自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラム
【課題】表示パネルの寿命を効果的に延ばす適当な技術が存在しない。
【解決手段】表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置に、(a)1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、(b)数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、(c)特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部とを搭載する。
【解決手段】表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置に、(a)1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、(b)数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、(c)特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部とを搭載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低減できる技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラムとしての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、広視野角特性、応答速度、広色再現性範囲、高コントラスト性能に優れるだけでなく、表示パネル自体を薄く形成することができる。これらの利点のため、有機ELディスプレイは、次世代フラットパネルディスプレイの最有力候補として注目されている。
しかし、有機ELディスプレイをテレビジョン番組の視聴用途で使用するには、発光素子の発光特性を更に改善する必要がある。
【0003】
ところが、表示素子を構成する有機EL素子の開発、特に材料開発には膨大な時間と費用が必要となる。このため、有機EL素子の駆動方法を改善することにより、寿命を改善する方法が必要となる。
例えば、特許文献1には、発光素子の駆動電圧の変化量を検出し、その変化量に応じて定電流駆動信号を制御する方法が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、有機EL素子が発光しない間、有機EL素子が劣化しないように逆バイアスを印加する方法が開示されている。
また例えば、特許文献3には、画素回路の容量に保持される電荷を積極的に放電することにより、不要な発光時間を抑える方法が開示されている。
【特許文献1】特開5−17826号公報
【特許文献2】特開2003−150110号公報
【特許文献3】特開2002−169509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている発明は、各画素の輝度低下分に対する電流量を調整することで輝度低下を防ぐ方法であり、表示素子の輝度低下を加速させるだけである。従って、有機ELパネルの寿命を改善することはできない。
また、特許文献2に開示されている発明は、リーク電流に起因した輝度低下については改善できるが、積極的に寿命を改善することはできない。
また、特許文献3に開示されている発明も、不要な発光時間に起因した輝度低下については改善できるが、やはり積極的に寿命を改善することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者らは、表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御できる場合に、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低減できる技術手法を提案する。
すなわち、1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出機能と、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出機能と、特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御機能とを実行する手法を提案する。
【発明の効果】
【0007】
発明に係る手法の採用により、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低下させることができる。この結果、視聴画質に影響を与えることなく、表示パネルの長寿命化を実現できる。また同時に、表示パネルの消費電力化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明に係る処理機能を搭載した有機ELパネルモジュールを例に、自発光表示装置を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0009】
(A)ピーク輝度の調整
表示パネルの使用期間中にピーク輝度がa%低下すれば、表示パネルの信頼性時間をa%程度改善することができる。例えば、10%のピーク輝度の低下は表示パネルの信頼性時間を10%程度改善することができる。勿論、ピーク輝度が下がれば低消費電力化も実現できる。
そこで、表示パネルのピーク輝度を調整する手法について説明する。
【0010】
表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される出力電圧(出力電流)又は発光時間の可変制御により調整することができる。
図1に、発光時間と発光輝度との関係を示す。図1に示すように、発光輝度は発光時間に対して線形に変化する。
図2(A)に、表示素子に印加される出力電圧と発光輝度との関係を示す。図2(B)に、入力映像信号の階調値(%)と表示素子に印加される出力電圧(基準値を100%で表す。)との間の入出力関係を示す。
【0011】
ここで、図2(B)に実線で示す曲線は基準値に対応する入出力関係であり、破線で示す曲線は最大データの入力時に表示素子に印加される最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を可変制御した場合の入出力関係を示す。図2に示すように、同じ入力階調値でも最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax
)を可変制御すると、発光輝度が可変制御される。
【0012】
さて、表示パネルのピーク輝度は、最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )と発光時間との積Sで与えられる。
従って、発光時間又は最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を個別に可変制御すれば、表示パネルのピーク輝度を可変制御することが可能となる。
【0013】
(B)物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件
前述したように、ピーク輝度を低下させることができれば、表示パネルの長寿命化や低消費電力化を実現できる。しかし、そのためにピーク輝度の低下が人に知覚され、画質の劣化として認識されることは避ける必要がある。
発明者らは、人の目は同じ表示パターン(変化の少ない映像を含む。)を見続ける場合、時間をかけて徐々にピーク輝度を低下させると、ピーク輝度の低下をほとんど知覚できないことを実験により確認した。以下、実験により確認した特定条件について説明する。
【0014】
(B−1)最適条件例
図3に、発明者らが実験により確認した物理的な最適条件例を示す。図3は、横軸に時間(分)、縦軸にピーク輝度レベル(階調データの最大値が入力される場合の発光輝度を100%とする。)で示す。
図中、太線の外枠で示す範囲が、発明者らが実験を通じて確認した最適条件である。最適条件の範囲は、制御開始後の低下速度と制御開始後の低減量の下限とで与えられる。
【0015】
なお、ここで説明する最適条件は、全ての映像作品又は番組に対して最適であることを意味するのではない。実装時には、映像作品又は番組の内容や表示パネル等の特性に応じて最適な条件を求めることが要求される。
発明者らは、低下速度の最大値として30秒で最大ピーク値の50%まで低下させることを提案する。また、発明者らは、低下速度の最小値として60分で最大ピーク値の95%(従って、低下量は5%)まで低下させることを提案する。
【0016】
勿論、低下速度をより低速にすることは可能であるが、その場合には目的である長寿命化と低消費電力化の効果が顕著とは言えなくなく。このため、ここでは前述した条件を例示している。
また、低下速度をより高速化しても実用に支障が生じない可能性も考えられなくはない。しかし、ピーク輝度の低下速度があまり大きくなると(結果的に低下量が大きくなると)、人の目にピーク輝度の変化が知覚され易くなるためあまり好ましくない。
【0017】
図3に示す外枠で囲まれた範囲内であれば、物理的なピーク輝度の低下を人が視覚的に知覚することは難しい。
なお実用的には、図3中に網掛け表示したように、45秒間で最大ピーク値の65%まで低下させる速度以下、30分で最大ピーク値の92%まで低下させる速度以上であることが望まれる。
【0018】
さらに好ましくは、図4に太線の外枠で囲んだ範囲、すなわち1分間で最大ピーク値の75%まで低下させる速度以下、3分間で最大ピーク値の90%まで低下させる速度以上であることが望ましい。この範囲内での低下制御は、ほぼ全ての映像に適用できる。
なお、発明者らの実験結果では、1分間で最大ピーク値の90%くらいまでピーク輝度を低下させる速度以上であって、3分間で最大ピーク値の80%くらいまでピーク輝度を低下させる速度以下の範囲が最も良い結果が得られた。
【0019】
なお、低下速度については、以下のように条件を与えることもできる。図5は、低下速度の上限値を与える例である。低下速度の上限値は、図3の場合と同様、30秒間で最大ピーク値の50%まで低下させる速度で与えられる。そして、最適値は、30秒間で最大ピーク値の12.5%まで低下させる速度で与えられる。
これらの条件を満たすことが、ピーク輝度の低下による画質の低下を知覚させずに表示パネルの長寿命化と低消費電力化の実現に効果的である。
【0020】
ところで、前述した最適範囲には例外もある。例えば、非常に短時間では急激にピーク輝度を低下させても人にピーク輝度の変化を知覚させずに済む場合がある。
図6に、そのような最適条件の一例を示す。図6は、3秒以内に最大ピーク値の93%(30秒に換算すると最大ピーク値の30%)まで低下させるが、その後はこの低下分も含めて1分以内に最大ピーク値の90%まで低下させる例を示している。
【0021】
このように瞬間的にはピーク輝度を急変させても、その後はピーク輝度を漸減させるように制御することにより、目的とする効果を十分に発揮させることができる。
なお、かかる急激なピーク輝度の低下制御は低下開始直後に限定されず、低下制御中のどの時点で実行しても良い。要するに、低下制御のある期間内での低下量が一定範囲内に収まれば、一時的にピーク輝度を急変させても良い。
【0022】
(C)有機ELパネルの構造例
続いて、前述したピーク輝度の低下制御を可能とする有機ELパネルモジュールの構造例を説明する。
図7に、有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。有機ELパネルモジュール1は、発光領域3A(有機EL素子がマトリクス状に配列された領域)と、画像の表示を制御するパネル駆動回路とで構成される。
パネル駆動回路は、データドライバ5、最大出力電圧制御用ドライバ7A、ゲートスキャンドライバ7B、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cで構成される。なお、パネル駆動回路は、発光領域3Aの周辺部に形成する。
【0023】
各画素に対応する有機EL素子3Bとその駆動回路(画素駆動回路)3Cは、データ線3Dと走査線3Eの交点位置に配置されている。画素駆動回路3Cは、データスイッチ素子T1、キャパシタC1、電流駆動素子T2、点灯スイッチ素子T3で構成される。
このうち、データスイッチ素子T1は、データ線3Dを通じて与えられる電圧値の取り込みタイミングを制御するのに用いられる。取り込みタイミングは、走査線3Eを通じて線順次で与えられる。
【0024】
キャパシタC1は、取り込んだ電圧値を1フレームの間保持するのに用いられる。キャパシタC1を用いることで、面順次駆動が実現される。
電流駆動素子T2は、キャパシタC1の電圧値に応じた電流を有機EL素子3Bに供給するのに用いられる。駆動電流は、電流供給線3Fを通じて供給される。なお、この電流供給線3Fには、最大出力電圧制御用ドライバ7Aを通じて最大出力電圧Vmax が印加される。
【0025】
点灯スイッチ素子T3は、有機EL素子3Bに対する駆動電流の供給を制御するのに用いられる。点灯スイッチ素子T3は、駆動電流の供給経路に対して直列に配置される。点灯スイッチ素子T3が閉じている間、有機EL素子3Bが点灯する。一方、点灯スイッチ素子T3が開いている間、有機EL素子3Bが消灯する。
この点灯スイッチ素子T3の開閉動作を制御するデューティパルス(図8(B1)〜(Bn))を供給するのが点灯制御線3Gである。
なお、図8(A)は、基準期間としての1フレーム期間を示す。また、図8(B1)から図8(Bn)の順番にデューティパルスによる発光時間が長くなる。
【0026】
ここで、電流供給線3Fに印加する電圧の印加制御は、最大出力電圧制御用ドライバ7Aが実行する。また、発光時間の可変制御は、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cが実行する。これらドライバの制御信号は、後述する発光条件制御装置より供給される。
なお、ピーク輝度を発光時間長で制御する制御を採用する場合には、最大出力電圧制御用ドライバ7Aは全てのフレームについて固定電圧を供給する。一方、ピーク輝度を最大出力電圧Vmax で制御する手法を採用する場合には、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cは、全てのフレームについて固定比のデューティパルスを供給する。
【0027】
図9に、画素駆動回路3Cを形成した発光領域3Aを搭載する有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。図9の場合、発光条件制御装置11は、タイミングジェネレータ9の一部分として実装する。
なお、発光領域3Aの周辺回路(パネル駆動回路)は、半導体集積回路としてパネル基板上に搭載しても良いし、パネル基板上に半導体プロセスを用いて直接形成しても良い。
【0028】
(D)発光条件制御装置の形態例
以下、ピーク輝度の低下制御を実現する発光条件制御装置11(図9)の形態例を説明する。
【0029】
(D−1)形態例1
図10に、発光時間の制御によりピーク輝度を低下制御するのに好適な発光条件制御装置11の構成例を示す。
この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、特定条件検出部15と、基準デューティ比信号生成部17と、デューティ比信号制御部19とで構成する。
平均階調値算出部13は、1フレーム毎に映像信号の平均階調値APLn をフレーム単位で算出する処理デバイスである。なお、ここでの添字nは、時間(例えばフレーム番号)を意味する。
【0030】
特定条件検出部15は、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値APLn の平均値Cn に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理デバイスである。
ここで、特定条件検出部15は、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値APLn
の区間平均値Cn に対する最新フレームの平均階調値APLn の変化率を逐次算出し、算出された変化率がしきい値Bよりも小さい場合に、特定条件を満たすフレームが出現したものと判定する。
【0031】
図11に、区間平均値Cn の算出原理を示す。図11に示すように、特定条件検出部15は、直近m個の平均階調値APLi 〜APLi+m を保存し、その総和をフレーム数mで除算演算することにより区間平均値Cn
を算出する。ここでの添字iは、時間(例えばフレーム番号)である。
図12に、特定条件検出部15で実行される特定条件の検出手順例を示す。なお、図12は、特定条件の検出後に実行されるピーク輝度を図13に示す低下条件に従って低下させるものとして表している。図13は、3分間で最大ピーク輝度の90%までピーク輝度を定速で低減させる場合を表している。
【0032】
図12の説明に戻る。特定条件検出部15は、前述したように直近m個の平均階調値APLに基づいて区間平均値Cn を算出すると(SP1)、区間平均値Cn と現フレームの平均階調値APLn
との差分の絶対値を区間平均値Cn で除算演算して変化率を算出し、変化率がしきい値B以上か否かを判定する(SP2)。
変化率がしきい値B以上の場合、特定条件検出部15は、肯定結果を得てピーク輝度の低下機能をオン状態に制御する。一方、変化率がしきい値B未満の場合、特定条件検出部15は、否定結果を得てピーク輝度の低下機能をオフ状態に制御する。
【0033】
この形態例の場合、しきい値Bを10%に設定する。
勿論、しきい値Bは、10%以下のより小さい値でも良い。しかし、しきい値Bが小さすぎると、画面の切り替わりや階調平均値のちょっとした変化にも反応し、ピーク輝度の低下機能が動作しなくなってしまう。すなわち、表示パネルの長寿命化等の効果が十分に発揮され難くなる。
また、しきい値Bは、10%以上のより大きい値でも良い。しかし、しきい値Bが大きすぎると、画面の切り替わり後もピーク輝度の低下機能が継続してしまい、本来のピーク輝度での表示が実行され難くなる。
【0034】
以上のように、直近フレームの平均輝度に対して10%未満の輝度変化が検出された場合、特定条件検出部15は、ピーク輝度の低下機能を動作させ、低下量α%を図13の低下条件を満たす傾きdだけ加算する(SP3)。
ただし、低下量α%の上限値Eは10%に制限されるため、特定条件検出部15は、更新後の低下量α%が上限値E以下か否かを判定し(SP4)、更新後の低下量が上限値Eを越える場合にはこれを上限値Eに制限する処理を実行する(SP5)。
勿論、更新後の低下量α%が上限値E以下の場合には、算出された低下量α%がそのまま、デューティ比信号制御部19に与えられる。
【0035】
一方、直近フレームの平均輝度に対して10%以上の輝度変化が検出された場合、特定条件検出部15は、ピーク輝度の低下機能を停止する。すなわち、低下量α%を0(ゼロ)にリセットする(SP6)。
基準デューティ比信号生成部17は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで基準デューティ比信号を生成し、デューティ比信号制御部19に与える処理を実行する。
【0036】
デューティ比信号制御部19は、基準デューティ比信号の点灯時間に相当する時間を低下量α%だけ低下させたデューティ比信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(点灯時間制御用ゲートドライバ7C)に供給する。このデューティ比信号制御部19は、「発光条件制御部」として機能する。
この際、信号デューティ比信号は、基準デューティ比信号の点灯時間長を(100−α)/100%にパルス幅変調することで与えられる。従って、低下量α%が0(ゼロ)であれば、基準デューティ比信号がそのままデューティ比信号として出力される。
【0037】
このように、フレーム全体の平均輝度と直近の平均輝度との差が小さい場合には、その状態が継続する限り、3分間でピーク輝度が10%だけ低下する(最大ピーク輝度の90%に低下する)ようにピーク輝度を徐々に低下させることができる発光条件制御装置11を実装することにより、長期的な表示パネルの寿命時間を10%程度改善することができる。
【0038】
また、ピーク輝度の低下機能の実装により、ピーク輝度が低下される分だけ消費電力を下げることができる。
さらに、前述したピーク輝度の低下機能は、ソフトウェア処理で実現する場合にも演算負荷が小さく、集積回路で実現する場合にも非常に小規模な回路で実現することが可能であり、有機ELパネルモジュールへの実装に有利である。
【0039】
(D−2)形態例2
図14に、電流供給線3Fに印加する最大出力電圧Vmax を低下制御するのに好適な発光条件制御装置11の構成例を示す。なお、図14には、形態例1(図10)との対応部分に同一符号を付して示す。
図14に示すように、この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、特定条件検出部15と、最大出力電圧制御部21とで構成する。最大出力電圧制御部21以外は、形態例1と同じである。
【0040】
すなわち、特定条件検出部15において、ピーク輝度の低下量α%が決定され、最大出力電圧制御部21に与えられる。この形態例の場合、最大出力電圧制御部21は、「発光条件制御部」として機能する。
最大出力電圧制御部21は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで最大基準電圧制御信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(最大出力電圧制御用ドライバ7A)に供給する。
【0041】
ここで、最大出力電圧制御信号は、基本的には、基準値に対して(100−α)/100%の値として与えられる。
ただし、図2に示すように、表示素子の発光輝度が最大出力電圧に比例しない場合には、これらを考慮して可変された値が最大出力電圧制御信号として出力されることになる。
以上のように、1フレーム期間内の発光時間を一定のままで、最大出力電圧Vmax を低下制御する手法を採用しても、形態例1と同様の効果を実現することができる。
【0042】
(E)他の形態例
(a)前述の形態例では、有機ELパネルモジュール1に最大出力電圧制御用ドライバ7Aと点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを2つとも搭載するものとして説明した。
しかし、ピーク輝度の低下制御は、発光時間又は最大出力電圧のいずれか一方を可変制御することで実現できる。従って、発光時間を可変制御する方式を採用する場合には最大出力電圧制御用ドライバ7Aを搭載しない構成を採用し、最大出力電圧を可変制御する方式を採用する場合には点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを搭載しない構成を採用しても良い。
【0043】
(b)前述の形態例では、発光時間及び最大出力電圧のいずれか一方を可変制御してピーク輝度を低下制御する場合について説明したが、発光時間及び最大出力電圧の双方を同時に可変してピーク輝度を低減することも可能である。
(c)前述の形態例においては、有機ELディスプレイパネルについて説明したが、無機ELディスプレイパネルにも応用できる。
【0044】
(d)前述の形態例においては、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、この有機ELディスプレイパネルその他の表示装置は、単独の商品形態でも良いし、他の画像処理装置の一部として搭載されても良い。例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の撮像装置(カメラユニットだけでなく、記録装置と一体に構成されているものを含む。)、情報処理端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機、電子手帳等)、ゲーム機の表示デバイスとしも実現できる。
【0045】
(e)前述の形態例では、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、発光条件制御装置11は、有機ELディスプレイパネルその他の表示装置に対して入力映像信号を供給する画像処理装置側に搭載しても良い。この場合、画像処理装置から表示装置にデューティパルスや電圧値を供給する方式を採用しても良いし、これらの値を指示する情報を画像処理装置から表示装置に与える方式を採用しても良い。
【0046】
(f)前述の形態例では、発光条件制御装置11を機能構成の観点から説明したが、言うまでもなく、同等の機能をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実現できる。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(g)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】発光時間と発光輝度の関係を説明する図である。
【図2】出力電圧と発光輝度との関係を説明する図である。
【図3】物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件例を示す図である。
【図4】特定条件の最適例を示す図である。
【図5】特定条件の制限条件を他の観点から説明する図である。
【図6】特定条件の他の最適例を説明する図である。
【図7】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図8】発光時間長を制御するデューティパルス例を示す図である。
【図9】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図10】発光条件制御装置の形態例1を示す図である。
【図11】区間平均値Cn の算出原理を説明する図である。
【図12】低下量αの算出例を示す図である。
【図13】形態例で使用する特定条件例を示す図である。
【図14】発光条件制御装置の形態例2を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 有機ELパネルモジュール
3A 発光領域
5 データドライバ
7A 最大出力電圧制御用ドライバ7A
7B ゲートスキャンドライバ
7C 点灯時間制御用ゲートドライバ
9 タイミングジェネレータ
11 発光条件制御装置
13 平均階調値算出部
15 特定条件検出部
17 基準デューティ比信号生成部
19 デューティ比信号制御部
21 最大出力電圧制御部
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低減できる技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、自発光表示装置、発光条件制御装置、発光条件制御方法及びプログラムとしての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、広視野角特性、応答速度、広色再現性範囲、高コントラスト性能に優れるだけでなく、表示パネル自体を薄く形成することができる。これらの利点のため、有機ELディスプレイは、次世代フラットパネルディスプレイの最有力候補として注目されている。
しかし、有機ELディスプレイをテレビジョン番組の視聴用途で使用するには、発光素子の発光特性を更に改善する必要がある。
【0003】
ところが、表示素子を構成する有機EL素子の開発、特に材料開発には膨大な時間と費用が必要となる。このため、有機EL素子の駆動方法を改善することにより、寿命を改善する方法が必要となる。
例えば、特許文献1には、発光素子の駆動電圧の変化量を検出し、その変化量に応じて定電流駆動信号を制御する方法が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、有機EL素子が発光しない間、有機EL素子が劣化しないように逆バイアスを印加する方法が開示されている。
また例えば、特許文献3には、画素回路の容量に保持される電荷を積極的に放電することにより、不要な発光時間を抑える方法が開示されている。
【特許文献1】特開5−17826号公報
【特許文献2】特開2003−150110号公報
【特許文献3】特開2002−169509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている発明は、各画素の輝度低下分に対する電流量を調整することで輝度低下を防ぐ方法であり、表示素子の輝度低下を加速させるだけである。従って、有機ELパネルの寿命を改善することはできない。
また、特許文献2に開示されている発明は、リーク電流に起因した輝度低下については改善できるが、積極的に寿命を改善することはできない。
また、特許文献3に開示されている発明も、不要な発光時間に起因した輝度低下については改善できるが、やはり積極的に寿命を改善することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者らは、表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御できる場合に、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低減できる技術手法を提案する。
すなわち、1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出機能と、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出機能と、特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御機能とを実行する手法を提案する。
【発明の効果】
【0007】
発明に係る手法の採用により、視覚的に知覚されるピーク輝度を維持したまま能動的にピーク輝度を低下させることができる。この結果、視聴画質に影響を与えることなく、表示パネルの長寿命化を実現できる。また同時に、表示パネルの消費電力化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明に係る処理機能を搭載した有機ELパネルモジュールを例に、自発光表示装置を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0009】
(A)ピーク輝度の調整
表示パネルの使用期間中にピーク輝度がa%低下すれば、表示パネルの信頼性時間をa%程度改善することができる。例えば、10%のピーク輝度の低下は表示パネルの信頼性時間を10%程度改善することができる。勿論、ピーク輝度が下がれば低消費電力化も実現できる。
そこで、表示パネルのピーク輝度を調整する手法について説明する。
【0010】
表示パネルのピーク輝度は、最大データの入力時に表示素子に印加される出力電圧(出力電流)又は発光時間の可変制御により調整することができる。
図1に、発光時間と発光輝度との関係を示す。図1に示すように、発光輝度は発光時間に対して線形に変化する。
図2(A)に、表示素子に印加される出力電圧と発光輝度との関係を示す。図2(B)に、入力映像信号の階調値(%)と表示素子に印加される出力電圧(基準値を100%で表す。)との間の入出力関係を示す。
【0011】
ここで、図2(B)に実線で示す曲線は基準値に対応する入出力関係であり、破線で示す曲線は最大データの入力時に表示素子に印加される最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を可変制御した場合の入出力関係を示す。図2に示すように、同じ入力階調値でも最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax
)を可変制御すると、発光輝度が可変制御される。
【0012】
さて、表示パネルのピーク輝度は、最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )と発光時間との積Sで与えられる。
従って、発光時間又は最大出力電圧Vmax (最大出力電流Imax )を個別に可変制御すれば、表示パネルのピーク輝度を可変制御することが可能となる。
【0013】
(B)物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件
前述したように、ピーク輝度を低下させることができれば、表示パネルの長寿命化や低消費電力化を実現できる。しかし、そのためにピーク輝度の低下が人に知覚され、画質の劣化として認識されることは避ける必要がある。
発明者らは、人の目は同じ表示パターン(変化の少ない映像を含む。)を見続ける場合、時間をかけて徐々にピーク輝度を低下させると、ピーク輝度の低下をほとんど知覚できないことを実験により確認した。以下、実験により確認した特定条件について説明する。
【0014】
(B−1)最適条件例
図3に、発明者らが実験により確認した物理的な最適条件例を示す。図3は、横軸に時間(分)、縦軸にピーク輝度レベル(階調データの最大値が入力される場合の発光輝度を100%とする。)で示す。
図中、太線の外枠で示す範囲が、発明者らが実験を通じて確認した最適条件である。最適条件の範囲は、制御開始後の低下速度と制御開始後の低減量の下限とで与えられる。
【0015】
なお、ここで説明する最適条件は、全ての映像作品又は番組に対して最適であることを意味するのではない。実装時には、映像作品又は番組の内容や表示パネル等の特性に応じて最適な条件を求めることが要求される。
発明者らは、低下速度の最大値として30秒で最大ピーク値の50%まで低下させることを提案する。また、発明者らは、低下速度の最小値として60分で最大ピーク値の95%(従って、低下量は5%)まで低下させることを提案する。
【0016】
勿論、低下速度をより低速にすることは可能であるが、その場合には目的である長寿命化と低消費電力化の効果が顕著とは言えなくなく。このため、ここでは前述した条件を例示している。
また、低下速度をより高速化しても実用に支障が生じない可能性も考えられなくはない。しかし、ピーク輝度の低下速度があまり大きくなると(結果的に低下量が大きくなると)、人の目にピーク輝度の変化が知覚され易くなるためあまり好ましくない。
【0017】
図3に示す外枠で囲まれた範囲内であれば、物理的なピーク輝度の低下を人が視覚的に知覚することは難しい。
なお実用的には、図3中に網掛け表示したように、45秒間で最大ピーク値の65%まで低下させる速度以下、30分で最大ピーク値の92%まで低下させる速度以上であることが望まれる。
【0018】
さらに好ましくは、図4に太線の外枠で囲んだ範囲、すなわち1分間で最大ピーク値の75%まで低下させる速度以下、3分間で最大ピーク値の90%まで低下させる速度以上であることが望ましい。この範囲内での低下制御は、ほぼ全ての映像に適用できる。
なお、発明者らの実験結果では、1分間で最大ピーク値の90%くらいまでピーク輝度を低下させる速度以上であって、3分間で最大ピーク値の80%くらいまでピーク輝度を低下させる速度以下の範囲が最も良い結果が得られた。
【0019】
なお、低下速度については、以下のように条件を与えることもできる。図5は、低下速度の上限値を与える例である。低下速度の上限値は、図3の場合と同様、30秒間で最大ピーク値の50%まで低下させる速度で与えられる。そして、最適値は、30秒間で最大ピーク値の12.5%まで低下させる速度で与えられる。
これらの条件を満たすことが、ピーク輝度の低下による画質の低下を知覚させずに表示パネルの長寿命化と低消費電力化の実現に効果的である。
【0020】
ところで、前述した最適範囲には例外もある。例えば、非常に短時間では急激にピーク輝度を低下させても人にピーク輝度の変化を知覚させずに済む場合がある。
図6に、そのような最適条件の一例を示す。図6は、3秒以内に最大ピーク値の93%(30秒に換算すると最大ピーク値の30%)まで低下させるが、その後はこの低下分も含めて1分以内に最大ピーク値の90%まで低下させる例を示している。
【0021】
このように瞬間的にはピーク輝度を急変させても、その後はピーク輝度を漸減させるように制御することにより、目的とする効果を十分に発揮させることができる。
なお、かかる急激なピーク輝度の低下制御は低下開始直後に限定されず、低下制御中のどの時点で実行しても良い。要するに、低下制御のある期間内での低下量が一定範囲内に収まれば、一時的にピーク輝度を急変させても良い。
【0022】
(C)有機ELパネルの構造例
続いて、前述したピーク輝度の低下制御を可能とする有機ELパネルモジュールの構造例を説明する。
図7に、有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。有機ELパネルモジュール1は、発光領域3A(有機EL素子がマトリクス状に配列された領域)と、画像の表示を制御するパネル駆動回路とで構成される。
パネル駆動回路は、データドライバ5、最大出力電圧制御用ドライバ7A、ゲートスキャンドライバ7B、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cで構成される。なお、パネル駆動回路は、発光領域3Aの周辺部に形成する。
【0023】
各画素に対応する有機EL素子3Bとその駆動回路(画素駆動回路)3Cは、データ線3Dと走査線3Eの交点位置に配置されている。画素駆動回路3Cは、データスイッチ素子T1、キャパシタC1、電流駆動素子T2、点灯スイッチ素子T3で構成される。
このうち、データスイッチ素子T1は、データ線3Dを通じて与えられる電圧値の取り込みタイミングを制御するのに用いられる。取り込みタイミングは、走査線3Eを通じて線順次で与えられる。
【0024】
キャパシタC1は、取り込んだ電圧値を1フレームの間保持するのに用いられる。キャパシタC1を用いることで、面順次駆動が実現される。
電流駆動素子T2は、キャパシタC1の電圧値に応じた電流を有機EL素子3Bに供給するのに用いられる。駆動電流は、電流供給線3Fを通じて供給される。なお、この電流供給線3Fには、最大出力電圧制御用ドライバ7Aを通じて最大出力電圧Vmax が印加される。
【0025】
点灯スイッチ素子T3は、有機EL素子3Bに対する駆動電流の供給を制御するのに用いられる。点灯スイッチ素子T3は、駆動電流の供給経路に対して直列に配置される。点灯スイッチ素子T3が閉じている間、有機EL素子3Bが点灯する。一方、点灯スイッチ素子T3が開いている間、有機EL素子3Bが消灯する。
この点灯スイッチ素子T3の開閉動作を制御するデューティパルス(図8(B1)〜(Bn))を供給するのが点灯制御線3Gである。
なお、図8(A)は、基準期間としての1フレーム期間を示す。また、図8(B1)から図8(Bn)の順番にデューティパルスによる発光時間が長くなる。
【0026】
ここで、電流供給線3Fに印加する電圧の印加制御は、最大出力電圧制御用ドライバ7Aが実行する。また、発光時間の可変制御は、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cが実行する。これらドライバの制御信号は、後述する発光条件制御装置より供給される。
なお、ピーク輝度を発光時間長で制御する制御を採用する場合には、最大出力電圧制御用ドライバ7Aは全てのフレームについて固定電圧を供給する。一方、ピーク輝度を最大出力電圧Vmax で制御する手法を採用する場合には、点灯時間制御用ゲートドライバ7Cは、全てのフレームについて固定比のデューティパルスを供給する。
【0027】
図9に、画素駆動回路3Cを形成した発光領域3Aを搭載する有機ELパネルモジュール1の構造例を示す。図9の場合、発光条件制御装置11は、タイミングジェネレータ9の一部分として実装する。
なお、発光領域3Aの周辺回路(パネル駆動回路)は、半導体集積回路としてパネル基板上に搭載しても良いし、パネル基板上に半導体プロセスを用いて直接形成しても良い。
【0028】
(D)発光条件制御装置の形態例
以下、ピーク輝度の低下制御を実現する発光条件制御装置11(図9)の形態例を説明する。
【0029】
(D−1)形態例1
図10に、発光時間の制御によりピーク輝度を低下制御するのに好適な発光条件制御装置11の構成例を示す。
この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、特定条件検出部15と、基準デューティ比信号生成部17と、デューティ比信号制御部19とで構成する。
平均階調値算出部13は、1フレーム毎に映像信号の平均階調値APLn をフレーム単位で算出する処理デバイスである。なお、ここでの添字nは、時間(例えばフレーム番号)を意味する。
【0030】
特定条件検出部15は、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値APLn の平均値Cn に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理デバイスである。
ここで、特定条件検出部15は、数フレーム期間に亘って算出された平均階調値APLn
の区間平均値Cn に対する最新フレームの平均階調値APLn の変化率を逐次算出し、算出された変化率がしきい値Bよりも小さい場合に、特定条件を満たすフレームが出現したものと判定する。
【0031】
図11に、区間平均値Cn の算出原理を示す。図11に示すように、特定条件検出部15は、直近m個の平均階調値APLi 〜APLi+m を保存し、その総和をフレーム数mで除算演算することにより区間平均値Cn
を算出する。ここでの添字iは、時間(例えばフレーム番号)である。
図12に、特定条件検出部15で実行される特定条件の検出手順例を示す。なお、図12は、特定条件の検出後に実行されるピーク輝度を図13に示す低下条件に従って低下させるものとして表している。図13は、3分間で最大ピーク輝度の90%までピーク輝度を定速で低減させる場合を表している。
【0032】
図12の説明に戻る。特定条件検出部15は、前述したように直近m個の平均階調値APLに基づいて区間平均値Cn を算出すると(SP1)、区間平均値Cn と現フレームの平均階調値APLn
との差分の絶対値を区間平均値Cn で除算演算して変化率を算出し、変化率がしきい値B以上か否かを判定する(SP2)。
変化率がしきい値B以上の場合、特定条件検出部15は、肯定結果を得てピーク輝度の低下機能をオン状態に制御する。一方、変化率がしきい値B未満の場合、特定条件検出部15は、否定結果を得てピーク輝度の低下機能をオフ状態に制御する。
【0033】
この形態例の場合、しきい値Bを10%に設定する。
勿論、しきい値Bは、10%以下のより小さい値でも良い。しかし、しきい値Bが小さすぎると、画面の切り替わりや階調平均値のちょっとした変化にも反応し、ピーク輝度の低下機能が動作しなくなってしまう。すなわち、表示パネルの長寿命化等の効果が十分に発揮され難くなる。
また、しきい値Bは、10%以上のより大きい値でも良い。しかし、しきい値Bが大きすぎると、画面の切り替わり後もピーク輝度の低下機能が継続してしまい、本来のピーク輝度での表示が実行され難くなる。
【0034】
以上のように、直近フレームの平均輝度に対して10%未満の輝度変化が検出された場合、特定条件検出部15は、ピーク輝度の低下機能を動作させ、低下量α%を図13の低下条件を満たす傾きdだけ加算する(SP3)。
ただし、低下量α%の上限値Eは10%に制限されるため、特定条件検出部15は、更新後の低下量α%が上限値E以下か否かを判定し(SP4)、更新後の低下量が上限値Eを越える場合にはこれを上限値Eに制限する処理を実行する(SP5)。
勿論、更新後の低下量α%が上限値E以下の場合には、算出された低下量α%がそのまま、デューティ比信号制御部19に与えられる。
【0035】
一方、直近フレームの平均輝度に対して10%以上の輝度変化が検出された場合、特定条件検出部15は、ピーク輝度の低下機能を停止する。すなわち、低下量α%を0(ゼロ)にリセットする(SP6)。
基準デューティ比信号生成部17は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで基準デューティ比信号を生成し、デューティ比信号制御部19に与える処理を実行する。
【0036】
デューティ比信号制御部19は、基準デューティ比信号の点灯時間に相当する時間を低下量α%だけ低下させたデューティ比信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(点灯時間制御用ゲートドライバ7C)に供給する。このデューティ比信号制御部19は、「発光条件制御部」として機能する。
この際、信号デューティ比信号は、基準デューティ比信号の点灯時間長を(100−α)/100%にパルス幅変調することで与えられる。従って、低下量α%が0(ゼロ)であれば、基準デューティ比信号がそのままデューティ比信号として出力される。
【0037】
このように、フレーム全体の平均輝度と直近の平均輝度との差が小さい場合には、その状態が継続する限り、3分間でピーク輝度が10%だけ低下する(最大ピーク輝度の90%に低下する)ようにピーク輝度を徐々に低下させることができる発光条件制御装置11を実装することにより、長期的な表示パネルの寿命時間を10%程度改善することができる。
【0038】
また、ピーク輝度の低下機能の実装により、ピーク輝度が低下される分だけ消費電力を下げることができる。
さらに、前述したピーク輝度の低下機能は、ソフトウェア処理で実現する場合にも演算負荷が小さく、集積回路で実現する場合にも非常に小規模な回路で実現することが可能であり、有機ELパネルモジュールへの実装に有利である。
【0039】
(D−2)形態例2
図14に、電流供給線3Fに印加する最大出力電圧Vmax を低下制御するのに好適な発光条件制御装置11の構成例を示す。なお、図14には、形態例1(図10)との対応部分に同一符号を付して示す。
図14に示すように、この発光条件制御装置11は、平均階調値算出部13と、特定条件検出部15と、最大出力電圧制御部21とで構成する。最大出力電圧制御部21以外は、形態例1と同じである。
【0040】
すなわち、特定条件検出部15において、ピーク輝度の低下量α%が決定され、最大出力電圧制御部21に与えられる。この形態例の場合、最大出力電圧制御部21は、「発光条件制御部」として機能する。
最大出力電圧制御部21は、入力映像信号の垂直同期信号Vsyncに同期したタイミングで最大基準電圧制御信号を生成し、これを有機ELパネルモジュール1(最大出力電圧制御用ドライバ7A)に供給する。
【0041】
ここで、最大出力電圧制御信号は、基本的には、基準値に対して(100−α)/100%の値として与えられる。
ただし、図2に示すように、表示素子の発光輝度が最大出力電圧に比例しない場合には、これらを考慮して可変された値が最大出力電圧制御信号として出力されることになる。
以上のように、1フレーム期間内の発光時間を一定のままで、最大出力電圧Vmax を低下制御する手法を採用しても、形態例1と同様の効果を実現することができる。
【0042】
(E)他の形態例
(a)前述の形態例では、有機ELパネルモジュール1に最大出力電圧制御用ドライバ7Aと点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを2つとも搭載するものとして説明した。
しかし、ピーク輝度の低下制御は、発光時間又は最大出力電圧のいずれか一方を可変制御することで実現できる。従って、発光時間を可変制御する方式を採用する場合には最大出力電圧制御用ドライバ7Aを搭載しない構成を採用し、最大出力電圧を可変制御する方式を採用する場合には点灯時間制御用ゲートドライバ7Cを搭載しない構成を採用しても良い。
【0043】
(b)前述の形態例では、発光時間及び最大出力電圧のいずれか一方を可変制御してピーク輝度を低下制御する場合について説明したが、発光時間及び最大出力電圧の双方を同時に可変してピーク輝度を低減することも可能である。
(c)前述の形態例においては、有機ELディスプレイパネルについて説明したが、無機ELディスプレイパネルにも応用できる。
【0044】
(d)前述の形態例においては、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、この有機ELディスプレイパネルその他の表示装置は、単独の商品形態でも良いし、他の画像処理装置の一部として搭載されても良い。例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラその他の撮像装置(カメラユニットだけでなく、記録装置と一体に構成されているものを含む。)、情報処理端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機、電子手帳等)、ゲーム機の表示デバイスとしも実現できる。
【0045】
(e)前述の形態例では、発光条件制御装置11を有機ELディスプレイパネル上に実装する場合について説明した。
しかし、発光条件制御装置11は、有機ELディスプレイパネルその他の表示装置に対して入力映像信号を供給する画像処理装置側に搭載しても良い。この場合、画像処理装置から表示装置にデューティパルスや電圧値を供給する方式を採用しても良いし、これらの値を指示する情報を画像処理装置から表示装置に与える方式を採用しても良い。
【0046】
(f)前述の形態例では、発光条件制御装置11を機能構成の観点から説明したが、言うまでもなく、同等の機能をハードウェアとしてもソフトウェアとしても実現できる。
また、これらの処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、その一部はハードウェア又はソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ構成としても良い。
(g)前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】発光時間と発光輝度の関係を説明する図である。
【図2】出力電圧と発光輝度との関係を説明する図である。
【図3】物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件例を示す図である。
【図4】特定条件の最適例を示す図である。
【図5】特定条件の制限条件を他の観点から説明する図である。
【図6】特定条件の他の最適例を説明する図である。
【図7】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図8】発光時間長を制御するデューティパルス例を示す図である。
【図9】有機ELパネルモジュールの構造例を示す図である。
【図10】発光条件制御装置の形態例1を示す図である。
【図11】区間平均値Cn の算出原理を説明する図である。
【図12】低下量αの算出例を示す図である。
【図13】形態例で使用する特定条件例を示す図である。
【図14】発光条件制御装置の形態例2を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 有機ELパネルモジュール
3A 発光領域
5 データドライバ
7A 最大出力電圧制御用ドライバ7A
7B ゲートスキャンドライバ
7C 点灯時間制御用ゲートドライバ
9 タイミングジェネレータ
11 発光条件制御装置
13 平均階調値算出部
15 特定条件検出部
17 基準デューティ比信号生成部
19 デューティ比信号制御部
21 最大出力電圧制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変することができる自発光表示装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部と
を有することを特徴とする自発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、1フレーム期間内における表示パネルの発光時間を低下制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、画像データ値に応じて発光素子に印加され得る電圧値又は電流値の最大値をフレーム単位で低下制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記特定条件検出部は、平均階調値の区間平均値に対する現フレームの平均階調値の変化率を逐次算出し、算出された変化率がしきい値よりも小さい場合に、前記特定条件を満たすフレームの出現を検出する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、1時間で最大ピーク値の95%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、30秒で最大ピーク値の50%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、30分で最大ピーク値の92%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、45秒で最大ピーク値の65%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、3分で最大ピーク値の90%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、1分で最大ピーク値の75%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件の上限値は、30秒で最大ピーク値の50%までピーク輝度を低下させる速度で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件の上限値は、30秒で最大ピーク値の12.5%までピーク輝度を低下させる速度で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、1分間にピーク輝度を最大ピーク値の10%分低下させる間に、3秒以内にピーク輝度を最大ピーク値の5%分を低下させる期間を設けることを許容する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項11】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部と
を有することを特徴とする発光条件制御装置。
【請求項12】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御方法において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する処理と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する処理と
を有することを特徴とする発光条件制御方法。
【請求項13】
表示パネルの発光時間を1フレーム期間内で自在に可変制御するコンピュータに、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する処理と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項1】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変することができる自発光表示装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部と
を有することを特徴とする自発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、1フレーム期間内における表示パネルの発光時間を低下制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記発光条件制御部は、画像データ値に応じて発光素子に印加され得る電圧値又は電流値の最大値をフレーム単位で低下制御する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記特定条件検出部は、平均階調値の区間平均値に対する現フレームの平均階調値の変化率を逐次算出し、算出された変化率がしきい値よりも小さい場合に、前記特定条件を満たすフレームの出現を検出する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、1時間で最大ピーク値の95%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、30秒で最大ピーク値の50%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、30分で最大ピーク値の92%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、45秒で最大ピーク値の65%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、3分で最大ピーク値の90%以下にピーク輝度を低下させる速度以上、かつ、1分で最大ピーク値の75%までピーク輝度を低下させる速度以下を満たす範囲で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件の上限値は、30秒で最大ピーク値の50%までピーク輝度を低下させる速度で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件の上限値は、30秒で最大ピーク値の12.5%までピーク輝度を低下させる速度で与えられる
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自発光表示装置において、
前記低下条件は、1分間にピーク輝度を最大ピーク値の10%分低下させる間に、3秒以内にピーク輝度を最大ピーク値の5%分を低下させる期間を設けることを許容する
ことを特徴とする自発光表示装置。
【請求項11】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御装置において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する平均階調値算出部と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する特定条件検出部と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する発光条件制御部と
を有することを特徴とする発光条件制御装置。
【請求項12】
表示パネルのピーク輝度を1フレーム単位で自在に可変制御する発光条件制御方法において、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する処理と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する処理と
を有することを特徴とする発光条件制御方法。
【請求項13】
表示パネルの発光時間を1フレーム期間内で自在に可変制御するコンピュータに、
1フレーム毎に映像信号の平均階調値をフレーム単位で算出する処理と、
数フレーム期間に亘って算出された平均階調値に基づいて、物理的なピーク輝度の低下が視覚的に知覚され難い特定条件を満たす映像信号の入力を検出する処理と、
前記特定条件を満たすフレームの検出後その検出状態が解除されるまでの間、事前に設定した低下条件を満たすように、表示パネルのピーク輝度をフレーム単位で低下制御する処理と
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−147866(P2007−147866A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340434(P2005−340434)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]