説明

自動車用蒸発器のヘッダーパイプ

本発明は、ヘッダーパイプを構成する個別の部品について組み立てられるべき部品点数が低減されて、個別の部品のブレイジング後に接合部位での冷媒漏出現象を防止できるように構造がより単純化された、自動車用蒸発器のヘッダーパイプに関する。本発明の構成は、冷媒流路空間が形成されたタンク部10及び冷媒チューブの末端部が接続されるヘッド部20が一体に成形されて、前記タンク部の冷媒流路空間を区画する隔壁30、前記タンク部での冷媒流路を変更させる仕切り板40、及び前記タンク部の両端の開口部を塞ぐキャップ50が組立てられた構造からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の空調システムを構成する蒸発器に関するものであって、より詳細には、蒸発器で冷媒が流れるチューブの端部を接続するのに使用されるヘッダーパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の空調システムを構成する蒸発器は、冷媒が流れる複数のチューブ及び放熱を助けるフィンが積層されてコアが形成されると共に、各チューブの末端部はヘッダーパイプによって接続された構造からなるのが一般的である。
【0003】
添付した図1にその一例が示されているが、放熱フィン110が挿入されたチューブ120が複数配列されてコア100が形成され、このコア100の両端には一対のヘッダーパイプ200、200’が設置されていて、ヘッダーパイプ200、200’のうちの一側のヘッダーパイプ200’には、冷媒が流入及び流出する冷媒パイプ310、320がアダプター400で連結されている。
【0004】
特に、ヘッダーパイプ200は、図面の下側に示されたものを一例として見てみると、冷媒が流れる冷媒流路空間が形成されたタンク部210、チューブ120の末端部が接続される複数の貫通孔221が形成されていて、プレート型からなって前記タンク部210の空間を覆うヘッド部220、複数の連通孔231が形成されていると共に、タンク部210の内部の冷媒流路空間を区画する隔壁230、タンク部210の中間部分で隔壁230に嵌合されて、冷媒流路を変更させる仕切り板240、そしてタンク部210の両端部分で前記隔壁230と各々結合されて、タンク部210の両端の開口部を塞ぐキャップ250、250’などからなる。
【0005】
一方、このようにタンク部210、ヘッド部220、隔壁230、仕切り板240、キャップ250、250’などからなる従来のヘッダーパイプ200は、各々の部品が個別に組立てられた後、接合される部位にクラッド材が塗布された状態でブレイジングされて結合される。
【0006】
しかし、このように各々の部品がブレイジングされる前に個別に先に組立てられなければならない構造からなるため、部品点数の増加による生産性の低下の問題及び費用の上昇の問題がある。
【0007】
さらに、各々の部品が個別に組立てられた後にブレイジングされるため、ブレイジング部分にクラッド材が塗布されずに接合が不完全になることがあるので、冷媒漏出現象によって蒸発器の性能に悪影響を及ぼすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような従来の問題を改善するために案出されたものであって、その目的は、ヘッダーパイプを構成する個別の部品について組み立てられるべき部品点数が低減されて、個別の部品のブレイジング後に接合部位での冷媒漏出現象を防止できるように構造がより単純化された、自動車用蒸発器のヘッダーパイプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明による自動車用蒸発器のヘッダーパイプは、冷媒流路空間が形成されたタンク部及び冷媒チューブの末端部が接続されるヘッド部が一体に成形され、前記タンク部の冷媒流路空間を区画する隔壁、前記タンク部での冷媒流路を変更させる仕切り板、及び前記タンク部の両端の開口部を塞ぐキャップが組立てられた構造からなることを技術的要旨とする。
【0010】
ここで、前記タンク部及び前記ヘッド部の連接部位にラウンディング部が形成された構造が開示される。
【0011】
そして、前記隔壁、仕切り板、及びキャップの各々は、前記タンク部及びヘッド部の一体物にペーストでブレイジング接合された構造が開示される。
【0012】
一方、前記タンク部及び前記ヘッド部の各々には、前記隔壁がスライディング挿入されるレール溝が形成され、前記タンク部には、前記仕切り板が嵌合される挿入孔が形成された構造が開示される。
【0013】
同時に、前記タンク部及びヘッド部の一体物に前記隔壁が挿入され、挿入された隔壁に前記仕切り板が組立てられ、前記タンク部の両端の開口部に前記キャップが組立てられた後、前記隔壁、仕切り板、及びキャップが前記タンク部及びヘッド部の一体物にクラッド材でブレイジング接合された構造が開示される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のヘッダーパイプは、タンク部及びヘッダ部が一体に形成されるため、部品点数が従来に比べて低減されるだけでなく、ブレイジング部分が従来に比べて減少するので、ブレイジング後に接合部位での冷媒漏出現象を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図2、図4、及び図5は各々本発明によるヘッダーパイプを示した分離斜視図、組立て状態斜視図、及び組立て完了状態斜視図であり、図3及び図6は各々図2及び図5の右側端部に対する拡大斜視図である。
【0017】
図面に示されているように、本発明のヘッダーパイプは、冷媒が流れる流路空間が形成されたタンク部10、冷媒チューブ(図示せず)の末端部が接続される複数の貫通孔21が形成されて、タンク部10の流路空間を覆って管体を形成するヘッド部20を含み、これらタンク部10及びヘッド部20が圧出整形などの方法によって一体に形成されることが特徴的な構造である。
【0018】
特に、一体に成形されるタンク部10及びヘッド部20の連接部位には、ラウンディング部(R)が形成されることによって、ヘッダーパイプを通過する冷媒の流れがより円滑になる。
【0019】
そして、本発明のヘッダーパイプは、タンク部10の内部に冷媒流路空間を区画する隔壁30が組立てられると共に、タンク部10の中間の所定の部分で冷媒流路を変更させる仕切り板40が組立てられて、タンク部10の両端の開口部には、これを塞ぐ手段としてキャップ50、50’が組立てられた構造を開示している。
【0020】
このようにタンク部10及びヘッド部20の一体物に各々組立てられる隔壁30、仕切り板40、及びキャップ50、50’は、クラッド材にバインダーを添加して液体化したペーストでブレイジング接合される。
【0021】
あるいは、タンク部10及びヘッド部20の一体物に隔壁30を挿入すると共に、挿入された隔壁30には仕切り板40を組立て、タンク部10の両端の開口部にはキャップ50、50’を組立てた状態で、これら隔壁30、仕切り板40、及びキャップ50、50’をタンク部10及びヘッド部20の一体物にクラッド材でブレイジング接合することもできる。
【0022】
一方、図3及び図6から明確に分かるように、タンク部10及びヘッド部20には各々前記隔壁30が挿入されるレール溝11、22が形成されており、このレール溝11、22は、隔壁30の挿入端がスライディングされて嵌合されるようにレール形状に形成されており、ブレイジング時にレール溝11、22及び隔壁30の接合部位及びその周辺にペーストあるいはクラッド材が融着されることによって、堅固に接合されるようになる。
【0023】
また、タンク部10には仕切り板40が嵌合される挿入孔12が形成されており、この挿入孔12に嵌合された仕切り板40も、ブレイジング時にペーストあるいはクラッド材の融着によって堅固に接合される。
【0024】
本発明の実施例のヘッダーパイプによれば、タンク部10及びヘッド部20が一体物として形成されているので、従来のヘッダーパイプと比べて組み立てられるべき部品点数が低減され、さらに、従来のヘッダーパイプと比べてブレイジングによって接合されるべき部位の数も低減されているので、ブレイジング後の冷媒漏出現象を防止することができる。
【0025】
以上説明したように、本発明による自動車用蒸発器のヘッダーパイプによれば、組み立てられるべき部品点数が低減されるので、生産性が向上すると共に、製造費用を低減することができ、また、ブレイジング後の冷媒漏出現象を防止することができて、蒸発器の性能向上に寄与する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の蒸発器の例を示した分離斜視図である。
【図2】本発明の実施例によるヘッダーパイプを示した分離斜視図である。
【図3】図2の右側端部に対する拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施例によるヘッダーパイプにおいて隔壁が挿入される状態を示した組立て状態斜視図である。
【図5】本発明の実施例によるヘッダーパイプを示した組立て完了状態斜視図である。
【図6】図5の右側端部に対する拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
10 タンク部
20 ヘッド部
21 貫通孔
30 隔壁
40 仕切り板
50、50’ キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流路空間が形成されたタンク部及び冷媒チューブの末端部が接続されるヘッド部が一体に成形され、前記タンク部の冷媒流路空間を区画する隔壁、前記タンク部での冷媒流路を変更させる仕切り板、及び前記タンク部の両端の開口部を塞ぐキャップが組立てられた構造からなる、自動車用蒸発器のヘッダーパイプ。
【請求項2】
前記タンク部及び前記ヘッド部の連接部位にラウンディング部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用蒸発器のヘッダーパイプ。
【請求項3】
前記隔壁、仕切り板、及びキャップの各々は、前記タンク部及びヘッド部の一体物にペーストでブレイジング接合されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用蒸発器のヘッダーパイプ。
【請求項4】
前記タンク部及び前記ヘッド部の各々には、前記隔壁がスライディング挿入されるレール溝が形成され、前記タンク部には、前記仕切り板が嵌合される挿入孔が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用蒸発器のヘッダーパイプ。
【請求項5】
前記タンク部及びヘッド部の一体物に前記隔壁が挿入され、挿入された隔壁に前記仕切り板が組立てられ、前記タンク部の両端の開口部に前記キャップが組立てられた後、前記隔壁、仕切り板、及びキャップが前記タンク部及びヘッド部の一体物にクラッド材でブレイジング接合されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車用蒸発器のヘッダーパイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−534555(P2007−534555A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510622(P2007−510622)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001234
【国際公開番号】WO2005/114066
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506352223)モダイン・コリア・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】