説明

自動販売機

【課題】予め決められた設定時間帯においては販売不可状態にすることにより消費電力量を低減させて省エネルギー化の要請に十分に応えることができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】販売待機状態において所望の金銭が投入され、かつ商品が選択された場合に、選択された商品を調理して提供するようにした自動販売機であって、現在時刻が予め決められた設定時間帯に含まれる場合に、商品の調理に利用される冷却水を生成する圧縮機32、並びに商品の調理に利用される湯を生成するヒータHの駆動を維持させながら、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置31、各部の光源を点灯させる照明装置34を停止させて販売不可状態にさせる制御手段40を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関し、より詳細には、販売待機状態において所望の金銭が投入され、かつ商品が選択された場合に、選択された商品を調理して提供するようにした自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコーヒー飲料等の商品をカップに投入された状態で販売する自動販売機として、特許文献1に提案されたものが知られている。すなわち、販売待機状態においていずれかの商品選択ボタンが押下された場合に、該当する商品を自動販売機本体の内部で調理し、調理した商品をカップに投入された状態で取出口を臨む位置に搬送し、取り出し可能にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−246616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載されているような自動販売機、すなわちカップ式飲料自動販売機は、屋内に設置されるのが一般的であり、当該自動販売機を利用する者も屋内施設利用者が大半である。そのため、屋内施設利用者が激減する深夜等の時間帯においては、当該自動販売機を利用する者も少なくなる。そこで、省エネルギー化の観点より、例えば深夜等の時間帯においては、自動販売機本体の各部に配設された光源を消灯して、販売待機状態となる自動販売機が知られている。
【0005】
しかしながら、上記光源を消灯して販売待機状態となる自動販売機では、依然として金銭の処理を行う金銭処理装置や各種のセンサ類を駆動可能にする必要があり、これにより消費電力量が過大となり、結果的に、省エネルギー化の要請に十分に応えることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、予め決められた設定時間帯においては販売不可状態にすることにより消費電力量を低減させて省エネルギー化の要請に十分に応えることができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、販売待機状態において所望の金銭が投入され、かつ商品が選択された場合に、選択された商品を調理して提供するようにした自動販売機であって、現在時刻が予め決められた設定時間帯に含まれる場合に、前記商品の調理に利用される冷却水を生成する冷却装置、並びに前記商品の調理に利用される湯を生成する加熱装置の駆動を維持させながら、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置、各部の光源を点灯させる照明装置を停止させて販売不可状態にさせる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機は、上述した請求項1において、前記制御手段は、販売不可状態にさせる場合には、湯の温度を衛生管理に必要な73℃以上となるよう前記加熱装置を駆動させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機は、上述した請求項1又は請求項2において、前記制御手段は、販売不可状態にさせる場合には、冷却水の温度を衛生管理に必要な8℃以下となるよう前記冷却装置を駆動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動販売機によれば、制御手段が、現在時刻が予め決められた設定時間帯に含まれる場合に、商品の調理に利用される冷却水を生成する冷却装置、並びに商品の調理に利用される湯を生成する加熱装置の駆動を維持させながら、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置、各部の光源を点灯させる照明装置を停止させて販売不可状態にさせるので、消費電力量を低減させることができる。これにより消費電力量を低減させて省エネルギー化の要請に十分に応えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態である自動販売機を示す原理図である。
【図4】図4は、図1〜図3に示した自動販売機の制御系を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示した制御手段が実行する管理制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態である自動販売機を示すものであり、図1は正面図、図2は内部構造を示す説明図、図3は原理図である。ここで例示する自動販売機は、レギュラーコーヒー飲料の他、ココア等のインスタント飲料を販売するカップ式の飲料自動販売機であって、より具体的には、クリーム、砂糖、ココア等の粉末原料をカップの内部で調理するカップ内ミキシング方式の飲料自動販売機であり、前面が開口した箱状の本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面開口を閉塞する前面扉2とを備えている。
【0014】
図2及び図3に示すように、本体キャビネット1の内部には、リザーバ11、温水タンク12、製氷器13、冷却水供給装置14、抽出装置15、粉末原料供給装置16及びカップ搬送装置17を備えて構成してある。
【0015】
リザーバ11は、供給された水道水、あるいは図示せぬ給水タンクから供給された水を一時的に貯留するものである。このリザーバ11で一時的に貯留された水は、温水タンク12と製氷器13と冷却水供給装置14とに供給されるようにしている。
【0016】
温水タンク12は、抽出装置15の他、調理位置に搬送されたカップCに供給する湯を貯留するもので、本体キャビネット1の内部上方右奥側、背壁に沿って設けてある。この温水タンク12には、ヒータH(図4参照)が内蔵してあり、リザーバ11から与えられた水を加熱して湯として貯留する。
【0017】
このような温水タンク12には、複数(図3の例では2つ)の湯弁121,123が配設してある。一の湯弁121は、湯供給配管122を介して抽出装置15に接続してあり、該湯弁121を開成させることにより湯供給配管122を通じて抽出装置15に湯が供給されるようになっている。他の湯弁123は、湯供給配管124を介して調理位置に設けられたノズル125に接続してあり、該湯弁123を開成させることにより湯供給配管124を通じてノズル125に湯が供給されるようになっている。これにより、調理位置に搬送されたカップCに対してノズル125より湯が注出されることになる。
【0018】
製氷器13は、リザーバ11から供給された水から調理用の氷を製造するもので、図2に示すように、本体キャビネット1の内部上方左奥側に取り付けてある。製氷器13は、図には明示しないが、円筒状の金属の内面に着氷した氷をオーガで連続的に掻き取り、上部に押し上げながら圧縮成形と切断とを行う製氷部と、製氷部でチップ状に形成された氷を貯蔵する氷ストッカー部とを備えている。氷ストッカー部にはアイスドアが設けてあり、このアイスドアは、氷供給配管131を介して調理位置に設けられたノズル(図示せず)に接続してある。アイスドアを開放させることにより、氷供給配管131を通じてノズルに氷が供給されるようになっている。これにより、調理位置に搬送されたカップCに対してノズルより氷が投入されることになる。
【0019】
冷却水供給装置14は、冷却水生成配管141と冷却水供給配管142とを備えて構成してある。冷却水生成配管141は、給水弁143を介して給水配管111に接続してあり、これによりリザーバ11に連設してある。この冷却水生成配管141は、屈曲部141aが形成してあり、該屈曲部141aは冷却水槽144内に浸漬してある。冷却水供給配管142は、基端部が冷却水生成配管141に接続されるとともに、先端部が調理位置に設けられたノズル145に接続してあり、自身に設けられた冷却水供給弁146を開成させることにより調理位置に搬送されたカップCに対してノズル145より冷却水が注出されることになる。
【0020】
抽出装置15は、レギュラーコーヒー飲料を抽出するものであって、図2に示すように、本体キャビネット1の内部上方右側に取り付けてある。抽出装置15は、上方から下方に向けて順に、豆キャニスタ151、コーヒーミル152、コーヒーブリュア153を備えている。
【0021】
豆キャニスタ151は、例えば透光性のある樹脂材料から構成されており、内部にコーヒー豆を収容している。尚、本実施の形態における抽出装置15では2つの豆キャニスタ151を備えている。このような豆キャニスタ151は、内部に原料モータ(図示せず)が設けてあり、かかる原料モータが駆動することにより該豆キャニスタ151に収容されたコーヒー豆がコーヒーミル152に供給されるようになっている。一方、原料モータが駆動停止することにより該豆キャニスタ151に収容されたコーヒー豆の供給が停止される。
【0022】
コーヒーミル152は、豆キャニスタ151から供給されたコーヒー豆を挽くものである。このコーヒーミル152は、詳細は図示しないが、内部にシュート(水平方向に延びる円筒状の空間)が形成されたミル本体と、シュートに挿通され、外周に螺旋状の刃が形成されたオーガと、オーガを回転させるモータとを有している。そして、モータがオーガを回転させることによりコーヒーミル152に供給された豆は入口から出口に向けて送られ、その途中で粉砕されるようになっている。
【0023】
このようなコーヒーミル152においては、ミル本体が豆キャニスタ151と同様に、透光性のある樹脂材料から構成されている。
【0024】
コーヒーブリュア153は、コーヒーミル152から供給された挽き豆に温水タンク12から供給された湯を注ぐことにより、レギュラーコーヒー飲料を抽出するものである。コーヒーブリュア153は、コーヒー供給配管154を介して調理位置に設けられたノズル155に接続してあり、かかるコーヒー供給配管154を通じて該ノズル155にレギュラーコーヒー飲料が供給されるようになっている。これにより、調理位置に搬送されたカップCに対してノズル155よりレギュラーコーヒー飲料が注出されることになる。
【0025】
粉末原料供給装置16は、クリーム、砂糖等の粉末原料を原料毎に収容し、必要に応じて払い出すもので、図2に示すように、本体キャビネット1の内部上方中央に設けてある。粉末原料供給装置16は、複数の原料キャニスタ161と、原料キャニスタ161毎に設けられた原料シュータ162とを備えている。
【0026】
原料キャニスタ161は、粉末原料を収容して払い出す容器であり、上面が前下がりとなるように傾斜しており、この上面に原料投入口(図示せず)が形成してある。また、原料投入口は、開閉可能な蓋によって閉成してあり、粉末原料に異物が混入しないようになっている。また、原料キャニスタ161の底部には、螺旋状に形成されたスクリュ(図示せず)が回転可能に設けられ、原料キャニスタ161の奥に取り付けた原料モータが駆動すると、スクリュが回転し、原料キャニスタ161の底部前面に形成された原料払出口(図示せず)から粉末原料が払い出されるようになっている。
【0027】
原料シュータ162は、対応する原料キャニスタ161から払い出された粉末原料を受け取り、一時的に収容するもので、原料キャニスタ161の前方から下方に延びる筒状をなしている。
【0028】
カップ搬送装置17は、図示せぬカップ供給位置において供給されたカップCを受取位置を経由して調理位置に搬送した後、後述する取出口21を臨む販売位置に搬送するものであって、本体キャビネット1の内部中央、粉末原料供給装置16の下方側に設けてある。カップ搬送装置17は、カップ供給位置において供給されたカップCを把持するカップ把持部171と、カップ把持部171が把持したカップCを左右方向及び前後方向に搬送する搬送機構172とを備えている。
【0029】
搬送機構172は、販売待機状態においてカップ把持部171を販売位置に待機させるものである。その後に商品が選択されると、カップ供給位置にカップ把持部171を搬送し、カップ供給装置から供給されたカップCをカップ把持部171に把持させるものである。カップ供給位置にてカップ把持部171にカップCを把持させた後、搬送機構172は、カップ把持部171を受取位置に搬送する。ここで受取位置は、原料キャニスタ161から原料シュータ162に払い出された粉末原料を受け取る位置であって、粉末原料が払い出された原料シュータ162の下方が受取位置になる。例えばクリーム・砂糖入りレギュラーコーヒー飲料を販売する場合には、原料キャニスタ161から払い出されたクリームが一時的に収容される原料シュータ162の下方、並びに原料キャニスタ161から払い出された砂糖が一時的に収容される原料シュータ162の下方が受取位置になる。
【0030】
そして、カップCを把持するカップ把持部171を受取位置に順次搬送させることにより、カップC内に所望の粉末原料が投入される。その後、搬送機構172は、当該カップCを把持するカップ把持部171を調理位置に搬送する。調理位置は、湯、レギュラーコーヒー飲料が注出される他、冷却水や氷が供給される位置であって、カップC内の飲料を撹拌するパドル18が昇降可能に設けてある。この調理位置にて湯、冷却水、あるいはレギュラーコーヒー飲料の注出が完了すると、搬送機構172は、カップCを把持するカップ把持部171を販売位置に搬送し、これにより、所望の商品がカップCに投入された状態で利用者に提供することが可能になる。
【0031】
前面扉2は、本体キャビネット1の前面開口を開閉可能となる態様で該本体キャビネット1の一側縁部に揺動可能に配設してあり、閉扉動作した場合に、本体キャビネット1の前面開口を閉塞するものである。この前面扉2は、図1に示すように、中程中央に取出口21が設けてあり、その右方側に投入金額を表示する一体表示器22、硬貨を投入するための硬貨投入口23、返却レバー24が設けてある。また、取出口21の左方側には紙幣挿入口25が設けてあり、前面扉2の下部右側には硬貨返却口26が設けてある。
【0032】
上記前面扉2の上半分には、選択ボタン27及び調合ボタン28が設けてある。選択ボタン27は、前面扉2の上半分に複数配設してある。これら選択ボタン27は、商品毎に設けてある。当該商品のイメージが描かれたフレーバーカード29に対応して設けてある。
【0033】
上記選択ボタン27は、調合ボタン28が押下されることなく自身が押下された場合には、予め決められた調合成分、すなわちコーヒー豆、クリーム及び砂糖が標準量で混合された商品の選択を示す入力手段である。調合ボタン28は、前面扉2の取出口21の上側に設けてある。
【0034】
図4は、図1〜図3に示した自動販売機の制御系を示すブロック図である。この図4に示すように、上記自動販売機は、既述の構成の他、金銭処理装置31、圧縮機32、売切センサ33、照明装置34、リモコン35及び制御手段40を備えて構成してある。
【0035】
金銭処理装置31は、コインメカニズムやビルバリデータと称されるものであり、利用者によって金銭(貨幣)が投入された場合にこれを鑑別し、その鑑別結果を制御手段40に出力するものである。
【0036】
圧縮機32は、冷媒回路32a(図3参照)に封入された冷媒を圧縮して高温高圧の状態にして吐出するものであり、冷却水槽144に貯留された水を冷却するための冷却装置である。売切センサ33は、本体キャビネット1の所望の位置、例えば原料シュータ162の近傍等の位置に配設され、原料の有無を検知し、その検知結果を制御手段40に出力するものである。照明装置34は、本体キャビネット1の各部に設けられた蛍光灯やLED等の光源(図示せず)を点灯させるものである。リモコン35は、制御手段40に種々の指令や情報を与える入力手段である。尚、図4中の符号36は、販売動作ユニットであり、既述の各弁や搬送機構172等の販売動作の際に駆動する機構の総称である。また、図4中の符号37は、ボタン類であり、選択ボタン27や調合ボタン28の総称である。
【0037】
制御手段40は、売切センサ33、金銭処理装置31、ボタン類37(選択ボタン27及び調合ボタン28)、リモコン35から出力信号が与えられた場合、予めメモリ41に格納したプログラムやデータにしたがって販売動作ユニット36、一体表示器22、リモコン35等の動作を制御するもので、入力制御部40a、出力制御部40b、販売動作制御部40c及び管理制御部40dを有している。
【0038】
入力制御部40aは、リモコン35の操作部が操作された場合にそれぞれの入力操作に対応する指令を各部に与えるものである。出力制御部40bは、表示指令が与えられた場合に一体表示器22若しくはリモコン35の表示部を通じて所望の表示を行うものである。
【0039】
販売動作制御部40cは、商品の販売に関わる処理を統括的に制御するものである。具体的には、金銭処理装置31に金銭が投入された場合、投入金額が販売価格以上となった時点で該当する選択ボタン27を有効化する。有効化した選択ボタン27が押圧操作された場合、販売動作制御部40cは、販売動作ユニット36の各部を所望のタイミングで動作させて、商品を調理し、カップCに投入した状態で提供する動作を行う。
【0040】
更に、販売動作制御部40cは、売切センサ33を通じて原料の有無を監視し、原料が無いことを検知した場合、該当する商品に対応する売切ランプ(図示せず)を点灯して売切状態であることを報知する処理を行う。
【0041】
管理制御部40dは、内蔵する時計機能を利用して自動販売機の状態の管理を行うものである。具体的には、自動販売機を販売可能な販売待機状態、販売不可な販売不可状態、販売不可状態から販売待機状態へ遷移させるための準備状態のいずれかの状態にさせるものである。より詳細に説明すると、自動販売機を販売待機状態から販売不可状態にさせる開始時刻(例えば午前2時)と、販売不可状態を解除させる終了時刻(例えば午前4時)とが、リモコン35を通じて入力されてメモリ41に予め格納されており、管理制御部40dは、現在時刻が開始時刻を経過した場合に、圧縮機32及びヒータHの駆動を維持させながら、金銭処理装置31、一体表示器22、ボタン類37、照明装置34、販売動作ユニット36、売切センサ33及び製氷器13の駆動を停止させる販売不可状態にさせる。その後、現在時刻が終了時刻を経過した場合に、駆動停止させていた各部を駆動させて準備状態にさせる。そして、予め決められた販売可能条件に達した時点で販売可能な販売待機状態にさせるものである。
【0042】
また、管理制御部40dは、販売不可状態にさせる場合には、温水タンク12内の湯の温度を衛生管理に必要な73℃以上となるようヒータHを駆動させる。
【0043】
更に、管理制御部40dは、販売不可状態にさせる場合には、冷却水生成配管141における冷却水の温度を衛生管理に必要な8℃以下となるよう、冷却水生成配管141の一部(屈曲部141a)が浸漬する冷却水槽144に貯留した水を冷却する圧縮機32を駆動させる。
【0044】
図5は、図4に示した制御手段40が実行する管理制御処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる管理制御処理の処理内容を説明することにより、本実施の形態である自動販売機の動作を説明する。
【0045】
制御手段40の管理制御部40dは、内蔵する時計機能を利用して現在時刻が予めメモリ41に格納された開始時刻から終了時刻までの時間帯(午前2時〜午前4時)になければ(ステップS101:No、あるいはステップS101:Yes,ステップS102:Yes)、販売待機状態にさせ(ステップS103)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。かかる販売待機状態においては、次のようにして商品が販売される。
【0046】
硬貨投入口23、あるいは紙幣挿入口25から販売される商品の対価以上の硬貨又は紙幣が投入されると、該当する商品の選択ボタン27、並びに調合ボタン28を有効化させる。
【0047】
このような状態で調合ボタン28が押下されることなく、レギュラーコーヒー飲料の加温商品用の選択ボタン27が押下されたとする。上述したように、選択ボタン27は、調合ボタン28が押下されることなく自身が押下された場合には、コーヒー豆、クリーム及び砂糖が標準量で混合された商品の選択を示す入力手段であるから、カップ供給装置から供給されたカップCには、所定の受取位置(クリームが一時的に収容される原料シュータ162の下方、並びに砂糖が一時的に収容される原料シュータ162の下方)にてクリーム及び砂糖が投入される。また、これと同時に抽出装置15においてレギュラーコーヒー飲料の抽出が行われる。
【0048】
そして、受取位置にて粉末原料が投入されたカップCは、調理位置に搬送されて、抽出装置15から抽出されたレギュラーコーヒー飲料が注出されるとともに、パドル18により撹拌される。レギュラーコーヒー飲料の注出が完了すると、カップCは、販売位置に搬送され、取出口21を通じて利用者に提供され、これにより商品(レギュラーコーヒー飲料)が販売されることになる。
【0049】
一方、制御手段40の管理制御部40dは、現在時刻が予めメモリ41に格納された開始時刻から終了時刻までの時間帯(午前2時〜午前4時)に含まれる場合には(ステップS101:Yes,ステップS102:No)、圧縮機32及びヒータHの駆動を維持させたまま、金銭処理装置31及び照明装置34を駆動停止させて販売不可状態にさせ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。かかる販売不可状態では、商品販売を禁止することとなり、製氷器13の駆動も停止させることになる。
【0050】
以上のような構成を有する自動販売機においては、制御手段40が、現在時刻が予め決められた設定時間帯に含まれる場合には、圧縮機32及びヒータHの駆動を維持させながら、金銭処理装置31及び照明装置34を停止させて販売不可状態にさせるので、消費電力量を低減させることができる。これにより消費電力量を低減させて省エネルギー化の要請に十分に応えることができる。
【0051】
特に、圧縮機32の駆動を維持させているので、冷却水槽144に貯留した水を冷却した状態に維持することができ、終了時刻を経過して再び販売待機状態に遷移するための準備状態に要する時間が長大化することを抑制することができる。
【0052】
また従来においては、除湿をしないと固まってしまう粉末原料や冷蔵保存しないと変質するシロップ原料、衛生管理に必要な73℃以上に保持する必要がある湯、衛生管理に必要な8℃以下に保持する冷水等が自動販売機本体(本体キャビネット)の内部に存在する。そのため、自動販売機を長期間に亘って駆動停止する場合には、オペレータが現地に赴き、電源を落として各種原料や湯等を抜き取りに行く必要があり、当該自動販売機を再駆動させる場合には、オペレータが各種原料等を持参して再度現地に赴き、各種原料を補充するとともに、湯や冷却水が所望の温度になるのを確認する必要があった。
【0053】
これに対し、上記自動販売機では、通常の運転モードにおいて販売不可状態を設定できるようにしておき、かかる販売不可状態にさせる場合には、温水タンク12における湯の温度を衛生管理に必要な73℃以上となるようヒータHを駆動させるとともに、冷却水生成配管141における冷却水の温度を衛生管理に必要な8℃以下となるよう圧縮機32を駆動させるので、オペレータが現地に赴いて原料等を抜き取る必要がなく、オペレータの負担軽減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、販売待機状態において所望の金銭が投入され、かつ商品が選択された場合に、選択された商品を調理して提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 本体キャビネット
2 前面扉
11 リザーバ
12 温水タンク
13 製氷器
14 冷却水供給装置
15 抽出装置
16 粉末原料供給装置
17 カップ搬送装置
18 パドル
31 金銭処理装置
32 圧縮機
33 売切センサ
34 照明装置
35 リモコン
36 販売動作ユニット
37 ボタン類
40 制御手段
40a 入力制御部
40b 出力制御部
40c 販売動作制御部
40d 管理制御部
41 メモリ
C カップ
H ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売待機状態において所望の金銭が投入され、かつ商品が選択された場合に、選択された商品を調理して提供するようにした自動販売機であって、
現在時刻が予め決められた設定時間帯に含まれる場合に、前記商品の調理に利用される冷却水を生成する冷却装置、並びに前記商品の調理に利用される湯を生成する加熱装置の駆動を維持させながら、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置、各部の光源を点灯させる照明装置を停止させて販売不可状態にさせる制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記制御手段は、販売不可状態にさせる場合には、湯の温度を衛生管理に必要な73℃以上となるよう前記加熱装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記制御手段は、販売不可状態にさせる場合には、冷却水の温度を衛生管理に必要な8℃以下となるよう前記冷却装置を駆動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258107(P2011−258107A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133831(P2010−133831)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【出願人】(000126849)株式会社アペックス (29)
【Fターム(参考)】