説明

自動車の室内照明装置

【課題】簡単な構成で照明装置の周囲を照射することができる自動車の室内照明装置を提供する。
【解決手段】自動車の室内照明装置1は、照明本体2とレンズ3とを備え、車室の天井4に取付けられる。照明本体2は、ハウジング22と、基板23と、上部ケース24と、反射板25と、導光体26とを有し、順に積層され一体化されている。ハウジング22は、光の拡散性と透過性とを有する材料、たとえば、拡散剤を含む樹脂で形成されている。照明本体2の四隅に後述する副発光部31が設けられており、外縁から天井4面に向かって光を照射し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内照明装置に関し、特に車室の天井に配置される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光手段と、発光手段を保持するハウジングとを備えた自動車の室内照明装置が開示されている(例えば、特許文献1)。上記特許文献1では、発光手段が、柔軟性を有しU字状に形成された透明丸棒状の導光体と、当該導光体の端部から光を入射する発光素子とを有する。導光体は、照明装置の周囲を照射すると共に、導光体の湾曲する部分からの光の拡散を促して、導光体を直線状に設けた場合に比べて高い装飾効果を得ることができる、という効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4029077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、照明装置の周囲を照射するために導光体を要するため、部品点数が増大してしまい、また、当該導光体を保持するためハウジングの構成が複雑になってしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で照明装置の周囲を照射することができる自動車の室内照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、自動車の車室内の天井に取付けられる自動車の室内照明装置において、前記車室内に向かって照射する主発光部と、前記天井の表面に向かって照射する副発光部と、前記主発光部と前記副発光部とを保持するハウジングとを備え、前記副発光部は、前記ハウジングの周縁の内側に配置され、前記ハウジングの周縁は導光機能を有し、前記副発光部から出射される光が前記ハウジングの周縁を介して前記天井の周囲に向かって照射されることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ハウジングは、平面視において略方形に形成され、前記副発光部は前記ハウジングの四隅に配置されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、前記受光部は、厚肉形状を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、前記受光部は、肉厚方向に変化を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明は、前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、前記受光部は、フィルター部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、ハウジングが導光機能を有する樹脂で形成され当該ハウジングで副発光部の光を受光し、車室内へ照射する構成としたことにより、従来のU字状の導光体を省略することができるので、その分、部品点数を削減でき、簡単な構成で照明装置の周囲を照射することができる。
【0012】
本発明の請求項2によれば、ハウジングの四隅に副発光部を設けることにより、安定して光を照射することができると共に、U字状の導光体を設けていた従来に比べ、全体として小型化を実現することができる。
【0013】
本発明の請求項3によれば、副発光部が出射する光を効率的に拡散することができるので、より広範囲に光を照射することができる。
【0014】
本発明の請求項4および5によれば、光を所望の形態として照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】照明装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】照明装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】照明本体の全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】基板の構成を示す正面図である。
【図5】照明装置の構成を示す図であり、図1のX−X端面図である。
【図6】照明装置の構成を示す図であり、図1のY−Y端面図である。
【図7】受光部の形態を示す図であり、(A)部分平面図、(B)照射領域のイメージを示す図である。
【図8】受光部の変形例(1)を示す図であり、(A)部分平面図、(B)照射領域のイメージを示す図である。
【図9】受光部の変形例(2)を示す図であり、(A)部分平面図、(B)照射領域のイメージを示す図である。
【図10】受光部の変形例(3)を示す図であり、(A)部分平面図、(B)照射領域のイメージを示す図である。
【図11】受光部の変形例(4)を示す図であり、(A)部分平面図、(B)照射領域のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
(1)全体構成
図1に示す自動車の室内照明装置(以下、「照明装置」という)1は、照明本体2とレンズ3とを備え、車室(図示しない)の天井4に取付けられる。照明本体2には、表面に、主照明部6と、スポット用発光部7と、主スイッチ8と、副スイッチ9と、スポット用スイッチ10とがそれぞれ配置されており、各スイッチをオンオフすることにより、各種の光を車室内に向かって照射し得るように構成されている。特に本発明に係る照明装置1は、照明本体2の四隅に後述する副発光部31が設けられており、外縁から天井4面に向かって光を照射し得るように構成されている。なお、図中Aは副発光部31による光の照射領域のイメージを示す。
【0018】
照明装置1は、図2に示すように、予め天井4に固定したブラケット15に照明本体2の裏面を当接させた状態で、ネジ16,16でブラケット15に固定することにより、天井4に取付けられる。ブラケット15には、中央に開口17が設けられており、天井4の裏面に配置されたワイヤーハーネス18を前記開口17から導出し得るように構成されている。当該ワイヤーハーネス18は、一端(図示しない)が車両用バッテリー(図示しない)に電気的に接続されると共に、他端18aが照明本体2に電気的に接続される。また、照明本体2の表面には、レンズ3が着脱自在に固定される。
【0019】
レンズ3は、透明合成樹脂によって構成されている。このレンズ3は、上記各スイッチを露出させるスイッチ露出部19が形成され、照明本体2の表面を一体に覆うように形成されている。また、レンズ3には、必要に応じて、光の透過を阻害しない程度に半透明の拡散透過シート(図示しない)を貼着することとしてもよい。
【0020】
照明本体2は、図3に示すように、ハウジング22と、基板23と、上部ケース24と、反射板25と、導光体26とを有し、順に積層され一体化されている。
【0021】
ハウジング22は、導光機能、すなわち光の拡散性と透過性とを有する材料で形成されている。本実施形態の場合、ハウジング22は、拡散剤を含む樹脂で方形に形成されている。ハウジング22は、たとえばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明な基材樹脂中に、当該基材樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を光拡散剤として混合分散させ、成形されている。光拡散剤としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、ガラス粉末などを用いることができる。
【0022】
上部ケース24は、硬質合成樹脂で形成され、基板23を挟んでハウジング22に嵌合し得るように構成されている。この上部ケース24は、ハウジング22とは異なり、光の透過性を有しない樹脂で形成されており、基板23の表面を覆っている。また、上部ケース24の表面には、反射板25と導光体26を設置する設置凹部27が形成されている。
【0023】
反射板25は、ポリエチレンテレフタラートの矩形状シートの一側表面に銀薄膜を形成してなる。導光体26は、ポリカーボネートで形成された矩形状の板体でなり、前記反射板25の一側表面に重ねられる。この反射板25と導光体26とは、上部ケース24の設置凹部27に設置され、その表面が、上部ケース24の表面に取付けられるレンズ3によって覆われる。
【0024】
基板23は、図4に示すように、略矩形状に形成されており、主発光部30と、副発光部31と、スポット用発光部7と、主スイッチ8と、副スイッチ9と、スポット用スイッチ10とが実装され、それぞれが基板23表面に形成された図示しない配線によって電気的に接続されている。
【0025】
主発光部30は、基板23の長辺に沿って一直線状に配置された複数(本図では、6個)のLED(Light Emitting Diode)で構成されており、前記導光体26の一辺に向かって光を照射する。この主発光部30は、前記反射板25と導光体26とにより、主照明部6を構成する。
【0026】
副発光部31は、基板23の四隅にそれぞれ1個ずつ(合計4個)配置されたLEDで構成され、基板23の外方に向かって光を照射し得るように設けられている。
【0027】
また、スポット用発光部7は、主発光部30が形成されていない長辺の略中央に配置され、車室内に向かってスポット光を照射する。このスポット用発光部7の内側には、スポット用スイッチ10が配置されていると共に、両側にそれぞれ主スイッチ8と副スイッチ9とが設けられている。
【0028】
上記のように構成された基板23は、図5に示すように、ハウジング22内に配置され、当該ハウジング22と上部ケース24とが嵌合されることにより、ハウジング22と上部ケース24に一体化される。これにより、副発光部31は、ハウジング22の周縁の内側、すなわち四隅にそれぞれ配置される。
【0029】
ここで、上部ケース24の設置凹部27には、取付けた導光体26の一辺側に挿通穴33が設けられている。当該挿通穴33には、基板23に設けられた主発光部30が挿通される。これにより、主発光部30は、導光体26の一辺に向かって光を照射し得る。
【0030】
次に、図6を参照して、本発明の特徴的部分について説明する。本図は、車室の天井4に設置された照明装置1の角部1R(図1)の縦断面図(図1に示すA−A断面図)である。なお、角部1Rの構成は、四隅で異ならないので、以下では、右下の角部1Rを例にとって説明する。
【0031】
照明本体2は、角部1Rにおいて、一体化されたハウジング22と上部ケース24により形成される。このうち、上部ケース24は光の透過性を有さず、ハウジング22のみが光の透過性を有する樹脂で形成されている。したがって、ハウジング22の角部22Rが副発光部31の光を受光する受光部35となる。本実施形態の場合、受光部35は、厚さが一様に形成されている(図7(A))。
【0032】
照明装置1は、天井4に形成された凹部36に設置される(図6)。この場合、当該凹部36の外縁36aと前記受光部35の外縁35aとの間には所定の隙間tが形成されるように構成されている。本実施形態の場合、凹部36の外縁36aは、緩やかに湾曲して天井4の表面に接続されている。受光部35の外縁35aは、湾曲して形成された凹部36の外縁36aより車室側へ突出してなる。
【0033】
また、副発光部31は、上部ケース24の裏面に設けられた仕切部37内に配置される。仕切部37は、副発光部31を囲むように基板23の内側を囲むように形成されている。この仕切部37により、副発光部31の光が導光体26および車室側へ漏れるのを防ぐことができる。
【0034】
このように構成された照明装置1において、副発光部31がオンされると、副発光部31は照明本体2の外方へ向かって光を照射する。当該光は、受光部35を伝播し、当該受光部35の外縁35aと凹部36の外縁36aとの間の隙間tを通じて、前記天井4の表面に向かって照射される。
【0035】
(2)作用および効果
本発明に係る照明装置1は、各スイッチがオンオフされることにより、所望の光を車室内に照射し得る。例えば、主スイッチ8がオンされると、主発光部30が発光する。当該主発光部30から出射された光は、導光体26の一辺に入射する。これにより、当該光は導光体26内を一辺から他辺に向かって伝播し、レンズ3を透過して車室内に照射される。なお、導光体26は、反射板25に重ねられていることにより、導光体26内を伝播する光が反射板25によってレンズ3へ反射される。これにより、照明装置1は、主発光部30の光を、効率的に車室内に照射することができる。
【0036】
同様に、スポット用スイッチ10がオンされると、スポット用発光部7が発光する。当該スポット用発光部7から出射された光は、レンズ3を透過して車室内にスポット光として照射される。
【0037】
また、副スイッチ9がオンされると、副発光部31が発光する。当該副発光部31から出射された光は、照明本体2の角部におけるハウジング22の受光部35に向かって進行する。受光部35は、光の拡散性と透過性を有することにより、光が内面から外面に向かって拡散しながら透過する。
【0038】
受光部35は、外縁35aが湾曲して形成された凹部36の外縁36aより車室側へ突出している。これにより、前記光は、当該受光部35の外面から天井4の表面、すなわち照明本体2の外縁近傍へ照射される。ここで、受光部35は、拡散性と透過性を有する樹脂で形成されていることにより、副発光部31の光を拡散することができる。したがって、照明装置1は、より広範囲にわたって車室内および天井4の表面に光を照射することができる(図7(B))。
【0039】
本発明に係る照明装置1は、ハウジング22が光の拡散性と透過性を有する樹脂で形成され、当該ハウジング22の角部に設けた受光部35で副発光部31の光を受光し、車室内へ照射する構成とした。これにより、照明装置1は、照明装置1の周囲、すなわち照明本体2の外縁近傍を照射するために、従来に比べてU字状の導光体を省略することができるので、その分、部品点数を削減することができると共に、部品構造を簡素化することができる。したがって、照明装置1は、軽量化、およびコストの低減を実現することができる。
【0040】
また、ハウジング22は、拡散剤を含む樹脂で形成したことにより、光を効率的に拡散することができるので、より広範囲に光を照射することができる。
【0041】
また、本発明に係る照明装置1は、光の透過性を有さない上部ケース24で副発光部31を覆い、当該副発光部31により照明本体2の外縁近傍を照射し得るように構成されている。これにより、副発光部31は、車室内のユーザから視認できない位置に配置される。したがって、照明装置1は、副発光部31を間接照明として使用することができ、より装飾効果を向上することができる。
【0042】
(3)変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、受光部35は、厚さが一様に形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、形状を変えることで副発光部31の光を所望の形態として照射することができる。
【0043】
例えば、図8(A)に示すように、凹レンズ状に形成されることとしてもよい。このように、受光部39が凹レンズ状に形成されることにより、照明装置1は、同図(B)に示すように、照射領域Aを拡散させた形状とすることができる。
【0044】
また、受光部40は、図9(A)に示すように、凸レンズ状に形成されることとしてもよい。これにより、照明装置1は同図(B)に示すように、照射領域Aを一方向へより集中させることができる。
【0045】
また、受光部41は、図10(A)に示すように、凹凸や波形状に形成されることとしてもよい。これにより、照明装置1は同図(B)に示すように、照射領域Aをゆらぎなど所望の形状に変化させることができる。
【0046】
さらに、受光部42は、図11(A)に示すように、フィルター部材43が設けられることとしてもよい。これにより、照明装置1は同図(B)に示すように、遮光板43で光を遮断したり、フィルター部材43に光を透過させたりすることにより、照射領域Aを色の濃淡や模様を有するようにすることができる。
【0047】
また、受光部は、図8〜図11に示す形態を二以上組み合わせることとしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、主発光部30は、LEDを複数一直線状に配置して構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、蛍光灯や電球を用いることとしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、副発光部31は、LEDを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、電球を用いることとしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、照明装置1は、主発光部30およびスポット用発光部7が設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、主発光部30およびスポット用発光部7を省略して副発光部31のみを備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 照明装置
4 天井
22 ハウジング
30 主発光部
31 副発光部
35 受光部
43 フィルター部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内の天井に取付けられる自動車の室内照明装置において、
前記車室内に向かって照射する主発光部と、
前記天井の表面に向かって照射する副発光部と、
前記主発光部と前記副発光部とを保持するハウジングと
を備え、
前記副発光部は、前記ハウジングの周縁の内側に配置され、
前記ハウジングの周縁は導光機能を有し、
前記副発光部から出射される光が前記ハウジングの周縁を介して前記天井の周囲に向かって照射される
ことを特徴とする自動車の室内照明装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、平面視において略方形に形成され、
前記副発光部は前記ハウジングの四隅に配置された
ことを特徴とする請求項1記載の自動車の室内照明装置。
【請求項3】
前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、
前記受光部は、厚肉形状を有していることを特徴とする請求項1または2記載の自動車の室内照明装置。
【請求項4】
前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、
前記受光部は、肉厚方向に変化を有していることを特徴とする請求項1または2記載の自動車の室内照明装置。
【請求項5】
前記ハウジングの周縁は、前記副発光部から出射された光を受光して拡散する受光部を有し、
前記受光部は、フィルター部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の自動車の室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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