒状紙管を使用しているため、安価に製造でき、また、廃棄の後紙原料としてリサイクル容易である。しかも、筒状の紙管は、プラスチック製容器と比較して緩衝性に優れるから、例えば、自動販売機の取り出し口に落下させたときにも、この落下に伴って菓子類が容器内壁に衝突する際の衝撃を吸収して、これら菓子類の破砕を防止することができる。なお、筒状紙管の両端の開口部をこれら第一封止部材及び第二封止部材によって嵌合しているから、収納した菓子類の保護性能も優れている。例えば、耐水性、耐熱性、防傷性、防汚性などの保護性能である。
【0035】
次に、本発明の包装容器を構成する各部材について説明する。
【0036】
まず、筒状紙管については、この筒状容器によって本発明の自動販売機用包装容器の外形は決定される。このため、筒状紙管は汎用の飲料用自動販売機に適合する外形と大きさとを有する必要がある。すなわち、筒状紙管の外径はおよそ50〜310mmの範囲にある必要がある。後述するように、紙管の厚みは0.1〜5mmであるから、その最大内径は50〜300mmである。
【0037】
筒状紙管としてはスパイラル紙管が望ましい。スパイラル紙管は製造が容易で、しかも、その製造コストが安価である。また、高い強度を確保するため、その厚さが0.1mm以上のスパイラル紙管であることが望ましい。厚さが0.1mm以上のスパイラル紙管である場合、例えば自動販売機で販売する際にその取り出し口に落下したときにも歪むことがなく、菓子類の破砕を防止することもできる。なお、5mm以下でよい。これより厚いスパイラル紙管はその製造コストが高くなる。
【0038】
筒状紙管として、図1には円筒状のスパイラル紙管を示しているが、この他,多角筒状、カップ状、円錐状、中央部が膨らんだオーバル状など各種形状のものを用いてもよい。図3には断面四角形の角筒状の紙管を用いた例、図4には中央部が膨らんだオーバル状の紙管を用いた例を示す。
【0039】
次に、第一封止部材及び第二封止部材はいずれも有底筒状の形状を有し、その周壁を構成する筒状部材と、この筒状部材のいずれか一方の開口部を塞いで筒状部材に固定された蓋部材とで構成されたものである。
【0040】
筒状部材は、筒状紙管の外径とほぼ同一の内径を有し、隙間なく前記紙管に被せることができるものであることが望ましい。このような筒状部材としてスパイラル紙管を使用することもできるが、サック貼りして得られた筒状部材を使用することが簡便である。すなわち、平坦な紙片を丸めあるいは折り曲げて筒状とし、その両端を互いに接着してこの筒状部材を得ることができる。図1は、第一封止部材及び第二封止部材として円筒状に丸めて得られた筒状部材を用いた例である。図3は同様に、角筒状にお折り曲げて得られた筒状部材を用いており、図4は円錐台形状に丸めて得られた筒状部材を用いている。また、
平坦な紙片を折り曲げる場合、その折り曲げ位置に予め押し罫線を設け、この押し罫線に従って折り曲げることもできる。図5はこのように多数の押し罫線を設けてこの押し罫線に従って折り曲げた筒状部材を使用した例で、断面多角形の筒状部材としている。いずれの場合においても、この筒状部材には前記開封用切込み線を設けることができる。
【0041】
次に、蓋部材としては、筒状部材の開口端部と略同一形状の平坦な板部材が使用でき、その周辺を筒状部材の端部で巻き締めることによって固定できる。
【0042】
これら筒状部材及び蓋部材は、紙単体、紙とプラスチックの複合材、あるいはプラスチックから構成することができる。紙単体から構成した場合には、安価かつリサイクル容易であり、しかも、この紙単体は緩衝性に優れるから、例えば、自動販売機の取り出し口に落下させたときにも、この落下に伴って菓子類が筒状部材内面や蓋部材内面に衝突する際の衝撃を吸収して、これら菓子類の破砕を防止することができる。
【0043】
また、紙とプラスチックの複合材から構成した場合には、安価かつリサイクル容易であり、自動販売機の取り出し口に落下させたときにも菓子類の破砕を防止することができる。また、紙単体から構成した場合に比較して、耐水性、耐熱性、防傷性、防汚性などの保護性能が格段に向上する。プラスチックとしてはポリエチレンやポリエステルが使用できる。例えば、紙の片面又は両面にポリエチレンやポリエステルを積層した積層体である。また、紙を中心として、その片面にポリエチレンを積層し、他の片面にポリエステルを積層した積層体を使用することもできる。
【0044】
また、筒状部材と蓋部材とをプラスチックから構成した場合には、紙単体から構成した場合や紙とプラスチックの複合材から構成した場合に比較して、前記保護性能が一層向上する。プラスチックとしてはポリエチレンやポリエステルが使用できる。
【0045】
次に、この容器は、まず第一封止部材及び第二封止部材のうちいずれか一方を筒状紙管の端部に嵌合して筒状紙管の一端を封止し、次にこの筒状紙管の内部に菓子類を収納した後、他方の封止部材を筒状紙管の開口端部に嵌合することで製造することができる。
【0046】
次に、本発明に係るシュリンクフィルムとしては、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムが使用できる。容器の筒状胴部を選択的に被覆する場合には一軸延伸フィルムを利用することが望ましく、その収縮方向を筒状胴部の円周方向に一致するように包み、加熱して収縮させることにより、筒状胴部に密着してこれを緊縛する。また、このとき、シュリンクフィルムが筒状胴部の上下方向に突出するように包んだ場合でも、この突出部分は収縮して容器の上下の蓋部材に密着する。また、図示の例のように、筒状胴部と両端部を含む容器の全体をシュリンクフィルムで被覆する場合には、二軸延伸フィルムを利用することが望ましい。
【0047】
このようなシュリンクフィルムとしては、前述のように、延伸ポリスチレンフィルムが利用できる。また、このほか、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することも可能である。いずれの場合においても、収縮後の静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれもが0.4以下であることが必要である。
【0048】
また、このシュリンクフィルムを多層構造として、必要な機能のそれぞれを別個の層に負担させることもできる。すなわち、そのシュリンク機能を基材フィルムに負担させ、この基材フィルムに滑剤を含む塗料を塗布して、この塗膜によって前記静摩擦係数及び動摩擦係数を0.4以下としたシュリンクフィルムである。滑剤としては、界面活性剤、各種ワックス、シリコーンオイル等が使用でき、これら滑剤を熱可塑性樹脂と共に溶剤に混合して基材フィルムに塗布すればよい。基材フィルムとしては、前記延伸ポリスチレンフィ
ルムのほか、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリ塩化ビニルフィルム等が使用でき、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主たる構成材料とし、菓子類を収納した容器と、この容器の筒状胴部を被覆するシュリンクフィルムとで構成された自動販売機用包装容器であって、
前記シュリンクフィルムの静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれもが0.4以下であることを特徴とする自動販売機用包装容器。
【請求項2】
前記シュリンクフィルムが延伸ポリスチレンフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の自動販売機用包装容器。
【請求項3】
前記シュリンクフィルムが、基材フィルムと、静摩擦係数及び動摩擦係数を低下させる表面層とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動販売機用包装容器。
【請求項4】
前記容器が、両端に開口部を有する筒状の紙管と、この紙管の開口部のうちいずれか一方の開口部周壁部に着脱自在に嵌合される第一封止部材と、前記紙管の他方の開口部周壁部に嵌合される第二封止部材とを有し、
前記紙管の開口部及び周壁部は前記第一封止部材及び第二封止部材により被覆されていることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の自動販売機用包装容器。
【請求項5】
前記第二封止部材が前記紙管に貼着されていることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機用包装容器。
【請求項6】
前記紙管が厚さ0.1〜5.0mmのスパイラル紙管であり、前記紙管の最大内径が50〜300mmの範囲内にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の自動販売機用包装容器。
【請求項7】
前記第一封止部材に開封用切込み線が刻設されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の自動販売機用包装容器。
【請求項8】
前記第一封止部材及び第二封止部材は、サック貼りした筒状部材と、この筒状部材のいずれか一方の開口部に蓋部材を固定してなることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の自動販売機用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−269813(P2010−269813A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121970(P2009−121970)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】