説明

自動車車体のプロテクターの取付構造

【課題】外装部品を車体外面に上下動させながら取付けても、それに固定したプロテクターが巻き込まれて外観を損なうといった問題が発生しないプロテクターの取付構造を提供する。
【解決手段】外装部品10の前端部に凸部13を形成する。また、プロテクター20の後端部に後向凹部21を形成して、後向凹部21の直上に第一突起22を形成すると共に、直下に第二突起23を形成する。そして、凸部13を後向凹部21に挿入して固着し、プロテクター20の前面に、車体外面に弾接する小突部24を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体に取付けられるエアロパーツ、スプラッシュガードあるいはサイドモール等のいわゆる外装部品の先端部に固定され、車体外面に弾接するプロテクターの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図3を参照して説明する。自動車の車体即ちボディパネル1やドアパネル2には、外観性の向上、車体の保護あるいは空力特性の向上等を目的としてエアロパーツ、スプラッシュガードあるいはサイドモール等の外装部品30を取付けたものがある。
【0003】
こうした外装部品30は通常、硬質の合成樹脂で形成されているので、直接車体に当接させると当該車体外面を傷付けてしまう。そのため、外装部品30の車体外面に当接する部分にゴム或いは樹脂製のプロテクター40を取付けている。
【0004】
このプロテクター40は、一般に、その上端部に斜め上向きで細長状のリップ部44を突設しており、このリップ部44を車体外面に弾接させるようにしている。また、このプロテクター40は、外装部品30の前端を覆うような状態で設けられている。さらに、このプロテクター40は、その後端部に形成した凹み部41の直上と直下に形成した短尺状の突出部42,43を、外装部品30の前端部に形成した膨出部31の上下両面に当接させ、凹み部41の底面と膨出部31の前端面とを両面接着テープ4によって接着している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外装部品30を車体外面に取付ける際には、そのクリップ3を車体に穿設した挿通孔1aに差し込む必要があるため、当該外装部品30を車体外面に押し付けた状態で上下動させる必要がある。そのため、リップ部44の先端が車体外面との間に巻き込まれて、いわゆる巻込みSが形成され、外観性が損なわれるといった問題が発生する(図3参照)。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、外装部品を車体外面に上下動させながら取付けても、それに固定したプロテクターが巻き込まれて外観を損なうといった問題が発生しないプロテクターの取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1,図4〜図7に示す如く、請求項1の発明に係る自動車車体のプロテクターの取付構造は、自動車の車体即ちボディパネル1やドアパネル2に取付けられる外装部品10の前端部に固着され、車体外面に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品10の前端部に凸部13を形成し、プロテクター20の後端部に後向凹部21を形成して、後向凹部21の直上に第一突起22を形成すると共に、直下に第二突起23を形成し、凸部13を後向凹部21に挿入して固着し、プロテクター20の前面に、車体外面に弾接する小突部24を突設したことを特徴とするものである。
【0008】
図1,図4,図5,図7に示す如く、請求項2の発明に係る自動車車体のプロテクターの取付構造は、自動車の車体外面に取付けられる外装部品10の前端部に固着され、車体外面に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品10の前端部に凸部13を形成し、プロテクター20の後端部に後向凹部21を形成して、後向凹部21の直上に第一突起22を形成すると共に、直下に第二突起23を形成し、凸部13を後向凹部21に挿入し、プロテクター20の前面に、車体外面に弾接する小突部24を突設し、第二突起23に、第一突起22より後方へ長くする延設部23aを設けて、第二突起23の上面と外装部品10の前端部下面とを接着したことを特徴とするものである。
【0009】
図1及び図6に示す如く、請求項3の発明に係る自動車車体のプロテクターの取付構造は、自動車の車体外面に取付けられる外装部品10の前端部に固着され、車体外面に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品10の前端部に凸部13を形成し、プロテクター20の後端部に後向凹部21を形成して、後向凹部21の直上に第一突起22を形成すると共に、直下に第二突起23を形成し、凸部13を後向凹部21に挿入接着し、プロテクター20の前面に、車体外面に弾接する小突部24を突設したことを特徴とするものである。
【0010】
図1,図4〜図7に示す如く、請求項4の発明に係る自動車車体のプロテクター構造は、請求項1〜3の発明において、小突部24を凸部13の延長線上に位置させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のプロテクターの取付構造は、車体即ちボディパネル1またはドアパネル2に弾接する部分を小突部24としたので、外装部品10を車体外面に取付ける際に上下動しても、当該小突部24は巻込みSを形成することがない。従って、外観を良好に維持することができる。
【0012】
請求項2及び請求項3に記載のプロテクターの取付構造も、請求項1に記載の発明と同様の効果を発揮すると共に、車体外面に強く弾接した状態で上下動しても巻込みSが形成されることがない。
【0013】
また、第二突起23に、第一突起22より後方へ長くする延設部23aを設けて、その長く形成した第二突起23の上面と外装部品10の前端部下面とを接着すれば、両者を略水平方向の広い接触面積で接着することができる。従って、外装部品10を車体外面等に取付ける際に、当該外装部品10を、プロテクター20の小突部24を車体外面に弾接した状態で上下動した場合、プロテクター20はその動きに容易に追従することができる。よって、プロテクター20が外装部品10からずれたり、離脱するといったことがない。
【0014】
また請求項4の発明によれば、小突起24に効果的な押圧力を与えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るプロテクターの取付構造の実施形態を、図1および図4・図5に示す。これは、自動車のボディパネル1に取付けられる外装部品(エアロパーツ)10の前端部に固着され、ボディパネル1に弾接するプロテクターの取付構造である。
【0016】
この図5の取付構造においては、外装部品10の前端部に前向窪部11を形成して、その前向窪部11の直上に突片12を形成すると共に、直下に凸部13を形成している。また、プロテクター20の後端部に後向凹部21を形成して、その後向凹部21の直上に第一突起22を形成すると共に、直下に第二突起23を形成している。
【0017】
そして、第一突起22を前向凹部11に挿入すると共に、第二凸部13を後向凹部21に挿入している。また、プロテクター20の前面に、ボディパネル1に弾接する小突部24を突設している。この小突部24は、断面略半円状に形成している。
【0018】
さらに、第二突起23を第一突起22より後方へ長く形成して、第二突起23の上面と外装部品10の前端部下面とを両面接着テープ4によって接着している。
【0019】
なお、この外装部品10にはクリップ3を設け、そのクリップ3を車体1に穿設した挿通孔1aに挿入することによって、外装部品10とプロテクター20の一体物を、車体に組付けるものである。
【0020】
本実施形態におけるプロテクターの取付構造は、プロテクター20の前面に小突部24を突設し、その小突部24をボディパネル1に弾接させたので、従来技術における細長状のリップ部を弾接させるのと異なり、外装部品10をボディパネル1に取付ける際に上下動しても小突部24は巻込みSを形成することがない。従って、外観性を高めることができる。
【0021】
また、外装部品10の窪部11にプロテクター20の最上位部分である第一突起22を挿入した状態で固着しているので、第一突起22の上面は外装部品10の突片12で覆われた状態とすることも出来る。従って、プロテクター20は視覚されず、外装部品10のみが視覚されることになり、両者の材質の違いによって生じる違和感をなくし、見栄えを向上させることができる。
【0022】
さらに、第二突起23に、第一突起22より後方へ長くする延設部23aを設けて、その長く形成した第二突起23の上面と外装部品10の前端部下面とを接着すれば、両者を略水平方向の広い接触面積で接着することができ、両者を強固の組付けることができる。
【0023】
更に図6に示す如く、延設部23aを省略し、凸部13に両面接着テープ4を配して後向凹部21に挿入接着することが出来る。
【0024】
図4において車体外面と第一突起22との隙間Kが0.5mm程度ならば見栄えが良いが、隙間Kで見栄えが悪いときには、図5,図6に示す如く、外装部品10の上端に車体外面に臨み且つ非接触の突片12を設ける。そうすれば、外装部品10の前向凹部11にプロテクター20の最上位部分である第一突起22を挿入した状態で固着するので、第一突起22の上面は外装部品10の突片12で覆われた状態となり、外から視覚されない。従って、外装部品10のみが視覚されることになり、見栄えが向上する。
【0025】
更にまた小突起24を凸部13の延長線上に配置すれば、小突起24に効果的な押圧力を与えることが出来る。
【0026】
なお、本発明に係るプロテクターの取付構造は、ボディパネル1に取付けられる外装部品10のみでなく、図7に示すように、ドアパネル2に取付けられる外装部品10にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】外装部品を取付けた自動車を示す斜視図である。
【図2】従来例を示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図3】従来例における巻込みを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図5】図4の一部変形実施形態である。
【図6】図4の異なる一部変形実施形態である。
【図7】本発明の更に他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ボディパネル
1a 挿通孔
2 ドアパネル
3 クリップ
4 両面接着テープ
10 外装部品
11 窪部
12 突片
13 凸部
20 プロテクター
21 後向凹部
22 第一突起
23 第二突起
23a 延設部
24 小突部
30 外装部品
31 膨出部
40 プロテクター
41 凹み部
42 上突出部
43 下突出部
44 リップ部
K 隙間
S 巻込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体外面に取付けられる外装部品(10)の前端部に固着され,車体外面前記に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品の前端部に凸部(13)を形成し、プロテクター(20)の後端部に後向凹部(21)を形成して,後向凹部の直上に第一突起(22)を形成すると共に,直下に第二突起(23)を形成し、凸部を後向凹部に挿入して固着し、プロテクターの前面に,車体外面に弾接する小突部(24)を突設したことを特徴とする自動車車体のプロテクターの取付構造。
【請求項2】
自動車の車体外面に取付けられる外装部品(10)の前端部に固着され,車体外面に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品の前端部に凸部(13)を形成し、プロテクター(20)の後端部に後向凹部(21)を形成して,後向凹部の直上に第一突起(22)を形成すると共に,直下に第二突起(23)を形成し、凸部を後向凹部に挿入し、プロテクターの前面に車体外面に弾接する小突部(24)を突設し、第二突起に,第一突起より後方へ長くする延設部(23a)を設けて,第二突起の上面と外装部品の前端部下面とを接着したことを特徴とする自動車車体のプロテクターの取付構造。
【請求項3】
自動車の車体外面に取付けられる外装部品(10)の前端部に固着され,車体外面に弾接するプロテクターの取付構造であって、外装部品の前端部に凸部(13)を形成し、プロテクター(20)の後端部に後向凹部(21)を形成して,後向凹部の直上に第一突起(22)を形成すると共に,直下に第二突起(23)を形成し、凸部を後向凹部に挿入接着し、プロテクターの前面に,車体外面に弾接する小突部(24)を突設したことを特徴とする自動車車体のプロテクターの取付構造。
【請求項4】
小突部(24)を凸部(13)の延長線上に位置させたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の自動車車体のプロテクター構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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