説明

自動車のフロントガラス及びそれを用いた自動車

【課題】低圧で外面全面にほぼ均等な空気膜を形成可能な自動車のフロントガラス及びそれを装着した自動車を提供することである。
【解決手段】フロントガラス10は、透明な基板11と外面板12によって両者の間に中空室13を設けたものである。前記外面板12には多数の微細な空気孔12aが設けられ、中空室13にはポンプPから圧縮空気が供給され、空気孔12aから空気が噴出して空気膜がフロントガラス外面に形成される。このフロントガラス10を自動車に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨滴や塵埃が付着し難い自動車のフロントガラス及びそれを用いた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントガラスに付着する雨滴や塵埃は、一般にワイパによって除去される。しかしながら運転中にワイパを作動させると視界が遮られ、非常にわずらわしい感じがして運転の妨げとなる。
【0003】
また、雨滴や塵埃の付着を予め防止するため、フロントガラスの下縁から空気を吹き付けて空気膜を形成する方法も行なわれているが、フロントガラスの上縁まで空気を噴射するには大きな圧力が必要となり装置が大がかりとなって効率が悪く現実的でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、低圧でフロントガラスの外面全面に均等な空気膜を形成可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、この発明のフロントガラスは、内部に中空室を有する透明な板状体より成り、前記板状体の一面に前記中空室に連通する多数の微細な空気孔を設け、前記板状体に、前記中空室に連通する通路を設けてこの通路を圧縮空気供給源に接続したのである。また自動車のフロントガラスを透明な基板と外面板より形成し、両者の間に中空室を設け、前記外面板に中空室と連通する多数の微細な空気孔を設け、前記中空室に連通する通路を基板に設け、この通路を圧縮空気供給源に接続した構成を採用することができる。前記外面板として空気は透過するが水は透過しない合成樹脂フィルムを用いることができる。
【0006】
前記空気孔の平均径は約5mm以下が好ましく、また隣接する空気孔との間隔は約15cm以下にしておくのがよい。
【0007】
上記のようなフロントガラスを自動車のフロントフレームに装着する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、空気孔をフロントガラスのほぼ全面に設けることができるので、フロントガラスに均等に空気膜を形成して全面に雨滴や塵埃の付着を防止することができ、また微細な空気孔からわずかに空気を噴出するだけでよいので、低圧の圧縮空気でよくコスト的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、フロントガラス10は、全周縁に突条11aを設けた透明な基板11と、前記突条11aに気密に固着されて基板11の前面を被う透明な外面板12より成り、前記突条11aによって形成された基板11の中央部の凹所は、外面板12によって蓋をされ中空室13になっている。
【0010】
前記外面板12には、微細な空気孔12aが多数設けられている。この空気孔12aの平均径は、約5mmから約0.00001mm、特に1mm以下が好ましい。また、互に隣接する空気孔12aとの間隔は、15cm以下にしておくのがよい。この外面板12の材料は、透明な合成樹脂フィルム、シート、プレートなどが用いられる。柔軟なフィルムやシートを用いる場合は、前記基板11の中空室13内にリブを設けて支持力を増加させるのがよい。この場合、中空室13内全体が連通するように、通気性を有するリブを設けてもよいが、リブで中空室13を仕切り、空気孔12aの異なった中空室を形成してもよい。
【0011】
前記中空室13は、基板11の下縁に設けられた通路11bを介してポンプPに接続され、中空室13には常に一定温度以上、例えば30℃以上の乾燥した圧縮空気が供給されている。そのため、外面板12の空気孔12aからは、空気が矢印のように噴出し、フロントガラス外面全面にほぼ均等な圧縮空気膜が形成される。そのため、フロントガラスの外面に雨滴や塵埃が付着することがない。また、空気孔12aは微細であるため、圧縮空気は低圧でよくポンプPの容量は小さなもので充分である。なお、ポンプPと通路11bの間に、加熱乾燥器を介在させることができる。
【0012】
前記基板11の材料は、従来から自動車のフロントガラスに用いられる材料であれば、ガラスや合成樹脂などいずれでもよい。また、突条11aは、基板11と一体に形成しなくてもよく、別体のパッキングのようなものを介在させてもよい。
【0013】
中空室13の広さは、フロントガラス10のほぼ全面にわたるのが好ましいが、運転者の視界を確保できる範囲にしておいてもよい。中空室13の厚さは、空気が連通すればよいので薄い程好ましいが、約1mm〜約10mm程度である。勿論圧縮空気は、運転中は常時供給しておくが、休車中は供給しなくてもよい。
【0014】
以上のようなフロントガラス10は、いうまでもなく自動車のフロントフレーム20に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明のフロントガラスの一例を示す縦断面図
【図2】フロントガラスの正面図
【符号の説明】
【0016】
10 フロントガラス
11 基板
11a 突条
11b 通路
12 外面板
12a 空気孔
13 中空室
20 フロントフレーム
H ハンドル
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空室を有する透明な板状体より成り、前記板状体の一面に前記中空室に連通する多数の微細な空気孔を設け、前記板状体に、前記中空室に連通する通路を設けてこの通路を圧縮空気供給源に接続した自動車のフロントガラス。
【請求項2】
透明な基板と外面板より成り、両者の間に中空室を設け、前記外面板に中空室と連通する多数の微細な空気孔を設け、前記中空室に連通する通路を基板に設けてこの通路を圧縮空気供給源に接続した自動車のフロントガラス。
【請求項3】
前記外面板は空気を透過するが水は透過しない合成樹脂フィルムから成る請求項2に記載の自動車のフロントガラス。
【請求項4】
前記空気孔の平均径が約5mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の自動車のフロントガラス。
【請求項5】
前記空気孔と隣接する空気孔の間隔が15cm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の自動車のフロントガラス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のフロントガラスを装着した自動車。

【図1】
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【図2】
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