説明

自動販売機

【課題】電磁弁よりの異音を抑制し、低コストで信頼性の高い圧縮機の運転ができる自動販売機を提供する。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機と、庫外に設け冷媒を凝縮する凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張手段と、膨張手段より膨張した冷媒を分配する分配器と、該分配器より冷却電磁弁を介して庫内に設け冷媒を蒸発する複数の庫内熱交換器とで冷却循環回路を構成するととTもに、冷却循環回路と、圧縮機から加熱電磁弁を介して圧縮された冷媒を凝縮する庫内熱交換器と、凝縮された冷媒を膨張させる第2の膨張手段と、にてヒートポンプ運転を行う加熱冷却循環回路を構成し、圧縮機、冷却電磁弁、加熱電磁弁を制御する制御装置を有する自動販売機において、制御装置は、ヒートポンプ運転停止時に開成状態にある加熱電磁弁の閉止時期を、圧縮機が停止した後、加熱電磁弁の出入口部の圧力差が略平衡する時期に定めたことにより電磁弁よりの異音を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶、ビン、パック、ペットボトル等の容器に入れた飲料等の商品を冷媒回路にて冷却または加熱して販売に供する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化に対して二酸化炭素の排出量削減が課題となっており、自動販売機も省エネ型が開発されている。その1方式として従来は排熱していた凝縮器の熱を庫内の加熱に利用するヒートポンプ方式の自動販売機が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された自動販売機は、図8にて示すように、自動販売機の庫内はホット/コールド切替室1z、コールド専用室2z、第二のコールド専用室3zに画成され、ホット/コールド切替室1z内に切替室蒸発器20zと切替室凝縮器21zが設置され、コールド専用室2z内に蒸発器5zが設置され、第二のコールド専用室3z内に第二の蒸発器6zが設置され、貯蔵室の外には室外熱交換器7zおよび圧縮機8zが設置されている。
【0004】
また、膨張弁A9z、膨張弁B10z、膨張弁C11z、抵抗器22zはそれぞれ通過する冷媒の圧力を低下するとともに閉塞機能を有したものであり、開閉弁A12z、開閉弁B13z、開閉弁E23zはそれぞれ冷媒の流れの有無を制御するものである。開閉弁A12z、開閉弁B13z、開閉弁E23zは, 図9で示されるような通常低コスト型の直動型電磁弁80が使用されている。直動型電磁弁80は、同図で示すように電磁弁本体81の内部に円筒形状のシリンダ81aを有し、シリンダ81aの側部端面側に入口部81b、下面に出口部81cが連結しており、出口部81cの上面周縁部には円錐台形状に弁座81dが形成されている。シリンダ81a内部には、弁座81dと当接する球状の弁体82、弁体82と持着して重力およびバネ84で弁体82を付勢するスプール83が挿入されている。スプール83には、鉄製のアーマチャー85が連結され、アーマチャー85の上部周縁側にソレノイド86が取設されている。
【0005】
かかる構成で、ソレノイド86が無通電状態のときは、図9(a)で示すようにバネ84とスプール83の重力にて弁体82を弁座81dに当接させることにより、入口部81bと出口部81cの連通を封止している。ソレノイド86が通電状態のときは、図9(b)で示すようにアーマチャー85がソレノイド86の磁力により上方へ吸引移動されるので、弁体82と弁座81dの間に隙間が形成され、入口部81bと出口部81cが連通され、冷媒が通過可能となる。
【0006】
さて、図8にてホット/コールド切替室1zを加温する場合、開閉弁A12zと開閉弁E23zおよび膨張弁A9zを閉止し、開閉弁B13zと抵抗器22zを開成として、圧縮機8zを駆動する。圧縮機8zから吐出された冷媒は、切替室凝縮器21zで一部が凝縮し、再度室外熱交換器7zで凝縮された後、それぞれ膨張弁B10z、膨張弁C11zで減圧されて、蒸発器5z、第二の蒸発器6zへ供給される。そして、蒸発器5z、第二の蒸発器6zで蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流するヒートポンプ運転が行われる。庫内の加熱温度が適温になり、ヒートポンプ運転を停止するときに、圧縮機8zを停止させてから、各開閉弁を閉止することになる。
【0007】
【特許文献1】特開2005-227833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この種の自動販売機は、ヒートポンプ運転を停止するときに、圧縮機を停止させてから、すぐに各開閉弁B13z,開閉弁23zを同時に閉止すると、切替室凝縮器21zの入口側の配管は庫外に配設されているので温度が低下をし、切替室凝縮器21zの出口側の配管は庫内側で高温に保持されることになる。切替室凝縮器21zの入口側配管内の冷媒は、温度が下がり圧力が低下をするため、開閉弁B13zの出口から逆圧が発生をする。逆圧が発生をすると図9(b)と同じ態様で弁体82を押し上げ、弁座81dとの間に隙間が形成される。隙間が形成されると出口側と入口側が連通をして同圧となるため、再び弁体82が弁座81と当接をして通路を閉鎖する。すると、再び、温度差による逆圧が形成されるので弁体82を押し上げ、押し戻すという振動が繰りかえされる。この現象は、温度差(圧力差)が小さくなるまで継続し、弁体82が弁座81に衝突する際に生じる耳障りな音(以下、異音という)を発生続けるという虞があった。これを防ぐために逆圧に強い大型の電磁弁を使用することが考えられるが、それではコストが上昇をする。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、上記の課題を解決して、電磁弁よりの異音を抑制し、低コストで信頼性の高い圧縮機の運転ができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、複数の冷却加熱兼用の商品収納庫を有し、冷却加熱の運転モードにより選択的に商品収納庫を冷却もしくは加熱する自動販売機であって、冷媒を圧縮する圧縮機と、庫外に設け冷媒を凝縮する凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張手段と、膨張手段より膨張した冷媒を分配する分配器と、該分配器より冷却電磁弁を介して庫内に設け冷媒を蒸発する複数の庫内熱交換器と、にて冷却循環回路を構成するとともに、前記冷却循環回路と、前記圧縮機から加熱電磁弁を介して圧縮された冷媒を凝縮するところの庫内に設けられた庫内熱交換器と、凝縮された冷媒を膨張させる第2の膨張手段と、にてヒートポンプ運転を行う加熱冷却循環回路を構成し、前記圧縮機、前記冷却電磁弁、前記加熱電磁弁を制御する制御装置を有する自動販売機において、前記制御装置は、ヒートポンプ運転停止時に開成状態にある加熱電磁弁の閉止時期を、前記圧縮機が停止した後、前記加熱電磁弁の出入口部の圧力差が略平衡する時期に定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1の自動販売機は、ヒートポンプ運転停止時に開成状態にある加熱電磁弁の閉止時期を、前記圧縮機が停止した後、前記加熱電磁弁の出入口部の圧力差が略平衡する時期に定めたことにより、加熱電磁弁の出入口間圧力差が小さくなる結果、上述のような逆圧による電磁弁からの異音の発生を低コストで抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
まず、本発明の実施例に係る自動販売機について説明する。なお、図1は本発明の実施例に係る自動販売機を示す斜視図、図2は図1に示した自動販売機の断面図であり、図3は冷媒回路図である。図4は制御装置のブロック図を示し、図5は3室を全て冷却する冷却運転における冷媒の流れを示す回路図であり、図6は1室を冷却し、2室を加熱するヒートポンプ運転における冷媒の流れを示す回路図である。図7は、ヒートポンプ運転の停止時におけるタイムチャートである。
【0014】
これら図において、自動販売機は、前面が開口した直方状の断熱体として形成された本体キャビネット10と、その前面に設けられた外扉20および内扉30と、本体キャビネット10の内部を上下2段に底板11にて区画形成し、上部を例えば2つの断熱仕切板40wによって仕切られた3つの独立した商品収納庫40a、40b、40cと、下部に商品収納庫40a、40b、40cを冷却もしくは加熱する冷却/加熱ユニット60を収納する機械室50と、外扉20の内側に配設され、商品収納庫40a、40b、40c内の温度センサTa、Tb、Tcにより自動販売機の冷却、加熱運転などを制御する制御手段90と、を有して構成されている。
【0015】
より詳細に説明すると、外扉20は、本体キャビネット10の前面開口を開閉するためのものであり、図には明示していないが、この外扉20の前面には、販売する商品の見本を展示する商品展示室、販売する商品を選択するための選択ボタン、貨幣を投入するための貨幣投入口、払い出された商品を取り出すための商品取出口21等々、商品の販売に必要となる構成が配置してある。
【0016】
内扉30は、商品収納庫40a、40b、40cの前面を開閉し、内部の商品を保温するものであり、上下2段に分割され内部に断熱体を有する箱型形状の構造体である。上側の内扉30aは、一端を外扉20に枢軸し、他端を外扉20に係着して、外扉20の開放と同時に上側の内扉30aを開放させて、商品の補充を容易にするものである。下側の内扉30bは、一端を本体キャビネット10に枢軸し、他端を本体キャビネット10に不図示の掛金にて掛着して、外扉20を開放したときには、閉止した状態であり、商品収納庫40a、40b、40c内の冷気もしくは暖気が流出することを防ぎ、メンテナンス時など必要に応じて開放できるものである。
【0017】
商品収納庫40a、40b、40cは、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものであり、その収納庫の容量は商品収納庫40a、40c、40bの順番に大きな態様で配分されている。本実施例は、商品収納庫40aを冷却専用とし、商品収納庫40b、40cを冷却加熱兼用としている。その商品収納庫40a、40b、40cには、それぞれ、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納し、販売信号により1個ずつ商品を排出するための商品搬出機構を備えた商品収納ラックR、排出された商品Sを内扉30bに取設された搬出扉31を介して外扉の販売口21へ搬出する商品搬出シュート42を有している。
【0018】
冷却/加熱ユニット60は、機械室50内に圧縮機61、凝縮器62、膨張器(膨張手段)63、79、アキュムレータ69、補助熱交換器76を取設し、底板11を跨いで庫内に庫内熱交換器65a、65b、65cを有して各機器を冷媒配管で接続されることにより構成されている。冷却/加熱ユニット60は、冷却加熱の運転モードに応じて、庫内に冷風または温風を循環させて商品収納ラックR内の商品Sを冷却または加熱するものである。
【0019】
冷却加熱用の圧縮機61は、冷媒を圧縮して回路内を循環させるためのもので、フロン冷媒使用の場合、冷却運転時には、蒸発温度が約−10℃、凝縮温度が約40℃で使用され、加熱運転時には、蒸発温度が約−10℃、凝縮温度が約70℃で使用される。
【0020】
凝縮器62は、フィンチューブ型の熱交換器であり、冷却運転時に不要な凝縮熱を排出するためのものである。凝縮器62の後部にはファン62fが取設され、ファン62fは機械室50の前面開口部より空気を吸入し、凝縮器62による凝縮熱を吸入するとともに、圧縮機61の排熱を吸収して、機械室50の背面開口部へ排気するためのものである。
【0021】
膨張器63は、冷却運転時に通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものであり、たとえばキャピラリ、温度膨張弁、電子膨張弁である。
【0022】
分流器64は、膨張器63で断熱膨張させられた冷媒を庫内熱交換器65a、65b、65cに分配するためのものである。
【0023】
庫内熱交換器65a、65b、65cは、商品収納庫40a、40b、40cを冷却するためのものであり、庫内熱交換器65b、65cは、商品収納庫40b、40cを加熱する第2の庫内熱交換器を兼用している。また、庫内熱交換器65a、65b、65cは、各商品収納庫の下部に取設され、風胴67で囲繞され、その後方にファン65fが取設され、その後方にダクト67dが取設されている。商品収納庫内の冷却と加熱は、庫内熱交換器65a、65b、65cにより冷却もしくは加熱された空気を商品収納庫内の商品Sに送風し、図2中の矢印で示すようにダクト67dより回収することで行われる。
【0024】
アキュムレータ69は、庫内熱交換器65a、65b、65cから蒸発された冷媒を流入し、気液分離させて液冷媒を貯留し、気体冷媒を圧縮機61に戻すための密閉した容器である。また、アキュムレータ69は、回路の冷媒循環に余った冷媒を貯留するための容器でもある。
【0025】
補助熱交換器76は、フィンチューブ型の熱交換器であり、加熱運転時に不要な凝縮熱を排出するためのものである。
【0026】
膨張器79は、加熱運転時に通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものであり、たとえばキャピラリ、温度膨張弁、電子膨張弁である。
【0027】
ヒータ66b、66c(図3参照)は庫内熱交換器65b、65cの前方に取設され、商品収納庫40b、40cの加熱の補助を行うものである。
【0028】
庫内温センサTa、Tb、Tcは、商品収納庫40a、40b、40c内の風胴67の上面に取設され、商品収納庫40a、40b、40cの庫内温度を検知するためのものである。
【0029】
凝縮器電磁弁68は、圧縮機61と凝縮器62間の冷媒通路を開閉するものであり、加熱電磁弁68b、68cは、圧縮機61と庫内熱交換器65b、65c間の圧縮された冷媒の通路を開閉するものである。冷却電磁弁70a,70b,70cは分流器64と庫内熱交換器65a、65b、65c間の膨張された冷媒の通路を開閉するものであり、出口電磁弁72b,72cは、庫内熱交換器65b、65cと圧縮機61と間の蒸発された冷媒の通路を開閉するものである。これらの電磁弁は、すべて図9に示されるような直動型電磁弁の構造である。
【0030】
冷却/加熱ユニット60の冷媒回路構成について図3を用いて詳述する。冷媒回路構成は、庫内を冷却のみを行う冷却循環回路60Aと庫内の冷却加熱を同時に行う(ヒートポンプ運転を行う)加熱冷却循環回路60Bを有している。なお、図中の点線の囲いは、商品収納庫40a、40b、40cを模式的に示している。
【0031】
冷却循環回路60Aは、圧縮機61、凝縮器電磁弁68、凝縮器62、膨張器63を経由して、分流器64に接続し、分流器64より冷却電磁弁70a、70b、70cと逆止弁71b、71cを経由して(冷却電磁弁70aの出口側には逆止弁71はない)庫内熱交換器65a、65b、65cに接続され、庫内熱交換器65aからの配管と、庫内熱交換器65b、65cからの出口電磁弁72b、72cを介した配管とを集合器67にて集合した後アキュムレータ69を経由して圧縮機61に戻る回路である。
【0032】
一方、加熱冷却循環回路60Bには、冷却循環回路60Aに加えて、圧縮機61より凝縮器電磁弁68と並列接続され加熱電磁弁68b、68cに接続する加熱電磁弁入口配管168b、168cと、加熱電磁弁68b、68cより逆止弁71b,71cと庫内熱交換器65b、65cとの間をそれぞれ結合させる加熱電磁弁出口配管165b、165cと、庫内熱交換器65b、65cと逆止弁71,71を介して結合し補助熱交換器76と接続する配管と、補助熱交換器76より膨張器79を経由して分配器64へ接続する配管84とが設けられている。
【0033】
しかして、加熱冷却循環回路60Bは、圧縮機61から加熱電磁弁68b、68cを介し庫内熱交換器65c、65bに接続され、庫内熱交換器65c、65bから逆止弁71,71を介して補助熱交換器76、膨張器79を経由して分配器64に接続され、分流器64から冷却電磁弁70aを介して庫内熱交換器65aに接続され、集合器67、アキュムレータ69を経由して圧縮機61に戻る回路である。
【0034】
冷媒は、臨界圧力内で使用する冷媒、例えばフロン冷媒でR134aを使用している。また、臨界圧力外で使用する冷媒、例えば二酸化炭素冷媒でもよい。
【0035】
制御手段90は、商品収納庫40a、40b、40cを冷却加熱の運転モードにより冷却もしくは加熱の制御をするものである。図4に示すように内部にCPU、メモリを有し、運転モード設定SW91の設定により決まる冷却加熱の運転モードに応じて冷媒回路の電磁弁開閉などの制御を行う。運転モードは、商品収納庫40a、40b、40cの冷却もしくは加熱の運転をC、Hで示すものであり、商品収納庫の左側から(40a、40b、40c)順に、例えば、すべてが冷却の場合にはCCCモード、左の商品収納庫のみが加熱の場合にはHCCモードなどと記す。また、制御手段90は、庫内温センサTa、Tb、Tcにより検知した温度により、圧縮機61、凝縮器電磁弁68、冷却電磁弁70a、70b、70c、出口電磁弁72b、72c、加熱電磁弁68b、68cなどを制御し、庫内を一定温度範囲内でON・OFF制御するサーモサイクル運転により庫内温度を適温に維持する。
【0036】
かかる構成で運転モード設定SW91の操作により運転モードをCCCモードに設定すると、制御手段90は凝縮器電磁弁68、冷却電磁弁70a、70b、70c、出口電磁弁72b、72cを開成し、加熱電磁弁68b、68cを閉止する。図5の太線で示すように圧縮機61で圧縮された高温冷媒は、凝縮器62にて凝縮され液体となり、膨張器63で膨張して低温の気液二相流となり、分流器64で三方に分流された後庫内熱交換器65a、65b、65cに流入する。流入した冷媒は、庫内熱交換器65a、65b、65cで蒸発し、商品収納庫40a、40b、40cを冷却し、蒸発した冷媒は集合器67で集合して液冷媒を貯留するアキュムレータ69を介して気液分離させて圧縮機61に戻る。なお、この冷却は、制御装置90にて庫内温度センサTa、Tb、Tcによるサーモサイクル運転により庫内温度が適温に制御される。
【0037】
次に、運転モード設定SW91の操作により運転モードを左側の1室を冷却し、中、右側の2室を加熱するCHHモードに設定すると、制御手段90は、加熱電磁弁68b、68c、冷却電磁弁70aを開成し、凝縮器電磁弁68、冷却電磁弁70b、70c、出口電磁弁72b、72cを閉止する。図6の太線で示すように圧縮機61で圧縮された高温冷媒は、加熱電磁弁入口配管168b,168c、加熱電磁弁68b、68c、加熱電磁弁出口配管165b,165cを経由して庫内熱交換器65b、65cに流入する。庫内熱交換器65b、65cに流入した冷媒は凝縮され、商品収納庫40b、40cを加熱し、逆止弁71,71を介して集合し、補助熱交換器76でさらに凝縮して膨張器79に流入する。膨張器79に流入した冷媒は、膨張して低温の気液二相流となり分流器64、冷却電磁弁70aを経由して庫内熱交換器65aに流入する。庫内熱交換器65aに流入した冷媒は、庫内熱交換器65aで蒸発して商品収納庫40aを冷却し、集合器67、アキュムレータ69を経由して圧縮機61に戻る。このヒートポンプ運転も前述のようにサーモサイクル運転で庫内が適温に維持される。
【0038】
商品収納庫40b、40cの片方、たとえば、商品収納庫40cが適温に達すると、加熱電磁弁68cを閉止し、庫内熱交換器65aと庫内熱交換器65bを冷却加熱する2室のヒートポンプ運転を行う。 そして、商品収納庫40bが適温に達すると、図7のタイムチャートに示すように時刻T1で圧縮機61を停止し、時刻T2で冷却電磁弁70aを閉止し、しかるのち加熱電磁弁68bの出入口部の圧力差が平衡になる態様で圧縮機61の停止時刻T1より30秒程度の時間経過後の時刻T3に加熱電磁弁68bを閉止する。
【0039】
このように、ヒートポンプ運転停止時に開成状態にある加熱電磁弁68b(または加熱電磁弁68c)の閉止時期を、圧縮機61が停止した後、加熱電磁弁68b(または加熱電磁弁68c)の出入口部の圧力差が略平衡する時期に定めたことにより、加熱電磁弁の出入口間圧力差が小さくなる結果、逆圧による電磁弁からの異音の発生を抑制することが出来る。しかも、小型の直動型電磁弁で冷媒回路を構成できるので、低コストで信頼性の高い圧縮機の運転ができる。
また、本実施の形態においては、庫内の熱交換器を冷却と加熱を兼用とした冷媒回路で説明をしたが、図8に示した従来例で示されるような庫内の熱交換器を冷却と加熱を別置とした冷媒回路でも同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、缶、ビン、パック、ペットボトル等の容器に入れた飲料等の商品を冷媒回路にて冷却または加熱するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例に係る自動販売機を示す斜視図である。
【図2】図1に示した自動販売機の断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る冷媒回路図である。
【図4】制御装置のブロック図である。
【図5】3室を全て冷却する冷却単独運転における冷媒の流れを示す回路図である。
【図6】1室を冷却し、2室を加熱するヒートポンプ運転における冷媒の流れを示す回路図である。
【図7】ヒートポンプ運転の停止時におけるタイムチャートである。
【図8】従来例に係る冷媒回路図である。
【図9】直動型電磁弁の構成図を示し、(a)はソレノイドの無通電時、(b)はソレノイドの通電時の状態である。
【符号の説明】
【0042】
10 本体キャビネット
20 外扉
30 内扉
40a、40b、40c 商品収納庫
60 冷却/加熱ユニット
61 圧縮機
62 凝縮器
63、79 膨張器
64 分流器
65a、65b、65c 庫内熱交換器
68 凝縮器電磁弁
68a、68b 加熱電磁弁
70a、70b、70c 冷却電磁弁
72b、72c 出口電磁弁
80 直動型電磁弁
81a 弁座
82 弁体
83 スプール
84 バネ
90 制御装置
91 運転モード選択SW
165b、165c 加熱電磁弁出口配管
168b、168c 加熱電磁弁入口配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷却加熱兼用の商品収納庫を有し、冷却加熱の運転モードにより選択的に商品収納庫を冷却もしくは加熱する自動販売機であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、庫外に設け冷媒を凝縮する凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張手段と、膨張手段より膨張した冷媒を分配する分配器と、該分配器より冷却電磁弁を介して庫内に設け冷媒を蒸発する複数の庫内熱交換器と、にて冷却循環回路を構成するとともに、
前記冷却循環回路と、前記圧縮機から加熱電磁弁を介して圧縮された冷媒を凝縮するところの庫内に設けられた庫内熱交換器と、凝縮された冷媒を膨張させる第2の膨張手段と、にてヒートポンプ運転を行う加熱冷却循環回路を構成し、
前記圧縮機、前記冷却電磁弁、前記加熱電磁弁を制御する制御装置を有する自動販売機において、
前記制御装置は、ヒートポンプ運転停止時に開成状態にある加熱電磁弁の閉止時期を、前記圧縮機が停止した後、前記加熱電磁弁の出入口部の圧力差が略平衡する時期に定めたことを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152673(P2010−152673A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330503(P2008−330503)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】