説明

自動車の乗員室における空気調節用の改良された熱装置

第1の熱交換器17と、第1の冷媒回路に接続されるように構成された第1の管路25、27と、第2の熱交換器41と、第2の冷媒回路に接続されるように構成された第2の管路47、49とを含む空気調節用の熱装置であって、前記第2の冷媒回路に接続されるように構成された第1の追加管路33、35と、前記第1の冷媒回路に接続されるように構成された第2の追加管路55、57と、前記第1の熱交換器17の入力および出力で第1の管路25、27および第1の追加管路33、35を選択的に接続するように構成された第1の流体部材29;31;37;39と、前記第2の熱交換器41の入力および出力で第2の管路47、49および第2の追加管路55、57を選択的に接続するように構成された第2の流体部材51;53;59;61と、予め決められた制御法則に従って第1の流体部材29;31;37;39と第2の流体部材51;53;59;61とを作動させるように構成された制御部材とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗員室のための空気調節補助用の熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調節装置は、現在市販されている車両では、一般に設置されている。
【0003】
この装置は、機能上、自動車の乗員室に至る管路内で空気流を発生可能な換気装置を含んでいる。
【0004】
冷却液回路また冷媒回路に接続されている第1の熱交換器は、この空気流の行程に配置されている。第1の熱交換器は、空気流が乗員室に到達する前に空気流を冷却する。そのため、空気調節装置は、空調ユニットを備えている。
【0005】
冷媒回路に接続されている第2の熱交換器は、同様に空気流の行程に配置されている。この第2の熱交換器は、空気流が乗員室に到達する前に空気流を加熱する。そのため、この空気調節装置は、暖房ユニットを備えている。
【0006】
このような空気調節装置は、一般に「暖房、空調、および換気装置」すなわち「HVAC」(「heating ventilating air conditionning」)といわれている。
【0007】
第1の熱交換器と第2の熱交換器の熱交換容量は、これらの熱交換器の外形寸法と直接関係する。
【0008】
たとえば、熱交換容量は、冷媒または冷却液が内部で流れる管の数と共に、また、外部で空気流が通過する断面と共に増加する。
【0009】
第1の熱交換器と第2の熱交換器の寸法は、一般に、温度と湿度という観点から外部の気候条件に対応するように決定される。これらの熱交換器の寸法を、極端な温度条件に対応するように決定すると、熱交換器が大型化して、組み立てが難しくなり、製造コストが上がってしまう。
【0010】
そのため、現在のHVAC装置は、その用途に対して必要以上の大きさとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、十分な快適性条件を保持しながら、上記の問題を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明は、第1の熱交換器と、第1の冷媒回路に接続されるように構成された第1の管路と、第2の熱交換器と、第2の冷媒回路に接続されるように構成された第2の管路とを含む空気調節用の熱装置を提案するもので、この装置は、さらに、前記第2の冷媒回路に接続されるように構成された第1の追加管路と、前記第1の冷媒回路に接続されるように構成された第2の追加管路と、前記第1の熱交換器の入力および出力で第1の管路と第1の追加管路とを選択的に接続するように構成された第1の流体部材と、前記第2の熱交換器の入力および出力で第2の管路および第2の追加管路を選択的に接続するように構成された第2の流体部材と、予め決められた制御法則に従って、第1の流体部材と第2の流体部材とを作動させるように構成された制御部材とを含むことを特徴としている。
【0013】
このような熱装置では、第1の熱交換器と第2の熱交換器とが、第1の回路と第2の回路のいずれか一方に選択的に接続できるようになっている。2個の熱交換器は、同じ要領で動作可能である。すなわち、暖房ユニットまたは冷却ユニットとして動作可能である。
【0014】
本発明は、以下の構成を含んでいる。
−第1の熱交換器を通る冷媒の回路は、第2の熱交換器が接続されている第2の回路と流体的な関係にはない。その場合の、条件は中間的である。
−第1と第2の熱交換器は、同じ回路に接続され、双方の熱交換器において、冷媒は直列または並列に流れる。条件は極端であり、冷媒は、非常に低い温度、または非常に高い温度である。
−制御法則により、「中間温度」位置から「極端な温度」に移行するように、バルブ位置は決定される。
【0015】
その結果、外形寸法は同じであっても、従来技術の装置よりも、暖房容量および冷却容量は大きくなる。これらの追加容量により、極端な温度条件、すなわち非常に低い温度、または非常に高い温度に対応することができる。
【0016】
この熱装置の製造コストは、その製造に必要な部品数が限られているので、通常の装置に比して、僅かに高い程度である。
【0017】
上記の熱装置は、たとえば最も頻繁にみられるような極端ではない条件では、制御部材により使用される制御法則に従って、従来装置と同様に動作する。すなわち、第1の熱交換器が冷却装置として、第2の熱交換器が暖房装置として動作することができる。
【0018】
本発明の他の特徴および長所は、以下の詳細な説明、および添付図面を参照すれば明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の装置の簡略図である。
【図2】図1の装置の第1の実施形態を、様々な動作状態で示す図である。
【図3】図1の装置の第1の実施形態を、様々な動作状態で示す図である。
【図4】図1の装置の第1の実施形態を、様々な動作状態で示す図である。
【図5】図1の装置の第2の実施形態における、図2と同様の図である。
【図6】図1の装置の第2の実施形態における、図3と同様の図である。
【図7】図1の装置の第2の実施形態における、図4と同様の図である。
【図8】図1の装置の第3の実施形態における、図2と同様の図である。
【図9】図1の装置の第3の実施形態における、図3と同様の図である。
【図10】図1の装置の第3の実施形態における、図4と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面は、単に本発明を補完する役割を果たすだけでなく、場合によっては、発明を定義する役割を果たすものである。
【0021】
図1は、電気信号を交換するように相互接続された制御ユニット3と、熱交換ユニット5とから構成された熱交換装置1を示している。
【0022】
制御ユニット3は、たとえばマイクロプログラムの形態で保管されている一連の指示を、熱交換ユニット5で有効に実行しうるものである。この制御ユニットは、熱交換ユニット5の様々な動作状態を設定することができる。
【0023】
換言すれば、制御ユニット3は、予め決められた制御法則に従って、熱交換ユニット5を制御することが可能である。
【0024】
図2〜図4は、自動車の暖房空調システム7に設けられる熱交換ユニット5の第1の実施形態を示している。
【0025】
暖房空調システム7は、冷媒の循環回路、すなわち第1の回路を備えている。図2では、上流分枝9と下流分枝11だけを示してある。
【0026】
暖房空調システム7は、さらに、冷媒の循環回路、すなわち第2の回路を備えている。図2では、上流分枝13と下流分枝15だけを示している。
【0027】
熱交換ユニット5は、空気循環管路19の内側に取り付けられるように構成された第1の熱交換器17を備えている。空気循環管路19では、空気の循環が、例えばベンチレータ(図示せず)により行われる。このベンチレータは、熱装置1に設けることも可能である。
【0028】
第1の熱交換器17は、入力管21と出力管23とを有している。
【0029】
熱交換ユニット5は、第1の回路の上流分枝9に接続するために、第1の熱交換器17の入力管21に流体接続される第1の接続管25と、第1の回路の下流分枝11に接続するために、第1の熱交換器17の出力管23に流体接続される第2の接続管27とで構成されている。
【0030】
第1の接続管25は、この管の内部で流体の流路内に配置された、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第1のバルブ29を備えている。
【0031】
バルブ29は、第1の接続管25の内部におけるあらゆる流体循環を阻止する作動停止状態と、このような循環を可能にする作動許可状態とを有する。第1のバルブ29の作動停止状態、作動許可状態、または中間状態は、制御ユニット3により制御される。
【0032】
第2の接続管27は、第1のバルブ29と同様の、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第2のバルブ31を含んでいる。
【0033】
熱交換ユニット5は、さらに、第2の回路の上流分枝13に接続するために、第1の熱交換器17の入力管21に流体接続されている第3の接続管33と、第2の回路の下流分枝15に接続するために、第1の熱交換器17の出力管23に流体接続されている第4の接続管35とを含んでいる。
【0034】
第3の接続管33は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第3のバルブ37を含み、第4の接続管35は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第4のバルブ39を含んでいる。
【0035】
第3のバルブ37と第4のバルブ39は、第1のバルブ29と同様である。
【0036】
熱交換ユニット5は、さらに、第1の熱交換器17の下流で、空気循環管路19に取り付けられるようになっている、第2の熱交換器41を有している。
【0037】
第2の熱交換器41は、入力管43と出力管45とを有する。
【0038】
熱交換ユニット1、さらに、第2の回路の上流分枝13に接続するために、第2の熱交換器41の入力管43に流体接続される第5の接続管47と、第2の回路の下流分枝15に接続するために第2の熱交換器41の出力管45に流体接続される第6の接続管49とを備えている。
【0039】
第5の接続管47は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第5のバルブ51を有し、第6の接続管49は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第6のバルブ53を有している。
【0040】
第5のバルブ51と第6のバルブ53は、第1のバルブ29と同様である。
【0041】
熱交換ユニット5は、さらに、第1の回路の上流分枝9に接続するために第2の熱交換器41の入力管43に流体接続される第7の接続管55と、第1の回路の下流分枝11に接続するために、第2の熱交換器41の出力管45に流体接続される第8の接続管57とを有している。
【0042】
第7の接続管55は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第7のバルブ59を含み、第8の接続管57は、オールオアナシング型、または段階的な開放/閉鎖型の第8のバルブ61を有している。
【0043】
第7のバルブ59と第8のバルブ61は、第1のバルブ29と同様である。
【0044】
制御ユニット3は、予め決められた制御法則に従って、熱交換ユニット5のバルブ全体を一緒に制御するように構成されている。
【0045】
特に、制御ユニット3は、熱交換ユニット5のための様々な動作状態を設定可能である。
【0046】
図2は、熱交換ユニット5の第1の動作状態を示している。
【0047】
第1のバルブ29、第2のバルブ31、第7のバルブ59、および第8のバルブ61が作動停止状態にあり(図では黒い菱形)、その一方、第3のバルブ37、第4のバルブ39、第5のバルブ51、および第6のバルブ53は、作動許可状態にある(図では白い菱形)。
【0048】
この第1の動作状態で、第1の熱交換器17の入力管21は、第3の接続管33に流体接続され、第1の熱交換器17の出力管23は、第4の接続管35に流体接続されている。
【0049】
換言すれば、入力管21と出力管23は、それぞれ、第2の回路の上流分枝13と下流分枝15とに流体接続されている。さらに言い換えれば、熱装置1の第1の動作状態において、第1の熱交換器17は、第2の回路の一部をなしているので、この第2の回路の内部に冷媒が流れる。
【0050】
このような第1の動作状態では、同様に、第2の熱交換器41の入力管43は、第5の接続管47を介して第2の回路の上流分枝13に流体接続され、第2の熱交換器41の出力管45は、第6の接続管49を介して第2の回路の下流分枝15に流体接続されている。
【0051】
熱装置1の第1の動作状態では、第2の熱交換器41が第2の回路の一部をなしているので、この第2の回路の内部に高温の冷媒が流れる。
【0052】
第1の熱交換器17と第2の熱交換器41は、内部では同じ高温冷媒が流れ、外部では、空気循環管路19を介して循環する空気流が流れる。第1の熱交換器17と第2の熱交換器41は、双方とも暖房装置として動作する。このため、熱装置5の暖房容量は、単一の暖房素子だけを内蔵する従来の暖房空調装置の容量を著しく上回っている。
【0053】
第1の熱交換器17と第2の熱交換器41は、ともに、第1の回路に並列接続されている。
【0054】
制御ユニット3は、自動車の乗員室外部の温度条件が特に低温であるとき、この第1の動作状態を設定するように構成可能である。
【0055】
制御ユニット3は、図3に示す第2の動作状態を設定するように構成されている。
【0056】
この第2の動作状態では、第1のバルブ29、第2のバルブ31、第7のバルブ59および第8のバルブ61は、作動許可状態にあり、その一方で、第3のバルブ37、第4のバルブ39、第5のバルブ51および第6のバルブ53は作動停止状態にある。
【0057】
第1の熱交換器17の入力管21は、第1の回路の上流分枝9に流体接続され、第1の熱交換器17の出力管23は、この第1の回路の下流分枝11に流体接続されている。
【0058】
この第2の動作状態では、同様に、第2の熱交換器41の入力管43が、第1の回路の上流分枝9に流体接続され、第2の熱交換器41の出力管45が、この第1の回路の下流分枝11に流体接続されている。
【0059】
第1の熱交換器と第2の熱交換器41は、双方とも、第1の回路内で循環する冷媒が流れ、空調装置として動作する。
【0060】
このため、熱装置1の空気冷却容量は、単一の空調素子だけを内蔵する従来の暖房空調装置よりも著しく大きい。
【0061】
第1の熱交換器17および第2の熱交換器41は、双方とも、第2の回路に並列接続されている。
【0062】
制御ユニット3は、装置の乗員室外部の温度条件が特に高温であるとき、この第2の動作状態を設定するように構成可能である。
【0063】
制御ユニット3は、また、熱交換ユニット5の第3の動作状態を制御するように構成されている。
【0064】
この第3の動作状態では、第1のバルブ29、第2のバルブ31、第5のバルブ51および第6のバルブ53は作動許可状態にあり、その一方で、第3のバルブ37、第4のバルブ39、第7のバルブ59および第8のバルブ61は作動停止状態にある。
【0065】
第1の熱交換器17の入力管21は、第1の回路の上流分枝9に流体接続され、第1の熱交換器17の出力管23は、この第1の回路の下流分枝11に流体接続されている。
【0066】
このようにして、第1の熱交換器17では、第1の回路で流れる冷媒が通過する。
【0067】
この第3の動作状態では、第2の熱交換器41の入力管43が第2の回路の上流分枝15に流体接続され、第2の熱交換器の出力管45は、この第2の回路の下流分枝15に流体接続されている。
【0068】
第2の熱交換器41では、第2の回路で流れている冷媒が通過する。
【0069】
熱交換ユニット5は、1つの暖房素子と1つの空調素子を内蔵する従来の空調暖房装置と同様に動作する。
【0070】
制御ユニット3は、乗員室のガラスの曇り取り、または霜取りのために、この第3の動作状態を設定するように構成可能である。
【0071】
熱交換ユニット5の動作状態がいかなるものであろうとも、第1のバルブ29および第2のバルブ37は、常に相補的な状態を有するように制御される。この第1のバルブ29および第2のバルブ37の組み合わせは、第1の熱交換器17の入力管21を、第1の回路の上流分枝9および第2の回路の上流分枝13のいずれか一方に選択的に接続しうる流体接続切換手段を形成している。
【0072】
同様に、第2のバルブ31および第4のバルブ39は、第1の熱交換器17の出力を、第1の回路の下流分枝11および第2の回路の下流分枝15のいずれか一方に選択的に接続しうる流体接続切換手段を形成している。
【0073】
換言すれば、第1のバルブ29、第2のバルブ31、第3のバルブ37、および第4のバルブ39は、制御ユニット3により用いられる制御法則によって、第1の熱交換器17を第1および第2の回路のいずれか一方に選択的に接続しうる流体部材を形成している。
【0074】
同様に、第4のバルブ51および第7のバルブ59は、組み合わせによって、第2の熱交換器41の入力管43を、第1の回路の上流分枝9、および第2の回路の上流分枝13のいずれか一方に選択的に接続しうる流体接続切換手段を形成している。第6のバルブ53および第7のバルブ61は、第2の熱交換器41の出力管45を、第1の回路の下流分枝11および第2の回路の下流分枝15のいずれか一方に選択的に接続しうる流体接続切換手段を形成している。
【0075】
第5のバルブ51、第6のバルブ53、第7のバルブ59、および第8のバルブ61は、組み合わせによって、第2の熱交換器41を、第1の回路および第2の回路のいずれか一方に選択的に接続しうる流体制御部材を形成している。
【0076】
図5〜図7は、熱交換ユニット5の第2の実施形態を示している。
【0077】
第1の接続管25と第2の接続管27は、オールオアナシング、または段階的な第1の追加バルブ63に接続され、それらの反対側の端部は、第1の熱交換器17の入力管21と出力管23とに接続されている。第3の接続管33と第4の接続管35は、オールオアナシング型の第2の追加バルブ65に接続され、それらの反対側の端部は、第1の熱交換器17の入力管21と出力管23とに接続されている。
【0078】
第1の接続管25は、第1の回路の下流分枝11に接続されるように構成され、第3の接続管33は、第2の回路の下流分枝15に接続されるように構成されている。
【0079】
第1の動作状態では、第1の追加バルブ63は作動許可状態にあり、第2の追加バルブ65は作動停止状態にある。
【0080】
第1の熱交換器17と第2の熱交換器41は、双方とも、第1の回路に直列接続されている。
【0081】
第2の動作状態では、第1の追加バルブ63は作動停止状態にあり、第2の追加バルブ65は作動許可状態にある。
【0082】
第1の熱交換器17および第2の熱交換器は、双方とも第2の回路に直列接続されている。
【0083】
第3の動作状態では、第1の追加バルブ63は作動停止状態にあり、第2の追加バルブ65は作動許可状態にある。
【0084】
第1の熱交換器17は、第1の回路に接続され、第2の熱交換器41は、第2の回路に接続されている。
【0085】
制御ユニット3は、第1の追加バルブ63および第2の追加バルブ65を、互いに相補的な状態で制御するように構成されている。
【0086】
第1の追加バルブ63および第2の追加バルブ65は、それぞれ、上記の流体接続切換装置の一部をなしている。
【0087】
図8〜図10は、熱交換ユニット5の第3の実施形態を示している。
【0088】
熱交換ユニット5は、入力管69と出力管71とを有する第3の熱交換器67を含んでいる。この第3の熱交換器は、たとえば自動車の後部で追加的な空気管路の内部に取り付けうるように構成されている。一般に、このような追加の管路内で循環する空気は、乗員室から取り出される。従って、追加管路内で循環する空気は、予め加熱および/または冷却される。
【0089】
第3の熱交換器67の入力管69は、第5のバルブ51と、第2の熱交換器41の入力管43との間で、段階的な開放/閉鎖型の第9のバルブ73を介して、第5の接続管47に接続されている。
【0090】
第9のバルブ73は、第1のバルブ29と同様である。
【0091】
第5の接続管47は、さらに、第2の熱交換器41の入力管43と、第3の熱交換器67の入力管69の接続部との間に配置された、オールオアナシング型の第2のバルブ75を有する。
【0092】
第1の動作状態および第2の動作状態で、第9のバルブ73および第10のバルブ75は、双方とも、作動許可状態または部分的な作動許可状態にされている。
【0093】
第3の熱交換器67の出力管71は、第6のバルブ53と第2の熱交換器41の出力管45との間で、第6の接続管49に接続されている。
【0094】
この第1の動作状態で、第1の熱交換器17、第2の熱交換器41、および第3の熱交換器67は、3つとも第2の回路に直列接続され、それらの内部を冷媒が通過する。
【0095】
図9に示す第2の動作状態では、第1の熱交換器17、第2の熱交換器41、および第3の熱交換器67は、第1の回路に接続され、冷媒が通過する。
【0096】
第3の動作状態では、第9のバルブ73は作動停止状態にあり、第10のバルブ75は作動許可状態にある。
【0097】
第3の熱交換器67は、第1の回路にも第2の回路にも接続されていない。
【0098】
この第3の実施形態では、第1の熱交換器17と第3の熱交換器67が、第1の回路および2の回路のいずれか一方に直列接続されるので、特に有利である。これによって、前記回路の一方で循環する流体容量を最大限に使用することができる。
【0099】
変形実施形態では、第1の熱交換器17を除去することによって、あるいはこの第1の熱交換器に代替することによって、第2の熱交換器41が、第3の熱交換器に直列接続可能にされる。
【0100】
第4の実施形態は、図8〜図10に示された第3の実施形態と同様であるが、ただし、第1の追加バルブ63と第2の追加バルブ65とが除去されている。第1の熱交換器17、第2の熱交換器41、および第3の熱交換器67は、第1または第2の回路に選択的に並列接続されている。
【0101】
熱交換装置1は、第1の熱交換器17および第2の熱交換器41の各々を、第1の流体回路および第2の流体回路のいずれか一方に切り換えることができる。極端な気候条件では、2個の熱交換器が、乗員室に送られる空気を、一緒に加熱または冷却するように作動可能である。
【0102】
一方の回路への切換は、1つの熱交換器と、第1の回路および第2の回路の双方との間に、そのたびに配置される流体部材を用いて行われる。
【0103】
使用可能な流体部材は、上記のオールオアナシングバルブに限られるものではない。切換を実施可能なあらゆる流体部材を、代わりに使用することができる。
【0104】
熱交換ユニット5は、機能的に一貫性のあるアセンブリの形態で示されている。これは、構造的にユニット式のこのような熱交換ユニットの実施形態に本発明を制限するものではない。たとえば、熱交換ユニット5は、特に互いに並列に配置された、複数の熱交換素子に分割可能である。熱交換ユニット5は、また、単一の熱交換器だけを含んでいてもよく、また、たとえば第1の熱交換器から離れて設置された第2の熱交換器との直列接続に必要な管類を有していてもよい。
【0105】
本発明は、第1の熱交換器および第2の熱交換器が同一の空気循環管路内に配置されていて、それらの冷却/加熱容量が互いに付加される場合に、特に有利である。この場合、冷媒が最初に通過する熱交換器が、空気循環管路19内の空気循環方向に沿って、第1の熱交換器の後で回路に直列接続される第2の熱交換器の下流に配置されていることが重要である。実際、第2の熱交換器は、このとき、(暖房の場合の)低温空気の加熱装置として動作し、その一方で、第1の熱交換器は、必要なレベルに容易に導くように暖房レベルを上げる。しかし、本発明は、2つの熱交換器が互いにすぐ近くに配置される設備に制限されるものではない。特に、これらの熱交換器は、同一管路の互いに離れた、あるいは空気分岐部により互いに隔てられた、対向する端部に配置可能であり、そのため、第1の熱交換器を通る空気の一部だけが、第2の熱交換器を通過するようにされる。
【0106】
上記の第3および第4の実施形態では、第3の熱交換器が、「再循環」空気、すなわち第1の熱交換器および第2の熱交換器により処理されて乗員室から取り出された空気と共に動作する。たとえば、このような再循環空気の処理のために、複数の熱交換器を追加して使用可能である。
【0107】
以上に詳細に説明した本発明は、分枝または回路に取り付けられる異なるバルブを有する。もちろん、本発明は、このような2個のバルブの代わりに、分枝および回路の分岐点に配置される3ポートバルブを、同様にカバーするものである。
【0108】
2個の熱交換器が流体的に直列接続されている場合(極端な状況)の冷媒の適合性を確保するために、同じ冷媒、すなわち同じ混和性を有する冷媒を使用することが望ましい。
【0109】
本発明は、例としてのみ挙げた上記の実施形態に制限されるものではなく、当業者が想到しうるあらゆる変形実施形態を包括するものである。
【符号の説明】
【0110】
1 熱装置
3 制御ユニット
5 熱交換ユニット
17 第1の熱交換器
41 第2の熱交換器
67 第3の熱交換器
29、31、37、39 第1の流体部材
51、53、59、61 第2の流体部材
73 第3の流体部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱交換器(17)と、第1の冷媒回路に接続されるように構成された第1の管路(25、27)と、第2の熱交換器(41)と、第2の冷媒回路に接続されるように構成された第2の管路(47、49)とを含む空気調節用の熱装置であって、さらに、前記第2の冷媒回路に接続されるように構成された第1の追加管路(33、35)と、前記第1の冷媒回路に接続されるように構成された第2の追加管路(55、57)と、前記第1の熱交換器(17)の入力および出力で第1の管路(25、27)、および第1の追加管路(33、35)を選択的に接続するように構成された第1の流体部材(29;31;37;39)と、前記第2の熱交換器(41)の入力および出力で、第2の管路(47、49)および第2の追加管路(55、57)を選択的に接続するように構成された第2の流体部材(51;53;59;61)と、予め決められた制御法則に従って、第1の流体部材(29;31;37;39)と第2の流体部材(51;53;59;61)とを作動させるようになっている制御部材(3)とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
第1の管路(25、27)と第1の冷媒回路の管(11)とを選択的に接続するように構成された第1の追加流体部材(63)と、第1の追加管路(33、37)と第2の冷媒回路の管(15)とを選択的に接続するように構成された第2の追加流体部材(65)とをさらに含み、前記制御部材(3)は、前記予め決められた制御法則に従って、第1の追加流体部材(63)と第2の追加流体部材(65)とを作動させるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御法則は、第1の追加流体部材(63)と第2の追加流体部材(65)とを第1の流体部材(29;31;37;39)の状態に応じて制御するようになっている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御法則は、第1の管路(25、27)が第1の冷媒回路の前記管(11)に接続する一方で、第1の流体部材(29;31;37;39)が、第1の熱交換器(17)の入力および出力として第1の管路(25、27)を接続する、第1の状態を設定するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
さらに、第3の熱交換器(67)を含み、第2の流体部材(51;53;59;61)は、第2の熱交換器(41)および第3の熱交換器(67)の入力および出力で第2の管路(47、49)、または第2の追加管路(55、57)を選択的に接続するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
さらに、第3の熱交換器(67)を第2の流体部材(51;53;59;61)に選択的に接続するように構成された第3の流体部材(73)を含んでおり、制御部材(3)は、前記予め決められた制御法則に従って、第3の流体部材(73)を作動させるように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御法則は、第2の管路(47、49)が第2の熱交換器(41)の入力および出力として接続され、第1の追加管路(33、35)が第1の熱交換器(17)の入力および出力として接続される少なくとも1つの状態を設定するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御法則は、第2の追加管路(55、57)が第2の熱交換器(41)の入力および出力として接続され、第1の管路(25、27)が第1の熱交換器(17)の入力および出力として接続される少なくとも1つの状態を設定するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記制御法則は、第2の管路(47、49)が第2の熱交換器(41)の入力および出力として接続され、第1の管路(25、27)が第1の熱交換器(17)の入力および出力として接続される少なくとも1つの状態を設定するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
第1の熱交換器(17)および第2の熱交換器(41)が、同一の空気循環管路内で前後に配置されるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
第1の流体部材(29;31;37;39)が、バルブアセンブリ(29、31;37;39)を含んでおり、1つのバルブが、第1の管路(25、27)および第1の追加管路(33、35)の1つと、第1の熱交換器(17)の入力または出力との間に毎回配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
第2の流体部材(51;53;59;61)が、バルブアセンブリ(51;53;59;61)を含んでおり、1つのバルブが、第2の管路(47、49)および第2の追加管路(55、57)の1つと、第2の熱交換器(41)の入力または出力との間に毎回配置されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
第1、第2、および/または第3の熱交換器で循環する冷媒が同じである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−504523(P2012−504523A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529594(P2011−529594)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001167
【国際公開番号】WO2010/037932
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】