説明

自己位置合わせされたオーミックコンタクトを有する発光デバイスおよびそれの製造方法

基板、基板上のn型エピタキシャル領域、およびn型エピタキシャル領域上のp型エピタキシャル領域を備える発光ダイオードおよび発光デバイスの作製方法が提供される。p型エピタキシャル領域の少なくとも一部が、基板に対してメサを構成している。オーミックコンタクトが、p型エピタキシャル層の露出部分の上に設けられている。オーミックコンタクトは、オーミックコンタクトの側壁が、メサの側壁およびp型エピタキシャル層に対して実質的に位置合わせされるように、メサの側壁およびp型エピタキシャル層と自己位置合わせされている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2004年11月12日出願の「LED WITH SELF ALIGNED OHMIC CONTACT」と題する米国仮出願第60/519,425号に関し、また当出願からの優先権を主張し、その全体が記載されたかのように当出願の開示が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、エピタキシャル層の上に形成されたオーミックコンタクトを有する発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(またはLED)は、十分な電圧の印加により光を発生することができる、周知の固体電子デバイスである。発光ダイオードは一般に、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウム砒素などの基板上に堆積されたエピタキシャル層内に形成されたp−n接合を備える。LEDにより発生される光の波長分布は、p−n接合が作製されている材料、およびデバイスの活性領域を備えている薄膜エピタキシャル層の構造に依存する。
【0004】
通常、LEDは、n型基板、基板上に形成されたn型エピタキシャル領域、およびn型エピタキシャル領域上に形成されたp型エピタキシャル領域を備える。デバイスへの電圧の印加を促進するために、アノードとなるオーミックコンタクトがデバイスのp型領域(一般に、露出したp型エピタキシャル層)上に形成され、カソードとなるオーミックコンタクトがデバイスのn型領域(例えば、基板または露出したn型エピタキシャル層)上に形成されなければならない。
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0025121号明細書
【特許文献2】米国特許第5,631,190号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高導電性のp型III族窒化物材料(例えば、GaN、AlGaN、InGaN、AlInGaN、およびAlInNなど)を作製することが困難であるため、p型層内での電流拡散の欠如が、そのような材料から形成されたLEDの性能の制限要因となりうる。したがって、露出したp型層表面の可能な限り多くの部分の上にオーミックコンタクトを形成し、デバイスの活性領域の可能な限り多くの部分を電流が通過するようにすることが望ましい。さらに、オーミックコンタクトのパターニングは、従来、少なくとも1つのフォトリソグラフィステップを必要とする。デバイス作製のために必要なフォトリソグラフィステップの数を低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態で、発光ダイオードは、基板および基板上に形成されたエピタキシャル領域を備える。エピタキシャル領域は、基板上に形成されたn型エピタキシャル領域およびn型エピタキシャル領域上に形成されたp型エピタキシャル領域を備える。p型エピタキシャル領域の表面部分を含むエピタキシャル領域の少なくとも一部が、メサ状に形成されている。オーミックコンタクトが、p型エピタキシャル領域の露出部分の上に形成されている。オーミックコンタクトは、メサおよびp型エピタキシャル領域と自己位置合わせ(self−aligned)されている。メサの側壁をp−n接合の保護のために半絶縁性とし、デバイスの劣化および故障を阻止することができる。
【0008】
本発明の方法の実施形態は、基板上に、n型領域およびp型領域を備えるエピタキシャル領域を形成することと、p型エピタキシャル層の露出部分の上にオーミックコンタクトを形成することと、オーミックコンタクトの一部にエッチングマスクを塗布することと、オーミックコンタクトの露出部分をエッチングすることと、マスクを配置して、エピタキシャル領域の露出部分のエッチングを継続し、メサを形成することと、エッチングマスクを除去することとを含む。メサの側壁に、その側壁の表面が半絶縁性となるようにイオンを注入することができる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、基板、基板上のn型エピタキシャル領域、およびn型エピタキシャル領域上のp型エピタキシャル領域を備える発光デバイスを提供する。p型エピタキシャル領域の少なくとも一部が、基板に対してメサを構成している。p型エピタキシャル層の露出部分の上にオーミックコンタクトが設けられている。オーミックコンタクトは、オーミックコンタクトの側壁が、メサの側壁およびp型エピタキシャル層と実質的に位置合わせされるように、メサの側壁およびp型エピタキシャル層と自己位置合わせされている。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態で、基板の一部がメサの側壁の向こう側に及ぶように、メサの側壁が構成されている。メサの側壁に隣接する、メサのp型エピタキシャル領域および/またはn型エピタキシャル領域の一部を、半絶縁性とすることができる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態で、メサが、p型エピタキシャル領域全体に及ぶ側壁を有する。メサは、p型エピタキシャル領域全体に及び、n型エピタキシャル領域内に及ぶ側壁を有することができる。メサは、p型エピタキシャル領域およびn型エピタキシャル領域全体に及ぶ側壁を有することもできる。メサは、基板にまで及ぶ側壁を有することもできる。
【0012】
特定の実施形態で、発光デバイスは、発光ダイオードである。発光デバイスを、レーザダイオードとすることもできる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態で、p型エピタキシャル領域がIII族窒化物エピタキシャル層を備え、n型エピタキシャル領域がIII族窒化物エピタキシャル層を備える。基板をSiC基板またはサファイア基板とすることができる。オーミックコンタクトは、プラチナとすることができる。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態で、発光デバイスの作製方法は、基板上にn型エピタキシャル層を形成することと、n型エピタキシャル層上にp型エピタキシャル層を形成することと、p型エピタキシャル層の露出部分の上にオーミックコンタクト層を形成することと、オーミックコンタクト層の露出部分をエッチングしてパターニングされたオーミックコンタクトを提供することと、パターニングされたオーミックコンタクトをマスクとして使用してp型エピタキシャル層内へエッチングしてメサを形成することとを含む。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、オーミックコンタクト層の一部にエッチングマスクを塗布することを含む。そのような実施形態で、オーミックコンタクト層の露出部分をエッチングすることは、エッチングマスクを使用してオーミックコンタクト層をエッチングすることを含む。エッチングマスクを除去することもできる。
【0016】
本発明の追加的実施形態で、p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、オーミックコンタクト層上のエッチングマスクをマスクとして使用してp型エピタキシャル層内までエッチングすることを含み、エッチングマスクを除去することは、p型エピタキシャル層内へエッチングすることにより先行される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態で、p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、エッチングマスクを使用してp型エピタキシャル層内へエッチングし、メサの側壁が、基板の一部がメサの側壁の向こう側に及ぶように構成されることを含む。
【0018】
本発明の追加的実施形態は、メサの側壁にイオン注入し、メサの側壁に隣接する、メサのp型エピタキシャル層の一部を半絶縁性にすることを含む。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態で、p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、側壁がp型エピタキシャル層全体に及ぶようにp型エピタキシャル層をエッチングすることを含む。p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、メサの側壁がp型エピタキシャル層全体に及び、n型エピタキシャル層内に及ぶように、p型エピタキシャル層をエッチングし、n型エピタキシャル層内へエッチングすることも含むことができる。p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、メサの側壁がp型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層全体に及ぶように、p型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層をエッチングすることを含むこともできる。p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、メサの側壁がp型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層全体に及び、基板にまで及ぶように、p型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層をエッチングすることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して、以下により完全に説明される。本発明は、本明細書に記載の実施形態に制限されるものとして解釈すべきでない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的で完全になり、また当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供されている。全体を通じて、同様の番号は同様の要素を指す。さらに、図に示される様々な層および領域は、図式的に示されている。これも当業者はおそらく理解するように、本発明は半導体ウエハおよびダイシングされたチップに関して説明されるが、そのようなチップは、任意の大きさにダイシングすることができる。したがって、本発明は、添付図面に示されている相対的大きさおよび間隔に制限されない。加えて、描画の明確性および説明の容易性のために、図面の一部の形態(feature)は誇張された寸法で示されている。
【0021】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみであり、本発明を制限するものとは意図されていない。本明細書で使用されるとき、文脈が明らかにそうではないと示唆しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形も含むことが意図されている。さらに、用語「含む」、「備える」は、本明細書において使用されるとき、言及された形態、整数(integer)、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を明示するが、1つまたは複数の他の形態、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことが理解されるだろう。
【0022】
層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上に」にある又は「上に」及んでいると言及される場合、その要素は、他の要素の上に直接ある又は直接及んでいることがあり、または介在要素が存在することがあることが理解されるだろう。対照的に、ある要素が、別の要素の「上に直接」ある又は「上に直接」及んでいると言及される場合、介在要素は存在しない。ある要素が、別の要素に「接続」されている又は「結合」されていると言及される場合、その要素は、他の要素に直接に接続されている又は直接に結合されていることがあり、または介在要素が存在することがあることも理解されるだろう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接に接続」されている又は「直接に結合」されていると言及される場合、介在要素は存在しない。本明細書全体を通じて、同様の番号は同様の要素を指す。
【0023】
第1の、第2の、などの用語が、様々な要素、コンポーネント、領域、層および/または区分を説明するために本明細書において使用されるが、これらの要素、コンポーネント、領域、層および/または区分は、これらの用語により制限されるべきでないことが理解されるだろう。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層または区分を、別の領域、層または区分から区別するためにのみ使用されている。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で議論される第1の要素、コンポーネント、領域、層または区分を、第2の要素、コンポーネント、領域、層または区分と呼ぶことができる。
【0024】
さらに、「下部の」または「底部の」および「上部の」または「頂部の」などの相対的用語は、本明細書において、図面に示されるような1つの要素の別の要素との関係を説明するために使用されることがある。相対的用語は、図面に描写された位置付けに加えて、異なるデバイスの位置付けを包含することが意図されていることが理解されるだろう。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素の「下部」側にあると説明された要素が、その別の要素の「上部」側に位置付けられることになる。例示的用語「下部の」は、それゆえ、図面の特定の位置付けに応じて「下部の」および「上部の」の両方の位置付けを包含することができる。同様に、1つの図中のデバイスが反転された場合、他の要素の「下に」と説明された要素が、他の要素の「上に」位置付けられることになる。例示的用語「下に」は、それゆえ、上および下の位置付けの両方を包含することができる。
【0025】
本発明の実施形態が、本明細書において、本発明の理想化された実施形態の略図である断面図を参照して説明される。そのようなものとして、例えば製造技法および/または許容誤差の結果としての説明図の形からの変形形態が予期されるべきである。したがって、本発明の実施形態は、本明細書で示される領域の特定の形に制限されるものとして解釈されるべきではなく、例えば製造の結果である形の偏差を含む。例えば、長方形として図示または説明されるエッチングされた領域は、一般に丸みのある、または曲がった形態を有するだろう。したがって、図面に示した領域は本質的に図式的であり、それらの形は、デバイスの領域の正確な形を示すことを意図されておらず、また本発明の範囲を制限することを意図されていない。
【0026】
特段の定めがない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、本発明の属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に用いられる辞書で定義されるような用語は、関連技術の文脈における意味と一致した意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味に解釈はされない。
【0027】
当業者は、別の形態に「隣接して」配置されている構造または形態への言及は、隣接する形態と重なり合う部分又は隣接する形態の下に横たわる部分を有することができることも理解するだろう。
【0028】
本明細書で開示される様々なLEDの実施形態は基板を備えるが、当業者は、LEDを備えるエピタキシャル層が成長された結晶性エピタキシャル成長基板を取り外すことができ、独立したエピタキシャル層を、元の基板よりも優れた熱的、電気的、構造的、および/または光学的特性を有する代用の運搬用基板またはサブマウントに取り付けることができることを理解するだろう。本明細書で説明される発明は、結晶性エピタキシャル成長基板を有する構造に制限されず、エピタキシャル層が元の成長基板から取り外され代用の運搬用基板に付着された構造に関連して利用することができる。
【0029】
本発明の実施形態が、一般に、シリコンカーバイドベースの基板上のガリウム窒化物ベースの発光ダイオードを参照して、これから説明される。しかしながら、当業者は、本発明の多くの実施形態を、基板およびエピタキシャル層の多くの異なる組み合わせと共に用いることができることを理解するだろう。例えば、組み合わせは、GaP基板上のAlGaInPダイオード、GaAs基板上のInGaAsダイオード、GaAs基板上のAlGaAsダイオード、SiCまたはサファイア(Al2O3)基板上のSiCダイオード、および/またはガリウム窒化物、シリコンカーバイド、アルミニウム窒化物、サファイア、酸化亜鉛および/または他の基板上の窒化物ベースのダイオードを含むことができる。
【0030】
GaNベースの発光ダイオード(LED)は、一般に、複数のGaNベースのエピタキシャル層が堆積されているSiCまたはサファイアなどの絶縁性または半導体基板を備える。エピタキシャル層は、エネルギーを加えられたときに発光するp−n接合を有する活性領域を備える。
【0031】
図1Aは、n型SiC基板10と、基板上に成長されたn−GaNベースの層14およびp−GaNベースの層16を備える活性領域とを有するLEDデバイスの前駆体構造を図式的に示している。オーミックコンタクト18が、p−GaN層16の上に形成されている。オーミックコンタクト層18は、蒸着により堆積されたプラチナの薄膜(<100Å)からなることができる。ガリウム窒化物層上のオーミックコンタクトの形成は、例えば特許文献1に説明されている。当該特許出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、本明細書に完全に記載されたかのように本明細書に参照により組み込まれる。
【0032】
オーミックコンタクトをパターニングするために、図1Bに示すように、エッチングマスク15をオーミックコンタクト層18の上に形成することができる。エッチングマスク15は、塩素ベースのドライエッチによるエッチングに耐えるフォトレジストまたは任意の適した材料からなることができる。そのようなプロセスの1つにおいて、オーミックコンタクト18の形成後、デバイスの頂面にフォトレジストの層が塗布される。フォトレジストがマスクを使用して選択的に露光され、フォトレジストの露光部分が現像されて(すなわち、除去されて)、エッチングマスクとしての役割を果たすようにオーミックコンタクト層18の上面にフォトレジストの一部が残される。
【0033】
次に、図1Cに示されるように、オーミックコンタクト層の露出部分が塩素ベースのドライエッチを用いてエッチングされる。塩素ベースのエッチャントを用いるドライエッチは、特許文献2に説明されている。当該特許は、本発明の譲受人に譲渡されており、本明細書に参照により組み込まれる。
【0034】
オーミックコンタクトの露出部分を除去するのに十分な時間にわたるエッチングの後、任意選択で、エッチングマスク15が除去され、第2のエッチングマスク17が、オーミックコンタクト18の上に形成され、またp型層16の露出部分の上にも形成される。フォトリソグラフィプロセスの幅に関する許容範囲に起因して、エッチングマスク17は、オーミックコンタクトと約1〜2μmだけ又はそれ以上重なり合うことができる。図1Eに示されるように、p型層16およびn型層14が(いくつかの実施形態では塩素ベースのドライエッチを使用して)エッチングされ、基板10の表面の一部が露出される。ついで、エッチングマスク17が図1Fに示されるように除去される。エッチングマスクがフォトレジストである場合、エッチングマスクは、アセトンまたはN−メチルピロリジノンなどのストリッパなどの溶剤に浸すことにより除去できる。
【0035】
ボンドパッド(図示せず)をオーミックコンタクト18の上に形成することができ、パシベーション層(図示せず)をデバイスの上面の上に形成することができる。パシベーション層は、シリコン窒化物または二酸化ケイ素などの誘電体材料からなることができ、PECVD堆積またはスパッタリングなどの従来の方法を用いて堆積することができる。パシベーション層を形成する方法は、前述の特許文献1に詳細に説明されている。
【0036】
上記のようなフォトリソグラフィステップは、高価であり時間がかかる。というのは、これらは複数のステップ、およびマスクのウエハへの正確な位置合わせを必要とするためである。
【0037】
使用するフォトリソグラフィステップの数を減らした本発明の実施形態が、図2A〜2Cに示されている。これらの実施形態で、エッチングマスク19が、図2Aに示すように、オーミックコンタクト層18の表面の一部の上に形成される。次に、図2Bに示すように、オーミックコンタクト層18がp型エピタキシャル層16と共に、いくつかの実施形態ではn型エピタキシャル層14と共にエッチングされ、基板10の表面の一部を露出させてメサ27を形成する。したがって、p型エピタキシャル層16内に及ぶ側壁を有するメサが形成される。いくつかの実施形態で、エッチングが、メサの側壁がp型エピタキシャル層全体に及ぶまで実施され、いくつかの実施形態で、n型エピタキシャル層14内に及ぶまで実施される。さらなる実施形態で、エッチングが、メサの側壁がp型エピタキシャル層16およびn型エピタキシャル層14の全体に及ぶまで実施される。いくつかの実施形態で、エッチングが、側壁が基板10にまでおよび/または基板10内に及ぶまで実施される。いくつかの実施形態で、エッチングが基板内には及ぶが基板全体には及ばず、したがって基板に対してメサを維持する。
【0038】
いくつかの実施形態で、エッチングが、上述のように塩素ベースのドライエッチを使用して、露出したオーミックコンタクト金属18およびIII族窒化物ベースのエピタキシャル層の両方を除去するのに十分な時間にわたり実施される。ついで、図2Cに示されるようにエッチングマスクが除去される。
【0039】
基板10は、図示した実施形態ではSiCであるが、サファイア、シリコン、ガリウム砒素などの任意の他の適した基板材からなることができる。
【0040】
全体を覆うパシベーション層(図示せず)を、デバイスの露出した上面の上に形成することができる。パシベーション層は、シリコン窒化物または二酸化ケイ素などの誘電体材料からなることができ、PECVD堆積またはスパッタリングなどの既知の方法により付着させることができる。
【0041】
p−n接合を保護するため、メサのエッチングマスク19の除去の前に、メサの露出した表面にイオンを注入し、その表面を半絶縁性にすることができる。イオン注入の方法は、本出願と同時に出願される「Led Fabrication Via Ion Implant Isolation」と題する発明者がスレーターらの米国特許出願第 号(代理人整理番号5000.270A)明細書に開示されており、本明細書に完全に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0042】
イオン注入の好ましい方法において、ウエハが傾けられ、イオンがメサの側壁に注入される。注入中にウエハが傾けられているため、注入されるイオンは、メサの側壁に比較的急な角度で当たる。側壁全体が一度に注入されるため、複数の注入は必要でない。また、注入の線量および深さを低減することができる。結果として、注入領域の体積が低減され、それによって注入領域内での光吸収が低減される。注入深さは、0.1から0.2μmの場合がある。ウエハを、均一性のために注入中回転させることができる。注入線量を、60 keVのN+、60度の角度で2×1013cm−2とすることができる。ウエハを回転させることは、正方形のメサについて、注入線量を1/4に低減する。したがって、2×1013cm−2という注入線量は、実際には四面メサ構造について各側部当たり5×1012cm−2の線量となる。
【0043】
図3に眼を向けると、基板上のエピタキシャル層の成長およびメサの形成の後(簡潔のため、1つのメサ27のみが図3に示されている)、基板10が、傾斜可能で回転可能なウエハキャリア(図示せず)に取り付けられてイオン注入装置内に配置される。ウエハキャリアが傾けられ、メサ27の側壁27Aを可能な限り水平に(すなわち、注入方向に対して可能な限り直角に)近づける。一実施形態で、ウエハキャリアは少なくとも45度、好ましくは60度傾けられ、メサの側壁27Aに垂直な方向から、注入方向が約25度未満になるようにされる。図示の実施形態では、メサが基板と約105度の角度をなし、垂直から約15度の注入角度が得られる。ついで、イオン112がメサの側壁に注入され、メサの側壁27A内にほぼ0.1〜0.2μm及ぶ注入領域114が形成される。上述したように、均一性のために、ウエハキャリアを注入中に一度または複数回回転させることができる。メサ27の側壁27Aに注入することにより、側壁27Aの領域を有効に半絶縁性にするために一度の注入のみが必要とされる場合がある。
【0044】
本発明の実施形態を発光ダイオード(LED)を参照して説明してきたが、本発明のいくつかの実施形態をレーザダイードなどの他の発光デバイスと共に利用することができる。したがって、発光デバイスという用語は本明細書において、可視または非可視スペクトルで発光するデバイスを指し、光はコヒーレントまたは非コヒーレントであることができる。
【0045】
さらに、本発明の実施形態を単一のエッチングステップについて使用されるエッチングマスク19を参照して説明してきたが、本発明の他の実施形態は、エッチングマスク19またはパターニングされたオーミックコンタクト層18のいずれかをマスクとして、複数のエッチングステップを用いることができる。例えば、第2のエッチングステップが用いられ、利用されるエッチャントがオーミックコンタクト材料およびその下に横たわるエピタキシャル層に関してエッチングの選択性を有する場合がそのような例である。そのような例において、オーミックコンタクトの側壁と実質的に位置合わせされた(すなわち、横方向のエッチングレートの差異から生じる結果以上には実質的に異ならない)側壁を備えたメサを与える自己位置合わせされた構造は、エッチングマスク19の単一の塗布およびパターニングのみにより設けることができる。
【0046】
図面および明細書において、本発明の実施形態が開示され、特定の用語が用いられているが、それらは一般的で説明的な意味にのみ使用され、制限の目的のために使用されているのではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図1B】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図1C】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図1D】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図1E】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図1F】オーミックコンタクトを形成する従来の方法を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態による、オーミックコンタクトを形成する方法を示す図である。
【図2B】本発明の実施形態による、オーミックコンタクトを形成する方法を示す図である。
【図2C】本発明の実施形態による、オーミックコンタクトを形成する方法を示す図である。
【図3】メサの側壁へのイオンの注入を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上のn型エピタキシャル領域と、
前記n型エピタキシャル領域上のp型エピタキシャル領域であって、前記p型エピタキシャル領域の少なくとも一部は、前記基板に対してメサを構成しているp型エピタキシャル領域と、
前記p型エピタキシャル層の露出部分の上のオーミックコンタクトであって、オーミックコンタクトの側壁は、前記メサの側壁および前記p型エピタキシャル層と実質的に位置合わせされているオーミックコンタクトと
を備える発光デバイス。
【請求項2】
前記メサの前記側壁は、前記基板の一部が、前記メサの前記側壁の向こう側に及ぶように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記メサの前記側壁に隣接する前記メサの前記p型エピタキシャル領域の一部は、半絶縁性であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記メサは、前記p型エピタキシャル領域全体に及ぶ側壁を有することを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記メサは、前記p型エピタキシャル領域全体に及び、前記n型エピタキシャル領域内に及ぶ側壁を有することを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記メサの側壁に隣接する前記メサの前記p型エピタキシャル領域およびn型エピタキシャル領域の一部は、半絶縁性であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記メサは、p型エピタキシャル領域およびn型エピタキシャル領域全体に及ぶ側壁を有することを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記メサは、前記基板にまで及ぶ側壁を有することを特徴とする請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記発光デバイスは、発光ダイオードからなることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記発光デバイスは、レーザダイオードからなることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記p型エピタキシャル領域は、III族窒化物エピタキシャル層を備え、前記n型エピタキシャル領域は、III族窒化物エピタキシャル層を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記基板は、SiC基板からなることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記基板は、サファイア基板からなることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記オーミックコンタクトは、プラチナからなることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項15】
基板上にn型エピタキシャル層を形成することと、
前記n型エピタキシャル層上にp型エピタキシャル層を形成することと、
前記p型エピタキシャル層の露出部分の上にオーミックコンタクト層を形成することと、
前記オーミックコンタクト層の一部をエッチングし、パターニングされたオーミックコンタクトを設けることと、
前記パターニングされたオーミックコンタクトをマスクとして使用して、前記p型エピタキシャル層内へエッチングし、メサを形成することと
を含む発光デバイスを作製する方法。
【請求項16】
前記オーミックコンタクト層の一部にエッチングマスクを塗布すること
をさらに含み、
前記オーミックコンタクト層の一部をエッチングすることは、前記エッチングマスクを使用して、前記オーミックコンタクト層をエッチングすることを含むこと
を特徴とし、
前記エッチングマスクを除去すること
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記オーミックコンタクト層上の前記エッチングマスクをマスクとして使用して、前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることを含み、前記エッチングマスクを除去することは、前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることにより先行されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることであって、前記メサの側壁は、前記基板の一部が、前記メサの前記側壁の向こう側に及ぶように構成されることを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記メサの側壁にイオン注入することであって、前記メサの前記側壁に隣接する前記メサの前記p型エピタキシャル層の一部を半絶縁性にすることをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記側壁にイオン注入することは、前記基板を傾斜および回転させながら、前記側壁にイオン注入することを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記p型エピタキシャル層をエッチングすることであって、前記メサの側壁は、前記p型エピタキシャル層全体に及ぶことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記p型エピタキシャル層をエッチングし、前記n型エピタキシャル層内へエッチングすることであって、前記メサの側壁は、前記p型エピタキシャル層全体に及び、前記n型エピタキシャル層内に及ぶことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記p型エピタキシャル層および前記n型エピタキシャル層をエッチングすることであって、前記メサの側壁は、前記p型エピタキシャル層および前記n型エピタキシャル層全体に及ぶことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記p型エピタキシャル層内へエッチングすることは、前記p型エピタキシャル層および前記n型エピタキシャル層をエッチングすることであって、前記メサの側壁は、前記p型エピタキシャル層および前記n型エピタキシャル層全体に及び、前記基板にまで及ぶことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記発光デバイスは、発光ダイオードからなることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記発光デバイスは、レーザダイオードからなることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記p型エピタキシャル層は、III族窒化物エピタキシャル層を備え、前記n型エピタキシャル層は、III族窒化物エピタキシャル層を備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記基板は、SiC基板からなることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記基板は、サファイア基板からなることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記オーミックコンタクトは、プラチナからなることを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−511106(P2007−511106A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539956(P2006−539956)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/038028
【国際公開番号】WO2005/048364
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】