説明

自律神経の活動電位を計測する装置

【課題】人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を評価できる装置を提供する。
【解決手段】人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を計測する装置において、電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極間から矩形波電流を入力し、次にその外部刺激に対して内蔵より反射した活動電位を計測する。計測結果はソフトプログラムにより電気特性曲線として処理され、ストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を評価する数値演算が実行される。計測結果は数値または色により表示され、コメントが印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体及び動物の自律神経の活動電位を計測する装置並びに人体及び動物の生理機能を評価する手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、職場での健康管理としてメタボリック予防やメンタルヘルス管理が重要であるとの認識が深まりつつある。厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進の為の指針」(メンタルヘルス指針、平成18年3月制定)に基づき職場におけるメンタルヘルス対策を推進している。労働者のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を的確に評価し、個々人に対して効果的な対策を講ずる必要がある。このためにも生体のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を数値的に計測できる装置が健康の保持増進を企画する市場で強く望まれている。
【0003】
従来、人体のストレスを計測する装置として、一酸化窒素合成酵素活性を測定し、その測定値を指標とする方法、微小振動を手の指先など人体の末端部で測定し、この測定値からストレス度を測定する装置及び人体の指先等の末梢部である皮膚温度の低下量を測定し、この低下量をもってストレス度の評価値とする装置などが開示されている。
【特許文献1】特開平08−262025号公報
【特許文献2】特開平09−117440号公報
【特許文献3】特開平08−252226号公報
【0004】
人体のストレスを計測する方法には、心拍変化、唾液や血液の採取による評価があるが、どれも計測してから結果が得られるまでに時間がかかるといったことや、分析に専門的な技術が必要であった。
【0005】
さらに、発明人等は電極センサー、専用BOX、制御部及びモニターで構成された人体のストレスを計測する装置を提案している。
【特許文献4】特開2005−21414公報
【特許文献5】特開2003−19122公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人体のストレスは、一般的に特徴的な症状として発生することが少なく、発生の症状の形態も多様なことが多く、極めて難しい分野である。これはストレスが発生する要因が多種多様なものであり、該要因が複雑に絡み合って複合して発生しているものと考えられる。
【0007】
被測定者にとって、ストレスを計測し、その結果を心理学的に説明されても、この説明自体が難しいものであると、逆にストレスを蓄積されることもある。また、末梢部位の皮膚温度による評価法は環境に影響され易い。血液の化学分析値で評価する方法は、比較的大きな測定装置を必要とし高価な費用を必要とする。
【0008】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであリ、その目的は生体のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を簡易且つ、生体に負担をかけることなく、正確に計測できる装置を提供することにある。健康市場のニーズとして、心身に溜まったストレスが体のどの部位にどれくらいか数値で示す機能や、測定結果に基づく解析結果を自分自身で確かめる(セルフチエック)機能が付加された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ストレスは心の病でもあり、無意識の内に蓄積される。従って、簡易且つ正確にストレスが計測できれば、ストレス蓄積途中でのメンタルヘルスケアなどを施すことも可能となり、精神的な病の予防に対して有効な対策を講じることができる。
【0010】
前記目的を達成するために本発明の装置は、電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極間に無意識レベルの矩形波電流を入力する。次いでこの信号に誘発された活動電位を計測し、電気特性曲線(生体電気応答特性)としてプログラムに取り込む。あらかじめプログラムされた演算処理は、人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を数値解析する。この演算処理では、一回もしくは複数回の連続した計測からそれぞれの電気特性曲線の差分を行う。また電極センサーには、人体に対して 頭部、腹部、下腹部を計測する3種類の電極センサーがある。動物に対して 腹部を計測する1種類の電極センサーがある。解析結果は人体及び動物の各領域のストレス状態を分かり易くモニターに表示する。
【発明の効果】
【0011】
人体及び動物のストレス状態だけでなく抵抗力(免疫力)などの生理機能を評価することができるようになることで、従来のストレス状態だけでなく、身体の状態もより知ることができ、健康状態の指標として役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の装置の計測手順について説明する。一般的に、ストレス状態と自律神経作用には強い相関関係があるといわれている。この自律神経作用は交感神経と副交感神経のバランスにより調整される。本発明の装置では、電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極センサーを通して人体及び動物に矩形波電流を外部刺激として加え、その刺激に誘発された結果、各内蔵(眼球も含む)から反射した活動電位を計測している。図1は計測された活動電位の特性を示したものである。人工的にせよ、一旦外部刺激を受けた内臓は暫くの間活動状態となる。言い換えれば脳中枢神経はこの人工外部刺激をストレスと認識し防護指令として、各内臓に指示を出している状態にある。この防護状態の時に再度全く同じ矩形波電流を加える(図1中線2カーブ)と、外部刺激に対し防護的反射電位を発生する。すなわちこの反射電位の差(1回目の電位と2回目の電位の差)がその計測部位毎の抵抗力(免疫力)として評価できる。
【0013】
本発明の装置の計測プログラムについて説明する。電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極センサーを通して人体及び動物に矩形波電流を入力して刺激する。刺激に対する反応を各電極間の電気特性曲線として変換させ、次いで変換した電気特性曲線から自律神経の活動電位を演算させ、続けてさらに矩形波電流を入力する。1回若しくは複数回の電気特性曲線で人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)が評価でき、例えば、1回目(図1中線1カーブ)と2回目(図1中線2カーブ)の刺激により得られるそれぞれのストレス度合いの計測値の変化量から人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を評価する。演算により得られた結果は数値または色別により表示できる。さらには、結果に対応したコメント等をプリンターにより印字させる。
【0014】
本発明の装置のストレス度合い及び抵抗力(免疫力)の演算について説明する。ストレス度合いの計算式は出力値(v−sec)÷基準値(v−sec)×100=基準値に対する比(%)で演算される。
【0015】
出力値が0v−secの場合(最小値)は基準に対する比0%、出力値が基準値と等しい場合(最適値)は基準値に対する比100%、出力値が基準値の2倍の場合(最大値)は基準値に対する比200%となる。
【0016】
抵抗力(免疫力)は、ストレス度合い計測値の1回目と2回目の計測値の変化量から評価する。
【実施例1】
【0017】
本発明の自律神経の活動電位を計測する装置の実施例を図2により説明する。3、4、5、6はそれぞれ人体の頭、手、足、動物の前足に接触させる電極センサーである。各電極センサーのいずれかを装置に着装し、人体又は動物の部位に接触させる。各電極センサー間に矩形波の信号を入力し、該電極センサー間から刺激に対する反射を電気特性曲線として変換させ、この信号は電気特性曲線として取り込まれる。この曲線の高さ、傾き及びその違いから被測定者の人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を数値演算する。計測結果は表示部7に数値または色で表示され、プリンター8によりコメント等が印刷される。
【0018】
計測の手順を図3により説明する。本発明の装置の電源を投入し起動し、操作ガイドが音声スピーカより流れる。電極センサーを取り付け計測の準備をして計測を開始する。計測結果が数値または色で表示部に表示され、続けて2回目の計測が開始される。計測終了後ストレス度合い、抵抗力(免疫力)、コメント等が印字される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における外部刺激に対する反射電位を示す説明図である。
【図2】本発明の装置の説明図である。
【図3】本発明の装置の計測フローである。
【符号の説明】
【0020】
1 1回目の外部刺激に対する反射電位
2 2回目の外部刺激に対する反射電位
3 電極センサー(人体頭部)
4 電極センサー(人体手部)
5 電極センサー(人体足部)
6 表示部
7 プリンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律神経の活動電位を計測することを目的に、電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極間に矩形波電流を入力することを特徴とする計測装置であって、誘発された活動電位が示す電気特性曲線から人体及び動物のストレス状態や抵抗力(免疫力)などの生理機能を演算する評価手段及びソフトウェア。
【請求項2】
自律神経の活動電位を計測することを目的に、電極センサーを人体又は動物の部位に接触させ、各電極間に矩形波電力を入力することを特徴とする計測装置であって、その矩形波電流は0.1V〜10Vの波高値をもち、1秒間に1〜25回の双極誘導により形成されることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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