舗装用ブロックの成形装置
【課題】 舗装用ブロックを、敷設したときに段差や不陸を生じないような形状に安定して寸法精度よく成形することを可能にする。
【解決手段】 成形装置1には、ブロックの凹条を形成しうる凸型31およびブロックの凸条を形成しうる凹型32を設けた変形型3を有する。この変形型3は、スライダ4の底部46または支持台8との間に伸縮手段33を介在して配設され、プレス板9によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能とされ、プレス板9から外れると元の高さに伸張しうる。その外側のスライダ4はスライド面41を有し、このスライド面41に当接するガイド面51を備えた昇降部材5が、スプリング6によってスライダ4に連結されている。昇降部材5が上昇すると、スライダ4は外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材5のガイド面51と支持台8とに規定されて水平に摺動するように構成される。
【解決手段】 成形装置1には、ブロックの凹条を形成しうる凸型31およびブロックの凸条を形成しうる凹型32を設けた変形型3を有する。この変形型3は、スライダ4の底部46または支持台8との間に伸縮手段33を介在して配設され、プレス板9によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能とされ、プレス板9から外れると元の高さに伸張しうる。その外側のスライダ4はスライド面41を有し、このスライド面41に当接するガイド面51を備えた昇降部材5が、スプリング6によってスライダ4に連結されている。昇降部材5が上昇すると、スライダ4は外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材5のガイド面51と支持台8とに規定されて水平に摺動するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道や公共スペース等に使用される舗装用ブロックの成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩道や公共スペースなどの人の往来する場所は、砂またはモルタルなどの下地(サンドクッション層)の上に、インタロッキングブロック、平板、レンガブロック、舗石等の舗装用ブロックが敷設されて使用されることが多い。
【0003】
このような舗装用ブロックを連結する構成として、隣接するブロック同士の側面に凹条や凸条を設け、これらを嵌合することにより、継ぎ目の平面性を保つようにし、敷設したブロック間に段差や不陸を生じないように意図されたブロック構造があった。
【0004】
ところが、段差や不陸は、施工精度が悪い場合にはその発生を余儀なくされる。また、供用後においても、路盤およびサンドクッション層の沈下等によって、段差や不陸が発生することがあった。そして、このように生じた段差や不陸によって、歩行中につまずいたり、車椅子や乳母車などの走行が困難になったりして、危険を招いてしまうおそれがあった。また、舗装用ブロックには地盤への追従性が必要とされ、偏った荷重がかかってもブロック表面を破損させることがないような対策が望まれていた。
【0005】
そこで、このような問題点を解消するために本出願人は、舗装用ブロック側面の凹条および凸条の形状および大きさ、またこれらを設ける高さ位置等について研究開発を進め、供用後においても良好な歩行感と、車椅子等の走行性を維持することのできる舗装用ブロックを提案してきた(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
また従来、この種の舗装用ブロックは、型枠に材料を供給し、型押しした後に下抜き脱型することによって成形して製造されるのが一般的であった。かかる製造方法として、例えば特許文献2には、下抜き式コンクリートブロックの成形型枠装置の技術が開示されている。
【0007】
この特許文献2に記載された型枠装置は、型枠の両側面に斜めのガイドを設け、これに断面形状が楔形をしたライナーを、細幅先端部を上にして配置し、斜め上下方向に摺動可能となるように構成して、下面幅が上面幅よりも狭いコンクリートブロックの形状に対応できるようになされている。
【特許文献1】特開2004−263370号公報
【特許文献2】特許第2998930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に開示されたようなコンクリートブロックの成形型枠装置は、成形したブロックが両側面のガイドに沿って下方へ脱型される構成であるので、上記の舗装用ブロックのように側面に水平方向に凹条や凸条を形成したブロックは型抜きすることができない。
【0009】
また、このように凹条や凸条のあるブロックの下抜き脱型を可能にするために、凹条や凸条のない側面を底面に配置して下抜き形状にブロックを成形する方法も考えられているが、このような下抜き形状にすると、型抜き時に型枠と成形体との擦れる距離が長くなり、脱型による変形を生じやすくなってしまう。また、型枠内に供給される材料の流動性や充填性等を一定に保つのは困難であるため、寸法精度が低下しやすくなり、型枠内の上部と下部とで色むらを生じることもあるという問題点があった。
【0010】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、一方の側面の長手方向に凸部または凹部が形成されるとともに、この側面に相対する他方の側面にも凹部または凸部が長手方向に形成される舗装用ブロックを、敷設したときに段差や不陸を生じないような形状に安定して寸法精度よく成形することを可能にする成形装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明は、略直方体形状の長手方向に凹部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹部に嵌合可能な形状を有する凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロック、または略直方体形状の長手方向に凹部または凸部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に凹部または凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置とすることを前提としている。
【0012】
そして、本発明では、ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が設けられており、これらの変形型が、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴としている。
【0013】
この発明により、ブロックの側面に凹部または凸部が形成されたブロックを、表面側を上面に向けた状態で成形することができ、このように成形されたブロックの凹部または凸部を互いに嵌合させたり、隣接するブロックの凹部同士の間にジョイント部材を介在させたりすることで、ブロックを敷設したときに段差や不陸を生じない良好な形状とすることができる。
【0014】
前記構成における変形型の伸縮手段としては、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材を用いることができる。あるいは、前記変形型の伸縮手段は、高さ方向に伸縮しうるエラストマーまたは発泡性樹脂材料からなるものであってもよい。
【0015】
これにより、変形型がプレス板によって押圧されたときに、伸縮手段が圧縮するので型枠の内側に供給した材料を押圧して側面に凹部または凸部が形成されたブロックを成形することができ、また変形型とプレス板とが離れると伸張するので、変形型の形状を成形前の状態に戻すことができる。
【0016】
また、本発明は上記構成の成形装置において、各変形型の外側面には、型枠の外側下方へ傾斜したスライド面を有する断面略直角三角形状のスライダが係着されるとともに、このスライダの外側には、前記スライド面に当接するガイド面を備えて上下方向に昇降自在とされた昇降部材がスプリングによってスライダに連結されて配設され、昇降部材が上昇しはじめると、スプリングによってその動きがスライダに伝えられ、スライダが型枠の外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材のガイド面と支持台とに規定されて型枠の外側方向へ水平に摺動することにより、変形型の内面が成形体から離間することを特徴としている。
【0017】
また、かかる成形装置は、変形型の上部外側には突縁部が突設されるとともに、スライダの内面近傍にはストッパー軸およびストッパー軸に装着された弾性材が内装されており、このストッパー軸および弾性材の上部に変形型の突縁部が係止されて、変形型がプレス板により押圧されるに伴って突縁部が弾性材を収縮させて下降する一方、プレス板と変形型とが離れると突縁部が弾性材の反発力を受けて、変形型を元の高さに伸張させうるように構成されることを特徴としている。
【0018】
さらに、前記変形型には、その伸縮動作を垂直方向に規定するガイド部がスライダとの間に設けられることを特徴としている。
【0019】
このような構成により、ブロックに成形した凹部および凸部を崩すことなく、良好な形状のまま成形および脱型することが可能になり、その成形性および生産性を格段に高めることができる。
【0020】
さらに、本発明においては、スライダの底部には支持台上を転動しうるローラが内装されることが好ましい。
【0021】
これにより、支持台上をスライダが円滑に摺動することができ、成形性を高めることができる。
【0022】
また、スライダの内面には、変形型に設けられた伸縮手段の膨出を許容しうる逃げ溝が形成されることが好ましい。
【0023】
これにより、プレス板による変形型の変形が妨げられることがないので、好ましい形状で凹部または凸部をブロックに成形することができる。
【0024】
また、前記変形型の伸縮手段は、各変形型に設けられた凸型または凹型よりも下部に配設されることが好ましい。
【0025】
これにより、ブロックの凹部または凸部を上面から常に一定距離の場所に設けて成形することができる。
【発明の効果】
【0026】
上述のように構成される本発明の舗装用ブロックの成形装置によれば、ブロックの側面に形成する凹部または凸部を崩すことなく、円滑に即時脱型することができる。さらに、本発明の成形装置によれば、ブロックの凹部または凸部を、上端から常に一定の場所に設けることができるので、敷設したときに段差や不陸を生じない形状に成形して継ぎ目の平面性を確保することができるとともに、安定して寸法精度よく成形することができる。また、従来からの平板のように、二層成形も可能となるので製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る舗装用ブロックの成形装置を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1〜図11は本発明の舗装用ブロックの成形装置の一例を示し、図1は成形装置の成形前状態の説明図、図2は成形装置の片側を示す部分拡大図、図3は変形型およびスライダの内部機構を示す説明図、図4は伸縮手段の一例である板ばね材の使用例を示し、(a)はプレス前、(b)はプレス後の説明図である。また、図5は成形工程の一過程を示す説明図、図6は図5の成形装置の片側を示す部分拡大図、図7は図3から図6への動作を示す説明図である。さらに図8〜11は、図5に続く成形装置1による成形工程を示し、脱型開始後の各過程を示す説明図である。
【0029】
なお、各図においては図面を見やすくするために、支持台8やプレス板9等の構成部材には断面を示すハッチングを省略して記載している。
【0030】
本発明の舗装用ブロックの成形装置1は、例えば、平板状で上面視正方形または長方形の略直方体形状のブロック10を成形するのに用いられる。形成されるブロック10は、図12に例示するように、一側面に長手方向の全長にわたって凹条101が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹条101に嵌合可能な形状を有する凸条102が、長手方向の全長にわたって設けられている。
【0031】
ブロック10は、このような凹条101および凸条102を備えた形状に成形されることによって、複数個のブロック10を並べて敷設したとき、隣接するブロック同士で凹条101と凸条102とが嵌合して固定され、施工後および供用後のブロック間の段差や不陸の発生を抑えるとともに、ブロック10の表面破損も防止できるように構成されている。
【0032】
また、ブロック10は、施工後および供用後に不陸や段差を生じないようにするために、特に凹条101および凸条102を形成する高さ位置が規定されている。例示の形態では、ブロック10は、互いに嵌合する凹条101および凸条102を、ブロック10の上端から等距離となる高さ位置に設けている。すなわち、成形される全てのブロック10は、ブロック材料の流動性等によりその高さが多少異なってしまうような場合があっても、側面の凹条101および凸条102が設けられる位置は、上端から常に一定の場所に設けられるようになされている。
【0033】
これにより、供用後にブロック10を敷設する路盤およびサンドクッション層の沈下等が起こっても、かかる凹条101と凸条102との嵌合により、ブロック10の上面は段差や不陸を生じることなく、平滑に保たれることになる。
【0034】
本発明の成形装置1は、前記構成のブロック10の周囲四側面を成形する型枠2と、この型枠2を水平に支持する支持台8と、型枠2の内側に供給される材料を上方から押圧するプレス板9とを備えている。
【0035】
図1,2に示すように、型枠2は、対向する一対の側壁に、ブロック10の凹条101を形成しうる凸型31、およびブロック10の凸条102を形成しうる凹型32を、その内面にそれぞれ設けた変形型3を備えている。
【0036】
各変形型3の外側面には、型枠2の外側下方へ傾斜した断面略直角三角形状のスライダ4が係着されている。また、このスライダ4の外側には、スプリング6によってに連結された昇降部材5が配設されている。さらに昇降部材5は、最外部においてアーム7と接続され、上下方向に昇降自在となされている。
【0037】
これにより、適宜の給材装置から型枠2の内側にブロック材料(104)が供給されると、これをプレス板9で押圧して成形し、両サイドに凹条101および凸条102を有するブロック10を形成することができるようになっている。
【0038】
かかる成形装置1の各部について詳述すると、対向する一対の変形型3,3は、一方には、ブロック10の凹条101を形成しうる凸型31が突設され、他方には、ブロックの凸条を形成しうる凹型32が凹設されている。そして、これらの各変形型3は、支持台8の上を水平方向に摺動するように支持台8に垂直に立設して配置されている。
【0039】
また、これらの変形型3,3は、プレス板9によって、その内側に供給されたブロック材料(104)とともに、上方から押圧されるものであり、支持台8の上に配置されて内側へ延出したスライダ4の底部46との間に伸縮手段33を介在させて配設されている。
【0040】
この伸縮手段33は、例えば、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材331で構成されてもよい。
【0041】
図4に示すように、伸縮手段33である板ばね材331は、断面略L字状に形成されており、ばね板の下端が型枠2の内側下方へ向いた逆L字状に配設され、変形型3の底面に固着されている。かかる形状の板ばね材331は、上方から圧潰されると屈曲部が押し広げられて扁平に変形し、下端部が型枠2の内側方向へ進入するものとなる。これにより、変形型3は、高さ方向下向きに縮むことができるように構成されている。
【0042】
このような伸縮手段33には、図示した板ばね材331以外にも、例えば弾性を有する合成ゴム系材料等のエラストマーや、多孔質スポンジ状の発泡性樹脂材料からなる、棒状のブロック体332を用いることもできる(図5,6参照)。
【0043】
そして、このような伸縮手段33は、前記のどのような材質で形成される場合にも、変形型3が高さ方向下向きの外力を受けると、下方へ縮んでその高さ寸法を変え、外力が除かれると元の高さに復元され得るものとなっている。
【0044】
また、変形型3の伸縮手段33は、各変形型3に突設された凸型31、または凹設された凹型32よりも下部に配設されている。これにより、伸縮しうる変形型3において、凹条101および凸条102を成形する高さ位置が、上面側から一定の距離となるように構成されている。
【0045】
変形型3の外側のスライダ4は、型枠2の外側下方へ傾斜したスライド面41を備えた、断面略直角三角形状に形成されている。そして、スライダ4の垂直面側において変形型3に当接して互いに係着するものとなされている。
【0046】
例示の形態では、変形型3の上部外側には平板状の突縁部34が突設されている。これに対し、スライダ4の内面近傍にはストッパー軸42およびこのストッパー軸42に装着された弾性材43が内装されて、可撓軸が形成されている。
【0047】
この弾性材43は、例えばコイルばね状のものが好ましく、スライダ4の内部に形成されたガイド管46内のストッパー軸42に沿って伸縮する。弾性材43の上部には、変形型3の突縁部34が配置されて、ストッパー軸42に挿通して係止されている。
【0048】
これにより、変形型3がプレス板9により押圧されるに伴って、突縁部34は弾性材43を収縮させて下降する。また、変形型3がプレス板から外れると、突縁部34が弾性材43の反発力を受けて、変形型3を元の高さに伸張させる構成となっている。
【0049】
また、変形型3には、伸縮手段33による伸縮動作を、支持台8に対して垂直方向に規定するガイド部が、スライダ4との間に設けられている。このガイド部は、例えば変形型3の外側と、スライダ4の内側とのいずれか一方にガイド凸条が垂直方向に設けられ、これに係合するガイド凹条がいずれか他方に垂直方向に設けられていればよい。これにより、変形型3がプレス板9により押圧されると垂直方向下向きに圧縮され、プレス板9から外れると垂直方向上向きに伸張しうるようになり、寸法精度よく成形することができる。
【0050】
さらに、スライダ4の底部46には、支持台8の上を転動しうるローラ44が内装されている。これにより、スライダ4が支持台8の上を円滑に摺動するように構成されている。
【0051】
また、スライダ4の内面には、変形型3に設けられた伸縮手段33の膨出を許容しうる逃げ溝45が形成されている。図6に示すように、例えば伸縮手段33にゴム系材料からなるエラストマー等のブロック体332が用いられたときには、このブロック体332の水平方向の変形による膨出部分を逃げ溝45が受け入れて、その変形を許容しうるものとなされている。
【0052】
また、図4に示したように、逃げ溝45の下縁部は、伸縮手段33を板ばね材331としたときに、その下端部の変形方向を規定する、型枠2の内側下方へ傾斜した傾斜面451となされてもよい。これにより、板ばね材331が所望の方向へ扁平するので、成形性を高めることができる。
【0053】
このようなスライダ4に対して、その外側に設けられる昇降部材5は、スライダ4のスライド面41に当接するガイド面51を備えて、アーム7の駆動により上下方向に昇降自在とされている。スライダ4と昇降部材5とは、長さが伸縮自在なスプリング6によって連結され、昇降部材5の動作をスライダ4に伝達し、その動作を拘束している。
【0054】
以上のように構成された成形装置1には、図1に示す状態から、型枠2の内側に、図外の適宜の給材装置によってブロック材料104が供給される。このとき、図示しない加振機構により、支持台8に加振され、供給したブロック材料104を型枠2内に均一に装填する。
【0055】
次に、図5に示すようにプレス板9が下降して、型枠2の変形型3と、内側のブロック材料104とを、ともに上方から押圧する。加圧がなされると、変形型3の伸縮手段33は高さ方向下向きに圧縮され、充填されたブロック材料104の高さに合わせてその高さを変える。このとき、図6に示すように、変形型3の突縁部34は、スライダ4内のストッパー軸に沿って弾性材43を収縮させて下降している。これにより、ブロック材料104が所望の形状に成形される。
【0056】
プレス板9が十分に押圧したところで、続いてアーム7が駆動し、昇降部材5が上昇しはじめる。昇降部材5が上昇しはじめると、昇降部材5とスライダ4とを連結しているスプリング6によってその動きがスライダ4に伝えられ、スライダ4が型枠2の外側方向へ引き寄せられる。
【0057】
図8に示すように、昇降部材5の上昇により、スライダ4はスライド面41が昇降部材5のガイド面51に当接したまま、型枠2の外側方向へ移動する。図9に示すように、このとき、昇降部材5が上昇してガイド面51が上方へ移動していくので、スライダ4は、このガイド面51に沿って相対的にスライドし、昇降部材5のガイド面51と支持台8とに規定されて、型枠2の外側方向へ水平に摺動する。
【0058】
また、スライダ4が水平方向外側へ移動していくことにより、スライダ4に係着した変形型3が、型枠2の外側方向へ移動する。これにより、図9に示すように、変形型3がプレス板9から外れると、図7で示した変形型3の突縁部34が弾性材43の反発力を受けてストッパー軸43に沿って上昇し、伸縮手段33を伸張させて、変形型3を元の高さに復元させる。
【0059】
さらに昇降部材5が上昇すると、スライダ4は支持台8の上をさらに外側へ摺動し、図10に示すように、変形型3の内面が成形体105から離間する。続いて、図11に示すように、昇降部材5とともにスライダ4および変形型3が支持台8の上方へ離間し、さらにプレス板9から離間すると、成形体105は支持台8とともに養生室へと搬送される。
【0060】
このような動作によって、成形装置1は、ブロック10の凹条101および凸条102を崩すことなく、円滑に即時脱型してブロック10を成形することができ、ブロック10の凹条101および凸条102を、上端から常に一定の場所に設けることができるようになる。
【0061】
また、かかる製造方法によれば、ブロック10の表面側を上面に向けた状態で成形体105が仕上がるので、図12に例示したように、ブロック10の表面に溝模様103を形成することも容易となる。また、かかるブロック10の溝模様103だけでなく、これ以外の模様も、側面の凹条および凸条の形成方向に関係なく、任意に形成することができる。
【0062】
なお、上記の説明では成形するブロック10は、側面の長手方向の全長にわたって凹条101が設けられ、この側面に相対する他側面に凹条101に嵌合する凸条102が長手方向の全長にわたって設けられた構成のものであったが、本発明はこれに限るものではなく、相対する二側面の長手方向(水平方向)に設けられた凹部または凸部であれば、どのような形状のブロック10の成形にも用いることができる。
【0063】
したがって、一側面に凹部および凸部がともに設けられて、他側面の凸部および凹部が互いに嵌合しうるブロックや、相対する二側面に凹部のみが設けられて、隣接する凹部との間にジョイント部材を介在させて敷設するブロックなどの成形にも、好適に利用することができる。また、凹部および凸部の形状も、側面の高さ方向の略中央部に配設されたものだけでなく、例えばブロック側面の高さ方向の下半部が横断面台形状に凹設あるいは凸設された凹部または凸部にも適用することができる。これらのいずれの場合にも、変形型3には、各凹部を形成しうる形状の凸型31、および各凸部を形成しうる形状の凹型32が設けられればよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
歩道や公共スペースなどの人の往来する場所や、自動車の乗り入れのある場所等に敷設する舗装用ブロックを成形するのに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る舗装用ブロックの成形装置の一例を示す説明図である。
【図2】前記成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図3】前記成形装置におけるスライダの内部機構を示す説明図である。
【図4】前記成形装置における伸縮手段の一例を示し、(a)はプレス前、(b)はプレス後の各説明図である。
【図5】本発明の成形装置における成形工程の一過程を示す説明図である。
【図6】図5の成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図7】図3から図6への動作を示す説明図である。
【図8】本発明の成形装置において図5に続く成形工程を示す説明図である。
【図9】図8の成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図10】図7に続く成形工程を示す説明図である。
【図11】図10に続く成形工程を示す説明図である。
【図12】本発明に係る成形装置によって成形されるブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ブロック成形装置
2 型枠
3 変形型
31 凸型
32 凹型
33 伸縮手段
331 板ばね材
332 ブロック体
34 突縁部
4 スライダ
41 スライド面
42 ストッパー軸
43 弾性材
44 ローラ
45 逃げ溝
451 傾斜面
46 底部
5 昇降部材
51 ガイド面
6 スプリング
7 アーム
8 支持台
9 プレス板
10 ブロック
101 凹条
102 凸条
103 溝模様
104 ブロック材料
105 成形体
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道や公共スペース等に使用される舗装用ブロックの成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩道や公共スペースなどの人の往来する場所は、砂またはモルタルなどの下地(サンドクッション層)の上に、インタロッキングブロック、平板、レンガブロック、舗石等の舗装用ブロックが敷設されて使用されることが多い。
【0003】
このような舗装用ブロックを連結する構成として、隣接するブロック同士の側面に凹条や凸条を設け、これらを嵌合することにより、継ぎ目の平面性を保つようにし、敷設したブロック間に段差や不陸を生じないように意図されたブロック構造があった。
【0004】
ところが、段差や不陸は、施工精度が悪い場合にはその発生を余儀なくされる。また、供用後においても、路盤およびサンドクッション層の沈下等によって、段差や不陸が発生することがあった。そして、このように生じた段差や不陸によって、歩行中につまずいたり、車椅子や乳母車などの走行が困難になったりして、危険を招いてしまうおそれがあった。また、舗装用ブロックには地盤への追従性が必要とされ、偏った荷重がかかってもブロック表面を破損させることがないような対策が望まれていた。
【0005】
そこで、このような問題点を解消するために本出願人は、舗装用ブロック側面の凹条および凸条の形状および大きさ、またこれらを設ける高さ位置等について研究開発を進め、供用後においても良好な歩行感と、車椅子等の走行性を維持することのできる舗装用ブロックを提案してきた(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
また従来、この種の舗装用ブロックは、型枠に材料を供給し、型押しした後に下抜き脱型することによって成形して製造されるのが一般的であった。かかる製造方法として、例えば特許文献2には、下抜き式コンクリートブロックの成形型枠装置の技術が開示されている。
【0007】
この特許文献2に記載された型枠装置は、型枠の両側面に斜めのガイドを設け、これに断面形状が楔形をしたライナーを、細幅先端部を上にして配置し、斜め上下方向に摺動可能となるように構成して、下面幅が上面幅よりも狭いコンクリートブロックの形状に対応できるようになされている。
【特許文献1】特開2004−263370号公報
【特許文献2】特許第2998930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に開示されたようなコンクリートブロックの成形型枠装置は、成形したブロックが両側面のガイドに沿って下方へ脱型される構成であるので、上記の舗装用ブロックのように側面に水平方向に凹条や凸条を形成したブロックは型抜きすることができない。
【0009】
また、このように凹条や凸条のあるブロックの下抜き脱型を可能にするために、凹条や凸条のない側面を底面に配置して下抜き形状にブロックを成形する方法も考えられているが、このような下抜き形状にすると、型抜き時に型枠と成形体との擦れる距離が長くなり、脱型による変形を生じやすくなってしまう。また、型枠内に供給される材料の流動性や充填性等を一定に保つのは困難であるため、寸法精度が低下しやすくなり、型枠内の上部と下部とで色むらを生じることもあるという問題点があった。
【0010】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、一方の側面の長手方向に凸部または凹部が形成されるとともに、この側面に相対する他方の側面にも凹部または凸部が長手方向に形成される舗装用ブロックを、敷設したときに段差や不陸を生じないような形状に安定して寸法精度よく成形することを可能にする成形装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明は、略直方体形状の長手方向に凹部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹部に嵌合可能な形状を有する凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロック、または略直方体形状の長手方向に凹部または凸部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に凹部または凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置とすることを前提としている。
【0012】
そして、本発明では、ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が設けられており、これらの変形型が、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴としている。
【0013】
この発明により、ブロックの側面に凹部または凸部が形成されたブロックを、表面側を上面に向けた状態で成形することができ、このように成形されたブロックの凹部または凸部を互いに嵌合させたり、隣接するブロックの凹部同士の間にジョイント部材を介在させたりすることで、ブロックを敷設したときに段差や不陸を生じない良好な形状とすることができる。
【0014】
前記構成における変形型の伸縮手段としては、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材を用いることができる。あるいは、前記変形型の伸縮手段は、高さ方向に伸縮しうるエラストマーまたは発泡性樹脂材料からなるものであってもよい。
【0015】
これにより、変形型がプレス板によって押圧されたときに、伸縮手段が圧縮するので型枠の内側に供給した材料を押圧して側面に凹部または凸部が形成されたブロックを成形することができ、また変形型とプレス板とが離れると伸張するので、変形型の形状を成形前の状態に戻すことができる。
【0016】
また、本発明は上記構成の成形装置において、各変形型の外側面には、型枠の外側下方へ傾斜したスライド面を有する断面略直角三角形状のスライダが係着されるとともに、このスライダの外側には、前記スライド面に当接するガイド面を備えて上下方向に昇降自在とされた昇降部材がスプリングによってスライダに連結されて配設され、昇降部材が上昇しはじめると、スプリングによってその動きがスライダに伝えられ、スライダが型枠の外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材のガイド面と支持台とに規定されて型枠の外側方向へ水平に摺動することにより、変形型の内面が成形体から離間することを特徴としている。
【0017】
また、かかる成形装置は、変形型の上部外側には突縁部が突設されるとともに、スライダの内面近傍にはストッパー軸およびストッパー軸に装着された弾性材が内装されており、このストッパー軸および弾性材の上部に変形型の突縁部が係止されて、変形型がプレス板により押圧されるに伴って突縁部が弾性材を収縮させて下降する一方、プレス板と変形型とが離れると突縁部が弾性材の反発力を受けて、変形型を元の高さに伸張させうるように構成されることを特徴としている。
【0018】
さらに、前記変形型には、その伸縮動作を垂直方向に規定するガイド部がスライダとの間に設けられることを特徴としている。
【0019】
このような構成により、ブロックに成形した凹部および凸部を崩すことなく、良好な形状のまま成形および脱型することが可能になり、その成形性および生産性を格段に高めることができる。
【0020】
さらに、本発明においては、スライダの底部には支持台上を転動しうるローラが内装されることが好ましい。
【0021】
これにより、支持台上をスライダが円滑に摺動することができ、成形性を高めることができる。
【0022】
また、スライダの内面には、変形型に設けられた伸縮手段の膨出を許容しうる逃げ溝が形成されることが好ましい。
【0023】
これにより、プレス板による変形型の変形が妨げられることがないので、好ましい形状で凹部または凸部をブロックに成形することができる。
【0024】
また、前記変形型の伸縮手段は、各変形型に設けられた凸型または凹型よりも下部に配設されることが好ましい。
【0025】
これにより、ブロックの凹部または凸部を上面から常に一定距離の場所に設けて成形することができる。
【発明の効果】
【0026】
上述のように構成される本発明の舗装用ブロックの成形装置によれば、ブロックの側面に形成する凹部または凸部を崩すことなく、円滑に即時脱型することができる。さらに、本発明の成形装置によれば、ブロックの凹部または凸部を、上端から常に一定の場所に設けることができるので、敷設したときに段差や不陸を生じない形状に成形して継ぎ目の平面性を確保することができるとともに、安定して寸法精度よく成形することができる。また、従来からの平板のように、二層成形も可能となるので製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る舗装用ブロックの成形装置を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1〜図11は本発明の舗装用ブロックの成形装置の一例を示し、図1は成形装置の成形前状態の説明図、図2は成形装置の片側を示す部分拡大図、図3は変形型およびスライダの内部機構を示す説明図、図4は伸縮手段の一例である板ばね材の使用例を示し、(a)はプレス前、(b)はプレス後の説明図である。また、図5は成形工程の一過程を示す説明図、図6は図5の成形装置の片側を示す部分拡大図、図7は図3から図6への動作を示す説明図である。さらに図8〜11は、図5に続く成形装置1による成形工程を示し、脱型開始後の各過程を示す説明図である。
【0029】
なお、各図においては図面を見やすくするために、支持台8やプレス板9等の構成部材には断面を示すハッチングを省略して記載している。
【0030】
本発明の舗装用ブロックの成形装置1は、例えば、平板状で上面視正方形または長方形の略直方体形状のブロック10を成形するのに用いられる。形成されるブロック10は、図12に例示するように、一側面に長手方向の全長にわたって凹条101が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹条101に嵌合可能な形状を有する凸条102が、長手方向の全長にわたって設けられている。
【0031】
ブロック10は、このような凹条101および凸条102を備えた形状に成形されることによって、複数個のブロック10を並べて敷設したとき、隣接するブロック同士で凹条101と凸条102とが嵌合して固定され、施工後および供用後のブロック間の段差や不陸の発生を抑えるとともに、ブロック10の表面破損も防止できるように構成されている。
【0032】
また、ブロック10は、施工後および供用後に不陸や段差を生じないようにするために、特に凹条101および凸条102を形成する高さ位置が規定されている。例示の形態では、ブロック10は、互いに嵌合する凹条101および凸条102を、ブロック10の上端から等距離となる高さ位置に設けている。すなわち、成形される全てのブロック10は、ブロック材料の流動性等によりその高さが多少異なってしまうような場合があっても、側面の凹条101および凸条102が設けられる位置は、上端から常に一定の場所に設けられるようになされている。
【0033】
これにより、供用後にブロック10を敷設する路盤およびサンドクッション層の沈下等が起こっても、かかる凹条101と凸条102との嵌合により、ブロック10の上面は段差や不陸を生じることなく、平滑に保たれることになる。
【0034】
本発明の成形装置1は、前記構成のブロック10の周囲四側面を成形する型枠2と、この型枠2を水平に支持する支持台8と、型枠2の内側に供給される材料を上方から押圧するプレス板9とを備えている。
【0035】
図1,2に示すように、型枠2は、対向する一対の側壁に、ブロック10の凹条101を形成しうる凸型31、およびブロック10の凸条102を形成しうる凹型32を、その内面にそれぞれ設けた変形型3を備えている。
【0036】
各変形型3の外側面には、型枠2の外側下方へ傾斜した断面略直角三角形状のスライダ4が係着されている。また、このスライダ4の外側には、スプリング6によってに連結された昇降部材5が配設されている。さらに昇降部材5は、最外部においてアーム7と接続され、上下方向に昇降自在となされている。
【0037】
これにより、適宜の給材装置から型枠2の内側にブロック材料(104)が供給されると、これをプレス板9で押圧して成形し、両サイドに凹条101および凸条102を有するブロック10を形成することができるようになっている。
【0038】
かかる成形装置1の各部について詳述すると、対向する一対の変形型3,3は、一方には、ブロック10の凹条101を形成しうる凸型31が突設され、他方には、ブロックの凸条を形成しうる凹型32が凹設されている。そして、これらの各変形型3は、支持台8の上を水平方向に摺動するように支持台8に垂直に立設して配置されている。
【0039】
また、これらの変形型3,3は、プレス板9によって、その内側に供給されたブロック材料(104)とともに、上方から押圧されるものであり、支持台8の上に配置されて内側へ延出したスライダ4の底部46との間に伸縮手段33を介在させて配設されている。
【0040】
この伸縮手段33は、例えば、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材331で構成されてもよい。
【0041】
図4に示すように、伸縮手段33である板ばね材331は、断面略L字状に形成されており、ばね板の下端が型枠2の内側下方へ向いた逆L字状に配設され、変形型3の底面に固着されている。かかる形状の板ばね材331は、上方から圧潰されると屈曲部が押し広げられて扁平に変形し、下端部が型枠2の内側方向へ進入するものとなる。これにより、変形型3は、高さ方向下向きに縮むことができるように構成されている。
【0042】
このような伸縮手段33には、図示した板ばね材331以外にも、例えば弾性を有する合成ゴム系材料等のエラストマーや、多孔質スポンジ状の発泡性樹脂材料からなる、棒状のブロック体332を用いることもできる(図5,6参照)。
【0043】
そして、このような伸縮手段33は、前記のどのような材質で形成される場合にも、変形型3が高さ方向下向きの外力を受けると、下方へ縮んでその高さ寸法を変え、外力が除かれると元の高さに復元され得るものとなっている。
【0044】
また、変形型3の伸縮手段33は、各変形型3に突設された凸型31、または凹設された凹型32よりも下部に配設されている。これにより、伸縮しうる変形型3において、凹条101および凸条102を成形する高さ位置が、上面側から一定の距離となるように構成されている。
【0045】
変形型3の外側のスライダ4は、型枠2の外側下方へ傾斜したスライド面41を備えた、断面略直角三角形状に形成されている。そして、スライダ4の垂直面側において変形型3に当接して互いに係着するものとなされている。
【0046】
例示の形態では、変形型3の上部外側には平板状の突縁部34が突設されている。これに対し、スライダ4の内面近傍にはストッパー軸42およびこのストッパー軸42に装着された弾性材43が内装されて、可撓軸が形成されている。
【0047】
この弾性材43は、例えばコイルばね状のものが好ましく、スライダ4の内部に形成されたガイド管46内のストッパー軸42に沿って伸縮する。弾性材43の上部には、変形型3の突縁部34が配置されて、ストッパー軸42に挿通して係止されている。
【0048】
これにより、変形型3がプレス板9により押圧されるに伴って、突縁部34は弾性材43を収縮させて下降する。また、変形型3がプレス板から外れると、突縁部34が弾性材43の反発力を受けて、変形型3を元の高さに伸張させる構成となっている。
【0049】
また、変形型3には、伸縮手段33による伸縮動作を、支持台8に対して垂直方向に規定するガイド部が、スライダ4との間に設けられている。このガイド部は、例えば変形型3の外側と、スライダ4の内側とのいずれか一方にガイド凸条が垂直方向に設けられ、これに係合するガイド凹条がいずれか他方に垂直方向に設けられていればよい。これにより、変形型3がプレス板9により押圧されると垂直方向下向きに圧縮され、プレス板9から外れると垂直方向上向きに伸張しうるようになり、寸法精度よく成形することができる。
【0050】
さらに、スライダ4の底部46には、支持台8の上を転動しうるローラ44が内装されている。これにより、スライダ4が支持台8の上を円滑に摺動するように構成されている。
【0051】
また、スライダ4の内面には、変形型3に設けられた伸縮手段33の膨出を許容しうる逃げ溝45が形成されている。図6に示すように、例えば伸縮手段33にゴム系材料からなるエラストマー等のブロック体332が用いられたときには、このブロック体332の水平方向の変形による膨出部分を逃げ溝45が受け入れて、その変形を許容しうるものとなされている。
【0052】
また、図4に示したように、逃げ溝45の下縁部は、伸縮手段33を板ばね材331としたときに、その下端部の変形方向を規定する、型枠2の内側下方へ傾斜した傾斜面451となされてもよい。これにより、板ばね材331が所望の方向へ扁平するので、成形性を高めることができる。
【0053】
このようなスライダ4に対して、その外側に設けられる昇降部材5は、スライダ4のスライド面41に当接するガイド面51を備えて、アーム7の駆動により上下方向に昇降自在とされている。スライダ4と昇降部材5とは、長さが伸縮自在なスプリング6によって連結され、昇降部材5の動作をスライダ4に伝達し、その動作を拘束している。
【0054】
以上のように構成された成形装置1には、図1に示す状態から、型枠2の内側に、図外の適宜の給材装置によってブロック材料104が供給される。このとき、図示しない加振機構により、支持台8に加振され、供給したブロック材料104を型枠2内に均一に装填する。
【0055】
次に、図5に示すようにプレス板9が下降して、型枠2の変形型3と、内側のブロック材料104とを、ともに上方から押圧する。加圧がなされると、変形型3の伸縮手段33は高さ方向下向きに圧縮され、充填されたブロック材料104の高さに合わせてその高さを変える。このとき、図6に示すように、変形型3の突縁部34は、スライダ4内のストッパー軸に沿って弾性材43を収縮させて下降している。これにより、ブロック材料104が所望の形状に成形される。
【0056】
プレス板9が十分に押圧したところで、続いてアーム7が駆動し、昇降部材5が上昇しはじめる。昇降部材5が上昇しはじめると、昇降部材5とスライダ4とを連結しているスプリング6によってその動きがスライダ4に伝えられ、スライダ4が型枠2の外側方向へ引き寄せられる。
【0057】
図8に示すように、昇降部材5の上昇により、スライダ4はスライド面41が昇降部材5のガイド面51に当接したまま、型枠2の外側方向へ移動する。図9に示すように、このとき、昇降部材5が上昇してガイド面51が上方へ移動していくので、スライダ4は、このガイド面51に沿って相対的にスライドし、昇降部材5のガイド面51と支持台8とに規定されて、型枠2の外側方向へ水平に摺動する。
【0058】
また、スライダ4が水平方向外側へ移動していくことにより、スライダ4に係着した変形型3が、型枠2の外側方向へ移動する。これにより、図9に示すように、変形型3がプレス板9から外れると、図7で示した変形型3の突縁部34が弾性材43の反発力を受けてストッパー軸43に沿って上昇し、伸縮手段33を伸張させて、変形型3を元の高さに復元させる。
【0059】
さらに昇降部材5が上昇すると、スライダ4は支持台8の上をさらに外側へ摺動し、図10に示すように、変形型3の内面が成形体105から離間する。続いて、図11に示すように、昇降部材5とともにスライダ4および変形型3が支持台8の上方へ離間し、さらにプレス板9から離間すると、成形体105は支持台8とともに養生室へと搬送される。
【0060】
このような動作によって、成形装置1は、ブロック10の凹条101および凸条102を崩すことなく、円滑に即時脱型してブロック10を成形することができ、ブロック10の凹条101および凸条102を、上端から常に一定の場所に設けることができるようになる。
【0061】
また、かかる製造方法によれば、ブロック10の表面側を上面に向けた状態で成形体105が仕上がるので、図12に例示したように、ブロック10の表面に溝模様103を形成することも容易となる。また、かかるブロック10の溝模様103だけでなく、これ以外の模様も、側面の凹条および凸条の形成方向に関係なく、任意に形成することができる。
【0062】
なお、上記の説明では成形するブロック10は、側面の長手方向の全長にわたって凹条101が設けられ、この側面に相対する他側面に凹条101に嵌合する凸条102が長手方向の全長にわたって設けられた構成のものであったが、本発明はこれに限るものではなく、相対する二側面の長手方向(水平方向)に設けられた凹部または凸部であれば、どのような形状のブロック10の成形にも用いることができる。
【0063】
したがって、一側面に凹部および凸部がともに設けられて、他側面の凸部および凹部が互いに嵌合しうるブロックや、相対する二側面に凹部のみが設けられて、隣接する凹部との間にジョイント部材を介在させて敷設するブロックなどの成形にも、好適に利用することができる。また、凹部および凸部の形状も、側面の高さ方向の略中央部に配設されたものだけでなく、例えばブロック側面の高さ方向の下半部が横断面台形状に凹設あるいは凸設された凹部または凸部にも適用することができる。これらのいずれの場合にも、変形型3には、各凹部を形成しうる形状の凸型31、および各凸部を形成しうる形状の凹型32が設けられればよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
歩道や公共スペースなどの人の往来する場所や、自動車の乗り入れのある場所等に敷設する舗装用ブロックを成形するのに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る舗装用ブロックの成形装置の一例を示す説明図である。
【図2】前記成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図3】前記成形装置におけるスライダの内部機構を示す説明図である。
【図4】前記成形装置における伸縮手段の一例を示し、(a)はプレス前、(b)はプレス後の各説明図である。
【図5】本発明の成形装置における成形工程の一過程を示す説明図である。
【図6】図5の成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図7】図3から図6への動作を示す説明図である。
【図8】本発明の成形装置において図5に続く成形工程を示す説明図である。
【図9】図8の成形装置の片側を示す部分拡大図である。
【図10】図7に続く成形工程を示す説明図である。
【図11】図10に続く成形工程を示す説明図である。
【図12】本発明に係る成形装置によって成形されるブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ブロック成形装置
2 型枠
3 変形型
31 凸型
32 凹型
33 伸縮手段
331 板ばね材
332 ブロック体
34 突縁部
4 スライダ
41 スライド面
42 ストッパー軸
43 弾性材
44 ローラ
45 逃げ溝
451 傾斜面
46 底部
5 昇降部材
51 ガイド面
6 スプリング
7 アーム
8 支持台
9 プレス板
10 ブロック
101 凹条
102 凸条
103 溝模様
104 ブロック材料
105 成形体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状の長手方向に凹部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹部に嵌合可能な形状を有する凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置であって、
ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、
型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が備えられ、
これらの変形型は、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴とする舗装用ブロックの成形装置。
【請求項2】
略直方体形状の長手方向に凹部または凸部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に凹部または凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置であって、
ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、
型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が備えられ、
これらの変形型は、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴とする舗装用ブロックの成形装置。
【請求項3】
変形型の伸縮手段は、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材であることを特徴とする請求項1または2に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項4】
変形型の伸縮手段は、高さ方向に伸縮しうるエラストマーまたは発泡性樹脂材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項5】
各変形型の外側面には、型枠の外側下方へ傾斜したスライド面を有する断面略直角三角形状のスライダが係着されるとともに、このスライダの外側には、前記スライド面に当接するガイド面を備えて上下方向に昇降自在とされた昇降部材がスプリングによってスライダに連結されて配設され、
昇降部材が上昇しはじめると、スプリングによってその動きがスライダに伝えられ、スライダが型枠の外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材のガイド面と支持台とに規定されて型枠の外側方向へ水平に摺動することにより、変形型の内面が成形体から離間することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項6】
変形型の上部外側には突縁部が突設されるとともに、スライダの内面近傍にはストッパー軸およびストッパー軸に装着された弾性材が内装されており、このストッパー軸および弾性材の上部に変形型の突縁部が係止されて、
変形型がプレス板により押圧されるに伴って突縁部が弾性材を収縮させて下降する一方、プレス板と変形型とが離れると突縁部が弾性材の反発力を受けて、変形型を元の高さに伸張させうることを特徴とする請求項5に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項7】
変形型には、その伸縮動作を垂直方向に規定するガイド部がスライダとの間に設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項8】
スライダの底部には支持台上を転動しうるローラが内装されたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項9】
スライダの内面には、変形型に設けられた伸縮手段の膨出を許容しうる逃げ溝が形成されたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項10】
変形型の伸縮手段は、各変形型に設けられた凸型または凹型よりも下部に配設されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項1】
略直方体形状の長手方向に凹部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に、前記凹部に嵌合可能な形状を有する凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置であって、
ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、
型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が備えられ、
これらの変形型は、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴とする舗装用ブロックの成形装置。
【請求項2】
略直方体形状の長手方向に凹部または凸部が設けられるとともに、この側面に相対する他側面に凹部または凸部が長手方向に設けられる舗装用ブロックを成形するブロック成形装置であって、
ブロックの周囲四側面を成形する型枠と、この型枠を水平に支持する支持台と、型枠の内側に供給された材料を上方から押圧するプレス板とを備え、
型枠の対向する一対の側壁には、ブロックの凹部を形成しうる凸型、またはブロックの凸部を形成しうる凹型がその内面に設けられた変形型が備えられ、
これらの変形型は、支持台との間に伸縮手段を介在して配設されて、プレス板によって押圧されたとき高さ方向下向きに圧縮可能に形成されるとともに、変形型とプレス板とが離れると元の高さに伸張して変形しうることを特徴とする舗装用ブロックの成形装置。
【請求項3】
変形型の伸縮手段は、高さ方向に弾性変形しうる板ばね材であることを特徴とする請求項1または2に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項4】
変形型の伸縮手段は、高さ方向に伸縮しうるエラストマーまたは発泡性樹脂材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項5】
各変形型の外側面には、型枠の外側下方へ傾斜したスライド面を有する断面略直角三角形状のスライダが係着されるとともに、このスライダの外側には、前記スライド面に当接するガイド面を備えて上下方向に昇降自在とされた昇降部材がスプリングによってスライダに連結されて配設され、
昇降部材が上昇しはじめると、スプリングによってその動きがスライダに伝えられ、スライダが型枠の外側方向へ引き寄せられながら、昇降部材のガイド面と支持台とに規定されて型枠の外側方向へ水平に摺動することにより、変形型の内面が成形体から離間することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項6】
変形型の上部外側には突縁部が突設されるとともに、スライダの内面近傍にはストッパー軸およびストッパー軸に装着された弾性材が内装されており、このストッパー軸および弾性材の上部に変形型の突縁部が係止されて、
変形型がプレス板により押圧されるに伴って突縁部が弾性材を収縮させて下降する一方、プレス板と変形型とが離れると突縁部が弾性材の反発力を受けて、変形型を元の高さに伸張させうることを特徴とする請求項5に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項7】
変形型には、その伸縮動作を垂直方向に規定するガイド部がスライダとの間に設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項8】
スライダの底部には支持台上を転動しうるローラが内装されたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項9】
スライダの内面には、変形型に設けられた伸縮手段の膨出を許容しうる逃げ溝が形成されたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【請求項10】
変形型の伸縮手段は、各変形型に設けられた凸型または凹型よりも下部に配設されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の舗装用ブロックの成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−38488(P2007−38488A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224211(P2005−224211)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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