説明

自動車用のグローブボックス

【課題】箱入りティッシュペーパーや冊子状収納物に対して広い支持面と高い支持強度を確保することができ、支持部の根元に高い剛性を持たせることができて支持部の根元からの変形や白化を防ぐことができるグローブボックスを提供する。
【解決手段】自動車のインストルメントパネル1に設けられている自動車用のグローブボックスであって、箱入りティッシュペーパー20を載置支持可能で、かつ、車両前方側Frの奥壁13との間に冊子状収納物30を挟み込み支持可能な中空箱状の支持部10が側壁11から幅方向内側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインストルメントパネルに設けられている自動車用のグローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のグローブボックスには箱入りティッシュペーパーと冊子状収納物の両方を同時に収納できるようにしたものがある。
従来、この種のグローブボックスでは、特許文献1に開示されているように、車両前方側の奥壁との間に冊子状収納物を挟み込み支持する突出片を奥壁から断面L字状に突出させ、箱入りティッシュペーパーを載置支持する棚状の支持片を前記突出片の後面から突出させてあった。
この構造によれば、グローブボックスという限られたスペースに箱入りティッシュペーパーと冊子状収納物を使い勝手良く収納することができて効率的な収納が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−22167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構造によれば、冊子状収納物や箱入りティッシュペーパーを前記突出片や支持片で支持していたために支持強度が弱かった。
また、突出片の根元に負荷がかかりやすく、突出片が変形したり突出片の根元が白化したりする虞があった。
さらに、突出片からの支持片の突出量を大きく(長く)すると、成形の際に樹脂材が型内で十分に流れないために前記突出量を大きくすることができなかった。その結果、突出片からの支持片の突出長さが短くなって支持面が小さくなり、支持片による箱入りティッシュペーパーの支持が不安定になりやすかった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、箱入りティッシュペーパーや冊子状収納物に対して広い支持面と高い支持強度を確保することができ、支持部の根元に高い剛性を持たせることができて支持部の根元からの変形や白化を防ぐことができる自動車用のグローブボックスを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
インストルメントパネルに設けられている自動車用のグローブボックスであって、
箱入りティッシュペーパーを載置支持可能で、かつ、車両前方側の奥壁との間に冊子状収納物を挟み込み支持可能な中空箱状の支持部が側壁から幅方向内側に突出している点にある。(請求項1)
【0006】
この構成によれば、側壁から幅方向内側に突出する支持部が箱入りティッシュペーパーを載置支持し、前記支持部が車両前方側の奥壁との間に冊子状収納物を挟み込んで支持する。
前記支持部は中空箱状に形成されているから、箱入りティッシュペーパーや冊子状収納物に対して広い支持面と高い支持強度を確保することができる。また、支持部の根元に高い剛性を持たせることができ、支持部の根元からの変形や白化を防ぐことができる。しかも、側壁の側面の剛性を上げることができて振動等によるグローブボックスの変形を抑制することができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記支持部は両側壁から幅方向内側にそれぞれ突出していると、グローブボックスの開閉時にたとえグローブボックスの側壁が内部に向けて撓んだとしても、支持部が冊子状収納物を押える方向に傾くので、開閉時の振動で冊子状収納物が浮き上がるのを防ぐことができる。また、グローブボックスを開いた時には側壁の撓みが延びる方向に引っ張られるので、冊子状収納物の押さえ力が解除されて冊子状収納物を容易に取り出すことができる。(請求項2)
【0008】
本発明において、
前記支持部は縦断面において縦長の長方形状に形成されていると、支持部の冊子状収納物に対する挟み込み支持面を、支持部の箱入りティッシュペーパーに対する載置支持面より大きくすることができ、冊子状収納物の姿勢を崩すことなく冊子状収納物を確実に挟み込み支持することができる。(請求項3)
【0009】
本発明において、前記グローブボックスの両側壁間に前記箱入りティッシュペーパーが嵌合する構成によれば、幅方向で箱入りティッシュペーパーを規制することができ、箱入りティッシュペーパーのがたつきを少なくすることができる。(請求項4)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、
箱入りティッシュペーパーや冊子状収納物に対して広い支持面と高い支持強度を確保することができ、支持部の根元に高い剛性を持たせることができて支持部の根元からの変形や白化を防ぐことができ、側壁の側面の剛性を上げることができて振動等による変形を抑制することができる自動車用のグローブボックスを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】グローブボックスを収納したインストルメントパネルの斜視図
【図2】開放したグローブボックスの斜視図
【図3】箱入りティッシュペーパーと冊子状収納物を収納したグローブボックスの縦断側面図
【図4】箱入りティッシュペーパーを収納したグローブボックスの縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に自動車のインストルメントパネル1を示してある。インストルメントパネル1は車室内の車体前部および側部に取付けられる合成樹脂製の一体成形品であり、運転席および助手席(図示せず)の前方に配設されている。
【0013】
このインストルメントパネル1は車室内のほぼ全幅にわたる長さに設定されており、車幅方向の中央部にカーステレオ3(オーディオ類)・エアコン4(空調機器)などの操作系パネルが集約して配置され、助手席と対向する箇所の下方に下側の横軸芯O(図3参照)周りに揺動開閉するグローブボックス2が配置され、グローブボックス2の上方に後側が開口した横長のアッパーボックス6が配置されている。
【0014】
図2,図3に示すように、グローブボックス2は全開状態で上側が開口した縦断側面視V字状に形成されており、後ろ上がりに傾斜する車両後方側Rrの傾斜壁が蓋部12に構成されている。蓋部12の表側の面(車両後方側Rrの面、乗員に対向する面)はグローブボックス2の意匠面となっている。
【0015】
前記全開状態での蓋部12の鉛直方向に対する傾斜角はほぼ45度に設定されている。また、蓋部12の幅方向の端部と奥壁13の幅方向の端部とに三角形状の側壁11が架け渡され、側壁11の外面と蓋部12の裏面(車両前方側Frの面)に複数の補強リブ11Lが架け渡されている。この補強リブ11Lにより側壁11の強度を強くすることができる。
【0016】
前記全開状態で奥壁13は後ろ下がりに少し傾斜し、奥壁13の下端部と蓋部12の下端部との接続部がほぼ水平な底壁部12Aに構成されている。後述のように前記底壁部12Aに車検証や取り扱い説明書などの冊子状収納物30の周部が載置される。
【0017】
また、奥壁13の前面(車両前方側Frの面)の下端部に下側開放の横方向に沿う軸受け部25が一体に成形されている。この軸受け部25にインストルメントパネル1側から突出する横軸部が嵌合し、横軸部の軸芯O周りにグローブボックス2が揺動開閉する。蓋部12には、グローブボックス2を閉じ状態に保つためのロック機構18を有するノブ装置14が設けられている。
【0018】
[箱入りティッシュペーパー20と冊子状収納物30の収納構造]
図3,図4に示すように、グローブボックス2は箱入りティッシュペーパー20と冊子状収納物30を同時に収納可能に構成されている。箱入りティッシュペーパー20は旧JIS S3104において規格化されている横長の直方体状の市販品であり、長手方向が車幅方向に沿うようにグローブボックス2に収納される(上記の規格以外の箱入りティッシュペーパーであってもよい)。
【0019】
箱入りティッシュペーパー20と冊子状収納物30の収納構造について詳述すると、図2にも示すように、蓋部12の幅方向中央部に上側に膨出する膨出部27,28が蓋部12の下端部側から上端部側にわたって延びている。底部側の膨出部27の膨出量は短く(小さく)設定され、前記膨出量よりも膨出部27の幅が長く設定されている。蓋部12の中央側の膨出部28は底部側の膨出部27よりも膨出量及び幅が長く設定され、前記中央側の膨出部28に箱入りティッシュペーパー20の後側支持部19が形成されている。
【0020】
図3に示すように、後側支持部19は段差状に形成されており、前記全開状態で水平な段差面21を備えている。そして、前記水平な段差面21が、箱入りティッシュペーパー20の底部の後側コーナー部のうち幅方向中央側のコーナー部分C1を載置支持する。さらに、水平な段差面21から起立する段差面23が、前記コーナー部分C1の後面(車両後方側Rrを向く面)を受け止め支持する。
【0021】
また、図2〜図4に示すように、箱入りティッシュペーパー20の底部の前側コーナー部のうち幅方向の端部のコーナー部分C2を載置支持する左右一対の前側支持部10(支持部に相当)がグローブボックス2の両側壁11から幅方向内側に各別に突出している。
これにより、前記全開状態において箱入りティッシュペーパー20のティッシュ取出し口が手前(乗員側)に向くため、乗員にとって使用しやすくすることができる。すなわち、乗員がグローブボックス2を開くと、収納した箱入りティッシュペーパー20の上面が車室内側に向くので、運転席に着座した乗員でもティシュペーパーを容易に取出すことができる。
【0022】
前側支持部10は縦断面において縦長の長方形状の中空箱状に形成され、前後両壁10A,10Bと上下両壁10C,10Dと端部壁10Eを備えている。端部壁10Eは、前後両壁10A,10Bと上下両壁10C,10Dの突出端部同士を連結している。前後両壁10A,10Bは上方とグローブボックス2の幅方向中央側(内側)に向かって窄まる先窄まり状に形成されている。
【0023】
前側支持部10は、さらに、車両前方側Frの奥壁13との間に冊子状収納物30を挟み込み支持可能に構成されている。つまり、前側支持部10は、箱入りティッシュペーパー20を載置支持可能で、かつ、車両前方側Frの奥壁13との間に冊子状収納物30を挟み込み支持可能に構成されている。冊子状収納物30は、グローブボックス2の奥壁13の下端部と蓋部12の下端部との間のほぼ水平な底壁部12Aにその周部(冊子状収納物30の周部)が載置される(図3参照)。
【0024】
上記の構成によれば、前側支持部10を中空箱状に形成してあるから、箱入りティッシュペーパー20や冊子状収納物30に対して広い支持面と高い支持強度を確保することができる。また、前側支持部10の根元に高い剛性を持たせることができ、前側支持部10の根元からの変形や白化を防ぐことができる。しかも、側壁11の側面の剛性を上げることができて振動等によるボックスの変形を抑制することができる。
【0025】
グローブボックス2の両側壁11の幅は箱入りティッシュペーパー20の長さ(長手方向の長さ)に合わせて、箱入りティッシュペーパー20がグローブボックス2の両側壁11間に緩やかに嵌合するよう構成してある。
これにより、幅方向で箱入りティッシュペーパー20を規制することができ、箱入りティッシュペーパー20のがたつきを少なくすることができる。そして、両側壁11のいずれにも前側支持部10を設けることができる。その結果、グローブボックス2の開閉時にたとえグローブボックス2の側壁11が内部に向けて撓んだとしても、前側支持部10が冊子状収納物30を押える方向に傾く為、開閉時の振動で冊子状収納物30が浮き上がるのを防ぐことができる。また、グローブボックス2を開いた時には側壁11の撓みが延びる方向に引っ張られる為、冊子状収納物30の押さえ力が解除されて冊子状収納物30を容易に取り出すことができる。
【0026】
そして、前側支持部10を縦断面において縦長の長方形状の中空箱状に形成してあるから、前側支持部10の冊子状収納物30に対する挟み込み支持面を、前側支持部10の箱入りティッシュペーパー20に対する載置支持面より大きくすることができ、冊子状収納物30の姿勢を崩すことなく冊子状収納物30を確実に挟み込み支持することができる。
【0027】
前記前側支持部10の上壁10Cと下壁10Dと前壁10Aと後壁10Bの隣り合うもの同士の接続部は断面円弧状に形成されている。これにより、冊子状収納物30の出し入れを容易にすることができる。本発明では前側支持部10を中空箱状に形成してあるから、例えば板状に形成されている構造に比べて前記円弧の半径を大きく設定することができて、冊子状収納物30の出し入れをより容易にすることができる。
【0028】
また、前側支持部10をグローブボックス2に一体成形したことにより、部品点数や組付け工数の増加を回避することができる。
【0029】
そして、グローブボックス2に箱入りティッシュペーパー20と冊子状収納物30の収納スペースが形成されるため、グローブボックス2という限られたスペースに複数の物品(箱入りティッシュペーパー20と冊子状収納物30)を使い勝手良く収納することができて効率的な収納が可能になる。
【0030】
[別実施形態]
前記前側支持部10は左右一方の側壁11だけから突出していてもよく、両側壁11間に架設されていてもよい。前側支持部10が両側壁11間に架設されていると側壁11の剛性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 インストルメントパネル
10 支持部(前側支持部)
11 側壁
13 奥壁
20 箱入りティッシュペーパー
30 冊子状収納物
Fr 車両前方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルに設けられている自動車用のグローブボックスであって、
箱入りティッシュペーパーを載置支持可能で、かつ、車両前方側の奥壁との間に冊子状収納物を挟み込み支持可能な中空箱状の支持部が側壁から幅方向内側に突出している自動車用のグローブボックス。
【請求項2】
前記支持部は両側壁から幅方向内側にそれぞれ突出している請求項1記載の自動車用のグローブボックス。
【請求項3】
前記支持部は縦断面において縦長の長方形状に形成されている請求項1又は2記載の自動車用のグローブボックス。
【請求項4】
前記グローブボックスの両側壁間に前記箱入りティッシュペーパーが嵌合する請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動車用のグローブボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−68277(P2011−68277A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221723(P2009−221723)
【出願日】平成21年9月26日(2009.9.26)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】