自動車用荷室仕切装置、及び、自動車用荷室照明装置
【課題】荷室空間を上下に仕切るための仕切装置下方の荷室空間内における視認性を光源の無い荷室仕切装置により向上させる。
【解決手段】自動車1の荷室空間L1を上下に仕切るための仕切装置本体部40が前記荷室空間L1の側壁部20に対して着脱可能に取り付けられ、該側壁部20に設けられた光源により該側壁部20から出る光を入射させる光入射部を有する導光体50が長手方向を車幅方向D3に向けて前記仕切装置本体部40に設けられ、前記側壁部20から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体50から下方へ出て前記仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。
【解決手段】自動車1の荷室空間L1を上下に仕切るための仕切装置本体部40が前記荷室空間L1の側壁部20に対して着脱可能に取り付けられ、該側壁部20に設けられた光源により該側壁部20から出る光を入射させる光入射部を有する導光体50が長手方向を車幅方向D3に向けて前記仕切装置本体部40に設けられ、前記側壁部20から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体50から下方へ出て前記仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷室空間を上下に仕切るための自動車用荷室仕切装置、及び、該荷室仕切装置を用いた自動車用荷室照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員室と区画されていない荷室空間がリヤシートの後部に設けられるハッチバック型等の自動車がある。このような自動車には、トノカバー装置やリヤシェルフ等、荷室空間を上下に仕切るための仕切手段が設けられる。ここで、トノカバー装置は、例えば、荷室空間の床に載置した荷物を外部から視認されないようにするために荷室空間の下側を遮蔽するトノカバーシートや、このトノカバーシートを巻き取って収納する略筒状のトノカバーケースを備える。リヤシェルフは、例えば、荷室空間の下側を覆いながらその上に荷物を載置可能な棚のような役割を果たす板状部材とされる。
【0003】
通常、自動車の天井部では、車室を装飾のためのルーフトリムがルーフパネルを覆っている。ルーフトリムには、ルームランプ、ドームランプ、マップランプ、等、自動車の室内を照明するための照明具が設置されるのが一般的である。
【0004】
図12は、従来例に係るハッチバック型の自動車900を後部扉の図示が省略された状態で示す背面図である。自動車900のルーフパネルには、天井照明具910が取り付けられている。リヤシート920の後部に設けられた荷室空間991は、仕切装置930により上部荷室空間992と下部荷室空間993とに仕切られている。荷室空間の側壁部940から仕切装置930を外した状態であれば、下部荷室空間993が天井照明具910によって照らされる。側壁部940に仕切装置930を装着した状態では、天井照明具910からの光912が仕切装置930によって遮断され、特に夜間における下部荷室空間993の視認性を損なうこととなる。
【0005】
特許文献1には、リヤパーセルシェルフの端部を載置するベース部材をトランクサイドライニングの表面に取り付けた自動車が開示されている。このベース部材は、トランクサイドライニングの表面との間に空間を形成し、この空間内に電球が設けられ、この電球からの光をリヤパーセルシェルフの下側へ放出させる。従って、電球からの光は、荷室空間の側壁部からリヤパーセルシェルフの下側の荷室空間を照らすこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、側壁部近くに高さのある荷物を載置すると、この荷物が電球からの光を遮って大きな陰が生じ、リヤパーセルシェルフ下側の荷室空間の視認性が低下する。また、乗員が身体の一部をリヤパーセルシェルフ下側の荷室空間に入れると、身体が電球からの光を遮って大きな陰が生じ、リヤパーセルシェルフ下側の荷室空間の視認性が低下する。
【0008】
以上を鑑み、本発明は、荷室空間を上下に仕切るための仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用荷室仕切装置は、自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部が前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられ、
該側壁部に設けられた光源により該側壁部から出る光を入射させる光入射部を有する導光体が長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられ、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、自動車の荷室空間を照らすための自動車用荷室照明装置であって、
前記荷室空間の側壁部に設けられた光源と、
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部であって前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる仕切装置本体部と、
前記光源により前記側壁部から出る光を入射させる光入射部を有し、長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられた導光体とを備え、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする。
【0011】
上記仕切装置本体部が荷室空間の側壁部に取り付けられているとき、側壁部から出た光が仕切装置本体部に設けられた導光体の光入射部に入射し、該入射した光が導光体から下方へ出て仕切装置本体部から下側の荷室空間を照らす。荷室空間の側壁部からではなく、仕切装置本体部に設けられた導光体から下方へ光が出るので、荷室仕切装置下方の荷室空間内における視認性が向上する。荷室仕切装置には、光源を設ける必要が無い。
【0012】
ここで、上記荷室空間は、荷物を収容するための空間を意味し、仕切装置本体部の上側の部分が含まれ、乗員室と繋がるなど開かれた空間でもよいし、閉じた空間でもよい。
上記荷室仕切装置における装置は、部材を含む広義の装置を意味する。上記仕切装置本体部には、トノカバー装置といった遮蔽装置、リヤシェルフ、等が含まれる。
上記光源により側壁部から出る光には、光源から直接導光体に向かう光、反射等した結果導光体へ向かう光、等が含まれる。
上記光入射部は、導光体の両端部に設けられてもよいし、導光体の一方の端部にのみ設けられてもよい。ここで、導光体の端部には、長手方向の端面のみならず、端面近傍の導光体の側面が含まれる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項4に係る発明によれば、荷室空間を上下に仕切るための仕切装置下方の荷室空間内における視認性を光源の無い荷室仕切装置により向上させることができる。
請求項2に係る発明では、仕切装置下方の荷室空間内における視認性をさらに向上させることができる。
請求項3に係る発明では、遮蔽装置に導光体を設ける好適な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷室照明装置3を採用した自動車1を後部扉の図示が省略された状態で例示する背面図である。
【図2】荷室仕切装置4の外観を例示する斜視図である。
【図3】図2に例示する荷室仕切装置4を図2のA1−A1の位置で断面視した垂直断面図である。
【図4】(a)は荷室仕切装置4を取り付けていない側壁部の要部を例示する斜視図、(b)は蓋体22,23を荷室仕切装置4が取り付けられた位置とした側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図5】荷室仕切装置4の端部4aを取り付けた側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図6】荷室仕切装置4の端部4aを取り付けた側壁部の要部を図4(b)のA2の位置で断面視して例示した垂直断面図である。
【図7】(a)は側壁部を断面視して該側壁部に荷室仕切装置4を取り付けた荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は導光体50の変形例を示す背面図、(c)は導光体50の別の変形例を示す背面図である。
【図8】荷室照明装置3を採用した自動車1の内装の一例を示す側面図である。
【図9】(a)は一方の側壁部のみ光源30を設けた荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は光入射部51を導光体50の側面に設けた荷室照明装置3を例示する背面図である。
【図10】(a)は仕切部材挿入部21に導光体50が挿入されない荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は側壁部から荷室仕切装置4を外したときの荷室の様子を例示する背面図である。
【図11】(a)は側壁部の凸部25に荷室仕切装置4が載置された荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は凸部25を有する側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図12】従来例に係る自動車900を後部扉の図示が省略された状態で示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)荷室仕切装置を含む自動車用荷室照明装置の構成:
図1,8に例示するように、本発明の一実施形態に係る自動車用荷室照明装置3を採用した自動車1は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、リヤシート12の後方に荷物等を収容するための荷室空間L1が形成される乗用自動車とされている。図1は、荷室空間L1の後側を開閉可能な荷室用ドアである後部扉の図示を省略してハッチバック型の自動車1の背面から見た荷室部分を示している。図8は、自動車1の左側面から見た荷室部分を示している。ここで、左右の位置関係を説明するときには、自動車1の後方から前方を見たときを基準として説明する。
後部扉13は、上縁部13aを中心として回動可能とされ、荷室の背面側を開閉することができる。
【0016】
本発明を適用可能な自動車には、フロントシートとリヤシートを備える2列シートタイプのモータビークル、さらにサードシートを備える3列シートタイプのモータビークル、運転席の直後に荷室空間があるモータビークル、さらにフロントシートの後方であってリヤシート又はサードシートの前方に荷室空間が形成されるモータビークル、等があり、いわゆるステーションワゴンやワンボックスカー等が含まれる。
【0017】
荷室空間L1の下部には車体パネルの一部を構成する鋼板製等の金属製のフロアパネルが設置され、このフロアパネルの上に荷物等の収納空間が設けられる。荷室空間L1の左右には、デッキサイドトリム(側壁部)20,20が内装材として設けられている。ハッチバック型等の自動車の荷室空間は、乗員室と区画されておらず、荷室仕切装置等の遮蔽装置が無ければ自動車の外部から視認されてしまう。荷室空間L1の下部に設置された荷物等を外部から視認されないようにするため、図2,3に例示する荷室仕切装置4が荷室空間L1の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、荷室空間L1が上部荷室空間L2と下部荷室空間L3とに分けられる。
【0018】
図1に示す自動車1の天井部では、車室を装飾のためのルーフトリムがルーフパネルを覆っている。このルーフトリムには、ルームランプやマップランプといった車室内を照明するための天井照明具11が設置されている。
【0019】
自動車1の荷室空間を照らすための荷室照明装置3は、デッキサイドトリム20に設けられた光源30と、デッキサイドトリム20に対して着脱可能な自動車用荷室仕切装置4とを備える。荷室仕切装置4は、荷室空間L1を上下に仕切るための仕切装置本体部40と、この仕切装置本体部40に設けられた導光体50とを備える。仕切装置本体部40は、デッキサイドトリム20に対して着脱可能に取り付けられる。導光体50は、デッキサイドトリム20に設けられた光源30によりデッキサイドトリム20から出る光を入射させる光入射部51を有し、長手方向を車幅方向D3に向けて仕切装置本体部40に設けられている。荷室仕切装置4は、デッキサイドトリム20から出る光が光入射部51に入射すると該入射した光が導光体50から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。
【0020】
仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、デッキサイドトリム20から出た光が仕切装置本体部40に設けられた導光体50の光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。デッキサイドトリム20からではなく、仕切装置本体部40に設けられた導光体50から下方へ光LI1が出るので、荷室仕切装置下方の下部荷室空間L3内における視認性が光源の無い荷室仕切装置4により向上するのである。
【0021】
図4〜6に例示する自動車1の両側のデッキサイドトリム20は、それぞれ、荷室仕切装置4が取り付けられる位置まで立ち上がった下側壁部20b、及び、各下側壁部20bから車幅方向外側へ延出した上側壁部20a、を有している。ここで、図6は、荷室仕切装置の端部4aを取り付けたデッキサイドトリム20の要部を図4(b)のA2の位置で断面視している。下側壁部20bと上側壁部20aとの境界部20cには、荷室仕切装置4の車幅方向D3の端部4aを挿入するための凹状の仕切装置挿入部21が形成されている。左右に形成された仕切装置挿入部21のそれぞれは、荷室仕切装置の端部4aが載置される略水平の載置部21b、この載置部21bの車幅方向外側の縁部から立ち上がって荷室仕切装置4の車幅方向D3の位置を決める立壁部21a、載置部21b及び立壁部21aに繋がり荷室仕切装置4の前後方向の位置を決める前壁部21c及び後壁部21d、を有している。各仕切装置挿入部21は、前後方向(引出方向D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。
【0022】
各仕切装置挿入部21の車幅方向外側となる部分には、光源30が設けられている。従って、各光源30は、前後方向(D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。各仕切装置挿入部の立壁部21aの下部には、図4(b)及び図6に示すように、光源30から車幅方向内側(内側方向D4)へ光を出すための光通過部22が設けられている。各光通過部22は、デッキサイドトリム20に形成した開口、透明材料等で形成された部位、等とすることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。透明材料をレンズ状にして光通過部にレンズの機能を付与してもよい。側壁部に光通過部22を設けることにより、光源30に必要な配線等を側壁部と車体パネルとの間に隠すことができるため、荷室の見栄えが良好となる。
【0023】
各仕切装置挿入部21には、図4(a)に示すように荷室仕切装置4が装着されていないときに仕切装置挿入部21の凹部分を覆う蓋体23,24が設けられている。
上側の上蓋体23は、図6に示すように、車幅方向外側の縁部を中心として下側、すなわち、仕切装置挿入部21の凹部分内へ回動可能とする蓋体回動機構23aが設けられている。各蓋体回動機構23aには、上蓋体23を上側へ付勢する上蓋体付勢機構23bが設けられている。各上蓋体付勢機構23bは、ねじりコイルばねといったばね等で構成することができる。また、荷室仕切装置4が装着されていないとき、上蓋体23の上面が周囲のデッキサイドトリム20の表面と略面一となるように上蓋体23が保持される。
【0024】
下側の下蓋体24は、仕切装置挿入部の載置部21bに形成された開口24cを通って上下にスライド可能とする蓋体スライド機構24aが設けられている。各蓋体スライド機構24aには、下蓋体24を上側へ付勢する下蓋体付勢機構24bが設けられている。各下蓋体付勢機構24bは、引張コイルばねといったばね等で構成することができる。また、荷室仕切装置4が装着されていないとき、下蓋体24の上縁部が上蓋体23の車幅方向内側の縁部と接触し、両蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を隠す。
【0025】
以上により、荷室仕切装置4を側壁部から取り外しているとき、仕切装置挿入部21の凹部分及び光源30の光が乗員の目に入らず、荷室の見栄え及び意匠性が良好である。荷室仕切装置4が取り外されているとき、天井照明具11からの光が荷室仕切装置4で遮断されないので、上部荷室空間L2のみならず下部荷室空間L3の視認性も天井照明具11の光で確保される。
むろん、車両に求められるニーズによっては、仕切装置挿入部に蓋体を設けず、荷室仕切装置を取り外しているときに仕切装置挿入部からの光源の光を直接照明として利用してもよい。
【0026】
また、上蓋体23の一端が蓋体回動機構23aにより側壁部に取り付けられ、下蓋体24の一端が蓋体スライド機構24aにより側壁部に取り付けられているので、蓋体23,24の紛失が抑止される。さらに、蓋体23,24が付勢機構23b,24bにより仕切装置挿入部21の凹部分を覆う方向に付勢されているので、荷室仕切装置4を仕切装置挿入部21に装着するときには蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を開放する位置へ自動的に移動し、荷室仕切装置4を仕切装置挿入部21から取り外すときには蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を覆う位置へ自動的に移動する。従って、荷室仕切装置4の着脱に合わせて蓋体23,24を取り外したり装着したりする手間が省かれる。
【0027】
各光源30は、デッキサイドトリム20と車体パネルとの間で仕切装置挿入部21の車幅方向外側(外側方向D5)に設けられている。光源30により仕切装置挿入部21から車幅方向内側へ出る光が長尺な導光体50の光入射部51に入射する。光源30には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。LEDは、軽量かつ超寿命で、照射方向に指向性を有し、省電力、省スペース、等の点で好ましい。光源30の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、同じ自動車に異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。光源30の発光制御は、所定のスイッチのオン操作により発光させて同じスイッチ又は異なるスイッチのオフ操作により消灯させる制御、後部扉(荷室用ドア)の開状態の検出により発光させて後部扉の閉状態の検出により消灯させる制御、その他のドアの開閉に応じて発光と消灯とを切り替える制御、これらを組み合わせた制御、等とすることができる。
【0028】
なお、光通過部22が開口である場合、図7(a)の二点鎖線で例示された光源30Aのように、光通過部22を形成する立壁部21aの表面(車幅方向内側の面)の位置に光源30Aの先端部(最も車幅方向内側の部位)を合わせてもよい。これにより、荷室仕切装置4の着脱時に荷室仕切装置の端部4aと光源30Aとが接触することによる光源30Aの破損を防ぎながら、光入射部51と光源30Aとに広い隙間が生じることによる光の拡散を抑え効率的に光を導光体50へ導くことができる。
【0029】
図2,3に例示するように、仕切装置本体部40は、シート収容装置42と遮蔽シート44とホルダ部材46とを備えるトノカバー装置とされている。ここで、図3は、荷室仕切装置4を図2のA1−A1の位置で断面視している。
【0030】
シート収容装置42は、車幅方向D3に沿ってスリット状に開口したシート引出部42cを有するケース42a、このケース42a内に収容された巻き取り装置42d、を備え、長手方向を車幅方向D3に向けて配置される。シート収容装置42は、例えば、後から見て荷室の最奥部にあたるリヤシート12の近傍に設置される。
ケース42aの下面には、長尺な導光体50を収容するための溝43が車幅方向D3に沿って形成されている。溝43は、長手方向に対する垂直断面が略台形とされ、下側の開口部の幅よりも上側の基底部の幅の方が広くされている。ケース42aには、アルミニウム等の金属や樹脂成形材料を押出成形等により成形してシート引出部42cを有する略筒状とした成形品を用いることができる。巻き取り装置42dは、遮蔽シート44を巻き取る収容方向D2(例えば前方向)へ常時付勢するシート付勢機構42eを有し、遮蔽シート44を使用しないときに巻き取ってケース42a内に収容する。シート付勢機構42eは、渦巻ばね等のばねを用いることができ、例えば両端が固定軸と巻き取り軸とに取り付けられて該巻き取り軸に巻き取り力を付与する。
【0031】
遮蔽シート44は、シート引出部42cから引出方向D1(例えば後方向)へ引き出し可能な軟質のトノカバーとされている。遮蔽シート44は、下部荷室空間L3を所定の高さを覆うことができるとともに、引出位置から収容位置まで巻き取り装置42dへ巻き取り可能である。遮蔽シート44には、塩化ビニル樹脂等の樹脂成形材料を成形したシート、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料を用いたレザー、織物、等、巻き取り装置に巻き取り可能な柔軟性を有するシート状材料が用いられる。このシート状材料には、遮光性を有する不透明の軟質材料が好ましい。
【0032】
ホルダ部材46は、シート収容装置42の両端部42b,42bに被せられ、デッキサイドトリムの仕切装置挿入部21に挿入される。各ホルダ部材46は、収容装置挿入部46a、光通過部46b、導光体の支持部46c、を有している。
各収容装置挿入部46aは、シート収容装置42の端部42bを挿入させる凹状に形成されている。
【0033】
各光通過部46bは、光源30によりデッキサイドトリムの仕切装置挿入部21から車幅方向内側へ出る光を通過させる。光通過部22は、ホルダ部材46に形成した開口、透明材料等で形成された部位、等とすることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。透明材料をレンズ状にして光通過部にレンズの機能を付与してもよい。図6に示すように、光通過部46bが開口とされる場合、導光体50の端部が開口に挿入されてもよい。導光体50の両端面50eの光入射部51が両ホルダ部材46の車幅方向外側の面に合わせられる場合、導光体50は、ケース42a及びホルダ部材46の車幅方向D3の全長、すなわち、仕切装置本体部40の車幅方向D3の全長に亘って仕切装置本体部40に設けられることになる。この場合、光入射部51と光源30とに広い隙間が生じることによる光の拡散を抑え効率的に光を導光体50へ導くことができる。
【0034】
各支持部46cは、ケース42aの溝43に導光体50を挿入したシート収容装置42の端部42bにホルダ部材46が被せられたときに導光体50の光入射部51を下側から支持する。導光体50の端部は、ホルダ部材46が被せられた状態でデッキサイドトリムの仕切装置挿入部21に挿入されることになる。
以上により、荷室仕切装置4の繰り返しの着脱等による導光体50の仕切装置本体部40からの脱落や破損が抑制される。また、仕切装置本体部40に導光体50を設ける際にケース42aに溝43を設けホルダ部材46に支持部46cを設けるだけでよく、コスト面で有利である。
【0035】
各ホルダ部材46の上面には荷室仕切装置4の取り外し用ボタン45aが設けられ、各ホルダ部材46の背面(前後方向の端面)には荷室仕切装置4を固定するための係合部45bが設けられている。各取り外し用ボタン45aは所定範囲内で上下方向に進退可能とされたプッシュ操作式のボタンとされ、各係合部45bは所定範囲内で水平方向に進退可能とされている。取り外し用ボタン45aと係合部45bとは、連動機構45cにより連動する。各連動機構45cには、係合部45b及び取り外し用ボタン45aをホルダ部材46から突出させる方向へ付勢する係合部付勢機構45dが設けられている。係合部付勢機構45dは、ねじりコイルばねといったばね等で構成することができる。取り外し用ボタン45aが押されていない場合、取り外し用ボタン45aと係合部45bの両方がホルダ部材46から突出し、デッキサイドトリムの後壁部21dに形成された図示しない係止部に係合部45bが挿入して荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20に固定される。取り外し用ボタン45aが押されると、係合部45bがホルダ部材46に退避し、荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20から取り外し可能となる。
むろん、取り外し用ボタンは、スライド操作式のボタン等でもよい。
【0036】
仕切装置本体部40に設けられる長尺な導光体50は、ケース42aの溝43の断面形状に合わせた断面略台形の略四角柱状に形成され、車幅方向D3に向けた長手方向の両端面50eに光入射部51を有している。ケースの溝43に導光体50が挿入されることにより、荷室仕切装置4の着脱時の振動等による導光体50のケース42aからの脱落や位置ずれが抑制される。導光体50は、ケースの溝43に挿入されてシート収容装置42の下部に取り付けられ、光入射部51がホルダ部材の光通過部46bの位置に合わせられてシート収容装置の端部42bとともにホルダ部材の収容装置挿入部46aに挿入されて、ホルダ部材の支持部46cに下側から支持される。シート収容装置42に接していない導光体50の下面は、光入射部51から入射した光を下方へ放出する光出射部52とされている。光出射部52から下方へ出る光は、スポット状の直接照明ではなく、比較的広い範囲を淡く照射する間接照明として機能する。
導光体50には、透明材料を射出成形やプレス成形等により成形した透明の成形品等を用いることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。
【0037】
長尺な導光体50の側面部となる下面から光を出すためには、図7(a)〜(c)に例示される技術等を用いることができる。
図7(a)は、光散乱性微粒子である多数の散乱体53を分散させた導光体50を用いた荷室照明装置3の背面を示している。ここで、デッキサイドトリム(側壁部)20は、断面視している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、散乱体53で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。散乱体53には、シリコン、高分子、金属粒子等を用いることができる。
【0038】
図7(b)は、上面に凹凸形状54を形成した導光体50の背面を示している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、凹凸形状54で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。凹凸形状54は、導光体50の成形後にブラスト材を吹き付ける粗面化処理、凹凸形状を形成した金型に樹脂材料を射出して凹凸形状を転写する処理、等により形成することができる。
図7(c)は、上面に反射板55を設けた導光体50の背面を示している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、反射板55で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。反射板55は、金属板、熱可塑性樹脂等の樹脂板に金属の薄膜を積層した積層板、等を用いることができる。むろん、反射板55の代わりにフィルム状の反射フィルム等を用いてもよい。
なお、長尺な導光体の側面部となる下面から光を出すために、散乱体53、凹凸形状54、反射板55、の一部又は全部の組み合わせを導光体に設けてもよい。
【0039】
図8に示す自動車1は、導光体50が前後方向(引出方向D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。ここで、デッキサイドトリム20に仕切装置本体部40が取り付けられたときにおける後部扉13の前面13bと導光体50との前後方向(D1)の距離をd1(d1>0)とする。また、荷室空間L1の前側を形成する前壁部、すなわち、シート12の背面12bと導光体50との前後方向(D1)の距離をd2(d2≧0)とする。d2=0は、導光体50がシートの背面12bに接触していることを意味する。仕切装置本体部40に設けられる導光体50の前後方向(D1)の位置は、d2<d1が好ましく、d2<d1/2がより好ましく、d2<d1/3がさらに好ましい。このような位置に導光体50を配置すると、後部扉13側から見て奥の方から下部荷室空間L3が照らされるので、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うときに大きな陰が生じ難く、下部荷室空間L3の視認性が向上する。また、導光体50が奥の方に配置されているので、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うユーザの死角となり、下部荷室空間L3の見栄えが向上する。
【0040】
仕切装置本体部40がトノカバー装置といった遮蔽装置である場合、シート収容装置に対して遮蔽シートを後方へ引き出し可能に設け、シート収容装置の下部に導光体を設けると、導光体を前後方向において後部扉よりもリヤシートの方に近く配置することができる。
仕切装置本体部40がリヤシェルフといった部材である場合、この部材の比較的前の方に導光体を設けると、導光体を前後方向において後部扉よりもリヤシートの方に近く配置することができる。
【0041】
むろん、導光体50がd2≧d1となる位置に設けられても、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うときに陰が目立ち易くなるものの下部荷室空間L3の視認性を光源の無い荷室仕切装置により向上させる効果が得られる。
【0042】
(2)荷室仕切装置を含む自動車用荷室照明装置の作用及び効果:
以下、荷室仕切装置4を含む自動車用荷室照明装置3の作用及び効果を説明する。
デッキサイドトリム20に荷室仕切装置4が取り付けられて遮蔽シート44が引き出されているとき、図1を参照して説明すると、天井照明具11からの光は、仕切装置本体部40で遮られて下部荷室空間L3に到達しない。ここで、デッキサイドトリム20に直接照明を設けて該照明により下部荷室空間L3を照らすようにすると、デッキサイドトリムの近くに高さのある荷物が置かれることにより照明からの光が遮られて大きな陰が生じる。また、ユーザが身体の一部を下部荷室空間L3に入れると、身体が照明からの光を遮って大きな陰が生じる。従って、下部荷室空間L3の視認性が低下することになる。
なお、デッキサイドトリムに設ける光源の数を増やすと、配線等の構造の複雑化やコストアップを招いてしまう。また、一つの光源からの光量を増やすと、光源の熱量が増大して放熱性の確保が困難になるうえ、デッキサイドトリムに設けた光源からの強すぎる光により荷室の見栄えや意匠性を低下させることになる。
【0043】
本荷室仕切装置4は、デッキサイドトリム20に取り付けられているとき、図6,7に示すように、側壁部の光通過部22から車幅方向内側(内側方向D4)へ出た光が仕切装置本体部40に設けられた導光体50の光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50の光出射部52から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。デッキサイドトリム20からではなく、仕切装置本体部40に設けられた導光体50から下方へ光LI1が出るので、デッキサイドトリムの近くに高さのある荷物が置かれても大きな陰は生じない。また、乗員が身体の一部を下部荷室空間L3に入れても、大きな陰は生じない。従って、本荷室仕切装置4を含む荷室照明装置3によると、下部荷室空間L3内における視認性が向上する。
【0044】
また、側壁部に対して着脱される荷室仕切装置4に光源が設けられていないので、簡易な構造の荷室仕切装置4で下部荷室空間L3の視認性が向上する。さらに、導光体50を介して側壁部からの光を下部荷室空間L3全体に照らすという簡易な構成であり、荷室空間の側壁部に設ける光源を増やす必要が無く、該光源からの光がユーザの目に直接入らないので、本荷室照明装置3は、配線等の構造の複雑化やコストアップを抑制しながら荷室の良好な見栄えや意匠性を確保することができる。
【0045】
さらに、本荷室照明装置3は、ユーザが後部扉を開けて荷室を使用する際にユーザから見て荷室空間L1の最奥部にあたるシート収容装置42の取り付け位置から車幅方向D3のほぼ全長に亘って下部荷室空間L3全体をほぼ満遍なく照らすことができる。下部荷室空間L3全体がほぼ満遍なく照らされると、高さのある荷物やユーザの身体によって大きな陰が生じず、下部荷室空間L3の視認性が確保される。また、光源が荷室空間の側壁部に設けられており、導光体50がユーザの死角となり易い荷室仕切装置4下部から下部荷室空間L3全体を照らす間接照明として機能するため、荷室の見栄えや意匠性が良好である。さらに、側壁部への着脱が繰り返される荷室仕切装置4に光源を設ける必要が無いので、配線による荷室仕切装置4の着脱操作への阻害が抑制され、光源の破損も抑制される。
【0046】
(3)変形例:
なお、本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、荷室用ドアは、荷室空間の側部に配置され、側方へ開くドアとされてもよい。
荷室空間は、乗員室から分離された空間とされてもよい。
トノカバー装置は、収容装置に対して蛇腹状のトノカバーを引出可能に収容する折り畳み装置とされてもよい。また、仕切装置本体部は、リヤシェルフといった部材等でもよい。
光源により側壁部から車幅方向内側へ出る光には、光源から直接車幅方向内側へ出る光、反射等した結果車幅方向内側へ出る光、等が含まれる。また、光源により側壁部から出る光は、側壁部から荷室空間側に出る光であればよく、側壁部から上方、下方、前方、後方、斜め上方、斜め下方、斜め前方、斜め後方、等へ出る光が含まれる。
ホルダ部材は、荷室仕切装置の両端部に設けられてもよいし、荷室仕切装置の一方の端部にのみ設けられてもよい。
導光体は、一つの荷室仕切装置に対して複数並列に設けられるなど複数設けられてもよい。
シート収容装置のケースの溝は、断面略L字形、断面略長方形、断面略半楕円形、等の形状とされてもよい。導光体も、断面略L字形、断面略長方形、断面略半楕円形、等の形状とされてもよい。
光入射部は、導光体の両端部に設けられてもよいし、導光体の一方の端部にのみ設けられてもよい。
【0047】
図9(a)は、一方の側壁部のみ光源30を設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。図示の荷室照明装置3は、左側の仕切装置挿入部21のみに光源30が設けられている。この場合でも、光源30から比較的遠い右側の端面50eに近い光出射部52から下方へ光LI1が出て下部荷室空間L3を照らす。本変形例では、光源を減らす効果が得られる。ここで、車幅方向D3のほぼ全体に亘って明るさの偏りを少なくするため、導光体50に分散させる散乱体53の密度を比較的左側で比較的小さく比較的右側で比較的大きくしてもよい。図7(b)に示す凹凸形状54を導光体50に設ける場合には、比較的左側の凹凸の間隔を比較的広く比較的右側の凹凸の間隔を比較的狭くしたり、比較的左側の凹凸を比較的小さく比較的右側の凹凸を比較的大きくしたりしてもよい。
なお、左側でなく、右側の側壁部のみに光源を設けてもよい。
【0048】
図9(b)は、光入射部51を長尺な導光体50の側面に設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。図示の光源30は、仕切装置挿入部21の載置部21bの下側に設けられ、光通過部22を通して荷室空間側の上方へ光を出す。この場合、導光体50の光入射部51は、端面50eではなく、端面50e近傍の下面となる。むろん、本変形例の導光体50も、光入射部51を導光体50の端部に有することになる。
仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、載置部21bの光通過部22から上方へ出た光が光入射部51に入射し、該入射した光が例えば散乱体53で反射して導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
【0049】
本変形例は、仕切装置挿入部21の車幅方向外側に光源を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
むろん、光源は、仕切装置挿入部21の前壁部21cの前側に設けられてもよいし、仕切装置挿入部21の後壁部21dの後側に設けられてもよい。
【0050】
図10(a)は、仕切部材挿入部21に導光体50が挿入されない変形例の荷室照明装置3の背面を示している。本変形例の荷室仕切装置4は、仕切装置本体部40の端部のみが仕切装置挿入部21に挿入され、導光体50は仕切装置挿入部21の下側となる下側壁部20b,20bの間に配置される。光源30は仕切装置挿入部21の載置部21bの下側で下側壁部20bの車幅方向外側に設けられ、載置部21bの下側の下側壁部20bに光通過部22が設けられている。仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、下側壁部20bの光通過部22から車幅方向内側へ出た光が導光体50の端面50eとなる光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
本変形例は、仕切装置挿入部21の車幅方向外側に光源を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
【0051】
また、図10(b)に例示するように、デッキサイドトリム20から荷室仕切装置4を取り外すと、光源30からの光LI2が直接照明として荷室空間L1を照らすことになる。荷室仕切装置4が無い場合、天井照明具11が上部荷室空間L2のみならず下部荷室空間L3も照らすこととなるので、デッキサイドトリムの光通過部22近傍に高い荷物等が置かれても下部荷室空間L3の視認性が確保される。このように、本変形例の荷室照明装置3は、光源30による側壁部からの光が荷室仕切装置4使用時に導光体50経由の間接照明として用いられ荷室仕切装置4取り外し時に直接照明として用いられるので、便利である。
【0052】
なお、導光体50の端部が仕切装置挿入部21に挿入される場合も、光源30による側壁部からの光を直接照明として用いることが可能である。
例えば、仕切装置挿入部21に設けられる蓋体23,24をレンズ体等の透明材料で形成すると、荷室仕切装置4取り外し時に光源30による側壁部からの光が蓋体23,24を通して荷室空間L1を照らすことになる。また、仕切装置挿入部21から蓋体23,24を省いても、荷室仕切装置4取り外し時に光源30による側壁部からの光が荷室空間L1を照らすことになる。
【0053】
図11(a)は、デッキサイドトリム20の下側壁部20bに凸部25を設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。本変形例のデッキサイドトリムの下側壁部20bには、図11(b)に示すように、車幅方向内側(内側方向D4)へ突出した凸部25が設けられている。左右に設けられた凸部25,25に荷室仕切装置4の両端部が載置されてデッキサイドトリム20に荷室仕切装置4が取り付けられる。凸部25の上側の下側壁部20bに光通過部22が設けられ、該光通過部22の車幅方向外側(外側方向D5)に光源30が設けられている。荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、光通過部22から車幅方向内側へ出た光が導光体50の端面50eとなる光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
本変形例は、側壁部に仕切装置挿入部21を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
【0054】
なお、仕切装置本体部40が荷室空間の一つの側壁部(20)に対して着脱可能に取り付けられ、該側壁部(20)に設けられた一つの光源30により該側壁部(20)から出る光を入射させる一つの光入射部51を有する導光体50が長手方向を車幅方向D3に向けて仕切装置本体部40に設けられ、側壁部(20)から出る光が光入射部51に入射すると該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす自動車用荷室仕切装置でも、仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させる効果が得られる。
すなわち、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる装置でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0055】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させることが可能な自動車用荷室仕切装置、及び、自動車用荷室照明装置を提供することができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能であり、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能である。従って、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…自動車、3…荷室照明装置、4…荷室仕切装置、4a…端部、
12…リヤシート、12b…背面、
13…後部扉(荷室用ドア)、13a…上縁部、13b…前面、
20…デッキサイドトリム(側壁部)、
20a…上側壁部、20b…下側壁部、20c…境界部、
21…仕切装置挿入部、
21a…立壁部、21b…載置部、21c…前壁部、21d…後壁部、
22…側壁部の光通過部、
23,24…蓋体、25…凸部、
30,30A…光源、
40…仕切装置本体部、
42…シート収容装置、43…溝、44…遮蔽シート、
46…ホルダ部材、46a…収容装置挿入部、46b…光通過部、46c…支持部、
50…導光体、50e…端面、
51…光入射部、52…光出射部、
53…散乱体、54…凹凸形状、55…反射板、
D1…引出方向、D2…収容方向、
D3…車幅方向、D4…車幅方向の内側方向、D5…車幅方向の外側方向、
L1…荷室空間、L2…上部荷室空間、L3…下部荷室空間、
LI1,LI2…光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷室空間を上下に仕切るための自動車用荷室仕切装置、及び、該荷室仕切装置を用いた自動車用荷室照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員室と区画されていない荷室空間がリヤシートの後部に設けられるハッチバック型等の自動車がある。このような自動車には、トノカバー装置やリヤシェルフ等、荷室空間を上下に仕切るための仕切手段が設けられる。ここで、トノカバー装置は、例えば、荷室空間の床に載置した荷物を外部から視認されないようにするために荷室空間の下側を遮蔽するトノカバーシートや、このトノカバーシートを巻き取って収納する略筒状のトノカバーケースを備える。リヤシェルフは、例えば、荷室空間の下側を覆いながらその上に荷物を載置可能な棚のような役割を果たす板状部材とされる。
【0003】
通常、自動車の天井部では、車室を装飾のためのルーフトリムがルーフパネルを覆っている。ルーフトリムには、ルームランプ、ドームランプ、マップランプ、等、自動車の室内を照明するための照明具が設置されるのが一般的である。
【0004】
図12は、従来例に係るハッチバック型の自動車900を後部扉の図示が省略された状態で示す背面図である。自動車900のルーフパネルには、天井照明具910が取り付けられている。リヤシート920の後部に設けられた荷室空間991は、仕切装置930により上部荷室空間992と下部荷室空間993とに仕切られている。荷室空間の側壁部940から仕切装置930を外した状態であれば、下部荷室空間993が天井照明具910によって照らされる。側壁部940に仕切装置930を装着した状態では、天井照明具910からの光912が仕切装置930によって遮断され、特に夜間における下部荷室空間993の視認性を損なうこととなる。
【0005】
特許文献1には、リヤパーセルシェルフの端部を載置するベース部材をトランクサイドライニングの表面に取り付けた自動車が開示されている。このベース部材は、トランクサイドライニングの表面との間に空間を形成し、この空間内に電球が設けられ、この電球からの光をリヤパーセルシェルフの下側へ放出させる。従って、電球からの光は、荷室空間の側壁部からリヤパーセルシェルフの下側の荷室空間を照らすこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、側壁部近くに高さのある荷物を載置すると、この荷物が電球からの光を遮って大きな陰が生じ、リヤパーセルシェルフ下側の荷室空間の視認性が低下する。また、乗員が身体の一部をリヤパーセルシェルフ下側の荷室空間に入れると、身体が電球からの光を遮って大きな陰が生じ、リヤパーセルシェルフ下側の荷室空間の視認性が低下する。
【0008】
以上を鑑み、本発明は、荷室空間を上下に仕切るための仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用荷室仕切装置は、自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部が前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられ、
該側壁部に設けられた光源により該側壁部から出る光を入射させる光入射部を有する導光体が長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられ、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、自動車の荷室空間を照らすための自動車用荷室照明装置であって、
前記荷室空間の側壁部に設けられた光源と、
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部であって前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる仕切装置本体部と、
前記光源により前記側壁部から出る光を入射させる光入射部を有し、長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられた導光体とを備え、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする。
【0011】
上記仕切装置本体部が荷室空間の側壁部に取り付けられているとき、側壁部から出た光が仕切装置本体部に設けられた導光体の光入射部に入射し、該入射した光が導光体から下方へ出て仕切装置本体部から下側の荷室空間を照らす。荷室空間の側壁部からではなく、仕切装置本体部に設けられた導光体から下方へ光が出るので、荷室仕切装置下方の荷室空間内における視認性が向上する。荷室仕切装置には、光源を設ける必要が無い。
【0012】
ここで、上記荷室空間は、荷物を収容するための空間を意味し、仕切装置本体部の上側の部分が含まれ、乗員室と繋がるなど開かれた空間でもよいし、閉じた空間でもよい。
上記荷室仕切装置における装置は、部材を含む広義の装置を意味する。上記仕切装置本体部には、トノカバー装置といった遮蔽装置、リヤシェルフ、等が含まれる。
上記光源により側壁部から出る光には、光源から直接導光体に向かう光、反射等した結果導光体へ向かう光、等が含まれる。
上記光入射部は、導光体の両端部に設けられてもよいし、導光体の一方の端部にのみ設けられてもよい。ここで、導光体の端部には、長手方向の端面のみならず、端面近傍の導光体の側面が含まれる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項4に係る発明によれば、荷室空間を上下に仕切るための仕切装置下方の荷室空間内における視認性を光源の無い荷室仕切装置により向上させることができる。
請求項2に係る発明では、仕切装置下方の荷室空間内における視認性をさらに向上させることができる。
請求項3に係る発明では、遮蔽装置に導光体を設ける好適な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷室照明装置3を採用した自動車1を後部扉の図示が省略された状態で例示する背面図である。
【図2】荷室仕切装置4の外観を例示する斜視図である。
【図3】図2に例示する荷室仕切装置4を図2のA1−A1の位置で断面視した垂直断面図である。
【図4】(a)は荷室仕切装置4を取り付けていない側壁部の要部を例示する斜視図、(b)は蓋体22,23を荷室仕切装置4が取り付けられた位置とした側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図5】荷室仕切装置4の端部4aを取り付けた側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図6】荷室仕切装置4の端部4aを取り付けた側壁部の要部を図4(b)のA2の位置で断面視して例示した垂直断面図である。
【図7】(a)は側壁部を断面視して該側壁部に荷室仕切装置4を取り付けた荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は導光体50の変形例を示す背面図、(c)は導光体50の別の変形例を示す背面図である。
【図8】荷室照明装置3を採用した自動車1の内装の一例を示す側面図である。
【図9】(a)は一方の側壁部のみ光源30を設けた荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は光入射部51を導光体50の側面に設けた荷室照明装置3を例示する背面図である。
【図10】(a)は仕切部材挿入部21に導光体50が挿入されない荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は側壁部から荷室仕切装置4を外したときの荷室の様子を例示する背面図である。
【図11】(a)は側壁部の凸部25に荷室仕切装置4が載置された荷室照明装置3を例示する背面図、(b)は凸部25を有する側壁部の要部を例示する斜視図である。
【図12】従来例に係る自動車900を後部扉の図示が省略された状態で示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)荷室仕切装置を含む自動車用荷室照明装置の構成:
図1,8に例示するように、本発明の一実施形態に係る自動車用荷室照明装置3を採用した自動車1は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、リヤシート12の後方に荷物等を収容するための荷室空間L1が形成される乗用自動車とされている。図1は、荷室空間L1の後側を開閉可能な荷室用ドアである後部扉の図示を省略してハッチバック型の自動車1の背面から見た荷室部分を示している。図8は、自動車1の左側面から見た荷室部分を示している。ここで、左右の位置関係を説明するときには、自動車1の後方から前方を見たときを基準として説明する。
後部扉13は、上縁部13aを中心として回動可能とされ、荷室の背面側を開閉することができる。
【0016】
本発明を適用可能な自動車には、フロントシートとリヤシートを備える2列シートタイプのモータビークル、さらにサードシートを備える3列シートタイプのモータビークル、運転席の直後に荷室空間があるモータビークル、さらにフロントシートの後方であってリヤシート又はサードシートの前方に荷室空間が形成されるモータビークル、等があり、いわゆるステーションワゴンやワンボックスカー等が含まれる。
【0017】
荷室空間L1の下部には車体パネルの一部を構成する鋼板製等の金属製のフロアパネルが設置され、このフロアパネルの上に荷物等の収納空間が設けられる。荷室空間L1の左右には、デッキサイドトリム(側壁部)20,20が内装材として設けられている。ハッチバック型等の自動車の荷室空間は、乗員室と区画されておらず、荷室仕切装置等の遮蔽装置が無ければ自動車の外部から視認されてしまう。荷室空間L1の下部に設置された荷物等を外部から視認されないようにするため、図2,3に例示する荷室仕切装置4が荷室空間L1の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、荷室空間L1が上部荷室空間L2と下部荷室空間L3とに分けられる。
【0018】
図1に示す自動車1の天井部では、車室を装飾のためのルーフトリムがルーフパネルを覆っている。このルーフトリムには、ルームランプやマップランプといった車室内を照明するための天井照明具11が設置されている。
【0019】
自動車1の荷室空間を照らすための荷室照明装置3は、デッキサイドトリム20に設けられた光源30と、デッキサイドトリム20に対して着脱可能な自動車用荷室仕切装置4とを備える。荷室仕切装置4は、荷室空間L1を上下に仕切るための仕切装置本体部40と、この仕切装置本体部40に設けられた導光体50とを備える。仕切装置本体部40は、デッキサイドトリム20に対して着脱可能に取り付けられる。導光体50は、デッキサイドトリム20に設けられた光源30によりデッキサイドトリム20から出る光を入射させる光入射部51を有し、長手方向を車幅方向D3に向けて仕切装置本体部40に設けられている。荷室仕切装置4は、デッキサイドトリム20から出る光が光入射部51に入射すると該入射した光が導光体50から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。
【0020】
仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、デッキサイドトリム20から出た光が仕切装置本体部40に設けられた導光体50の光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。デッキサイドトリム20からではなく、仕切装置本体部40に設けられた導光体50から下方へ光LI1が出るので、荷室仕切装置下方の下部荷室空間L3内における視認性が光源の無い荷室仕切装置4により向上するのである。
【0021】
図4〜6に例示する自動車1の両側のデッキサイドトリム20は、それぞれ、荷室仕切装置4が取り付けられる位置まで立ち上がった下側壁部20b、及び、各下側壁部20bから車幅方向外側へ延出した上側壁部20a、を有している。ここで、図6は、荷室仕切装置の端部4aを取り付けたデッキサイドトリム20の要部を図4(b)のA2の位置で断面視している。下側壁部20bと上側壁部20aとの境界部20cには、荷室仕切装置4の車幅方向D3の端部4aを挿入するための凹状の仕切装置挿入部21が形成されている。左右に形成された仕切装置挿入部21のそれぞれは、荷室仕切装置の端部4aが載置される略水平の載置部21b、この載置部21bの車幅方向外側の縁部から立ち上がって荷室仕切装置4の車幅方向D3の位置を決める立壁部21a、載置部21b及び立壁部21aに繋がり荷室仕切装置4の前後方向の位置を決める前壁部21c及び後壁部21d、を有している。各仕切装置挿入部21は、前後方向(引出方向D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。
【0022】
各仕切装置挿入部21の車幅方向外側となる部分には、光源30が設けられている。従って、各光源30は、前後方向(D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。各仕切装置挿入部の立壁部21aの下部には、図4(b)及び図6に示すように、光源30から車幅方向内側(内側方向D4)へ光を出すための光通過部22が設けられている。各光通過部22は、デッキサイドトリム20に形成した開口、透明材料等で形成された部位、等とすることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。透明材料をレンズ状にして光通過部にレンズの機能を付与してもよい。側壁部に光通過部22を設けることにより、光源30に必要な配線等を側壁部と車体パネルとの間に隠すことができるため、荷室の見栄えが良好となる。
【0023】
各仕切装置挿入部21には、図4(a)に示すように荷室仕切装置4が装着されていないときに仕切装置挿入部21の凹部分を覆う蓋体23,24が設けられている。
上側の上蓋体23は、図6に示すように、車幅方向外側の縁部を中心として下側、すなわち、仕切装置挿入部21の凹部分内へ回動可能とする蓋体回動機構23aが設けられている。各蓋体回動機構23aには、上蓋体23を上側へ付勢する上蓋体付勢機構23bが設けられている。各上蓋体付勢機構23bは、ねじりコイルばねといったばね等で構成することができる。また、荷室仕切装置4が装着されていないとき、上蓋体23の上面が周囲のデッキサイドトリム20の表面と略面一となるように上蓋体23が保持される。
【0024】
下側の下蓋体24は、仕切装置挿入部の載置部21bに形成された開口24cを通って上下にスライド可能とする蓋体スライド機構24aが設けられている。各蓋体スライド機構24aには、下蓋体24を上側へ付勢する下蓋体付勢機構24bが設けられている。各下蓋体付勢機構24bは、引張コイルばねといったばね等で構成することができる。また、荷室仕切装置4が装着されていないとき、下蓋体24の上縁部が上蓋体23の車幅方向内側の縁部と接触し、両蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を隠す。
【0025】
以上により、荷室仕切装置4を側壁部から取り外しているとき、仕切装置挿入部21の凹部分及び光源30の光が乗員の目に入らず、荷室の見栄え及び意匠性が良好である。荷室仕切装置4が取り外されているとき、天井照明具11からの光が荷室仕切装置4で遮断されないので、上部荷室空間L2のみならず下部荷室空間L3の視認性も天井照明具11の光で確保される。
むろん、車両に求められるニーズによっては、仕切装置挿入部に蓋体を設けず、荷室仕切装置を取り外しているときに仕切装置挿入部からの光源の光を直接照明として利用してもよい。
【0026】
また、上蓋体23の一端が蓋体回動機構23aにより側壁部に取り付けられ、下蓋体24の一端が蓋体スライド機構24aにより側壁部に取り付けられているので、蓋体23,24の紛失が抑止される。さらに、蓋体23,24が付勢機構23b,24bにより仕切装置挿入部21の凹部分を覆う方向に付勢されているので、荷室仕切装置4を仕切装置挿入部21に装着するときには蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を開放する位置へ自動的に移動し、荷室仕切装置4を仕切装置挿入部21から取り外すときには蓋体23,24が仕切装置挿入部21の凹部分を覆う位置へ自動的に移動する。従って、荷室仕切装置4の着脱に合わせて蓋体23,24を取り外したり装着したりする手間が省かれる。
【0027】
各光源30は、デッキサイドトリム20と車体パネルとの間で仕切装置挿入部21の車幅方向外側(外側方向D5)に設けられている。光源30により仕切装置挿入部21から車幅方向内側へ出る光が長尺な導光体50の光入射部51に入射する。光源30には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。LEDは、軽量かつ超寿命で、照射方向に指向性を有し、省電力、省スペース、等の点で好ましい。光源30の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、同じ自動車に異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。光源30の発光制御は、所定のスイッチのオン操作により発光させて同じスイッチ又は異なるスイッチのオフ操作により消灯させる制御、後部扉(荷室用ドア)の開状態の検出により発光させて後部扉の閉状態の検出により消灯させる制御、その他のドアの開閉に応じて発光と消灯とを切り替える制御、これらを組み合わせた制御、等とすることができる。
【0028】
なお、光通過部22が開口である場合、図7(a)の二点鎖線で例示された光源30Aのように、光通過部22を形成する立壁部21aの表面(車幅方向内側の面)の位置に光源30Aの先端部(最も車幅方向内側の部位)を合わせてもよい。これにより、荷室仕切装置4の着脱時に荷室仕切装置の端部4aと光源30Aとが接触することによる光源30Aの破損を防ぎながら、光入射部51と光源30Aとに広い隙間が生じることによる光の拡散を抑え効率的に光を導光体50へ導くことができる。
【0029】
図2,3に例示するように、仕切装置本体部40は、シート収容装置42と遮蔽シート44とホルダ部材46とを備えるトノカバー装置とされている。ここで、図3は、荷室仕切装置4を図2のA1−A1の位置で断面視している。
【0030】
シート収容装置42は、車幅方向D3に沿ってスリット状に開口したシート引出部42cを有するケース42a、このケース42a内に収容された巻き取り装置42d、を備え、長手方向を車幅方向D3に向けて配置される。シート収容装置42は、例えば、後から見て荷室の最奥部にあたるリヤシート12の近傍に設置される。
ケース42aの下面には、長尺な導光体50を収容するための溝43が車幅方向D3に沿って形成されている。溝43は、長手方向に対する垂直断面が略台形とされ、下側の開口部の幅よりも上側の基底部の幅の方が広くされている。ケース42aには、アルミニウム等の金属や樹脂成形材料を押出成形等により成形してシート引出部42cを有する略筒状とした成形品を用いることができる。巻き取り装置42dは、遮蔽シート44を巻き取る収容方向D2(例えば前方向)へ常時付勢するシート付勢機構42eを有し、遮蔽シート44を使用しないときに巻き取ってケース42a内に収容する。シート付勢機構42eは、渦巻ばね等のばねを用いることができ、例えば両端が固定軸と巻き取り軸とに取り付けられて該巻き取り軸に巻き取り力を付与する。
【0031】
遮蔽シート44は、シート引出部42cから引出方向D1(例えば後方向)へ引き出し可能な軟質のトノカバーとされている。遮蔽シート44は、下部荷室空間L3を所定の高さを覆うことができるとともに、引出位置から収容位置まで巻き取り装置42dへ巻き取り可能である。遮蔽シート44には、塩化ビニル樹脂等の樹脂成形材料を成形したシート、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料を用いたレザー、織物、等、巻き取り装置に巻き取り可能な柔軟性を有するシート状材料が用いられる。このシート状材料には、遮光性を有する不透明の軟質材料が好ましい。
【0032】
ホルダ部材46は、シート収容装置42の両端部42b,42bに被せられ、デッキサイドトリムの仕切装置挿入部21に挿入される。各ホルダ部材46は、収容装置挿入部46a、光通過部46b、導光体の支持部46c、を有している。
各収容装置挿入部46aは、シート収容装置42の端部42bを挿入させる凹状に形成されている。
【0033】
各光通過部46bは、光源30によりデッキサイドトリムの仕切装置挿入部21から車幅方向内側へ出る光を通過させる。光通過部22は、ホルダ部材46に形成した開口、透明材料等で形成された部位、等とすることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。透明材料をレンズ状にして光通過部にレンズの機能を付与してもよい。図6に示すように、光通過部46bが開口とされる場合、導光体50の端部が開口に挿入されてもよい。導光体50の両端面50eの光入射部51が両ホルダ部材46の車幅方向外側の面に合わせられる場合、導光体50は、ケース42a及びホルダ部材46の車幅方向D3の全長、すなわち、仕切装置本体部40の車幅方向D3の全長に亘って仕切装置本体部40に設けられることになる。この場合、光入射部51と光源30とに広い隙間が生じることによる光の拡散を抑え効率的に光を導光体50へ導くことができる。
【0034】
各支持部46cは、ケース42aの溝43に導光体50を挿入したシート収容装置42の端部42bにホルダ部材46が被せられたときに導光体50の光入射部51を下側から支持する。導光体50の端部は、ホルダ部材46が被せられた状態でデッキサイドトリムの仕切装置挿入部21に挿入されることになる。
以上により、荷室仕切装置4の繰り返しの着脱等による導光体50の仕切装置本体部40からの脱落や破損が抑制される。また、仕切装置本体部40に導光体50を設ける際にケース42aに溝43を設けホルダ部材46に支持部46cを設けるだけでよく、コスト面で有利である。
【0035】
各ホルダ部材46の上面には荷室仕切装置4の取り外し用ボタン45aが設けられ、各ホルダ部材46の背面(前後方向の端面)には荷室仕切装置4を固定するための係合部45bが設けられている。各取り外し用ボタン45aは所定範囲内で上下方向に進退可能とされたプッシュ操作式のボタンとされ、各係合部45bは所定範囲内で水平方向に進退可能とされている。取り外し用ボタン45aと係合部45bとは、連動機構45cにより連動する。各連動機構45cには、係合部45b及び取り外し用ボタン45aをホルダ部材46から突出させる方向へ付勢する係合部付勢機構45dが設けられている。係合部付勢機構45dは、ねじりコイルばねといったばね等で構成することができる。取り外し用ボタン45aが押されていない場合、取り外し用ボタン45aと係合部45bの両方がホルダ部材46から突出し、デッキサイドトリムの後壁部21dに形成された図示しない係止部に係合部45bが挿入して荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20に固定される。取り外し用ボタン45aが押されると、係合部45bがホルダ部材46に退避し、荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20から取り外し可能となる。
むろん、取り外し用ボタンは、スライド操作式のボタン等でもよい。
【0036】
仕切装置本体部40に設けられる長尺な導光体50は、ケース42aの溝43の断面形状に合わせた断面略台形の略四角柱状に形成され、車幅方向D3に向けた長手方向の両端面50eに光入射部51を有している。ケースの溝43に導光体50が挿入されることにより、荷室仕切装置4の着脱時の振動等による導光体50のケース42aからの脱落や位置ずれが抑制される。導光体50は、ケースの溝43に挿入されてシート収容装置42の下部に取り付けられ、光入射部51がホルダ部材の光通過部46bの位置に合わせられてシート収容装置の端部42bとともにホルダ部材の収容装置挿入部46aに挿入されて、ホルダ部材の支持部46cに下側から支持される。シート収容装置42に接していない導光体50の下面は、光入射部51から入射した光を下方へ放出する光出射部52とされている。光出射部52から下方へ出る光は、スポット状の直接照明ではなく、比較的広い範囲を淡く照射する間接照明として機能する。
導光体50には、透明材料を射出成形やプレス成形等により成形した透明の成形品等を用いることができる。前記透明材料には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。
【0037】
長尺な導光体50の側面部となる下面から光を出すためには、図7(a)〜(c)に例示される技術等を用いることができる。
図7(a)は、光散乱性微粒子である多数の散乱体53を分散させた導光体50を用いた荷室照明装置3の背面を示している。ここで、デッキサイドトリム(側壁部)20は、断面視している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、散乱体53で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。散乱体53には、シリコン、高分子、金属粒子等を用いることができる。
【0038】
図7(b)は、上面に凹凸形状54を形成した導光体50の背面を示している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、凹凸形状54で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。凹凸形状54は、導光体50の成形後にブラスト材を吹き付ける粗面化処理、凹凸形状を形成した金型に樹脂材料を射出して凹凸形状を転写する処理、等により形成することができる。
図7(c)は、上面に反射板55を設けた導光体50の背面を示している。この導光体50は、光源30による光が光入射部51から入射すると、反射板55で下方へ反射した光が下面(52)から下方へ出る。反射板55は、金属板、熱可塑性樹脂等の樹脂板に金属の薄膜を積層した積層板、等を用いることができる。むろん、反射板55の代わりにフィルム状の反射フィルム等を用いてもよい。
なお、長尺な導光体の側面部となる下面から光を出すために、散乱体53、凹凸形状54、反射板55、の一部又は全部の組み合わせを導光体に設けてもよい。
【0039】
図8に示す自動車1は、導光体50が前後方向(引出方向D1)において荷室空間L1を閉じた状態の後部扉13よりもリヤシート12の方に近く配置されている。ここで、デッキサイドトリム20に仕切装置本体部40が取り付けられたときにおける後部扉13の前面13bと導光体50との前後方向(D1)の距離をd1(d1>0)とする。また、荷室空間L1の前側を形成する前壁部、すなわち、シート12の背面12bと導光体50との前後方向(D1)の距離をd2(d2≧0)とする。d2=0は、導光体50がシートの背面12bに接触していることを意味する。仕切装置本体部40に設けられる導光体50の前後方向(D1)の位置は、d2<d1が好ましく、d2<d1/2がより好ましく、d2<d1/3がさらに好ましい。このような位置に導光体50を配置すると、後部扉13側から見て奥の方から下部荷室空間L3が照らされるので、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うときに大きな陰が生じ難く、下部荷室空間L3の視認性が向上する。また、導光体50が奥の方に配置されているので、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うユーザの死角となり、下部荷室空間L3の見栄えが向上する。
【0040】
仕切装置本体部40がトノカバー装置といった遮蔽装置である場合、シート収容装置に対して遮蔽シートを後方へ引き出し可能に設け、シート収容装置の下部に導光体を設けると、導光体を前後方向において後部扉よりもリヤシートの方に近く配置することができる。
仕切装置本体部40がリヤシェルフといった部材である場合、この部材の比較的前の方に導光体を設けると、導光体を前後方向において後部扉よりもリヤシートの方に近く配置することができる。
【0041】
むろん、導光体50がd2≧d1となる位置に設けられても、下部荷室空間L3に対して荷物の出し入れを行うときに陰が目立ち易くなるものの下部荷室空間L3の視認性を光源の無い荷室仕切装置により向上させる効果が得られる。
【0042】
(2)荷室仕切装置を含む自動車用荷室照明装置の作用及び効果:
以下、荷室仕切装置4を含む自動車用荷室照明装置3の作用及び効果を説明する。
デッキサイドトリム20に荷室仕切装置4が取り付けられて遮蔽シート44が引き出されているとき、図1を参照して説明すると、天井照明具11からの光は、仕切装置本体部40で遮られて下部荷室空間L3に到達しない。ここで、デッキサイドトリム20に直接照明を設けて該照明により下部荷室空間L3を照らすようにすると、デッキサイドトリムの近くに高さのある荷物が置かれることにより照明からの光が遮られて大きな陰が生じる。また、ユーザが身体の一部を下部荷室空間L3に入れると、身体が照明からの光を遮って大きな陰が生じる。従って、下部荷室空間L3の視認性が低下することになる。
なお、デッキサイドトリムに設ける光源の数を増やすと、配線等の構造の複雑化やコストアップを招いてしまう。また、一つの光源からの光量を増やすと、光源の熱量が増大して放熱性の確保が困難になるうえ、デッキサイドトリムに設けた光源からの強すぎる光により荷室の見栄えや意匠性を低下させることになる。
【0043】
本荷室仕切装置4は、デッキサイドトリム20に取り付けられているとき、図6,7に示すように、側壁部の光通過部22から車幅方向内側(内側方向D4)へ出た光が仕切装置本体部40に設けられた導光体50の光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50の光出射部52から下方へ出て仕切装置本体部40から下側の下部荷室空間L3を照らす。デッキサイドトリム20からではなく、仕切装置本体部40に設けられた導光体50から下方へ光LI1が出るので、デッキサイドトリムの近くに高さのある荷物が置かれても大きな陰は生じない。また、乗員が身体の一部を下部荷室空間L3に入れても、大きな陰は生じない。従って、本荷室仕切装置4を含む荷室照明装置3によると、下部荷室空間L3内における視認性が向上する。
【0044】
また、側壁部に対して着脱される荷室仕切装置4に光源が設けられていないので、簡易な構造の荷室仕切装置4で下部荷室空間L3の視認性が向上する。さらに、導光体50を介して側壁部からの光を下部荷室空間L3全体に照らすという簡易な構成であり、荷室空間の側壁部に設ける光源を増やす必要が無く、該光源からの光がユーザの目に直接入らないので、本荷室照明装置3は、配線等の構造の複雑化やコストアップを抑制しながら荷室の良好な見栄えや意匠性を確保することができる。
【0045】
さらに、本荷室照明装置3は、ユーザが後部扉を開けて荷室を使用する際にユーザから見て荷室空間L1の最奥部にあたるシート収容装置42の取り付け位置から車幅方向D3のほぼ全長に亘って下部荷室空間L3全体をほぼ満遍なく照らすことができる。下部荷室空間L3全体がほぼ満遍なく照らされると、高さのある荷物やユーザの身体によって大きな陰が生じず、下部荷室空間L3の視認性が確保される。また、光源が荷室空間の側壁部に設けられており、導光体50がユーザの死角となり易い荷室仕切装置4下部から下部荷室空間L3全体を照らす間接照明として機能するため、荷室の見栄えや意匠性が良好である。さらに、側壁部への着脱が繰り返される荷室仕切装置4に光源を設ける必要が無いので、配線による荷室仕切装置4の着脱操作への阻害が抑制され、光源の破損も抑制される。
【0046】
(3)変形例:
なお、本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、荷室用ドアは、荷室空間の側部に配置され、側方へ開くドアとされてもよい。
荷室空間は、乗員室から分離された空間とされてもよい。
トノカバー装置は、収容装置に対して蛇腹状のトノカバーを引出可能に収容する折り畳み装置とされてもよい。また、仕切装置本体部は、リヤシェルフといった部材等でもよい。
光源により側壁部から車幅方向内側へ出る光には、光源から直接車幅方向内側へ出る光、反射等した結果車幅方向内側へ出る光、等が含まれる。また、光源により側壁部から出る光は、側壁部から荷室空間側に出る光であればよく、側壁部から上方、下方、前方、後方、斜め上方、斜め下方、斜め前方、斜め後方、等へ出る光が含まれる。
ホルダ部材は、荷室仕切装置の両端部に設けられてもよいし、荷室仕切装置の一方の端部にのみ設けられてもよい。
導光体は、一つの荷室仕切装置に対して複数並列に設けられるなど複数設けられてもよい。
シート収容装置のケースの溝は、断面略L字形、断面略長方形、断面略半楕円形、等の形状とされてもよい。導光体も、断面略L字形、断面略長方形、断面略半楕円形、等の形状とされてもよい。
光入射部は、導光体の両端部に設けられてもよいし、導光体の一方の端部にのみ設けられてもよい。
【0047】
図9(a)は、一方の側壁部のみ光源30を設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。図示の荷室照明装置3は、左側の仕切装置挿入部21のみに光源30が設けられている。この場合でも、光源30から比較的遠い右側の端面50eに近い光出射部52から下方へ光LI1が出て下部荷室空間L3を照らす。本変形例では、光源を減らす効果が得られる。ここで、車幅方向D3のほぼ全体に亘って明るさの偏りを少なくするため、導光体50に分散させる散乱体53の密度を比較的左側で比較的小さく比較的右側で比較的大きくしてもよい。図7(b)に示す凹凸形状54を導光体50に設ける場合には、比較的左側の凹凸の間隔を比較的広く比較的右側の凹凸の間隔を比較的狭くしたり、比較的左側の凹凸を比較的小さく比較的右側の凹凸を比較的大きくしたりしてもよい。
なお、左側でなく、右側の側壁部のみに光源を設けてもよい。
【0048】
図9(b)は、光入射部51を長尺な導光体50の側面に設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。図示の光源30は、仕切装置挿入部21の載置部21bの下側に設けられ、光通過部22を通して荷室空間側の上方へ光を出す。この場合、導光体50の光入射部51は、端面50eではなく、端面50e近傍の下面となる。むろん、本変形例の導光体50も、光入射部51を導光体50の端部に有することになる。
仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、載置部21bの光通過部22から上方へ出た光が光入射部51に入射し、該入射した光が例えば散乱体53で反射して導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
【0049】
本変形例は、仕切装置挿入部21の車幅方向外側に光源を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
むろん、光源は、仕切装置挿入部21の前壁部21cの前側に設けられてもよいし、仕切装置挿入部21の後壁部21dの後側に設けられてもよい。
【0050】
図10(a)は、仕切部材挿入部21に導光体50が挿入されない変形例の荷室照明装置3の背面を示している。本変形例の荷室仕切装置4は、仕切装置本体部40の端部のみが仕切装置挿入部21に挿入され、導光体50は仕切装置挿入部21の下側となる下側壁部20b,20bの間に配置される。光源30は仕切装置挿入部21の載置部21bの下側で下側壁部20bの車幅方向外側に設けられ、載置部21bの下側の下側壁部20bに光通過部22が設けられている。仕切装置本体部40がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、下側壁部20bの光通過部22から車幅方向内側へ出た光が導光体50の端面50eとなる光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
本変形例は、仕切装置挿入部21の車幅方向外側に光源を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
【0051】
また、図10(b)に例示するように、デッキサイドトリム20から荷室仕切装置4を取り外すと、光源30からの光LI2が直接照明として荷室空間L1を照らすことになる。荷室仕切装置4が無い場合、天井照明具11が上部荷室空間L2のみならず下部荷室空間L3も照らすこととなるので、デッキサイドトリムの光通過部22近傍に高い荷物等が置かれても下部荷室空間L3の視認性が確保される。このように、本変形例の荷室照明装置3は、光源30による側壁部からの光が荷室仕切装置4使用時に導光体50経由の間接照明として用いられ荷室仕切装置4取り外し時に直接照明として用いられるので、便利である。
【0052】
なお、導光体50の端部が仕切装置挿入部21に挿入される場合も、光源30による側壁部からの光を直接照明として用いることが可能である。
例えば、仕切装置挿入部21に設けられる蓋体23,24をレンズ体等の透明材料で形成すると、荷室仕切装置4取り外し時に光源30による側壁部からの光が蓋体23,24を通して荷室空間L1を照らすことになる。また、仕切装置挿入部21から蓋体23,24を省いても、荷室仕切装置4取り外し時に光源30による側壁部からの光が荷室空間L1を照らすことになる。
【0053】
図11(a)は、デッキサイドトリム20の下側壁部20bに凸部25を設けた変形例の荷室照明装置3の背面を示している。本変形例のデッキサイドトリムの下側壁部20bには、図11(b)に示すように、車幅方向内側(内側方向D4)へ突出した凸部25が設けられている。左右に設けられた凸部25,25に荷室仕切装置4の両端部が載置されてデッキサイドトリム20に荷室仕切装置4が取り付けられる。凸部25の上側の下側壁部20bに光通過部22が設けられ、該光通過部22の車幅方向外側(外側方向D5)に光源30が設けられている。荷室仕切装置4がデッキサイドトリム20に取り付けられているとき、光通過部22から車幅方向内側へ出た光が導光体50の端面50eとなる光入射部51に入射し、該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす。
本変形例は、側壁部に仕切装置挿入部21を設ける必要が無いので、側壁部と車体パネルとの間が狭い場合に好適である。
【0054】
なお、仕切装置本体部40が荷室空間の一つの側壁部(20)に対して着脱可能に取り付けられ、該側壁部(20)に設けられた一つの光源30により該側壁部(20)から出る光を入射させる一つの光入射部51を有する導光体50が長手方向を車幅方向D3に向けて仕切装置本体部40に設けられ、側壁部(20)から出る光が光入射部51に入射すると該入射した光が導光体50から下方へ出て下部荷室空間L3を照らす自動車用荷室仕切装置でも、仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させる効果が得られる。
すなわち、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる装置でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0055】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、仕切装置下方の荷室空間内における視認性を向上させることが可能な自動車用荷室仕切装置、及び、自動車用荷室照明装置を提供することができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能であり、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能である。従って、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…自動車、3…荷室照明装置、4…荷室仕切装置、4a…端部、
12…リヤシート、12b…背面、
13…後部扉(荷室用ドア)、13a…上縁部、13b…前面、
20…デッキサイドトリム(側壁部)、
20a…上側壁部、20b…下側壁部、20c…境界部、
21…仕切装置挿入部、
21a…立壁部、21b…載置部、21c…前壁部、21d…後壁部、
22…側壁部の光通過部、
23,24…蓋体、25…凸部、
30,30A…光源、
40…仕切装置本体部、
42…シート収容装置、43…溝、44…遮蔽シート、
46…ホルダ部材、46a…収容装置挿入部、46b…光通過部、46c…支持部、
50…導光体、50e…端面、
51…光入射部、52…光出射部、
53…散乱体、54…凹凸形状、55…反射板、
D1…引出方向、D2…収容方向、
D3…車幅方向、D4…車幅方向の内側方向、D5…車幅方向の外側方向、
L1…荷室空間、L2…上部荷室空間、L3…下部荷室空間、
LI1,LI2…光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部が前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられ、
該側壁部に設けられた光源により該側壁部から出る光を入射させる光入射部を有する導光体が長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられ、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする自動車用荷室仕切装置。
【請求項2】
前記荷室空間の後側を開閉可能な荷室用ドアが前記自動車に設けられており、
前記導光体は、前記側壁部に前記仕切装置本体部が取り付けられたときにおける前記荷室用ドアと前記導光体との前後方向の距離をd1(d1>0)とし前記荷室空間の前側を形成する前壁部と前記導光体との前後方向の距離をd2(d2≧0)として、d2<d1となる位置で前記仕切装置本体部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用荷室仕切装置。
【請求項3】
前記仕切装置本体部は、
シート引出部を有し、長手方向を車幅方向に向けて配置されるシート収容装置と、
前記シート引出部から引き出し可能な遮蔽シートと、
前記シート収容装置の端部を挿入させる凹状の収容装置挿入部と、前記光源により前記側壁部から出る光を通過させる光通過部とを有し、前記シート収容装置の端部に被せられるホルダ部材とを備え、
前記導光体は、前記シート収容装置の下部に取り付けられ、前記光入射部が前記光通過部の位置に合わせられて前記シート収容装置の端部とともに前記収容装置挿入部に挿入されて前記ホルダ部材に下側から支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用荷室仕切装置。
【請求項4】
自動車の荷室空間を照らすための自動車用荷室照明装置であって、
前記荷室空間の側壁部に設けられた光源と、
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部であって前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる仕切装置本体部と、
前記光源により前記側壁部から出る光を入射させる光入射部を有し、長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられた導光体とを備え、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする自動車用荷室照明装置。
【請求項1】
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部が前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられ、
該側壁部に設けられた光源により該側壁部から出る光を入射させる光入射部を有する導光体が長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられ、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする自動車用荷室仕切装置。
【請求項2】
前記荷室空間の後側を開閉可能な荷室用ドアが前記自動車に設けられており、
前記導光体は、前記側壁部に前記仕切装置本体部が取り付けられたときにおける前記荷室用ドアと前記導光体との前後方向の距離をd1(d1>0)とし前記荷室空間の前側を形成する前壁部と前記導光体との前後方向の距離をd2(d2≧0)として、d2<d1となる位置で前記仕切装置本体部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用荷室仕切装置。
【請求項3】
前記仕切装置本体部は、
シート引出部を有し、長手方向を車幅方向に向けて配置されるシート収容装置と、
前記シート引出部から引き出し可能な遮蔽シートと、
前記シート収容装置の端部を挿入させる凹状の収容装置挿入部と、前記光源により前記側壁部から出る光を通過させる光通過部とを有し、前記シート収容装置の端部に被せられるホルダ部材とを備え、
前記導光体は、前記シート収容装置の下部に取り付けられ、前記光入射部が前記光通過部の位置に合わせられて前記シート収容装置の端部とともに前記収容装置挿入部に挿入されて前記ホルダ部材に下側から支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用荷室仕切装置。
【請求項4】
自動車の荷室空間を照らすための自動車用荷室照明装置であって、
前記荷室空間の側壁部に設けられた光源と、
自動車の荷室空間を上下に仕切るための仕切装置本体部であって前記荷室空間の側壁部に対して着脱可能に取り付けられる仕切装置本体部と、
前記光源により前記側壁部から出る光を入射させる光入射部を有し、長手方向を車幅方向に向けて前記仕切装置本体部に設けられた導光体とを備え、
前記側壁部から出る光が前記光入射部に入射すると該入射した光が前記導光体から下方へ出て前記仕切装置本体部から下側の前記荷室空間を照らすことを特徴とする自動車用荷室照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−20679(P2012−20679A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160657(P2010−160657)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
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