説明

自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物

【課題】酵素の活性保持性、組成物の貯蔵安定性、及び洗浄力に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)アミノ酸−N,N−二酢酸又はその塩、(b)重量平均分子量が1,000〜100,000のアクリル酸−マレイン酸コポリマー又はその塩、(c)酵素、及び水を含有し、(a)及び(b)の合計含有量が10〜50質量%であり、水溶性溶剤の含有量が10質量%以下である、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、使い勝手や溶け残り解消などの観点で液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤が開発されており、粉末タイプ同様、固化した米飯やタンパク質等の汚れに対し、他の洗浄剤成分では補いにくい洗浄効果を得るため、酵素を含有する場合がある。特許文献1には、α−アミラーゼ(ピュラスターHPAm5000L)を配合した液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が開示されており、特許文献2には、α−アミラーゼ(デュラミル300L)及びプロテアーゼ(エバラーゼ16L)を配合した液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献3には、α−アミラーゼ(プラファクトOx AMR)及びプロテアーゼ(サビナーゼ)を配合した液体タイプの洗浄剤組成物が開示されている(実施例12)。
【0003】
また、自動食器洗浄機用洗浄剤に、高い洗浄力を得る目的からグルタミン酸−N,N−二酢酸、クエン酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸などの有機酸及びその塩を配合することが、特許文献1、4、及び5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−127490号公報
【特許文献2】特開2008−163292号公報
【特許文献3】特表2001−514304号公報
【特許文献4】特開2000−063894号公報
【特許文献5】特表2010−500431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、酵素、特にアミラーゼを含有する液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤に、洗浄力をより高めることを目的に金属封鎖剤やアルカリ剤を多量に配合した場合、如何に酵素の活性を維持し、期待される洗浄性能を発現させるかという課題が生じる。この課題を解決する為に酵素安定化剤として水溶性溶剤を多量に配合することで酵素の失活を防ぐ技術が開示されており、特許文献1及び2の実施例にはプロピレングリコールを多量に配合する技術が、特許文献2の実施例にはグリセリンを多量に配合する技術がそれぞれ開示されている。
【0006】
しかし、多量の水溶性溶剤を配合した場合、液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤に洗浄剤成分として汎用されている水溶性高分子化合物や無機塩類などの溶解性が低下するため、組成物の貯蔵安定性を確保することが容易ではなくなり、組成物の処方を設計する場合、設計の自由度が大幅に制限されてきた。
【0007】
また、引用文献1、2に記載されているような有機酸又はその塩は、キレート能や分散能があるためその配合量を増加させることは、更なる洗浄力の向上に有効であると考えられるが、酵素、特にアミラーゼを含む酵素を配合した系では酵素の活性の維持が課題となる。
【0008】
本発明の課題は、酵素の活性保持性、組成物の貯蔵安定性、及び洗浄力に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)アミノ酸−N,N−二酢酸又はその塩〔以下、(a)成分という〕、(b)重量平均分子量が1,000〜100,000のアクリル酸−マレイン酸コポリマー又はその塩〔以下、(b)成分という〕、(c)酵素〔以下、(c)成分という〕、及び水を含有し、(a)及び(b)の合計含有量が10〜50質量%であり、水溶性溶剤の含有量が10質量%以下である、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酵素の活性保持性、組成物の貯蔵安定性、及び洗浄力に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<(a)成分>
本発明で用いる(a)成分は、アミノ酸−N,N−二酢酸又はその塩であり、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩を用いることができる。ナトリウム塩及び/又はアルカノールアミン塩が、貯蔵安定性、洗浄力の点から好適である。(a)成分は酵素の活性保持性、貯蔵安定性、洗浄力の観点で、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、又はこれらの塩が好ましく、グルタミン酸−N,N−二酢酸又はその塩が更に好ましい。
【0012】
(a)成分がグルタミン酸−N,N−二酢酸の場合、組成物中にあらかじめ塩として添加しても良いが、金属封鎖剤としての機能の観点より、洗浄剤組成物中では(a)成分の4個のカルボキシル基のうち、2〜3個が塩となっている部分中和物であることが好ましい。
【0013】
本発明の(a)成分は、例えば特開平9−221697号公報に記載の方法で製造することができる。
【0014】
本発明の組成物を調製する際には、本発明の組成物の生産工程での作業効率の観点で(a)成分は、あらかじめ水に溶解させた後、水溶液の形態で配合することが好適であり、水溶液の濃度は10〜80質量%、好ましくは30〜60質量%である。
【0015】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、特定のアクリル酸−マレイン酸コポリマー分散剤であり、アクリル酸由来のモノマー構成単位及びマレイン酸のモノマー構成単位を有する。マレイン酸由来のモノマー構成単位は、無水マレイン酸由来のものであってよい。(b)成分は、油汚れ洗浄力、再汚染性、貯蔵安定性、及び酵素の活性維持性に優れる点で、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩が用いられる。本発明の組成物の生産工程での作業効率の観点で(b)成分は、前記コポリマーの塩が好ましい。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩を用いることができる。なお、コポリマーの塩は、モノマーとして塩型の化合物を用いたもの、共重合後に中和したもののいずれであってもよく、両者を併用したものであってもよい。
【0016】
(b)成分は、アクリル酸及び/又はマレイン酸と重合可能な他の単量体の構成単位を含んでいてもよい。他の単量体として具体的なものを例示すると、アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(アルキル基の炭素数1〜5)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)N,N−ジメチルアミノアルキル(アルキル基の炭素数1〜5)、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、n−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アリルアミン、N,N−ジアリルアミン、N,N−ジアリル−N−アルキル(アルキル基の炭素数1〜5)アミン、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシドから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0017】
(b)成分は、アクリル酸/マレイン酸のモル比が油汚れ洗浄力、再汚染性、及び(c)成分の残存活性に優れる点で0.6〜9であることが好ましく、1〜4、更に1.5〜3であることが好ましい。なお、(b)成分中のアクリル酸/マレイン酸のモル比は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)で、共重合体の熱分解物を検出することにより求めることができる。
【0018】
なお、(b)成分の構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸の割合は、油汚れ洗浄力、再汚染性に優れる点で90〜100モル%、更に95〜100モル%、より更に98〜100モル%が好ましく、(b)成分は実質的にアクリル酸及びマレイン酸からなるコポリマー又はその塩が好ましい。
【0019】
(b)成分は、重量平均分子量が1,000〜100,000であり、5,000〜90,000、更に10,000〜80,000であることが、油汚れ洗浄力、再汚染性、及び(c)成分の残存活性に優れる点から好適である。
【0020】
なお、本発明の(b)成分の重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
【0021】
なお、本発明の(b)成分は、pH7.0に調整した0.2質量%水溶液の20℃におけるブルックフィールド型粘度計で測定した粘度が50mPa・s未満である点で、後述の(i)成分のような高分子増粘剤とは区別される。
【0022】
<(c)成分>
(c)成分の酵素は特に制限されるものではないが、例えば洗浄力の観点で、アミラーゼ、更にα−アミラーゼが好ましい。α−アミラーゼとして使用できる市販の酵素としては、ラピダーゼ(ギスト−ブロカーズ)、及びターマミル、デュラミル、ステインザイム(ノボノルディスクバイオインダストリー(株))、プラスターHP A、プラスターOxAm(ジェネンコア協和社)を挙げることができる。
【0023】
<自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の組成等>
本発明では洗浄力の観点で、組成物中の(a)成分及び(b)成分の合計含有量が10〜50質量%、好ましくは12〜45質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。
【0024】
また、(c)成分の活性保持性及び貯蔵安定性の観点で、(a)成分/(b)成分の質量比は、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.1〜1.5である。本発明の(a)成分と(b)成分とをこのような質量比で組み合わせることは、(a)成分と(b)成分の合計含有量が前記範囲であり、(c)成分の貯蔵安定性のために多量の水溶性溶剤の配合を必要としない本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物において、より好ましい。すなわち、本発明は、液体タイプの自動食器洗浄機用洗浄剤組成物において、グリセリン等の水溶性溶剤の含有量が少量であっても、洗浄力の向上、(c)成分の残存活性の維持、及び洗浄剤組成物の貯蔵安定性が確保可能な組成として、有機酸の中でも(a)成分を選定し、また高分子化合物の中でも(b)成分を選定し、且つ前記特定の合計含有量で組み合わせることを見出したものである。
【0025】
(a)成分の組成物中の配合量は酵素の活性保持性、組成物の貯蔵安定性、及び洗浄力の観点で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%である。
【0026】
(b)成分の組成物中の配合量は酵素の活性保持性、組成物の貯蔵安定性、及び洗浄力の観点で洗浄力の観点で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは4〜20質量%%である。
【0027】
(c)成分の組成物中の配合量は洗浄力の観点で、酵素タンパク量として、好ましくは0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、更に好ましくは0.03〜0.3質量%である。
【0028】
本発明では、貯蔵安定性を確保し、優れた洗浄力を得る観点で、水溶性溶剤の組成物中の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%、より好ましくは3質量%以下である。また、高温、長期間のような、より厳しい条件下での貯蔵安定性が求められる場合、水溶性溶剤の組成物中の含有量は1質量%以下、更に0.5質量%以下とすることができる。(c)成分の活性を維持し優れた洗浄力を確保する観点で、水溶性溶剤の組成物中の含有量は好ましくは、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上である。ここで、水溶性溶剤についての「水溶性」とは、水と任意の割合で混合が可能であるもの、更に水と任意の割合で均一混合物を形成するものをいう。水溶性溶剤としては、分子量500以下の1価アルコール又は多価アルコール又はそれらのエーテルが挙げられ、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、グリセリンから選ばれる一種以上が挙げられ、なかでもグリセリン、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる一種以上が挙げられるが、特にグリセリンが好ましい。また、(a)成分の活性保持性及び貯蔵安定性の観点で、水溶性溶剤/〔(a)成分+(b)成分〕の質量比は0.2以下、好ましくは0.05〜0.18、更に好ましくは0.1〜0.15である。
【0029】
<その他の成分>
本発明では、貯蔵安定性と洗浄力をより高める目的から、(a)成分以外の分子量400以下の多価カルボン酸型キレート剤〔以下、(d)成分という〕を含有することが好ましく、具体的にはリンゴ酸又はその塩、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、マレイン酸又はその塩及びフマル酸又はその塩から選ばれる化合物を挙げることができるが、リンゴ酸が特に好ましい。
【0030】
本発明では(a)成分/(d)成分の質量比が1〜6、更に1〜4であることが、貯蔵安定性と洗浄力を高める目的から好ましい。また、〔(a)成分+(d)成分〕/(b)成分の質量比が0.2〜5、更に0.3〜2であることが(c)成分の活性を保持する目的から好ましい。
【0031】
本発明では配合安定性及び洗浄力を高める目的から、非イオン界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を配合することが望ましい。具体的には、ポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル、ポリオキシブチレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル、アルキレンオキシド付加モノアルキル基又はモノアルケニル基含有非イオン性界面活性剤混合物等)、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アミンオキサイド、及びグリコシド型非イオン界面活性剤(アルキルグリコシド等)の中から選ばれる一種以上が挙げられる。かかる非イオン性界面活性剤を更に具体的に示すと以下の(1)〜(11)を挙げることができる。
【0032】
(1)ポリオキシアルキレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル型非イオン界面活性剤、なかでも、アルキル基又はアルケニル基の平均炭素数が8〜20であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0超〜110であるもの、更にエチレンオキサイド付加モル数が平均で1〜30モルであるもの。好ましい化合物としては、下記一般式(e1)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル型非イオン、更に、下記一般式(e1−1)で表されるポリオキシエチレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテルを挙げることができる。
11[(OC24l/(OC36m]OH (e1)
〔式中、R11は炭素数8〜18、好ましくは12〜14の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜100、好ましくは2〜10の数であり、mは0〜10、好ましくは0〜2の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
11'O(OC24mH (e1−1)
〔式中、R11'は炭素数8〜18、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、mは平均付加モル数であり、2〜10、好ましくは2〜6の数である。〕
【0033】
(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルであって、アルキル基の平均炭素数が6〜12であり、エチレンオキサイド付加モル数が平均で1〜25モルであるもの。
【0034】
(3)ポリオキシプロピレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテルであって、アルキル基又はアルケニル基の平均炭素数が8〜20であり、プロピレンオキサイド付加モル数が平均で1〜20モルであるもの。
【0035】
(4)ポリオキシブチレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテルであって、アルキル基又はアルケニル基の平均炭素数が8〜20であり、ブチレンオキサイド付加モル数が平均で1〜20モルであるもの。
【0036】
(5)片末端のみにアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのモル比は0.01〜99)あるいはエチレンオキサイドとブチレンオキサイド(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのモル比は0.01〜99)が付加されてなる非イオン性界面活性剤混合物であって、アルキル基又はアルケニル基の平均炭素数が8〜20であり、1分子当たりのアルキレンオキサイド付加モル数が平均で1〜30モルであるもの。
【0037】
(6)下記の一般式(e2)で表わされる高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物。
【0038】
【化1】

【0039】
〔式中、R21は炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、R22、R23は同一又は異なって水素原子又はメチル基であり、pは1〜3の数、qは0〜3の数である。〕
【0040】
(7)蔗糖脂肪酸エステルであって、脂肪酸部分の平均炭素数が10〜20であるもの。
【0041】
(8)脂肪酸グリセリンモノエステルであって、脂肪酸部分の平均炭素数が10〜20であるもの
【0042】
(9)アミンオキサイド。例えば炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルアミンオキサイドを挙げることができる。洗浄力の観点で、より好ましいアミンオキサイドとしては、下記の一般式(e3)で表されるアルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0043】
【化2】

【0044】
〔式中、R31は炭素数6〜24の炭化水素基であり、R32、R33は同一又は異なってもよい、炭素数1〜3の炭化水素基、Dは、−COO−、−CONH−、−O−から選ばれる基であり、Eは炭素数1〜5の2価の炭化水素基、a、bはa=0且つb=0であるか、又はa=1且つb=1である。〕
【0045】
(10)グリコシド型非イオン界面活性剤。例えば、下記の一般式(e4)で表される化合物。
41(OR42xy (e4)
〔式中、R41は、直鎖又は分岐鎖の総炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基又はアルキルフェニル基、好ましくはアルキル基を表わし、R42は炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、Gは炭素数5〜6を有する還元糖に由来する残基である。x(平均値)は0〜5であり、y(平均値)は1〜5である。〕
【0046】
上記一般式(e4)中の好ましいxの値は洗浄力の観点で、0〜2であり、特に好ましくは0である。また、一般式(e4)中のyの平均値は1〜5、好ましくは1〜1.5、より好ましくは1.1〜1.4である。尚、yの測定値はプロトンNMR法によるものである。好ましい原料は、それらの入手容易性及びコストの点から、単糖類ではグルコース及びフルクトースであり、2糖類以上ではマルトース及びスクロースである。R41は、直鎖又は分岐鎖の総炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
【0047】
(11)炭素数5〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルグリセリルエーテル。
【0048】
これらの非イオン界面活性剤の中でも洗浄力の観点で(1)、(5)、(6)、(9)、(10)及び(11)が好ましく、更に(1)、(5)、(9)、(10)及び(11)が好ましく、より更に(1)及び(10)が好ましい。よって、本発明の(e)成分は、ポリオキシエチレンモノアルキル又はモノアルケニルエーテル及びアルキルグリコシドから選ばれる1種以上が好ましい。
【0049】
(e)成分としては洗浄力の観点で、前記一般式(e1−1)のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルを含むことが好ましい。本発明では、低泡性及び洗浄力の観点で、一般式(e1−1)中のR11'の炭素数が8〜14であることが好ましく、特に炭素数12〜14が好ましい。また、一般式(e1−1)中のR11'のアルキル基又はアルケニル基は、特に第2級アルコール由来のものが好ましい。また、一般式(e1−1)のエチレンオキサイドの平均付加モル数mは2〜10、特に2〜6が好ましい。一般式(e1)、更に(e1−1)の非イオン界面活性剤は洗浄力の観点で、残留する未反応のアルコールが2質量%以下であることが好ましい。
【0050】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の観点で(e)成分を好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.1〜2.8質量%、更に好ましくは0.5〜2.8質量%、より更に好ましくは1.5〜2.5質量%含有する。また、貯蔵安定性の観点で、(e)成分/〔(a)成分+(b)成分〕の質量比は、好ましくは0.05〜0.3、より好ましくは0.06〜0.2、更に好ましくは0.07〜0.16である。
【0051】
本発明の組成物では、重量平均分子量が600〜20000、好ましくは2000〜10000のポリプロピレングリコール〔以下(f)成分という〕を配合することが、洗浄力の観点で好ましい。本発明において、ポリプロピレングリコールは、前記のような配合量が制限される水溶性溶剤からは除かれ、組成物中に0.1〜10質量%、更に0.5〜5質量%、特に1〜5質量%配合することが好適である。ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は光散乱法を用いて決定することができ、ダイナミック光散乱光度計(DLS−8000シリーズ、大塚電子株式会社製など)により測定することができる。
【0052】
溶剤としてポリプロピレングリコールを用いる場合、組成物中にポリプロピレングリコールを均一に分散させるためには(e)成分として、前記(1)、(5)、(9)及び(10)の中から選ばれる1種以上を用いることが好適である。分散安定性及び低泡性の点から、(f)成分/(e)成分の質量比は、好ましくは0.1〜9、より好ましくは0.2〜2.5、更に好ましくは0.4〜1.5である。
【0053】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄効果をより高める目的から、(g)成分として(c)成分以外の酵素を含有することが好ましい。具体的には、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼを挙げることができ、プロテアーゼが好適である。プロテアーゼとして使用できる市販の酵素としては、アルカラーゼ、サビナーゼ、エスペラーゼ、エバラーゼ、カンナーゼ、オボザイム(ノボザイムズジャパン(株))、エクセラーゼ、プロペラーゼ、プラフェクトOX、プラフェクトL(ジェネンコア協和社)を挙げることができる。プロテアーゼを用いる場合洗浄力の観点で、酵素タンパク量としての(a)成分/プロテアーゼの質量比は、好ましくは0.01〜15、より好ましくは0.02〜9、特に好ましくは0.2〜4である。(g)成分の組成物中の配合量は、酵素タンパク量として、好ましくは0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、更に好ましくは0.03〜0.3質量%である。
【0054】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、酵素安定化剤として水溶性カルシウム塩〔以下(h)成分という〕を含有することが好ましい。水溶性カルシウム塩としては塩化カルシウムが好ましい。(h)成分の含有量は酵素の安定性と本発明の洗浄剤組成物の貯蔵安定性の観点で、組成物中好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.02〜0.5質量%、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
【0055】
本発明の組成物は、更に(i)成分として貯蔵安定性や使い勝手の観点で増粘剤を含有することが好ましい。(i)成分としては、例えばペクチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、デンプン等の水溶性高分子や、スメクタイトのような水膨潤性粘土鉱物が好ましい。
【0056】
スメクタイトとしては天然及び合成のいずれも使用し得るが、ガラス質、長石、石英、雲母、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン等の含有率が5質量%以下であるものが好ましい。好ましいスメクタイトとしては、ジオクタヘドラル群のモンモリロナイト、バイデライト、ノントロイト等又はトリオクタヘドラル群のサポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等の天然又は合成のコロイド性ケイ酸塩を挙げることができる。その中でも好ましくはヘクトライトであり、ロックウッドアディティブズ社製ラポナイトシリーズ、クニミネ工業社製クニピア、スメクトン等を挙げることができる。
【0057】
(i)成分としては、増粘性、貯蔵安定性の点から(メタ)アクリル酸系ポリマーが好ましい。好ましい(メタ)アクリル酸系ポリマーとしては、(b)成分を除くカルボキシビニルポリマー又はその塩〔以下、(i−1)成分という〕及び(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマー又はその塩〔以下、(i−2)成分という〕から選ばれる1種以上を用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の意味である。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられ、モノマーとして塩型の化合物を用いたもの、共重合後に中和したもののいずれであってもよく、両者を併用したものであってもよい。
【0058】
(i−1)成分のカルボキシビニルポリマー又はその塩は、(b)成分を除くカルボキシル基を持つ酸性高分子化合物で、主たる構成モノマーがアクリル酸であるポリマーであり、アクリル酸100質量部に対して、0.01質量部以上、3質量部以下のエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物を架橋剤として使用して得られる架橋型ポリアクリル酸又はその塩であってもよく、通常、化粧料や医薬外用剤で使用されるものを限定なく使用することができる。
【0059】
エチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物としては貯蔵安定性の観点で、例えば、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル及びポリアリルサッカロースの少なくとも1種が好ましい。架橋剤は、アクリル酸100質量部に対して、0.05質量部以上、3質量部以下であることが好ましい。
【0060】
(i−1)成分は貯蔵安定性の観点で、構成単量体がアクリル酸99.9モル%以上のものが好ましく、特にアクリル酸のみのもの又はその塩や架橋型ポリアクリル酸又はその塩が好ましい。
【0061】
このようなカルボキシビニルポリマー又はその塩としては、例えば、ノベオン社(Noveon Inc.)製のカーボポール980、カーボポール981、住友精化株式会社製のアクペックHV501E、HV505E等の市販品を用いることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
【0062】
(i−2)成分を構成する(メタ)アクリル酸エステルは貯蔵安定性の観点で、エステルを構成する炭化水素基はアルキル基が好ましく、その炭素数は8〜30、更に10〜30、特に10〜22が好ましい。
【0063】
また、(i−2)成分は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOという)に由来する構成単位を含んでいてもよく、AOとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドを挙げることができる。AOの平均付加モル数は5〜20が好ましい。
【0064】
また、(i−2)成分の単量体の比率は貯蔵安定性の観点で、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して(メタ)アクリル酸エステル0.2〜10が好ましく、特に0.5〜5が好ましく、AO由来の構成単位を導入する場合は、(メタ)アクリル酸エステルのAO付加物及び/又は(メタ)アクリル酸AO付加物を、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して0.2〜10用いることが好ましい。
【0065】
(i−2)成分は貯蔵安定性の観点で、実質的な構成単量体としてアクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルのみを含むものが好ましく、その上で、アクリル酸100質量部に対して、0.01質量部以上エチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物を架橋剤として使用して得られる架橋型アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー又はその塩が好ましい。
【0066】
(i−2)成分としては、例えば、ノベオン社(Noveon Inc.)製のカーボポールETD2020、住友精化株式会社製アクペックHV501ER、アクペックHV701EDR等の市販品を用いることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
【0067】
(i−1)成分のカルボキシビニルポリマー又はその塩、又は(i−2)成分の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマー又はその塩は、(i−1)成分又は(i−2)成分を0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計(ローターNo.4、回転数12r/m)で測定した粘度が、それぞれ、500mPa・s以上であるものが好ましく、より好ましくは1,000〜70,000mPa・s、更に好ましくは1,500〜40,000mPa・sのものである。
【0068】
(i−2)成分及び/又は(i−2)成分は、後述のpH調整剤との塩として洗浄剤組成物中に存在することが好ましい。
【0069】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、上述の(a)成分〜(c)成分、並びに任意ではあるが含有することが好適である(d)成分〜(i)成分を水に溶解、乳化、分散させた液体組成物、好ましくは水溶液の形態であり、用いる水は脱イオン水や蒸留水が好ましく、塩素を0.1〜10ppm溶解させた次亜塩素酸滅菌水を用いることも好適である。
【0070】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の25℃におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)は、貯蔵安定性の観点で、好ましくは6〜8、より好ましくは7〜8である。このようなpHとするためにpH調整剤を用いることができ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれる無機アルカリ剤、アミン化合物から選ばれる有機アルカリ剤を挙げることができる。アミン化合物としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等が好適である。これらの中でも、洗浄剤組成物の貯蔵安定性とコスト面から、無機アルカリ剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物が、有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミンが好ましい。pH調整剤は、本発明の液体洗浄剤組成物のpHを調整するために、適宜適量添加される。
【0071】
また、本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は貯蔵安定性と使い勝手の観点で、20℃における粘度が好ましくは300〜5,000mPa・s、より好ましくは400〜4,000mPa・s、更に好ましくは500〜3,000mPa・sであり、このような粘度は(i)成分の種類や含有量で適宜調整し得る。粘度の測定はブルックフィールド型粘度計(粘度が4,000mPa・s以下の場合はローターNo.3、回転数30r/m、粘度が4,000mPa・sを超え、20,000mPa・s以下の場合はローターNo.4、回転数30r/m)を用いて行う。
【0072】
また、本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、水に(a)成分及び/又は(b)成分を、例えば(a)成分と(b)成分の合計が10質量%以上になるように添加し、前記したpH調整剤を用いて25℃におけるpHを5以下に調整することが好ましく、(i)成分を配合する場合はこのようにしてpHを調整した後、(i)成分を添加し、分散させることが好ましい。(d)成分を配合する場合は、(i)成分添加前のpH調整を(d)成分の添加によって行うことができる。
【0073】
また、本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を製造する場合に用いる撹拌機としては、貯蔵安定性の点から、高せん断条件下で混合可能である撹拌機が好ましく、バッチ式では、プライミクス(株)のアジホモミクサー、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパーが好ましく、連続式ではプライミクス(株)のT.K.パイプラインホモミクサー、T.K.ホモミックラインミル等が好ましい。
【実施例】
【0074】
<実施例1及び比較例1>
表1に示す基本組成に対して、(a)成分、(b)成分、グリセリン(水溶性溶剤)の配合量を表2、3にように変更して自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。
【0075】
<α−アミラーゼ酵素活性保持率測定法>
この評価では、保存後の組成物として自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物100gをポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のボトル(型番:PEM−100、竹本容器株式会社製)に封入し、40℃にて恒温槽(EYELA LTI−1000SD、東京理化器械株式会社製)で1週間保存したものを使用した。5mLの緩衝液〔Britton-Robinson Buffer、pH 8.5、50mM(阿南功一ら著. 基礎生化学実験法6. P277. 丸善株式会社)〕にファデバスアミラーゼテスト50T〔株式会社シノテスト製〕を1錠添加し、約10秒間攪拌した後、2mM塩化カルシウム水溶液で希釈した保存前又は保存後の洗浄剤組成物(希釈時に共存しているプロテアーゼの影響を除くために、プロテアーゼ阻害剤としてシグマアルドリッチジャパン社製フッ化α−トルエンスルホニルを1mMとなるように添加)を1mL添加して、50℃にて15分間反応させた。1mLの1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌することで反応を停止させた後、遠心分離(400×g、5分間)にて不溶成分を沈殿させ、得られた遠心上澄の620nmにおける吸光度を測定し、次式によりα−アミラーゼ酵素活性保持率を計算した。この評価では、α−アミラーゼ酵素活性保持率が80%以上であれば活性保持性は良好であり合格水準にあると判断できる。
α−アミラーゼ酵素活性保持率(%)=(保存後の吸光度/保存前の吸光度)×100
【0076】
<貯蔵安定性>
自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物300gをガラス瓶(商品名:S62食料480角、石塚硝子株式会社製)に封入し、50℃にて恒温槽(EYELA LTI−1000SD、東京理化器械株式会社製)で1週間保存し、保存後の液体洗浄剤組成物の外観を観察し、保存前と変化ない場合を○、分離が見られたものを×として評価した。
【0077】
<茶渋に対する洗浄力>
80℃のお湯500mlに対しティーバッグ紅茶(デイ アンド デイ 日東紅茶、三井農林株式会社製)1袋の割合で作成した紅茶を、陶器製長湯呑(カタログナンバー:319−604−27、新山茶花湯呑、食器カタログ器蔵No.2記載)に100g入れ、室温で1時間放置した。放置後、内容液を捨て室温にて一昼夜乾燥させ、喫水線(紅茶の色素汚れによる線)が湯呑内部に環状に形成されたものを茶渋汚染食器として実験に供した。自動食器洗浄機(型番:NP−TR3、パナソニック(株)製)の所定の位置に3個セットし、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を6g用い、スピーディーコースにて洗浄を行った。洗浄後、湯呑の内壁面に残った茶渋による喫水線の範囲に応じて点数化し、3個の平均値を茶渋に対する洗浄力とした。この評価では、平均値が7.5点以上であれば洗浄力は良好であり合格水準にあると判断できる。
(評価基準)
喫水線が全く無い・・・10点
残っている喫水線が円周の0%を超え25%未満である・・・7.5点
残っている喫水線が円周の25%以上50%未満である・・・5点
残っている喫水線が円周の50%以上75%未満である・・・2.5点
残っている喫水線が円周の75%以上である・・・0点
【0078】
【表1】

【0079】
表中の成分(一部)は以下のものである。
<(b)成分>
・アクリル酸/マレイン酸コポリマーの塩1:重量平均分子量約3万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=2、ナトリウム塩
・アクリル酸/マレイン酸コポリマーの塩2:ソカランCP45(BASFジャパン株式会社)重量平均分子量約7万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=2、部分ナトリウム塩
【0080】
<(c)成分>
・α−アミラーゼ:ターマミルウルトラ300L(ノボザイムズジャパン株式会社)
【0081】
<(e)成分>
・非イオン界面活性剤1:アルキル基の炭素数が12〜14の第2級アルコールにオキシエチレン基が平均3モル付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル〔一般式(e1−1)中、R11'が炭素数12〜14の第2級アルキル基、mが3の非イオン界面活性剤〕
・非イオン界面活性剤2:アルキル基の炭素数が12の直鎖第1級アルコールにオキシエチレン基が平均4モル付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル〔一般式(e1−1)中、R11'が炭素数12の直鎖第1級アルキル基、mが4の非イオン界面活性剤〕
・非イオン界面活性剤3:アルキル基の炭素数が12、グルコースの平均縮合度は1.3のアルキルグリコシド〔一般式(e4)中のR41が炭素数12の直鎖第1級アルキル基、Gはグルコース残基、xが0、yが1.3のアルキルポリグリコシド〕
【0082】
<(f)成分>
・ポリプロピレングリコール:重量平均分子量約3000、平均縮合度約50(ジオールタイプ、和光純薬工業株式会社)
<(g)成分>
・プロテアーゼ:エバラーゼ16L(ノボザイムズジャパン株式会社)
【0083】
<(i)成分>
・増粘剤1:アクペックHV501E(架橋型ポリアクリル酸、住友精化(株)製)(20℃の粘度:前記アクペックHV501Eを0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が4,000mPa・s)
・増粘剤2:アクペックHV701EDR〔架橋型アクリル酸/メタクリル酸アルキル(炭素数10〜30)コポリマー、住友精化(株)製〕(20℃の粘度:前記アクペックHV701EDRを0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が13,000mPa・s)
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
表2に示すように、実施例1−1〜1−8の組成物は、何れもα−アミラーゼ酵素活性保持率が80%以上であり、活性保持性は良好である。また、表3に示すように、実施例1−1は、茶渋に対する洗浄力も良好である。一方、比較例1−1〜1−3では、貯蔵安定性、茶渋に対する洗浄力が著しく低下する。比較例1−4では、更にα−アミラーゼの活性保持性も悪くなっている。比較例1−2から、本発明の(a)成分と(b)成分を配合しても、水溶性溶剤であるグリセリンの配合量が10質量%を超えると、貯蔵安定性と洗浄力が著しく低下することがわかる。また、比較例1−3、1−4から、本発明の(a)成分ないし(b)成分をグリセリンに置き換えても本発明の効果が得られない。これら比較例の結果から、本発明の(a)成分と(b)成分をと組み合わせ、且つ水溶性溶剤であるグリセリンの配合量を10質量%以下に制限することに意義があることがわかる。なお、実施例1−1においてグリセリンの配合量を低減(グリセリンの減量分は脱イオン水に置き換える)して1重量%以下にした場合、より過酷な条件での貯蔵安定性の向上が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アミノ酸−N,N−二酢酸又はその塩、(b)重量平均分子量が1,000〜100,000のアクリル酸−マレイン酸コポリマー又はその塩、(c)酵素、及び水を含有し、(a)及び(b)の合計含有量が10〜50質量%であり、水溶性溶剤の含有量が10質量%以下である、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)/(b)の質量比が0.1〜5である請求項1記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
水溶性溶剤/〔(a)+(b)〕の質量比が0.2以下である請求項1又は2記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
水溶性溶剤が、グリセリン、エチレングリコール、及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる水溶性溶剤である、請求項1〜3の何れか1項記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−67196(P2012−67196A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213320(P2010−213320)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】