説明

自動販売機

【課題】温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を加熱熱交換器によって効率的に加熱することができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】商品を収納した商品収納庫に空気を供給する冷却ダクト91に収容され、冷却ダクト91の内部の空気と冷媒との間で熱交換することにより、冷却ダクト91の内部の空気を冷却する冷却熱交換器97と、冷却熱交換器97に接続され、冷却熱交換器97において熱交換した冷媒を圧縮する圧縮機82と、商品を収容した加熱収納庫に空気を供給する加熱ダクト81に収容され、圧縮機82において圧縮された冷媒と加熱ダクト81の内部の空気との間で熱交換することにより、加熱ダクト81の内部の空気を加熱する加熱熱交換器83と、加熱熱交換器83に接続され、外部の空気に凝縮熱を排出するガスクーラ85とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷やした商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を冷却熱交換器において冷却する一方、温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を加熱熱交換器において加熱する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に商品収容室と機械室とを画成し、商品収容室に商品を収容する一方、機械室に冷凍サイクルを構成する蒸発器、圧縮機、凝縮器、減圧器を収容した自動販売機が知られている。商品収容室には、商品収容室から機械室に空気を供給するための第一開口(吸引口)と、機械室から商品収容室に空気を供給するための第二開口(吐出口)とが開口している。一方、機械室には、蒸発器を中央にしてその一側(吸い込み側)から他側(吹き出し側)に延在する風通路が画成してある。
【0003】
風通路の吸い込み側には吸引室が画成してあり、この吸引室には吸引口が開口している。そして、商品収容室に開口した第一開口と吸引室に開口した吸引口とは吸引ダクトにより接続してあり、商品収容室と吸引室とは吸引ダクトを介して連通するようになっている。このため、商品収容室の内部の空気は吸引室に供給されるようになっている。
【0004】
一方、風通路の吹き出し側には吐出室が画成してあり、この吐出室には吐出口が開口している。そして、吐出室に開口した吐出口と商品収容室に開口した第二開口とは吐出ダクトにより接続してあり、吐出室と商品収容室とは吐出ダクトを介して連通するようになっている。このため、吐出室の内部の空気は商品収容室に供給されるようになっている。
【0005】
また、吐出室の内部には、送風ファンが配設してある。送風ファンを駆動すると、商品収容室から吸引室に商品収容室の内部の空気が供給され、吐出室から商品収容室に吐出室の内部の空気が供給され、商品収容室の内部の空気は、蒸発器を経由して循環するようになっている。したがって、この自動販売機は、冷凍サイクルを構成する冷却熱交換器により、冷やした商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を冷却する一方、商品収納庫の内部に配設したヒータを用いることにより、温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を加熱することになる。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−286291号公報
【特許文献2】特開平3−286292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冷凍サイクルは、冷却熱交換器において冷媒と熱交換することにより、冷却熱交換器の周りの空気を冷却する一方、加熱熱交換器において冷媒と熱交換することにより加熱熱交換器の周りの空気を加熱するものであり、加熱熱交換器の周りにおいて加熱された空気を用いれば、温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を効率的に加熱することができることになる。
【0008】
しかしながら、加熱熱交換器において熱交換される熱量が余剰となる場合には、加熱熱交換器において交換された熱量を外部に排出する必要がある。この場合に加熱熱交換器の周りに自動販売機の外部の空気を取り込むこととすると、この自動販売機の外部から取り込んだ空気が商品収納庫にも循環することになり、自動販売機の外部からほこりなどを取り込む等の好ましくない事態が生じうる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、自動販売機の外部から取り込んだ空気が商品収納庫に循環することがないように、温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を加熱熱交換器によって効率的に加熱することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、商品を収納した冷却収納庫に空気を供給する冷却ダクトに収容され、冷却ダクトの内部の空気と冷媒との間で熱交換することにより、冷却ダクトの内部の空気を冷却する冷却熱交換器と、冷却熱交換器に接続され、冷却熱交換器において熱交換した冷媒を圧縮する圧縮機と、商品を収容した加熱収納庫に空気を供給する加熱ダクトに収容され、圧縮機において圧縮された冷媒と加熱ダクトの内部の空気との間で熱交換することにより、加熱ダクトの内部の空気を加熱する加熱熱交換器と、前記加熱熱交換器に接続され、外部の空気に凝縮熱を排出するガスクーラとを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機は、上記請求項1において、前記圧縮機の少なくとも一部が前記加熱ダクトに収容されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機は、上記請求項2において、加熱収納庫に供給する空気を加熱するヒータを前記加熱ダクトに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機は、上記請求項3において、前記加熱ダクトに流入する空気の上流に前記圧縮機を配設する一方、下流に前記ヒータを配設したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る自動販売機は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記加熱熱交換器は、前記圧縮機とガスクーラとの間に接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に係る自動販売機は、上記請求項1〜5のいずれか一つにおいて、前記冷却ダクトを本体キャビネットの内壁面から離隔させた状態で収容したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7に係る自動販売機は、上記請求項1において、外部の空気に蒸発熱を排出する冷却廃熱用熱交換器を前記冷却ダクトの外部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動販売機は、加熱収納庫に空気を供給する加熱ダクトに収容され、圧縮機において圧縮された冷媒と加熱ダクトの内部の空気との間で熱交換することにより、加熱ダクトの内部の空気を加熱する加熱熱交換器と、加熱熱交換器に接続され、外部の空気に凝縮熱を排出するガスクーラとを備えたので、加熱熱交換器において熱交換される熱量が余剰となる事態が抑制され、温めた商品を収納する加熱収納庫の内部を循環する空気を加熱熱交換器によって効率的に加熱することができる。このため、加熱熱交換器において外部の空気との間で熱交換する必要がなく、加熱ダクトの内部に外部の空気を取り込むこともない。この結果、自動販売機の外部から加熱収納庫にほこりなどを取り込む等の好ましくない事態が生じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は本発明に係る自動販売機の実施の形態である自動販売機の外扉と内扉とを開放した状態を示す正面図、図2は図1に示した自動販売機のII−II断面図、図3は図1に示した自動販売機のIII−III断面図である。
【0020】
本発明の実施の形態である自動販売機は、缶入り飲料、ペットボトル入り飲料、あるいはビン入り飲料等の商品を冷やした状態で販売したり、温めた状態で販売したりする自動販売機に好適なものである。
【0021】
図1〜図3に示すように、本実施の形態である自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。本体キャビネット1は、複数の鋼材を適宜組み合わせることにより構成したもので、前面が開口した箱状を呈している。
【0022】
本体キャビネット1の左側縁部には内扉(図示せず)と外扉2とが支承してある。この外扉2の前面には、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品の見本を展示する商品展示室(図示せず)、商品を選択するための選択ボタン(図示せず)、貨幣を投入するための貨幣投入口(図示せず)、払い出された商品を取り出すための商品取出口(図示せず)等、商品の販売に必要となる構成が配置してある。内扉は、断熱材によって構成したもので、本体キャビネット1の前面開口を開閉すべく外扉2と本体キャビネット1との間に配設してある。
【0023】
本体キャビネット1の内部は、仕切板3(床板)によって商品収容室4と機械室5とに画成されている。商品収容室4は本体キャビネット1の内部上方に画成され、機械室5は本体キャビネット1の内部下方に画成されている。
【0024】
図1に示すように、商品収容室4は、さらに二つの断熱仕切板40によって三つの商品収納庫4a,4b,4cに画成されている。これら三つの商品収納庫4a,4b,4cは、本体キャビネット1の幅方向に並設されている。以下の説明において、正面向かって左側となる商品収納庫4aを「左庫4a」、中央となる商品収納庫4bを「中庫4b」、右側となる商品収納庫4cを「右庫4c」と称する。
【0025】
本実施の形態である自動販売機の左庫4aと中庫4bは、商品を冷やすこともできれば、商品を温めることもできる冷却加温兼用庫であって、右庫4cは商品を冷やすことしかできない冷却専用庫となっている。
【0026】
また、本実施の形態である自動販売機では、図1に示すように、右庫4cの幅(容積)が最も大きく、左庫4aの幅(容積)が右庫4cにつづき、中庫4bの幅(容積)が最も小さくなるように画成してある。このため、左庫4aと右庫4cとには、本体キャビネット1の幅方向に二列の商品収納ラック6が収容され、中庫4bには、本体キャビネット1の幅方向に一列の商品収納ラック6が収納されている。なお、右庫4cに収容した商品収納ラック6と左庫4aに収容した商品収納ラック6とでは、商品収納ラック6の幅が異なるが、これは右庫4cに収容した商品収納ラック6に通常の容量よりも大容量となるペットボトル入り飲料等の商品の収納を可能とするためである。
【0027】
また、図2及び図3に示すように、左庫4a、中庫4b、右庫4cには、奥行き方向に五列の商品収納通路を画成するように商品収納ラック6が収納されている。したがって、左庫4aと右庫4cとにはそれぞれ10種類ずつ商品を収納することができ、中庫4bには5種類の商品を収納することができる。すなわち、本実施の形態である自動販売機は、25種類の商品が収納でき、これらを要求に応じて販売することができる。
【0028】
商品収納ラック6は、蛇行した商品収納通路が内部に画成されたいわゆるサーペンタインラックと称されるものであって、商品収納ラック6の下方部には商品収納ラック6から一つずつ商品を搬出するベンドメックと称される商品搬出装置(図示せず)を備えている。
【0029】
図2及び図3に示すように、各商品収納庫4a,4b,4cの内部であって、商品収納ラックの奥方となる部位には、それぞれ背面ダクト41が取り付けてある。背面ダクト41は、商品収納ラック6に収納された商品の間を通過した空気を吸い込んで循環させるためのもので、商品収納庫4a,4b,4cの中程となる位置に吸込口(図示せず)が形成してあり、商品収納庫4a,4b,4cの下部となる位置に吐出口が形成してある。
【0030】
また、図4及び図5に示すように、各商品収納庫4a,4b,4cの下部奥方には、庫内風胴42a,42b,42cが取り付けてある。庫内風胴42a,42b,42cは、奥面と底面とが開口した箱形形状を呈しており、庫内風胴42a,42b,42cの奥面が背面ダクト41の吐出口と接続され、庫内風胴42a,42b,42cの底面が仕切板3(床板)に接続されている。したがって、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は背面ダクト41の吐出口を経由して庫内風胴42a,42b,42cに導かれるようになっている。
【0031】
図4及び図5に示すように、商品収納庫4a,4b,4cのうち、左庫4a及び中庫4bの仕切板3(床板)には、奥方から前方に向けて順番に暖気吸込口43a,43b、冷気吸込口44a,44b、冷気吐出口45a,45b、暖気吐出口46a,46bが開口している。暖気吸込口43a,43b及び冷気吸込口44a,44bは庫内風胴42a,42bの底面となる部位に開口しており、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は、背面ダクト41の吐出口、庫内風胴42a,42bを経由して暖気吸込口43a,43bあるいは冷気吸込口44a,44bから吸い込まれるようになっている。一方、冷気吐出口45a,45b、暖気吐出口46a,46bは、庫内風胴42a,42bの底面となる部位よりも前方となる部位に開口しており、冷気吐出口45a,45bあるいは暖気吐出口46a,46bから吐出した空気は庫内風胴42a,42bに直接流入することなく左庫4aあるいは中庫4bの庫内に供給されるようになっている。
【0032】
暖気吸込口43a,43b、冷気吸込口44a,44b、冷気吐出口45a,45b、暖気吐出口46a,46bをそれぞれ閉塞する暖気吸込シャッタ43a1,43b1、冷気吸込シャッタ44a1,44b1、冷気吐出シャッタ45a1,45b1、暖気吐出シャッタ46a1,46b1が左庫4a及び中庫4bに設けてある。これらシャッタは断熱材により構成してあり、開口を閉塞するのに十分な面積を有する板状体で構成してある。
【0033】
暖気吸込シャッタ43a1,43b1、冷気吸込シャッタ44a1,44b1、冷気吐出シャッタ45a1,45b1、暖気吐出シャッタ46a1,46b1は、連係して開閉するようになっている。すなわち、暖気吸込シャッタ43a1,43b1と暖気吐出シャッタ46a1,46b1とが連係し、暖気吸込シャッタ43a1,43b1が暖気吸込口43a,43bを閉塞した場合には暖気吐出シャッタ46a1,46b1が暖気吐出口46a,46bを閉塞する一方、冷気吸込シャッタ44a1,44b1と冷気吐出シャッタ45a1,45b1とが連係し、冷気吸込シャッタ44a1,44b1が冷気吸込口44a,44bを閉塞した場合には冷気吐出シャッタ45a1,45b1が冷気吐出口45a,45bを閉塞するようになっている。
【0034】
さらに、暖気吸込シャッタ43a1,43b1と暖気吐出シャッタ46a1,46b1の組と、冷気吸込シャッタ44a1,44b1と冷気吐出シャッタ45a1,45b1の組とにおいても連係して開閉するようになっている。すなわち、暖気吸込シャッタ43a1,43b1が暖気吸込口43a,43bを閉塞するとともに暖気吐出シャッタ46a1,46b1が暖気吐出口46a,46bを閉塞した場合に冷気吸込シャッタ44a1,44b1が冷気吸込口44a,44bを開放するとともに冷気吐出シャッタ45a1,45b1が冷気吐出口45a,45bを開放する一方、冷気吸込シャッタ44a1,44b1が冷気吸込口44a,44bを閉塞するとともに冷気吐出シャッタ45a1,45b1が冷気吐出口45a,45bを閉塞した場合に暖気吸込シャッタ43a1,43b1が暖気吸込口43a,43bを開放するとともに暖気吐出シャッタ46a1,46b1が暖気吐出口46a,46bを開放するようになっている。
【0035】
したがって、左庫4aを冷却庫とする場合には、暖気吸込口43aを閉塞するとともに暖気吐出口46aを閉塞する一方、冷気吸込口44aを開放するとともに冷気吐出口45aを開放することになる。また、左庫4aを加温庫とする場合には、冷気吸込口44aを閉塞するとともに冷気吐出口45aを閉塞する一方、暖気吸込口43aを開放するとともに暖気吐出口46aを開放することになる。
【0036】
同様に、中庫4bを冷却庫とする場合には、暖気吸込口43bを閉塞するとともに暖気吐出口46bを閉塞する一方、冷気吸込口44bを開放するとともに冷気吐出口45bを開放することになる。また、中庫4bを加温庫とする場合には、冷気吸込口44bを閉塞するとともに冷気吐出口45bを閉塞する一方、暖気吸込口43aを開放するとともに暖気吐出口46bを開放することになる。
【0037】
商品収納庫4a,4b,4cのうち、右庫4cの仕切板3(床板)には、中程奥方に冷気吸込口44cが開口する一方、中程前方に冷気吐出口45cが開口している。冷気吸込口44cは、左庫4a及び中庫4bと同様に、庫内風胴42cの底面となる部位に開口しており、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は、背面ダクト41の吐出口(図示せず)、庫内風胴42cを経由して冷気吸込口44cから吸い込まれるようになっている。一方、冷気吐出口45cは、庫内風胴42cの底面となる部位よりも前方となる部位に開口しており、冷気吐出口45cから吐出した空気は庫内風胴42cに直接流入することなく右庫4cの庫内に供給されるようになっている。
【0038】
なお、右庫4cは冷却専用庫であるので、冷気吸込口44c、冷気吐出口45cを閉塞する必要がなく、冷気吸込口44c、冷気吐出口45cを常時開放しておくので、冷気吸込口44cを閉塞する冷気吸込シャッタ、冷気吐出口45cを閉塞する冷気吐出シャッタを右庫4cに設ける必要はない。
【0039】
各商品収納庫4a,4b,4cの内部であって、商品収納ラック6の下方となる部位には、商品搬出シュータ47がそれぞれ取り付けてある。商品搬出シュータ47は、商品収納ラック6から搬出された商品を商品収納庫4a,4b,4cの奥方から前方に搬送するためのもので、奥方から前方に向けて漸次低くなるように傾斜する態様で取り付けてある。
【0040】
商品搬出シュータ47の下面には、それぞれ庫内ファン48が取り付けてある。庫内ファン48は冷気吐出口45a,45b,45cあるいは暖気吐出口46a,46bから空気を吐出させ、商品収納ラック6に収納された商品に空気(冷気あるいは暖気)を供給するためのものである。各商品収納庫4a,4b,4cに取り付けた庫内ファン48は、商品収納庫4a,4b,4cの庫内に配設した温度センサ(図示せず)に基づいて、オン・オフ制御することによって商品収納庫4a,4b,4cの温度制御を行うようになっている。
【0041】
図4及び図5に示すように、機械室5の上部、すなわち仕切板3の下面には断熱材によって四つの連絡通路(ダクト)5a,5b,5c,5dが画成してある。連絡通路(ダクト)は商品収納庫4a,4b,4cの並設方向に延在し、機械室5の奥方から前方に向けて順番に暖気吸込ダクト5a、冷気吸込ダクト5b、冷気吐出ダクト5c、暖気吐出ダクト5dを構成する。
【0042】
暖気吸込ダクト5aは、一方が商品収納庫4a,4bに開口するとともに他方が後述する加熱熱交換器83を収容した加熱ダクト81に開口するものである。具体的には、暖気吸込ダクト5aの一方(吸込側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b)の暖気吸込口43a,43bに開口する一方、暖気吸込ダクト5aの他方(吐出側)が加熱熱交換器83を収容した加熱ダクト81に開口するようになっている。
【0043】
冷気吸込ダクト5bは、一方が商品収納庫4a,4b,4cに開口するとともに他方が後述する冷却熱交換器97を収容した冷却ダクト91に開口するものである。具体的には、冷気吸込ダクト5bの一方(吸込側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)の冷気吸込口44a,44b,44cに開口する一方、冷気吸込ダクト5bの他方(吐出側)が冷却熱交換器97を収容した冷却ダクト91に開口するようになっている。
【0044】
冷気吐出ダクト5cは、一方が冷却ダクト91に開口するとともに他方が商品収納庫4a,4b,4cに開口するものである。具体的には、冷気吐出ダクト5cの一方(吸込側)が冷却ダクト91に開口する一方、冷気吐出ダクト5cの他方(吐出側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)の冷気吐出口45a,45b,45cに開口するようになっている。
【0045】
暖気吐出ダクト5dは、一方が加熱ダクト81に開口するととともに他方が商品収納庫4a,4bに開口するものである。具体的には、暖気吐出ダクト5dの一方(吸込側)が加熱ダクト81に開口する一方、暖気吐出ダクト5dの他方(吐出側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b)の暖気吐出口46a,46bに開口するようになっている。
【0046】
機械室5には熱交換ユニット7が着脱可能に取り付けてある。熱交換ユニット7は、図6に示すように、加熱部8と冷却部9とを有している。加熱部8は、熱交換ユニット7の正面向かって左側に位置し、断熱材によって画成された箱状の加熱ダクト81を有している。
【0047】
図6に示すように、加熱ダクト81は、上面が開口しており、暖気吸込ダクト5aの吐出側と暖気吐出ダクト5dの吸込側とが開口している。したがって、暖気吸込口43a,43bが開放されている商品収納庫から加熱ダクト81に空気が供給され、その後、加熱ダクト81から暖気吐出口46a,46bが開放されている商品収納庫に空気が供給されることになる。
【0048】
図7に示すように、加熱ダクト81には、圧縮機82の少なくとも一部と、加熱熱交換器83とが収容してある。圧縮機82は、冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものであって、例えば、二回に分けて圧縮作用を行う二段式圧縮機が採用されている。二段式圧縮機は、第一圧縮機82aと第二圧縮機82bとから構成され、第一圧縮機82aと第二圧縮機82bとの間に中間熱交換器84(第一凝縮器)が介在するようになっている。
【0049】
中間熱交換器84は、冷媒を凝縮させることにより、中間熱交換器84の周囲から凝縮熱を放熱し、中間熱交換器84の周囲の空気を加熱するように構成されている。中間熱交換器84は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの凝縮器で構成される。
【0050】
圧縮機82(第二圧縮機82b)には、加熱熱交換器83が接続されている。加熱熱交換器83は、冷媒を凝縮させることにより、加熱熱交換器の凝縮熱を放熱し、加熱熱交換器83の周囲の空気を加熱するように構成されている。なお、本実施の形態のように冷媒に二酸化炭素(CO2冷媒)を用いた場合には、液化することなく超臨界状態となることもある。加熱熱交換器83は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの凝縮器で構成される。
【0051】
加熱熱交換器83には、ガスクーラ85(第二凝縮器)が接続されている。すなわち、加熱熱交換器83は、圧縮機82とガスクーラ85との間に接続されている。ガスクーラ85は、加熱部8と冷却部9との間、すなわち、通風部に配設され、加熱熱交換器83と同様に、冷媒を凝縮させることにより、自動販売機の外部の空気に凝縮熱を放熱するように構成されている。ガスクーラ85は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの凝縮器で構成される。
【0052】
また、ガスクーラ85と中間熱交換器84の下流側には、ガスクーラファン86が設けてある。ガスクーラファン86は、熱交換ユニット7の前方側から後方側に空気(外気)を送出するためのものであって、ガスクーラファン86により送出された空気は、ガスクーラ85の周囲を通過した後、中間熱交換器84の周囲を通過し、その後加熱ダクト81の右方側を通過することになる。これにより、加熱ダクト81から露出した圧縮機82の一部がガスクーラ85とともに外気の通過域に露出するようになっている。
【0053】
なお、加熱熱交換器83のほかに、圧縮機82の少なくとも一部を加熱ダクト81に収容するのは、加熱熱交換器83において放熱される熱のほかに、圧縮機82において発生する熱を回収するためである。
【0054】
また、加熱ダクト81には、さらに、ヒータ87が収容してある。ヒータ87は、加熱熱交換器83の手前となる位置に配設してある。ヒータ87は、庫内ファン48を稼働させた場合に、加熱熱交換器83の下流側に位置することになり、加熱ダクト81から暖気吐出口46a,46bが開放されている商品収容庫にヒータ87で温められた空気が供給されることになる。
【0055】
冷却部9は、加熱部8から離隔するように、熱交換ユニット7の正面向かって右側に位置し、上面が開口した箱状の冷却ダクト91と、冷却ダクト91の下方に配設された蒸発皿92とを有している。
【0056】
図6に示すように、冷却ダクト91は、断熱材により画成されており、冷気吸込ダクト5bの吐出側と冷気吐出ダクト5cの吸込側とが開口している。したがって、冷気吸込口44a,44b,44cが開放されている商品収納庫から冷却ダクト91に空気が供給され、その後、冷却ダクト91から冷気吐出口45a,45b,45cが開放されている商品収納庫に空気が供給されることになる。
【0057】
さらに、底壁の中央部分には前方及び後方から中央に向けて漸次低くなる態様で水受皿93が形成してある。水受皿93の最も低くなる部分には、ドレーン93aが設けてあり、水受皿93に溜まったドレーン水は、ドレーン93aを介して蒸発皿92に滴下するようになっている。
【0058】
図7に示すように、冷却ダクト91には、内部熱交換器94、電子膨張弁95、電磁弁96、冷却熱交換器97が収容してある。これら内部熱交換器94、電子膨張弁95、電磁弁96、冷却熱交換器97は、加熱ダクト81に収容した圧縮機82、加熱熱交換器83のほか、中間熱交換器84、ガスクーラ85とともに冷凍サイクルを構成する。本実施の形態では、このように構成した冷凍サイクルを循環する冷媒として、不燃性、安全性、耐腐食性を有し、さらに、オゾン層への影響が少ない二酸化炭素(CO2冷媒)を用いている。
【0059】
内部熱交換器94は、ガスクーラ85から電子膨張弁95に流れる高温の冷媒と冷却熱交換器97から圧縮機82に流れる低温の冷媒との間で熱交換を行うものであって、高温の冷媒が流れる冷媒管路94aの周りに低温の冷媒が流れる冷媒管路94bが重なるように配設してある。すなわち、内部熱交換器94の内部において、ガスクーラ85から電子膨張弁95に冷媒が流れる冷媒管路94aと、冷却熱交換器97から圧縮機82に冷媒が流れる冷媒管路94bとが互いに熱交換可能な距離で非接触向流する態様で配設されている。
【0060】
電子膨張弁95は、冷媒管路を介して内部熱交換器94に接続され、ガスクーラ85において放熱された冷媒を断熱膨張させるものであって、断熱膨張された冷媒は減圧され低温低圧となる。
【0061】
電磁弁96は、冷媒管路を介して電子膨張弁95に接続され、開成状態において冷媒を冷却熱交換器97に吐出させる一方、閉成状態において冷媒を遮断させるようになっている。
【0062】
冷却熱交換器97は、冷媒管路を介して電磁弁96に接続され、低温低圧の状態に断熱膨張された冷媒を蒸発させることにより、冷却熱交換器97の周囲から蒸発熱を吸熱し、冷却熱交換器97の周囲の空気を冷却するものであって、冷却ダクト91を画成する断熱壁から離隔するように配設してある。冷却熱交換器97は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの蒸発器で構成してある。
【0063】
なお、冷却ダクト91において、内部熱交換器94と冷却熱交換器97との間には、遮風部材91aが配設してある。遮風部材91aは冷却熱交換器97の周囲から内部熱交換器94の周囲への空気の流入を抑制するためのもので、遮風部材91aの下方において、冷却ダクト91の内部は連通している。
【0064】
蒸発皿92は、滴下したドレーン水を溜めるとともにドレーン水の蒸発を促進させるためのもので、蒸発皿92には不織布を折り畳んだ蒸発シート98が配設してある。この蒸発シート98は、ドレーン水を吸い上げ、ドレーン水の蒸発を促進するようになっている。
【0065】
上述した熱交換ユニットによれば、圧縮機82と中間熱交換器84とにおいて冷媒が圧縮されて高温高圧の状態となる。具体的には、第一圧縮機82aにおける一回目(最初)の圧縮作用により圧縮された冷媒は、中間熱交換器84において冷却された後に、第二圧縮機82bに供給される。したがって、第一圧縮機82aから第二圧縮機82bの間、すなわち、中間熱交換器84において冷媒が冷却されるので、低消費電力で冷媒は所望の高温高圧の状態に圧縮される。
【0066】
圧縮機82と中間熱交換器84とにおいて圧縮されて高温高圧の状態となった冷媒は、加熱熱交換器83に吐出され、加熱熱交換器83において放熱し、加熱熱交換器83の周囲の空気を加熱する。
【0067】
加熱熱交換器83において放熱された冷媒は、ガスクーラ85に吐出され、ガスクーラ85において更に外部の空気に放熱(排熱)する。なお、加熱熱交換器83は、圧縮機82とガスクーラ85との間に接続されているので、加熱熱交換器83の冷媒温度が高く維持される。ガスクーラ85で放熱された冷媒は、内部熱交換器94を経由して電子膨張弁95に吐出される。内部熱交換器94ではガスクーラ85から電子膨張弁95に吐出する高圧の冷媒と冷却熱交換器97から圧縮機82に吐出する低圧の冷媒との間で熱交換が行われる。
【0068】
電子膨張弁95に吐出された冷媒は、減圧されて断熱膨張し、低温低圧の状態となる。低温低圧の状態の冷媒は、開成状態にある電磁弁96を経由して冷却熱交換器97に吐出することになる。
【0069】
電子膨張弁95において低温低圧の状態となった冷媒は、冷却熱交換器97において蒸発されて気化する。このとき、冷却熱交換器97の周囲から吸熱し、冷却熱交換器97の周囲の空気を冷却する。
【0070】
このように構成された熱交換ユニット7には、左右一対となるポップアップハンドル(図示せず)が設けてある。ポップアップハンドルは、機械室5に収容した熱交換ユニット7をポップアップ(上昇)させるためのもので、ポップアップハンドルを互いに反対方向(左側のポップアップハンドルは反時計回り、右側のポップアップハンドルが時計回り)となるように回動させた場合に、熱交換ユニット7がポップアップ(上昇)するようになっている。
【0071】
このように構成された熱交換ユニット7は、機械室5に収容された後、ポップアップハンドルが互いに反対方向(左側のポップアップハンドルは反時計回り、右側のポップアップハンドルが時計回り)となるように回動させることにより、熱交換ユニット7をポップアップ(上昇)させると、冷却ダクト91の側面が機械室5(本体キャビネット1)の内壁面から離隔した状態で、機械室5に熱交換ユニット7が取り付けられる。そして、暖気吸込ダクト5aの他方(吐出側)と暖気吐出ダクト5dの一方(吸込側)が加熱ダクト81に開口するとともに、冷気吸込ダクト5bの他方(吐出側)と冷気吐出ダクト5cの一方(吸込側)が冷却ダクト91に開口する。なお、暖気吸込ダクト5a及び暖気吐出ダクト5dと加熱ダクト81の上面開口との間、冷気吸込ダクト5b及び冷気吐出ダクト5cと冷却ダクト91の開口とは密着し、熱交換ユニット7と暖気吸込ダクト5a、冷気吸込ダクト5b、冷気吐出ダクト5c、暖気吐出ダクト5dとの間で空気が漏れることはない。
【0072】
図8に示すように、上述した本発明の実施の形態である自動販売機において、全ての商品収納庫4a,4b,4cにおいて商品を冷やす場合、すなわち、左庫4a、中庫4b、右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「CCCモード」という)、左庫4a及び中庫4bの暖気吸込口43a,43bと暖気吐出口46a,46bを閉塞するとともに、左庫4a及び中庫4bの冷気吸込口44a,44bと冷気吐出口45a,45bを開放する。
【0073】
そして、商品収納庫の各庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、8°CでON,5°CでOFF)となるまで、庫内ファン48をオン・オフ制御する。すると、庫内ファン48がオンとなった商品収納庫に冷却ダクト91で冷やされた空気が循環することになり、左庫4a、中庫4b、右庫4cの全てにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに庫内温度が下降し、庫内ファン48をオフすると時間の経過とともに庫内温度が上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度内に保たれる。なお、最初に中庫4bの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、左庫4aと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達する。このため、中庫4bの庫内ファン48がオフになった後に、左庫4aの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになる。
【0074】
なお、ガスクーラファン86を駆動することにより、自動販売機の前方から外気が取り込まれ、ガスクーラ85の周囲を通過した後、加熱ダクト81と冷却ダクト91との間を通過する。そして、ガスクーラ85の周囲を通過した外気は、中間熱交換器84の周囲を通過した後、加熱ダクト81の周囲を通過して自動販売機の後方側に放出される。したがって、ガスクーラファン86を駆動すれば、ガスクーラ85、中間熱交換器84、圧縮機82の熱が外部へ放熱され、冷凍サイクルを高効率で運転することができる。
【0075】
一方、左庫4aにおいて商品を温め、中庫4b及び右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「HCCモード」という)、左庫4aの冷気吸込口44aと冷気吐出口45aとを閉塞する一方、左庫4aの暖気吸込口43aと暖気吐出口46aを開放するとともに、中庫4bの暖気吸込口43bと暖気吐出口46bとを閉塞する一方、中庫4bの冷気吸込口44bと冷気吐出口45bを開放する。
【0076】
そして、商品収納庫の各庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、左庫が50°CでON,55°CでOFF、中庫及び右庫が8°Cでオン,5°CでOFF)となるまで、庫内ファン48をオン・オフ制御する。すると、庫内ファン48がオンとなった左庫4aに加熱ダクト81で温められた空気が循環することになり、左庫4aにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった中庫4b及び右庫4cに冷却ダクト91で冷やされた空気が循環することになり、中庫4b及び右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに左庫4aは庫内温度が上昇し、中庫4b及び右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると左庫4aの庫内温度は下降し、中庫4b及び右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度内に保たれる。なお、最初に右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、左庫4a、中庫4bの順に庫内温度が設定温度に到達する。このため、右庫4cの庫内ファン48、左庫4aの庫内ファン48の順にオフになった後、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
【0077】
なお、自動販売機をHCCモードで稼働する場合には、加熱ダクト81における加熱と冷却ダクト91における冷却を同時に開始し、その後、加熱ダクト81における加熱を中断する一方、冷却ダクト91におけると冷却を継続するように制御する。
【0078】
他方、左庫4a及び中庫4bにおいて商品を温め、右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「HHCモード」という)、左庫4a及び中庫4bの冷気吸込口44a,44bと冷気吐出口45a,45bとを閉塞する一方、左庫4a及び中庫4bの暖気吸込口43a,43bと暖気吐出口46a,46bを開放する。
【0079】
そして、商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、左庫及び中庫が50°CでON,55°CでOFF、右庫が8°CでON,5°CでOFF)となるまで庫内ファン48をオン・オフ制御する。すると、庫内ファン48がオンとなった左庫4a及び中庫4bに加熱ダクト81で温められた空気が循環することになり、左庫4a及び中庫4bにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった右庫4cに冷却ダクト91で冷やされた空気が循環することになり、右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに左庫4a及び中庫4bは庫内温度が上昇し、右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると左庫4a及び中庫4bの庫内温度は下降し、右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度内に保たれる。なお、最初に中庫4bと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、左庫4aの庫内温度が設定温度に到達する。このため、中庫4bの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになった後に、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
【0080】
なお、自動販売機をHHCモードで稼働する場合には、加熱ダクト81における加熱と冷却ダクト91における冷却を同時に開始し、その後、冷却ダクト91における冷却を中断する一方、加熱ダクト81における加熱を継続するように制御する(加熱単独稼働となる)。このとき、圧縮機82を停止させる一方、ヒータ87を稼働する。したがって、冷却ダクト91において余剰に蒸発熱を吸熱することがなく、冷やされた空気を自動販売機の外部に排出する必要はない。
【0081】
また、中庫4bにおいて商品を温め、左庫4a及び右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「CHCモード」という)、左庫4aの暖気吸込口43aと暖気吐出口46aとを閉塞する一方、左庫4aの冷気吸込口44aと冷気吐出口45aを開放するとともに、中庫4bの冷気吸込口44bと冷気吐出口45bとを閉塞する一方、中庫4bの暖気吸込口43bと暖気吐出口46bを開放する。
【0082】
そして、商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、中庫が50°CでON,55°CでOFF、左庫及び右庫が8°CでON,5°CでOFF)となるまで庫内ファン48をオン・オフ制御する。すると、庫内ファン48がオンとなった中庫4bに加熱ダクト81で温められた空気が循環することになり、中庫4bにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった左庫4a及び右庫4cに冷却ダクト91で冷やされた空気が循環することになり、左庫4a及び右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに中庫4bは庫内温度が上昇し、左庫4a及び右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると中庫4bの庫内温度は下降し、左庫4a及び右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度内に保たれる。なお、最初に左庫4aと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、中庫4bの庫内温度が設定温度に到達する。このため、左庫4aの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになった後に、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
【0083】
なお、自動販売機をCHCモードで稼働する場合には、加熱ダクト81における加熱と冷却ダクト91における冷却を同時に開始し、その後、冷却ダクト91における冷却を中断する一方、加熱ダクト81における加熱を継続するように制御する(加熱単独稼働となる)。このとき、圧縮機82を停止させる一方、ヒータ87を稼働する。したがって、冷却ダクト91において余剰に蒸発熱を吸熱することがなく、冷やされた空気を自動販売機の外部に排出する必要はない。
【0084】
上述した本発明の実施の形態である自動販売機は、商品収納庫に空気を供給する加熱ダクト81に収容され、圧縮機82において圧縮された冷媒と加熱ダクト81の内部の空気との間で熱交換することにより、加熱ダクト81の内部の空気を加熱する加熱熱交換器83と、加熱熱交換器83に接続され、外部の空気に凝縮熱を排出するガスクーラ85とを備えたので、加熱熱交換器83において熱交換される熱量が余剰となる事態が抑制され、温めた商品を収納する商品収納庫の内部を循環する空気を加熱熱交換器83によって効率的に加熱することができる。このため、加熱熱交換器83において外部の空気との間で熱交換する必要がなく、加熱ダクト81の内部に外部の空気を取り込むこともない。この結果、自動販売機の外部から商品収納庫4a,4b,4cにほこりなどを取り込む等の好ましくない事態が生じることもない。
【0085】
また、温めた商品を収納する商品収納庫に供給する空気を加熱するヒータ87を加熱ダクト81に備え、自動販売機の外気温度が予め定めた温度よりも低下した場合にヒータ87を稼働するので、冬期のように外気温が低い場合であっても迅速に商品を温めることができる。さらに、一の商品収納庫に冷却された空気の供給を停止する一方、他の商品収納庫に温められた空気の供給を継続する場合(加熱単独稼働となる場合)に、ヒータ87を稼働制御するので、効率的に商品を温めることができる。
【0086】
また、加熱熱交換器83は、圧縮機82とガスクーラ85との間に接続されているので、加熱熱交換器83の冷媒温度が高く維持される結果、高効率で商品を加熱することができる。
【0087】
また、冷却ダクト91の側面が機械室5(本体キャビネット1)の内壁面から離隔した状態で、機械室5に熱交換ユニット7が取り付けられるので、自動販売機の外部から取り込まれた空気が冷却ダクト91と機械室5との間を流れ、結露が抑制される。
【0088】
上述した実施の形態である自動販売機は、温めた商品を収納する商品収納庫に供給する空気を加熱するヒータ87を加熱ダクト81に備え、一の商品収納庫に冷却された空気の供給を停止する一方、他の商品収納庫に温められた空気の供給を継続する場合(加熱単独稼働となる場合)に、ヒータ87を稼働制御することとしたが、加熱ダクト81にヒータ87を備える代わりに、図9に示すように、電磁弁196を介して冷却排熱用熱交換器197を接続してもよい。冷却排熱用熱交換器197は、外部の空気に蒸発熱を排出するものであって、冷却ダクト91の外部に配設してある。この自動販売機において、上述した加熱単独稼働となる場合には、冷却排熱用熱交換器197にのみ冷媒が流入するように電磁弁96,196を開閉することにより、外部の空気に蒸発熱を排出すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態である自動販売機の正面図であって、外扉と内扉とを外した状態を示すものである。
【図2】図1においてII−II線で縦断した自動販売機を示す縦断側面図である。
【図3】図1においてIII−III線で縦断した自動販売機を示す縦断側面図である。
【図4】冷気の循環を説明するための斜視図である。
【図5】暖気の循環を説明するための斜視図である。
【図6】図1に示した自動販売機に着脱可能に取り付ける熱交換ユニットを示す斜視図である。
【図7】図6に示した熱交換ユニットの冷媒回路を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態である自動販売機の稼働状態を説明する図である。
【図9】本発明の変形した実施の形態である自動販売機の熱交換ユニットの冷媒回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0090】
1 本体キャビネット
2 外扉
3 仕切板
4 商品収容室
4a 左庫(商品収納庫)
4b 中庫(商品収納庫)
4c 右庫(商品収納庫)
40 断熱仕切板
41 背面ダクト
42a,42b,42c 庫内風胴
43a,43b 暖気吸込口
43a1,43b1 暖気吸込シャッタ
44a,44b,44c 冷気吸込口
44a1,44b1 冷気吸込シャッタ
45a,45b,45c 冷気吐出口
45a1,45b1 冷気吐出シャッタ
46a,46b 暖気吐出口
46a1,46b1 暖気吐出シャッタ
47 商品搬出シュータ
48 庫内ファン
5 機械室
5a 暖気吸込ダクト
5b 冷気吸込ダクト
5c 冷気吐出ダクト
5d 暖気吐出ダクト
6 商品収納ラック
7 熱交換ユニット
8 加熱部
81 加熱ダクト
82 圧縮機
82a 第一圧縮機
82b 第二圧縮機
83 加熱熱交換器
84 中間熱交換器
85 ガスクーラ
86 ガスクーラファン
87 ヒータ
9 冷却部
91 冷却ダクト
91a 遮風部材
92 蒸発皿
93 水受皿
93a ドレーン
94 内部熱交換器
94a 冷媒管路
94b 冷媒管路
95 電子膨張弁
96 電磁弁
97 冷却熱交換器
98 蒸発シート
196 電磁弁
197 冷却排熱用熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収納した冷却収納庫に空気を供給する冷却ダクトに収容され、冷却ダクトの内部の空気と冷媒との間で熱交換することにより、冷却ダクトの内部の空気を冷却する冷却熱交換器と、
冷却熱交換器に接続され、冷却熱交換器において熱交換した冷媒を圧縮する圧縮機と、
商品を収容した加熱収納庫に空気を供給する加熱ダクトに収容され、圧縮機において圧縮された冷媒と加熱ダクトの内部の空気との間で熱交換することにより、加熱ダクトの内部の空気を加熱する加熱熱交換器と、
前記加熱熱交換器に接続され、外部の空気に凝縮熱を排出するガスクーラと
を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記圧縮機の少なくとも一部が前記加熱ダクトに収容されていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
加熱収納庫に供給する空気を加熱するヒータを前記加熱ダクトに備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記加熱ダクトに流入する空気の上流に前記圧縮機を配設する一方、下流に前記ヒータを配設したことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記加熱熱交換器は、前記圧縮機とガスクーラとの間に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項6】
前記冷却ダクトを本体キャビネットの内壁面から離隔させた状態で収容したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項7】
外部の空気に蒸発熱を排出する冷却廃熱用熱交換器を前記冷却ダクトの外部に備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−269148(P2008−269148A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109465(P2007−109465)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】