自発光平面表示装置およびその作製方法
【課題】電子源層とカソード電極およびゲート電極との位置合わせの精度を向上させ、低電圧で動作するエミッション特性の優れた自発光平面表示装置を実現する。
【解決手段】電着法により、結晶性の高いナノチューブを、電極作製プロセスの最後で形成する。その結果、エミッション特性に優れた自発光平面表示装置を実現することができる。さらに、カソード電極上にナノチューブ層を電着法により作製するため、カソード電極とナノチューブ層の位置合わせが不要となり、ナノチューブ層とゲート電極の間隔を小さくすることができ、スイッチング動作電圧を低減できる。
【解決手段】電着法により、結晶性の高いナノチューブを、電極作製プロセスの最後で形成する。その結果、エミッション特性に優れた自発光平面表示装置を実現することができる。さらに、カソード電極上にナノチューブ層を電着法により作製するため、カソード電極とナノチューブ層の位置合わせが不要となり、ナノチューブ層とゲート電極の間隔を小さくすることができ、スイッチング動作電圧を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブ等のナノ材料を電子源として用いた自発光平面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノチューブを電子源とした自発光平面表示装置において、電子源となるナノチューブの作製方法として、印刷法と直接成長法が広く用いられている。
【0003】
印刷法とは、ナノチューブを混ぜたペーストを作製し、それをスクリーン印刷等の手法により、直接印刷する方法である。この方法では、電子源層とカソード電極およびゲート電極との高精度の位置合わせが困難である。そのため、電子源層とゲート電極との間隔を10ミクロン以下にすることが出来ず、結果としてスイッチング動作電圧が高くなるという問題があった。また、電極作製プロセスの途中で電子源層を形成する必要があるため、ナノチューブへのプロセスダメージにより、エミッション特性が劣化するという問題があった。
【0004】
また直接成長法とは、カソード電極あるいはその上に形成した金属層を触媒として、ナノチューブをカソード電極上に直接選択的に成長させる方法である。この方法では、基板ガラスの耐熱性から、550℃以下の温度でナノチューブを成長させる必要がある。しかしながら、このような低温では、結晶性の高い,エミッション特性に優れたナノチューブを成長させることは非常に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、電子源層とカソード電極およびゲート電極の位置合わせの精度を向上させるとともに、ナノチューブへのプロセスダメージを低減して、低電圧で動作するエミッション特性の優れた自発光平面表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本書において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
(1) カソード電極と、該カソード電極上に配設されたナノ材料からなる電子放出層と、該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、前記電子放出層が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(2) カソード電極と、該カソード電極上に配設されたナノチューブからなる電子放出層と、該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(3) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、前記複数の電子源が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(4) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノチューブからなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(5) (1)又は(3)に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノ材料が炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(6) (2)又は(4)に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが、炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むことを特徴とする自発光平面表示装置。
(7) (1),(3)及び(5)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(8) (2),(4)及び(6)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(9) (1),(3),(5)及び(7)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(10) (2),(4),(6)及び(8)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(11) (2),(4),(6),(8)及び(10)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが前記カソード電極上に電着法により作製されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エミッション特性に優れ、スイッチング動作電圧の低い自発光平面表示装置を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まずは、電子源を形成するための電着法について、図6を用いて説明する。カソード電極やゲート電極等の電極構造を作製した電子源板601と対向電極602を一定間隔で対向させ、ナノチューブ分散液603中に入れる。次に、電子源板601上のカソード電極にプラス電圧を、対向電極602にマイナス電圧を印加して、一定時間処理することにより、カソード電極の露出表面に、ナノチューブ層を形成することができる。
【0009】
ナノチューブ分散液は、ナノチューブを有機溶剤中に均一に分散させた溶液である。ナノチューブとしては、シングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ、あるいはそれらの混合物を用いることができる。また、ナノチューブ以外のさまざまなナノ構造を有するナノ材料を用いることも可能である。さらに、有機溶剤としては、オクタデシルアミン、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒を用いることが可能である。また、分散法としては、超音波分散法、三本ロール法等の手法を用いることが有効である。
【0010】
次に、電着法の条件であるが、電子源板601と対向電極602は、0.1mm−30mm(例えば0.25mm)の間隔で対向させる。電子源板601に関しては、カソード電極のみに、プラスの電圧を印加する。対向電極602はベタ金属板であり、マイナス電極を印加する。印加する電圧は、数ボルトから数十ボルト程度(例えば15V)であり、電着時間は、数分から数十分(例えば1分)程度である。
【0011】
上記の電着法により、カソード電極の露出表面にナノチューブが付着し、非常に強いファンデルワールス力により、固着させることができる。この固着したナノチューブの表面に、起毛処理を施すことにより、エミッション特性に優れた電子源として用いることができる。ここで、起毛処理には、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0012】
また、上記電着法において、印加電圧の極性をある周波数を持って交番させることにより、カソード電極表面に、金属的なナノチューブのみを、あるいは半導体的なナノチューブのみを選択的に集めることができる。このように、金属的なあるいは半導体的なナノチューブのみで電子源層を構成することにより、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗が、カソード電極面内で均一化するため、電子放出点の密度を大幅に向上させることができる。たとえば、金属的なナノチューブが1/3、半導体的なナノチューブが2/3混在した通常のナノチューブでは、電子放出点の密度が一平方センチメートルあたり一万個であったものが、金属的ナノチューブの割合を90%程度に高めることにより、一平方センチメートルあたり百万個に向上した。
【0013】
本発明では、電着法により、結晶性の高いナノチューブを、電極作製プロセスの最後で形成するため、結果として、エミッション特性に優れた自発光平面表示装置を実現することができる。さらに、カソード電極上にナノチューブ層を電着法により作製するため、カソード電極とナノチューブ層の位置合わせが不要となり、結果としてナノチューブ層とゲート電極の間隔を小さくすることができるため、スイッチング動作電圧を低減することが可能である。
【0014】
上述のような効果が得られる理由としては、次のように考えられる。
【0015】
先ず、ナノチューブを混ぜたペーストをスクリーン印刷等により下地電極に塗布する従来技術により作製した電子源の要部断面を模式的に図7に示す。この場合、下地電極701に印刷されたナノチューブ702の一部のものが、下地電極701に点接触状に接触するが、ナノチューブ702の多くのものが、下地電極701上に乱雑に横倒しに積み重ねられた状態にあり、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗が、カソード電極面内で不均一になるものと推定される。
【0016】
一方、本発明において、電着によりナノチューブ702層を下地電極701上に形成した場合の要部断面を模式的に図8(a)に示す。この場合は、ナノチューブ702層は、下地電極701に線接触状に密着形成される。次いで、このナノチューブ702層に、起毛処理を施した場合の要部断面を模式的に図8(b)に示す。この図から明らかな如く、起毛処理を施された後でも、立ち上がったナノチューブ702の一端は、下地電極701に線接触状に密着しているので、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗の均一性が向上するものと推定される。
【実施例1】
【0017】
次に、本発明の実施例1を、図1(a)、図1(b)、図2、図3、および図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)を用いて説明する。
【0018】
まず、図1(a)、1(b)を用いて、本発明の自発光平面表示装置の全体構成を説明する。図1(a)が上斜め方向から、また図1(b)が下斜め方向から、本発明の自発光平面表示装置を眺めた形状を示している。本自発光平面表示装置は、電子源アレイを作製した電子源板101、電子源の位置に合わせて蛍光体ストライプあるいは蛍光体ドットを作製した蛍光表示板103、電子源板101と蛍光表示板103を一定間隔に保って固定するための枠ガラス102より構成される。また、図中には示さなかったが、画面サイズが大きくなると、枠ガラスで囲まれた内部にも電子源板101と蛍光表示板103の間を一定間隔に保つために、厚さの薄いスペーサが必要となる。
【0019】
次に図2を用いて、電子源板101の構造を説明する。垂直方向に延在する複数本のカソード電極ストライプ202を、水平方向に延在する複数本のゲート電極ストライプ201を形成する。カソード電極ストライプ202とゲート電極ストライプ201は、絶縁膜を挿んで交差し、それぞれの交差点にカーボンナノチューブ電子源(図示せず)を形成する。
【0020】
次に図3を用いて、蛍光表示板103の構造を説明する。電子源の位置に合わせて、赤色,緑色,青色の蛍光体ストライプを形成した構造になっている。まず、電子源の横方向のピッチに合わせて、電子源間の中央の位置にブラックマトリックスのストライプをリフトオフ法により作製する。次にスラリー法により赤色301、緑色302、青色303の蛍光体ストライプによる繰り返しストライプパターンを形成する。各々の蛍光体ストライプが、両側のブラックストライプの中央に配置する。また、図には示さなかったが、蛍光体ストライプを作製した後、全面にアルミニウムを数十から数百nmの厚さに蒸着し、アノード電極を形成した。
【0021】
以上のようにして作製した電子源板101と蛍光表示板103とを枠ガラス102を用いて一定間隔で対峙するように配置し、電子源と蛍光体ストライプの位置を合わせた後、内部を真空にして封止することにより、自発光型表示装置が完成する。
【0022】
電子源板101、蛍光表示板103、および枠ガラス102の接着にはフリットガラスを用いた。接着面にフリットガラスを印刷し、450℃に加熱することにより接着し、図には示さなかったが、別途表示装置に取り付けた排気管から表示装置内部を排気して、排気管を封止切ることにより、封止を行った。そして、カソード電極にカソード信号を、ゲート電極にゲート信号を印加し、さらに蛍光表示板103のアノード電極に、カソード電極に対してプラスの加速電圧を印加することにより、所望の画像を表示させることができた。
【0023】
次に、電子源の構造およびその作製方法を図4(a), 4(b), 4(c), 4(d)を用いて説明する。なお、図4(a), 4(b), 4(c), 4(d)では、本表示装置の電子源アレイにおいて、複数個で、一つのピクセルを構成しているサブピクセルの一つを採り上げて詳細に示す。
【0024】
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板401の表面に、カソード電極402のストライプ構造を印刷法により形成する。印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、印刷カソード電極402の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に抑えることができた。カソード電極402のストライプ構造の幅は30ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は240ミクロンである。カソード電極402の焼成後の膜厚は5ミクロンである。このようなカソード電極402のストライプ構造を、図中X方向に1280×3本配列する(図4(a)には、その内の一本のみを示す)。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、絶縁層403を形成する。絶縁層403の焼成後の膜厚は5ミクロンである。絶縁層403は、電子源ホール404が開いた構造になっている。
【0026】
次に、図4(c)に示すように、図中X方向に延在するゲート電極405を形成する。ゲート電極405の焼成後の膜厚は5ミクロンである。ゲート電極405には電子源ホール406が開いた構造になっている。このような図中X方向に延在しゲート電極405を、図中Y方向に720本配列する(図4(c)には、その内の一本のみを示す)。
【0027】
最後に、図4(d)に示すように、電子源層407を前述の電着法により、カソード電極402の露出部分の表面に形成する。さらに、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0028】
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
【0029】
なお、本実施例において、カソード電極402およびゲート電極405は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の実施例2を図5(a), 5(b),5(c),5(d),5(e)を用いて説明する。
【0031】
まず、図5(a)に示すように、ガラス基板501の表面に、下部ゲート電極502のストライプ構造をスクリーン印刷法により形成する。下部ゲート電極502のストライプ構造の幅は500ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は110ミクロンである。下部ゲート電極502の焼成後の膜厚は5ミクロンである。このような図中X方向に延在する下部ゲート電極502のストライプ構造を図中Y方向に1280×3本配列する(図5(a)には、その内の一本のみを示す)。
【0032】
次に、図5(b)に示すように、下部ゲート電極502の上に、絶縁層503を形成する。絶縁層503は、スクリーン印刷することにより形成し、ゲート電極コンタクトホール504を有する。
【0033】
次に、図5(c)に示すように、上部ゲート電極505とカソード電極506をスクリーン印刷法により、同時に形成する。上部ゲート電極505およびカソード電極506の焼成後の膜厚は5ミクロンである。上部ゲート電極505とカソード電極506の間隔は30ミクロンであり、またカソード電極の幅は30ミクロンである。このような図中Y方向に延在するカソード電極506を図中X方向に720本配列する。
【0034】
次に、図5(d)に示すように、カソード電極マスク層507をスクリーン印刷法により形成する。カソード電極マスク層507の焼成後の膜厚は5ミクロンである。
【0035】
次に、図5(e)に示すように、前述の電着法により、カソード電極506の露出表面に、電子源層508を形成する。
【0036】
印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、下部ゲート電極502の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に押さえることができた。さらに、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0037】
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
【0038】
なお、本実施例において、カソード電極506およびゲート電極505は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1(a)】本発明による自発光平面表示装置を、その上斜め方向から見た分解斜視図である。
【図1(b)】本発明による自発光平面表示装置を、その下斜め方向から見た分解斜視図である。
【図2】本発明による自発光平面表示装置における電子源板の概略構成を説明するための平面図である。
【図3】本発明による自発光平面表示装置における蛍光表示板の概略構成を説明するための平面図である。
【図4(a)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(b)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(c)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(d)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(a)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(b)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(c)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(d)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(e)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図6】本発明による電子源を形成するための電着法を説明するための説明図である。
【図7】従来技術により作製した電子源の要部断面模式図である。
【図8(a)】本発明による電子源の作用効果を説明するための要部断面模式図である。
【図8(b)】本発明による電子源の作用効果を説明するための要部断面模式図である。
【符号の説明】
【0040】
101---電子源板、102---枠ガラス、103---蛍光表示板、201---ゲート電極ストライプ、202---カソード電極ストライプ、301---赤色蛍光体ストライプ、302---緑色蛍光体ストライプ、303---青色蛍光体ストライプ、401---ガラス基板、402---カソード電極、403---絶縁層、404---絶縁層の電子源ホール、405---ゲート電極、406---ゲート電極の電子源ホール、407---電子源層、501---ガラス基板、502---下部ゲート電極、503---絶縁層、 504---絶縁層のゲート電極コンタクトホール、505---上部ゲート電極、506---カソード電極、507---カソード電極マスク層、508---電子源層、601---電子源板、602---対向電極、606---ナノチューブ分散液、701---下地電極、702---ナノチューブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブ等のナノ材料を電子源として用いた自発光平面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノチューブを電子源とした自発光平面表示装置において、電子源となるナノチューブの作製方法として、印刷法と直接成長法が広く用いられている。
【0003】
印刷法とは、ナノチューブを混ぜたペーストを作製し、それをスクリーン印刷等の手法により、直接印刷する方法である。この方法では、電子源層とカソード電極およびゲート電極との高精度の位置合わせが困難である。そのため、電子源層とゲート電極との間隔を10ミクロン以下にすることが出来ず、結果としてスイッチング動作電圧が高くなるという問題があった。また、電極作製プロセスの途中で電子源層を形成する必要があるため、ナノチューブへのプロセスダメージにより、エミッション特性が劣化するという問題があった。
【0004】
また直接成長法とは、カソード電極あるいはその上に形成した金属層を触媒として、ナノチューブをカソード電極上に直接選択的に成長させる方法である。この方法では、基板ガラスの耐熱性から、550℃以下の温度でナノチューブを成長させる必要がある。しかしながら、このような低温では、結晶性の高い,エミッション特性に優れたナノチューブを成長させることは非常に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、電子源層とカソード電極およびゲート電極の位置合わせの精度を向上させるとともに、ナノチューブへのプロセスダメージを低減して、低電圧で動作するエミッション特性の優れた自発光平面表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本書において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
(1) カソード電極と、該カソード電極上に配設されたナノ材料からなる電子放出層と、該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、前記電子放出層が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(2) カソード電極と、該カソード電極上に配設されたナノチューブからなる電子放出層と、該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(3) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、前記複数の電子源が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(4) 複数のカソード電極と、該カソード電極の表面に形成された,ナノチューブからなる複数の電子源と、前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
(5) (1)又は(3)に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノ材料が炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(6) (2)又は(4)に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが、炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むことを特徴とする自発光平面表示装置。
(7) (1),(3)及び(5)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(8) (2),(4)及び(6)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(9) (1),(3),(5)及び(7)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(10) (2),(4),(6)及び(8)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、又は少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
(11) (2),(4),(6),(8)及び(10)のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが前記カソード電極上に電着法により作製されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エミッション特性に優れ、スイッチング動作電圧の低い自発光平面表示装置を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まずは、電子源を形成するための電着法について、図6を用いて説明する。カソード電極やゲート電極等の電極構造を作製した電子源板601と対向電極602を一定間隔で対向させ、ナノチューブ分散液603中に入れる。次に、電子源板601上のカソード電極にプラス電圧を、対向電極602にマイナス電圧を印加して、一定時間処理することにより、カソード電極の露出表面に、ナノチューブ層を形成することができる。
【0009】
ナノチューブ分散液は、ナノチューブを有機溶剤中に均一に分散させた溶液である。ナノチューブとしては、シングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ、あるいはそれらの混合物を用いることができる。また、ナノチューブ以外のさまざまなナノ構造を有するナノ材料を用いることも可能である。さらに、有機溶剤としては、オクタデシルアミン、ジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒を用いることが可能である。また、分散法としては、超音波分散法、三本ロール法等の手法を用いることが有効である。
【0010】
次に、電着法の条件であるが、電子源板601と対向電極602は、0.1mm−30mm(例えば0.25mm)の間隔で対向させる。電子源板601に関しては、カソード電極のみに、プラスの電圧を印加する。対向電極602はベタ金属板であり、マイナス電極を印加する。印加する電圧は、数ボルトから数十ボルト程度(例えば15V)であり、電着時間は、数分から数十分(例えば1分)程度である。
【0011】
上記の電着法により、カソード電極の露出表面にナノチューブが付着し、非常に強いファンデルワールス力により、固着させることができる。この固着したナノチューブの表面に、起毛処理を施すことにより、エミッション特性に優れた電子源として用いることができる。ここで、起毛処理には、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0012】
また、上記電着法において、印加電圧の極性をある周波数を持って交番させることにより、カソード電極表面に、金属的なナノチューブのみを、あるいは半導体的なナノチューブのみを選択的に集めることができる。このように、金属的なあるいは半導体的なナノチューブのみで電子源層を構成することにより、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗が、カソード電極面内で均一化するため、電子放出点の密度を大幅に向上させることができる。たとえば、金属的なナノチューブが1/3、半導体的なナノチューブが2/3混在した通常のナノチューブでは、電子放出点の密度が一平方センチメートルあたり一万個であったものが、金属的ナノチューブの割合を90%程度に高めることにより、一平方センチメートルあたり百万個に向上した。
【0013】
本発明では、電着法により、結晶性の高いナノチューブを、電極作製プロセスの最後で形成するため、結果として、エミッション特性に優れた自発光平面表示装置を実現することができる。さらに、カソード電極上にナノチューブ層を電着法により作製するため、カソード電極とナノチューブ層の位置合わせが不要となり、結果としてナノチューブ層とゲート電極の間隔を小さくすることができるため、スイッチング動作電圧を低減することが可能である。
【0014】
上述のような効果が得られる理由としては、次のように考えられる。
【0015】
先ず、ナノチューブを混ぜたペーストをスクリーン印刷等により下地電極に塗布する従来技術により作製した電子源の要部断面を模式的に図7に示す。この場合、下地電極701に印刷されたナノチューブ702の一部のものが、下地電極701に点接触状に接触するが、ナノチューブ702の多くのものが、下地電極701上に乱雑に横倒しに積み重ねられた状態にあり、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗が、カソード電極面内で不均一になるものと推定される。
【0016】
一方、本発明において、電着によりナノチューブ702層を下地電極701上に形成した場合の要部断面を模式的に図8(a)に示す。この場合は、ナノチューブ702層は、下地電極701に線接触状に密着形成される。次いで、このナノチューブ702層に、起毛処理を施した場合の要部断面を模式的に図8(b)に示す。この図から明らかな如く、起毛処理を施された後でも、立ち上がったナノチューブ702の一端は、下地電極701に線接触状に密着しているので、カソード電極とエミッションに寄与するナノチューブ間の電気抵抗の均一性が向上するものと推定される。
【実施例1】
【0017】
次に、本発明の実施例1を、図1(a)、図1(b)、図2、図3、および図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)を用いて説明する。
【0018】
まず、図1(a)、1(b)を用いて、本発明の自発光平面表示装置の全体構成を説明する。図1(a)が上斜め方向から、また図1(b)が下斜め方向から、本発明の自発光平面表示装置を眺めた形状を示している。本自発光平面表示装置は、電子源アレイを作製した電子源板101、電子源の位置に合わせて蛍光体ストライプあるいは蛍光体ドットを作製した蛍光表示板103、電子源板101と蛍光表示板103を一定間隔に保って固定するための枠ガラス102より構成される。また、図中には示さなかったが、画面サイズが大きくなると、枠ガラスで囲まれた内部にも電子源板101と蛍光表示板103の間を一定間隔に保つために、厚さの薄いスペーサが必要となる。
【0019】
次に図2を用いて、電子源板101の構造を説明する。垂直方向に延在する複数本のカソード電極ストライプ202を、水平方向に延在する複数本のゲート電極ストライプ201を形成する。カソード電極ストライプ202とゲート電極ストライプ201は、絶縁膜を挿んで交差し、それぞれの交差点にカーボンナノチューブ電子源(図示せず)を形成する。
【0020】
次に図3を用いて、蛍光表示板103の構造を説明する。電子源の位置に合わせて、赤色,緑色,青色の蛍光体ストライプを形成した構造になっている。まず、電子源の横方向のピッチに合わせて、電子源間の中央の位置にブラックマトリックスのストライプをリフトオフ法により作製する。次にスラリー法により赤色301、緑色302、青色303の蛍光体ストライプによる繰り返しストライプパターンを形成する。各々の蛍光体ストライプが、両側のブラックストライプの中央に配置する。また、図には示さなかったが、蛍光体ストライプを作製した後、全面にアルミニウムを数十から数百nmの厚さに蒸着し、アノード電極を形成した。
【0021】
以上のようにして作製した電子源板101と蛍光表示板103とを枠ガラス102を用いて一定間隔で対峙するように配置し、電子源と蛍光体ストライプの位置を合わせた後、内部を真空にして封止することにより、自発光型表示装置が完成する。
【0022】
電子源板101、蛍光表示板103、および枠ガラス102の接着にはフリットガラスを用いた。接着面にフリットガラスを印刷し、450℃に加熱することにより接着し、図には示さなかったが、別途表示装置に取り付けた排気管から表示装置内部を排気して、排気管を封止切ることにより、封止を行った。そして、カソード電極にカソード信号を、ゲート電極にゲート信号を印加し、さらに蛍光表示板103のアノード電極に、カソード電極に対してプラスの加速電圧を印加することにより、所望の画像を表示させることができた。
【0023】
次に、電子源の構造およびその作製方法を図4(a), 4(b), 4(c), 4(d)を用いて説明する。なお、図4(a), 4(b), 4(c), 4(d)では、本表示装置の電子源アレイにおいて、複数個で、一つのピクセルを構成しているサブピクセルの一つを採り上げて詳細に示す。
【0024】
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板401の表面に、カソード電極402のストライプ構造を印刷法により形成する。印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、印刷カソード電極402の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に抑えることができた。カソード電極402のストライプ構造の幅は30ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は240ミクロンである。カソード電極402の焼成後の膜厚は5ミクロンである。このようなカソード電極402のストライプ構造を、図中X方向に1280×3本配列する(図4(a)には、その内の一本のみを示す)。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、絶縁層403を形成する。絶縁層403の焼成後の膜厚は5ミクロンである。絶縁層403は、電子源ホール404が開いた構造になっている。
【0026】
次に、図4(c)に示すように、図中X方向に延在するゲート電極405を形成する。ゲート電極405の焼成後の膜厚は5ミクロンである。ゲート電極405には電子源ホール406が開いた構造になっている。このような図中X方向に延在しゲート電極405を、図中Y方向に720本配列する(図4(c)には、その内の一本のみを示す)。
【0027】
最後に、図4(d)に示すように、電子源層407を前述の電着法により、カソード電極402の露出部分の表面に形成する。さらに、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0028】
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
【0029】
なお、本実施例において、カソード電極402およびゲート電極405は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の実施例2を図5(a), 5(b),5(c),5(d),5(e)を用いて説明する。
【0031】
まず、図5(a)に示すように、ガラス基板501の表面に、下部ゲート電極502のストライプ構造をスクリーン印刷法により形成する。下部ゲート電極502のストライプ構造の幅は500ミクロンであり、また隣のストライプとの間隔は110ミクロンである。下部ゲート電極502の焼成後の膜厚は5ミクロンである。このような図中X方向に延在する下部ゲート電極502のストライプ構造を図中Y方向に1280×3本配列する(図5(a)には、その内の一本のみを示す)。
【0032】
次に、図5(b)に示すように、下部ゲート電極502の上に、絶縁層503を形成する。絶縁層503は、スクリーン印刷することにより形成し、ゲート電極コンタクトホール504を有する。
【0033】
次に、図5(c)に示すように、上部ゲート電極505とカソード電極506をスクリーン印刷法により、同時に形成する。上部ゲート電極505およびカソード電極506の焼成後の膜厚は5ミクロンである。上部ゲート電極505とカソード電極506の間隔は30ミクロンであり、またカソード電極の幅は30ミクロンである。このような図中Y方向に延在するカソード電極506を図中X方向に720本配列する。
【0034】
次に、図5(d)に示すように、カソード電極マスク層507をスクリーン印刷法により形成する。カソード電極マスク層507の焼成後の膜厚は5ミクロンである。
【0035】
次に、図5(e)に示すように、前述の電着法により、カソード電極506の露出表面に、電子源層508を形成する。
【0036】
印刷ペースト中の金属粒子の形状や平均粒径、およびペースト組成を最適化することにより、下部ゲート電極502の表面の凹凸を0.5ミクロン以下に押さえることができた。さらに、カーボンナノチューブを起毛させるための表面処理を行う。これには、レーザ照射、プラズマ処理、機械的処理等の手法を用いることができる。
【0037】
以上のようにして、ゲート動作が可能なカーボンナノチューブ電子源構造を作製することができた。
【0038】
なお、本実施例において、カソード電極506およびゲート電極505は、銀、銅等の必要な電気伝導性を有するいかなる金属あるいは合金を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1(a)】本発明による自発光平面表示装置を、その上斜め方向から見た分解斜視図である。
【図1(b)】本発明による自発光平面表示装置を、その下斜め方向から見た分解斜視図である。
【図2】本発明による自発光平面表示装置における電子源板の概略構成を説明するための平面図である。
【図3】本発明による自発光平面表示装置における蛍光表示板の概略構成を説明するための平面図である。
【図4(a)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(b)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(c)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図4(d)】本発明の実施例1の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(a)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(b)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(c)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(d)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図5(e)】本発明の実施例2の構造及びその作製方法を説明するための斜視図である。
【図6】本発明による電子源を形成するための電着法を説明するための説明図である。
【図7】従来技術により作製した電子源の要部断面模式図である。
【図8(a)】本発明による電子源の作用効果を説明するための要部断面模式図である。
【図8(b)】本発明による電子源の作用効果を説明するための要部断面模式図である。
【符号の説明】
【0040】
101---電子源板、102---枠ガラス、103---蛍光表示板、201---ゲート電極ストライプ、202---カソード電極ストライプ、301---赤色蛍光体ストライプ、302---緑色蛍光体ストライプ、303---青色蛍光体ストライプ、401---ガラス基板、402---カソード電極、403---絶縁層、404---絶縁層の電子源ホール、405---ゲート電極、406---ゲート電極の電子源ホール、407---電子源層、501---ガラス基板、502---下部ゲート電極、503---絶縁層、 504---絶縁層のゲート電極コンタクトホール、505---上部ゲート電極、506---カソード電極、507---カソード電極マスク層、508---電子源層、601---電子源板、602---対向電極、606---ナノチューブ分散液、701---下地電極、702---ナノチューブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード電極と、
該カソード電極上に配設されたナノ材料からなる電子放出層と、
該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、
前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、
前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、
真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、
前記電子放出層が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項2】
カソード電極と、
該カソード電極上に配設されたナノチューブからなる電子放出層と、
該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、
前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、
前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、
真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、
前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項3】
複数のカソード電極と、
該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、
前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、
かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、
前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、
前記複数の電子源が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項4】
複数のカソード電極と、
該カソード電極の表面に形成された,ナノチューブからなる複数の電子源と、
前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、
かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、
前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、
前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノ材料が炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項6】
請求項2又は4に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが、炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むことを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項7】
請求項1,3及び5のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項8】
請求項2,4及び6のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項9】
請求項1,3,5及び7のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項10】
請求項2,4,6及び8のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項11】
請求項2,4,6,8及び10のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが前記カソード電極上に電着法により作製されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項1】
カソード電極と、
該カソード電極上に配設されたナノ材料からなる電子放出層と、
該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、
前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、
前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、
真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、
前記電子放出層が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項2】
カソード電極と、
該カソード電極上に配設されたナノチューブからなる電子放出層と、
該電子放出層から放出される電子の量を制御するために、前記電子放出層に対向して配設されたゲート電極と、
前記カソード電極に印加される電圧より高い電圧が印加されるアノード電極と、
前記放出される電子により励起され可視光を発生する蛍光体と、
真空外囲器とを備えた自発光平面表示装置において、
前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項3】
複数のカソード電極と、
該カソード電極の表面に形成された,ナノ材料からなる複数の電子源と、
前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、
かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、
前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、
前記複数の電子源が、前記カソード電極上に電着により形成されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項4】
複数のカソード電極と、
該カソード電極の表面に形成された,ナノチューブからなる複数の電子源と、
前記カソード電極とは電気的に絶縁されて形成され,前記電子源から放出される電子の量を制御するための電位が印加される複数のゲート電極とを備え、
かつ複数の電子源がマトリックス状に配置されてなり、
前記複数のカソード電極を複数組に分割して各組ごとのカソード電極を電気的に接続する複数のカソードラインと、
前記複数のゲート電極を複数組に分割して各組ごとのゲート電極を電気的に接続する複数のゲートラインとを有し、
前記複数のカソードラインおよび前記複数のゲートラインの内の一部分をそれぞれ選択することにより、前記複数の電子源の中の所望の電子源から電子を放出させるよう構成された自発光平面表示装置において、
前記ナノチューブの一端が前記カソード電極に線接触で固着されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノ材料が炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項6】
請求項2又は4に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが、炭素、窒素、ホウ素のうち、少なくとも一種類以上の元素を含むことを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項7】
請求項1,3及び5のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項8】
請求項2,4及び6のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが半導体的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が半導体的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項9】
請求項1,3,5及び7のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項10】
請求項2,4,6及び8のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが金属的性質を有するシングルウォールナノチューブ、もしくは少なくとも最外郭層が金属的性質を有するマルチウォールナノチューブであることを特徴とする自発光平面表示装置。
【請求項11】
請求項2,4,6,8及び10のうちの何れか1項に記載の自発光平面表示装置において、前記ナノチューブが前記カソード電極上に電着法により作製されていることを特徴とする自発光平面表示装置。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【公開番号】特開2007−265645(P2007−265645A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85407(P2006−85407)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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