説明

自動車用車高センサモジュール

【課題】汚染物質に影響されずに正確な計測が可能な自動車用車高センサを提供する。
【解決手段】自動車用車高センサモジュールを、上側に開口部が形成されるセンサハウジング110と、センサハウジングに回転可能に設けられるシャフトと、シャフトの上側に配置されるマグネットと、マグネットと向かい合う磁気素子が実装され、センサハウジング110の内部に形成された複数個の支持突起の上端に設置される印刷回路基板120と、開口部を覆うセンサカバー130と、センサハウジング110とセンサカバー130との間に介在して、センサハウジングの内部に水分及び汚染物質の流入を遮断するシーリング部材140と、センサカバー130と印刷回路基板120との間に介在して、印刷回路基板120を支持突起側に加圧する複数個の弾性部材150と、複数個の弾性部材150の両端を支持する支持ユニット170と、により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用車高センサモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車には多様な形態のセンサが設けられているが、最近では路面状態に応じた多様な制御が行われるように路面から自動車までの高さを検出する車高センサが設けられている。
【0003】
車高センサは、路面に対する自動車のボディの高さを検出するセンサであって、自動車が走行する間、自動車のボディと車軸との相対的な位置変化(車高変化)を感知して、電子制御が可能な懸架システムの電子制御ユニットに検出された車高の情報を提供する。この情報を通じて電子制御懸架装置(ESU)は、路面が凸凹した砂利道では車の高さを高くして車体を保護し、高速道路のように高速走行が可能な道路では車の高さを低くして走行及び操縦の安全性を高める機能を果たす。
【0004】
このような車高センサは、自動車が運行する路面と近接した位置に設けられる場合が多いことから、埃のような汚染物質は勿論、路面から跳ね上がる水と頻繁に接触するようになるため、センサ内部にこのような汚染物質及び水分が浸透することがないようにセンサカバーにシーリング構造を設ける必要がある。
【0005】
一般に用いられるシーリング構造は、O−リングのようなシーリング部材を介在してセンサケースとセンサカバーとを結合するものであって、この場合、O−リングの高さだけセンサカバーとセンサケースに設けられる印刷回路基板に遊隔が生じる。このようにセンサカバー及び印刷回路基板に遊隔が生じると、外部衝撃などが発生する場合、印刷回路基板が遊隔の分だけ揺動するようになり、印刷回路基板が揺動すると、印刷回路基板に実装されたホール素子が正確な検出信号を出力することができない。
【0006】
したがって、印刷回路基板が外部衝撃によって揺動しないように、センサカバーの印刷回路基板と向かい合う面には、印刷回路基板を加圧して、揺動を防止するための支持リブが形成される。
【0007】
ところが、支持リブが印刷回路基板を長時間加圧する場合、印刷回路基板が支持リブの加圧力によって疲労破壊するか、またはクラックなどが発生し得るという問題点がある。
【0008】
また、O−リングのようなシーリング部材は時間が経つにつれて、ゴム成分が変質するなどの理由で弾力性が変化し、センサカバーとセンサケースとの間の結合力が減ることがある。この場合、支持リブがそれ以上印刷回路基板を加圧することができず、印刷回路基板が外部衝撃によって揺動する恐れがあるという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、長期間使用してもシーリング部材によるシーリング性能を維持し、ホール素子が実装された印刷回路基板の揺動を防止して、常時正確な検出信号を出力することができるように構造が改善された自動車用車高センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による自動車用車高センサモジュールは、上側に開口部が形成されるセンサハウジングと、センサハウジングに回転可能に設けられるシャフトと、シャフトの上側に配置されるマグネットと、少なくとも一つの磁気素子がマグネットと向かい合う面に実装され、センサハウジングの内部に突出形成された複数個の支持突起の上端に設置される印刷回路基板と、開口部を覆うセンサカバーと、センサハウジングとセンサカバーとの間に介在して、センサハウジングの内部に水分及び汚染物質の流入を遮断するシーリング部材と、センサカバーと印刷回路基板との間に介在して、印刷回路基板を支持突起側に加圧する複数個の弾性部材と、複数個の弾性部材の両端を支持する支持ユニットと、を含むことを特徴とする。
【0011】
支持ユニットは、複数個の支持突起の上側に突出形成される第1ボス、印刷回路基板の第1ボスと対応する位置に貫通形成されるボスホール、及びセンサカバーの第1ボスと対応する面に第1ボスに向く方向に突出形成される第2ボス、を含むことが好ましい。
【0012】
弾性部材は、圧縮コイルスプリングであってもよく、第1及び第2ボスに両端が結合するゴム材質のベローズスプリングであってもよい。
【0013】
磁気素子は、ホール素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、センサケースとセンサカバーとの間に介在するO−リングのようなシーリング部材の弾力性が変化しても、センサカバーと印刷回路基板との間に介在する複数個の弾性部材によって印刷回路基板の揺動を防止するため、長期間使用しても、水や埃などのような汚染物質に露出されず、故障せずに正確な検出信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい一実施例による車高センサの設置例を示す図である。
【図2】図1の車高センサの分解斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施例による図3の要部拡大図である。
【図5】本発明の第2実施例による図3の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施例による自動車用車高センサモジュールについて図面を参考して説明する。
【0017】
一般に、乗り心地を向上させるためには懸架装置が柔軟でなければならない。ところが、このような場合、乗り心地は優れるが、急加速、急制動、急旋回などの場合には自動車の姿勢変化が激しくなる。その反面、硬くなると、様々な運転状況で発生する自動車の姿勢変化を最大限抑制することができるが、路面の振動が吸収されずに運転手に直接伝達されるため、疲労感及び不快感が生じる。したがって、機械式懸架装置は、乗り心地及び走行安全性を考慮して自動車の特性に最も適合する懸架特性を適切に選択しなければならない。
【0018】
このような問題点を解消するために、懸架装置の減衰力(Damping Force)を可変制御する必要がある。このような減衰力の制御を通じて、一般走行時には懸架装置を柔軟にし、高速走行及び姿勢変化の時には硬くすることで、乗り心地と走行安全性を同時に確保することができる。
【0019】
このように懸架装置の減衰力を可変制御するためには、路面状況及び運転条件に応じて車高を可変制御しなければならない。つまり、砂利道のような路面が凸凹した道路を走行する時には車高を上昇させて車体を保護し、高速走行時には車高を低くして空気抵抗を減少させて走行安全性を確保しなければならない。このような制御を目的としたのがECS(電子制御サスペンション:Electronic Control Suspension)であり、油圧式及び空気圧方式のものが実用化されている。
【0020】
本発明は、ECSに必須の車高センサモジュールに関するものであって、車高センサは、現在の車高を検出してECSにその測定値を出力し、ECSは、目標車高よりも低いと、貯蔵タンクの圧縮空気を空気スプリングに供給して車体を上昇させ、目標車高よりも高いと、エアスプリングにある圧縮空気を大気に放出して車高を低くして、乗車人員及び貨物重量に関係なく常時一定の高さを維持するように前輪と後輪を独立的に制御する。
【0021】
図1は、このように構成された本発明の好ましい一実施例による車高センサモジュールの設置例を示す図である。
【0022】
図示されているように、本発明による車高センサモジュール100は、自動車(図示せず)の車体に設けられ、車高センサモジュール100と連結されるレバーLとロードRは、それぞれリンク結合されて、自動車の懸架装置1と連結される車軸2側に連結され、路面状態に応じてロードRがレバーLを回転させ、その回転値を車高センサモジュール100が検出してECS側で現在の路面状態による自動車の車高を計算できるようにする。
【0023】
このように車高センサモジュール100は、埃のような汚染物質や路面から跳ね上がる水などによって頻繁に影響を受けることから、このような汚染物質や水分が車高センサモジュール100の内部に浸透することを防止するために、水密構造で組み立てられる。
【0024】
図2は、本発明の好ましい一実施例による車高センサモジュール100を示す分解斜視図であり、図3は、図2のA−A断面図である。
【0025】
図示されているように、本発明による車高センサモジュール100は、センサケース110、印刷回路基板120、センサカバー130、シーリング部材140及び弾性部材150を含み、センサケース110及びセンサカバー130には、弾性部材150の両端を支持するための支持ユニット170(図4参照)が設けられる。
【0026】
センサケース110は上部が開口した筒状に設けられ、その内部にシャフト111が回転可能に設けられる。シャフト111はレバーLと連結されて、レバーLの回転に連動して回転する。シャフト111の上側にはマグネット112が設けられて、シャフト111の回転に連動して共に回転する。
【0027】
センサケース110の一側壁面にはECS(図示せず)と連結されるターミナルユニット113が設けられ、ターミナルユニット113は印刷回路基板120と通電及び信号交換可能に連結される。これらの連結は対応する形状の端子部を作って半田付けするか、またはプラグ結合などで連結することも可能である。
【0028】
センサケース110の内周面には少なくとも3つ以上の支持部材115が突出形成され、この支持部材115の上側面に印刷回路基板120が載せられる。支持部材115は図2に示されているように、センサケース110と向かい合う2つの面と、ターミナルユニット113と向かい合う面など、合計3箇所に形成されることが好ましい。
【0029】
印刷回路基板120は支持部材115の上側に配置され、ターミナルユニット113と信号交換可能に連結される。印刷回路基板120のマグネット112と対応する面には少なくとも一つ以上の磁気素子121が実装されるが、磁気素子121としてホール素子を用いることが好ましい。
【0030】
センサカバー130は開口部の形状と対応する形状に設けられ、センサケース110の上側開口部を全て覆うことができるように構成される。センサカバー130は印刷回路基板120と所定間隔だけ離隔されるように設けられる。
【0031】
シーリング部材140はセンサケース110とセンサカバー130との間に介在して、センサケース110とセンサカバー130との結合部を通じて水や汚染物質が流入することを防止する。シーリング部材140は、一般にゴムまたはシリコーン材質のO−リングを用いることが好ましい。
【0032】
弾性部材は、印刷回路基板120とセンサカバー130との間に介在して、印刷回路基板120を支持部材115側に加圧する役割をするが、コイルスプリング150やゴム材質のベローズスプリング160(図5参照)を用いることが好ましい。
【0033】
図4は、本発明の第1実施例によるコイルスプリング150で構成された弾性部材を支持ユニット170で固定した状態を示す図である。
【0034】
支持ユニット170は、第1ボス171、ボスホール172及び第2ボス173を含む。
【0035】
第1ボス171は複数個の支持突起115の上側に突出形成され、ボスホール172は印刷回路基板120の第1ボス171と対応する位置に貫通形成され、第2ボス173はセンサカバー130の第1ボス171と対応する面に第1ボス171に向く方向に突出形成される。第1ボス171及び第2ボス173は、コイルスプリング150の両端を支持して、コイルスプリング150がその位置から離脱することを防止する。
【0036】
図5は、本発明の第2実施例によるベローズスプリング160を用いる弾性部材を示す図であって、前述した図4と支持ユニット170の構造は同一である。ただし、弾性部材がゴム材質のベローズスプリング160である点で異なっている。
【0037】
以上のように本発明によれば、弾性部材としてコイルスプリング150やゴム材質のベローズスプリング160を用いて、印刷回路基板120を支持部材115側に加圧するため、従来のように、樹脂材質の支持リブなどを構成して加圧する場合に過度な加圧力によって印刷回路基板120にクラックが発生するか、または遊隔が形成される現象を防止することができる。
【0038】
特に、O−リングのようなシーリング部材140の弾力性が変化して、センサケース110とセンサカバー130との間の結合が緩んで遊隔が生じても、弾性部材の弾性復元力によって一定の大きさ以上の力が常時印刷回路基板120に作用するため、印刷回路基板120が揺動しないように設置位置に固定することが可能である。
【0039】
本発明は、以上述べたように、好ましい実施例を例示して図を用いて説明したが、上記した実施例には限定されず、本発明の精神を脱しない範囲内で当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変更及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100 車高センサモジュール
110 センサケース
120 印刷回路基板
130 センサカバー
140 シーリング部材
150 弾性部材
160 ベローズスプリング
170 支持ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に開口部が形成されるセンサハウジングと、
前記センサハウジングに回転可能に設けられるシャフトと、
前記シャフトの上側に配置されるマグネットと、
少なくとも一つの磁気素子が前記マグネットと向かい合う面に実装され、前記センサハウジングの内部に突出形成された複数個の支持突起の上端に設置される印刷回路基板と、
前記開口部を覆うセンサカバーと、
前記センサハウジングと前記センサカバーとの間に介在して、前記センサハウジングの内部に水分及び汚染物質の流入を遮断するシーリング部材と、
前記センサカバーと前記印刷回路基板との間に介在して、前記印刷回路基板を前記支持突起側に加圧する複数個の弾性部材と、
前記複数個の弾性部材の両端を支持する支持ユニットと、
を含むことを特徴とする自動車用車高センサモジュール。
【請求項2】
前記支持ユニットは、
前記複数個の支持突起の上側に突出形成される第1ボスと、
前記印刷回路基板の前記第1ボスと対応する位置に貫通形成されるボスホールと、
前記センサカバーの前記第1ボスと対応する面に前記第1ボスに向く方向に突出形成される第2ボスと、
を含む、請求項1に記載の自動車用車高センサモジュール。
【請求項3】
前記弾性部材は、圧縮コイルスプリングである、請求項2に記載の自動車用車高センサモジュール。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記第1及び第2ボスに両端が結合されるゴム材質のベローズスプリングである、請求項2に記載の自動車用車高センサモジュール。
【請求項5】
前記磁気素子は、ホール素子である、請求項1に記載の自動車用車高センサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24863(P2013−24863A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−120472(P2012−120472)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】