自己注射装置
患者の皮膚の中へまたは皮膚を通じて注射することによって、患者の体の中に薬剤を送達するための装置(100)は、ボタンガイド(268)を含む上面を有する底部囲い(104)を有する本体と、薬剤を収容するために本体の中に配置されているリザーバー(160)と、患者の皮膚を刺すための注射針(152)であって、管腔を有し、装置(100)が起動されたときにリザーバー(160)と連通する注射針(152)と、装置(100)が起動されたときにリザーバー(160)を加圧するための加圧システム(140、144)と、移動可能に本体に配置され、起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタン(128)と、を含む。起動ボタン(128)は起動アーム(228)を含む。起動ボタン(128)が起動前位置から起動された位置へ動くとき、起動アーム(228)の端部はボタンガイドラッチ(268)と係合し、起動ボタン(128)の復帰動作を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して物質送達装置に関する。本発明の物質送達装置は、患者の利便性および使いやすさを改良し、起動および安全機構を改良している。本発明は概して、パッチのような、内蔵型の物質注入または自己注射装置にも関する。これらは、さまざまな物質および薬剤を患者に送達するために使用されることができる。より具体的には、本発明は、起動ロックを有するパッチのような注入または自己注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人々、例えば、糖尿病のような状態に苦しんでいる人々は、彼らの血糖値の厳密な制御を維持するために、毎日のインシュリン注入のような何らかの注入療法を使用する。現在、インシュリン注入処置例として、毎日のインシュリン治療の主要な方法が2つある。第1の方法は注射器およびインシュリンペンを含む。これらの装置は使いやすく、比較的費用が安いが、各々の注射において一般的に1日につき3〜4回の穿刺を必要とする。第2の方法は注入ポンプ療法を含む。注入ポンプ療法は、高価なポンプの購入を必要とする。ポンプは約3年間もつ。高いコスト(大体注射療法の毎日のコストの8〜10倍)、およびポンプの限られた寿命は、このタイプの治療への高い障壁である。インシュリンポンプは、相対的に古い技術でもあり、使用するのに扱いにくい。ライフスタイルの観点から、さらに、ポンプを患者の腹部の送達位置につなぐ管類(「注入セット」として知られている)はとても使いににくく、ポンプは相対的に重い。ポンプを運ぶことは重荷となる。しかしながら、患者の観点から、ポンプを使用したことがある患者の圧倒的な大多数は、彼らの余命にわたってポンプを残すことを好む。これは、注射器およびペンよりもより複雑だけれども、インシュリンの連続的な注入、正確な投薬、および送達スケジュールをプログラム化できる、という利点を提供するからである。これは厳格な血糖値の制御および健康の感覚が改良されるという結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6569143号明細書
【特許文献2】国際公開第02/083214号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Biochem Biophys Acta」1989年発行第67巻1007頁
【非特許文献2】Rubinsらによる、「Microbial Pathogenesis」 第25巻337-342頁
【発明の概要】
【0005】
よりよい治療に関心が高まっている。そしてそれは、ポンプ治療の実際の増加および毎日の注射の数の増加を示している。これおよび同等の注入の例において、増加する関心に十分に合うように必要とされることは、毎日の注射治療の最適な特徴(低コストであり使い易い)をインシュリンポンプの最適な特徴(連続的な注入および正確な投薬)とむすびつけ、またそれぞれの不利な点を避けるようなインシュリン送達または注入の方法である。
【0006】
低コストで使い易い歩行用または「着用可能な」薬剤注入装置を提供するために、いくつかの試みがなされてきている。これらの装置のいくつかは、部分的または全体的に使い捨てできるようになっている。論理的には、このタイプの装置は付随コストおよび不便さなく、注入ポンプの多くの利点を提供できる。しかしながら、残念なことに、これらの装置の多くは、患者の不快感(使われている注射器針のゲージおよび長さを原因とする)、送達される物質と注入装置の中で使用される材料との適合性および相互作用、患者によって適切に起動させられないときに起こりうる機能不全(例えば、装置の早すぎる起動に起因する「ウェットな」注射)、を含む不利益をこうむっている。製造及び針の侵入する深さの制御もまた、特に短いおよび/または細いゲージの注射器が使用される場合に困難となっている。使用した装置と接触する人々に対する穿刺の傷害の可能性も問題である。
【0007】
それに応じて、現在の注入装置に代わるものであって、インシュリンおよび非インシュリンへの適用のために、製造や使用の改良における単純さをさらに提供しうるインシュリン用注入ポンプなどの必要性が存在している。
【0008】
本発明の態様は、要求される物質の注入を提供し、1つかそれ以上のマイクロ針を使用することによる最小限の不快をもたらしながら、皮膚に便利に装着することが可能な、パッチ類似の注入装置または自己注射装置を提供しようとするものである。本発明のさらなる態様は、起動しているかどうかを患者が簡単に判断することができるような注入装置または自己注射装置を提供しようとするものである。
【0009】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中へまたは皮膚を通じて注射することによって患者の体に薬剤を送達するための装置を提供することによって達成される。装置は本体を含む。本体は、ボタンガイドラッチを含む上面を有する底部囲い、薬剤を収容するために本体の中に配置されているリザーバー、および患者の皮膚に入るための注射針を有する。針は管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する。装置は装置が起動されたときにリザーバーを加圧する加圧システム、および本体に移動可能に配置され、起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンを含んでいる。起動ボタンは起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動くとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチに係合して、起動ボタンの復帰動作を防止する。
【0010】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中へまたは皮膚を通じて、注射することによって、患者の体の中へ薬剤を送達するための装置を提供することによっても達成される。装置は、上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはガイド面と保持面とを有するボタンガイドラッチを含む上面を有する本体を含む。装置はまた、本体の中に配置され薬剤を収容するためにチャンバを形成しているリザーバーと、患者の皮膚に入るための注射針と、を含む。針は管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する。装置は、装置が起動したときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、本体の中に移動可能に配置され、起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンをさらに含む。起動ボタンは、カットアウトと、ベアリング面およびロック面があるロック部と、を備える起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動いたとき、ベアリング面は、ガイド面の端部に到達するまで、起動アームおよびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させながら、ボタンガイドラッチのガイド面に接触し且つガイド面に沿ってスライドする。さらに、起動ボタンが起動前位置から起動された位置に動くとき、カットアウトは起動アームがガイド面の端部を通過し、起動ボタンの復帰動作を防ぐために、ロック面がボタンガイドラッチの保持面に係合することを許容する。
【0011】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中にまたは皮膚を通じて、薬剤を送達するための装置を提供することによっても達成される。装置は、上部囲いと底部囲いとを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む上面を有する本体を含む。装置は、薬剤を収容するために本体の中に配置されるリザーバーと、患者の皮膚に入るための注射針と、も含む。針は管腔を有し、リザーバーと選択的に連通する。装置はリザーバーを加圧するための加圧システムと、本体の中に移動できるように配置され、起動前位置から起動された位置へ移動できる起動ボタンと、をさらに含む。起動ボタンは起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動いたとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチと係合し、起動ボタンの復帰動作を防止する。起動前位置から起動された位置への起動ボタンの動きは、患者の皮膚に入るために注射針を動かすこと、リザーバーを加圧すること、およびリザーバーと患者の針との間の流体連通を確立すること、からなるグループから選択された少なくとも1つを実現する。
【0012】
本発明のさらなるおよび/または他の態様および有利な点は、以下の説明で一部が説明されるだろう、そして、一部は説明から自明になるだろうし、または本発明の実施によって知得されるだろう。
【0013】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様および有利な点は、添付図とともに捉えることで以下の詳細な説明から容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】起動される前の起動前状態にあるパッチのような注入または自己注射装置の1つの実施形態の透視図を示す。
【図2】起動前状態にある図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図3】起動前状態にある図1の注入装置の部分分解図を示す。より詳細に見せるために起動ボタンは離間側に旋回している。
【図4】起動前状態にある図1の注入装置のより完全な分解図を示す。
【図5】起動前状態にある図1の注入装置の断面図を示す。
【図6】起動前状態にある図1の注入装置の断面図を示す。起動ボタンは離間側に旋回している。
【図7】安全機構の設置の間における図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図8】起動後の図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図9】起動後の図1の注入装置のより完全な分解図を示す。
【図10】起動後の図1の注入装置の断面図を示す。
【図11A】図1の注入装置の起動ボタンの起動アームの実施形態を示す。
【図11B】図1の注入装置の起動ボタンの起動アームの実施形態を示す。
【図12】図1の注入装置のボタンガイドラッチを示す。
【図13A】図1の注入装置の起動前後の起動アームと、ボタンガイドラッチとの間の相互作用をそれぞれ示す。
【図13B】図1の注入装置の起動前後の起動アームと、ボタンガイドラッチとの間の相互作用をそれぞれ示す。
【図14A】図1の注入装置の起動前後のボタンガイドラッチの他の実施形態をそれぞれ示す。
【図14B】図1の注入装置の起動前後のボタンガイドラッチの他の実施形態をそれぞれ示す。
【図15】安全機構の展開後の図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図16】安全機構の展開後の図1の注入装置の断面図を示す。
【図17】安全機構の底面を示す。
【図18】安全機構の構造をさらに示す。
【図19A】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19B】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19C】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19D】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図20】注入ポートを有する注入装置の1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に関して詳細に説明する。その例は、添付図に示されている。そして、そこで、参照数字は同様な要素について言及する。説明される実施形態は図面を参照することによって本発明を例示する。
【0016】
以下に説明される本発明の実施形態は、便利なパッチのような注入または自己注射装置100として使用されることができる。それは、液体の薬や薬剤のような物質の予め測定された投薬をある期間にわたってまたは一度に患者に送達する。装置は予め満たされた状態で最終使用者に好ましくは提供される。つまり、薬や薬剤は既に装置の容器に入れた状態である。ここに説明されるパッチのような注入または自己注射装置100(例えば、図1に示されている)は、患者におよび/または介護者によって用いられうるが、装置の使用者は下文に「患者」として便宜上示される。加えて、便宜上、「垂直」、「水平」、および「上」、「下」のような用語は、水平面上に配置された注入装置100に関して相対的な方向を表すものとして使用する。しかしながら、注入装置100はそのような配向に限定されず、注入装置100はどんな配向においても使用されことが理解されるであろう。さらに、本発明を具体化する装置を説明するための「注入装置」および「自己注射装置」という用語のいずれかの使用は、限定する意図を目的としない。自己注射機能を持っていない注入装置は本発明の範囲内にある。連続的な注入を実行することができない自己注射装置も同様である。便宜上、しかし制限するためではなく、「注入装置」という用語は以下の説明にて使用される。
【0017】
図1のパッチのような注入装置100は内蔵型であり、注入装置100の底面に配置された接着物によって患者の皮膚表面に付着される(後で更に詳しく記述されるように)。患者によって適切に配置されて起動されると、装置の中にある可撓性リザーバーの開放ばねの圧力は、針マニホルドを通して1つかそれ以上の患者針(例えば、マイクロ針)からリザーバーの内容物を空にするために使用される。リザーバーの中の物質は、皮膚の中へ打ち込まれるマイクロ針によって患者の皮膚を通して送達される。他の実施形態が可能であることは理解されるだろう。その実施形態において、ばねは異なる種類の蓄積エネルギー装置に置き換えられ、蓄積エネルギー装置は、機械、電気および/または化学物質の態様であるかもしれない。
【0018】
当業者によって十分理解されるように、ここに開示されるパッチのような注入装置100を構成および使用する方法が、多数ある。図面および以下の記述に示される実施形態が参照されるが、ここに開示される実施形態は開示される発明の様々な代替のデザインの全てを示すものではない。開示された実施形態のそれぞれにおいて、装置は注入装置と呼ばれる。しかし、装置は、典型的な注入装置によって一般的に達成されるよりも、とても速い割合にて薬物を注入(急速投与)しうる。例えば、内容物は数秒ぐらいの短い期間または数日ぐらいの長い期間に投与されることができる。
【0019】
装置の実施形態において、パッチのような注入装置100のプッシュボタンのデザインが示される。そこにおいて、その起動、および装置の付勢は単一の多機能/ステップのプロセスにて達成される。図1は起動前状態の注入装置100の組み立てられた実施形態を示す。図2から図6は起動前状態にある注入装置100の部分分解図および断面図を示す。図7は安全機構の設置の間における注入装置100の部分分解図を示す。図8から図10は起動後の注入装置100の分解図および断面図を示す。図15および図16は安全機構の展開後の注入装置100の分解図および断面図を示す。注入装置100は、起動前状態(例えば、図1、図2および図5に示される)、起動または発射した状態(例えば、図8から図10に示される)、および格納されたまたは安全な状態(例えば、図15または図16に示される)の間で動作するように設定される。
【0020】
図1に示されているように、パッチのような注入装置100の1つの実施形態は、底部囲い104、安全機構108、可撓性の針カバー112、上部囲い116、リザーバーサブアセンブリ120、投薬終了指示器(EDI)124、および起動ボタン128を含む。起動ボタン128は患者のインターフェース面132を含む。さらに、図2から図6に示されるように、注入装置100は、ロータまたは作動リング136、加圧ばね140、ドームのような金属プランジャー144、および駆動ばね148も含む。
【0021】
可撓性の針カバー112は、少なくとも1つの針152(後で更に詳細に記述される)を保護すること、および無菌バリアを提供することによって、患者および装置に安全を提供する。針カバー112は、装置製造の間、針152を保護し、使用前の患者を保護し、除去の前のいかなる時点においても無菌バリアを提供する。1つの実施形態によれば、針カバー112は締まりばめによって針マニホルドに付けられる。針マニホルドには、少なくとも1つの針152が配置される。さらに、1つの実施形態によれば、安全機構108の針開口部156(後で更に詳細に記述される)は針カバー112の周辺にしっかりと一致して成形される。
【0022】
例えば、図2から図6に示されているように、リザーバーサブアセンブリ120は、リザーバー160、リザーバードームシール164、バルブ168、少なくとも1つの針152、および少なくとも1つのチャネルアーム172(図8参照)を含む。チャネルアーム172はバルブ168と針152との間に配置され、その間の流れの経路をつくりだしている。リザーバー160はドーム176を含む。さらに、リザーバーサブアセンブリ120は、少なくとも1つの針を選択的に覆うために、取り外し可能な針カバー112を含む。1つの実施形態によれば、リザーバーサブアセンブリ120は、リザーバーアームシール180もまた含む。リザーバーアームシール180は、チャネルアーム172を覆う。好ましくは、針152は針マニホルドおよび複数のマイクロ針152を含む。
【0023】
リザーバーサブアセンブリ120のリザーバードームシール(可撓性のフィルム)164が、例えば図5に示されるように、プランジャー144とドーム176との間に配置されている。注入装置100のためのリザーバー内容物(例えば、薬剤の材料)はリザーバードームシール164とドーム176との間の空間に配置される。リザーバードームシール164、ドーム176、およびこれらの間の空間の組み合わせは、リサーバー160を画定する。ドーム176は、リザーバー内容物を見ることを可能にするために、好ましくは透明である。リザーバードームシール164は、金属で覆われたフィルムまたは他の類似した物質のような非膨張性の材料またはラミネートによって作られることができる。例えば、リザーバードームシール164の中で使用されることができる可撓性のラミネートフィルムは、第1ポリエチレン層と、当業者に知られているように第3金属層に付着機構を提供する第2化学層と、バリア特性に基づいて選択された第3金属層と、ポリエステルおよび/またはナイロンを含む第4層と、を含む。剛性の部分(例えば、ドーム176)と合わせて、金属で覆われたフィルムまたは金属化されたフィルムを利用することによって、リサーバーのバリア特性は改良される。それによって、リザーバーの中に入っている内容物の貯蔵寿命は増加するか改良される。例えば、リザーバーの内容物がインシュリンを含んでいる場合には、リサーバー160内での接触部分の主な材料は、直鎖状、低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、環状オレフィン共重合体(COC)、およびテフロン(登録商標)を含む。後で更に詳しく説明されるように、リザーバー内容物の残余の流路内の主な接触部分の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)、医療グレードのアクリル、ステンレス鋼、および針接着剤(例えば、赤外線硬化接着剤)並びにCOCおよびLLDPEを、含んでもよい。リザーバー160の内容物と長期にわたり接触しているそのような材料は、ISO10−993および他の当てはまる生体適合性テストを好ましくは通過する。
【0024】
リザーバーサブアセンブリ120はさらに好ましくは、内容物への有害な作用なしに相応の制御された環境において、リザーバーの内容物の規定の貯蔵寿命にわたり貯蔵されることができる。リザーバーサブアセンブリ120は様々な環境状況において適用できる。さらに、リザーバーサブアセンブリ120の構成要素によって提供されたバリアは、所望の貯蔵寿命と適合するために許容できるものより大きい割合での、ガス、液体および/または固体材料の内容物の中または外への移動を許容しない。上記の実施形態において、リザーバーの材料は、華氏およそ34度から120度の範囲の温度にて貯蔵され且つ操作されることができる。リザーバーの材料は2年以上の貯蔵寿命を持つことができる。
【0025】
安定要件を満たすことに加えて、リザーバーサブアセンブリ120は、リークなしに20分間、30psiのサンプルを保持するような任意の回数のリークテストを成功裡に通過することによって、操作をさらに保証することができる。リザーバーの構造に起因する充填、貯蔵、および送達上の追加の利益は、後でさらに詳しく説明されるように、最小にされたヘッドスペースおよび適応性を含む。
【0026】
1つの実施形態において、リザーバー160は充填前に空にされる。リザーバー160を充填する前に空にして、ドーム176にわずかなくぼみだけを持たせることによって、リザーバー160内のヘッドスペースおよび過剰な無駄(waste)を最小限にすることができる。さらに、リザーバーの形状は使用される付勢機構の種類(例えば、加圧ばね140およびプランジャー144)に適合するように構成されることができる。さらに、空の可撓性のリザーバー160を充填する間使用することは、充填されたリザーバー160内のどんな空気または泡をも最小にする。注入装置100が外圧または温度の変化を受けるときに、可撓性のリザーバー160を使用することはとても有益でもある。外圧または温度の変化は、内部のリザーバー圧の増加を導きうるからである。そのような場合、可撓性のリザーバー160は、リザーバー内容物とともに、拡大し、収縮する。それによって、拡大の力および収縮の力を原因として起こりうるリークを防止する。
【0027】
さらにもう1つのリザーバー160の特徴は、充填時や患者による使用時において、自動化された微粒子検査を可能にする能力を含む。ドーム176のような、1つまたはそれ以上のリザーバーバリアは、透光性かつ透明な材料で成型されることができる。透光性かつ透明なプラスチック材料は、リザーバー内に収容される物質の確認を可能にする。透光性かつ透明なプラスチック材料は好ましくは環状オレフィン共重合体である。環状オレフィン共重合体は、高い透光性と透明性、低い抽出可能性、およびリザーバー160内に収容される物質との生体適合性によって特徴づけられる。適当な材料は「BD CCP Resin」という指定のもとでケンタッキー州ルイビルのZeon Chemicals, L.P.社から入手できる。適当な材料は米国食品医薬品局およびDMFのNO.16368によって列挙されている。このような適用において、レザーバー160では、検査を妨げうるような特徴が最小限になる(すなわち、検査の間の回転は許容される)。
【0028】
チャネルアーム172は、バルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152へのびる少なくとも1つの可撓性の弓状アームの形で設けられる。弓状アームはその中に形成される溝174(図2参照)を有する。バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間に流体路を設けるために、レザーバーアームシール180は溝174を覆う。リザーバー160とマイクロ針152との間の流体路(チャネルアーム172に配置されている‐例えば図8に示される)は、リザーバー160のために上述されたそれらと類似か同一の材料で構成される。例えば、チャネルアーム172はドーム160と同じ材料で構成されてもよい。リザーバーアームシール180はリザーバードームシール164と同じ材料で構成されてもよい。1つの実施形態によれば、両方のチャネルアーム172は、バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体路として使用される。他の実施形態によれば、チャネルアーム172の1つだけが流体路として使用され、残りのチャネルアーム172は構造的な支持を提供する。このような実施形態において、溝174は流体路として使用されるチャネルアーム174のみにおいて、バルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152までの全体にわたって延在する。
【0029】
チャネルアーム172は、起動の力に耐えるために十分にしなやかでなければならない。図2および図8におけるチャネルアーム172の配置を対照とし、マイクロ針152が患者の皮膚に打ち込まれる時に、チャネルアーム172(図2においてはリザーバーアームシール180によって覆われ、そして、それは図8においては明確にするためにはずされている)は弾性的に変形する(後で更に詳しく記述される)。このような変形の間、チャネルアーム172はバルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体路の完全性を維持しなければならない。さらに、チャネルアーム172のための材料は多数の生体適合性および貯蔵テストを満たす。例えば、以下の表1に示されるように、注入装置の内容物がインスリンを含む場合には、リザーバー160内の主な接触部分の材料は、直鎖状、低密度ポリエチレン、環状オレフィン共重合体、およびテフロン(登録商標)を含み、透光性かつ透明なプラスチックを含むこともできる。リザーバー160と針マニホルドのマイクロ針152との間にある残余の流路(チャネル62)内の主な接触部分の材料は、COCおよび/または医療グレードのアクリル、LLDPE、TPEおよびステンレス鋼、ならびに針接着剤を含む。
【0030】
【表1】
【0031】
より具体的には、マイクロ針152はステンレス鋼から構成されることができる。針マニホルドはポリエチレンおよび/または医療グレードのアクリルから構成されることができる。このような材料は、リザーバーの内容物と長期にわたり接触する場合に、好ましくはISO10−993生体適合性テストを通過する。
【0032】
バルブ168はリサーバー160とチャネルアーム172との間に配置され、リザーバー160とチャネルアーム172との間の流体の流れを選択的に許容および制御する。バルブ168は起動前位置(例えば、図2、図3、および図6に示される)と起動の位置(例えば、図8〜10に示される)の間を移動する。起動の位置にあるとき、バルブはリザーバー160とチャネルアーム172との間の、又それゆえに針マニホルドおよびマイクロ針152への、流体の流れを許容する。
【0033】
使用時に、バルブ168は起動ボタン128の動きによって最終的には起動の位置へ押されるだろう。これは図5と図10との間のバルブ168の動きによって最もよく図示されている。図10に示されるように、バルブ168の動きはバルブ168の拡大した遠位端部を前進させ、それによって、薬が、リザーバー160からチャネルアーム172内へ、および流体路に沿って針マニホルドへ、流れることを可能にする。
【0034】
上述した実施形態は、少なくとも、1つの針152、またはマイクロ針152、を含む。しかし、例えば、2つ示したマイクロ針152のようにいくつか含んでもよい。それぞれのマイクロ針152は、好ましくは少なくとも31ゲージかそれよりも小さく、例えば、34ゲージである。それぞれのマイクロ針152は、リザーバー160と流体連通して配置されている、患者の針マニホルドの中に固定される。マイクロ針152は、注入装置100に複数が含まれている場合に、異なる長さ、または異なるゲージ、または異なる長さおよびゲージの両方の組み合わせ、にもすることができ、また本体の長さに沿って1つまたはそれより多くのポートを含むことができる。ポートは、好ましくは、マイクロ針152の先端近くか、いずれかのマイクロ針152が先端斜角を持っていればその近くに位置する。
【0035】
1つの実施形態によれば、マイクロ針152のゲージは注入装置100の内容物の送達率に影響を与える。非常に大きなカニューレまたは針を必要とする即時の注射器による注射時よりも、より長い期間にわたる注入が生じた場合に、リザーバー内容物を送達するために34ゲージのマイクロ針152を多数使用することは実用的である。開示される実施形態において、皮内または皮下の空間を標的とするどんなマイクロ針152も使用されることができる。しかし、説明された実施形態は、1mmと7mmとの間の長さ(すなわち、4mm)の皮下マイクロ針152を含む。マイクロ針152の配置は、線形か非線形のアレイとすることができ、特定の用途によって必要に応じて、任意の数のマイクロ針152を含むことができる。
【0036】
上記のように、マイクロ針152は針マニホルドに配置されている。針マニホルドにおいて、少なくとも1つの流体連通経路がそれぞれのマイクロ針152に設けられている。マニホルドは、1つかそれ以上のマイクロ針152への単一の経路を有してもよく、またそれぞれのマイクロ針152へリザーバーの内容物を輸送する多数の流体路または溝を、個別に提供してもよい。これらの経路または溝は内容物の移動のための曲がりくねった経路をさらに含み、液圧および送達率に影響を及ぼし、流れ絞り機構としての役割を果たしてもよい。針マニホルドの中の、溝または経路は適用に応じて、幅、深さ、および形状にて変動することができる。溝の幅は典型的には約0.015インチと0.04インチとの間であり、好ましくは0.02インチであり、マニホルド内のデットスペースを最小限にするように構成される。
【0037】
1つの実施形態によれば、リザーバーサブアセンブリ120は1対の孔184、188を有する。これらは、底部囲い104に関してのリザーバーサブアセンブリ120の位置合わせを助ける。底部囲い104の第1ポスト192および第2ポスト196(後で詳しく記述される)は、それぞれの孔184および孔188を通して差し込まれる。
【0038】
リザーバーサブアセンブリ120が取り外されている分解図のうち、図4、図7、および図9は底部囲い104が略円筒状のハウジング200を含むことを図示する。ハウジング200内には、加圧ばね140およびプランジャー144が配置されている。1つの実施形態によれば、円筒状のハウジング200は、プランジャー144のそれぞれ複数である脚部208および足部212を、プランジャーがハウジング200の中で移動するときに案内するための窪んだチャネル204を複数個含む。脚部208および足部212は全体としてプランジャータブ214を構成する。例えば、図4、図7および図9に示されているように、窪んだチャネル204は円筒状のハウジング200の頂部からその下方に向けて部分的にだけ延在する。窪んだチャネル204の下に開口部216がある。開口部216を通じて、プランジャー144の足部212が円筒状のハウジング200の外へ延在することができる。開口部216は円筒状のハウジング200の底の水平部分と、窪んだチャネル204と実質的に整列した垂直部分と、によって実質的にL字型である。
【0039】
注入装置100が起動前状態にあるとき、加圧ばね140はプランジャー144によって圧縮されており(例えば、図4〜6に示される)、またプランジャーの脚部212は実質的に開口部216の水平部分内に配置される。加圧ばね140の力は、開口部216の水平部分(すなわち、円筒状のハウジング200の棚部(ledge))の頂部に対抗して、プランジャー144の足部212を付勢する。同時に、後で詳しく記述されるように、加圧ばね140およびプランジャー144は、注入装置100が起動したときにリザーバー160を加圧するために加圧システムを構成する。
【0040】
以下に更に詳しく記述されるように、ロータ136は、起動前位置(例えば、図2〜図4に示される)と起動された位置(例えば、図8〜図10に示される)との間で、円筒状のハウジング200の底のまわりで回転する。ロータ136が起動前位置から起動された位置まで回転するとき、ロータ136の少なくとも1つの足部係合表面220(例えば、図4に示される)は、プランジャー144の少なくとも1つの足部212に係合し、足部212が開口部216および窪んだチャネル204の垂直部分に整列するように、プランジャー144を回転させる。このとき、加圧ばね140は、浮上させられたチャネル204に足部212が案内された状態で、プランジャー144を上向きに動かす。
【0041】
加圧ばね140は注入装置100の中に含まれる。それは、実質的に均一な力をリザーバー160に与えて、リザーバー160から内容物を押し出すためである。加圧ばね140は、使用時の際に解除したときにリザーバー160を加圧するエネルギーを蓄えるために使用される。加圧ばね140は、プランジャー144の足部212と円筒状のハウジング200との間の係合によって、圧縮した状態に保たれる。この係合は、保管の間、加圧ばね140がリザーバー160またはいずれかの残余の構成要素(底部囲い104またはプランジャー144以外の)のフィルム(後述される)に圧力をかけるのを妨げる。プランジャー144は、ばねの張力および変形に抵抗するために十分に剛性であり、通常の負荷のもとでは故障しない。
【0042】
上記のように、ロータ136が起動前位置から起動された位置まで回転するとき、ロータ136はプランジャー144の足部212の少なくとも1つに係合し、足部212を開口部216および窪んだチャネル204の垂直部分に整列させるためにプランジャー144を回転させる。圧縮された加圧ばね140は、次にプランジャー144を上向きに動かし、そうすることで、リザーバー160のフィルムに力を加える。加圧ばね140は、リザーバー内容物の皮内送達のために、好ましくはリザーバー160内において約1psiから50psi、より好ましくは約2psiから約25psiの圧力をつくるように構成されることができる。皮下注射または注入のためには、約2psiから5psiの範囲で十分であろう。
【0043】
1つの実施形態によれば、起動ボタン128は患者のインターフェース面132を含む。患者のインターフェース面は、注入装置100を起動させるために患者が押す。起動ボタン128はヒンジアーム224および起動アーム228(両方とも、例えば、図3および図11Aに示される)もまた含む。起動ボタン128のヒンジアーム224は、開口部を有する円筒型の部分を含む(図11A参照)。起動アーム228はタブ230を含む(図3参照)。1つの実施形態によれば、タブ230はベアリング面232およびロック面234を含む。ロック面234はベアリング面232の腕木の末端に隣接して配置される。1つの実施形態によれば、タブ230は起動アーム228の主要な部分に対して鋭角を形成する。
【0044】
第1ポスト192は、底部囲い104の上に配置され、そこから上方へ延在している。1つの実施形態によれば(例えば、図4および図7に示されるように)、第1ポスト192の基部は一対の平らな側面236および一対の丸い側面240を含む。さらに、例えば、図4および図7に示されるように、第2ポスト196および第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は、底部囲い104から上方へ延在している。後で更に詳しく記述されるように、第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は駆動ばね148の端部にそれぞれ固定している。第1駆動ばね基部244は第2ポスト196と、空間を隔てて隣接している。
【0045】
1つの実施形態によれば、図3および図6は、起動ボタン128の組み付けのために、底部囲い104に関して起動ボタン128の配置を図示する。この配置において、ヒンジアーム224の円筒状部分の開口部は、起動ボタン128が(平らな側面236を通過して)水平方向にスライドし、第1ポスト192と係合することを可能にする。ヒンジアーム224(および、したがって、起動ボタン128)は第1ポスト192の周りを回転することができる。起動アーム228が、第2ポスト196と第1駆動ばね基部224との間の空間を通過するときに、第2ポスト196の保持面252をタブ230のベアリング面232の腕木の端部が通過するまで、タブ230および起動アーム228の少なくとも1つが、弾性的に変形する。第2ポスト196の保持面252(図4参照)を通過したタブ230のベアリング面232の腕木の端部の通過、およびタブ230のロック面234と保持面252との係合は、起動ボタン128が起動前の状態にあることを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供する。
【0046】
図11Aおよび図11Bは、起動ボタン128の起動アーム228の実施形態を示す。図11Aに示されるように、起動アーム228は、その端部に配置されているロック部256、およびロック部256から起動アーム228の基部までの距離の一部にわたって延在しているカットアウト260Aを含む。これとは対照的に、図11Bに示す実施形態においては、カットアウト260Bはロック部256から起動アームの基部まで延在している。ロック部256は、ロック面266に隣接しているベアリング面264(図3に最適に示される)を含む。ロック面266はロック部256の後方端に配置される。
【0047】
底部囲い104の第2ポスト196の実施形態が図12に示される。第2ポスト196はボタンガイドラッチ268を含む。ボタンガイドラッチ268はガイド面270および保持面272を含む。1つの実施形態によれば、図12に示されるように、ガイド面270および保持面272がボタンガイドラッチ268の端部に隣接しており、ボタンガイドラッチ268に関して、その間で鋭角(α)を形成する。
【0048】
図13Aおよび13Bは、注入装置100の起動前後の、起動ボタン228とボタンガイドラッチ268との間の相互作用を示す。ロータ136および起動アーム228のタブ230は、説明の明確さのために図13Aおよび図13Bには示されていない。図13Aに示すように、患者が起動ボタン128を起動前位置から起動された位置まで動かすとき、ロック部256のベアリング面264は、ボタンガイドラッチ268のガイド面270に直接接触し、且つこれに沿ってスライドする。1つの実施形態によれば、ベアリング面264とガイド面270との間の接触は、ベアリング面264およびガイド面270の少なくとも1つを、弾性的に変形させる。
【0049】
起動ボタン128が起動された位置に達したときに、図13Bに示されるように、起動アーム228の端部はボタンガイドラッチ268と係合し、起動ボタン128の戻る動きを防止する。より具体的には、カットアウト260(AまたはB)は、起動アーム228がガイド面270の端部を通過すること、それによって、ロック部256とボタンガイドラッチ268の保持面272とが係合しうること、を可能にする。より詳細には、ベアリング面264はガイド面270に直接接触し、且つボタンガイドラッチ268の端部に達するまで、ガイド面270に沿ってスライドする。このとき、カットアウト260(AまたはB)はボタンガイドラッチ268の端部と整列し、弾性的に変形した面(ベアリング面264およびガイド面270の少なくとも1つ)は実質的に変形していない状態に戻る。このように、起動アーム228は、カットアウト260(AまたはB)の存在を原因として、ガイド面270の端部を通過し、起動アーム228のロック面266はボタンガイドラッチ268の保持面272と係合する。
【0050】
図13Bに示されるように、底部囲い104の側壁は、起動された位置を通過した位置の起動アーム228のさらに前方への動きを実質的に防ぐ。1つの実施形態によれば、底部囲い104の側壁に代えて、またはそれに加えて、ローラ136の制限された移動、およびロータ136と起動ボタン228との間の係合は、起動された位置を過ぎる起動アーム228のさらなる前方への動きを実質的に防ぐ。
【0051】
加えて、図13Aおよび図13Bにおいても、ロータ136は示されていないが、図13Aおよび図13Bは、起動ボタン128およびロータ136が起動前位置から起動された位置まで移動するときの円筒状ハウジング200に関するプランジャー144の動きを示している。図13Aにおいて、プランジャータブ214は円筒状のハウジング200のL字型の開口部216の水平部分と係合している。しかしながら、図13Bでは、起動ボタン128およびロータ136が起動された位置に達するところで、プランジャー144は、プランジャータブ214がL字型の開口部216(および窪んだチャネル204)の垂直部分と整列するように、回転させられ、それによって、プランジャー144が、加圧ばね140の力を原因として円筒状のハウジング200内で並進することが可能にされる。
【0052】
図14Aおよび図14Bは、注入装置100の起動前後のボタンガイドラッチ268Aの他の実施形態を示す。より具体的には、図14(A)は起動前位置にある起動ボタン128を示す。この図においては、タブ230のロック面234が第2ポスト196の保持面252と係合している。図14Aに示されるように、ボタンガイドラッチ268Aは保持ポスト274を含む。保持ポスト274は底部囲い104の上面から実質的に垂直に延在している。保持ポスト274は、ガイド面270A、およびその端部でガイド面270Aに隣接して配置されている保持面272Aを含む。起動ボタン128が起動前位置から起動された位置へ動くとき(例えば、図14Bに示されるように)、ベアリング面232はガイド面270に直接接触し、ガイド面270Aの端部をベアリング面232の腕木の端部が通過するまでガイド面270Aに沿ってスライドする。次に、タブ230のロック面234は保持ポスト274の保持面272Aと係合する(図14Bに示される)。
【0053】
起動ボタン128が起動前位置から起動された位置に動くとき、ベアリング面232およびガイド面270Aの接触は、タブ230のベアリング面232の腕木の端部が、保持ポスト274のガイド面270Aを通過するまで、ベアリング面232、ガイド面270A、および起動アーム228の少なくとも1つを、弾性的に変形させる。このとき、変形した面/起動アームの少なくとも1つは実質的に変形されていない状態に戻る。ガイド面270Aを通過すべきタブ230のベアリング面232の腕木の端部の通過、およびタブ230のロック面234と保持面272Aとの係合は、起動ボタン128が起動前状態にあることを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供する。
【0054】
さらに、図14Bの中で最も明らかに示されるように、底部囲い104は第1ロック解除孔276および第2ロック解除孔278を含む。これらは第2ポスト196および保持ポスト274に隣接してそれぞれ配置されている。必要ならば、器具(例えば、紙クリップ)は第1ロック解除孔276または第2ロック解除孔278を通して差し込まれることができ、第2ポスト196の保持面252または保持ポスト274の保持面272Aからタブ230のロック面234を外すために、タブ230のベアリング面232に対して押す。1つの実施形態によれば、少なくとも第2ロック解除孔276は接着パッドによって覆われている(後で更に詳しく記述される)。
【0055】
このように、起動ボタン128のためのロック機構は、注入装置100の起動後に起動ボタン128を定位置に保持する。よって、このようなロック機構によれば、患者は注入装置100が起動したかどうかを迅速かつ容易に断定することができる。さらに、起動ボタン128は、起動後に前後に自由に移動しない(またはがたつかない)だろう。
【0056】
図2〜図4および図7〜図9に戻って参照すると、ロータ136は起動突起284および駆動ばねホルダー288をさらに含む。起動ボタン128の起動アーム228は、患者が起動ボタン128を押下するとき、起動突起284と係合する。それによって、起動前位置から起動された位置までロータ136を回転させる。
【0057】
駆動ばねホルダー288はロータ136が起動前位置にあるとき、駆動ばね148を起動前位置に保持する。前述のように、第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は駆動ばね148の双方の端部に固定されている。例えば、図2および図3に示されているように、駆動ばね148のほぼ中間点に、ロータ136の駆動ばねホルダー288との係合のための略U字型の突起部がある。それによって、ロータ136が起動前位置にあり、駆動ばね148が駆動ばねホルダー288と係合するとき、駆動ばね148は伸張状態に維持される。駆動ばねホルダー288が駆動ばね148を解放するとき(すなわち、例えば、図8〜図10に例示されるように、ロータが起動前位置から起動された位置まで回転するとき)、駆動ばね148は、底部囲い104の開口部328を通じて(且つ後で更に詳しく説明される安全機構108の開口部を通じて)、注入装置100の外側に延出するようにマイクロ針152を駆動する。
【0058】
したがって、後で更に詳しく記述されるように、単一の多機能/ステップのプロセスにて完成される注入装置100の起動および付勢は、患者による起動ボタン128の押下、および起動ボタン128の起動アーム228とロータ136の起動突起284との間の係合によるロータ136の回転を含む。先に述べたように、ロータ136の回転は、リザーバー160内の液体を加圧するために、プランジャー144を回転させ、解放する。さらに、ロータ136の回転は、駆動ばねホルダー288から駆動ばね148を解放する。それによって、注入装置100の外側へ延出するようにマイクロ針152を駆動する。単一の多機能/ステップのプロセスはまた、起動ボタン128が押下されたときにバルブ168に係合しこれを動かすことによる起動前位置から起動された位置へのバルブ168の移動を含み、それによって、チャネルアーム172を経由したリザーバーとマイクロ針152との間の液体の流れが開始される。
【0059】
上記のように、パッチのような注入装置100は安全機構108もまた含む。不注意または偶然の穿刺による負傷を防止するため、装置の意図的な再利用を防止するため、およびむき出しの針を遮蔽するために、ロック針安全機構108が設けられる。安全機構108は、患者の皮膚表面からの注入装置100の取り外しがあると即座に、自動的に起動する。後で更に詳しく記述される1つの実施形態によれば、可撓性接着パッド292は底部囲い104の底の部分、および安全機構108の底の部分と接着している。可撓性接着パッド292は、患者の皮膚と接触し、使用している間、皮膚の上の定位置に注入装置100を保持する。例えば、図15および図16に示されるように、皮膚表面からの注入装置100の取り外しがあると即座に、安全機構108はマイクロ針152を遮蔽する位置へ延伸する。完全に延伸するとき、安全機構108は所定の位置にロックし、偶然の負傷または患者の針152への露出を防止する。
【0060】
概して、受動的な安全システムが、最も望ましい。これは、偶然の取り外し、または患者が安全ステップがあることを忘れた場合に、装置が自己保護することを可能にする。自己注入装置100の1つの典型的な使用が、人間に成長ホルモンを提供することであり、それが通常夜に与えられるため、たとえ送達が10分未満しか要しないと予期されているとしても、装置を装着する患者(子供たちのような)が一晩中実際に装着するかもしれないことが、予期される。受動的なシステムがないとすれば、注入装置100が外れて落ちると、マイクロ針152は患者または介護者を再度さすおそれがある。その解決策は、使用の間の活動を制限するか、あるいは受動的な安全システムを含むことである。
【0061】
安全システムに関して、典型的な3つの選択肢がある。最初の選択肢は装置の中に針152を格納することである。2つめの選択肢はアクセスをなくすために針152を遮蔽することである。3つめの選択肢は穿刺負傷を防ぐように針152を破壊することである。能動のシステムのような他のシステムは、手動の遮蔽および/または破壊、または付加的なボタン押しまたは類似の動きによる安全機能の手動解放、を利用する。本発明の受動的安全性の実施形態の詳しい説明は、以下に提供される。
【0062】
本発明の1つの安全な実施形態は、安全機構108のように受動的で、完全に囲まれた引き出すデザインの実施形態である。図5、図10、および図16は、安全機構108の起動前後および展開後の安全機構108をそれぞれ示している注入装置100の透視断面図である。
【0063】
注入装置100が皮膚からはずされるとき、可撓性接着パッド292(底部囲い104の底面および安全機構108の底面の両方に接着される)は、接着パッド292が皮膚表面からはずされるまえに、安全機構108を引き抜き、それを所定の位置にロックする。換言すれば、皮膚表面から接着パッドを取り外すために必要な力は、安全機構108を展開するために必要とされる力よりも、大きい。1つの実施形態によれば、例えば、図17に示されるような安全機構108は、患者の皮膚と接触している平らな表面部296を含む。平らな表面部296は接着パッド292の一部(図17に点線として示されている)が安全機構108と固定されているところである。注入装置100が皮膚から患者によってはなされたとき、接着パッド292は注入装置100から安全機構108を展開するために作動するだろう。それによって、マイクロ針152を遮蔽する。そうでなければ、患者からの注入装置100の取外しと同時に針が露出されるだろう。安全機構108が完全に広げられたとき、安全機構108は所定の位置にロックされ、偶然の負傷またはマイクロ針152への露出を防止する。
【0064】
1つの実施形態によれば、接着パッド292は実質上、2つの部分に提供される。1つは底部囲い104の底面の大部分(bulk)の上に、1つは安全機構108の底面上に、提供される。注入装置100がはずされたとき、2つのパッチは独立して動く。安全機構108は底部囲い104に関して回転できる。他の実施形態によれば、2つの部分は、1つの部分が底部囲い104の底面の大部分に配置され、且つ1つの部分が安全機構108の底面上に配置された、まとまった可撓性パッド292として形成される。
【0065】
1つの実施形態によれば、安全機構108は型打ちした金属部品である。他の実施形態によれば、安全機構108は、底部囲い104と実質的に同じ材料によってつくられる。図18に示されるように、安全機構108は、フロントシールド300、安全機構108の後方の部分に配置されている1対の差込タブ304、それぞれ、安全機構108のへり部分312の端部の後方の上に、配置されている1対のピボットタブ308、安全機構108の内側の略平らな底から上向きに延在するガイドポスト316、および安全機構108の内側の底から上向きに延在するロックポスト320、を含む。フロントシールド300は、安全機構108が展開したとき、マイクロ針152から患者を遮蔽するために、へり部分312の上方に延在する。ガイドポスト316は、その内部に、ロータ136が起動前位置にあるときに安全機構108が注入装置100の起動前に展開するのを防ぐために、ロータ136(例えば、図7および図9に示されている)の安全保持突起324と係合するためのカットアウトを含む。
【0066】
さらに、上記のように、安全機構108は針開口部156を含む。安全機構108の展開前に、マイクロ針152の移動のための空間を提供するために、針開口部156は、底部囲い104内において、開口部328と少なくとも部分的に重なる。ロックポスト320は針開口部156の前方側の端部に隣接してそれぞれ配置される。底部囲い104はガイドポスト開口部332(例えば、図7および図9に示される)、底部囲い104の双方の側縁部に隣接して配置されている一対の差込タブ開口部336(例えば、図4に1つが示される)、および底部囲い104の双方の側部に配置されている1対のビボットレスト340(例えば、図7および図9に示される)を含む。
【0067】
再び図18を参照すると、差込タブ304は、接続部344および延伸部348をそれぞれ含む。1つの実施形態によれば、接続部344は、安全機構108の内側の底に関して非垂直の角度で、安全機構108の内側の底から注入装置100の後部に向けて延在している。延伸部348は、略垂直に、延伸部348から安全機構108のそれぞれの外側に向けて延在する。安全機構108を底部囲い104に組み付けるために、安全機構108は底部囲い104に関して約45°の角度に保持され、差込タブ304は差込タブ開口部336を通じて差し込まれる。次に、ガイドポスト316がガイドポスト開口部323を通じて挿入され、且つ安全機構108の内側の底が底部囲い104の底面と略平行になり且つ接触するように、安全装置108はある位置に回転される。
【0068】
再び図7および図9を参照すると、これらは起動された位置にあるロータ136を図示しているが、図7および図9の分解された状態は、底部囲い104への安全機構108の組み付けの段階を説明するのに便利である。しかしながら、安全機構108は起動前に底部囲いに組み付けられるべきであることはよく理解される。安全機構108の上向きの回転の後、図4に示されるとおり、ピボットタブ308がピボットレスト340のそれぞれの前端部をクリアし且つピボットレスト340の上方に配置され、ロックポスト320が底部囲い104の開口部328の両側端部に隣接して配置され、且つロータ136の安全保持突起324はガイドポスト316と係合するように、安全機構108は底部囲い104に関して後向きに並進する。
【0069】
図18に戻ると、それぞれのロックポスト320は、安全機構108の内側の底面から略垂直に延在するポスト延伸部352、およびポスト延伸部352の端部に配置されているくさび部356を含む。くさび部356の高さが、安全機構108の内側表面の底に関して増加するほど、くさび部356の幅は増加する。
【0070】
安全機構108が展開し、底部囲い104に関して下方へ回転するとき、くさび部356は開口部180のそれぞれの側端に抗して作用し、ロックポスト192を互いに向かって弾性的に変形させる。安全機構108が完全に展開されると、タブ308はビボットレスト340内に着座する。さらに、くさび部356の頂端部は開口部328の底端部を通り、ロックポスト320は、実質的に変形していない状態にスナップバックして、安全機構108が完全に配置されたことを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供し、したがって、マイクロ針152が覆われる。図15および図16に戻り、いったん安全機構108が完全に展開され、ロックポスト320がほぼ変形していない状態にスナップバックすると、くさび部356の頂端部は、開口部328に隣接する底部囲い104の底面と係合し、それによって、安全機構108が底部囲い104に対して上向きに回転すること、およびマイクロ針152を露出させることを防ぐ。さらに、上記のように、フロントシールド300はマイクロ針152から患者を遮蔽する。
【0071】
したがって、安全機構108は、単一の部分として提供される受動的な安全性の実施形態であり、人間の負荷のもとではつぶれることのない好ましいロックを提供する。この受動安全機構によれば、注入の間、更なる力は皮膚に付加されず、そして、マイクロ針152は、使用後に、注入装置100の中に安全に保持される。
【0072】
注入装置100の使用後、患者は、全ての投与量が送達されたことを確認するために、装置をもう一度調べることができる。この関係で、図19A〜図19Dに示されるように、注入装置100は投薬終了指示器(EDI)124を含む。EDI124は、本体360と、本体360の頂部に関して略水平に延在している第1アーム364および第2アーム340と、を含む。
【0073】
EDI124は、本体360の頂部から上向きに曲がっているばねアーム372も含む。1つの実施形態によれば、ばねアーム372はリザーバーサブアセンブリ120の底側に抗して押し、例えば注入装置100の送達の間および操作の間、EDI124が注入装置100の外へ自由に動かないことを確実にするために、EDI124を底部囲い104へ向けて、弾性的に付勢する。
【0074】
図4に戻ると、本体360はEDIチャネル376に配置されており、その中で略垂直に並進する。EDIチャネルは、プランジャー144の脚部208および足部212を案内する窪んだチャネル204の1つと隣接している。第1アーム364は窪んだチャネル204の頂部に交差して延在している。
【0075】
図19Aに戻ると、垂直押出部380は第2アーム368の端部から上向きにのびている。リザーバー内容物が送達されたとき、垂直押出部は、上部囲い116内のEDI開口部384(例えば、図19Cに示される)を通じて延在して、投与が終了に達したことを伝達する。1つの実施形態によれば、EDI124は一体構造として形成される。
【0076】
図19Bに示されるように、プランジャー144が、起動後の加圧ばね140によって円筒状のハウジング200の中で上向きに動くとき、プランジャー144の足部212の1つはEDI124の第1アームと接触する。足212は、ばねアーム372の付勢に打ち勝って、且つリザーバー内容物の送達の間、垂直押出部380をEDI開口部384を通して次第に延伸させながら、EDI124を上向きに持ち上げる。図10に戻り参照すると、垂直押出部380は注入装置100から部分的に延伸している。いったんリザーバー内容物の送達が完了し、プランジャーがその完全なストロークに達すれば、図19Dに示すように、垂直押出部380は完全に延伸する。このように、EDI124は注入装置100の外側から見えて、それによってリザーバー内容物の送達を伝達するようなEDI124の線形移動を引き起こすために、プランジャー144の線形移動を用いる。
【0077】
図20は注射ポート704を備えた注入装置700の実施形態を示す。空にされていようと、部分的に充填されていようと、患者が起動前に物質または物質の組み合わせをリザーバー内へ注入できるようにするために、注射ポートはリザーバー780へのアクセスを提供する。二者択一的に、製薬メーカーまたは薬剤師が、販売前に、物質または物質の組み合わせで注入装置700を充填するために、注射ポート704を用いることができる。実質的にすべての他の点において、注入装置700は前に述べた注入装置100と類似している。
【0078】
注入装置100の操作を説明する。上述の本発明の実施形態は好ましくは、注入装置100が皮膚表面に配置され且つしっかりと固定され、起動ボタン128を押すことによって、付勢され、および/または起動されるような押しボタン(起動ボタン128)のデザインを含む。より具体的には、最初のステップにおいて、患者は装置を無菌包装(示されていない)から取り外し、接着パッド292のカバー(示されていない)を取り外す。患者は針カバー112も取り外す。包装からの注入装置100の取り外し後かつ使用前に(例えば、図1、図2、図4および図5に示す)、起動前状態の注入装置100は、患者による装置およびそのなかの内容物の検査を可能にする。そのような検査は、紛失しているか、傷んだ内容物、有効期限(期間)、かすんだか変色した薬など、のための検査を含んでいる。
【0079】
次のステップは、患者の皮膚表面への注入装置100の配置および適用である。医薬パッチと同様に、患者は皮膚の上に注入装置100をしっかりと押しつける。接着パッド292の1つの側面は、底部囲い104の底面、および安全機構108の底面に接着する。接着パッド292の反対側の側面は患者の皮膚に注入装置100を固定する。これらの底面(底部囲い104および安全機構108の)は平坦、曲面、または任意の適当な形状に成形されることができ、接着パッド292はその上に固定される。1つの実施形態によれば、出荷前に、接着パッド292のフィルムのようなカバーは、出荷中に接着剤を保存するために接着パッド292の患者側に適用される。上記のように、使用前、患者は接着カバーをはぎ取る。それによって、皮膚に対して配置するために接着パッド292を露出させる。
【0080】
接着カバーを取り外した後、患者は、皮膚に接触して注入装置100を配置することができ、適した接着を確実にするために押しつけることができる。上記のように、適切に配置されれば、装置は起動ボタン128を押すことによって起動される。この起動ステップはプランジャー144および加圧ばね140を解放し、プランジャー144がリザーバー160の可撓性のフィルム(リザーバードームシール164)を押すことを可能にし、それによって、リザーバーを加圧する。この起動ステップはまた、ロータ136の駆動ばねホルダー288から駆動ばね148を解放するように作用し、それによって、注入装置100の外側へ(底部囲い104の開口部328、および安全機構108の針開口部156を通じて)マイクロ針152を延伸させ且つ患者内にマイクロ針152を着座させるために、マイクロ針152を駆動する。さらに、起動ステップは、バルブ168を開き、リザーバー160とマイクロ針152との間にチャネルアーム172を経由した(例えば、図8〜図10に示される)流体連通路を確立する。重要な利点は、1回の押しボタンの操作にてこれらの動作のそれぞれを達成する能力から派生する。さらに、もう1つの重要な利点は、リザーバーサブアセンブリ120内に完全に含まれている連続的な流体連通路の使用を含む。
【0081】
いったん起動されると、リザーバー内容物の送達を完了するためにいくらかの期間(例えば、10分から72時間)にわたり、患者は注入装置100を概して定位置に置いたままにするか、または装置を装着する。患者はそれから下部の皮膚や組織の損傷なしに、装置を取り外し廃棄する。故意かまたは偶然の取外し時、露出したマイクロ針152を遮蔽するために、1つまたはそれ以上の安全機能が展開する。より具体的には、注入装置100が患者によって皮膚から取り外されたとき、接着パッド292が注入装置100から安全機構108を展開するために作動し、それによって、マイクロ針152を遮蔽する。さもなければ、マイクロ針152は患者からの注入装置100の移動で露出される。安全機構108が完全に延伸しているとき、安全機構108は所定の位置でロックし、偶然の損傷またはマイクロ針152への露出を防止する。しかしながら、安全機能は、もし起動ボタン128が押されなかったり、マイクロ針152がのびなければ、展開されないように構成されることができる。それによって、使用前の安全機構の展開を防止する。使用後、患者は、全ての服用量が送達されたことを確認するために、もう一度装置を検査することができる。例えば、患者は透明なドーム176を通してリザーバーの内側を見ることができ、および/またはEDI124を検査することができる。
【0082】
説明した実施形態は薬剤および医薬品を含んでいるさまざまな物質の患者へ、特に人間の患者へ投与するときに使用するために適している。ここに使用されるように、医薬品は、生理活性を有する物質を含む。それは、身体の膜組織および表面、特に皮膚を通じて届けられることができる。より詳細に以下に列挙されている例には次のようなものを含む。抗生物質、抗ウイルス薬、鎮痛剤、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎剤、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、DNAワクチンを含むワクチン剤など。患者の皮内にまたは皮下に届けられることができる他の物質は、ヒト成長ホルモン、インシュリン、プロテイン、ペプチド、およびその断片を含む。プロテインおよびペプチドは、自然に生じるか、合成されるか、または組み替えて製造されることができる。さらに、装置は、樹状細胞の皮内注入の間に用いられるように、細胞治療に用いられることができる。さらに、本発明の方法に従って届けられる物質は薬、ワクチンおよびこれらに類するものであって、予防、診断、緩和、処置、病気の治療に使用されるものから構成されるグループから選択されることができる。そして、それは以下のようなものを含む。α1アンチトリプシン、抗血管新生薬(Anti−Angiogenesis agents)、アンチセンス(Antisense)、ブトルファノール、カルシトニンおよび類似体、セラベース(Ceredase)、COX−II抑制剤(COX−II inhibitors)、外皮用剤、ジヒドロエルゴタミン、ドーパミン作用薬および拮抗薬、エンケファリンおよび他のオピオイドペプチド、表皮成長因子(Epidermal growth factors)、エリスロポエチンおよび類似体、卵胞刺激ホルモン、G−CSF、グルカゴン、GM−CSF、グラニセトロン、成長ホルモンおよび類似体(ホルモンを放出する成長ホルモンを含む)、成長ホルモン拮抗薬(Growth hormone antagonists)、ヒルジンおよびヒルログのようなヒルジン類似体、IgE抑制因子、インシュリン、インシュリノトロピン(insulinotropin)および類似体、インシュリン類似の成長因子、インターフェロン、インターロイキン、黄体形成ホルモン、ホルモンおよび類似体を放出する黄体形成ホルモン、低分子量ヘパリン、M−CSF、メトクロプラミド、ミダゾラム、モノクローナル抗体、麻薬性鎮痛薬、ニコチン、非ステロイド性抗炎症剤、オリゴ糖、オンダンセトロン、副甲状腺ホルモンおよび類似体、副甲状腺ホルモン拮抗薬(Parathyroid hormone antagonists)、プロスタグランジン拮抗薬、プロスタグランジン、組換成長ホルモン受容体(Recombinant soluble receptors)、スコポラミン、セロトニン作用薬(Serotonin agonists)および拮抗薬、シルデナフィル、テルブタリン、血栓溶解薬、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍壊死因子および腫瘍壊死因子拮抗薬(TNF--antagonist)、担体/補助剤(adjuvant)を伴うまたはなしの予防薬および治療用抗原(therapeutic antigens)を含むワクチン(以下のものを含むが、これに限定されない。サブユニットたんぱく質、ペプチドおよび多糖類、多糖複合体、トキソイド、遺伝子に基づくワクチン(genetic based vaccines)、弱毒化された生の、再集合体の、不活化の、ホールセルの、ウイルス性のおよび細菌性のベクター)であって以下に関連するもの:中毒、関節炎、コレラ、コカイン中毒、ジフテリア、破傷風、HIB、ライム病、髄膜炎菌、はしか、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、黄熱、呼吸器合抱体ウイルス、ダニ媒介の日本脳炎、脳炎球菌、連鎖球菌、チフス、インフルエンザ、A型、B型、C型、およびE型肺炎を含む肺炎、中耳炎、狂犬病、ポリオ、HIV、パラインフルエンザ(parainfluenza)、ロタウイルス、エプスタイン-バーウイルス、CMV、クラミジア、型別されていないヘモフィルス属、モラクセラカタラーリス、ヒトパピローマウイルス、BCGを含む結核、淋病、喘息、アテローム性動脈硬化マラリア(atheroschlerosis malaria)、大腸菌、アルツハイマー病、ヘリコバクターピロリ菌、サルモネラ菌、糖尿病、がん、単純疱疹、ヒトパピローマ。本発明の方法によって届けられる物質はさらに、以下の主要な治療薬、すなわち、風邪のための薬剤、抗中毒、抗アレルギー、鎮吐剤、抗肥満、抗骨粗鬆症(antiosteoporeteic)、抗感染薬、鎮痛薬、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗うつ病薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗片偏頭痛調剤薬(antimigraine preparations)、乗物酔治療調剤薬(antimotion sickness preparations)、制嘔吐薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、かゆみ止め薬、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン作用薬、ベンゾジアゼピン拮抗薬、全身、心臓、末梢および脳を含む血管拡張剤、骨刺激剤、中枢神経系刺激薬、ホルモン剤、睡眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感神経抑制薬、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン、たんぱく質、ペプチド、ポリペプチドおよび他の高分子、精神刺激剤、鎮静剤、性的機能低下症および精神安定剤、および例えばツベルクリンなどの主要な診断薬、および他の過敏症薬を含む他の類似の物質であって、全ての内容が引用によって本明細書に明確に取り入れられる「皮内に物質を注入する方法」と題された特許文献1にて説明されているものを含む。
【0083】
本発明のシステムおよび方法に従って、届けられることができるワクチン製剤は、ヒトの病原体に対して免疫反応を引き出すことができる抗原または抗原組成物からなるグループから選択されることができる。そのような抗原または抗原組成物は、HIV-1(例えば、tat、nef、gp120またはgp160など)、ヒトヘルペスウイルス(HSV)(例えば、gDもしくはその誘導体、またはHSV1もしくはHSV2から得られるICP27などの前初期たんぱく質など)、サイトメガロウイルス(CMV(特に、ヒトのウイルス)(例えば、gBまたはその誘導体など)、ロタウイルス(弱毒化生ウイルスを含む)、エプスタイン・バーウイルス(例えば、gp350またはその誘導体)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV、例えば、gpI、gpII、およびIE63など)由来のもの、または、B型肺炎ウイルス(例えば、B型肺炎表面抗原またはその誘導体)、A型肺炎ウイルス(HAV)、C型肺炎ウイルス、およびE型肺炎ウイルスなどのような肺炎ウイルス由来のもの、または他のウイルス性の病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合抱体ウイルス(RSV、例えば、Fたんぱく質およびGたんぱく質、もしくはその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、はしかウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV、例えば、HPV6、11、16、18)、フラビウイルス(例えば、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介の脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルス(全体が活性化または不活性のウイルス、スプリットインフルエンザウイルス、卵またはMDCK細胞で増殖させたもの、またはwhole flu virosomes、あるいは、例えば、HA、NP、NA、またはMたんぱく質、またはその組み合わせなどの、精製した、もしくは組み換えたたんぱく質)、または、細菌性の病原体、例えば、淋菌および髄膜炎菌(例えば、莢膜多糖類およびその複合体、トランスフェリン結合たんぱく質、ラクトフェリン結合たんぱく質、PilC、アドへシンなど)を含むナイセリア属;化膿連鎖球菌(例えば、Mたんぱく質もしくはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、ストレプトコッカス・アガラクチア、ミュータンス菌;軟性下疳菌;カタル球菌としても知られているカタラリス菌(例えば、高分子量及び低分子量のアドへシンおよびインベイシン)を含むモラクセラ属;百日咳菌(例えば、パータクチン、百日咳毒素もしくはその誘導体、線維状赤血球凝集素、アデニル酸シクラーゼ、線毛)、パラ百日咳菌、および気管支敗血症菌を含むボルデテラ属;結核菌(例えば、ESAT6、抗原85A、-Bもしくは-C)、マイコバクテリウム・ボビス、らい菌、マイコバクテリウム・アビウム、ヨーネ菌、マイコバクテリウム・スメグマチスを含むマイコバクテリウム属;レジオネラ・ニューモフィラを含むレジオネラ属;腸管毒性大腸菌(例えば、定着因子、熱不安定性毒素もしくはその誘導体、熱安定性毒素もしくはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌(例えば、志賀毒素のような毒素もしくはその誘導体)を含む大腸菌属;コレラ菌(例えば、コレラ毒素もしくはその誘導体)を含むビブリオ属;ソンネ赤痢菌、志賀赤痢菌、フレキシネル赤痢菌を含むシゲラ属;エンテロコリチカ菌(例えば、Yopたんぱく質)、ペスト菌、仮性結核菌を含むエルシニア属;カンピロバクター・ジェジュニ(例えば、毒素、アドへシンおよびインベイシン)、およびカンピロバクター・コリを含むカンピロバクター属;チフス菌、パラチフス菌、ブタコレラ菌、腸炎菌を含むサルモネラ属;リステリア菌を含むリステリア属;ヘリコバクターピロリ菌(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素)含むヘリコバクター属;緑膿菌を含むシュードモナス属;黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を含むブドウ球菌属;フェカリス菌、フェシウム菌を含むエンテロコッカス属;破傷風菌(例えば、破傷風毒素およびその誘導体)、ボツリヌム菌(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ディフィシル(例えば、クロストリジウム素AもしくはBおよびその誘導体)を含むクロストリジウム属;炭疽菌(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むバチルス属;ジフテリア菌(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)を含むコリネバクテリウム属;ボレリア・ブルグドルフェリ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、ボレリア・ガリニ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、ボレリア・アフゼリ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、B. andersonii(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、B. Hermsiiを含むボレリア属;ウマエーリキア症原因菌、およびヒト顆粒球エーリキア症の原因菌を含むエーリキア属;リケッチア・リケッチイを含むリケッチア属;トラコーマ病原体(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、肺炎クラミジア(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、オウム病クラミジアを含むクラミジア属;レプトスピラ・インタロガンスを含むレプトスピラ属;梅毒トレポネーマ(例えば、珍しい外膜たんぱく質)、トレポネーマ・デンティコラ、トレポネーマ・ヒオジセンテリエを含むトレポネーマ属;または寄生虫に由来するもので、寄生虫は例えば、熱帯熱マラリア原虫を含むマラリア原虫属;トキソプラズマ原虫(例えば、SAG2, SAG3, Tg34)を含むトキソプラズマ属;赤痢アメーバを含むエントアメーバ属;ネズミバベシアを含むバベシア属;クルーズトリパノソーマを含むトリパノソーマ属;ランブル鞭毛虫を含むジアルジア属;大形リーシュマニアを含むリーシュマニア属;ニューモシスチス・カリニを含むニューモシスチス属;膣トリコモナスを含むトリコモナス属:マンソン住血吸虫を含む住血吸虫属;または、酵母由来のもので、例えば、カンジダアルビカンスを含むカンジダ属;クリプトコッカス・ネオフォルマンスを含むクリプトコックス属。これらの物質は「ワクチンの送達システム」と題された特許文献2に説明されており、その全ての内容は引用することによって本明細書に明確に取り入れられる。
【0084】
これらは結核菌のための他の好ましい特異抗原、例えば、Tb Ral2, Tb H9, Tb Ra35, Tb38-1, Erd 14, DPV, MTI, MSL, mTTC2 および hTCC1をも含む。結核菌のためのたんぱく質はまた、融合たんぱくおよびその変異体であって少なくとも2つの、好ましくは3つの結核菌のポリペプチドより大きいたんぱく質の中に融合されているものを含む。好ましい融合体はRa12-TbH9-Ra35, Erd14-DPV-MTI, DPV-MTI-MSL, Erdl4-DPV-MTI-MSL-mTCC2, Erdl4-DPV-MTI-MSL, DPV-MTI- MSL-mTCC2, TbH9-DPV-MTIを含む。クラミジアのための最も好ましい抗原は、例えば、高分子たんぱく質(HWMP)、ORF3、および推定上の膜たんぱく質(Pmps)を含む。好ましい細菌ワクチンは連鎖球菌属に由来する抗原を含む。そのような連鎖球菌は、肺炎球菌(例えば、莢膜多糖体および複合体、PsaA、PspA、ストレプトトリジン、コリン結合たんぱく質)およびたんぱく質抗原ニューモリシン(非特許文献1;非特許文献2)、およびそれの変異体が無毒化された誘導体を含む。他の好ましい細菌ワクチンはヘモフィルス属に由来する抗原を含む。そのようなヘモフィルス属はヘモフィルス-インフルエンザB型菌(「Hib」、例えば、PRPおよびその複合体)、型別されていないヘモフィルス-インフルエンザ菌、例えば、OMP26、高分子量アドへシン、P5、P6、たんぱく質Dおよびリポたんぱく質D、およびフィンブリンおよびフィンブリン由来のペプチドまたは多重複製変異体またはその融合たんぱく質を含む。B型肝炎表面抗原の誘導体は、当業者によく知られており、特にPreS1抗原、PreS2抗原のS抗原を含む。1つの好ましい態様において、本発明のワクチン製剤は、HIV-1抗原であるgp120、特に、CHO細胞にて発現されたものを含む。さらなる別の実施形態において、本発明のワクチン製剤は、上記に明らかにされたようにgD2tを含む。
【0085】
上記の物質の送達に加えて、注入装置100は患者から物質の引抜き、または患者の物質のレベルの監視のために使用されることもできる。監視されるか引抜かれる物質の例は、血、組織液または血漿を含む。引抜かれた物質はそれから、分析物、ブドウ糖、薬物のために解析されることができる。
【0086】
本発明の少しの模範的な実施形態だけは詳細に上記で説明されたが、模範的な実施形態において、新しい教示およびこの発明の利点から大きく離れることなしに、多くの変更が可能であることが、当業者は容易にわかるであろう。よって、全てのそのような変更は、添付した特許請求の範囲およびその同等物に含まれることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して物質送達装置に関する。本発明の物質送達装置は、患者の利便性および使いやすさを改良し、起動および安全機構を改良している。本発明は概して、パッチのような、内蔵型の物質注入または自己注射装置にも関する。これらは、さまざまな物質および薬剤を患者に送達するために使用されることができる。より具体的には、本発明は、起動ロックを有するパッチのような注入または自己注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人々、例えば、糖尿病のような状態に苦しんでいる人々は、彼らの血糖値の厳密な制御を維持するために、毎日のインシュリン注入のような何らかの注入療法を使用する。現在、インシュリン注入処置例として、毎日のインシュリン治療の主要な方法が2つある。第1の方法は注射器およびインシュリンペンを含む。これらの装置は使いやすく、比較的費用が安いが、各々の注射において一般的に1日につき3〜4回の穿刺を必要とする。第2の方法は注入ポンプ療法を含む。注入ポンプ療法は、高価なポンプの購入を必要とする。ポンプは約3年間もつ。高いコスト(大体注射療法の毎日のコストの8〜10倍)、およびポンプの限られた寿命は、このタイプの治療への高い障壁である。インシュリンポンプは、相対的に古い技術でもあり、使用するのに扱いにくい。ライフスタイルの観点から、さらに、ポンプを患者の腹部の送達位置につなぐ管類(「注入セット」として知られている)はとても使いににくく、ポンプは相対的に重い。ポンプを運ぶことは重荷となる。しかしながら、患者の観点から、ポンプを使用したことがある患者の圧倒的な大多数は、彼らの余命にわたってポンプを残すことを好む。これは、注射器およびペンよりもより複雑だけれども、インシュリンの連続的な注入、正確な投薬、および送達スケジュールをプログラム化できる、という利点を提供するからである。これは厳格な血糖値の制御および健康の感覚が改良されるという結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6569143号明細書
【特許文献2】国際公開第02/083214号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Biochem Biophys Acta」1989年発行第67巻1007頁
【非特許文献2】Rubinsらによる、「Microbial Pathogenesis」 第25巻337-342頁
【発明の概要】
【0005】
よりよい治療に関心が高まっている。そしてそれは、ポンプ治療の実際の増加および毎日の注射の数の増加を示している。これおよび同等の注入の例において、増加する関心に十分に合うように必要とされることは、毎日の注射治療の最適な特徴(低コストであり使い易い)をインシュリンポンプの最適な特徴(連続的な注入および正確な投薬)とむすびつけ、またそれぞれの不利な点を避けるようなインシュリン送達または注入の方法である。
【0006】
低コストで使い易い歩行用または「着用可能な」薬剤注入装置を提供するために、いくつかの試みがなされてきている。これらの装置のいくつかは、部分的または全体的に使い捨てできるようになっている。論理的には、このタイプの装置は付随コストおよび不便さなく、注入ポンプの多くの利点を提供できる。しかしながら、残念なことに、これらの装置の多くは、患者の不快感(使われている注射器針のゲージおよび長さを原因とする)、送達される物質と注入装置の中で使用される材料との適合性および相互作用、患者によって適切に起動させられないときに起こりうる機能不全(例えば、装置の早すぎる起動に起因する「ウェットな」注射)、を含む不利益をこうむっている。製造及び針の侵入する深さの制御もまた、特に短いおよび/または細いゲージの注射器が使用される場合に困難となっている。使用した装置と接触する人々に対する穿刺の傷害の可能性も問題である。
【0007】
それに応じて、現在の注入装置に代わるものであって、インシュリンおよび非インシュリンへの適用のために、製造や使用の改良における単純さをさらに提供しうるインシュリン用注入ポンプなどの必要性が存在している。
【0008】
本発明の態様は、要求される物質の注入を提供し、1つかそれ以上のマイクロ針を使用することによる最小限の不快をもたらしながら、皮膚に便利に装着することが可能な、パッチ類似の注入装置または自己注射装置を提供しようとするものである。本発明のさらなる態様は、起動しているかどうかを患者が簡単に判断することができるような注入装置または自己注射装置を提供しようとするものである。
【0009】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中へまたは皮膚を通じて注射することによって患者の体に薬剤を送達するための装置を提供することによって達成される。装置は本体を含む。本体は、ボタンガイドラッチを含む上面を有する底部囲い、薬剤を収容するために本体の中に配置されているリザーバー、および患者の皮膚に入るための注射針を有する。針は管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する。装置は装置が起動されたときにリザーバーを加圧する加圧システム、および本体に移動可能に配置され、起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンを含んでいる。起動ボタンは起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動くとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチに係合して、起動ボタンの復帰動作を防止する。
【0010】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中へまたは皮膚を通じて、注射することによって、患者の体の中へ薬剤を送達するための装置を提供することによっても達成される。装置は、上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはガイド面と保持面とを有するボタンガイドラッチを含む上面を有する本体を含む。装置はまた、本体の中に配置され薬剤を収容するためにチャンバを形成しているリザーバーと、患者の皮膚に入るための注射針と、を含む。針は管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する。装置は、装置が起動したときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、本体の中に移動可能に配置され、起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンをさらに含む。起動ボタンは、カットアウトと、ベアリング面およびロック面があるロック部と、を備える起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動いたとき、ベアリング面は、ガイド面の端部に到達するまで、起動アームおよびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させながら、ボタンガイドラッチのガイド面に接触し且つガイド面に沿ってスライドする。さらに、起動ボタンが起動前位置から起動された位置に動くとき、カットアウトは起動アームがガイド面の端部を通過し、起動ボタンの復帰動作を防ぐために、ロック面がボタンガイドラッチの保持面に係合することを許容する。
【0011】
本発明の上述のおよび/または他の態様は、患者の皮膚の中にまたは皮膚を通じて、薬剤を送達するための装置を提供することによっても達成される。装置は、上部囲いと底部囲いとを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む上面を有する本体を含む。装置は、薬剤を収容するために本体の中に配置されるリザーバーと、患者の皮膚に入るための注射針と、も含む。針は管腔を有し、リザーバーと選択的に連通する。装置はリザーバーを加圧するための加圧システムと、本体の中に移動できるように配置され、起動前位置から起動された位置へ移動できる起動ボタンと、をさらに含む。起動ボタンは起動アームを含む。起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動いたとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチと係合し、起動ボタンの復帰動作を防止する。起動前位置から起動された位置への起動ボタンの動きは、患者の皮膚に入るために注射針を動かすこと、リザーバーを加圧すること、およびリザーバーと患者の針との間の流体連通を確立すること、からなるグループから選択された少なくとも1つを実現する。
【0012】
本発明のさらなるおよび/または他の態様および有利な点は、以下の説明で一部が説明されるだろう、そして、一部は説明から自明になるだろうし、または本発明の実施によって知得されるだろう。
【0013】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様および有利な点は、添付図とともに捉えることで以下の詳細な説明から容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】起動される前の起動前状態にあるパッチのような注入または自己注射装置の1つの実施形態の透視図を示す。
【図2】起動前状態にある図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図3】起動前状態にある図1の注入装置の部分分解図を示す。より詳細に見せるために起動ボタンは離間側に旋回している。
【図4】起動前状態にある図1の注入装置のより完全な分解図を示す。
【図5】起動前状態にある図1の注入装置の断面図を示す。
【図6】起動前状態にある図1の注入装置の断面図を示す。起動ボタンは離間側に旋回している。
【図7】安全機構の設置の間における図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図8】起動後の図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図9】起動後の図1の注入装置のより完全な分解図を示す。
【図10】起動後の図1の注入装置の断面図を示す。
【図11A】図1の注入装置の起動ボタンの起動アームの実施形態を示す。
【図11B】図1の注入装置の起動ボタンの起動アームの実施形態を示す。
【図12】図1の注入装置のボタンガイドラッチを示す。
【図13A】図1の注入装置の起動前後の起動アームと、ボタンガイドラッチとの間の相互作用をそれぞれ示す。
【図13B】図1の注入装置の起動前後の起動アームと、ボタンガイドラッチとの間の相互作用をそれぞれ示す。
【図14A】図1の注入装置の起動前後のボタンガイドラッチの他の実施形態をそれぞれ示す。
【図14B】図1の注入装置の起動前後のボタンガイドラッチの他の実施形態をそれぞれ示す。
【図15】安全機構の展開後の図1の注入装置の部分分解図を示す。
【図16】安全機構の展開後の図1の注入装置の断面図を示す。
【図17】安全機構の底面を示す。
【図18】安全機構の構造をさらに示す。
【図19A】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19B】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19C】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図19D】図1の注入装置における投薬終了指示器およびその動作を示す。
【図20】注入ポートを有する注入装置の1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に関して詳細に説明する。その例は、添付図に示されている。そして、そこで、参照数字は同様な要素について言及する。説明される実施形態は図面を参照することによって本発明を例示する。
【0016】
以下に説明される本発明の実施形態は、便利なパッチのような注入または自己注射装置100として使用されることができる。それは、液体の薬や薬剤のような物質の予め測定された投薬をある期間にわたってまたは一度に患者に送達する。装置は予め満たされた状態で最終使用者に好ましくは提供される。つまり、薬や薬剤は既に装置の容器に入れた状態である。ここに説明されるパッチのような注入または自己注射装置100(例えば、図1に示されている)は、患者におよび/または介護者によって用いられうるが、装置の使用者は下文に「患者」として便宜上示される。加えて、便宜上、「垂直」、「水平」、および「上」、「下」のような用語は、水平面上に配置された注入装置100に関して相対的な方向を表すものとして使用する。しかしながら、注入装置100はそのような配向に限定されず、注入装置100はどんな配向においても使用されことが理解されるであろう。さらに、本発明を具体化する装置を説明するための「注入装置」および「自己注射装置」という用語のいずれかの使用は、限定する意図を目的としない。自己注射機能を持っていない注入装置は本発明の範囲内にある。連続的な注入を実行することができない自己注射装置も同様である。便宜上、しかし制限するためではなく、「注入装置」という用語は以下の説明にて使用される。
【0017】
図1のパッチのような注入装置100は内蔵型であり、注入装置100の底面に配置された接着物によって患者の皮膚表面に付着される(後で更に詳しく記述されるように)。患者によって適切に配置されて起動されると、装置の中にある可撓性リザーバーの開放ばねの圧力は、針マニホルドを通して1つかそれ以上の患者針(例えば、マイクロ針)からリザーバーの内容物を空にするために使用される。リザーバーの中の物質は、皮膚の中へ打ち込まれるマイクロ針によって患者の皮膚を通して送達される。他の実施形態が可能であることは理解されるだろう。その実施形態において、ばねは異なる種類の蓄積エネルギー装置に置き換えられ、蓄積エネルギー装置は、機械、電気および/または化学物質の態様であるかもしれない。
【0018】
当業者によって十分理解されるように、ここに開示されるパッチのような注入装置100を構成および使用する方法が、多数ある。図面および以下の記述に示される実施形態が参照されるが、ここに開示される実施形態は開示される発明の様々な代替のデザインの全てを示すものではない。開示された実施形態のそれぞれにおいて、装置は注入装置と呼ばれる。しかし、装置は、典型的な注入装置によって一般的に達成されるよりも、とても速い割合にて薬物を注入(急速投与)しうる。例えば、内容物は数秒ぐらいの短い期間または数日ぐらいの長い期間に投与されることができる。
【0019】
装置の実施形態において、パッチのような注入装置100のプッシュボタンのデザインが示される。そこにおいて、その起動、および装置の付勢は単一の多機能/ステップのプロセスにて達成される。図1は起動前状態の注入装置100の組み立てられた実施形態を示す。図2から図6は起動前状態にある注入装置100の部分分解図および断面図を示す。図7は安全機構の設置の間における注入装置100の部分分解図を示す。図8から図10は起動後の注入装置100の分解図および断面図を示す。図15および図16は安全機構の展開後の注入装置100の分解図および断面図を示す。注入装置100は、起動前状態(例えば、図1、図2および図5に示される)、起動または発射した状態(例えば、図8から図10に示される)、および格納されたまたは安全な状態(例えば、図15または図16に示される)の間で動作するように設定される。
【0020】
図1に示されているように、パッチのような注入装置100の1つの実施形態は、底部囲い104、安全機構108、可撓性の針カバー112、上部囲い116、リザーバーサブアセンブリ120、投薬終了指示器(EDI)124、および起動ボタン128を含む。起動ボタン128は患者のインターフェース面132を含む。さらに、図2から図6に示されるように、注入装置100は、ロータまたは作動リング136、加圧ばね140、ドームのような金属プランジャー144、および駆動ばね148も含む。
【0021】
可撓性の針カバー112は、少なくとも1つの針152(後で更に詳細に記述される)を保護すること、および無菌バリアを提供することによって、患者および装置に安全を提供する。針カバー112は、装置製造の間、針152を保護し、使用前の患者を保護し、除去の前のいかなる時点においても無菌バリアを提供する。1つの実施形態によれば、針カバー112は締まりばめによって針マニホルドに付けられる。針マニホルドには、少なくとも1つの針152が配置される。さらに、1つの実施形態によれば、安全機構108の針開口部156(後で更に詳細に記述される)は針カバー112の周辺にしっかりと一致して成形される。
【0022】
例えば、図2から図6に示されているように、リザーバーサブアセンブリ120は、リザーバー160、リザーバードームシール164、バルブ168、少なくとも1つの針152、および少なくとも1つのチャネルアーム172(図8参照)を含む。チャネルアーム172はバルブ168と針152との間に配置され、その間の流れの経路をつくりだしている。リザーバー160はドーム176を含む。さらに、リザーバーサブアセンブリ120は、少なくとも1つの針を選択的に覆うために、取り外し可能な針カバー112を含む。1つの実施形態によれば、リザーバーサブアセンブリ120は、リザーバーアームシール180もまた含む。リザーバーアームシール180は、チャネルアーム172を覆う。好ましくは、針152は針マニホルドおよび複数のマイクロ針152を含む。
【0023】
リザーバーサブアセンブリ120のリザーバードームシール(可撓性のフィルム)164が、例えば図5に示されるように、プランジャー144とドーム176との間に配置されている。注入装置100のためのリザーバー内容物(例えば、薬剤の材料)はリザーバードームシール164とドーム176との間の空間に配置される。リザーバードームシール164、ドーム176、およびこれらの間の空間の組み合わせは、リサーバー160を画定する。ドーム176は、リザーバー内容物を見ることを可能にするために、好ましくは透明である。リザーバードームシール164は、金属で覆われたフィルムまたは他の類似した物質のような非膨張性の材料またはラミネートによって作られることができる。例えば、リザーバードームシール164の中で使用されることができる可撓性のラミネートフィルムは、第1ポリエチレン層と、当業者に知られているように第3金属層に付着機構を提供する第2化学層と、バリア特性に基づいて選択された第3金属層と、ポリエステルおよび/またはナイロンを含む第4層と、を含む。剛性の部分(例えば、ドーム176)と合わせて、金属で覆われたフィルムまたは金属化されたフィルムを利用することによって、リサーバーのバリア特性は改良される。それによって、リザーバーの中に入っている内容物の貯蔵寿命は増加するか改良される。例えば、リザーバーの内容物がインシュリンを含んでいる場合には、リサーバー160内での接触部分の主な材料は、直鎖状、低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、環状オレフィン共重合体(COC)、およびテフロン(登録商標)を含む。後で更に詳しく説明されるように、リザーバー内容物の残余の流路内の主な接触部分の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)、医療グレードのアクリル、ステンレス鋼、および針接着剤(例えば、赤外線硬化接着剤)並びにCOCおよびLLDPEを、含んでもよい。リザーバー160の内容物と長期にわたり接触しているそのような材料は、ISO10−993および他の当てはまる生体適合性テストを好ましくは通過する。
【0024】
リザーバーサブアセンブリ120はさらに好ましくは、内容物への有害な作用なしに相応の制御された環境において、リザーバーの内容物の規定の貯蔵寿命にわたり貯蔵されることができる。リザーバーサブアセンブリ120は様々な環境状況において適用できる。さらに、リザーバーサブアセンブリ120の構成要素によって提供されたバリアは、所望の貯蔵寿命と適合するために許容できるものより大きい割合での、ガス、液体および/または固体材料の内容物の中または外への移動を許容しない。上記の実施形態において、リザーバーの材料は、華氏およそ34度から120度の範囲の温度にて貯蔵され且つ操作されることができる。リザーバーの材料は2年以上の貯蔵寿命を持つことができる。
【0025】
安定要件を満たすことに加えて、リザーバーサブアセンブリ120は、リークなしに20分間、30psiのサンプルを保持するような任意の回数のリークテストを成功裡に通過することによって、操作をさらに保証することができる。リザーバーの構造に起因する充填、貯蔵、および送達上の追加の利益は、後でさらに詳しく説明されるように、最小にされたヘッドスペースおよび適応性を含む。
【0026】
1つの実施形態において、リザーバー160は充填前に空にされる。リザーバー160を充填する前に空にして、ドーム176にわずかなくぼみだけを持たせることによって、リザーバー160内のヘッドスペースおよび過剰な無駄(waste)を最小限にすることができる。さらに、リザーバーの形状は使用される付勢機構の種類(例えば、加圧ばね140およびプランジャー144)に適合するように構成されることができる。さらに、空の可撓性のリザーバー160を充填する間使用することは、充填されたリザーバー160内のどんな空気または泡をも最小にする。注入装置100が外圧または温度の変化を受けるときに、可撓性のリザーバー160を使用することはとても有益でもある。外圧または温度の変化は、内部のリザーバー圧の増加を導きうるからである。そのような場合、可撓性のリザーバー160は、リザーバー内容物とともに、拡大し、収縮する。それによって、拡大の力および収縮の力を原因として起こりうるリークを防止する。
【0027】
さらにもう1つのリザーバー160の特徴は、充填時や患者による使用時において、自動化された微粒子検査を可能にする能力を含む。ドーム176のような、1つまたはそれ以上のリザーバーバリアは、透光性かつ透明な材料で成型されることができる。透光性かつ透明なプラスチック材料は、リザーバー内に収容される物質の確認を可能にする。透光性かつ透明なプラスチック材料は好ましくは環状オレフィン共重合体である。環状オレフィン共重合体は、高い透光性と透明性、低い抽出可能性、およびリザーバー160内に収容される物質との生体適合性によって特徴づけられる。適当な材料は「BD CCP Resin」という指定のもとでケンタッキー州ルイビルのZeon Chemicals, L.P.社から入手できる。適当な材料は米国食品医薬品局およびDMFのNO.16368によって列挙されている。このような適用において、レザーバー160では、検査を妨げうるような特徴が最小限になる(すなわち、検査の間の回転は許容される)。
【0028】
チャネルアーム172は、バルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152へのびる少なくとも1つの可撓性の弓状アームの形で設けられる。弓状アームはその中に形成される溝174(図2参照)を有する。バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間に流体路を設けるために、レザーバーアームシール180は溝174を覆う。リザーバー160とマイクロ針152との間の流体路(チャネルアーム172に配置されている‐例えば図8に示される)は、リザーバー160のために上述されたそれらと類似か同一の材料で構成される。例えば、チャネルアーム172はドーム160と同じ材料で構成されてもよい。リザーバーアームシール180はリザーバードームシール164と同じ材料で構成されてもよい。1つの実施形態によれば、両方のチャネルアーム172は、バルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体路として使用される。他の実施形態によれば、チャネルアーム172の1つだけが流体路として使用され、残りのチャネルアーム172は構造的な支持を提供する。このような実施形態において、溝174は流体路として使用されるチャネルアーム174のみにおいて、バルブ168から針マニホルドまたはマイクロ針152までの全体にわたって延在する。
【0029】
チャネルアーム172は、起動の力に耐えるために十分にしなやかでなければならない。図2および図8におけるチャネルアーム172の配置を対照とし、マイクロ針152が患者の皮膚に打ち込まれる時に、チャネルアーム172(図2においてはリザーバーアームシール180によって覆われ、そして、それは図8においては明確にするためにはずされている)は弾性的に変形する(後で更に詳しく記述される)。このような変形の間、チャネルアーム172はバルブ168と針マニホルドまたはマイクロ針152との間の流体路の完全性を維持しなければならない。さらに、チャネルアーム172のための材料は多数の生体適合性および貯蔵テストを満たす。例えば、以下の表1に示されるように、注入装置の内容物がインスリンを含む場合には、リザーバー160内の主な接触部分の材料は、直鎖状、低密度ポリエチレン、環状オレフィン共重合体、およびテフロン(登録商標)を含み、透光性かつ透明なプラスチックを含むこともできる。リザーバー160と針マニホルドのマイクロ針152との間にある残余の流路(チャネル62)内の主な接触部分の材料は、COCおよび/または医療グレードのアクリル、LLDPE、TPEおよびステンレス鋼、ならびに針接着剤を含む。
【0030】
【表1】
【0031】
より具体的には、マイクロ針152はステンレス鋼から構成されることができる。針マニホルドはポリエチレンおよび/または医療グレードのアクリルから構成されることができる。このような材料は、リザーバーの内容物と長期にわたり接触する場合に、好ましくはISO10−993生体適合性テストを通過する。
【0032】
バルブ168はリサーバー160とチャネルアーム172との間に配置され、リザーバー160とチャネルアーム172との間の流体の流れを選択的に許容および制御する。バルブ168は起動前位置(例えば、図2、図3、および図6に示される)と起動の位置(例えば、図8〜10に示される)の間を移動する。起動の位置にあるとき、バルブはリザーバー160とチャネルアーム172との間の、又それゆえに針マニホルドおよびマイクロ針152への、流体の流れを許容する。
【0033】
使用時に、バルブ168は起動ボタン128の動きによって最終的には起動の位置へ押されるだろう。これは図5と図10との間のバルブ168の動きによって最もよく図示されている。図10に示されるように、バルブ168の動きはバルブ168の拡大した遠位端部を前進させ、それによって、薬が、リザーバー160からチャネルアーム172内へ、および流体路に沿って針マニホルドへ、流れることを可能にする。
【0034】
上述した実施形態は、少なくとも、1つの針152、またはマイクロ針152、を含む。しかし、例えば、2つ示したマイクロ針152のようにいくつか含んでもよい。それぞれのマイクロ針152は、好ましくは少なくとも31ゲージかそれよりも小さく、例えば、34ゲージである。それぞれのマイクロ針152は、リザーバー160と流体連通して配置されている、患者の針マニホルドの中に固定される。マイクロ針152は、注入装置100に複数が含まれている場合に、異なる長さ、または異なるゲージ、または異なる長さおよびゲージの両方の組み合わせ、にもすることができ、また本体の長さに沿って1つまたはそれより多くのポートを含むことができる。ポートは、好ましくは、マイクロ針152の先端近くか、いずれかのマイクロ針152が先端斜角を持っていればその近くに位置する。
【0035】
1つの実施形態によれば、マイクロ針152のゲージは注入装置100の内容物の送達率に影響を与える。非常に大きなカニューレまたは針を必要とする即時の注射器による注射時よりも、より長い期間にわたる注入が生じた場合に、リザーバー内容物を送達するために34ゲージのマイクロ針152を多数使用することは実用的である。開示される実施形態において、皮内または皮下の空間を標的とするどんなマイクロ針152も使用されることができる。しかし、説明された実施形態は、1mmと7mmとの間の長さ(すなわち、4mm)の皮下マイクロ針152を含む。マイクロ針152の配置は、線形か非線形のアレイとすることができ、特定の用途によって必要に応じて、任意の数のマイクロ針152を含むことができる。
【0036】
上記のように、マイクロ針152は針マニホルドに配置されている。針マニホルドにおいて、少なくとも1つの流体連通経路がそれぞれのマイクロ針152に設けられている。マニホルドは、1つかそれ以上のマイクロ針152への単一の経路を有してもよく、またそれぞれのマイクロ針152へリザーバーの内容物を輸送する多数の流体路または溝を、個別に提供してもよい。これらの経路または溝は内容物の移動のための曲がりくねった経路をさらに含み、液圧および送達率に影響を及ぼし、流れ絞り機構としての役割を果たしてもよい。針マニホルドの中の、溝または経路は適用に応じて、幅、深さ、および形状にて変動することができる。溝の幅は典型的には約0.015インチと0.04インチとの間であり、好ましくは0.02インチであり、マニホルド内のデットスペースを最小限にするように構成される。
【0037】
1つの実施形態によれば、リザーバーサブアセンブリ120は1対の孔184、188を有する。これらは、底部囲い104に関してのリザーバーサブアセンブリ120の位置合わせを助ける。底部囲い104の第1ポスト192および第2ポスト196(後で詳しく記述される)は、それぞれの孔184および孔188を通して差し込まれる。
【0038】
リザーバーサブアセンブリ120が取り外されている分解図のうち、図4、図7、および図9は底部囲い104が略円筒状のハウジング200を含むことを図示する。ハウジング200内には、加圧ばね140およびプランジャー144が配置されている。1つの実施形態によれば、円筒状のハウジング200は、プランジャー144のそれぞれ複数である脚部208および足部212を、プランジャーがハウジング200の中で移動するときに案内するための窪んだチャネル204を複数個含む。脚部208および足部212は全体としてプランジャータブ214を構成する。例えば、図4、図7および図9に示されているように、窪んだチャネル204は円筒状のハウジング200の頂部からその下方に向けて部分的にだけ延在する。窪んだチャネル204の下に開口部216がある。開口部216を通じて、プランジャー144の足部212が円筒状のハウジング200の外へ延在することができる。開口部216は円筒状のハウジング200の底の水平部分と、窪んだチャネル204と実質的に整列した垂直部分と、によって実質的にL字型である。
【0039】
注入装置100が起動前状態にあるとき、加圧ばね140はプランジャー144によって圧縮されており(例えば、図4〜6に示される)、またプランジャーの脚部212は実質的に開口部216の水平部分内に配置される。加圧ばね140の力は、開口部216の水平部分(すなわち、円筒状のハウジング200の棚部(ledge))の頂部に対抗して、プランジャー144の足部212を付勢する。同時に、後で詳しく記述されるように、加圧ばね140およびプランジャー144は、注入装置100が起動したときにリザーバー160を加圧するために加圧システムを構成する。
【0040】
以下に更に詳しく記述されるように、ロータ136は、起動前位置(例えば、図2〜図4に示される)と起動された位置(例えば、図8〜図10に示される)との間で、円筒状のハウジング200の底のまわりで回転する。ロータ136が起動前位置から起動された位置まで回転するとき、ロータ136の少なくとも1つの足部係合表面220(例えば、図4に示される)は、プランジャー144の少なくとも1つの足部212に係合し、足部212が開口部216および窪んだチャネル204の垂直部分に整列するように、プランジャー144を回転させる。このとき、加圧ばね140は、浮上させられたチャネル204に足部212が案内された状態で、プランジャー144を上向きに動かす。
【0041】
加圧ばね140は注入装置100の中に含まれる。それは、実質的に均一な力をリザーバー160に与えて、リザーバー160から内容物を押し出すためである。加圧ばね140は、使用時の際に解除したときにリザーバー160を加圧するエネルギーを蓄えるために使用される。加圧ばね140は、プランジャー144の足部212と円筒状のハウジング200との間の係合によって、圧縮した状態に保たれる。この係合は、保管の間、加圧ばね140がリザーバー160またはいずれかの残余の構成要素(底部囲い104またはプランジャー144以外の)のフィルム(後述される)に圧力をかけるのを妨げる。プランジャー144は、ばねの張力および変形に抵抗するために十分に剛性であり、通常の負荷のもとでは故障しない。
【0042】
上記のように、ロータ136が起動前位置から起動された位置まで回転するとき、ロータ136はプランジャー144の足部212の少なくとも1つに係合し、足部212を開口部216および窪んだチャネル204の垂直部分に整列させるためにプランジャー144を回転させる。圧縮された加圧ばね140は、次にプランジャー144を上向きに動かし、そうすることで、リザーバー160のフィルムに力を加える。加圧ばね140は、リザーバー内容物の皮内送達のために、好ましくはリザーバー160内において約1psiから50psi、より好ましくは約2psiから約25psiの圧力をつくるように構成されることができる。皮下注射または注入のためには、約2psiから5psiの範囲で十分であろう。
【0043】
1つの実施形態によれば、起動ボタン128は患者のインターフェース面132を含む。患者のインターフェース面は、注入装置100を起動させるために患者が押す。起動ボタン128はヒンジアーム224および起動アーム228(両方とも、例えば、図3および図11Aに示される)もまた含む。起動ボタン128のヒンジアーム224は、開口部を有する円筒型の部分を含む(図11A参照)。起動アーム228はタブ230を含む(図3参照)。1つの実施形態によれば、タブ230はベアリング面232およびロック面234を含む。ロック面234はベアリング面232の腕木の末端に隣接して配置される。1つの実施形態によれば、タブ230は起動アーム228の主要な部分に対して鋭角を形成する。
【0044】
第1ポスト192は、底部囲い104の上に配置され、そこから上方へ延在している。1つの実施形態によれば(例えば、図4および図7に示されるように)、第1ポスト192の基部は一対の平らな側面236および一対の丸い側面240を含む。さらに、例えば、図4および図7に示されるように、第2ポスト196および第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は、底部囲い104から上方へ延在している。後で更に詳しく記述されるように、第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は駆動ばね148の端部にそれぞれ固定している。第1駆動ばね基部244は第2ポスト196と、空間を隔てて隣接している。
【0045】
1つの実施形態によれば、図3および図6は、起動ボタン128の組み付けのために、底部囲い104に関して起動ボタン128の配置を図示する。この配置において、ヒンジアーム224の円筒状部分の開口部は、起動ボタン128が(平らな側面236を通過して)水平方向にスライドし、第1ポスト192と係合することを可能にする。ヒンジアーム224(および、したがって、起動ボタン128)は第1ポスト192の周りを回転することができる。起動アーム228が、第2ポスト196と第1駆動ばね基部224との間の空間を通過するときに、第2ポスト196の保持面252をタブ230のベアリング面232の腕木の端部が通過するまで、タブ230および起動アーム228の少なくとも1つが、弾性的に変形する。第2ポスト196の保持面252(図4参照)を通過したタブ230のベアリング面232の腕木の端部の通過、およびタブ230のロック面234と保持面252との係合は、起動ボタン128が起動前の状態にあることを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供する。
【0046】
図11Aおよび図11Bは、起動ボタン128の起動アーム228の実施形態を示す。図11Aに示されるように、起動アーム228は、その端部に配置されているロック部256、およびロック部256から起動アーム228の基部までの距離の一部にわたって延在しているカットアウト260Aを含む。これとは対照的に、図11Bに示す実施形態においては、カットアウト260Bはロック部256から起動アームの基部まで延在している。ロック部256は、ロック面266に隣接しているベアリング面264(図3に最適に示される)を含む。ロック面266はロック部256の後方端に配置される。
【0047】
底部囲い104の第2ポスト196の実施形態が図12に示される。第2ポスト196はボタンガイドラッチ268を含む。ボタンガイドラッチ268はガイド面270および保持面272を含む。1つの実施形態によれば、図12に示されるように、ガイド面270および保持面272がボタンガイドラッチ268の端部に隣接しており、ボタンガイドラッチ268に関して、その間で鋭角(α)を形成する。
【0048】
図13Aおよび13Bは、注入装置100の起動前後の、起動ボタン228とボタンガイドラッチ268との間の相互作用を示す。ロータ136および起動アーム228のタブ230は、説明の明確さのために図13Aおよび図13Bには示されていない。図13Aに示すように、患者が起動ボタン128を起動前位置から起動された位置まで動かすとき、ロック部256のベアリング面264は、ボタンガイドラッチ268のガイド面270に直接接触し、且つこれに沿ってスライドする。1つの実施形態によれば、ベアリング面264とガイド面270との間の接触は、ベアリング面264およびガイド面270の少なくとも1つを、弾性的に変形させる。
【0049】
起動ボタン128が起動された位置に達したときに、図13Bに示されるように、起動アーム228の端部はボタンガイドラッチ268と係合し、起動ボタン128の戻る動きを防止する。より具体的には、カットアウト260(AまたはB)は、起動アーム228がガイド面270の端部を通過すること、それによって、ロック部256とボタンガイドラッチ268の保持面272とが係合しうること、を可能にする。より詳細には、ベアリング面264はガイド面270に直接接触し、且つボタンガイドラッチ268の端部に達するまで、ガイド面270に沿ってスライドする。このとき、カットアウト260(AまたはB)はボタンガイドラッチ268の端部と整列し、弾性的に変形した面(ベアリング面264およびガイド面270の少なくとも1つ)は実質的に変形していない状態に戻る。このように、起動アーム228は、カットアウト260(AまたはB)の存在を原因として、ガイド面270の端部を通過し、起動アーム228のロック面266はボタンガイドラッチ268の保持面272と係合する。
【0050】
図13Bに示されるように、底部囲い104の側壁は、起動された位置を通過した位置の起動アーム228のさらに前方への動きを実質的に防ぐ。1つの実施形態によれば、底部囲い104の側壁に代えて、またはそれに加えて、ローラ136の制限された移動、およびロータ136と起動ボタン228との間の係合は、起動された位置を過ぎる起動アーム228のさらなる前方への動きを実質的に防ぐ。
【0051】
加えて、図13Aおよび図13Bにおいても、ロータ136は示されていないが、図13Aおよび図13Bは、起動ボタン128およびロータ136が起動前位置から起動された位置まで移動するときの円筒状ハウジング200に関するプランジャー144の動きを示している。図13Aにおいて、プランジャータブ214は円筒状のハウジング200のL字型の開口部216の水平部分と係合している。しかしながら、図13Bでは、起動ボタン128およびロータ136が起動された位置に達するところで、プランジャー144は、プランジャータブ214がL字型の開口部216(および窪んだチャネル204)の垂直部分と整列するように、回転させられ、それによって、プランジャー144が、加圧ばね140の力を原因として円筒状のハウジング200内で並進することが可能にされる。
【0052】
図14Aおよび図14Bは、注入装置100の起動前後のボタンガイドラッチ268Aの他の実施形態を示す。より具体的には、図14(A)は起動前位置にある起動ボタン128を示す。この図においては、タブ230のロック面234が第2ポスト196の保持面252と係合している。図14Aに示されるように、ボタンガイドラッチ268Aは保持ポスト274を含む。保持ポスト274は底部囲い104の上面から実質的に垂直に延在している。保持ポスト274は、ガイド面270A、およびその端部でガイド面270Aに隣接して配置されている保持面272Aを含む。起動ボタン128が起動前位置から起動された位置へ動くとき(例えば、図14Bに示されるように)、ベアリング面232はガイド面270に直接接触し、ガイド面270Aの端部をベアリング面232の腕木の端部が通過するまでガイド面270Aに沿ってスライドする。次に、タブ230のロック面234は保持ポスト274の保持面272Aと係合する(図14Bに示される)。
【0053】
起動ボタン128が起動前位置から起動された位置に動くとき、ベアリング面232およびガイド面270Aの接触は、タブ230のベアリング面232の腕木の端部が、保持ポスト274のガイド面270Aを通過するまで、ベアリング面232、ガイド面270A、および起動アーム228の少なくとも1つを、弾性的に変形させる。このとき、変形した面/起動アームの少なくとも1つは実質的に変形されていない状態に戻る。ガイド面270Aを通過すべきタブ230のベアリング面232の腕木の端部の通過、およびタブ230のロック面234と保持面272Aとの係合は、起動ボタン128が起動前状態にあることを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供する。
【0054】
さらに、図14Bの中で最も明らかに示されるように、底部囲い104は第1ロック解除孔276および第2ロック解除孔278を含む。これらは第2ポスト196および保持ポスト274に隣接してそれぞれ配置されている。必要ならば、器具(例えば、紙クリップ)は第1ロック解除孔276または第2ロック解除孔278を通して差し込まれることができ、第2ポスト196の保持面252または保持ポスト274の保持面272Aからタブ230のロック面234を外すために、タブ230のベアリング面232に対して押す。1つの実施形態によれば、少なくとも第2ロック解除孔276は接着パッドによって覆われている(後で更に詳しく記述される)。
【0055】
このように、起動ボタン128のためのロック機構は、注入装置100の起動後に起動ボタン128を定位置に保持する。よって、このようなロック機構によれば、患者は注入装置100が起動したかどうかを迅速かつ容易に断定することができる。さらに、起動ボタン128は、起動後に前後に自由に移動しない(またはがたつかない)だろう。
【0056】
図2〜図4および図7〜図9に戻って参照すると、ロータ136は起動突起284および駆動ばねホルダー288をさらに含む。起動ボタン128の起動アーム228は、患者が起動ボタン128を押下するとき、起動突起284と係合する。それによって、起動前位置から起動された位置までロータ136を回転させる。
【0057】
駆動ばねホルダー288はロータ136が起動前位置にあるとき、駆動ばね148を起動前位置に保持する。前述のように、第1駆動ばね基部244および第2駆動ばね基部248は駆動ばね148の双方の端部に固定されている。例えば、図2および図3に示されているように、駆動ばね148のほぼ中間点に、ロータ136の駆動ばねホルダー288との係合のための略U字型の突起部がある。それによって、ロータ136が起動前位置にあり、駆動ばね148が駆動ばねホルダー288と係合するとき、駆動ばね148は伸張状態に維持される。駆動ばねホルダー288が駆動ばね148を解放するとき(すなわち、例えば、図8〜図10に例示されるように、ロータが起動前位置から起動された位置まで回転するとき)、駆動ばね148は、底部囲い104の開口部328を通じて(且つ後で更に詳しく説明される安全機構108の開口部を通じて)、注入装置100の外側に延出するようにマイクロ針152を駆動する。
【0058】
したがって、後で更に詳しく記述されるように、単一の多機能/ステップのプロセスにて完成される注入装置100の起動および付勢は、患者による起動ボタン128の押下、および起動ボタン128の起動アーム228とロータ136の起動突起284との間の係合によるロータ136の回転を含む。先に述べたように、ロータ136の回転は、リザーバー160内の液体を加圧するために、プランジャー144を回転させ、解放する。さらに、ロータ136の回転は、駆動ばねホルダー288から駆動ばね148を解放する。それによって、注入装置100の外側へ延出するようにマイクロ針152を駆動する。単一の多機能/ステップのプロセスはまた、起動ボタン128が押下されたときにバルブ168に係合しこれを動かすことによる起動前位置から起動された位置へのバルブ168の移動を含み、それによって、チャネルアーム172を経由したリザーバーとマイクロ針152との間の液体の流れが開始される。
【0059】
上記のように、パッチのような注入装置100は安全機構108もまた含む。不注意または偶然の穿刺による負傷を防止するため、装置の意図的な再利用を防止するため、およびむき出しの針を遮蔽するために、ロック針安全機構108が設けられる。安全機構108は、患者の皮膚表面からの注入装置100の取り外しがあると即座に、自動的に起動する。後で更に詳しく記述される1つの実施形態によれば、可撓性接着パッド292は底部囲い104の底の部分、および安全機構108の底の部分と接着している。可撓性接着パッド292は、患者の皮膚と接触し、使用している間、皮膚の上の定位置に注入装置100を保持する。例えば、図15および図16に示されるように、皮膚表面からの注入装置100の取り外しがあると即座に、安全機構108はマイクロ針152を遮蔽する位置へ延伸する。完全に延伸するとき、安全機構108は所定の位置にロックし、偶然の負傷または患者の針152への露出を防止する。
【0060】
概して、受動的な安全システムが、最も望ましい。これは、偶然の取り外し、または患者が安全ステップがあることを忘れた場合に、装置が自己保護することを可能にする。自己注入装置100の1つの典型的な使用が、人間に成長ホルモンを提供することであり、それが通常夜に与えられるため、たとえ送達が10分未満しか要しないと予期されているとしても、装置を装着する患者(子供たちのような)が一晩中実際に装着するかもしれないことが、予期される。受動的なシステムがないとすれば、注入装置100が外れて落ちると、マイクロ針152は患者または介護者を再度さすおそれがある。その解決策は、使用の間の活動を制限するか、あるいは受動的な安全システムを含むことである。
【0061】
安全システムに関して、典型的な3つの選択肢がある。最初の選択肢は装置の中に針152を格納することである。2つめの選択肢はアクセスをなくすために針152を遮蔽することである。3つめの選択肢は穿刺負傷を防ぐように針152を破壊することである。能動のシステムのような他のシステムは、手動の遮蔽および/または破壊、または付加的なボタン押しまたは類似の動きによる安全機能の手動解放、を利用する。本発明の受動的安全性の実施形態の詳しい説明は、以下に提供される。
【0062】
本発明の1つの安全な実施形態は、安全機構108のように受動的で、完全に囲まれた引き出すデザインの実施形態である。図5、図10、および図16は、安全機構108の起動前後および展開後の安全機構108をそれぞれ示している注入装置100の透視断面図である。
【0063】
注入装置100が皮膚からはずされるとき、可撓性接着パッド292(底部囲い104の底面および安全機構108の底面の両方に接着される)は、接着パッド292が皮膚表面からはずされるまえに、安全機構108を引き抜き、それを所定の位置にロックする。換言すれば、皮膚表面から接着パッドを取り外すために必要な力は、安全機構108を展開するために必要とされる力よりも、大きい。1つの実施形態によれば、例えば、図17に示されるような安全機構108は、患者の皮膚と接触している平らな表面部296を含む。平らな表面部296は接着パッド292の一部(図17に点線として示されている)が安全機構108と固定されているところである。注入装置100が皮膚から患者によってはなされたとき、接着パッド292は注入装置100から安全機構108を展開するために作動するだろう。それによって、マイクロ針152を遮蔽する。そうでなければ、患者からの注入装置100の取外しと同時に針が露出されるだろう。安全機構108が完全に広げられたとき、安全機構108は所定の位置にロックされ、偶然の負傷またはマイクロ針152への露出を防止する。
【0064】
1つの実施形態によれば、接着パッド292は実質上、2つの部分に提供される。1つは底部囲い104の底面の大部分(bulk)の上に、1つは安全機構108の底面上に、提供される。注入装置100がはずされたとき、2つのパッチは独立して動く。安全機構108は底部囲い104に関して回転できる。他の実施形態によれば、2つの部分は、1つの部分が底部囲い104の底面の大部分に配置され、且つ1つの部分が安全機構108の底面上に配置された、まとまった可撓性パッド292として形成される。
【0065】
1つの実施形態によれば、安全機構108は型打ちした金属部品である。他の実施形態によれば、安全機構108は、底部囲い104と実質的に同じ材料によってつくられる。図18に示されるように、安全機構108は、フロントシールド300、安全機構108の後方の部分に配置されている1対の差込タブ304、それぞれ、安全機構108のへり部分312の端部の後方の上に、配置されている1対のピボットタブ308、安全機構108の内側の略平らな底から上向きに延在するガイドポスト316、および安全機構108の内側の底から上向きに延在するロックポスト320、を含む。フロントシールド300は、安全機構108が展開したとき、マイクロ針152から患者を遮蔽するために、へり部分312の上方に延在する。ガイドポスト316は、その内部に、ロータ136が起動前位置にあるときに安全機構108が注入装置100の起動前に展開するのを防ぐために、ロータ136(例えば、図7および図9に示されている)の安全保持突起324と係合するためのカットアウトを含む。
【0066】
さらに、上記のように、安全機構108は針開口部156を含む。安全機構108の展開前に、マイクロ針152の移動のための空間を提供するために、針開口部156は、底部囲い104内において、開口部328と少なくとも部分的に重なる。ロックポスト320は針開口部156の前方側の端部に隣接してそれぞれ配置される。底部囲い104はガイドポスト開口部332(例えば、図7および図9に示される)、底部囲い104の双方の側縁部に隣接して配置されている一対の差込タブ開口部336(例えば、図4に1つが示される)、および底部囲い104の双方の側部に配置されている1対のビボットレスト340(例えば、図7および図9に示される)を含む。
【0067】
再び図18を参照すると、差込タブ304は、接続部344および延伸部348をそれぞれ含む。1つの実施形態によれば、接続部344は、安全機構108の内側の底に関して非垂直の角度で、安全機構108の内側の底から注入装置100の後部に向けて延在している。延伸部348は、略垂直に、延伸部348から安全機構108のそれぞれの外側に向けて延在する。安全機構108を底部囲い104に組み付けるために、安全機構108は底部囲い104に関して約45°の角度に保持され、差込タブ304は差込タブ開口部336を通じて差し込まれる。次に、ガイドポスト316がガイドポスト開口部323を通じて挿入され、且つ安全機構108の内側の底が底部囲い104の底面と略平行になり且つ接触するように、安全装置108はある位置に回転される。
【0068】
再び図7および図9を参照すると、これらは起動された位置にあるロータ136を図示しているが、図7および図9の分解された状態は、底部囲い104への安全機構108の組み付けの段階を説明するのに便利である。しかしながら、安全機構108は起動前に底部囲いに組み付けられるべきであることはよく理解される。安全機構108の上向きの回転の後、図4に示されるとおり、ピボットタブ308がピボットレスト340のそれぞれの前端部をクリアし且つピボットレスト340の上方に配置され、ロックポスト320が底部囲い104の開口部328の両側端部に隣接して配置され、且つロータ136の安全保持突起324はガイドポスト316と係合するように、安全機構108は底部囲い104に関して後向きに並進する。
【0069】
図18に戻ると、それぞれのロックポスト320は、安全機構108の内側の底面から略垂直に延在するポスト延伸部352、およびポスト延伸部352の端部に配置されているくさび部356を含む。くさび部356の高さが、安全機構108の内側表面の底に関して増加するほど、くさび部356の幅は増加する。
【0070】
安全機構108が展開し、底部囲い104に関して下方へ回転するとき、くさび部356は開口部180のそれぞれの側端に抗して作用し、ロックポスト192を互いに向かって弾性的に変形させる。安全機構108が完全に展開されると、タブ308はビボットレスト340内に着座する。さらに、くさび部356の頂端部は開口部328の底端部を通り、ロックポスト320は、実質的に変形していない状態にスナップバックして、安全機構108が完全に配置されたことを伝達する可聴のクリック音および触覚的なフィードバックを提供し、したがって、マイクロ針152が覆われる。図15および図16に戻り、いったん安全機構108が完全に展開され、ロックポスト320がほぼ変形していない状態にスナップバックすると、くさび部356の頂端部は、開口部328に隣接する底部囲い104の底面と係合し、それによって、安全機構108が底部囲い104に対して上向きに回転すること、およびマイクロ針152を露出させることを防ぐ。さらに、上記のように、フロントシールド300はマイクロ針152から患者を遮蔽する。
【0071】
したがって、安全機構108は、単一の部分として提供される受動的な安全性の実施形態であり、人間の負荷のもとではつぶれることのない好ましいロックを提供する。この受動安全機構によれば、注入の間、更なる力は皮膚に付加されず、そして、マイクロ針152は、使用後に、注入装置100の中に安全に保持される。
【0072】
注入装置100の使用後、患者は、全ての投与量が送達されたことを確認するために、装置をもう一度調べることができる。この関係で、図19A〜図19Dに示されるように、注入装置100は投薬終了指示器(EDI)124を含む。EDI124は、本体360と、本体360の頂部に関して略水平に延在している第1アーム364および第2アーム340と、を含む。
【0073】
EDI124は、本体360の頂部から上向きに曲がっているばねアーム372も含む。1つの実施形態によれば、ばねアーム372はリザーバーサブアセンブリ120の底側に抗して押し、例えば注入装置100の送達の間および操作の間、EDI124が注入装置100の外へ自由に動かないことを確実にするために、EDI124を底部囲い104へ向けて、弾性的に付勢する。
【0074】
図4に戻ると、本体360はEDIチャネル376に配置されており、その中で略垂直に並進する。EDIチャネルは、プランジャー144の脚部208および足部212を案内する窪んだチャネル204の1つと隣接している。第1アーム364は窪んだチャネル204の頂部に交差して延在している。
【0075】
図19Aに戻ると、垂直押出部380は第2アーム368の端部から上向きにのびている。リザーバー内容物が送達されたとき、垂直押出部は、上部囲い116内のEDI開口部384(例えば、図19Cに示される)を通じて延在して、投与が終了に達したことを伝達する。1つの実施形態によれば、EDI124は一体構造として形成される。
【0076】
図19Bに示されるように、プランジャー144が、起動後の加圧ばね140によって円筒状のハウジング200の中で上向きに動くとき、プランジャー144の足部212の1つはEDI124の第1アームと接触する。足212は、ばねアーム372の付勢に打ち勝って、且つリザーバー内容物の送達の間、垂直押出部380をEDI開口部384を通して次第に延伸させながら、EDI124を上向きに持ち上げる。図10に戻り参照すると、垂直押出部380は注入装置100から部分的に延伸している。いったんリザーバー内容物の送達が完了し、プランジャーがその完全なストロークに達すれば、図19Dに示すように、垂直押出部380は完全に延伸する。このように、EDI124は注入装置100の外側から見えて、それによってリザーバー内容物の送達を伝達するようなEDI124の線形移動を引き起こすために、プランジャー144の線形移動を用いる。
【0077】
図20は注射ポート704を備えた注入装置700の実施形態を示す。空にされていようと、部分的に充填されていようと、患者が起動前に物質または物質の組み合わせをリザーバー内へ注入できるようにするために、注射ポートはリザーバー780へのアクセスを提供する。二者択一的に、製薬メーカーまたは薬剤師が、販売前に、物質または物質の組み合わせで注入装置700を充填するために、注射ポート704を用いることができる。実質的にすべての他の点において、注入装置700は前に述べた注入装置100と類似している。
【0078】
注入装置100の操作を説明する。上述の本発明の実施形態は好ましくは、注入装置100が皮膚表面に配置され且つしっかりと固定され、起動ボタン128を押すことによって、付勢され、および/または起動されるような押しボタン(起動ボタン128)のデザインを含む。より具体的には、最初のステップにおいて、患者は装置を無菌包装(示されていない)から取り外し、接着パッド292のカバー(示されていない)を取り外す。患者は針カバー112も取り外す。包装からの注入装置100の取り外し後かつ使用前に(例えば、図1、図2、図4および図5に示す)、起動前状態の注入装置100は、患者による装置およびそのなかの内容物の検査を可能にする。そのような検査は、紛失しているか、傷んだ内容物、有効期限(期間)、かすんだか変色した薬など、のための検査を含んでいる。
【0079】
次のステップは、患者の皮膚表面への注入装置100の配置および適用である。医薬パッチと同様に、患者は皮膚の上に注入装置100をしっかりと押しつける。接着パッド292の1つの側面は、底部囲い104の底面、および安全機構108の底面に接着する。接着パッド292の反対側の側面は患者の皮膚に注入装置100を固定する。これらの底面(底部囲い104および安全機構108の)は平坦、曲面、または任意の適当な形状に成形されることができ、接着パッド292はその上に固定される。1つの実施形態によれば、出荷前に、接着パッド292のフィルムのようなカバーは、出荷中に接着剤を保存するために接着パッド292の患者側に適用される。上記のように、使用前、患者は接着カバーをはぎ取る。それによって、皮膚に対して配置するために接着パッド292を露出させる。
【0080】
接着カバーを取り外した後、患者は、皮膚に接触して注入装置100を配置することができ、適した接着を確実にするために押しつけることができる。上記のように、適切に配置されれば、装置は起動ボタン128を押すことによって起動される。この起動ステップはプランジャー144および加圧ばね140を解放し、プランジャー144がリザーバー160の可撓性のフィルム(リザーバードームシール164)を押すことを可能にし、それによって、リザーバーを加圧する。この起動ステップはまた、ロータ136の駆動ばねホルダー288から駆動ばね148を解放するように作用し、それによって、注入装置100の外側へ(底部囲い104の開口部328、および安全機構108の針開口部156を通じて)マイクロ針152を延伸させ且つ患者内にマイクロ針152を着座させるために、マイクロ針152を駆動する。さらに、起動ステップは、バルブ168を開き、リザーバー160とマイクロ針152との間にチャネルアーム172を経由した(例えば、図8〜図10に示される)流体連通路を確立する。重要な利点は、1回の押しボタンの操作にてこれらの動作のそれぞれを達成する能力から派生する。さらに、もう1つの重要な利点は、リザーバーサブアセンブリ120内に完全に含まれている連続的な流体連通路の使用を含む。
【0081】
いったん起動されると、リザーバー内容物の送達を完了するためにいくらかの期間(例えば、10分から72時間)にわたり、患者は注入装置100を概して定位置に置いたままにするか、または装置を装着する。患者はそれから下部の皮膚や組織の損傷なしに、装置を取り外し廃棄する。故意かまたは偶然の取外し時、露出したマイクロ針152を遮蔽するために、1つまたはそれ以上の安全機能が展開する。より具体的には、注入装置100が患者によって皮膚から取り外されたとき、接着パッド292が注入装置100から安全機構108を展開するために作動し、それによって、マイクロ針152を遮蔽する。さもなければ、マイクロ針152は患者からの注入装置100の移動で露出される。安全機構108が完全に延伸しているとき、安全機構108は所定の位置でロックし、偶然の損傷またはマイクロ針152への露出を防止する。しかしながら、安全機能は、もし起動ボタン128が押されなかったり、マイクロ針152がのびなければ、展開されないように構成されることができる。それによって、使用前の安全機構の展開を防止する。使用後、患者は、全ての服用量が送達されたことを確認するために、もう一度装置を検査することができる。例えば、患者は透明なドーム176を通してリザーバーの内側を見ることができ、および/またはEDI124を検査することができる。
【0082】
説明した実施形態は薬剤および医薬品を含んでいるさまざまな物質の患者へ、特に人間の患者へ投与するときに使用するために適している。ここに使用されるように、医薬品は、生理活性を有する物質を含む。それは、身体の膜組織および表面、特に皮膚を通じて届けられることができる。より詳細に以下に列挙されている例には次のようなものを含む。抗生物質、抗ウイルス薬、鎮痛剤、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎剤、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、DNAワクチンを含むワクチン剤など。患者の皮内にまたは皮下に届けられることができる他の物質は、ヒト成長ホルモン、インシュリン、プロテイン、ペプチド、およびその断片を含む。プロテインおよびペプチドは、自然に生じるか、合成されるか、または組み替えて製造されることができる。さらに、装置は、樹状細胞の皮内注入の間に用いられるように、細胞治療に用いられることができる。さらに、本発明の方法に従って届けられる物質は薬、ワクチンおよびこれらに類するものであって、予防、診断、緩和、処置、病気の治療に使用されるものから構成されるグループから選択されることができる。そして、それは以下のようなものを含む。α1アンチトリプシン、抗血管新生薬(Anti−Angiogenesis agents)、アンチセンス(Antisense)、ブトルファノール、カルシトニンおよび類似体、セラベース(Ceredase)、COX−II抑制剤(COX−II inhibitors)、外皮用剤、ジヒドロエルゴタミン、ドーパミン作用薬および拮抗薬、エンケファリンおよび他のオピオイドペプチド、表皮成長因子(Epidermal growth factors)、エリスロポエチンおよび類似体、卵胞刺激ホルモン、G−CSF、グルカゴン、GM−CSF、グラニセトロン、成長ホルモンおよび類似体(ホルモンを放出する成長ホルモンを含む)、成長ホルモン拮抗薬(Growth hormone antagonists)、ヒルジンおよびヒルログのようなヒルジン類似体、IgE抑制因子、インシュリン、インシュリノトロピン(insulinotropin)および類似体、インシュリン類似の成長因子、インターフェロン、インターロイキン、黄体形成ホルモン、ホルモンおよび類似体を放出する黄体形成ホルモン、低分子量ヘパリン、M−CSF、メトクロプラミド、ミダゾラム、モノクローナル抗体、麻薬性鎮痛薬、ニコチン、非ステロイド性抗炎症剤、オリゴ糖、オンダンセトロン、副甲状腺ホルモンおよび類似体、副甲状腺ホルモン拮抗薬(Parathyroid hormone antagonists)、プロスタグランジン拮抗薬、プロスタグランジン、組換成長ホルモン受容体(Recombinant soluble receptors)、スコポラミン、セロトニン作用薬(Serotonin agonists)および拮抗薬、シルデナフィル、テルブタリン、血栓溶解薬、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍壊死因子および腫瘍壊死因子拮抗薬(TNF--antagonist)、担体/補助剤(adjuvant)を伴うまたはなしの予防薬および治療用抗原(therapeutic antigens)を含むワクチン(以下のものを含むが、これに限定されない。サブユニットたんぱく質、ペプチドおよび多糖類、多糖複合体、トキソイド、遺伝子に基づくワクチン(genetic based vaccines)、弱毒化された生の、再集合体の、不活化の、ホールセルの、ウイルス性のおよび細菌性のベクター)であって以下に関連するもの:中毒、関節炎、コレラ、コカイン中毒、ジフテリア、破傷風、HIB、ライム病、髄膜炎菌、はしか、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、黄熱、呼吸器合抱体ウイルス、ダニ媒介の日本脳炎、脳炎球菌、連鎖球菌、チフス、インフルエンザ、A型、B型、C型、およびE型肺炎を含む肺炎、中耳炎、狂犬病、ポリオ、HIV、パラインフルエンザ(parainfluenza)、ロタウイルス、エプスタイン-バーウイルス、CMV、クラミジア、型別されていないヘモフィルス属、モラクセラカタラーリス、ヒトパピローマウイルス、BCGを含む結核、淋病、喘息、アテローム性動脈硬化マラリア(atheroschlerosis malaria)、大腸菌、アルツハイマー病、ヘリコバクターピロリ菌、サルモネラ菌、糖尿病、がん、単純疱疹、ヒトパピローマ。本発明の方法によって届けられる物質はさらに、以下の主要な治療薬、すなわち、風邪のための薬剤、抗中毒、抗アレルギー、鎮吐剤、抗肥満、抗骨粗鬆症(antiosteoporeteic)、抗感染薬、鎮痛薬、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗うつ病薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗片偏頭痛調剤薬(antimigraine preparations)、乗物酔治療調剤薬(antimotion sickness preparations)、制嘔吐薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、かゆみ止め薬、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン作用薬、ベンゾジアゼピン拮抗薬、全身、心臓、末梢および脳を含む血管拡張剤、骨刺激剤、中枢神経系刺激薬、ホルモン剤、睡眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感神経抑制薬、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン、たんぱく質、ペプチド、ポリペプチドおよび他の高分子、精神刺激剤、鎮静剤、性的機能低下症および精神安定剤、および例えばツベルクリンなどの主要な診断薬、および他の過敏症薬を含む他の類似の物質であって、全ての内容が引用によって本明細書に明確に取り入れられる「皮内に物質を注入する方法」と題された特許文献1にて説明されているものを含む。
【0083】
本発明のシステムおよび方法に従って、届けられることができるワクチン製剤は、ヒトの病原体に対して免疫反応を引き出すことができる抗原または抗原組成物からなるグループから選択されることができる。そのような抗原または抗原組成物は、HIV-1(例えば、tat、nef、gp120またはgp160など)、ヒトヘルペスウイルス(HSV)(例えば、gDもしくはその誘導体、またはHSV1もしくはHSV2から得られるICP27などの前初期たんぱく質など)、サイトメガロウイルス(CMV(特に、ヒトのウイルス)(例えば、gBまたはその誘導体など)、ロタウイルス(弱毒化生ウイルスを含む)、エプスタイン・バーウイルス(例えば、gp350またはその誘導体)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV、例えば、gpI、gpII、およびIE63など)由来のもの、または、B型肺炎ウイルス(例えば、B型肺炎表面抗原またはその誘導体)、A型肺炎ウイルス(HAV)、C型肺炎ウイルス、およびE型肺炎ウイルスなどのような肺炎ウイルス由来のもの、または他のウイルス性の病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合抱体ウイルス(RSV、例えば、Fたんぱく質およびGたんぱく質、もしくはその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、はしかウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV、例えば、HPV6、11、16、18)、フラビウイルス(例えば、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介の脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルス(全体が活性化または不活性のウイルス、スプリットインフルエンザウイルス、卵またはMDCK細胞で増殖させたもの、またはwhole flu virosomes、あるいは、例えば、HA、NP、NA、またはMたんぱく質、またはその組み合わせなどの、精製した、もしくは組み換えたたんぱく質)、または、細菌性の病原体、例えば、淋菌および髄膜炎菌(例えば、莢膜多糖類およびその複合体、トランスフェリン結合たんぱく質、ラクトフェリン結合たんぱく質、PilC、アドへシンなど)を含むナイセリア属;化膿連鎖球菌(例えば、Mたんぱく質もしくはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、ストレプトコッカス・アガラクチア、ミュータンス菌;軟性下疳菌;カタル球菌としても知られているカタラリス菌(例えば、高分子量及び低分子量のアドへシンおよびインベイシン)を含むモラクセラ属;百日咳菌(例えば、パータクチン、百日咳毒素もしくはその誘導体、線維状赤血球凝集素、アデニル酸シクラーゼ、線毛)、パラ百日咳菌、および気管支敗血症菌を含むボルデテラ属;結核菌(例えば、ESAT6、抗原85A、-Bもしくは-C)、マイコバクテリウム・ボビス、らい菌、マイコバクテリウム・アビウム、ヨーネ菌、マイコバクテリウム・スメグマチスを含むマイコバクテリウム属;レジオネラ・ニューモフィラを含むレジオネラ属;腸管毒性大腸菌(例えば、定着因子、熱不安定性毒素もしくはその誘導体、熱安定性毒素もしくはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌(例えば、志賀毒素のような毒素もしくはその誘導体)を含む大腸菌属;コレラ菌(例えば、コレラ毒素もしくはその誘導体)を含むビブリオ属;ソンネ赤痢菌、志賀赤痢菌、フレキシネル赤痢菌を含むシゲラ属;エンテロコリチカ菌(例えば、Yopたんぱく質)、ペスト菌、仮性結核菌を含むエルシニア属;カンピロバクター・ジェジュニ(例えば、毒素、アドへシンおよびインベイシン)、およびカンピロバクター・コリを含むカンピロバクター属;チフス菌、パラチフス菌、ブタコレラ菌、腸炎菌を含むサルモネラ属;リステリア菌を含むリステリア属;ヘリコバクターピロリ菌(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素)含むヘリコバクター属;緑膿菌を含むシュードモナス属;黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を含むブドウ球菌属;フェカリス菌、フェシウム菌を含むエンテロコッカス属;破傷風菌(例えば、破傷風毒素およびその誘導体)、ボツリヌム菌(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、クロストリジウム・ディフィシル(例えば、クロストリジウム素AもしくはBおよびその誘導体)を含むクロストリジウム属;炭疽菌(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むバチルス属;ジフテリア菌(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)を含むコリネバクテリウム属;ボレリア・ブルグドルフェリ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、ボレリア・ガリニ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、ボレリア・アフゼリ(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、B. andersonii(例えば、OspA, OspC, DbpA, DbpB)、B. Hermsiiを含むボレリア属;ウマエーリキア症原因菌、およびヒト顆粒球エーリキア症の原因菌を含むエーリキア属;リケッチア・リケッチイを含むリケッチア属;トラコーマ病原体(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、肺炎クラミジア(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、オウム病クラミジアを含むクラミジア属;レプトスピラ・インタロガンスを含むレプトスピラ属;梅毒トレポネーマ(例えば、珍しい外膜たんぱく質)、トレポネーマ・デンティコラ、トレポネーマ・ヒオジセンテリエを含むトレポネーマ属;または寄生虫に由来するもので、寄生虫は例えば、熱帯熱マラリア原虫を含むマラリア原虫属;トキソプラズマ原虫(例えば、SAG2, SAG3, Tg34)を含むトキソプラズマ属;赤痢アメーバを含むエントアメーバ属;ネズミバベシアを含むバベシア属;クルーズトリパノソーマを含むトリパノソーマ属;ランブル鞭毛虫を含むジアルジア属;大形リーシュマニアを含むリーシュマニア属;ニューモシスチス・カリニを含むニューモシスチス属;膣トリコモナスを含むトリコモナス属:マンソン住血吸虫を含む住血吸虫属;または、酵母由来のもので、例えば、カンジダアルビカンスを含むカンジダ属;クリプトコッカス・ネオフォルマンスを含むクリプトコックス属。これらの物質は「ワクチンの送達システム」と題された特許文献2に説明されており、その全ての内容は引用することによって本明細書に明確に取り入れられる。
【0084】
これらは結核菌のための他の好ましい特異抗原、例えば、Tb Ral2, Tb H9, Tb Ra35, Tb38-1, Erd 14, DPV, MTI, MSL, mTTC2 および hTCC1をも含む。結核菌のためのたんぱく質はまた、融合たんぱくおよびその変異体であって少なくとも2つの、好ましくは3つの結核菌のポリペプチドより大きいたんぱく質の中に融合されているものを含む。好ましい融合体はRa12-TbH9-Ra35, Erd14-DPV-MTI, DPV-MTI-MSL, Erdl4-DPV-MTI-MSL-mTCC2, Erdl4-DPV-MTI-MSL, DPV-MTI- MSL-mTCC2, TbH9-DPV-MTIを含む。クラミジアのための最も好ましい抗原は、例えば、高分子たんぱく質(HWMP)、ORF3、および推定上の膜たんぱく質(Pmps)を含む。好ましい細菌ワクチンは連鎖球菌属に由来する抗原を含む。そのような連鎖球菌は、肺炎球菌(例えば、莢膜多糖体および複合体、PsaA、PspA、ストレプトトリジン、コリン結合たんぱく質)およびたんぱく質抗原ニューモリシン(非特許文献1;非特許文献2)、およびそれの変異体が無毒化された誘導体を含む。他の好ましい細菌ワクチンはヘモフィルス属に由来する抗原を含む。そのようなヘモフィルス属はヘモフィルス-インフルエンザB型菌(「Hib」、例えば、PRPおよびその複合体)、型別されていないヘモフィルス-インフルエンザ菌、例えば、OMP26、高分子量アドへシン、P5、P6、たんぱく質Dおよびリポたんぱく質D、およびフィンブリンおよびフィンブリン由来のペプチドまたは多重複製変異体またはその融合たんぱく質を含む。B型肝炎表面抗原の誘導体は、当業者によく知られており、特にPreS1抗原、PreS2抗原のS抗原を含む。1つの好ましい態様において、本発明のワクチン製剤は、HIV-1抗原であるgp120、特に、CHO細胞にて発現されたものを含む。さらなる別の実施形態において、本発明のワクチン製剤は、上記に明らかにされたようにgD2tを含む。
【0085】
上記の物質の送達に加えて、注入装置100は患者から物質の引抜き、または患者の物質のレベルの監視のために使用されることもできる。監視されるか引抜かれる物質の例は、血、組織液または血漿を含む。引抜かれた物質はそれから、分析物、ブドウ糖、薬物のために解析されることができる。
【0086】
本発明の少しの模範的な実施形態だけは詳細に上記で説明されたが、模範的な実施形態において、新しい教示およびこの発明の利点から大きく離れることなしに、多くの変更が可能であることが、当業者は容易にわかるであろう。よって、全てのそのような変更は、添付した特許請求の範囲およびその同等物に含まれることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
薬剤を収容するために本体の中に配置されたリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する注射針と、
装置が起動されたときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、
本体に移動可能に配置されており、起動前位置から起動された位置へ移動でき、起動アームを含む起動ボタンと、を備える薬剤送達装置であって、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームの端部がボタンガイドラッチと係合し、起動された位置から起動前位置への起動ボタンの動きを防止する薬剤送達装置。
【請求項2】
ボタンガイドラッチはガイド面および保持面を含み、
起動アームはカットアウトおよびロック部を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、カットアウトは、起動アームがガイド面の端部を通過し、起動アームのロック部がボタンガイドラッチと係合することを許容する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
起動アームのロック部はベアリング面およびロック面を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面は、起動アームがガイド面の端部を通過し且つ起動アームのロック面がボタンガイドラッチの保持面と係合するまで、ガイド面に直接接触し且つガイド面に沿ってスライドする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面とガイド面との間の接触は、ベアリング面およびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させ、
起動アームがガイド面の端部を通過するときに、少なくとも1つの変形した面は実質的に変形していない状態に復帰する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ロック部は起動アームの端部に配置されており、
カットアウトは、ロック部から起動アームの基部までの距離の少なくとも一部にわたって延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
カットアウトは、ロック部から起動アームの基部にわたって延在する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ガイド面および保持面は、ボタンガイドラッチの端部にて隣接しており、それらの間でボタンガイドラッチに関して鋭角を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
起動アームのロック部は、ロック面と隣接するベアリング面とを含み、ロック面はロック部の後方端部に配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
本体の側面は、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ボタンガイドラッチは保持ポストを含み、
起動アームの端部は、起動アームから延在する腕木タブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
保持ポストは、ガイド面、およびガイド面の端部にてガイド面と隣接して配置されている保持面を含み、
タブは、ベアリング面、およびベアリング面の腕木端部に隣接して配置されているロック面、を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面はベアリング面の腕木の端部がガイド面の端部を通過し且つタブのロック面が保持ポストの保持面と係合するまで、ガイド面に直接接触し且つガイド面に沿ってスライドする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面とガイド面との間の接触は、ベアリング面、ガイド面、および起動アームの少なくとも1つを変形させ、
ベアリング面の腕木の端部がガイド面の端部を通過するときに、前記変形した少なくとも1つの面は実質的に変形しない状態に復帰する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
タブは起動アームの主要な部分に対して鋭角を形成する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
保持ポストは、底部囲いの表面から実質的に垂直に延在する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
注射針と流体連通するチャネルと、
リザーバーとチャネルとの間に配置され、リザーバーからチャネルへの薬剤の送達を選択的に許容するバルブと、
起動前位置から起動された位置へ移動可能な駆動ばねと、
起動前位置と起動された位置との間を移動でき、ロータおよび駆動ばねの夫々の起動前位置にて駆動ばねを支えるロータと、をさらに備える装置であって、
底部囲いは患者の皮膚に接触するための底面を含み、底部囲いの底面はロータが回転可能に周りに配置されている略円筒状のハウジングを含み、加圧システムは円筒状ハウジングの中に配置されており、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームはロータを起動の位置へ動かし、それによって、リザーバーを加圧するために加圧システムを解放し、注射針を駆動して、患者の皮膚を刺すために駆動ばねを解放して起動された位置に移動させ、起動ボタンはリザーバーからチャネルを経て注射針に至る薬剤の送達を許容するためにバルブを開く、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ロータは、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはガイド面と保持面とを有するボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
本体の中に配置されており、薬剤を収容するためにチャンバを形成するリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する注射針と、
装置が起動されたときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、
移動可能に本体に配置され且つ起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンであって、カットアウトを有する起動アームおよびベアリング面とロック面とを有するロック部を備える起動ボタンと、
を備える薬剤送達装置であって、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、
ベアリング面はガイド面の端部に達するまで、起動アームおよびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させながら、ボタンガイドラッチのガイド面に接触し且つガイド面に沿ってスライドし、
カットアウトは起動アームがガイド面の端部を通過し、起動ボタンの復帰動作を防止するために、ロック面がボタンガイドラッチの保持面と係合することを許容する、薬剤送達装置。
【請求項18】
ロック部は起動アームの端部に配置されており、
カットアウトはロック部から起動アームの基部までの距離の少なくとも一部にわたって延在する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
カットアウトはロック部から起動アームの基部までにわたって延在する、請求項18の装置。
【請求項20】
ガイド面および保持面は、ボタンガイドラッチの端部にて隣接しており、それらの間でボタンガイドラッチに関して鋭角を形成する、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
ロック部のベアリング面はロック面に隣接しており、
ロック面はロック部の後方の端部に配置されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
本体の側面は、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
注射針と流体連通するチャネルと、
リザーバーとチャネルとの間に配置され、リザーバーからチャネルへの薬剤の送達を、選択的に許容するバルブと、
起動前位置から起動された位置へ移動可能な駆動ばねと、
起動前位置と起動された位置との間を移動でき、ロータおよび駆動ばねの夫々の起動前位置にて駆動ばねを支えるロータと、をさらに備える装置であって、
底部囲いは患者の皮膚に接触するための底面を含み、底部囲いの底面はロータが回転可能に周りに配置されている略円筒状のハウジングを含み、加圧システムは円筒状ハウジングの中に配置されており、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームはロータを起動の位置へ動かし、それによって、リザーバーを加圧するために加圧システムを解放し、注射針を駆動して、患者の皮膚を刺すために駆動ばねを解放して起動された位置に移動させ、起動ボタンはリザーバーからチャネルを経て注射針に至る薬剤の送達を許容するためにバルブを開く、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
ロータは起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
薬剤を収容するために本体の中に配置されたリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、リザーバーと連通する注射針と、
リザーバーを加圧するための加圧システムと、
移動可能に本体に配置され且つ起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンであって、起動アームを含む起動ボタンと、を備える薬剤送達装置であって
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチと係合し、起動ボタンの復帰動作を防止し、
起動前位置から起動された位置への起動ボタンの動きは、患者の皮膚を刺すために注射針を駆動すること、リザーバーを加圧すること、およびリザーバーと患者針との間の流体連通を確立すること、からなるグループから選択される機能の少なくとも1つを実現する、薬剤送達装置。
【請求項1】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
薬剤を収容するために本体の中に配置されたリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する注射針と、
装置が起動されたときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、
本体に移動可能に配置されており、起動前位置から起動された位置へ移動でき、起動アームを含む起動ボタンと、を備える薬剤送達装置であって、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームの端部がボタンガイドラッチと係合し、起動された位置から起動前位置への起動ボタンの動きを防止する薬剤送達装置。
【請求項2】
ボタンガイドラッチはガイド面および保持面を含み、
起動アームはカットアウトおよびロック部を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、カットアウトは、起動アームがガイド面の端部を通過し、起動アームのロック部がボタンガイドラッチと係合することを許容する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
起動アームのロック部はベアリング面およびロック面を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面は、起動アームがガイド面の端部を通過し且つ起動アームのロック面がボタンガイドラッチの保持面と係合するまで、ガイド面に直接接触し且つガイド面に沿ってスライドする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面とガイド面との間の接触は、ベアリング面およびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させ、
起動アームがガイド面の端部を通過するときに、少なくとも1つの変形した面は実質的に変形していない状態に復帰する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ロック部は起動アームの端部に配置されており、
カットアウトは、ロック部から起動アームの基部までの距離の少なくとも一部にわたって延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
カットアウトは、ロック部から起動アームの基部にわたって延在する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ガイド面および保持面は、ボタンガイドラッチの端部にて隣接しており、それらの間でボタンガイドラッチに関して鋭角を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
起動アームのロック部は、ロック面と隣接するベアリング面とを含み、ロック面はロック部の後方端部に配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
本体の側面は、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ボタンガイドラッチは保持ポストを含み、
起動アームの端部は、起動アームから延在する腕木タブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
保持ポストは、ガイド面、およびガイド面の端部にてガイド面と隣接して配置されている保持面を含み、
タブは、ベアリング面、およびベアリング面の腕木端部に隣接して配置されているロック面、を含み、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面はベアリング面の腕木の端部がガイド面の端部を通過し且つタブのロック面が保持ポストの保持面と係合するまで、ガイド面に直接接触し且つガイド面に沿ってスライドする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、ベアリング面とガイド面との間の接触は、ベアリング面、ガイド面、および起動アームの少なくとも1つを変形させ、
ベアリング面の腕木の端部がガイド面の端部を通過するときに、前記変形した少なくとも1つの面は実質的に変形しない状態に復帰する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
タブは起動アームの主要な部分に対して鋭角を形成する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
保持ポストは、底部囲いの表面から実質的に垂直に延在する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
注射針と流体連通するチャネルと、
リザーバーとチャネルとの間に配置され、リザーバーからチャネルへの薬剤の送達を選択的に許容するバルブと、
起動前位置から起動された位置へ移動可能な駆動ばねと、
起動前位置と起動された位置との間を移動でき、ロータおよび駆動ばねの夫々の起動前位置にて駆動ばねを支えるロータと、をさらに備える装置であって、
底部囲いは患者の皮膚に接触するための底面を含み、底部囲いの底面はロータが回転可能に周りに配置されている略円筒状のハウジングを含み、加圧システムは円筒状ハウジングの中に配置されており、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームはロータを起動の位置へ動かし、それによって、リザーバーを加圧するために加圧システムを解放し、注射針を駆動して、患者の皮膚を刺すために駆動ばねを解放して起動された位置に移動させ、起動ボタンはリザーバーからチャネルを経て注射針に至る薬剤の送達を許容するためにバルブを開く、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ロータは、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはガイド面と保持面とを有するボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
本体の中に配置されており、薬剤を収容するためにチャンバを形成するリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、装置が起動されたときにリザーバーと連通する注射針と、
装置が起動されたときにリザーバーを加圧するための加圧システムと、
移動可能に本体に配置され且つ起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンであって、カットアウトを有する起動アームおよびベアリング面とロック面とを有するロック部を備える起動ボタンと、
を備える薬剤送達装置であって、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、
ベアリング面はガイド面の端部に達するまで、起動アームおよびガイド面の少なくとも1つを弾性的に変形させながら、ボタンガイドラッチのガイド面に接触し且つガイド面に沿ってスライドし、
カットアウトは起動アームがガイド面の端部を通過し、起動ボタンの復帰動作を防止するために、ロック面がボタンガイドラッチの保持面と係合することを許容する、薬剤送達装置。
【請求項18】
ロック部は起動アームの端部に配置されており、
カットアウトはロック部から起動アームの基部までの距離の少なくとも一部にわたって延在する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
カットアウトはロック部から起動アームの基部までにわたって延在する、請求項18の装置。
【請求項20】
ガイド面および保持面は、ボタンガイドラッチの端部にて隣接しており、それらの間でボタンガイドラッチに関して鋭角を形成する、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
ロック部のベアリング面はロック面に隣接しており、
ロック面はロック部の後方の端部に配置されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
本体の側面は、起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
注射針と流体連通するチャネルと、
リザーバーとチャネルとの間に配置され、リザーバーからチャネルへの薬剤の送達を、選択的に許容するバルブと、
起動前位置から起動された位置へ移動可能な駆動ばねと、
起動前位置と起動された位置との間を移動でき、ロータおよび駆動ばねの夫々の起動前位置にて駆動ばねを支えるロータと、をさらに備える装置であって、
底部囲いは患者の皮膚に接触するための底面を含み、底部囲いの底面はロータが回転可能に周りに配置されている略円筒状のハウジングを含み、加圧システムは円筒状ハウジングの中に配置されており、
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームはロータを起動の位置へ動かし、それによって、リザーバーを加圧するために加圧システムを解放し、注射針を駆動して、患者の皮膚を刺すために駆動ばねを解放して起動された位置に移動させ、起動ボタンはリザーバーからチャネルを経て注射針に至る薬剤の送達を許容するためにバルブを開く、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
ロータは起動された位置を過ぎる起動ボタンの実質的な前方への動きを防止する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
上部囲い、および底部囲いを有し、当該底部囲いはボタンガイドラッチを含む表面を有する本体と、
薬剤を収容するために本体の中に配置されたリザーバーと、
患者の皮膚に入るための注射針であって、管腔を有し、リザーバーと連通する注射針と、
リザーバーを加圧するための加圧システムと、
移動可能に本体に配置され且つ起動前位置から起動された位置へ移動可能な起動ボタンであって、起動アームを含む起動ボタンと、を備える薬剤送達装置であって
起動ボタンが起動前位置から起動された位置へ動かされたとき、起動アームの端部はボタンガイドラッチと係合し、起動ボタンの復帰動作を防止し、
起動前位置から起動された位置への起動ボタンの動きは、患者の皮膚を刺すために注射針を駆動すること、リザーバーを加圧すること、およびリザーバーと患者針との間の流体連通を確立すること、からなるグループから選択される機能の少なくとも1つを実現する、薬剤送達装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20】
【公表番号】特表2013−514134(P2013−514134A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544451(P2012−544451)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/006575
【国際公開番号】WO2011/075103
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/006575
【国際公開番号】WO2011/075103
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]