説明

自然吸気型燃焼煙装置

【課題】 燃焼装置において、外気を効率よく吸引して燃焼効率を高め、省エネルギーを実現し、炉の耐久性を高じる。
【解決手段】
側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉と、その上部又は下部に連なる複数の小孔を底面に配した前記燃焼炉より広い径の燃焼炉を連通させ、これら各燃焼炉を交互に重ね合わせて構成し、上部に排気口と下部に通炎口を備えた燃焼装置であって、前記広径な燃焼炉の内部に水平方向に複数の小孔を設けた仕切盤を備え、且つ前記側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉の周囲にカバーを設け、且つ外気を吸入する吸込口を設けたものを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を良好となす燃焼装置の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙製品や木製品等の廃棄物、自動車・機械や食品加工等の廃油を燃料とした自然吸気型燃焼装置の不完全燃焼による排煙や有害物質発生の対策は、特許第138656号で提案されている燃焼促進板や、特開2007−242168号公報では廃油燃焼装置における環流式が提案されている。
又特許第3066066号では、炉内に燃焼促進板を設けることで、炉内の空気を高温で長く滞留させることによって、燃焼を促進する特徴を持つ燃焼装置が提案され、特許第3318748号では、送風機によって空気を回転させて供給することで、回転燃焼を生じさせて、炉内外周で二次燃焼をさせる特徴を持つ石油製品回転燃焼ストーブが提案されている。
【0003】
プラスチック片等の燃焼時に大量の空気を必要とする廃棄物の焼却炉は数多く提案
されているが、その多くは大規模な設備のため高額な初期投資が必要であり、二次燃焼のための灯油等の燃料が必要であるためにランニングコストも嵩み、小規模な事業で
は普及が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】第138656号
【特許文献2】特許第3066066号
【特許文献3】特許第3318748号
【特許文献4】特開2007−242168号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃焼装置において、燃焼効率を高め、省エネルギーを実現し、炉の耐久性を高じる。
特に従来燃焼が不良の場合には、例えば、プラスチックの場合煙が多く出て困ることがあるが、その原因は、燃焼が好ましくないことにあった。その為燃焼を良好とすれば、除煙ともなって、一挙両得とすることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決する為に、側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉と、複数の小孔を底面に配した前記燃焼炉より広い径の燃焼炉と
を連通させ、これら各燃焼炉を交互に重ね合わせて構成し、上部に排気口と下部に通炎口を備えた燃焼装置を提案する。
【0007】
前記広径な燃焼炉の内部に水平方向に複数の小孔を設けた仕切盤を設け、それによって、炉内中央を上昇してくる炎を滞留させるとともに燃焼ガスが高温となっている小孔(201)を通過する際に燃焼を助長させるものとする。
【0008】
前記側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉の周囲にカバーを設け、且つ外気を吸入する吸込口を設けることで、一層負圧による給気を助長させるものとする。
【0009】
前記カバーと上記燃焼炉の空間に螺旋流が形成される助勢手段を設けそれによって、一層の給気を助勢させるものとする。
【発明の効果】
【0010】
燃焼に伴う上昇気流によって生じる負圧を利用して、小孔から取り入れられる空気を側の下方より継続的に自然に供給することによって空気不足による不完全燃焼を解消する。
【0011】
側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した垂直な燃焼炉は、炉は螺旋状の
気流を生じさせ、炎とともに外側を上昇してくる燃焼ガスと空気の接触効率を高じ、前記
燃焼炉より径の大きいな燃焼炉は炎の外側を廻旋している燃焼ガスに対して下方外側
より、空気を供給することにより燃焼効率を高める。
【0012】
上昇してくる炎によって過熱される燃焼炉内部に複数の小孔を設けた高温となる 仕切盤は、燃焼温度の低下による不完全燃焼を低減する効果がある。
【0013】
燃料の素材に合わせて複数の前記各燃焼炉を交互に複数重ね合わせることにより最適な燃焼構造を構築し、それぞれの機能を継続的に繰り返し作用させることにより燃焼面積を垂直方向に拡大し、炉内部の部分的な過熱を解消し、炉の耐久性を高じる。
【0014】
自然吸気型により新たな動力を必要としない特徴を持ち、また、送風機による給気機能を備える構造等を有する様々な燃焼装置においても有効な燃焼構造となる。
【0015】
燃焼する炎に対して、螺旋状の気流を生成するための小孔を側面に設けた複数の
燃焼炉と炉内外側を廻旋する燃焼ガスに下方からの空気を取り入れるための小孔を設
けた炉内外側に複数の燃焼炉を重ね合わせる燃焼構造は、それぞれの既述の機能を
有することを満たせば、形状・形態に拘わらず有効である。
【0016】
空間を形成するよう外側にかぶせた筒状体の側面に複数の吸気口を設けたカバーを備えることにより装置内に気流を生成し、炎に対して側面より空気を螺旋状に供給することにより、炎の外側を廻旋している燃焼ガスと空気を効率よく混合することが可能となり燃焼効率を高める。従って、燃焼効率のアップに従い、除煙効果も大となることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の燃焼装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の全体組立図を示す。
【実施例】
【0018】
本発明の好適な実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図3に示されるように、燃焼炉本体(100)上に、本発明の燃焼炉(1)〜(3)が配置される。なお、燃料投入口(100)及び空気取入れ口(102)が示される。
図1は、不燃性の素材によって作られた、垂直に長い円筒状の燃焼炉(1)を設け、且つその上部には、燃焼炉(2)が設けられる。燃焼炉(1)には、小孔(10)が設けられており、垂直方向にそして円周方向に設けられ且つ互いに千鳥状の列をなすように配置される。図1の(2)(3)に示されるように、断面では、この実施例では、対面するように2つの孔が設けられ、その上下方向では180度方向に対面する2つの小孔が各配置されている。
従って、図1に示されるように、その側面で判るように、互い違いになるようになっている。
【0019】
これら小孔は、外気を吸引する為のものであり、千鳥状に配置したのは、旋回流を興すのに好ましいからである。
【0020】
側周面に複数の小孔(6)を千鳥の列を成すように配した垂直に長い円筒状の燃焼炉(1)には、連なって燃焼炉(2)が配置される。
燃焼炉(2)は、前記燃焼炉(1)の内径が広い円筒状であって、内部には、水平方向に複数の小孔を設けた仕切盤(3)を備えており、前記燃焼炉(1)とが連通している。
即ち、燃焼炉(1)の開口(40)と燃焼炉(2)の開口とがつながっており、火炎は、図(1)の(1)に示されるように、上昇してくると水平方向に曲げられ、仕切盤(3)の端部に開けられた開口(302)を通って迂回し、再び180度方向に転換し水平方向に流れて、燃焼炉(1)の開口(50)へ向かう。
この仕切盤(3)は、必要に応じて、取り外し又は挿入できるように、燃焼炉(2)の側面にスリットを設けておき、出し入れができるようにすることも可能である。
【0021】
即ち、炎の上昇に合わせて、側面より継続して空気を供給しながら燃焼距離と時間を長く保つことにより、燃焼を助長するとともに、従来の炉内の一部分が突出して過熱する課題を解消する。
【0022】
燃焼炉(2)にも小孔(301)が、底板(30)に設けられる。その位置は、外部の空気を給気できる位置が好ましいが、火炎が上昇する開口(302)のところが吸引されるのでよい。
【0023】
又、燃焼炉(1)の図1の(1)の上方には、又燃焼炉(3)が設けられる。
この場合には、仕切盤(20)がないだけであり、外気を吸引する点に主眼が置かれる。底部(30)の端部に開口(301)が設けられており、外気を吸引する。
燃焼炉(1)と燃焼炉(2)(3)との結合は、溶接でも可であり、又図1の(1)に示されるように、挿入によって、継ぎ手(40)(41)を設ければ簡単に固定することもできる。
【0024】
このように、燃焼炉は、燃焼炉(1)と燃焼炉(2)とが交互に重ね合わせられ、又は燃焼炉(3)との組み合わせとなっている。
即ち、燃焼炉(1)と燃焼炉(2)を交互に重ね合わせた、上部に排気口(5)と下部に通炎口(5)を備えた燃焼装置の構造を表す断面図である。
【0025】
燃焼炉(1)において、様々な燃焼装置によって点火され通炎口5を通って燃焼ガスを伴いながら上昇してくる炎に対し上昇気流によって生じる負圧を利用して、小孔(10)(20)等から取り入れた空気を、炎の外側から螺旋状に供給し、燃焼炉(2)において燃焼炉(1)より内径が広径なることにより外側に広がった炎に対し、燃焼炉(2)の底面の最も外側且つ外周全長に等間隔に配した小孔(10)より取り入れた空気を下方から供給し燃焼効率を高じる。
【0026】
従って、小孔や開口の方向を螺旋状の流れを助走させる為に、傾斜させておくことも
考えられる。
図1の(1)の下方に示されるように、小孔(101)は上方に傾斜して開けられている。これに対して、小孔(102)では、逆方向に下方向に傾斜して設けられている。この場
合には、渦流が起こり攪拌効果がもたらされる。
同様に、燃焼炉(2)(3)でも、開口(201)(202)(301)も傾斜して設けることが可能である。図1の(2)の、燃焼炉(1)のA-A、B=B断面で示されるように、螺旋流の助勢が出来るよう傾斜している。勿論、燃焼炉(2)(3)でも螺旋流の助勢の方向に傾斜して設けることができる。
【0027】
更に、螺旋状の流れを助長するために螺旋の形成手段として、螺旋状の階段を、燃焼炉(1)の周囲に設ければ、より一層螺旋流れの形成に役に立つのが理解される。
図2の(1)(2)に示されように、燃焼炉(1)の周囲にカバー(7)を設けることが螺旋流を形成する上で、有効である。
【0028】
この実施例では、内部に形成される回廊(70)に沿って、この場合、小孔(10)は、千鳥状に配置されるので、螺旋流が生じるのであり、燃焼効率は、その混合によって高まる。吸気口3から取り入れられた空気によって、燃焼炉1の内壁と炎との間及び燃焼炉(1)の外壁とカバー(7)との空間に気流を生成することにより炉の冷却を図り、炉の耐久性を高める。
【0029】
即ち、カバー(7)によって、空間を形成するよう外側にかぶせた燃焼炉(1)の筒状体の側面に複数の吸気口(701)を設けたカバーを備えることにより装置内に気流を生成し、炎に対して側面より空気を螺旋状に供給することにより、炎の外側を廻旋している燃焼ガスと空気を効率よく混合することが可能となり燃焼効率を高める。
【0030】
この場合、外気は、吸気口(701)より給引される。上昇する炎と燃焼ガスによって、負圧が生じて吸引され、小孔(10)から燃焼炉(1)内へ入る。この場合、千鳥状の小孔の配置によって螺旋流が形成される。燃焼炉1の大きさによって吸込口(701)を複数設けることも可能であり、送風機等を吸気口3に連結することも可能である。
【0031】
一層螺旋流を形成するには、吸込み口(701)の配置を、図2の(1)のC-C断面に示される、図2の(2)に示すように円周方向へ置けば、自然と旋回力が与えられる。この吸込口(701)は、前記したように状況に応じて複数設けてもよい。図2の(2)に示されるように、小孔(10)の入り口付近にガイド(702)を、開口を覆うように設ければ、吸込みが容易となるのが分かるであろう。
更に、回廊(70)の流路にそって、絞り(703)を設ければ、特に、小孔近くへ設置すれば、一層小孔(10)への流入を容易とする事が出来る。
【0032】
又、回廊(70)内に、更に、図2の(3)(4)に示されるように、小孔(10)に沿って、螺旋の階段を該小孔の開口上部へガイドするように設けることで、一層螺旋流が得られるのが理解される。
又、この螺旋階段は、下方程吸い込まれ易いので、下方程階段の幅を狭くして、上方に行くに従い、広くすることも有効であろう。
【0033】
仕切盤(3)は上昇してくる炎によって過熱され、赤熱する素材で作られていること により燃焼温度の低下を防ぎ、仕切盤(20)の外側に複数の開口(201)を設けるこ とにより炉内中央を上昇してくる炎を滞留させるとともに、燃焼ガスが高温となっている小孔(201)を通過する際に燃焼を助長させる。
【0034】
複数の燃焼炉(1)と複数の燃焼炉(2)を交互に重ね合わせることにより、燃焼ガスが
燃え尽きるまで空気を供給し続ける構造を構築することが可能であり、それぞれの燃焼炉の機能を継続的に繰り返し作用させ燃焼面積を垂直方向に拡大することにより炉の耐久性を高じることが可能となる。図3の(2)に示されるように、直列となる連結によって多段配置とする事が可能である
【0035】
上昇気流によって生じる負圧を利用して空気を取り入れることにより、新たな動力を必
要とせず、自然吸気として省エネルギーを実現する。
【0036】
燃焼炉(1)は、炉内に生じる不圧を利用して、炎の外側から空気を供給するよう螺旋状の気流を生成する機能を有すれば、形状には拘らない。しかし、断面が、円状であれば、螺旋流が形成し易いのはわかるであろう。
【0037】
燃焼炉(2)は、炉内の炎の外側を廻旋する燃焼ガスに対して、下方から空気を供給する機能を有すれば、円形、角型,多角形等形状に拘らない。
【0038】
小孔は、それぞれ燃焼に適するように、形状、数、大きさ、配置等を設けることが必要
に応じて出来る。
【0039】
本発明の自然吸気型燃焼装置は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者に
よって、種々の変形が本発明の技術思想の範囲内で可能である。その燃焼炉、仕切盤
排気口、通炎口、小孔の形状、材質、規模、配置等は、設計上問題であって、その他の形状、材質、規模、配置においても、本発明の技術思想の範囲内であって逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 燃焼炉
2 燃焼炉
20 仕切盤
3 燃焼炉
4 通炎口
5 排気口
10 小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉と、複数の小孔を底面に配した前記燃焼炉より広い径の燃焼炉とを連通させ、これら各燃焼炉を交互に重ね合わせて構成し、上部に排気口と下部に通炎口を備えたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記内径の広径な燃焼炉の内部に水平方向に複数の小孔を設けた仕切盤を備えことを特徴とする請求項1の燃焼装置。
【請求項3】
前記側周面に複数の小孔を千鳥の列を成すように配した燃焼炉の周囲にカバーを設け、且つ外気を吸入する吸込口を設けたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置
【請求項4】
前記カバーと上記燃焼炉の空間に螺旋流が形成されることを助勢させる手段を設け
たことを特徴とする請求項3記載の燃焼装置
【請求項5】
燃焼炉において、燃焼炎が上昇するに従い、千鳥型の通気口より空気を吸入させて燃焼を良好とし、更に燃焼炎を水平方向へ這わせてん燃焼を助長させることで、燃焼効率を高めることを特徴とする燃焼方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−242121(P2011−242121A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92979(P2011−92979)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(507206000)北海道特殊飼料株式会社 (8)
【Fターム(参考)】