説明

自己粘着性気泡性緩衝シート

【課題】任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に簡単に、ほぼ真っ直ぐに引き裂くことができる自己粘着性気泡性緩衝シートを提供する。
【解決手段】ベースフィルム11の片面に、多数の独立気泡12を備えたキャップフィルム13を貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層14が配設され、ベースフィルム11が、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムから構成される、または、ベースフィルム21に、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22が積層されてなる、あるいは、キャップフィルム13に、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22が積層されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己粘着性を備えた気泡性緩衝シート(以下、「自己粘着性気泡性緩衝シート」という)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、衝撃に脆い物品(以下、「被保護物」という)の包装資材、建築土木用の断熱資材、保護養生材として、気泡性緩衝シート(エアセルラー緩衝シート)が使用されている。この気泡性緩衝シートは、通常、ベースとなるフィルム(以下、「ベースフィルム」という)と、このベースフィルムとの間に多数の独立気泡(エアセルラー)を形成して互いに熱融着されたキャップフィルム(緩衝材シート)とを、基本構造として作製されている。
【0003】
また、近年では、前記ベースフィルム側に粘着剤が配設された自己粘着性気泡性緩衝シートも提案されている。このような粘着剤を備えた気泡性緩衝シートとしては、例えば、ベースフィルムとしてのポレオレフィンフィルムの片面に、粘着力が0.7〜25(N/50mm)である粘着剤層を有し、他面に熱可塑性樹脂からなるキャップフィルムを有するものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そしてまた、ベースフィルムと、ポリオレフィンを材料とするキャップフィルムの1枚とを貼り合わせるか、またはキャップフィルム2枚を、独立気泡を外側にして貼り合わせ、ポリオレフィンとしてシングルサイト触媒を用いて製造した長鎖分岐を有する自己粘着性気泡性緩衝シートがある。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、キャップフィルムの独立気泡側、及びベースフィルムのキャップシートと貼り合わされていない面から選択された一部または全部、あるいはベースフィルムに貼り合わされたキャップフィルムの独立気泡の丁面に平面状のトップフィルムを貼り合わせ、当該トップフィルムの表面及びベースフィルムの表面から選択された一部または全部に、粗面化処理剤による粗面化層を有し、この粗面化層の一部または全部に粘着層を有する自己粘着性気泡性緩衝シートがある。(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらにまた、キャップフィルムの表面に未加硫ゴム系接着剤を塗布し、乾燥させた自己粘着性気泡性緩衝シートがある。(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
また、水添ジエン系ランダム共重合体100重量部に対して、オレフィン系重合体を10〜100重量部配合した樹脂塑性物からなる自己粘着性シートがある。(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平9−207260号公報
【特許文献2】特開平9−323753号公報
【特許文献3】特開2000−318070号公報
【特許文献4】特開2002−12268号公報
【特許文献5】特許第3106227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した従来の気泡性緩衝シートや自己粘着性気泡性緩衝シート、あるいは自己粘着性シートは、通常、長尺の形態に製造されて、中芯の周囲に巻き付けたロール状の製品形態で提供される。したがって、使用にあたっては、必要寸法ずつ幅方向(巻き付け方向に対し略直角方向)に切り裂いていた。ここで、従来の気泡性緩衝シートや自己粘着性気泡性緩衝シートは、長手方向(巻き付け方向)へは比較的真っ直ぐに引き裂くことができるが、幅方向へ引き裂こうとすると、左右いずれかの長手方向に曲がって切れる傾向が強い。このため、カッターや鋏等の切断道具を使用して所望寸法に切断する必要があり、不便である。また、カッターや鋏み等の切断道具を使用して切断する際に、切断道具に粘着して切断し難いという欠点もある。
【0009】
そこで、幅方向への引き裂き性を改善するため、気泡性緩衝シートの両側辺に略V字状の切欠きを入れておくことが試みられたが、シートの側縁では幾分引き裂き易くなっても、少し中へ引き裂き進むと左右いずれかに逸れて真っ直ぐに引き裂くことが困難であった。
【0010】
また、気泡性緩衝シートを形成する樹脂材料中に、炭酸カルシウムやフィラーを添加して、気泡性緩衝シートの幅方向への引き裂き性を改善することも試みられたが、機械的強度が低下し、また切り口に延伸がかかったように、ビリビリの状態になって切り口が非常に見苦しくなった。
【0011】
そこで、ベースフィルムに小さな裂孔(ミシン目)を幅方向に列成して、切り裂きラインを一定の間隔毎に設けた気泡性緩衝シートも紹介されている。しかしながら、この気泡性緩衝シートでは、引き裂く位置が決められてしまうため、所望の位置で引き裂くことができないという欠点がある。また、長手方向のサイズを大きくとる場合、幾条もの切り裂きラインが入ることになる。このような場合、切り裂きラインが、気泡性や水密性、あるいは機械的強度に悪影響を及ぼす虞もある。
【0012】
本発明は、このような従来の自己粘着性気泡性緩衝シートを改良することを課題とするものであり、任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に簡単に、ほぼ真っ直ぐに引き裂くことができる自己粘着性気泡性緩衝シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため、本発明は、ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、前記ベースフィルムが、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムから構成されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートを提供するものである。
【0014】
そしてまた、本発明は、ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、前記ベースフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートを提供するものである。
【0015】
さらにまた、本発明は、ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、前記キャップフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートを提供するものである。
【0016】
これらの自己粘着性気泡性緩衝シートは、任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に簡単に、ほぼ真っ直ぐに引き裂くことができる。
【0017】
前記気泡性緩衝シートと、前記粘着剤層との間に、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートの場合、前記ベースフィルムも、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムから構成することができる。
【0018】
また、前記気泡性緩衝シートと、前記粘着剤層との間に、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートの場合、ベースフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層することもできる。
【0019】
そしてまた、本発明にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートは、前記粘着剤層が配設されている面とは反対側の面に、凹部を形成することができる。このようにすることで、前記利点に加え、ロール状に巻いた自己粘着性気泡性緩衝シートから任意の長さで巻き出す際に、粘着剤層を、当該粘着剤層が配設されている面とは反対側の面から、より剥がれやすくすることができ、容易に巻き出すことができる。なお、前記凹部は、例えば、前記独立気泡と対向する位置に配設することもできる。
【0020】
さらにまた、前記熱可塑性フィルムは、インフレーション成形により形成することができる。
【0021】
そしてまた、前記熱可塑性フィルムは、ブロー比4以上で形成した高密度ポリエチレンフィルムから形成することもできる。
【0022】
また、前記熱可塑性フィルムは、ブロー比3以下で形成した低密度ポリエチレンフィルムから形成することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートは、カッターや鋏等の切断道具を使用することなく、任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に簡単に、ほぼ真っ直ぐに引き裂くことができる。また、引き裂きラインによる裂孔が存在しないため、気泡性や水密性、あるいは機械的強度等を損なうことがなく、多岐にわたって使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートについて、図面を参照して説明する。
【0025】
なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の実施例1にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す斜視図、図2は、図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの断面図、図3は、図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートを任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に横裂きしている状態を示す斜視図、図4は、図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの製造工程の一部を示す模式図である。
【0027】
図1〜図3に示すように、実施例1にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート1は、ベースフィルム11と、ベースフィルム11の片面に配設され、多数の独立気泡12を備えたキャップフィルム13と、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側(ベースフィルム11が配設されている面とは反対側の面)に配設された粘着剤層14と、を備えて構成されている。
【0028】
ベースフィルム11は、ブロー比2の延伸比率で形成した低密度ポリエチレンフィルム(密度:約0.92g/cm3、厚さ:約10μm)から構成されている。すなわち、ベースフィルム11は、熱可塑性フィルムであり、幅方向に横裂き可能である。
【0029】
キャップフィルム13は、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:約20μm)から構成されている。このキャップフィルム13に形成されている複数の独立気泡12は、例えば、加熱ロールによって溶融状態で流送されてくるフィルムを、真空吸引ロールで引き取ってキャップ型の凹凸を作出させることで得られたたものであり、このような製造方法は従来から周知である。なお、このキャップフィルム13は、独立気泡12の直径が約10mm、高さが約4mmとなるように製造した。
【0030】
粘着剤層14は、粘着剤を主成分とするものであり、この粘着剤は、通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤等が挙げられる。特に、フィルム成形・気泡性緩衝シートの粘着性・巻き出し等から水素化スチレン・ブタジエン系共重合体が好適である。
【0031】
粘着剤層14の原材料である水素化スチレン・ブタジエン系共重合体としては、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体またはスチレン・ブタジエン系ランダム共重合体を水素添加した熱可塑性エラストマー性の樹脂を用いることができるが、ブロック共重合体をベースとしたものがより適度な粘着性を有しているのでより好適である。使用目的により、水素化スチレン・ブタジエン系共重合体の結合スチレン含有量及び水素添加率を適宜変えることができるが、粘着剤層14同士の粘着性および気泡性緩衝シートの巻き出し容易性の面から、水素化スチレン・ブタジエン系共重合樹脂の結合スチレン含有量は5〜25重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜20重量%であり、フィルム成形性の観点からから水素添加率は80%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上である。
【0032】
この粘着剤層14は、例えば、その粘着力が0.1〜10N(ニュートン)/40mm、好ましくは、0.3〜0.8N/40mm、より好ましくは、0.5〜6N/40mmである。この粘着力は、次のような方法により測定したものである。まず、粘着剤層14同士を貼り合わせて、試料40mm巾の上から2kgゴムローラーを1往復させた後、引張試験機(株式会社東洋精機製作所製、V1−Cストログラフ)を用いて0.3(m/分)の速度で剥離(剥離角度180°)した時の抵抗値を求め、これを粘着力とした。
【0033】
ここで、自己粘着性気泡性緩衝シート1は、例えば、被保護物を包装した際に、粘着剤層14同士を粘着して、この状態を維持するが、粘着剤層14の粘着力が、0.1N/40mm以下であると、粘着剤層14同士が剥がれ易くなる傾向にあり、包んだ状態を維持することが困難となる。
【0034】
また、粘着剤層14の粘着力が、10N/40mm以上であると、粘着剤層14同士が剥がれ難くなり、前記包装を解除すること(再使用すること)が困難となる。また、例えば、ロール状に巻いた自己粘着性気泡性緩衝シート1から任意の長さで自己粘着性気泡性緩衝シート1を巻き出す際に、粘着剤層14が、ベースフィルム11から剥がれ難くなり、スムーズな巻き出しを行うことが困難となる傾向にある。しかしながら、故意に粘着力を高くして、一度包装したら、自己粘着性気泡性緩衝シートを破かない限り、開封不能にし、不正開封を防止することもできる。
【0035】
この粘着剤層14は、図4に示すように、Tダイ100から供給される粘着性フィルム14Aを、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側に、シールロール101により、圧着することにより配設される。なお、この時、キャップフィルム13は、ベースフィルム11に配設されていてもよい。また、粘着剤層14は、予めインフレーション法又はTダイ法で成形したフィルムを用いることもできる。すなわち、図4に示すTダイ100を、ロール状の粘着フィルムに置き換えることもできる。
【0036】
そしてまた、これらのベースフィルム11、キャップフィルム13、粘着剤層14には、帯電防止剤や、紫外線吸収剤、耐候性付与剤、難燃剤等、所望の添加剤を添加してもよい。
【0037】
なお、本発明にかかる粘着剤層14に、粘着剤として、例えば「ダイナロン 4600P(商品名):JSR製」を使用した場合、2.2N/40mmの粘着力が得られた。また、「ダイナロン 4600P(商品名):JSR製」と低密度ポリエチレンとを、8:2の割合で混合したものを使用した場合、2.0N/40mmの粘着力が得られた。さらに、「ダイナロン 1320P(商品名):JSR製」を使用した場合、3.1N/40mmの粘着力が得られた。
【0038】
これに対し、「ダイナロン 4600P(商品名):JSR製」と低密度ポリエチレンとを、6:4の割合で混合したものを使用した場合、粘着力が低く実用的ではないことがわかった。
【0039】
次に、比較のため、ベースフィルムとして、Tダイ法で形成された低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:約15μm)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で自己粘着性気泡性緩衝シート(比較品)を製造した。
【0040】
次いで、実施例1で得た自己粘着性気泡性緩衝シート1と比較品の、横裂き性能を比較したところ、以下の結果を得た。
【0041】
実施例1で得た自己粘着性気泡性緩衝シート:
幅方向(矢印X方向:図3参照)に、JIS K 7128−2 エルメンドルフ引き裂き法に準じて引き裂いたところ、長手方向(矢印Y方向:図3参照)に約3.1度逸れた程度であり、ほぼ真っ直ぐに横裂きすることができた。また、幅方向に手裂きしたところ、±2mm程度の逸れ具合で、十分満足できる程度に真っ直ぐに横裂きすることができた。
【0042】
比較品:
幅方向(矢印X方向:図3参照)に、JIS K 7128−2 エルメンドルフ引き裂き法に準じて引き裂いたところ、長手方向(矢印Y方向:図3参照)に約45.8度逸れた。その後は、1〜4cm裂けて、後は完全に矢印Y方向に裂けた。なお、切り口はガタガタで直線的には切れなかった。
【0043】
なお、実施例1では、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側に、粘着剤層14を配設した場合について説明したが、これに限らず、粘着剤層14は、図5に示すように、ベースフィルム11に配設してもよい。この場合、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側には、バックフィルム15を配設することもできる。
【0044】
また、実施例1では、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側の全面に粘着剤層14を配設した場合について説明したが、これに限らず、粘着剤層14は、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側の少なくとも一部(すなわち、任意の場所)に配設されていればよい。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートについて、図面を参照して説明する。
【0046】
図6は、本発明の実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す斜視図、図7は、図6に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの断面図、図8は、図6に示す自己粘着性気泡性緩衝シートを任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に横裂きしている状態を示す斜視図である。
【0047】
なお、実施例2では、実施例1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図6〜図8に示すように、実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート2と、実施例1にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート1との異なる点は、ベースフィルム21自身を幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムで構成せず、ベースフィルム21に幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22を積層した点である。
【0049】
すなわち、実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート2は、図6〜図8に示すように、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の一方の面に配設され、多数の独立気泡12を備えたキャップフィルム13と、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側(ベースフィルム21が配設されている面とは反対側の面)に配設された粘着剤層14と、ベースフィルム21の他方の面に配設された幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22と、を備えて構成されている。
【0050】
ベースフィルム21は、Tダイ法により形成された低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:約15μm)から構成されている。
【0051】
また、熱可塑性フィルム22は、ブロー比4.5の延伸比率で形成した高密度ポリエチレンフィルム(密度:約0.945、厚さ:約10μm)から構成されている。この熱可塑性フィルム22は、ベースフィルム21の他方の面に熱融着により積層されている。
【0052】
なお、熱可塑性フィルム22を形成する高密度ポリエチレンフィルムとしては、密度が0.93〜0.98g/cm3、MFRが0.1未満のものを好適に使用することができる。
【0053】
次に、この自己粘着性気泡性緩衝シート2と、実施例1で得た比較品との、横裂き性能を実施例1と同様の方法で行ったところ、同様の結果を得た。
【0054】
なお、実施例2では、ベースフィルム21の、キャップフィルム13が配設される面とは反対の面に、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22を配設した場合について説明したが、これに限らず、図9に示すように、ベースフィルム21の熱可塑性フィルム22が配設された面に、キャップフィルム13を配設してもよい。
【実施例3】
【0055】
次に、本発明の実施例3にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートについて、図面を参照して説明する。
【0056】
図10は、本発明の実施例3にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートの断面図である。なお、実施例3では、実施例1及び2で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図10に示すように、実施例3にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート3の、実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート2との異なる点は、ベースフィルム21に幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22を積層する代わりに、キャップフィルム13と粘着剤層14との間に幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム22を積層した点である。
【0058】
すなわち、実施例3にかかる自己粘着性気泡性緩衝シート2は、図10に示すように、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の一方の面に配設され、多数の独立気泡12を備えたキャップフィルム13と、キャップフィルム13の独立気泡12が形成されている側(ベースフィルム21が配設されている面とは反対側の面)に配設された熱可塑性フィルム22と、熱可塑性フィルム22上に配設された粘着剤層14と、を備えて構成されている。
【0059】
次に、この自己粘着性気泡性緩衝シート3と、実施例1で得た比較品との、横裂き性能を実施例1と同様の方法で行ったところ、同様の結果を得た。
【0060】
なお、実施例3では、ベースフィルム21の代わりに、ベースフィルム11を使用してもよい。また、さらにベースフィルム21に熱可塑性フィルム22を積層させてもよい。
【0061】
また、粘着剤層14は、ベースフィルム21のキャップフィルム13が配設されている面とは反対側の面に配設してもよい。
【0062】
そしてまた、図11に示すように、ベースフィルム21の独立気泡12と対向する位置に、凹部31を形成してもよい。このように凹部31を形成することで、ロール状に巻いた自己粘着性気泡性緩衝シート3から任意の長さの自己粘着性気泡性緩衝シート3を巻き出す際に、粘着剤層14を、ベースフィルム21から、より剥がれやすくすることができ、容易に巻き出すことができる。この場合、凹部31の面積は、自己粘着性気泡性緩衝シート10000mm2あたり7000mm2〜8500mm2とすることが好ましい。
【0063】
なお、この凹部31は、ベースフィルム11に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す斜視図である。
【図2】図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの断面図である。
【図3】図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートを任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に横裂きしている状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの製造工程の一部を示す模式図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す断面図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す斜視図である。
【図7】図6に示す自己粘着性気泡性緩衝シートの断面図である。
【図8】図6に示す自己粘着性気泡性緩衝シートを任意の側縁個所から手裂きによって幅方向に横裂きしている状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す断面図である。
【図10】本発明の実施例3にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる自己粘着性気泡性緩衝シートを示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3 自己粘着性気泡性緩衝シート
11、21 ベースフィルム
12 独立気泡
13 キャップフィルム
14 粘着剤層
22 幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルム
31 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、
前記ベースフィルムが、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムから構成されてなる自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項2】
ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、
前記ベースフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層されてなる自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項3】
ベースフィルムの片面に、多数の独立気泡を備えたキャップフィルムを貼り合わせてなる気泡性緩衝シートの片面の少なくとも一部に、粘着剤層が配設されてなる自己粘着性気泡性緩衝シートであって、
前記キャップフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層されてなる自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項4】
前記ベースフィルムが、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムから構成されてなる請求項3記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項5】
前記ベースフィルムに、幅方向に横裂き可能な熱可塑性フィルムが積層されてなる請求項3記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項6】
前記粘着剤層が配設されている面とは反対側の面に、凹部を形成してなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項7】
前記凹部が、前記独立気泡と対向する位置に配設されてなる請求項6記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項8】
前記熱可塑性フィルムが、インフレーション成形により形成されてなる請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項9】
前記熱可塑性フィルムが、ブロー比4以上で形成した高密度ポリエチレンフィルムからなる請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。
【請求項10】
前記熱可塑性フィルムが、ブロー比3以下で形成した低密度ポリエチレンフィルムからなる請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の自己粘着性気泡性緩衝シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−184227(P2008−184227A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99516(P2008−99516)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【分割の表示】特願2003−291738(P2003−291738)の分割
【原出願日】平成15年8月11日(2003.8.11)
【出願人】(592093958)酒井化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】