説明

自動進路制御装置

【課題】単線区間と複線区間を有する駅において、列車ダイヤの変更が行われた場合の運転整理の過渡期にあっても、列車同士がデッドロックとならない、列車の制御順序を決定する。
【解決手段】単線区間と複線区間を有する駅に設置され、単線区間の列車の通過順序と、番線の使用順序とをそれぞれ作成し、これらに応じて列車を制御する自動進路制御装置であって、単線区間を通過する番線使用順序が第1位の列車と、単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときは単線区間通過順序に従って列車運行を行い、番線使用順序に出発順序保留設定された列車を含む場合には次の列車の進入線区・線別が同一でないことをもって番線使用順序を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主要駅毎に設置される自動進路制御装置(Programmed Route Controller)に係り、特に主要駅と主要駅の列車走行区間が単線である場合に好適な自動進路制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象駅の自動進路制御装置が、保有する列車ダイヤの到着時刻あるいは出発時刻により対象駅の番線の使用順序である番線使用順序を決定し、番線使用順序に従い対象列車の信号機制御を行う自動進路制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−206224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動進路制御装置は装置内に内蔵する列車のダイヤ情報から対象駅の番線の使用順序である番線使用順序、単線区間の走行順序である単線区間通過順序などを作成し、これらの制御順序に従って対象列車の信号機制御を行っていた。
【0005】
この信号機制御の具体例について、上り方向の隣接駅Bとの間が複線区間で、下り方向の隣接駅Cとの間が単線区間であるA駅を例にとり説明する。
【0006】
このA駅の自動進路制御装置は、以下の順序を決定し、制御を行なっている。
a.上り方向の隣接駅BからA駅に進入する列車の進入順序
b.A駅から上り方向の隣接駅Bに進出する列車の進出順序
c.下り方向の隣接駅CからA駅に進入する列車の進入順序
d.A駅から下り方向の隣接駅Cに進出する列車の進出順序
e.隣接駅Cとの間の単線区間の通過順序
f.A駅の番線の使用順序
A駅では、上記のaからfの順序を予め駅のダイヤ情報に従って作成し、保有している。これに従い、例えばB駅からA駅に向かって複線区間下りを走行する列車は、A駅で保有する下りの進入順序aに従って第1位であればA駅に進入する。この列車は進入後、番線の番線使用順序fで第1位であれば複線区間下り信号機を制御し番線に到着する。
【0007】
またA駅に停車中の上り列車は、番線に到着後、A駅で保有するB駅方向行きの上りの進出順序bに従って第1位であれば、複線区間上り信号機を制御し、B駅に向けてA駅を出発する。
【0008】
また、A駅を出発し単線区間を走行してC駅に向かう列車は、単線区間の走行順序である単線区間通過順序eの第1位であれば、単線区間信号機を制御しA駅を出発する。なおこの場合には、A駅から下り方向の隣接駅Cに進出する列車の進出順序dも第1位であることは言うまでもない。
【0009】
さらに、単線区間を走行してA駅に進入予定の列車は、単線区間の単線区間通過順序e及び番線の番線使用順序fで第1位であれば単線区間信号機の制御を行いA駅の番線に到着する。なおこの場合には、A駅に進入する列車の進入順序cも第1位であることは言うまでもない。
【0010】
以上のように、自動進路制御装置では順序判断機能で作成した番線使用順序、及び単線区間通過順序といった列車の制御順序を元に、進路制御機能が信号機の自動制御を行うものである。
【0011】
ここで図を用いて従来技術での課題を具体的に説明する。この課題は、運転ダイヤを変更したときに、列車同士がお見合い状態となるいわゆる“デッドロック”として現れる。
【0012】
図2は、運転ダイヤ見直し事例を示す図である。いわゆる運転ダイヤを示しており左に運転整理前のダイヤ、右に運転整理後のダイヤを示している。
【0013】
運転整理前のダイヤは、B駅からA駅に向かう列車1レがA駅に停車後、B駅への折り返し列車2レとなり、その後単線区間のC駅から列車10レがA駅に進入し、その後複線区間のB駅に向けて進出するというものである。
【0014】
図3は、この場合のA駅構内の各種の順序を示したものである。なお、この図において、Rは線路、PLは番線、30は複線区間、31は単線区間、Pはそれぞれの位置に設けられた信号機を示している。
【0015】
図3のA駅構内の各種の順序は、図2の左側の運転整理前のダイヤに従って、複線区間30の進入順序aは列車1レが第1位であり、複線区間30の進出順序bは列車2レが第1位、列車10レが第2位であり、単線区間31の進入順序は列車10レが第1位とされる。また、下り列車1レの到着時刻は列車10レの到着時刻よりも早いため、2番線の番線使用順序fの第1位は列車1レ、第2位は列車10レとなる。
【0016】
これらの順序は、対象列車の到着時刻を元にして決定されたものである。図2左のダイヤで、線1レあるいは、線10レに黒丸を付けた位置が到着時刻で決定した順序であることを意味している。
【0017】
ここで、列車1レがダイヤ乱れ等の要因によりA駅への到着が遅れる見込みとなったときに、運転整理が行なわれ図2右側の運転整理後のダイヤに変更されたものとする。この変更では、列車1レの到着がいつになるかわからない(従って折り返し列車2レの出発時刻が決定できない)ことから、以後のほかの列車を遅らせるのではなく、列車10レを先に出発させることにした。つまり、A駅からの出発については列車10レを優先させるべく列車1レの後運用(折り返し運転)である列車2レの出発時刻を、列車10レの出発時刻よりも遅くする運転整理が行われたとする。なお、この図示において、列車2レは点線のように修正されるが、列車1レについては遅れ不明のため、当初計画に沿ったダイヤスジ線引きで表記されている。
【0018】
図4は、この場合のA駅構内の進入、進出の順序を見直して示したものである。これによれば、進入順序aとcに変更はないが、複線区間30の上りの進出順序bは第1位が列車10レ、第2位が列車2レの順に変更となる。
【0019】
ここで、図2、図3の順序は、前記したように対象列車の到着時刻を元にして決定されたものである。ところが、進入と進出の順序のみを見直した上記状態で列車10レがA駅に進入しても、列車10レは番線使用順序fの第1位ではないため、信号機P4を自動制御せずA駅の手前で停車することになる。
【0020】
但し、図2,3,4で説明したこの課題については、(対象列車の到着時刻を元にして決定された順序とするのではなく、)列車の出発時刻により番線使用順序も変更決定する方式とした場合に、番線使用順序fと複線区間30の上りの進出順序bの第1位列車が同一の列車10レとなるので課題を解消することができる。図2右のダイヤで、線2レあるいは、線10レに黒丸を付けた位置が出発時刻で決定した順序であることを意味している。
【0021】
このように、(到着時刻で決定した順序での運行に支障をきたす場合に)列車の出発時刻により番線使用順序fを見直すことは有効であるが、これによっても解決できない事象が発生する。つづいて出発時刻により番線使用順序fを決定する場合の課題について説明する。
【0022】
図5左の運転整理前のダイヤスジでは、単線区間のC駅から列車10レがA駅に進入し、列車10レの複線区間への出発後に、B駅からA駅に向かう列車1レがA駅に停車し、その後C駅に向けて出発するというものである。
【0023】
図6は、この場合のA駅構内の各種の順序を示したものである。図6のA駅構内の各種の順序は、図5の左側の運転整理前のダイヤに従って、複線区間30の進入順序aは列車1レが第1位であり、複線区間30の進出順序bは列車10レが第1位であり、単線区間31の進入順序cは列車10レが第1位、単線区間31の進出順序dは列車1レが第1位とされる。また、列車10レのA駅からの出発時刻は列車1レのA駅からの出発時刻よりも早いため、番線使用順序fの第1位は列車10レ、第2位は列車1レとなる。更に、単線区間通過順序eも第1位は列車10レ、第2位は列車1レとなる。
【0024】
ここで、列車10レがダイヤ乱れ等により遅延し、A駅からの出発について列車1レを優先させるために列車10レの出発時刻を列車1レの出発時刻より遅くする運転整理が行われたとする。この場合に、出発時刻で決定される番線使用順序fの第1位は列車1レとなる。しかし、列車1レと列車10レが共に通過する単線区間31の単線区間通過順序eでは、列車1レのA駅からの出発時刻より列車10レのA駅への到着時刻が早いため、列車10レが単線区間通過順序eの第1位となっている。
【0025】
上記状態で列車1レがA駅に進入してきた場合、列車1レは2番線への到着は可能であるが、列車1レは単線区間通過順序eの第1位以外であるために2番線から出発できず、列車10レもまた、2番線に列車1レが在線していることによりA駅に到着することが出来なくなる。
【0026】
以上のように単線区間を有する駅においては、単線区間に関わる列車に対して運転整理が行われた結果、列車の走行状況によっては列車同士がお見合い状態となる、いわゆる“デッドロック”となる場合がある。
【0027】
本発明の目的は、単線区間を有する駅において列車の制御順序を決定する際、デッドロックを防ぐために対象駅を出発可能な列車を優先した制御順序を決定する自動進路制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
単線区間と複線区間を有する駅に設置される本発明の自動進路制御装置は、単線区間の列車の通過順序を決定する単線区間通過順序作成処理部と、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部とを備え、番線使用順序作成処理部は、列車の番線使用順序を定める第1のステップと、第1のステップで定められた使用順序第1位の列車の進出先が単線区間であるか、複線区間であるかを判断する第2のステップと、第2のステップによる判断が単線区間である場合に、進出先の前記単線区間通過順序に応じた番線使用順序を検討する第3のステップと、第2のステップによる判断が複線区間である場合に、進入元の単線区間通過順序に応じた番線使用順序を検討する第4のステップを備える。
【0029】
また、第3のステップは、第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なう。
【0030】
また、第4のステップは、第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車の進入元が単線であり、かつ、第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なう。
【0031】
単線区間と複線区間を有する駅に設置される本発明の自動進路制御装置は、単線区間の列車の通過順序を決定する単線区間通過順序作成処理部と、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部とを備え、番線使用順序作成処理部は、列車の番線使用順序を定める第1のステップと、第1のステップで定められた番線使用順序第1位の列車の進出先または進入元が単線区間であり、かつ、第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なう第2のステップを有する。
【0032】
単線区間と複線区間を有する駅に設置される本発明の自動進路制御装置は、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部を備え、番線使用順序作成処理部の作成した番線使用順序第1位列車に出発順序保留設定がされているとき、下位順序の出発順序保留設定なしの列車の進入線区・線別の同一を確認する第1のステップと、進入線区・線別が同一でないとき、番線使用順序第1位列車を出発順序保留設定なしの列車の下位順序に番線使用順序を変更する第2のステップを備える。
【0033】
また、第2のステップは、出発順序保留設定なしの列車の順位が第1位と第2位の列車の進入線区・線別が同一であるとき、これらの第1位と第2位の列車のあとに番線使用順序第1位列車を位置づけるように番線使用順序を変更する。
【0034】
また、第2のステップは、出発順序保留設定なしの列車の順位が第1位と第2位の列車の進入線区・線別が同一でないとき、この第1位列車のあとに番線使用順序第1位列車を位置づけるように番線使用順序を変更する。
【0035】
単線区間と複線区間を有する駅に設置される本発明の自動進路制御装置は、単線区間の列車の通過順序と、番線の使用順序とをそれぞれ作成し、これらに応じて列車を制御し、単線区間を通過する番線使用順序が第1位の列車と、単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときは単線区間通過順序に従って列車運行を行い、番線使用順序に出発順序保留設定された列車を含む場合には次の列車の進入線区・線別が同一でないことをもって番線使用順序を修正する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、単線区間を有する駅に適用される自動進路制御装置において、ダイヤ乱れ等の際に行われる運転整理の過渡期においてもデッドロックとならない列車の制御順序を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明になる自動進路制御装置の構成例を示すブロック図と駅の線形図である。
【図2】ダイヤの運転整理事例を示す図である。
【図3】図2のダイヤの運転整理前のA駅構内の各種の順序を示した図である。
【図4】図2のダイヤの運転整理後のA駅構内の各種の順序を示した図である。
【図5】ダイヤの運転整理事例を示す図である。
【図6】図5のダイヤの運転整理前のA駅構内の各種の順序を示した図である。
【図7】図5のダイヤの運転整理後のA駅構内の各種の順序を示した図である。
【図8】単線区間通過順序作成処理部12の処理について示したフローチャートである。
【図9a】番線使用順序を作成する処理について示したフローチャートである。
【図9b】図9aのステップ208の詳細を示したフローチャートである。
【図10】事例1の場合の運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図11】事例1の場合の運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図12】事例2の場合の運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図13】事例2の場合の運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図14】事例3の場合の運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図15】事例3の場合の運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序を示す図である。
【図16】図11の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図17】図11の場合に、図9aのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図18】図12の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図19】図12の場合に、図9aのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図20】図13の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図21】図13の場合に、図9aのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図22】図14の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図23】図14の場合に、図9aのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図24】図15の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図25】図15の場合に、図9bのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図26】図16の場合に、図8のフローチャートで生成される順序を示す図である。
【図27】図16の場合に、図9bのフローチャートで生成される順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0039】
図1は、本発明の実施形態による自動進路制御装置と、その制御対象となる駅構内の構成例を示すブロック図である。図1の上半分には自動進路制御装置1が、図1の下半分にはその制御対象となる駅構内が図示されている。
【0040】
まず、本発明の対象とする駅構内について説明する。本発明の制御対象とするA駅は単線区間31と複線区間30を有する。また、A駅には1番線PL1と2番線PL2がある。1番線PL1に接続された線路R1はα線の下り線、2番線PL2に接続された線路R2はα線の上り線、2番線PL2に接続された線路R3は、α線の上り下り線とする。また、線路R1とR2の間には列車が相互に乗り入れ可能なように切り替え線路R4が設けられている。さらに、各線路には信号機P1,P2,P3,P4,P5が設けられており、A駅に進入し、進出する列車はこれらの信号機の表示に従い運行する。
【0041】
また、A駅に進入し、進出する列車の順序管理を行う必要があり、各線路の進入順序6、進出順序7が定められている。さらに単線区間31については、ここを通過する列車の順序(単線区間通過順序15)が、各番線PLについて番線使用順序14が定められている。
【0042】
A駅の管理のための上記の表示あるいは順序制御は、同図上部に記載の自動進路制御装置1により実行される。自動進路制御装置1は、予め設定された情報として在線列車情報2、駅別定数3、駅ダイヤ4を有しており、これらの情報を元に順序判断機能10が順序管理を行い、進路制御機能が最終的にA駅の各所を制御する信号を提供する。なお駅ダイヤ4には、ダイヤ情報5、進入順序6、進出順序7がある。
【0043】
自動進路制御装置1内の順序判断機能10では、番線使用順序作成処理部11、単線区間通過順序作成処理部12により、A駅の列車の制御順序を決定する。
【0044】
このうち、番線使用順序作成処理部11では、A駅内に在線している列車の情報である在線列車情報2、駅ダイヤ4で管理する進入順序6及び進出順序7から対象列車を抽出し、駅ダイヤ4で管理するダイヤ情報5から対象列車の情報を抽出した後、対象列車がA駅の番線に到着する際の制御順序である番線使用順序を決定する。番線使用順序作成の際には、駅別定数3に定義されている情報を元にして、上位2列車を決定する番線使用順序13、または上位6列車を決定する番線使用順序14のどちらを作成するかを決定する。
【0045】
また単線区間通過順序作成処理部12では、駅ダイヤ4で管理する単線区間31の進入順序6及び進出順序7から対象列車を抽出し、対象列車がA駅の単線区間31を走行する際の制御順序である単線区間通過順序を決定する。単線区間通過順序作成の際には、駅別定数3に定義されている情報を元にして、上位4列車を決定する単線区間通過順序16、または上位10列車を決定する単線区間通過順序15のどちらを作成するかを決定する。
【0046】
順序判断機能10で決定した列車の制御順序である番線使用順序、単線区間通過順序を元にして進路制御機能20は信号機(P1〜P5)を自動制御し、列車制御を行う。
【0047】
図8は、上記単線区間通過順序作成処理部12の処理について示したフローチャートである。また、図9aは、上記番線使用順序作成処理部11について示したフローチャートである。さらに図9bは、図9aのステップ208の詳細を示したフローチャートである。以下このフローチャートに基づいて本発明の説明を行なうが、そのときに理解を容易にするために、複数の具体事例を挙げて説明を行なうことにする。
【0048】
最初の具体事例は、運転整理前のダイヤスジの事例を示す図10と、運転整理後のダイヤスジを示す図11である。2番目の具体事例は図12、図13の運転整理前後のダイヤスジ事例である。3番目の具体事例は図14、図15の運転整理前後のダイヤスジ事例である。これら3組の運転整理事例を用いて、本発明により支障なく運転可能であることを説明したい。
〔事例1:番線使用順序第1位列車が単線区間に進出:図10運転整理前〕
この事例では、「番線使用順序第1位列車が単線区間に進出」する場合について、運転整理を行う前の状態について説明を行う。運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図10に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)と図9a(番線使用順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序をそれぞれ図16と図17に示す。
【0049】
まず図10について説明する。図10は、単線区間と複線区間を有するA駅のある日の10:00から11:00過ぎまでの列車運行ダイヤと番線使用順序、単線区間通過順序の一例を示している。この図で上部の枠内は、いわゆるダイヤスジを示しており、同図下は図1で示したと同じA駅構内設備と決定された各種の順序を示している。
【0050】
この図10の例では以下のように列車運行がされる予定である。まず10:00前に線路R1から列車1レがA駅に進入して停車後線路R3から進出し、次に線路R3から列車10レがA駅に進入して停車後線路R2から進出し、次に線路R3から列車12レがA駅に進入して停車後線路R2から進出し、次に線路R3から列車14レがA駅に進入して停車後線路R2から進出する。この運行を最後まで説明はしないが、以後列車3レ、列車5レ、列車16レ、列車7レの順で列車運行が行われる。
【0051】
同図下の進入順序6、進出順序7、番線使用順序11、単線区間通過順序12には上記のダイヤ運行のときのより詳細な情報が記録されている。図10の場合には以下のようになっている。
【0052】
複線区間の進入順序6:図10のダイヤスジのB駅からA駅に向かう列車(右下がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、5レ、7レの順番になる。
【0053】
単線区間の進入順序6:図10のダイヤスジのC駅からA駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車10レ、12レ、14レ、16レの順番になる。
【0054】
複線区間の進出順序7:図10のダイヤスジのA駅からB駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車10レ、12レ、14レ、16レの順番になる。
【0055】
単線区間の進出順序7:図10のダイヤスジのA駅からC駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、5レ、7レの順番になる。
【0056】
番線使用順序11:図10のダイヤスジのA駅の時間軸(横線)を横断する列車の順番を記憶しており、この場合には列車1レ、10レ、12レ、14レ、3レ、5レの順番になる。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、進出線区、進入線区も記憶されている。
【0057】
単線区間通過順序12:図10のダイヤスジの下半分、A駅とC駅間に運行される列車順序を記憶している。この場合には列車1レ、10レ、12レ、14レ、3レ、5レ、6レ、16レ、7レの順番になる。この例では、すべての列車がA駅を通過していくので、この順序は偶々番線使用順序11と同じ順序になっている。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、到着番線、出発番線も記憶されている。
【0058】
以上の6種類の順序は、先ほど紹介した図8、図9aのフローチャートにより作成されたものである。図10の運行予定の場合に、この順序が導かれることを図8、図9aのフローチャートにより以下詳細に説明する。
【0059】
まず、図8の単線区間通過順序作成処理部12について説明する。本処理では、まずステップS100において、駅別定数3に設定されたフラグを参照し、図1の単線区間通過順序15又は単線区間通過順序16のどちらを作成すべき駅であるかを調べる。
【0060】
この相違は、単線区間を通過する列車を何列車先まで登録するかということであり、10列車までの場合には単線区間通過順序15を、4列車までの場合には単線区間通過順序16を駅別定数3に設定されたフラグを参照して決定する。
【0061】
フラグの内容が単線区間通過順序15を作成すべき駅を示す(フラグ=“1”)場合、ステップS102にて上りの進入順序6から上位10列車を単線区間通過順序15に登録する。
【0062】
続いてステップS103にて下りの進出順序7から上位10列車を抽出し、ステップS104にて単線区間通過順序15に既に登録されている進入列車の到着時刻と進出列車の出発時刻を比較し、時刻の早い順に単線区間通過順序15の上位10列車を決定する。
【0063】
フラグの内容が単線区間通過順序16を作成すべき駅を示す(フラグ=“0”)場合、ステップS101にて、従来の上位4列車を決定する単線区間通過順序16の作成を行う。
【0064】
図8の単線区間通過順序作成処理部12は以上のように機能するが、単線区間と複線区間を有する当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。このため、図8のステップS102,S103,S104を順次実行して、最終的にステップ104の単線区間通過順序を得る。
【0065】
図10のダイヤスジを見れば明らかなので詳細説明はしないが、このときにステップS102,S103,S104で求められた順序は図16のとおりである。ちなみに、ステップS102で求めたのは先ほどの「単線区間の進入順序6」であり、S103で求めたのは先ほどの「単線区間の進出順序7」であり、S104で求めたのは先ほどの「単線区間通過順序12」である。
【0066】
次に図9aの番線使用順序作成処理部11について説明する。本処理では、まずステップS200において、駅別定数3に設定されたフラグを参照し、番線使用順序13、又は番線使用順序14のどちらを作成すべき駅であるかを調べる。
【0067】
この相違は、番線を使用する列車を何列車先まで登録するかということであり、到着時刻または出発時刻順で2列車までの場合には番線使用順序13を、出発時刻順で6列車までの場合には番線使用順序14を、駅別定数3に設定されたフラグを参照して決定する。なお当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。
【0068】
番線使用順序14を作成すべき駅を示す(フラグ=“1”)の場合、ステップS202において、登録対象列車(対象駅内に在線する列車、対象駅に進入予定の列車、対象駅から進出予定の列車)のダイヤ情報から番線使用順序登録に必要な情報(到着番線、進入線区・線別、到着時刻、進出線区・線別、出発時刻、出発順序保留設定有無)を取得する。
【0069】
次にステップS203では、出発時刻の早い順に番線使用順序14の上位6列車を決定する。
【0070】
フラグの内容が番線使用順序13を作成すべき駅を示す(フラグ=“0”)の場合、ステップS201にて従来の上位2列車を決定する番線使用順序13の作成を行う。
【0071】
ステップS204では、番線使用順序14の第1位に登録された列車のダイヤ情報から取得した進出線区・線別をキー情報として、進出先が単線であるか複線であるかを調べる。単線である場合はステップS205に進み、複線である場合はステップS206に進む。
【0072】
ステップS205では、番線使用順序14の第1位列車の進出線区・線別をキー情報として、進出線区・線別に対応する単線区間通過順序15を参照し、番線使用順序14の第1位列車が単線区間通過順序15の第1位であるか調べる。第1位であれば単線区間通過順序15に合わせた番線使用順序14の更新を行わない。第1位以外であれば単線区間通過順序15の上位登録列車から番線使用順序第1位列車と同一番線を使用する列車を抽出し、抽出した列車を番線使用順序14の上位列車として登録する。
【0073】
ステップS206では、番線使用順序14の第1位に登録された列車のダイヤ情報から取得した進入線区・線別をキー情報として、進入元が単線であるか複線であるか調べる。単線である場合はステップS208に進み、複線である場合はステップ207に進む。
【0074】
ステップS207では、番線使用順序14の第1位列車の進入線区・線別をキー情報として、進入線区・線別に対応する単線区間通過順序15を参照し、番線使用順序14の第1位列車が単線区間通過順序15の第1位であるか調べる。第1位であれば単線区間通過順序15に合わせた番線使用順序14の更新をしない。第1位以外であれば単線区間通過順序15の上位登録列車から番線使用順序第1位列車と同一番線を使用する列車を抽出し、抽出した列車を番線使用順序14の上位列車として登録する。
【0075】
ここで、ステップS205では、番線使用順序14の第1位列車の進出線区・線別をキー情報として、進出線区・線別に対応する単線区間通過順序15を参照したのに対し、ステップS207では、番線使用順序14の第1位列車の進入線区・線別をキー情報として、進入線区・線別に対応する単線区間通過順序15を参照し他点において相違する。
【0076】
ステップS208では、番線使用順序14の作成時にダイヤ情報5から取得しておいた「出発順序保留」の設定有無を調べる。ここで、「出発順序保留」を考慮すべき事例は事例3のみであり、事例1と2は「出発順序保留」の対象とならないので、ここでの説明を一切省略し、事例3の事例のときにこの意味、あるいは対応策も含めて説明をすることにする。なお、ステップS208の詳細については図9bにフローチャートで示しているのでこの部分の説明を主体に事例3で説明する。
【0077】
図9aの番線使用順序作成処理部11は以上のように機能するが、単線区間と複線区間を有する当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。このため、ステップS203の処理を実行して番線使用順序を登録する。ちなみに、ステップS203の処理による番線使用順序は、出発時刻順上位6列車なので1レ、10レ、12レ、14レ、3レ、5レの順序になる。
【0078】
また、図10のダイヤの場合には、ステップS204の判断では、ステップS203で定めた番線使用順序第1位の列車1レの進出先が単線であることから、「No」に進み、ステップS205の処理を実行して番線使用順序を更新する。
【0079】
このように、図10のダイヤの場合には、ステップS203とS205の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とS207とS208の処理を実行しない。
【0080】
図17は、図10の場合の順序演算結果を示す図である。ステップS201とS207とS208には計算結果のデータは得られず、ステップS203とS205のみに順序演算結果が得られる。ステップS203は、出発時刻上位6位までを求めており、ステップS205は進出先の単線区間通過順序に合わせた番線使用順序更新を行なう。
【0081】
ここで、ステップS205では、番線使用順序14(ステップS203)の第1位列車(1レ)が、単線区間通過順序15(ステップS104)の第1位であるので、単線区間通過順序15に合わせた番線使用順序14の更新を行わない。このようにして決定された最終の番線使用順序は、1レ、10レ、12レ、14レ、3レ、5レの順序になる。
【0082】
図10の下半分は、図16と図17の結果を反映したものである。今までの説明で容易に類推できることなので、進入、進出順序について格別の説明を行なわなかったが、最終的には番線使用順序と単線区間通過順序についての付随的な情報も追加して、このような形で記憶され駅構内の制御が行なわれる。
〔事例1:番線使用順序第1位列車が単線区間に進出:図11運転整理後〕
この事例では、「番線使用順序第1位列車が単線区間に進出」する場合について、運転整理後の状態について説明を行う。運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図11に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)と図9a(番線使用順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序をそれぞれ図18と図19に示す。
【0083】
図11は、図10のダイヤスジの一部運転整理を実施したときの状況を示す図であり、列車1レの到着遅延によりその出発時刻を、列車10レの到着時刻よりも遅くした事例である。このとき、図8のフローチャートではステップS102、S103、S104を順次実行して、最終的にステップS104の単線区間通過順序を得る。
【0084】
この場合の図8のフローチャートの判断結果を図18に示すように、単線区間の上りの進入順序で定めるステップS102の結果は、図10の場合と同じ10レ、12レ、14レ、16レの順序である。変更になったのは単線区間の下りの出発時刻だからである。単線区間の下りの進出順序で定めるステップS103の結果も図10の場合と同じ1レ、3レ、5レ、7レの順序である。変更になったのは単線区間の下り1レの出発時刻であるが、次の下り列車3レまで遅れたわけではないからである。しかるに、ステップS104の単線区間通過順序は、列車1レの遅延により、10レ、1レ、12レ、14レ、3レ、5レ、16レ、7レとなる。
【0085】
次に、図9aのフローチャートでの判断結果について説明すると、最初にステップS203の順序判断が実行される。ここでは、運転整理前の当初のダイヤ情報に従い、出発時刻順上位6列車として列車1レ、10レ、12レ、14レ、3レ、5レの順序を抽出する。
【0086】
ステップS204の判断では、ステップS203で求めた番線使用順序第1位の列車1レの進出先が単線であることから、「No」に進み、ステップS205の処理を実行して番線使用順序を更新する。
【0087】
このように、図11のダイヤの場合には、ステップS203とステップS205の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とステップS207とステップS208の処理を実行しない。
【0088】
図19は、図11の場合の順序演算結果を示す図である。ステップS201とステップS207とステップS208には計算結果のデータは得られず、ステップS203とステップS205のみに順序演算結果が得られる。図19において、ステップS203の結果は先ほど述べたとおりである。
【0089】
ステップS205では、番線使用順序14(ステップS203)の第1位列車(1レ)の進出線区・線別をキー情報として、進出線区・線別に対応する単線区間通過順序15(ステップS104)を参照し、番線使用順序14(ステップS203)の第1位列車(1レ)が単線区間通過順序15(ステップS104)の第1位(10レ)ではないことから、単線区間通過順序15(ステップS104)の上位登録列車から番線使用順序第1位列車と同一番線を使用する列車を抽出し、抽出した列車を番線使用順序14の上位列車として登録する。
【0090】
このようにして、ステップS205で求められた順位は、ステップS203で求めた番線使用順序1位と2位が入れ替わり、10レ、1レの順に修正される。図11の下半分にはこのようにして求められた番線使用順序と単線区間通過順序が表示されている。なお、運転整理が行なわれた場合、番線使用順序の最終的な表示は上位2列車のみとされる。未だに運行についての不確定な条件が残っているために不確実な情報の表示による混乱を回避するためである。
【0091】
図10、図11は、番線使用順序第1位列車が単線区間に進出する場合の番線使用順序更新処理の一例図である。運転整理後の図11では出発時刻の早遅関係は運転整理前の状態と変化がないため、番線使用順序の内容に変更はないが、単線区間通過順序は列車10レが第1位となる。
【0092】
番線使用順序第1位である列車1レの進出線区・線別から列車1レは単線区間に進出する列車であることを判別し、進出先の単線区間通過順序の先頭から列車1レの検索を行う。単線区間通過順序にて列車1レの登録が確認されるまでに、列車1レと同一番線を使用する列車10レが単線区間通過順序の上位登録列車として抽出できるため、2番線の番線使用順序を第1位を列車10レ、第2位を列車2レとして更新する。これにより、列車1レがA駅に接近してきたとしても2番線までの進入を保留させ、デッドロックを防止することが出来る。
〔事例2:番線使用順序第1位列車の進出先が複線かつ進入元が単線区間:図12運転整理前〕
この事例では、「番線使用順序第1位列車の進出先が複線かつ進入元が単線区間」である場合について、運転整理を行う前の状態について説明を行う。運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図12に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)と図9a(番線使用順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序をそれぞれ図20と図21に示す。
【0093】
図12は、単線区間と複線区間を有するA駅のある日の10:00から11:00過ぎまでの列車運行ダイヤと番線使用順序、単線区間通過順序の一例を示している。この図12の例では以下のように列車運行がされる予定である。
【0094】
まず10:00前に線路R3から列車10レがA駅に進入して停車後線路R2から進出し、次に線路R1から列車1レがA駅に進入して停車後線路R3から進出し、次に線路R3から列車12レがA駅に進入して停車後線路R2から進出し、次に線路R1から列車3レがA駅に進入して停車後線路R3から進出する。この運行を最後まで説明はしないが、以後列車14レ、列車5レ、列車16レ、列車7レの順で列車運行が行われる。
【0095】
同図下の進入順序6、進出順序7、番線使用順序14、単線区間通過順序15には上記のダイヤ運行のときのより詳細な情報が記録されている。図12の場合には以下のようになっている。
1.複線区間の進入順序6:図12のダイヤスジのB駅からA駅に向かう列車(右下がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、5レ、7レの順番になる。
2.単線区間の進入順序6:図12のダイヤスジのC駅からA駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車10レ、12レ、14レ、16レの順番になる。
3.複線区間の進出順序7:図12のダイヤスジのA駅からB駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車10レ、12レ、14レ、16レの順番になる。
4.単線区間の進出順序7:図12のダイヤスジのA駅からC駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、5レ、7レの順番になる。
5.番線使用順序11:図12のダイヤスジのA駅の時間軸(横線)を横断する列車の順番を記憶しており、この場合には列車10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レの順番になる。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、進出線区、進入線区も記憶されている。
6.単線区間通過順序12:図10のダイヤスジの下半分、A駅とC駅間に運行される列車順序を記憶している。この場合には列車10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レ、16レ、7レの順番になる。この例では、すべての列車がA駅を通過していくので、この順序は偶々番線使用順序11と同じ順序になっている。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、到着番線、出発番線も記憶されている。
【0096】
図12の各種順序が、図8と図9aのフローチャートにより求められていることについて説明する。まず、図8において、単線区間と複線区間を有する当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。このため、図8のステップS102,S103,S104を順次実行して、最終的にステップ104の単線区間通過順序を得る。
【0097】
図12のダイヤスジを見れば明らかなので詳細説明はしないが、このときにステップS102,S103,S104で求められた順序は図20のとおりである。ちなみに、ステップS102で求めたのは先ほどの「2.単線区間の進入順序6」であり、S103で求めたのは先ほどの「4.単線区間の進出順序7」であり、S104で求めたのは先ほどの「6.単線区間通過順序12」である。
【0098】
図9aの番線使用順序作成処理部11において、単線区間と複線区間を有する当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。このため、ステップS203の処理を実行して番線使用順序を登録する。ちなみに、ステップS203の処理による番線使用順序は、出発時刻順上位6列車なので10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レの順序になる。
【0099】
また、ステップS204の判断では、ステップS203の処理による番線使用順序第1位の列車10レの進出先が複線であることから「Yes」に進み、さらにステップS206の判断では第1位列車10レの進入元が単線であることから「Yes」に進み、ステップS207の処理を実行して番線使用順序を更新する。
【0100】
このように、図12のダイヤの場合には、ステップS203とS207の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とS205とS208の処理を実行しない。
【0101】
図21は、図12の場合の順序演算結果を示す図である。ステップS201とS205とS208には計算結果のデータは得られず、ステップS203とS207のみに順序演算結果が得られる。ステップS203は、出発時刻上位6位までを求めており、順番は先に説明したとおりである。
【0102】
ステップS207では、番線使用順序14(ステップS203)の第1位列車(10レ)の進入線区・線別をキー情報として、進入線区・線別に対応する単線区間通過順序15(ステップS104)を参照し、番線使用順序14の第1位列車10レが単線区間通過順序15の第1位であるので、単線区間通過順序15に合わせた番線使用順序14の更新をしない。この結果、ステップS207の処理による番線使用順序は、10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レの順序になる。
【0103】
図12の下半分は、図20と図21の結果を反映したものであることが明らかである。今までの説明で容易に類推できることなので、進入、進出順序について格別の説明を行なわなかったが、最終的には番線使用順序と単線区間通過順序についての付随的な情報も追加して、このような形で記憶され駅構内の制御が行なわれる。
〔事例2:番線使用順序第1位列車の進出先が複線かつ進入元が単線区間:図13運転整理後〕
この事例では、「番線使用順序第1位列車の進出先が複線かつ進入元が単線区間」である場合について、運転整理後の状態について説明を行う。運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図13に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)と図9a(番線使用順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序をそれぞれ図22と図23に示す。
【0104】
図13は、図12のダイヤスジの一部運行整理を実施したときの状況を示す図であり、列車10レの到着遅延によりその出発時刻を、列車1レの到着時刻よりも遅くした事例である。このとき、図8のフローチャートではステップS102、S103、S104を順次実行して、最終的にステップS104の単線区間通過順序を得る。
【0105】
この場合の図8のフローチャートの判断結果を図22に示すように、単線区間の上りの進入順序で定めるステップS102の結果は、図12の場合と同じ10レ、12レ、14レ、16レの順序である。変更になったのは単線区間の下りの出発時刻だからである。単線区間の下りの進出順序で定めるステップS103の結果も図12の場合と同じ1レ、3レ、5レ、7レの順序である。変更になったのは単線区間の下り1レの出発時刻であるが、次の下り列車3レまで遅れたわけではないからである。しかるに、ステップS104の単線区間通過順序は、列車10レの遅延により、1レ、10レ、12レ、3レ、14レ、5レ、16レ、7レとなる。
【0106】
次に、図9aのフローチャートでの判断結果について説明すると、最初にステップS203の順序判断が実行される。ここでは、運転整理前の当初のダイヤ情報に従い、出発時刻順上位6列車として列車10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レの順序を抽出する。
【0107】
ステップS204の判断では、ステップS203で求めた番線使用順序第1位の列車10レの進出先が複線であることから、「Yes」に進み、ステップS206の判断で番線使用順序第1位の列車の進入元が単線であることから、「Yes」に進みステップS207の処理を実行して番線使用順序を更新する。
【0108】
このように、図13のダイヤの場合には、ステップS203とステップS207の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とステップS205とステップS208の処理を実行しない。
【0109】
図23は、図13の場合の順序演算結果を示す図である。ステップS201とステップS205とステップS208には計算結果のデータは得られず、ステップS203とステップS207のみに順序演算結果が得られる。図23において、ステップS203の結果は先ほど述べたとおり列車10レ、1レ、12レ、3レ、14レ、5レの順序である。
【0110】
ステップS207では、番線使用順序14(ステップS203)の第1位列車10レの進入線区・線別をキー情報として、進入線区・線別に対応する単線区間通過順序15を参照し、番線使用順序14の第1位列車10レが単線区間通過順序15(ステップS104)の第1位(1レ)でないことから、単線区間通過順序15の上位登録列車から番線使用順序第1位列車と同一番線を使用する列車を抽出し、抽出した列車を番線使用順序14の上位列車として登録する。
【0111】
このようにして、ステップS207で求められた順位は、ステップS203で求めた番線使用順序1位と2位が入れ替わり、1レ、10レの順に修正される。図13の下半分にはこのようにして求められた番線使用順序と単線区間通過順序が表示されている。なお、運転整理が行なわれた場合、番線使用順序の最終的な表示は上位2列車のみとされる。未だに運行についての不確定な条件が残っているために不確実な情報の表示による混乱を回避するためである。
【0112】
以上説明した図12、図13は、番線使用順序第1位列車の進出先が複線かつ進入元が単線区間である場合の番線使用順序更新処理の一例図である。この例では、運転変更により列車10レの到着時刻を列車1レの出発時刻よりも遅くした。
【0113】
図13では出発時刻の早遅関係は運転整理前の状態と変化がないため、番線使用順序の内容に変更はないが、単線区間通過順序は列車1レが第1位となる。番線使用順序第1位である列車10レの進入線区・線別から列車10レは単線区間から進入する列車であることを判別し、進入元の単線区間通過順序の先頭から列車10レの検索を行う。単線区間通過順序にて列車10レの登録が確認されるまでに、列車10レと同一番線を使用する列車1レが単線区間通過順序の上位登録列車として抽出できるため、2番線の番線使用順序を第1位が列車1レ、第2位が列車10レとして更新する。
【0114】
この更新した番線使用順序と単線区間通過順序により列車10レのA駅への進入を許さず、デッドロックを防止することが出来る。
【0115】
なお、事例1と事例2とを通じて本発明で実施したことを総括すると、つまるところステップS205ステップS207のいずれかを実行することになる。これらの処理は、番線使用順序作成処理部が作成した出発時刻順の列車の番線使用順序第1位の列車の進出先または進入元が単線区間であり、かつ番線使用順序の第1位列車と単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なう自動進路制御装置ということができる。このことをより簡便に表現すると、単線区間に関与する番線使用順序の第1位列車と、単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときは単線区間通過順序に従うものということができる。
〔事例3:番線使用順序上位登録列車に出発順序保留が設定:図14運転整理前〕
この事例では、「番線使用順序上位登録列車に出発順序保留が設定」されている場合について、運転整理を行う前の状態について説明を行う。運転整理前のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図14に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)と図9a(番線使用順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序をそれぞれ図24と図25に示す。
【0116】
図14は、単線区間と複線区間を有するA駅のある日の10:00から11:00過ぎまでの列車運行ダイヤと番線使用順序、単線区間通過順序の一例を示している。この図14の例では以下のように列車運行がされる予定である。
【0117】
まず10:00前に線路R1から列車1レがA駅に進入して停車後、線路R2から折り返し列車11レとして進出し、次に線路R1から列車3レがA駅に進入して停車後、線路R2から折り返し列車13レとして進出し、次に線路R3から列車10レがA駅に進入して停車後線路R2から進出し、次に線路R3から列車12レがA駅に進入して停車後線路R2から進出する。この運行を最後まで説明はしないが、以後列車5レ、列車14レ、列車7レ、列車16レの順で列車運行が行われる。
【0118】
同図下の進入順序6、進出順序7、番線使用順序14、単線区間通過順序15には上記のダイヤ運行のときのより詳細な情報が記録されている。図14の場合には以下のようになっている。
1.複線区間の進入順序6:図14のダイヤスジのB駅からA駅に向かう列車(右下がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、5レ、7レの順番になる。
2.単線区間の進入順序6:図14のダイヤスジのC駅からA駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車10レ、12レ、14レ、16レの順番になる。
3.複線区間の進出順序7:図14のダイヤスジのA駅からB駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車11レ、13レ、10レ、12レ、13レ、16レの順番になる。
4.単線区間の進出順序7:図14のダイヤスジのA駅からC駅に向かう列車(右上がりの線の列車)の順序を記憶しており、この場合には列車5レ、7レの順番になる。
5.番線使用順序11:図14のダイヤスジのA駅の時間軸(横線)を横断する列車の順番を記憶しており、この場合には列車1レ、3レ、10レ、12レ、5レ、14レの順番になる。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、進出線区、進入線区も記憶されている。
6.単線区間通過順序12:図14のダイヤスジの下半分、A駅とC駅間に運行される列車順序を記憶している。この場合には列車10レ、12レ、5レ、14レ、7レ、16レの順番になる。なお、ここには、列車番号のほかに、到着時刻、出発時刻、到着番線、出発番線も記憶されている。
【0119】
図8の単線区間通過順序作成処理部のフローチャートにおいて、単線区間と複線区間を有する当該A駅は、(フラグ=“1”)に設定される駅である。このため、図8のステップS102,S103,S104を順次実行して、最終的にステップ104の単線区間通過順序を得る。
【0120】
図14のダイヤスジを見れば明らかなので詳細説明はしないが、このときにステップS102,S103,S104で求められた順序は図24のとおりである。ちなみに、ステップS102で求めたのは先ほどの「2.単線区間の進入順序6」であり、S103で求めたのは先ほどの「4.単線区間の進出順序7」であり、S104で求めたのは先ほどの「6.単線区間通過順序12」である。
【0121】
図9aの番線使用順序作成処理部11は、単線区間と複線区間を有する当該A駅が、(フラグ=“1”)に設定される駅であるため、ステップS203の処理を実行して番線使用順序を登録する。この場合には列車1レ、3レ、10レ、12レ、5レ、14レの順番になる。
【0122】
続いて、ステップS204の判断では、番線使用順序第1位の列車1レの進出先が問われるが、列車1レとしては複線区間から進入し、列車11レとして複線区間に進出するので、「Yes」に進み、ステップS206では「No」を選択してステップS208に進む。但し、ステップS208では、出発順序保留の設定がされていないために番線使用順序更新を行なわない。
【0123】
このように、図14のダイヤの場合には、ステップS203の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とS205とS207とS208の処理を実行しない。
【0124】
図25は、図14の場合の順序演算結果を示す図である。ステップS201とS205とS207とS208には計算結果のデータは得られず、ステップS203のみに順序演算結果が得られる。ステップS203は、出発時刻上位6位までを求めており、先に述べたように列車1レ、3レ、10レ、12レ、5レ、14レの順番になる。
【0125】
図14の下半分は、図24と図25の結果を反映したものである。今までの説明で容易に類推できることなので、進入、進出順序について格別の説明を行なわなかったが、最終的には番線使用順序と単線区間通過順序についての付随的な情報も追加して、このような形で記憶され駅構内の制御が行なわれる。
(事例4:番線使用順序上位登録列車に出発順序保留が設定:図15運転整理後)
この事例では、「番線使用順序上位登録列車に出発順序保留が設定」する場合について、運転整理後の状態について説明を行う。運転整理後のダイヤスジ並びに駅構内の各種順序は図15に示されている。この事例で図8(単線区間通過順序作成処理部)のフローチャートにより生成される各種の順序を図26に示す。また、図9a(番線使用順序作成処理部)と図9b(出発順序保留)のフローチャートにより生成される各種の順序を図27に示す。
【0126】
本事例の運転整理では、列車1レと列車3レについて、本来であればそれぞれ11レ、13レとして折り返し運転すべきところ、出発順序保留が設定された。
【0127】
ここで、「出発順序保留」について説明をしておく。出発順序保留とは、対象列車(1レ、3レ)を対象駅より先に出発させない運転整理のことである。単線区間に進出する列車に出発順序保留が設定された場合、その後の出発順序保留からの復旧タイミングが困難である。そのため番線使用順序第1位列車が単線に進出する列車である場合、出発順序保留が設定されていても番線使用順序14の更新条件とはしない。
【0128】
番線使用順序14の第1位列車に出発順序保留が設定されていない場合、出発
制御可能な列車が番線使用順序14の第1位であることから処理を終了する。出発順序保留が設定されていれば、続けて第2位以降の列車についても出発順序保留の設定有無を調べ、出発順序保留が設定されていない列車が見つかるまで調べる。
【0129】
番線使用順序14に登録された全ての列車に出発順序保留が設定されている場合、番線使用順序14の更新は行わない。出発順序保留が設定されていない列車が見つかった場合、出発順序保留を設定された列車と進入線区・線別が異なるかどうか調べる。異なっている場合は出発順序保留が設定されていない列車を番線使用順序14の第1位とし、元々の第1位列車をその下位として再登録する。
【0130】
出発順序保留の上記扱いを考慮した番線使用順序作成処理部の判断は、図9aの最後段のステップS208で実施される。図9aの最後段のステップS208の詳細は、図9bに示されている。図9bに至るまでの図8と図9aの動作は以下のとおりである。
【0131】
この場合の図8のフローチャートの判断結果を図26に示すように、単線区間の上りの進入順序で定めるステップS102の結果は、図14の場合と同じ10レ、12レ、14レ、16レの順序である。単線区間の下りの進出順序で定めるステップS103の結果も図14の場合と同じ5レ、7レの順序である。しかるに、ステップS104の単線区間通過順序は、10レ、12レ、5レ、14レ、7レ、16レとなる。
【0132】
次に、図9aのフローチャートでの判断結果について説明すると、最初にステップS203の順序判断が実行される。ここでは、運転整理前の当初のダイヤ情報に従い、出発時刻順上位6列車として列車1レ(11レ)、3レ(13レ)、10レ、12レ、5レ、14レの順序を抽出する。なお、出発列車としては11レ、13レであるが、折り返し運転のため順序管理上は1レ、3レとして把握している。
【0133】
ステップS204の判断では、ステップS203で求めた番線使用順序第1位の列車1レについて、その進出先が検討され、複線であることからステップS206に移り、ここの判断でも複線であることからステップS208に移る。
【0134】
なお、ステップS204の判断で、ステップS203で求めた番線使用順序第1位の列車1レの進出先が単線である場合、ステップS208が実行されることはない。これは、先に説明した規則「単線区間に進出する列車に出発順序保留が設定された場合、その後の出発順序保留からの復旧タイミングが困難である。そのため番線使用順序第1位列車が単線に進出する列車である場合、出発順序保留が設定されていても番線使用順序14の更新条件とはしない。」に沿って処理するためである。
【0135】
元に戻って、ステップS208では、このステップに判断を委ねられた列車に出発順序保留が設定されていない場合、一切の処理を行なわずに終了するが、出発順序保留が設定されていた場合、出発順序保留が設定されていない列車をステップS203のすべての列車について順次確認する。
【0136】
図15のダイヤの場合、第1位列車1レについて出発順序保留が設定されていたことがステップS208において確認されたため、ステップS208は続けて第2位列車3レについても出発順序保留の設定を確認する。結果的には1レと同様に設定ありを確認するわけであるが、この繰り返しにより、出発順序保留の扱いをされていない最も順位の高い列車として10レに辿り着く。また、以降の列車についても順次確認を継続する。
【0137】
このように、図15のダイヤの場合には、ステップS203とステップS208の処理を実行して番線使用順序を決定し、ステップS201とステップS205とステップS207の処理を実行しない。
【0138】
図9bに示した図9aステップS208の処理は、ステップS203のすべての列車について出発順序保留の扱いを確認したことをもって開始される。このときに、出発順序保留されていない最も順位の高い列車として10レが確認されており、次の順位の列車は12レである。
【0139】
図9bのフローチャートでは、以上の前提の下に、まずステップS2081において「出発順序保留設定あり列車(1レ)と、出発順序保留設定なし列車(10レ)の進入線区・線別の同一を確認」する。図15の事例では、列車1レの進入線区・線別は図1のR1であり、列車10レのそれは線路R3であり、同一でないので、ステップS2082に進む。なお、同一の場合には、全ての変更処理を必要としないので、そのまま終了とする。同一の方向から進入してくるのでかち合うことがないためである。
【0140】
ステップS2082では、出発順序保留設定なし列車同士の進入線区・線別の同一を確認する。この場合、出発順序保留されていない最も順位の高い列車10レと、この次の順位の出発順序保留されていない列車12レの、進入線区・線別の同一を確認することになる。列車10レと列車12レの進入線区・線別は同一であるので、ステップS2083に進む。
【0141】
ステップS2083では、「出発順序保留設定なし列車の第1位列車(10レ)と第2位列車(12レ)を番線使用順位上位とし、出発順序保留設定あり列車の第1位列車(1レ)を番線使用順位第3位列車に位置づける。このようにして、図27のステップS2083に示すように、10レ、12レ、1レの順序の番線使用順序を得る。
【0142】
なお、ステップS2082で、出発順序保留設定なし列車同士の進入線区・線別が同一でないと判断された場合には、ステップS2084において「出発順序保留設定なし列車の第1位列車(10レ)を番線使用順位上位とし、出発順序保留設定あり列車の第1位列車(1レ)を番線使用順位第2位列車に位置づける。」処理を行なう。
【0143】
以上述べたように、事例3の番線使用順序上位登録列車に出発順序保留が設定されているケースでは、列車の進入線区・線別は同一の如何に応じて順序見直しを実行する。
【0144】
この事例では、出発順序保留が設定された状態で番線使用順序に列車1レと列車3レを登録した後、列車1レ、列車3レについては進入線区・線別の情報と併せて格納用テーブルである出発順序保留列車格納テーブルに格納しておく。次に番線使用順序の先頭から出発順序保留が設定されていない列車を検索し、列車10レが抽出されたときに出発順序保留列車格納テーブルに格納されている列車1レ及び列車3レと進入線区・線別の比較した結果が不一致であることから、出発制御可能な列車10レを番線使用順序の上位列車とするものである。
【0145】
また、更新前の番線使用順序では列車10レの下位登録列車である1列車2レが列車10レと進入線区・線別が同一であることから列車10レの後を追った1列車2レの制御を可能にするべく、1列車2レも列車10レと同じく出発順序保留設定列車の上位とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によれば、複線区間と単線区間を有する自動進路制御装置として、いわゆるデッドロックを起こすことがないので、多くの駅装置として使用するに好適である。
【符号の説明】
【0147】
1・・・自動進路制御装置
2・・・対象駅内に在線する列車の在線列車情報
3・・・駅毎の定義情報を格納する駅別定数
4・・・駅毎にダイヤを管理する駅情報
5・・・列車ダイヤを格納するダイヤ情報
6・・・進入口毎に列車の進入順序を規定する進入順序
7・・・進出口毎に列車の進出順序を規定する進出順序
10・・・順序判断機能
11・・・番線使用順序作成処理部
12・・・単線区間通過順序作成処理部
13・・・上位2列車まで格納する番線使用順序
14・・・上位6列車まで格納する番線使用順序
15・・・上位10列車まで格納する単線区間通過順序
16・・・上位4列車まで格納する単線区間通過順序
20・・・進路制御機能
30・・・上下線が別線路である複線区間
31・・・上下線が同一線路である単線区間
40〜42・・・信号機制御予定の列車
P1〜P5・・・信号機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単線区間と複線区間を有する駅に設置され、単線区間の列車の通過順序を決定する単線区間通過順序作成処理部と、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部とを備える自動進路制御装置において、
前記番線使用順序作成処理部は、列車の番線使用順序を定める第1のステップと、該第1のステップで定められた使用順序第1位の列車の進出先が単線区間であるか、複線区間であるかを判断する第2のステップと、該第2のステップによる判断が単線区間である場合に、進出先の前記単線区間通過順序に応じた番線使用順序を検討する第3のステップと、前記第2のステップによる判断が複線区間である場合に、進入元の前記単線区間通過順序に応じた番線使用順序を検討する第4のステップとを備えることを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動進路制御装置において、
前記第3のステップは、前記第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と前記単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに前記単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なうことを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動進路制御装置において、
前記第4のステップは、前記第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車の進入元が単線であり、かつ、前記第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と前記単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに前記単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なうことを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項4】
単線区間と複線区間を有する駅に設置され、単線区間の列車の通過順序を決定する単線区間通過順序作成処理部と、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部とを備える自動進路制御装置において、
番線使用順序作成処理部は、列車の番線使用順序を定める第1のステップと、該第1のステップで定められた番線使用順序第1位の列車の進出先または進入元が単線区間であり、かつ、前記第1のステップの定めた番線使用順序の第1位列車と前記単線区間通過順序作成処理部が定めた単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときに前記単線区間通過順序に応じて、番線使用順序の見直しを行なう第2のステップとを有することを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項5】
単線区間と複線区間を有する駅に設置され、番線の使用順序を決定する番線使用順序作成処理部を備える自動進路制御装置において、
前記番線使用順序作成処理部の作成した番線使用順序第1位列車に出発順序保留設定がされているとき、下位順序の出発順序保留設定なしの列車の進入線区・線別の同一を確認する第1のステップと、進入線区・線別が同一でないとき、前記番線使用順序第1位列車を出発順序保留設定なしの列車の下位順序に番線使用順序を変更する第2のステップを備えることを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の自動進路制御装置において、
第2のステップは、出発順序保留設定なしの列車の順位が第1位と第2位の列車の進入線区・線別が同一であるとき、これらの第1位と第2位の列車のあとに前記番線使用順序第1位列車を位置づけるように番線使用順序を変更することを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項7】
請求項5記載の自動進路制御装置において、
第2のステップは、出発順序保留設定なしの列車の順位が第1位と第2位の列車の進入線区・線別が同一でないとき、この第1位列車のあとに前記番線使用順序第1位列車を位置づけるように番線使用順序を変更することを特徴とする自動進路制御装置。
【請求項8】
単線区間と複線区間を有する駅に設置され、単線区間の列車の通過順序と、番線の使用順序とをそれぞれ作成し、これらに応じて列車を制御する自動進路制御装置において、
単線区間を通過する番線使用順序が第1位の列車と、単線区間通過順序の第1位列車が合致しないときは単線区間通過順序に従って列車運行を行い、番線使用順序に出発順序保留設定された列車を含む場合には次の列車の進入線区・線別が同一でないことをもって番線使用順序を修正することを特徴とする自動進路制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−194956(P2011−194956A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61887(P2010−61887)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】