説明

自転車

【課題】盗難に対する気の緩みが生じていても、確実に施錠すると共にキーを抜き取る行為に至らしめ得る自転車を提供すること。
【解決手段】自転車構成部材のうちの固定部材に音声発生装置4が取り付けてあり、スタンド本体10を起立状態にロックすべくロック板11を移動したときにはスイッチ手段8を介して前記音声発生装置4が出力状態となって「錠前を施錠する旨」の音声を発し、錠前を施錠した後には「キーを抜き取る旨」の音声を発するようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠前の掛け忘れ及びキーの抜き忘れを防止して盗難被害を回避できる自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車には盗難防止を目的としてハンドル回動又は車輪回転を不能ならしめ錠前が取り付けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところが、近年の若年層による犯罪増加を検証すると、自転車を盗む事件が非常に多くなっている。その理由は、自転車は盗まれないという所有者の気の弛みによるものであり、結局はこの油断が若年層の犯罪を助長しているのである。
【0004】
したがって、若年層の犯罪を減少させるべく、駐輪時に錠前を掛け忘れ等について呼びかけているが、所有者の意識の改善はほとんど見受けられないのが現状である。
【特許文献1】特願2004−359139号(図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明では、盗難に対する気の緩みが生じていても、確実に施錠すると共にキーを抜き取る行為に至らしめ得る自転車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1記載の発明)
この自転車は、ロック板付きのスタンドと、ハンドル回動又は車輪回転を不能ならしめる錠前を具備し、不使用時においては、開錠状態にある錠前を施錠した後、当該錠前からキーを抜き取る形式の自転車において、自転車構成部材のうちの固定部材に音声発生装置が取り付けてあり、スタンド本体を起立状態にロックすべくロック板を移動したときにはスイッチ手段を介して前記音声発生装置が出力状態となって「錠前を施錠する旨」の音声を発し、錠前を施錠した後には「キーを抜き取る旨」の音声を発するようにしてある。
【0007】
(請求項2記載の発明)
この自転車は、上記請求項1記載の発明に関し、音声発生装置は、スタンド本体がロック板により起立状態にロックされた状態において錠前のキー孔にキーを差し込んで開錠したときには「錠前が開錠された旨」の音声を発し、続いてスタンドのロック板を解除すべく移動したときには「使用者に対して安全走行する旨」の音声を発するようにしてある。
【0008】
(請求項3記載の発明)
この自転車は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、スイッチ手段は、スタンドのロック板に連動してワイヤーが移動することによりON状態になり、これにより音声発生装置を出力状態にするものである。
【0009】
(請求項4記載の発明)
この自転車は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、錠前にはフラッシングライトが取り付けられており、前記フラッシングライトは、錠前が開錠状態にあるときには絶えずフラッシングしており、施錠状態にあるときに消灯している
【発明の効果】
【0010】
この発明の自転車によると、盗難に対する気の緩みが生じていても、確実に施錠すると共にキーを抜き取る行為に至らしめ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下にこの発明における自転車を実施するための最良の形態として実施例について詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は自転車の縦パイプ90、バックホーク91、チェーンステー92錠前3、後輪部93、及び音声発生装置4等の配置を示す説明図、図2は前記錠前に設けられたフラッシングライト5の説明図を示している。
【0013】
(自転車Jの基本的構成について)
自転車Jは、基本的構成については一般的なものと相違するところは無いが、この自転車Jは、図1に示すように、縦パイプ90に音声発生装置4を取り付けてあり、スタンド本体10を起立状態にロックすべくロック板11を移動しスイッチ手段8(図4参照)をON状態にしたときには、前記音声発生装置4が出力状態となって「錠前を施錠する旨」の音声を発し、錠前3を施錠した後には「キーを抜き取る旨」の音声を発するようにしてある。また、スタンド本体10がロック板11により起立状態にロックされた状態において錠前3のキー孔にキーを差し込んで開錠したときには「錠前が開錠された旨」の音声を発し、続いてスタンド10のロック板11を解除すべく移動したときには「使用者に対して安全走行する旨」の音声を発するようにしてある。
【0014】
なお、この実施例において、上記スイッチ手段8は、錠前3内に一体化してあり、スタンド本体10のロック板11の移動に連動してワイヤー2が押し出されることによりON状態になるものとしてある。また、上記錠前3には、図2に示すように、フラッシングライト5が取り付けられており、前記フラッシングライト5は、錠前3が開錠状態にあるときには絶えずフラッシングし、施錠状態にあるときには消灯しているものとしてある。
【0015】
(スタンド1の構成について)
スタンド1は、図3に示すように、スタンド本体10とロック板11を有するものであり、スタンド本体10を起立させた後、図3に示す如くロック板10をロック状態に移動(一点鎖線の状態から実線の状態に移動)させたときには、不用意にスタンド本体10が非ロック状態にならないようにしてある。
【0016】
ここで、上記スタンド1では、ロック板10がロック状態に移動(一点鎖線の状態から実線の状態に移動)したときには、移動前よりも移動後においてロック板10の出力辺部分12が少し前方へ移動するものとしてある。
【0017】
(ワイヤー2の構成について)
ワイヤー2は、図1や図4に示すように、ステンレス線を撚り合わせて形成されたワイヤー本体20を、耐候性に優れたチューブ21で包皮して成るものであり、前記チューブ21の両端部に端末部22,23を施してある。そして、図3や図4に示すように、前記端末部22,23からはそれぞれワイヤー本体20が突出していると共にその突出端にはそれぞれステンレス製の球体24,25が一体化されている。
【0018】
(ワイヤー2のスタンド1側への取り付けについて)
上記端末部22、前記端末部22から突出するワイヤー本体20及び球体24は、図3に示すように、第1保持筒体6内に挿入保持されており、前記第1保持筒体6は、ブラケットBを介してチェーンステー92に取り付けられている。
【0019】
第1保持筒体6は、図3に示すように、固定筒60と、当該固定筒60に進退自在に挿入された可動筒61と、可動筒61を押し出す方向に移動させるべく設けられたバネ62とから構成されており、球体24は可動筒61内の底壁に当接せしめられている。
【0020】
したがって、スタンド本体10を起立させた後、ロック板10をロック状態に移動(一点鎖線の状態から実線の状態に移動)させたときには、バネ62の付勢力に抗して可動筒61と共にワイヤー本体21は押し込まれることになる。
【0021】
なお、ロック板10を非ロック状態に移動(実線の状態から一点鎖線の状態に移動)させたときには、バネ62の付勢力により可動筒61と共にワイヤー本体21は元の位置に引き戻される。
【0022】
(ワイヤー2の錠前3側への取り付けについて)
上記端末部23から突出するワイヤー本体20及び球体25は、図4や図5に示すように、固定金具7aを介して錠前3内の第2保持筒体7内に導かれている。
【0023】
上述した如くスタンド本体10を起立させた後、ロック板11をロック状態に移動(一点鎖線の状態から実線の状態に移動)させたときにはワイヤー本体21は押し込まれることになり、その結果、球体25が実線の位置から二点鎖線の位置に移動して、第2保持筒体7に設けられた左右の配線群70,71相互は電気的接続状態(スイッチ8がON状態)となる。
【0024】
また、前記状態から、ロック板11を非ロック状態に移動(実線の状態から一点鎖線の状態に移動)させたときにはワイヤー本体21はスタンド側へ引き戻されることになり、その結果、球体25が二点鎖線の位置から実線の位置に移動して、第2保持筒体7に設けられた左右の配線群70,71相互は電気的非接続状態(スイッチ8がOFF状態)となる。
【0025】
なお、上記配線郡70,71は音声発生装置4に導かれている。
【0026】
(錠前3の構成について)
錠前3は、図5に示すように、所謂サークル錠であり、正面視円弧状の錠本体30と、前記錠本体30内に収容され且つ錠本体30の円弧形状に倣って施錠又は開錠位置に移動せしめられる円弧錠の閂31と、前記閂31と一体的に移動する操作摘まみ32と、施錠位置にある閂31を移動不能にロックする機能を有するシリンダ錠(図示せず)を備えている。なお、自転車においては、閂31が施錠位置にあるときにはキーはシリンダ錠から抜けるが、閂31が開錠位置にあるときにはキーはシリンダ錠から抜けないようになっている。
【0027】
ここで、上記操作摘まみ32を摘んで、閂31を開錠状態から施錠状態にすると、閂31と一体的に動く小突起31aによりリミットスイッチ33の入力部が押し込まれるようになっており、リミットスイッチ33からの配線郡34は上記配線郡70,71共に音声発生装置4に導かれている。
【0028】
(音声発生装置4について)
音声発生手段4は、図6に示すような構成となっており、スタンド1及び錠前3からの出力(ON−OFF)により、以下に示すような音声を発生する。
(1)自転車を駐輪する場合
自転車を駐輪する場合、スタンド本体10を起立させ、ロック板11をロック状態に移動させる。このロック板11の移動作業により、スイッチ8はON状態となり、音声発生装置4のデコーダにより選択された「錠前を施錠する旨」の音声をスピーカーから発する。
【0029】
次に、「錠前を施錠する旨」の音声にしたがって、使用者が錠前を施錠すると、音声発生装置4により選択された「キーを抜き取る旨」の音声をスピーカーから発する。これにより使用者はキーの抜き取り操作をする。
【0030】
このような音声により、使用者に盗難に対する気の緩みが生じていても、上記音声指示により確実に施錠すると共にキーを抜き取る行為をすることになる。
【0031】
(2)駐輪されていた自転車を使用する場合
スタンド本体10がロック板11により起立状態にロックされた状態において、錠前3のキー孔にキーを差し込んで開錠したときには、音声発生装置4により選択された「錠前が開錠された旨」の音声をスピーカーから発する。これと同時に、消灯状態にあったフラッシングライト5は、絶えずフラッシングすることになる。
【0032】
次に、スタンド10のロック板11を解除すべく移動したときには音声発生装置4により選択された「使用者に対して安全走行する旨」の音声をスピーカーから発する。
【0033】
このような音声により、使用者の安全走行の意識が高まると共にフラッシングライト5のフラッシングにより安全性は高まる。
【0034】
(3)上述のように、この自転車は、使用者に対して、盗難防止に対する意識を高め、且つ安全走行を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】自転車のシート、立てパイプ、バックホーク、錠前、後輪部、及び音声発生装置等の配置を示す説明図。
【図2】前記錠前に設けられたフラッシングライトの説明図。
【図3】前記自転車のスタンド周りの部分断面図。
【図4】前記自転車の錠前側に存在する第2保持筒体の断面図。
【図5】前記錠前周りの背面図。
【図6】音声発生装置の働きを示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
J 自転者
1 スタンド
10 スタンド本体
11 ロック板
2 ワイヤー
3 錠前
4 音声発生装置
5 フラッシュライト
6 第1保持筒
7 第2保持筒
8 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック板付きのスタンドと、ハンドル回動又は車輪回転を不能ならしめる錠前を具備し、不使用時においては、開錠状態にある錠前を施錠した後、当該錠前からキーを抜き取る形式の自転車において、自転車構成部材のうちの固定部材に音声発生装置が取り付けてあり、スタンド本体を起立状態にロックすべくロック板を移動したときにはスイッチ手段を介して前記音声発生装置が出力状態となって「錠前を施錠する旨」の音声を発し、錠前を施錠した後には「キーを抜き取る旨」の音声を発するようにしてあることを特徴とする自転車。
【請求項2】
音声発生装置は、スタンド本体がロック板により起立状態にロックされた状態において錠前のキー孔にキーを差し込んで開錠したときには「錠前が開錠された旨」の音声を発し、続いてスタンドのロック板を解除すべく移動したときには「使用者に対して安全走行する旨」の音声を発するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の自転車。
【請求項3】
スイッチ手段は、スタンドのロック板に連動してワイヤーが移動することによりON状態になり、これにより音声発生装置を出力状態にするものであることを特徴とする請求項1又は2記載の自転車。
【請求項4】
この自転車は、錠前にはフラッシングライトが取り付けられており、前記フラッシングライトは、錠前が開錠状態にあるときには絶えずフラッシングしており、施錠状態にあるときに消灯していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−18826(P2008−18826A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191848(P2006−191848)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000111029)株式会社ニッコー (26)