説明

自動車用フロアマットおよびその製造方法

【課題】裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とを接着した自動車用フロアマットにおいて、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することを課題とする。
【解決手段】裏面10bにパイル12による起伏を有するカーペット層10と、該カーペット層の裏側に配置された通気性の防水層30と、前記カーペット層の裏面10bと前記防水層30とを接着した接着層20とを少なくとも有し、前記接着層20が網目状または線状に形成された、自動車用フロアマット100。また、前記カーペット層の裏面10bまたは前記防水層30に対して接着剤22を押出機M10から押し出して付着させ、前記接着層20を網目状または線状に形成しながら前記カーペット層の裏面10bと前記防水層30とを接着してフロアマット100を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット層と通気性の防水層とを接着した自動車用フロアマット、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロアパネルの乗員室内側は、フロアパネル形状に追従するよう成形されたフロアカーペットを敷設することによって乗員室内が装飾されるとともに、自動車室外からの騒音を遮音や吸音する機能が付与されている。また、フロアカーペット上には、乗員の靴等に付着した土や砂等によってフロアカーペットが汚れることを防止したり、乗員の靴等に付着した雨水や乗員がこぼした飲料水などがフロアカーペットに付着することによる汚れやフロアカーペット内に設けた吸音層に達することによる吸音機能の低下や悪臭の発生などを防止したりするために、遮水機能を有したフロアマットが敷設されている。
上記フロアマットとして、カーペット層の裏面にゴム系樹脂材料を裏打ちして非通気性としたフロアマットが知られている。このようなフロアマットでは、車室内の音が非通気性のフロアマットで反射されるため、フロアマットの下にあるフロアカーペットの吸音性能が阻害されてしまう。そこで、フロアカーペット上に設置されるフロアマットにも通気性を持たせて自動車室内の静粛性を高める検討が行なわれている。ここで、フロアマットを通気性にすると水分等がフロアマットを透過するため、通気性のフロアマットに耐水性を付与する検討が行なわれている。
【0003】
特許文献1の図6に示される自動車用フロアマットは、表面層を構成する多孔質体層としてカーペット層(21)を備え、裏面層を構成する多孔質体層として繊維径が10μm以下の極細繊維を含み樹脂が含浸された極細不織布層(23)を備え、カーペット層(21)と極細不織布層(23)との間に発泡体層(22)を備えている。カーペット層(21)と発泡体層(22)とは泡立てたラテックスがカーペット層に塗布されることにより接着され、発泡体層(22)と極細不織布層(23)とはホットメルト接着シート(25)を介して接着されている。また、同文献の図7に示されるフロアマットは、裏面層を構成する多孔質体層として露出面に凹凸を有する発泡体層(24)を更に備えている。
【0004】
特許文献2の図1に示される自動車フロアー用構造体は、カーペット層(11)、通気防水層(12)、フェルト層(13)を順に積層して構成されている。同文献の段落0014には、カーペット層と通気防水層を接着する場合、カーペット層の裏面に粉体のホットメルトを散布し、またはホットメルトをスプレー塗布することにより接着部を点状に形成することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−40018号公報
【特許文献2】特許第3422698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術では、カーペット層と極細不織布層との間に発泡体層が設けられていることによりフロアマット全体の通気性が低下し、吸音性能も低下する。また、前記発泡体層によって、質量が増加し、製造工数やコストも増加する。
【0006】
自動車用フロアマットのカーペット層をタフテッドカーペットのように裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層とすると、該カーペット層または通気性の防水層に対してパウダー状のホットメルト(ホットメルト接着剤)を散布したり液状の接着樹脂をスプレーしたりする場合、接着層の通気性を十分に確保する量以下の接着剤ではカーペット層と防水層とを十分に接着させることができず、十分な耐剥離性が得られない。すなわち、カーペット層と防水層との十分な接着力を得るために接着剤の量を増やすと、必然的に通気性が低下し、所要の吸音性能が得られない。
また、防水層を撥水処理が施された不織布とすると、撥水処理を施していない不織布と比べて表面が滑らかとなることにより、また、撥水剤等の影響により、ホットメルト等の接着剤は防水層となじみ難くなると考えられる。従って、カーペット層または通気性の防水層に対してパウダー状のホットメルトを散布したり液状の接着樹脂をスプレーしたりする場合、接着層の通気性を十分に確保する量以下の接着剤ではカーペット層と防水層とを十分に接着させることができないと推察され、十分な耐剥離性が得られない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とを接着した自動車用フロアマットにおいて、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用フロアマットは、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と、該カーペット層の裏側に配置された通気性の防水層と、前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着した接着層とを少なくとも有し、前記接着層が網目状または線状に形成されたことを特徴とする。
裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層の裏面は、粉状の接着剤を散布したり液状の接着剤を噴霧したりすることによっては接着層の十分な通気性および防水層との十分な接着力を同時に得ることができない。本接着層は網目状または線状に形成されているので、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とが十分に接着され、かつ、接着層の通気性が十分に確保される。従って、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットが提供される。
【0009】
また、本発明は、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と、該カーペット層の裏側に配置される通気性の防水層と、前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着する接着層と、を少なくとも有する自動車用フロアマットの製造方法であって、前記カーペット層の裏面または前記防水層に対して接着剤を押出機から押し出して付着させ、前記接着層を網目状または線状に形成しながら前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着してフロアマットを製造することを特徴とする。
本製造方法により、カーペット層の裏面と防水層とを接着する接着層が網目状または線状に形成される。これにより、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とが十分に接着され、かつ、接着層の通気性が十分に確保される。従って、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを製造することができる。
【0010】
なお、請求項2〜請求項5に記載した構成を自動車用フロアマットの製造方法に適用可能であるし、請求項7に記載した構成を自動車用フロアマットに適用可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とを接着した自動車用フロアマットにおいて、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。
請求項2に係る発明では、タフテッドカーペット層と撥水性を付与させた不織布とを有しながら耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。
請求項3に係る発明では、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能が得られる好適な自動車用フロアマットを提供することができる。
【0012】
請求項4に係る発明では、カーペット層側からフロアマットへ進む音がカーペット層と通気性の接着層と通気性の防水層とを通過して吸音層に進入するようにされているので、吸音性能を効果的に向上させることができる。
請求項5に係る発明では、第二の接着層は網目状または線状に形成されているので、通気性の防水層と吸音層とを十分に接着させることができ、第二の接着層の通気性を十分に確保することができる。従って、耐剥離性を適度に有するとともに吸音性能を効果的に向上させることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。
請求項6に係る発明では、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とを接着する自動車用フロアマットの製造方法において、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを製造することができる。
請求項7に係る発明では、自動車用フロアマットの製造効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)自動車用フロアマットの構成:
(2)自動車用フロアマットの製造方法:
(3)自動車用フロアマットの作用、効果:
(4)変形例:
(5)実施例:
【0014】
(1)自動車用フロアマットの構成:
図1は本発明の一実施形態に係る自動車用フロアマット100の要部を垂直断面にて示す図、図2はフロアマット100の製造方法を示す図である。自動車用フロアマットは、例えば、自動車のフロアパネル上に敷設されるフロアカーペット等の被載置物の上で乗員の足が頻繁に接触する部位に敷設され、フロアカーペット等の被載置物の磨耗を防止したり、乗員の靴の裏などに付着した雨水や泥などによりフロアカーペット等の被載置物が汚れることを防止したりする機能を有する。
フロアマット100は、裏面10bにパイル12による起伏を有するカーペット層10と、該カーペット層の裏側に配置された通気防水層(通気性の防水層)30と、前記カーペット層の裏面10bと前記防水層30とを接着した接着層20とを少なくとも有し、前記接着層20が網目状または線状に形成されている。本実施形態のフロアマット100は、上から下へ順に、カーペット層10、第一の接着層20、防水層30、第二の接着層40、吸音層50が積層され、耐水性能を有するとともに、吸音性能が付与されている。本フロアマットは、乗員の靴等に付着した土、泥、雨水、乗員がこぼした飲料水、等がフロアカーペットに付着してフロアカーペットが汚れることを防止する本来の基本的な機能を保持しつつ、発泡体層等を介在させなくても裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と撥水性の通気防水層とを剥離させないように接着させ、かつ、十分な通気性による高い吸音性を発現する。
【0015】
本実施形態のカーペット層10は、裏面10bにパイル12のバックステッチ12bを有するタフテッドカーペット層とされている。層10を構成するタフテッドカーペットは、タフティング機によって基布14の裏面からパイル糸のタフティングを行うことにより形成され、基布14の表面10a側に有効パイル12aが立設され、基布14の裏面に有効パイル12aの連結部となるバックステッチ12bが形成される。該バックステッチによって、カーペット層の裏面10bに凹凸形状が形成される。
基布14には、例えば、スパンボンド不織布等の各種の不織布、各種繊維の編織物、等、タフテッドカーペット用として公知の各種の不織布や織布を用いることができる。基布を構成する繊維には、ポリエステルやポリプロピレンやエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂からなる合成繊維等を用いることができる。基布の目付は、特に制限されないが、50〜150g/m2程度とすることができる。
【0016】
パイル12を構成するパイル糸には、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維等のポリエステル系の繊維、アクリル系の繊維、等の合成繊維等を用いることができる。これらの繊維の中から選ばれる一種以上の繊維を公知のタフティングマシンにより基布に刺し通して基布の表面にカットパイルやループパイルを形成すると、タフテッドカーペットが形成される。パイルの見かけ太さは、例えば500〜1500dtexとされる。パイルのタフティングの間隔は、例えば8〜10ゲージとされる。
カーペット層10は、通気性であればよいが、フロアマット100の通気性を十分に高くして吸音性能を十分に得る観点から、通気度が50cc/cm2/sec以上であると好ましく、100cc/cm2/sec以上であるとより好ましい。なお、本明細書の通気度は、JIS L1096に規定されたA法に従った通気度とする。また、本明細書の吸音性能は、ISO 10534-2に従った垂直入射吸音率で評価される。
【0017】
本実施形態の通気防水層30は、撥水性を付与させた不織布とされている。例えば、繊維で構成される不織布に対して通気性を保持させつつ耐水性を付与するように撥水処理を施すことにより、防水層30を構成する撥水性の不織布が形成される。不織布を構成する繊維には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、等の合成繊維等を用いることができる。不織布には、これらの繊維が単独で用いられてもよいし、これらの繊維の複数が組み合わされて用いられてもよく、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、等が好適に用いられる。不織布を構成する繊維の径は、防水層に良好な撥水性能を発揮させる観点から、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
【0018】
上記撥水処理は、フッ素系の撥水剤、シリコン系の撥水剤、等の撥水剤を含む溶液に不織布を含浸したり、前記溶液を不織布にコーティングしたり、前記溶液を不織布にスプレーしたり等することにより行われる。不織布に付着させる撥水剤の乾燥後の質量は、不織布の質量の3〜20%程度が好ましい。撥水剤の質量を不織布の質量の3%程度以上にすると、防水層の耐水圧が100mmH2O以上となってフロアマット100の一般的な使用状態において吸音層50やフロアマットの下のフロアカーペットへの水分の漏れを十分に防止することができるので好ましい。なお、本明細書の耐水圧は、JIS L1092に規定された耐水度試験(静水圧法)のA法に従った耐水圧とする。一方、撥水剤の質量を不織布の質量の20%程度以下にすると、カーペット層と防水層の間に十分な接着力を得ることができるので、好ましい。
むろん、フッ素系の撥水剤、シリコン系の撥水剤、等の撥水剤を予め全体または部分的にコーティングした繊維で構成される不織布が防水層に用いられてもよい。
【0019】
防水層30の耐水圧は、100mmH2O以上が好ましく、200mmH2O以上がより好ましい。耐水圧を前記下限以上にすると、フロアマットの一般的な使用状態において吸音層やフロアマットの下のフロアカーペットへの水分の漏れを十分に防止することができるので好ましい。なお、耐水圧の好ましい上限は特に無いが、防水層が通気性を有することにより実質的には耐水圧の上限が存在する。
また、防水層30の通気度は、10〜70cc/cm2/secが好ましく、20〜50cc/cm2/secがより好ましい。防水層の通気度を前記下限以上にすると、フロアマット100に十分高い吸音性を付与することができるので好ましい。防水層の通気度を前記上限以下にすると、フロアマットの一般的な使用状態において吸音層フロアマットの下のフロアカーペットへの水分の漏れを十分に防止することができるので好ましい。
【0020】
吸音層50は、通気防水層30における接着層20側の面30aとは反対側の面30bに積層されている。吸音層は、フロアマット100の吸音性能を高めるために適宜設定される通気性の層であり、防水層30においてカーペット層10に面する上側とは反対側の下面30bに表面50aが接着され、裏面50bがフロアカーペット等の被載置物上に載置される。
吸音層に用いられる材料は、特に限定されないが、合成繊維や反毛繊維からなり吸音性を有するフェルト等が好適に用いられる。フェルトの繊維の径は10〜40μm程度が好ましく、フェルトの見掛け密度は0.05〜0.25g/cm3程度が好ましい。吸音層を繊維を集合させて成形した層とする場合、該繊維には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、等の合成繊維を用いることができるとともに、レーヨン繊維、ガラス繊維等の無機繊維、カーボン繊維、さらに充てん材等の添加材を添加した材質の繊維、等も用いることができる。
吸音層の通気度は、20cc/cm2/sec以上が好ましく、50cc/cm2/sec以上がより好ましい。通気度が前記下限以上にすると、フロアマット100に十分高い吸音性を付与することができるので好ましい。
【0021】
ところで、タフテッドカーペットのように裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気防水層とを接着剤で接着する場合、カーペット層または防水層に対して粉状のホットメルト接着剤を散布したり液状の接着剤をスプレーしたりしても、接着層の通気性を十分に確保する量以下の接着剤ではカーペット層と防水層とを十分に接着させることができない。これは、カーペット層裏面の凹凸が激しく、カーペット層または防水層に対して接着剤が点状に付着しているだけでは十分な接着力が得られないためと考えられる。特に、タフテッドカーペットでは意匠性を向上させるため質量の大きいパイル糸が使用されて基布の裏面に起伏の激しいバックステッチが形成されるため、接着力が得られない傾向が強い。その結果、フロアマットの各層を剥離させるときの力を実測する剥離試験で十分高い実測値が得られず、フロアマットに十分な耐剥離性が得られない。なお、カーペット層と防水層との接着力を十分高めるために接着剤の量を増やすと、通気性が低下し、十分な吸音性能が得られない。
また、防水層に撥水性を付与する処理を施した不織布を用いると、該処理を施していない不織布と比べて表面が滑らかとなることにより接着剤が防水層となじみ難くなり、撥水剤の影響によっても接着剤が防水層となじみ難くなると考えられる。このことからも、フロアマットに十分な耐剥離性が得られないことになると推察される。
【0022】
そこで、本フロアマットの接着層20を網目状または線状に形成することにより、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能なフロアマットが製造されるようにしている。
【0023】
本実施形態の接着層20は、網目状または線状に繋がって形成されている。これにより、接着層20で十分な通気性が確保され、かつ、カーペット層と防水層との接着力が十分に得られる。従って、裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と撥水性を付与させた不織布とを有しながら耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。
【0024】
図1〜図3に示す接着層20は、通気防水層30のカーペット層に面する側の表面30aに液状(溶融状態を含む)のホットメルト等の接着剤22を格子状(網目状の一種)に塗布することによって形成される。接着層を格子状等の網目状に形成することによって、タフテッドカーペット層のバックステッチによる起伏や撥水剤による防水層の接着剤に対するぬれ性の低下があっても、接着層のためにフロアマットの通気性が阻害されず、吸音性能を保持しつつカーペット層と通気防水層とを接着することができる。また、接着剤の使用量が少なくて済むので、フロアマットの質量を低減することが可能となるとともに、製造コストを削減することが可能となる。
【0025】
接着層20を構成する接着剤22には、良好な接着性を得、カーペット層または防水層への塗布を容易にさせ、低価格である観点からポリオレフィン系のホットメルトが好適に用いられるが、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、等のホットメルトを用いてもよいし、ホットメルト以外の接着剤を用いてもよい。ホットメルトは、常温では固体であるが、加熱溶融し、溶融状態で被着材の面に塗付されて冷却されると固化し、固体状態での接合を形成する熱可塑性接着剤である。接着剤にホットメルトが用いられる場合、図3に示すような樹脂押出機M10に加熱機構が設けられ、該加熱機構でホットメルトが加熱溶融されてノズルM12から押し出される。
カーペット層または防水層へ付着させるときの接着剤22の粘度は、1000〜50000mPa・sと高粘度が好ましく、5000〜20000mPa・sがより好ましい。なお、本明細書の粘度は、JIS K6862に規定されたA法に従った粘度とする。溶融状態のホットメルトがノズルから押し出される場合、前記粘度は前記ノズルから押し出される溶融状態のホットメルトの粘度となる。粘度を前記下限以上にすると、カーペット層または防水層に付着した接着剤は該層上でほとんど広がることがないため、カーペット層と防水層の間で十分な接着力が得られる。また、ノズルから押し出された接着剤は切断されることなく連続的になるので、好ましい。粘度を前記上限以下にすると、接着剤をノズルから容易に押し出してカーペット層または防水層へ付着させることができるので好ましい。
【0026】
カーペット層の裏面または防水層に付着させる接着剤22の塗布量は、100〜300g/m2が好ましく、150〜200g/m2がより好ましい。塗布量を前記下限以上にすると、カーペット層の裏面の起伏による該カーペット層と防水層との間の空間が接着剤で埋められて良好な接着力が得られ、また、撥水性の防水層とも良好な接着力が得られ、自動車フロアマットの通常の使用において剥がれが生じることを防止できるので好ましい。塗布量を前記上限以下にすると、フロアマットの質量を低減することができ、カーペット層への接着剤の染み出しが生じないので好ましい。
【0027】
防水層とカーペット層とを貼り合わせる前の接着剤22の径(高さ)d1は、1〜5mm程度が好ましい。接着剤をノズルから押し出す場合、d1は該ノズルの内径に相当する。また、カーペット層と防水層とを貼り合わせる前のバックステッチ12bの厚み(図1のT1)に対する接着剤の径d1の比d1/T1は、0.3〜1.5が好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。径を1mm程度以上にしたり比d1/T1を前記下限以上にしたりすると、カーペット層の裏面の起伏による該カーペット層と防水層との間の空間が接着剤で埋められて良好な接着力が得られ、また、撥水性の防水層とも良好な接着力が得られ、自動車フロアマットの通常の使用において剥がれが生じることを防止できるので好ましい。径を5mm程度以下にしたり比d1/T1を前記上限以下にしたりすると、フロアマットの質量を低減することができ、カーペット層への接着剤の染み出しが生じないので好ましい。
【0028】
カーペット層の裏面または防水層に対して図3に示すように押出機M10の複数のノズルM12から接着剤22を並行して押し出して付着させる場合、並行する接着剤22の配置間隔C1は、5〜60mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。なお、カーペット層と防水層とを貼り付ける前における接着剤22同士の隙間の幅は、略C1−d1となる。また、接着剤の径d1に対する接着剤の配置間隔C1の比C1/d1は、2.0〜60.0が好ましく、3.0〜30.0がより好ましい。間隔C1を前記下限以上にしたり比C1/d1を前記下限以上にしたりすると、フロアマットの通気性が良好に保たれ、接着層20により吸音性が低下しないので好ましい。間隔C1を前記上限以下にしたり比C1/d1を前記上限以下にしたりすると、フロアマットに局所的な皺による意匠性の低下が起こらなくなり、十分な接着力が得られてフロアマットの使用時にカーペット層が防水層から剥離するような不具合の発生が防止されるので好ましい。
本実施形態では、ノズルM12から並行して押し出された接着剤22を交差させることによりカーペット層の裏面または防水層に対して菱形の格子状の網目状に付着させている。これにより、カーペット層と防水層とが剥離されやすい向きが生じなくなり、フロアマットの耐剥離性が向上する。
【0029】
以上説明したように、接着層20は、カーペット層の裏面10bまたは防水層30に対して接着剤22を押出機M10でノズルM12から連続して押し出して網目状または線状に付着させ、カーペット層の裏面10bと防水層30とを接着させることにより形成される。本接着層20は、1000〜50000mPa・sと高粘度の接着剤が押出機のノズルから連続して押し出されて網目状または線状に繋がって形成されるので、十分な通気性が確保され、かつ、カーペット層と防水層との十分な接着力がより確実に得られる。従って、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能が得られる好適な自動車用フロアマットを提供することができる。
【0030】
第二の接着層40は、防水層30と吸音層50との間で該防水層と該吸音層とを接着した層であればよく、種々の接着剤で構成可能である。図1と図2に示した例では、吸音層の表面50aに対して粉状のホットメルト接着剤42を散布して防水層30と吸音層50とを加熱しながら貼り合わせることにより該防水層と該吸音層とが点状に接着されることが示されている。これにより、第二の接着層で通気性が失われないようにされ、フロアマットの通気性が保たれ、吸音性能が高められる。むろん、図4〜図8に示すように、第二の接着層40も第一の接着層20と同じく網目状または線状に形成されてもよい。第二の接着層40に用いられる接着剤42には、上記接着剤22と同様の接着剤を用いることができる。
【0031】
上述した各層を積層したフロアマット100全体では、通気度3.0cc/cm2/sec以上かつ耐水圧100mmH2O以上が好ましく、通気度10cc/cm2/sec以上かつ耐水圧200mmH2O以上がより好ましい。通気度および耐水圧が前記下限以上になると、高い吸音性と高い防水性が同時に得られ、良好な吸音性能とフロアカーペットに対する良好な防汚性能とを両立することができるので好ましい。なお、フロアマットが通気性を有することにより実質的に耐水圧の上限が存在し、フロアマットが耐水性(防水性)を有することにより実質的に通気度の上限が存在する。
【0032】
(2)自動車用フロアマットの製造方法:
図2に示す製造方法では、まず、カーペット層10用のカーペットを形成し、防水層30用の通気防水シート(例えば撥水性の不織布)を成形し、吸音層50用の吸音材(例えば吸音性を有するフェルト)を成形する。次に、吸音材における防水層側の面(上面50a)の全体に接着剤42を付着させ、該上面50aに通気防水シートを貼り付けて、第二の接着層40を形成させながら吸音層50と防水層30とを一体化する。吸音材と通気防水シートとを貼り合わせたとき、適宜、積層体を加熱しながら、接着面50a,30bとは垂直な方向に圧縮する所定の力を積層体に加え、確実に吸音層と防水層とが接着されるようにする。むろん、プレス成形のような熱成形により積層体を形成してもよい。
【0033】
さらに、図3に示すように、カーペット層側の面(上面30a)を上に向けた前記層30,40,50の積層体をコンベア(移送機構M30)に載置し、該コンベアにて前記積層体を防水層の上面30aに並行する所定の移動方向D1(好ましくは水平方向)へ一定速度で移動させる。ここで、防水層30の上で上面30aに並行し移動方向D1と交差する方向D2(好ましくは水平方向)へ押出機M10を押出機駆動機構M20にて一定速度で往復移動させる。押出機のノズルM12は、前記積層体の幅に相当する距離を往復移動するようにされている。そして、押出機M10でノズルM12から接着剤22を下方へ押し出して防水層30に対して格子状(網目状)または線状となるように付着させる。なお、ノズルが複数有れば接着層が格子状に形成され、ノズルが単数であれば接着剤が1本の折れ線状に形成される。これにより、防水層の上面30aに対して接着剤22が一定間隔を空けて塗布される。なお、前記積層体の送り速度を調整する機構がコンベアM30に設けられ、押出機M10の移動速度を調整する機構が押出機駆動機構M20に設けられ、接着剤の吐出量や吐出速度を調整する機構が押出機M10に設けられている。そこで、前記積層体の送り速度、押出機M10の移動速度、接着剤の吐出量や吐出速度、を調整することによって、接着剤22の塗布量、間隔、形状、等を調節することができる。
その後、防水層の上にカーペットを載せてカーペット層の裏面10bと防水層の上面30aとを接着すると、格子状または線状の接着層20を有する自動車用フロアマットが形成される。積層体とカーペットとを貼り合わせたとき、適宜、積層体を加熱しながら、接着面30a,10bとは垂直な方向に圧縮する所定の力を積層体に加え、確実に防水層とカーペット層とが接着されるようにする。むろん、プレス成形のような熱成形によりフロアマットを形成してもよい。
【0034】
以上説明したようにして、接着層を網目状または線状に形成しながらカーペット層の裏面と防水層とを接着してフロアマットを製造することができる。そして、本製造方法により、自動車用フロアマットの製造効率を向上させることができる。
【0035】
(3)自動車用フロアマットの作用、効果:
上記接着層20は網目状または線状に形成されているので、裏面10bにパイルによる起伏を有するカーペット層10と通気性の防水層30とが十分に接着され、かつ、接着層20の通気性が十分に確保される。これにより、防水層30の通気性が阻害されず、カーペット層側からフロアマットへ進む音がカーペット層と通気性の接着層と通気性の防水層とを通過して吸音層に進入するので、車室内の音が吸音層50で吸音され、フロアマットの下にあるフロアカーペットでも吸音される。むろん、水分の通過は防水層で遮断される。従って、フロアマットに高い防水性と高い吸音性とを併存させることができる。また、カーペット層の直下に防水層が配置されているため、吸音層まで水分が滲み出すことが無く、水分を拭き取ることが容易になる。
【0036】
さらに、接着層が網目状または線状とされているので、適度な耐剥離性が発現される。従って、タフテッドカーペットのように裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と通気性の防水層とを接着した自動車用フロアマットにおいて、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。また、本製造方法によると、耐剥離性を適度に有し防水性を有するとともに所要の吸音性能を得ることが可能な自動車用フロアマットを製造することができる。
【0037】
(4)変形例:
本発明は、様々な変形例が考えられる。例えば、上記第一の接着層や上記第二の接着層は、接着面に対して全面に形成されるのみならず接着面に対して一部にのみ形成されてもよく、後者の場合でも本発明に含まれる。
また、図4と図5に示すフロアマット200のように、第二の接着層140が防水層30と吸音層50との間に防水層30と吸音層50とを接着した網目状または線状に形成されてもよい。本接着層140は、図3で示したような押出機にて液状(溶融状態を含む)の接着剤142をノズルから連続して押し出して吸音材の上面50aに対して網目状または線状に付着させて通気防水シートを吸音材に貼り合わせることにより形成される。本第二の接着層140は網目状または線状に形成されているので、通気性の防水層30と吸音層50とが十分に接着され、第二の接着層140の通気性が十分に確保される。従って、耐剥離性を適度に有するとともに吸音性能を効果的に向上させることが可能な自動車用フロアマットを提供することができる。
【0038】
図6に示すように、カーペット層の裏面10bに接着剤22を付着させてカーペット層10と防水層30とを接着してもよいし、防水層30の吸音層側の面30bに接着層142を付着させて防水層30と吸音層50とを接着してもよい。カーペット層に接着剤を塗布する際、裏面10bを上に向けたカーペット層10を該裏面10bに並行する所定の移動方向D3(好ましくは水平方向)へ移動させながら該カーペット層10の上で該裏面10bに並行し該移動方向D3と交差する方向D4(好ましくは水平方向)へ押出機M10を往復移動させて該押出機のノズルM12から接着剤22を下方へ押し出して該カーペット層の裏面10bに対して網目状または線状となるように付着させるとよい。カーペットの裏面に起伏があるので、該裏面に付着した接着剤が流れず、より確実にカーペット層と防水層とが接着される。
防水層に接着剤を塗布する際、吸音層側の面30bを上に向けた防水層30を該裏面30bに並行する所定の移動方向D5(好ましくは水平方向)へ移動させながら該防水層30の上で該裏面30bに並行し該移動方向D5と交差する方向D6(好ましくは水平方向)へ押出機を往復移動させて該押出機のノズルから接着剤142を下方へ押し出して該防水層の裏面30bに対して網目状または線状となるように付着させるとよい。
【0039】
図7に示すように、防水層30またはカーペット層の裏面に対して接着剤222を並行する複数の線状となるように付着させて接着層を並行する複数の線の形状に形成してもよいし、吸音層50または防水層30に対して接着剤242を並行する複数の線状となるように付着させて第二の接着層を並行する複数の線の形状に形成してもよい。本変形例では、接着剤を付着させる時間が短くて済むので、自動車用フロアマットの製造効率を向上させることができる。
本変形例の第一および第二の接着層は互いに平行な直線状の接着剤222,242が等間隔に配置されて形成されているが、接着剤同士の間隔は等間隔でなくてもよいし、各線状の接着剤は折れ線状(例えばジグザグ状)や曲線状など直線状でなくてもよい。
【0040】
図8に示すように、防水層30またはカーペット層の裏面に対して接着剤322を単一の線状となるように付着させて接着層を一本の線の形状に形成してもよいし、吸音層50または防水層30に対して接着剤342を単一の線状となるように付着させて第二の接着層を一本の線の形状に形成してもよい。本変形例では、押出機のノズルが一つで済む結果、押出機を小型化させ、低コスト化させることができるので、多品種小ロットの自動車用フロアマットを製造する際に好適な製造方法が提供される。
本変形例の第一および第二の接着層は互いに交わらない一本の曲線状の接着剤322,342で形成されているが、一本の曲線状の接着剤を途中で交差させて第一および第二の接着層を形成するとフロアマットの耐剥離性を向上させることができる。
【0041】
図9に示すように、カーペット層10と接着層20と防水層30のみからフロアマット101を構成してもよい。フロアマットを載置するフロアカーペット等の被載置物が高い吸音性能を有する場合、本フロアマット101を被載置物に載置することにより、被載置物を汚れた水分から遮断しながら該被載置物に音を吸収させることが可能になる。
【0042】
(5)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0043】
[実施例1]
カーペット層には、ナイロン(ポリアミド)繊維からなるカットパイル(目付1800g/m2)とPET繊維からなる基布(目付120g/m2)とで構成されるタフテッドカーペットを用いた。通気防水層には、スパンボンド不織布(目付70g/m2)にフッ素系撥水剤を5g/m2(乾燥質量)となるように含浸させた不織布(目付75g/m2)を用いた。吸音層には、PET繊維からなるフェルト(目付550g/m2)を用いた。
タフテッドカーペット層と通気防水層とを接着するための第一の接着剤として、オレフィン系ホットメルトを用いた。このホットメルトは、温度が180℃であるときの粘度が5500mPa・sである。通気防水層と吸音層とを接着するための第二の接着剤として、パウダー状のポリエチレンを用いた。
【0044】
上記フェルト上に上記パウダー状のポリエチレンを目付150g/m2となるよう均一に散布し、180℃に加熱し、ポリエチレンを溶融させた後、上記不織布を載せて積層体を形成した。この積層体の通気防水層上に上記ホットメルトを目付200g/m2となるよう格子状に塗布し、上記カーペットを載せてフロアマットのサンプルを作製した。ここで、ホットメルトの径d1を2mm、ホットメルトの配置間隔C1を20mmとした。
【0045】
[実施例2]
カーペット層、吸音層、第一の接着剤、第二の接着剤には、実施例1と同じものを用いた。通気防水層には、メルトブロー不織布(目付40g/m2)にフッ素系撥水剤を5g/m2(乾燥質量)となるように含浸させた不織布(目付45g/m2)を用いた。そして、実施例1と同じ作製方法でフロアマットのサンプルを作製した。
【0046】
[比較例1]
本比較例は、撥水性の不織布を設けず、発泡体層を積層したフロアマットの例である。
カーペット層には、実施例1と同じものを用いた。
カーペット層の裏面に、発泡SBR(スチレン−ブタジエンラバーを主成分とするラテックスを機械発泡により泡立てたもの)を乾燥状態で見掛け密度0.2g/m3、目付600g/m2となるように塗布した後に乾燥させた。次に、乾燥後の発泡SBRの面に、さらに発泡SBRを乾燥状態で見掛け密度0.95g/m3、目付950g/m2となるように塗布した後に乾燥させ、フロアマットのサンプルを作製した。
【0047】
[比較例2]
本比較例は、撥水性の不織布を設けず、発泡体層を設けたフロアマットの例である。
カーペット層には、実施例1と同じものを用いた。
カーペット層の裏面に、発泡SBRを乾燥状態で見掛け密度0.2g/m3、目付800g/m2となるように塗布した後に乾燥させ、フロアマットのサンプルを作製した。
【0048】
[耐水圧の測定方法]
JIS L1092に規定された耐水度試験(静水圧法)のA法(低水圧法)に従って、水準装置として10cm±0.5cm/minの速さで水位上昇できるものを用い、フロアマットのサンプルを試験片として、試験片の裏側に3か所から水が出たときの水位を測定した。
【0049】
[通気度の測定方法]
JIS L1096に規定されたA法(フラジール形法)に準拠したフラジール型通気度試験機を使用して、フロアマットのサンプルを試験片として、通気度を測定した。
【0050】
[吸音率の測定方法]
ISO 10534-2に従い、ブリューエル・ケア−社の測定器を用いて垂直入射吸音率の測定をした。測定の際、フロアマットの下層に20cc/cm2/secの通気性を有する吸音タイプフロアカーペットを配置し、さらにその下層に厚み20mmの衣料反毛フェルトを配置し、全体の厚みを40mmにした状態でフロアマット側からノイズを入射させて測定した。
【0051】
[粘度の測定方法]
JIS K6862(ホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法)に規定されたA法に従い、ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計を使用して行った。
【0052】
[結果]
結果を、表1および図10に示す。図10は、各実施例と各比較例について200Hz〜6300Hzの1/3オクターブバンド毎の中心周波数(単位:Hz)に対する垂直入射吸音率(単位:%)の測定結果をグラフにより示している。
【表1】

【0053】
比較例1では、耐水圧および防汚性能は高かったものの、通気度が小さく、吸音性能が低かった。
比較例2では、耐水圧および防汚性能が実施例と比べて低く、通気度および吸音性能も実施例と比べて低かった。
【0054】
一方、実施例1,2では、耐水圧および防汚性能が十分高く、通気度および吸音性能も十分高かった。
上記実施例より、本発明のフロアマットは、防水性を有するとともに所要の吸音性能が得られることが確認された。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】自動車用フロアマットの一例を垂直断面にて示す要部断面図。
【図2】自動車用フロアマットの製造方法の一例を模式的に示す図。
【図3】接着剤を通気防水層に付着させる一例を示す図。
【図4】自動車用フロアマットの製造方法の変形例を示す図。
【図5】自動車用フロアマットの変形例を垂直断面にて示す要部断面図。
【図6】自動車用フロアマットの製造方法の変形例を模式的に示す図。
【図7】変形例において接着層および第二の接着層を形成する様子を示す図。
【図8】変形例において接着層および第二の接着層を形成する様子を示す図。
【図9】自動車用フロアマットの変形例を垂直断面にて示す要部断面図。
【図10】1/3オクターブバンド毎の中心周波数に対する垂直入射吸音率の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0057】
10…カーペット層、10a…表面、10b…裏面、
12…パイル、12a…有効パイル、12b…バックステッチ、14…基布、
20…接着層、22,222,322…接着剤、
30…通気防水層、30a…表面、30b…裏面、
40,140…第二の接着層、42,142,242,342…接着剤、
50…吸音層、50a…表面、50b…裏面、
100,101,200…自動車用フロアマット、
M10…押出機、M12…ノズル、
M20…押出機駆動機構、M30…移送機構、
D1,D3,D5…移動方向、D2,D4,D6…交差する方向、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と、該カーペット層の裏側に配置された通気性の防水層と、前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着した接着層とを少なくとも有し、前記接着層が網目状または線状に形成された、自動車用フロアマット。
【請求項2】
前記カーペット層が裏面に前記パイルのバックステッチを有するタフテッドカーペット層であり、前記防水層が撥水性を付与させた不織布であり、前記接着層が網目状または線状に繋がって形成された、請求項1に記載の自動車用フロアマット。
【請求項3】
前記接着層が、前記カーペット層の裏面または前記防水層に対して粘度1000〜50000mPa・sの接着剤を押出機でノズルから連続して押し出して網目状または線状に付着させ、前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着させることにより形成された、請求項1または請求項2に記載の自動車用フロアマット。
【請求項4】
前記防水層における前記接着層側の面とは反対側の面に吸音層が積層された、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車用フロアマット。
【請求項5】
前記防水層と前記吸音層との間に前記防水層と前記吸音層とを接着した網目状または線状の第二の接着層が形成されている、請求項4に記載の自動車用フロアマット。
【請求項6】
裏面にパイルによる起伏を有するカーペット層と、該カーペット層の裏側に配置される通気性の防水層と、前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着する接着層と、を少なくとも有する自動車用フロアマットの製造方法であって、
前記カーペット層の裏面または前記防水層に対して接着剤を押出機から押し出して付着させ、前記接着層を網目状または線状に形成しながら前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着してフロアマットを製造することを特徴とする自動車用フロアマットの製造方法。
【請求項7】
前記カーペット層側の面を上に向けた前記防水層を該面に並行する所定の移動方向へ移動させながら該防水層の上で該面に並行し前記移動方向と交差する方向へ前記押出機を移動させて該押出機のノズルから前記接着剤を下方へ押し出して該防水層に対して網目状または線状となるように付着させ、該防水層の上に前記カーペット層を載せて前記カーペット層の裏面と前記防水層とを接着してフロアマットを製造することを特徴とする請求項6に記載の自動車用フロアマットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−200288(P2008−200288A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39909(P2007−39909)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】