説明

自動車用燃料タンク

【課題】燃料タンクの種々の要素の組立てを簡単化し、かつ組立ての信頼性をより高めることを目的とする。
【解決手段】本発明は、炭化水素と接触するように設計された2つの部品の組立体、および該組立体を有するタンクであって、シェルまたは該シェルに固定保持される部材を有するタンクに関する。前記2つの部品の各々は、協働するように設計された少なくとも1つの固定部品を有し、少なくとも1つの部品は炭化水素の作用を受けて膨潤できる材料で作られ、前記部品の相互の保持力が強化される。本発明はまた、燃料が存在しない状態で2つの部品を組付ける段階と、次に2つの部品を燃料に接触させる段階とを有する、このようなタンクの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料、特に炭化水素と接触することが意図された少なくとも2つの構成要素の組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料タンクは、燃料を貯蔵することが意図されたケーシング以外に、他の機能、より詳しくはガス抜き、タンク内の燃料レベルの測定、エンジンへの燃料の供給、およびタンクを出る燃料の圧力の調整を遂行することが意図された幾つかの要素を有している。
これらの機能を遂行可能にする種々の要素は、一般に、タンクのケーシングに直接溶着されるか、ナットのような保持部材により組付けられるが、この状況は、炭化水素エミッションに関連するレギュレーションに関して完全に満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−196819号公報
【特許文献2】特開2001−342922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に、燃料タンクの種々の要素の組立てを簡単化し、かつ組立ての信頼性をより高めることを目的とする。
また本発明は、炭化水素エミッションを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、炭化水素と接触することが意図された少なくとも2つの構成要素の組立体であって、一方の構成要素は燃料タンクケーシングまたは該ケーシングに固定される保持部材を備え、他方の構成要素はケーシングの内部に取付けられる取付け要素を備え、組付けられる前記2つの構成要素の各々が、一方の構成要素を他方の構成要素に保持すべく相互作用できる少なくとも1つの固定部品を備えている組立体において、少なくとも一方の前記構成要素が前記炭化水素の作用により膨潤できる材料から作られ、前記固定部品は、前記炭化水素の作用による少なくとも1つの固定部品の膨潤が両構成要素の相互保持の強化に寄与するように構成されていることを特徴とする新規な組立体により達成される。
【0006】
保持部材は任意の適当な手段によりケーシングに固定され、良い結果を呈する保持手段が溶着される。
取付け要素は、タンクに組込むことができる任意の要素で構成できる。例えば、この取付け要素として、弁または燃料ゲージがある。
【0007】
本発明によれば、2つの構成要素は、簡単な態様、例えばラッチングにより組立てられる。このため、例えば炭化水素と接触する一方または両方の構成要素の膨潤により得られるロッキングにより、車両が走行しているときの振動によって後で離脱する危険が生じることがない。
適当である場合には、本発明により、燃料に対するバリヤを形成する少なくとも1つの層をもつタンクのケーシングを製造し、次にバリヤ形成層を破壊することなく取付け要素をこのケーシングに固定でき、これにより炭化水素エミッションを低減できる。
構成要素は、特殊工具を用いることなく手作業で組付けられる。
【0008】
本発明の一実施形態では、固定部品を作るのに使用される材料の燃料接触膨潤特性は異なっており、このため、例えば、燃料と接触して組立を進行する方法を一層容易に制御することができる。
ケーシングまたは保持部材は、取付け要素が作られる材料より大きい膨潤傾向をもつ材料から作られるのが好ましい。
2つの構成要素の各々は、ボールジョイントの機能をもつ固定部品を形成すべく相互作用できる単一固定部品、例えば球状部分または球状キャビティのみで構成できる。
また、2つの構成要素は1つ以上の固定部品で構成できる。この場合の好ましい実施形態は、各構成要素が2つの固定部品を支持する形態である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、固定部品は同じポリマー物質からなる材料で作ることもできるが、材料の充填材の量は異ならせることもできる。
かくして、固定部品は、それぞれ、充填材(より詳しくはガラス繊維またはタルク)を含有しないHDPEおよび充填材を含有するHDPEから作ることができる。
他の材料、より詳しくはポリアセタール、ポリアミドまたはPBTを使用することもできる。
固定部品はまた、異なるポリマー物質、例えばそれぞれHDPEおよびポリアセタールからなる材料から作ることができる。
【0010】
変更形態として、固定部品を作るのに使用される材料は同一である。
一方の構成要素がタンクのケーシングに溶着される保持部材を備える場合には、該保持部材およびケーシングは、実質的に同じ膨潤特性をもつ材料、例えば同じ材料(より詳しくはHDPE)から作られる。かくして、保持部材およびケーシングは、燃料の作用を受けたときに同様の挙動を呈し、このため、ケーシング上での保持部材の保持を弱化する傾向を引起こす、これらの2つの要素間の異なる変形が制限される。
一方の固定部品には例えば少なくとも2つの外側支持面を設けることができ、両構成要素が組立てられるときに、これらの外側支持面の間でこれらの外側支持面に接触して、他の固定部品に属する2つの内側支持面が固定される。
【0011】
本発明の一例示実施形態では、少なくとも4つの外側支持面が対をなしてグループ化され、同じ対の外側支持面は互いに対向して配置される。また、他の固定部品の少なくとも4つの内側支持面が対をなしてグループ化され、同じ対の外側支持面が互いに対向して配置される。一方の固定部品の各内側支持面は、他方の固定部品の外側支持面に係合できる。
一方の固定部品は、例えば特殊工具を用いないで手動で摺動させることにより、他方の固定部品に固定できる。
組立体の一方の構成要素が弁であるときは、この摺動運動は、例えば弁をホースに連結すべくノズルの軸線に対して平行であり、これは、弁を配置するときに弁の取扱いを容易にできる。
例えばタンクのケーシングに形成される内側支持面は上記のように対をなしてグループ化される。また、同じ対内で各内側支持面には、他方の内側支持面とは反対方向を向いて曲げられた少なくとも1つの湾曲部分を設けることができる。
【0012】
外側支持面には、内側支持面の湾曲部分が係合できる溝を設けることができる。
これらの溝の少なくとも1つは、2つの平行リブの間に形成できる。
変更形態として、これらの溝の少なくとも1つは、外側支持面の湾曲部分と、この支持面が連結される壁との間に形成される。
一方の構成要素には、組付け運動(これは、前述のように例えば摺動運動である)の終時に他方の構成要素上にラッチングできる少なくとも1つのラッチングレリーフを設けることができる。
レリーフ(単一または複数)は1つの固定部品により支持され、該レリーフは例えば上記溝の一端に設けられる。またレリーフは、例えば、外側または内側支持面またはレリーフの支持面が連結される壁に形成される。
ここで問題としているレリーフ(単一または複数)は、組付け中に一方の固定部品が他方の固定部品に対して移動されるときに容易に乗越えられる傾斜フランクと、該傾斜フランクが乗越えられた後は両構成要素が分解されることを防止する真直フランクとで構成できる。
【0013】
一方の構成要素には、上記のような少なくとも1つのラッチングレリーフ以外に、組付け運動の終時に他方の構成要素が当接する少なくとも1つのストッパを設けることができる。
このようなストッパは、例えば上記溝の端部に形成して、構成要素の一部構造を一体化すべく機能させることもできる。
一方の構成要素が弁であるときは、内側支持面はタンクのケーシングの凹部に形成できかつ前記凹部の底を形成する平坦壁に連結されるように構成できる。
一方の構成要素が燃料ゲージ支持体であるときは、内側支持面はタンクのケーシングの内面に突出部を形成しかつ前記内面に実質的に垂直に延びるリブに形成することができる。
【0014】
本発明の一例示実施形態では、組立体の固定部品は、ラッチングにより相互作用して、一方の構成要素を他方の構成要素上に保持するように構成される。
一方の固定部品には、他方の構成要素上にラッチングできる少なくとも1つの弾性変形可能タブを設けることができる。
一方の構成要素が保持部材を備えるときは、保持部材は、一端がタンクのケーシングに溶着されかつ他端が半径方向外方を向いた環状膨出部を備えた管状壁で形成し、取付け要素の弾性変形可能タブがこの膨出部に当接するように構成できる。
取付け要素は、保持部材の管状壁に係合できる内側スカートと、弾性変形可能タブが連結される外側スカートとで構成できる。
この例示実施形態では、ラッチング運動は保持部材の管状壁の軸線に対して平行である。
【0015】
本発明の特定実施形態では、一方の構成要素は、両構成要素が組付けられるときに、一方の構成要素が他方の構成要素に対して回転することを防止できる少なくとも1つのレリーフを有している。
より詳しくは、一方の固定部品がタンクのケーシングに形成されるときは、他方の固定部品は2対のリブで形成できる。これらのリブは、タンクのケーシングに当接することが意図されたリブ、より詳しくは、一方の構成要素が他方の構成要素上に配置される方向に平行な第一の対のリブ、および一報の構成要素が他方の構成要素上に配置される方向に実質的に垂直な方向を向いて第一の対のリブの両側に配置される第二の対のリブである。
【0016】
本発明の他の要旨は、上記組立体を有し、第二構成要素が弁および燃料ゲージから選択される取付け要素を備えることを特徴とする自動車用燃料タンクである。
タンクのケーシングは、熱可塑性プラスチック材料の射出成形またはブロー成形または回転成形により製造できる。
タンクのケーシングは、例えば、熱可塑性プラスチック材料の射出成形により成形されかつ溶着により組立てられる2つのハーフシェルで構成できる。
【0017】
本発明の他の要旨は自動車用燃料タンクの製造方法であり、本発明の方法は次の段階すなわち、
a)タンクの2つの構成要素を燃料に接触させる前にこれらの構成要素を組立てる段階を有し、2つの構成要素の各々が固定部品を有し、該固定部品は一方の構成要素を他方の構成要素上に保持すべく相互作用でき、少なくとも一方の構成要素は燃料の作用により膨潤できる材料から作られ、
b)構成要素を燃料に接触させて少なくとも一方の固定部品を膨潤させ、一方の構成要素の他方の構成要素上での保持力を強化する段階を更に有する。
本発明の他の特徴および長所は、本発明の非制限的な例示実施形態および添付図面に示す例に関して述べる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による燃料タンクケーシングを示す部分概略斜視図である。
【図2】図1のタンクに装着することを意図した弁を示す概略斜視図である。
【図3】タンクのケーシングに図2の弁を組付けた状態を示す部分概略斜視図である。
【図4a】図3のIV−IV線に沿う部分概略断面図であり、組立体の2つの段階の1つを示すものである。
【図4b】図3のIV−IV線に沿う部分概略断面図であり、組立体の2つの段階の他の1つを示すものである。
【図5】図1のケーシングに装着することを意図した弁の他の形態を示す部分概略斜視図である。
【図6】図5の弁が装着されたケーシングを示す部分概略斜視図である。
【図7】燃料ゲージの支持体として機能することを意図したリブを示す部分概略斜視図である。
【図8】図7のリブに取付けることを意図したゲージ支持体を示す部分概略斜視図である。
【図9】燃料ゲージ支持体が装着されたリブを示す部分概略斜視図である。
【図10】タンクのケーシングに溶着された保持部材と弁との組立体の軸線方向断面を示す部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、自動車用燃料タンクのケーシング1の一部を示すものである。
燃料は任意の種類の燃料、より詳しくは炭化水素および/またはアルコールを使用できる。
ここに説明する例では、このケーシング1は充填材非含有HDPE(non-filled HDPE)を射出成形することにより製造され、内側には炭化水素に対するバリヤを形成する層、例えばEVOH層を設けることができる。
【0020】
ケーシング1は平らな底壁を備えた凹部4を有し、底壁には2対のタブ2(3a、3b)が連結されている。
同じ対のタブ2(3aまたは3b)は互いに対面して配置され、同じ対のタブ2同士は互いに整合している。
対のタブ2(3aまたは3b)の各々は、ケーシング1に対して垂直に連結された直立部分2aと、対の他方のタブ2とは反対方向を向いている湾曲部分すなわち湾曲部分2bとを有している。
【0021】
タブ2は、ケーシング1上に、取付け要素5(ここに説明する例では、図2に分離して示す弁からなる)を保持することを意図している。
ここに説明する例では、弁5は、ガラス繊維またはタルクが充填されたHDPEで作られている。
弁5はX軸線をもつ管状本体6を有し、該本体6は、その一端が、X軸線に垂直なプレート7に連結されている。
このプレート7は、本体6とは反対側に、パイプ(図示せず)を受入れることを意図したノズル10を支持しており、該ノズル10は、X軸線に対して垂直なY軸線を有している。
【0022】
プレート7はまた、本体6とは反対側に2対のタブ15(14a、14b)を支持している。各対のタブ15(14aまたは14b)は、X軸線およびY軸線を含む中間平面の両側で互いに対面して配置されている。対のタブ15(14a、14b)はY軸線の方向に互いに整合している。
各タブ15は、プレート7に対して垂直に連結された直立部分15aを有している。
各直立部分15aは、同じ対の他方のタブの方向を向いた面に、Y軸線に平行な2つのリブ15bを有し、これらのリブ15bの間には、タブ2の湾曲部分2bを受入れることができるY軸線方向の溝16が形成されている。
本発明の意義において、タブ2は内側支持面を構成し、タブ15は外側支持面を構成する。
各タブ15は、隣接タブ15の方向の溝16の端部に、ケーシング1のタブ2の後ろでラッチングできる歯20を有している。
【0023】
弁5は、次のようにしてケーシング1に取付けられる。
弁のタブ15は、湾曲部分2bを溝16内に滑り込ませることによりケーシング1のタブ2に係合される。
かくして、この摺動運動はY軸線に平行に行なわれる。
【0024】
図4aおよび図4bに示すように、歯20は、弁5が取付けられる間に、湾曲部分2bが弾性変形することにより乗越えられる。
摺動運動の終時に、歯20は、タブ2の間に入り、かつY軸線に沿うケーシング1に対する弁5の直線運動を或る位置まで妨げるストッパを形成する。
後で燃料がタンク内に導入されると、タブ2、15は燃料に接触する。
ケーシング1およびタブ2は充填材非含有HDPEで作られているので、燃料に接触して膨潤を受ける。
この膨潤により、湾曲部分2bはリブ15b内で不動化される。タブ15は充填材含有HDPE(filled HDPE)で作られているので、これらのリブ15bは、ケーシングの膨潤に比べて全く膨潤を受けないか、比較的小さい膨潤を受けるに過ぎない。
このようにして得られる不動化により、ケーシング1上での弁5の保持が強化される。
本発明の範囲を逸脱することなく、弁を組付ける部品の形状を変更できる。
【0025】
図5には、第一の対の対面タブ31および第二の対の対面タブ32を有する弁5’が示されており、これらのタブ31、32は前述の例の4つのタブ15と同様に配置されているが、これらのタブ15とは異なる構造を有している。
各タブ31はプレート7に対して垂直に連結された第一の部分31aを有し、該第一の部分31aは、他方のタブ31の方向を向いた第二の湾曲部分31bにより延長されている。
各タブ31の第一の部分31aおよび第二の部分31bは、プレート7と協働して、Y軸線に沿って長手方向に延びている溝33を形成している。
プレート7上で、各溝33の端部には、タブ32の方向を向いたラッチングレリーフ35が形成されている。
【0026】
各ラッチングレリーフ35は、弁がケーシング上で移動される間に湾曲部分2bが乗越える傾斜フランク35aと、次に、溝33内に係合した湾曲部分2bが引出されることを防止する真直フランク35bとを有している。
各タブ32は第一および第二の部分31a、31bと同様な第一および第二の部分32a、32bを有し、各タブ32には、湾曲部分2bを受入れることを意図した、Y軸線に沿って延びている溝38が形成されている。
各タブ32はまた、タブ31の方向の溝38の端部に配置されたストッパ40を有している。
各ストッパ40は第一および第二の部分32a、32bおよびプレート7に連結されており、これによりタブ32の構造が強化される。
プレート7には更に1対のリブ42が支持されており、該リブ42はプレート7に対して垂直に連結されかつY軸線の両側で該Y軸線に平行に延びている。
【0027】
リブ42は、弁5’がケーシング1上に配置されたときにリブ42がケーシング1の内面上に当接できるように選択された高さを有し、これにより、弁5’は、X軸線およびY軸線に対して垂直なZ軸線の回りで回転することが防止される。
またプレート7には、該プレート7に対して垂直に連結された1対のリブ45が支持されており、各リブ45は2つのタブ31、32の間に配置されかつZ軸線に沿って延びている。
これらのリブ45は、弁5’がケーシング1に対してY軸線の回りで回転することを防止できる。
【0028】
弁5’は、タブ2の湾曲部分2bを、タブ31、32により形成された溝33、38内に滑り込ませることによりケーシング1上に取付けられる。
この摺動運動の終時に、溝33内に滑り込んだ湾曲部分2bはラッチングレリーフ35の背後に係合して真直フランク35bに当接し、かつ溝38内に滑り込んだ湾曲部分2bはストッパ40に当接する。
これにより、弁5’がケーシング1に対してY軸線に沿って移動しないように或る程度不動化される。
【0029】
この場合、前述の例示実施形態と同じ態様で、ケーシング1の膨潤によりケーシングに対する弁5’の不動化が更に向上する。
組立体の2つの構成要素は、充填材の量が異なる同じプラスチックから作るのではなく、異なるプラスチックから作ることもできる。
他の変更形態では、組立体の2つの構成要素を同じプラスチック(例えばHDPE)から作り、少なくとも一方の構成要素を、プラスチックの膨潤が、他の構成要素をもつ組立体に不動化効果を与えるように構成できる。
【0030】
図7〜図9を参照して、タンクのケーシングのリブ51への燃料ゲージ50の組付けを説明する。
リブ51は2つの対面タブ55、56を支持しており、該タブ55、56はそれぞれ直立部分55a、56aを備えている。これらの直立部分は、リブ51に対して垂直に連結されている。
それぞれの直立部分55a、56aの上端部は、それぞれタブ56、55から離れる方向を向いた湾曲部分55b、56bにより延長されている。
燃料ゲージ50は、ポリアセタールで作られた支持体60を有し、図8に単独で示されている。
この支持体60は、弁5’のタブと同様な2つのタブ31および2つのタブ32を有し、各タブ31、32には湾曲部分55bまたは56bを受入れることを意図した溝33、38が形成されている。
【0031】
支持体60は、弁5’をケーシング1に組付けるのと同様にして、リブ51に組付けられる。
この組付けの後、図9に示すように、フロート(図示せず)を支持するロッド70が支持体60に固定される。
変更形態として、このロッド70は、支持体60がリブ51に取付けられる前に支持体60に固定できる。
燃料ゲージ50をタブ55、56にロッキングする最終段階は、組立体を燃料に接触させることにより行なわれる。
もちろん、本発明は上記説明に係る例示実施形態に限定されるものではない。
【0032】
ケーシングには、特に、弁または燃料ゲージ以外の任意の種類の取付け要素(例えばポンプまたはフィルタ)を固定できる。
また本発明は、ケーシングとは別体の2つの構成要素をタンクに組付けるのに適用できる。
このような組立体を図10を参照して説明する。この組立体は、タンクのケーシング1に溶着された保持部材80と、弁により形成された取付け要素81とを有する。
ここに説明する例では、保持要素80はHDPEから作られ、取付け要素81はPOMから作られる。
保持部材80は、軸線X’の軸対称管状壁82と、該管状壁82の軸線方向端部84から比較的小さい距離を隔てたところに位置する横断壁83とを有している。
保持部材80は、その上端部84がケーシング1に溶着されている。
【0033】
管状壁82は、その下端部85に、半径方向外方を向いた環状膨出部90を有している。
管状壁82および横断壁83はハウジング91を形成している。該ハウジング91は下方が開口しており、取付け要素81の上方部分を受入れることができる。取付け要素81は、軸線X’をもつ外側スカート96と、弾性変形可能タブ98とを有し、これらのタブ98は膨出部90に当接する。
弁81は更に、軸線X’をもつ内側スカート100を有し、該スカート100は管状壁82内に係合しかつ横断壁83に当接する。
【0034】
弁81には、内側スカート100および外側スカート96を通って横方向に延びる連結ノズル105が設けられている。
弁81は、X’軸線に沿ってラッチングすることにより保持部材80上に取付けられ、このとき、タブ98は弾性変形することにより膨出部90を乗越える。
後でタンク内に燃料が導入されると、タブ98および膨出部90が燃料に接触する。
膨出部90はHDPEで作られているので、燃料に接触すると膨潤され、膨出部90の後方に係合するタブ98に不動化力を付与する。これにより、保持部材80上での弁81の保持が強化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素と接触することが意図された少なくとも2つの構成要素の組立体であって、一方の構成要素は燃料タンクケーシング(1)または該ケーシングに固定される保持部材(80)を備え、他方の構成要素はケーシングの内部に取付けられる取付け要素を備え、組付けられる前記2つの構成要素の各々が、一方の構成要素を他方の構成要素に保持すべく相互作用できる少なくとも1つの固定部品(2、15;31、32;55、56;90、98)を備えている組立体において、少なくとも一方の前記構成要素が前記炭化水素の作用により膨潤できる材料から作られ、前記固定部品は、前記炭化水素の作用による少なくとも1つの固定部品の膨潤が両構成要素の相互保持の強化に寄与するように構成されていることを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記保持部材は、溶着によりケーシング(1)に固定されることを特徴とする請求項1記載の組立体。
【請求項3】
前記取付け要素は、弁(5、5’)および燃料ゲージ(50)から選択されることを特徴とする請求項1または2記載の組立体。
【請求項4】
前記固定部品(2、15;31、32;55、56)を作るのに使用される材料の膨潤特性は異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組立体。
【請求項5】
前記ケーシング(1)または保持部材(80)は、取付け要素が作られる材料より大きい膨潤傾向をもつ材料から作られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の組立体。
【請求項6】
前記固定部品を作るのに使用される材料は同一であることを特徴とする請求項1記載の組立体。
【請求項7】
一方の構成要素はタンクのケーシングに溶着される保持部材からなり、該保持部材およびケーシングは実質的に同じ膨潤特性をもつ同じHDPE材料から作られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組立体。
【請求項8】
一方の構成要素は、摺動組付け運動の終時に他方の構成要素にラッチングできる少なくとも1つのラッチングレリーフ(20、35)を有し、単一または複数のラッチングレリーフには固定部品が当接することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の組立体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の組立体を有し、第二の構成要素は弁(5、5’)および燃料ゲージ(50)から選択されることを特徴とする自動車用燃料タンク。
【請求項10】
タンクの2つの構成要素を燃料に接触させる前にこれらの構成要素を組立てる段階を有し、2つの構成要素の各々が少なくとも1つの固定部品を有し、該固定部品は一方の構成要素を他方の構成要素上に保持すべく相互作用でき、少なくとも一方の構成要素は燃料の作用により膨潤できる材料から作られ、
構成要素を燃料に接触させて少なくとも一方の固定部品を膨潤させ、一方の構成要素の他方の構成要素上での保持力を強化する段階を更に有することを特徴とする自動車用燃料タンクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−143565(P2009−143565A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24277(P2009−24277)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【分割の表示】特願2003−554469(P2003−554469)の分割
【原出願日】平成14年12月11日(2002.12.11)
【出願人】(502294138)イネルジー オートモーティヴ システムズ リサーチ (41)
【Fターム(参考)】