説明

航空及び宇宙技術用の繊維複合コンポーネントの製造方法

本発明は、繊維複合コンポーネント(10)、特に航空宇宙用の繊維複合コンポーネントの製造方法と、対応するモールドコア(7)と、対応する繊維複合コンポーネント(10)とに関する。前記方法は、外部形状を画するためのモールディングツール(14)によってコルクを含有する材料から前記モールドコア(7)を形成するステップと、製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)の少なくとも1つのモールド部(13)を形成するために、このように形成された前記モールドコア(7)を製造されるべき前記複合コンポーネント(10)のベース部材(11)上で少なくとも部分的に硬化した強化部材(1)に当接させて配置するステップと、前記繊維複合コンポーネント(10)を製造するために、少なくとも前記モールド部(13)を熱又は圧力に多段階でさらすステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合コンポーネント、特に航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントの製造方法と、このタイプの繊維複合コンポーネントを製造するために用いられるモールドコアと、このタイプのモールドコア及び/又はこのタイプの方法によって製造される少なくとも1つの強化部材を有する繊維複合コンポーネントとに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明及び本発明が基礎をおく課題は種々の繊維複合コンポーネントに適用可能であるが、以下においては、これらについて、ストリンガーとしても知られる強化部材で補強された平面状の炭素繊維強化プラスチック材料(CFRP)のコンポーネントである、例えば航空機の胴体シェルを例に説明する。
【0003】
航空分野においては、重量をできるだけ軽く維持しながら、高い負荷に耐えるように、CFRPストリンガーでCFRP外装シェルを強化することが一般的に知られている。この点で、実質的に、2つのタイプのストリンガーに区別される。即ち、T形状ストリンガーとオメガ形状ストリンガーである。
【0004】
T形状ストリンガーの断面は、脚部及びウェブから構成される。前記脚部は外装シェルに対する結合面を形成する。T形状ストリンガーで強化された外装シェルは、航空機構造体において広範囲で使用される。
【0005】
オメガ形状ストリンガーは略ハット形状の外形を有し、その脚部は前記外装シェルに結合される。オメガ形状ストリンガーは、既硬化若しくは未硬化の状態で、既硬化若しくは未硬化のシェルに接着することができ、又は、湿式結合(wet−in−wet)で前記シェルと同時に硬化される。この点で、実質的に、3つの異なる結合方法に区別される。
1.硬化後の結合(Secondary boding):
接着フィルムを用いたリジット/リジット接着結合
2.共結合(Co−bonding):
接着フィルムを任意に用いたリジット/ウェット接着結合
3.共硬化(Co−curing):
ウェット/ウェット接着結合
【0006】
さらに、部分硬化したような中間状態も可能である。しかしながら、既硬化及び/又は未硬化のオメガ形状ストリンガーで強化された未硬化又は既硬化の外装シェルを製造するためには、支持コア又はモールドコアが必要である。一方では、前記支持コア又はモールドコアの機能は、前記外装シェルの未硬化の繊維半製品であって既硬化の前記ストリンガーの空洞に配置された繊維半製品、及び/又は、製造工程において前記ストリンガーにおける不安定な繊維半製品を所望オメガ形状で固定及び支持することである。他方では、前記支持コア又はモールドコアは、共結合又は共硬化法において、必要なオートクレーブの圧力を未硬化の結合されるべき相手の部材に伝達する。
【0007】
従来、例えば、既硬化の前記オメガ形状ストリンガーを未硬化の外装に接着結合するためのオートクレーブ工程においては、ポリアミド(PA)若しくはフルオロポリマー(FEP)から成る管状フィルム、又は、シリコーンゴムから成る中空部材を前記支持コアとして使用することが提案されている。前記オートクレーブの圧力は、前記管状フィルム又はシリコン部材の内部に作用し、前記管状フィルム又は前記シリコン部材は、次に前記オートクレーブの圧力を前記オメガ形状ストリンガーの下の未硬化の外装ラミネートに伝達する。硬化工程の後、前記支持コアは取り除かれる。
【0008】
今までに研究された支持コアの材料によっては、再使用性に関し良好なコンポーネント品質が必ずしももたらされるわけではない。必要な内部の輪郭を必ずしも作ることができない。いわゆる「管破裂」によって、孔だらけのラミネート又は不十分な接着結合領域ができ、これにより、費用がかかる再加工が必要となる、又は、不合格材料が生じる。
【0009】
オメガ形状ストリンガーで強化された外装シェルの製造には、次の点で更なる問題がある。即ち、前記支持又はモールドコアのために現在使用されている材料がコストのかかるもの(特に、短い固定化時間及び許容可能な損傷のためにシリコーンゴムで作られた中空部材)であるという点と、(例えばフィルムの封入のために、)前記オメガ形状ストリンガーが形成された後においてはこの材料を取り除くことが困難になり、そのため前記ストリンガーに残る材料が航空機の総重量にとって不利となる点である。さらに、外装領域構造体において均一性、強度、及び、力の経路に悪影響を及ぼし得る気孔の蓄積及び繊維のたわみが、外装領域で生じる可能性がある。
【0010】
騒音を抑えるため、CFRPとゴムの複合物を前記ストリンガー間で外装領域に適用することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような背景に対して、本発明の目的は、よりコスト効率がよく且つ軽い繊維複合コンポーネントであって、特に航空宇宙産業等用の繊維複合コンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、請求項1及び/若しくは4の特徴を有する方法、請求項12の特徴を有するモールドコア、並びに/又は、請求項14の特徴を有する繊維複合コンポーネントによる本発明によって達成される。
【0013】
即ち、繊維複合コンポーネント、特に航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントの製造方法が、次のステップを有して提供される。
【0014】
第一に、モールドコアは、その外部形状を画するためのコアツールを用いてコルク含有材料から形成される。次に、このように作られた前記モールドコアは、製造されるべき前記繊維複合コンポーネントの少なくとも1つのモールド部を形成するために、少なくとも部分硬化した強化部材に当接するように、製造されるべき前記繊維複合コンポーネントのベースコンポーネントに配置される。前記繊維複合コンポーネントを製造するために、少なくとも前記モールド部は熱及び/又圧力によって多段階でチャージされる。
【0015】
繊維複合コンポーネント、特に航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントを製造するための更なる方法においては、モールドコアは、その外部形状を画するためのコアツールを用いてコルク含有材料から形成される。次に、このモールドコアは、製造されるべき前記繊維複合コンポーネントのベースコンポーネントに配置される。次に、少なくとも1つの繊維半製品が、製造されるべき前記繊維複合コンポーネントの少なくとも1つのモールド部を形成するために、前記ベースコンポーネントの少なくとも一部に置かれる。この後には、前記繊維複合コンポーネントを製造するために、少なくとも前記モールド部を熱及び/又は圧力によって多段階でチャージすることが続けられる。
【0016】
さらに、繊維複合コンポーネント、特に例えばストリンガーとされる強化部材を製造するために用いられるモールドコアには、ベース部に、コルクを含有するコア材料が備えられる。
【0017】
さらに、少なくとも1つの強化部材を備えた繊維複合コンポーネント、特に航空及び航空宇宙産業のための繊維複合コンポーネントが提供される。この繊維複合コンポーネントは、本発明に係る前記モールドコアによって、及び/又は、本発明に係る前記方法によって製造される。
【0018】
本発明が基礎をおく考えの1つは、前記モールドコアがコルク含有材料から形成されるということである。
【0019】
従って、初めに述べたアプローチと比較すると、本発明には、前記繊維複合コンポーネントをよりコスト効率のよいモールドコアによって製造することができるという利点がある。前記モールドコアは、複数の機能を備えることもできる。
【0020】
前記強化部材は、例えば、空洞を有して、オメガ形状ストリンガーとされ得る。しかしながら、例えば、台形、三角形、環状、波状等の他の断面を備えた空洞も可能である。また、例えばT形状ストリンガー、U形状ストリンガー、L形状ストリンガーとされる空洞のない強化部材は、例えば支持コアとして機能する前記モールドコアによって、外側で支持され得る。前記モールドコアは、これらの形状に対する各々の場合に例えば外側の支持コアとして部分的に適合し、又は、例えば内側の支持コアとして完全に適合して、それぞれの断面形状を有する。
【0021】
第一に、既硬化又は部分硬化の強化部材に当接する前記モールドコアは、前記強化部材の支持コアとして、未硬化、部分硬化、又は、既硬化のベースコンポーネントに、前記強化部材と共に適用することができる。
【0022】
さらに、前記モールドコアは、ベースコンポーネントに配置することができ、強化部材を未硬化、部分硬化、又は、既硬化のベースコンポーネント上に製造するために使用することができる。この際、製造されるべき前記強化部材のための繊維半製品が前記モールドコアに置かれる。
【0023】
純粋に支持コアとして機能する際には、前記繊維複合コンポーネントがオートクレーブで硬化した後、前記支持コアは前記強化部材から取り除かれ、及び/又は、引き離される。前記支持コアは、形状寸法的に安定していて、同時に弾力があり、その結果、前記繊維複合コンポーネントが良質なものとなる。さらに、前記支持コアは数回使用することができ、これにより、コストを低減することができる。前記支持コアの重量は比較的軽いので、前記支持コアは容易に扱うことができる。さらに、前記支持コアは再使用可能である。
【0024】
更なる機能においては、前記モールドコアは、いわゆる「浮動支持コア」として前記強化部材の中又は上に残る。前述の利点に加えて、騒音を抑えるという利点があり、従来の材料を使用して追加の遮音材を少なくとも部分的に省くことができる。胴体シェルの形をしている繊維複合コンポーネントは、コルクで作られた前記支持コアが前記強化部材の中又は上に残るため、改善された衝撃性能、及び、(難燃剤を加えることにより増加させることができる)改善された溶け落ち性能を示す。さらに、少なくとも部分的な断熱がこのようにして可能になる。
【0025】
前記強化部材が少なくとも部分硬化されている場合、即ち前もって硬化されている又は硬化された場合には、前記モールドコアには、前記モールドコアを前記強化部材に固定するための少なくとも1つの固定部材が設けられ得る。特に、前記モールドコアを前記強化部材に残す場合、例えば局所的又は連続的に適用される接着テープ、及び/又は、樹脂フィルム、及び/又は、接着フィルムの形で、この固定は行われ得る。
【0026】
前記モールドコアを再び取り除く場合、少なくとも1つの固定部材を前記モールドコアに取り付け、且つ、前記強化部材に脱着可能な少なくとも1つの固定補助部材と協働させることが好ましい。例えば、前記少なくとも1つの固定部材及び前記少なくとも1つの固定補助部材は、磁気ストリップによって形成される。この点に関し、例えば、前記モールドコアには、1つ以上の側面に、前記強化部材に当接するように設けられる磁気ストリップが備えられ得る。この磁気ストリップは、対応する(例えば、平削り又は成形された)溝又は凹部に取り付けられ及び/又は導入され得る。この溝又は凹部は、前記磁気ストリップの幾何学的断面形状に対応する。この構成には、前記磁気ストリップを単に装着して、何も残さずに固定することができるという利点がある。壁の薄いモールドコアの場合には、前記磁気ストリップの取付又は装着部分で局所的に厚くすることができる。前記強化部材には、対応する側/面に、取り外し可能な金属ストリップ、例えば前記磁気ストリップと協働するシート状金属ストリップが設けられる。固定補助部材としての前記金属ストリップは、磁気ストリップとすることもできる。ここでの利点は、この固定補助部材が装着しやすく、且つ取り外しやすいということである。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、強化手段は、形成されるべき前記モールドコアの外部形状のうち、鋭角で構成されるべき移行部に配置される。これらの強化手段、特に角部材は前記鋭角の角部を形成するという利点を有し、前記モールドコアには、前記移行部に、作るのが容易な面取り部が備られ得る。
【0028】
好ましくは、分離層が前記モールドコアに装着され、又は、前記モールドコア上に作られる。この分離層は、前記強化部材若しくは繊維半製品、及び/又は、母材の材料が前記モールドコアにくっつくことを防止する。前記分離層は、例えば研削、及び/又は、研磨による機械加工処理によって、直接作られる。しかしながら、前記分離層は、分離フィルム、及び/又は、液体分離剤から構成することもでき、追加的に適用することもできる。これによって、前記繊維複合コンポーネントのうち、前記モールドコアによって作られる部分の少なくとも一部が硬化した後に、前記モールドコアの除去が促進される。
【0029】
前記用語「繊維半製品」は、織物、インターレイドスクリム(interlaid scrim)、及び、繊維マットを意味するものとして理解される。例えば、これらは、充填剤、例えばエポキシ樹脂にて、オートクレーブ内で硬化される。
【0030】
これについては、ラミネート加工、プリプレッグ、トランスファ成形、及び/又は、真空注入法を使用することが可能であり、更にはこれらをワインディング法と共に使用することが可能である。
【0031】
本発明の更に好ましい改良によれば、前記繊維複合コンポーネントの少なくとも1つのモールド部を形成するために、前記モールドコアは、繊維複合半製品から成るベース部に配置され、及び/又は、繊維半製品によって少なくとも部分的に囲まれる。従って、ベース部、例えば外装シェル、圧力シェル等は、オメガ形状ストリンガー、及び更に他の強化部材と共に有利に形成することができる。代わりとして、又は、追加として、別の繊維複合コンポーネントを製造することもできる。前記別の繊維複合コンポーネントの形状は、前記モールドコアによって完全に定義される。
【0032】
オメガ形状ストリンガーを製造する際、例えば、前記モールドコアは硬化され、次に前記オメガ形状ストリンガーからその長手方向に沿って取り除かれ得る。ここで、前記モールドコアは前記分離層により容易に取り除かれる。前記モールドコアは、例えば耐引裂性の織物から構成される少なくとも1つの強化層、及び/又は、耐引裂性の分離フィルムで形成されるので、前記モールドコアの損傷が防止される。
【0033】
本発明の更に好ましい改良によれば、前記モールドコアは少なくとも1つのアンダーカットを備えて構成される。このアンダーカットは、好ましくは前記モールドコアの長手方向に沿って配置される。従って、このタイプのモールドコアによって、長手方向で異なる断面形状を備えたストリンガーを製造することが可能となる。
【0034】
前記モールドコアは、圧縮成形法によって形成され得る。この方法では、例えばコルクパウダーは、バインダー、及び、例えばゴム細粒から成る充填剤と混合されて、型により前記モールドコア所望形状に圧縮される。このようにして製造されるモールドコアを、例えば切断、研削及び研磨による材料除去の機械加工処理によって最終寸法にすることも可能である。
【0035】
また、前記モールドコアは、少なくとも2つのコアセグメント、例えば圧縮成形によって又は別の方法によって作られた2つのセグメントを備え得る。前記セグメントは、互いに対して接着結合される。当然、その後、複数の前記セグメントは前記モールドコアに仕上げることができる。
【0036】
また、前記モールドコアは、コア内部スペースを備えた中空コアとして形成され得る。この場合、個々のプレートから成る側壁は最終形状を作り出すために組み立てられ得る。さらに、前記モールドコアを圧縮成形することも可能であり、この場合には、前記内部スペースは対応するコアで満たされる。
【0037】
別の実施形態において、コア内部スペースを備えた中空コアとしての前記モールドコアの形成工程には、例えば圧縮成形法において、製造される中実部材を設けるサブステップが含まれる。前記モールドコアの外及び内側の輪郭は、例えばフライス加工及び/又は切削ツールによって作られる。前記コアの内部スペースを形成するための前記フライス加工及び/又は切削ツールの外部形状は、前記コア内部スペースの幾何学的断面形状に対応する。回転する前記フライス加工及び/又は切削ツールは、前記中実部材においてその長手方向に動かされ、同時に、前記フライス加工及び/又は切削ツールの軸部によって前記モールドコアのヘッド壁に長手方向に沿ったスロットが作成される。このスロットは、例えば、コルク含有材料の接着結合ストリップによって、及び/又は、磁気ストリップを備えた固定部材によって閉じることができる。
【0038】
別の実施形態においては、前記モールドコアの形成工程には、例えばカレンダー加工法(calendering process)又は他の圧縮成形法によって、製造されるシート材料を設けるサブステップが含まれる。その後、素材が切り取られる。この素材は、折り畳みツールによって折り畳まれ、次にコアツールによって結合される。この点に関し、前記コアツールは外側の型として作用する。更なるコアを内部スペースに導入することが可能であり、この場合には、前記シート材料が折り畳まれるとき、このコアが一種の仕上げコアとして作用し得る。折り畳みの目的のため、前記シート材料には、対応するように折り目を付け、及び/又は折り目を設けることが可能である。
【0039】
繊維複合コンポーネント、特に航空及び航空宇宙産業におけるベースコンポーネントの中/上に強化部材を製造するために用いられる本発明に係るモールドコアは、コルク含有材料を用いて形成され、前述のように製造され得る。
【0040】
少なくとも1つの強化部材を有する繊維複合コンポーネント、特に航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントは、前述のモールドコアを用いて製造される。
【0041】
更なる実施形態において、前記繊維複合コンポーネントの場合には、前記モールドコアは、吸音材及び/又は断熱材として、少なくとも1つの強化部材に当接するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は強化部材の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に係るモールドコアの第1実施形態の断面を加えた図1の図である。
【図3】図3は、本発明の第1の方法による製造時の本発明に係る繊維複合コンポーネントの実施形態の概略斜視図である。
【図4】図4は、モールドツール又はコアツールにおける図2に係る本発明のモールドコアの前記第1実施形態の概略断面図である。
【図5】図5は、図4に係る前記第1実施形態の変形例を示す図である。
【図6】図6は、図1に係る前記強化部材を備えた本発明に係る前記モールドコアの第2実施形態の概略断面図である。
【図7】図7は、図1に係る前記強化部材を備えた本発明に係る前記モールドコアの第3実施形態の概略断面図である。
【図8】図8は、図1に係る前記強化部材を備えた本発明に係る前記モールドコアの第4実施形態の概略断面図である。
【図9】図9は、図8に係る前記第4実施形態を製造するために用いられるシート材料の概略平面図である。
【図10】図10は、図9に係る前記シート材料の側面図である。
【図11】図11は、前記第1実施形態に係る前記モールドコア、及び、図1に係る前記強化部材の固定についての概略図である。
【図12】図12は、図11で示される固定の変形例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の第2の方法による製造時の本発明に係る繊維複合コンポーネントの実施形態の概略の斜視図である。
【図14】図14は、図1に係る前記強化部材を備えた本発明に係る前記モールドコアの第5実施形態の概略断面図である。
【図15】図15aは、図6に係る本発明の前記モールドコアの前記第2実施形態の変形例のためのコア素材の概略斜視図であり、図15bは、図15aに係る前記コア素材の機械加工の概略斜視図であり、図15cは、図6に係る本発明の前記モールドコアの前記第2実施形態の変形例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、図面の概略図に示された実施形態を参照しつつ、本発明についてより詳細に説明する。
【0044】
図面の全図において、特に示さない限り、同一又は機能的に同一の部材にはそれぞれ同じ参照符号を付す。
【0045】
まず、図1から3を参照する。
【0046】
図1は、強化部材1の概略断面図である。図2は、本発明に係るモールドコア7の第1実施形態の断面を加えた図1の図を示す。図3は、本発明の第1の方法による製造時の本発明に係る繊維複合コンポーネント10の実施形態の概略斜視図である。
【0047】
本実施形態において、図1に示すように、前記強化部材1は、一種のハット形の外形を備えたいわゆるオメガ形状ストリンガーであり、前記図面の平面上において上下に立っている。図3は例えば2つの強化部材1が図示された斜視図であり、前記2つの強化部材1は、強化を目的として、ベースコンポーネント11、例えば航空機及び宇宙船(図示せず)のシェル材又は胴体外装部材に取り付けられている。
【0048】
前記強化部材1(図1参照)は、2つの対向するウェブ2を有する。これらのウェブ2は、上方へ行くに従って互いの方へ向かうように傾斜して延び、ここでヘッド5と呼ばれる水平接続部によって当該ウェブ2の上端部で結合されている。前記ウェッブ2の下端部には、下側サイド部を有し、水平方向外方に延びる脚部3が取り付けられている。前記下側サイド部は、強化されるべき前記ベースコンポーネント11に載置され且つ取り付けられるための結合面4として設けられている(図3参照)。前記ウェブ2及び前記ヘッド5は略台形の空洞6を囲み、前記空洞6の下側開口部は前記ベースコンポーネント11によって閉じられる(図3参照)。
【0049】
図3において、前記強化部材1は、前記ベースコンポーネント11と共に前記繊維複合コンポーネント10のモールド部13を形成している。この点に関し、前記ベースコンポーネント11の表面には、前記強化部材1の内部スペース6の下方に内表面部12が設けられている。図2の断面に示されるように、前記強化部材1の内部スペース6内にはモールドコア7が配置されている。しかしながら、複数のモールドコア7を縦に並べて配置することも可能である。
【0050】
この例において、前記モールドコア7は、前記強化部材1の空洞6を完全に満たしている。前記モールドコア7の側面8は、前記強化部材1のウェブ2及びヘッド5の内側に当接している。前記モールドコア7のベース面9は、前記強化部材1における脚部3のそれぞれの前記結合面4と揃うように配置されている。
【0051】
本発明に係る方法の前記第1実施形態においては、前記強化部材1は前もって別の場所で製造されており、この強化部材1のために、前記モールドコア7を使用することも、また少なくとも部分硬化させることもできる。本明細書において、前記用語「部分硬化」は、前記強化部材1をその製造場所から本実施形態においてはまだ硬化していない前記ベースコンポーネント11に移動させることができる程度に、前記強化部材1が強固になったことを意味する。この点で、前記モールドコア7は前記強化部材1の空洞6に配置されている。前記モールドコア7が前記ベースコンポーネント11に配置されると、前記モールドコアのベース面9は、前記強化部材1の脚部の結合面4間で未硬化の前記ベースコンポーネント11の表面の内表面部12を覆う。前記強化部材1は、前記方法の更なるステップで前記結合面4によって前記ベースコンポーネント11に結合される。
【0052】
このために、少なくとも前記モールド部13がオートクレーブ内において熱及び/又は圧力によって多段階でチャージされて、前記接合面4が前記ベースコンポーネント11に結合された状態の前記強化部材1によって補強された繊維複合コンポーネント10が製造される。この点では、様々な製造方法を使用することができる。この場合には、好ましくは、いわゆる真空注入法が選択される。しかしながら、プリプレッグ法をここで同様に使用することも可能である。
【0053】
前記ベースコンポーネント11の表面の内表面部12は、気孔の蓄積及び繊維のたわみが外装部に生じないように、前記モールドコア7のベース面9によって支持され且つ保持される。この構成が、外装部構造体において、均一性、強度、及び、力の経路に関して有利であることを証明している。
【0054】
次に、図4から図10を参照しつつ、前記モールドコア7の製造について説明する。
【0055】
図4は、本発明に係るモールドコア7の第1実施形態の概略断面図である。
【0056】
前記モールドコア7は、コルク、例えばバインダー及び充填剤を備えたコルクパウダーを含むコア材料から構成されている。また、ゴムコルクと呼ばれる、コルク細粒及びゴム細粒の合成物も可能である。さらに可能であるのは、少なくとも1つのコルク層と少なくとも1つのゴム層とから成る複合材料である。このコア材料はコアツール14に導入されて、前記モールドコア7所望断面形状、この場合には略台形とされる。例えば、これは圧縮成形によって実行することができる。例えば加硫によって作られたゴムのように、熱を加えることによってバインダーを活性化させることができる。当然、他の方法も可能である。
【0057】
この例において、前記モールドコア7は、分離層15によって囲繞されている。この分離層15は、前記モールドコア7を完全に四方から囲み、処理温度と処理圧力に関して前記モールドコア7の製造方法、更には機械加工及び処理に適している。前記分離層15は、前記モールドコア7を前記コアツール14から、また型から取り除く際に前記強化部材1及び前記ベースコンポーネント11からきれいに分離するために使用される。前記分離層15の表面の質は、前記内表面部12の表面にとって重要な意義を持つ(図3参照)。前記分離層15は、例えば前記モールドコア7を研削及び研磨することによって、その一部に直接作ることができる。さらに、例えばプラスチック材料、及び/又は、液体分離剤、及び/又は、分離フィルムで形成された適切なコーティングを施すことも可能である。
【0058】
別の構成では、前記モールドコア7を必要な断面に切断することも可能である。例えば、前記コアツール14は、おおまかには切削ツールと見なすことができる。
【0059】
図5は、別の断面を備えた変形例のモールドコア7を備えたコアツール14を示す。前記モールドコア7においては、下側の角部が、強化手段17、例えば金属、プラスチック材料、又は、コルク及び/若しくはゴムコルクのストリップに代えられている。従って、前記モールドコア7は、前記強化手段17が別のツールで製造されるという点で、特によい形の角部を得ることができる。前記モールドコア7を前記強化部材1から取り除く場合、これらの強化手段17は構成に応じて、取り除くこともできるし、又は、前記強化部材1内に残すこともできる。
【0060】
図6は、図1に係る前記強化部材1を備えた本発明に係る前記モールドコア7の第2実施形態の概略断面図である。本実施形態において、前記モールドコア7には、その製造時に更なるコアを入れることができるコア内部スペース18が形成されている。このタイプのモールドコア7は、その軽量のために、例えば、前記強化部材1内に残されることに適しており、この場合には、更なるコアは前記コア内部スペース18から取り除かれる。
【0061】
この場合、前記モールドコア7は、例えば織物による耐引裂性層とされる強化層16と共に使用される。しかしながら、前記強化層16は、別の強化材料、例えば耐引裂断性分離フィルムとすることも可能である。この強化層16は、前記分離層15の代わりに、又は、前記分離層15として使用することもできる(図4及び5参照)。前記モールドコア7が前記層によって損傷から保護されて、その再使用性が高まるので、前記モールドコア7が型から引き出される又は取り除かれるとき、前記強化層16は特に有利なものとなる。
【0062】
図7は、図1の前記強化部材1を備えた本発明に係る前記モールドコア7の第3実施形態の概略断面図である。この場合には、前記モールドコア7が3つのコアセグメント19を備える。ここでは、前記コアセグメント19は、それぞれ三角形の断面をもつが、これに限定されない。前記コアセグメント19は、例えば接着結合によって、強固に結合される。接着剤は、前記繊維複合コンポーネント10の製造の際において温度及び圧力に対して適しており、使用される母材の材料に対して抵抗力があるものとされる。例えば、本実施形態は比較的大きなコア断面に適している。前記コアセグメント19は、単純なコアツール14によって作ることができる。
【0063】
図8は、図1の前記強化部材1を備えた本発明に係る前記モールドコア7の第4実施形態の概略断面図である。この関連で、図9は、図8に係る前記第4実施形態の前記モールドコア7を製造するために用いられるシート材料20の概略平面図であり、図10は、図9に係る前記シート材料20の側面図である。
【0064】
図6に係る前記第2実施形態のように、前記モールドコア7はコア内側スペース18を有する。前記モールドコア7はベース壁21を有し、その外側面は前記モールドコアのベース面9を形成する。前記ベース壁21の両端部には、折り畳み部24を介して側壁22が結合されており、前記側壁22の外表面は前記強化部材1のウェブ2の内表面に当接されている。前記側壁22の端部は、折り畳み部24を介してヘッド壁23に結合されている。前記ヘッド壁23は、それらの外側面で前記強化部材1のヘッド5の内表面に対する接触面を形成する。前記ヘッド壁23の自由端部は、互いに対して重合して、結合部25において例えば接着結合によって結合される。
【0065】
前記第4実施形態によれば、図9に示すように、第一に、前記モールドコア7は、シート材料20から折り畳みコアとして切断される。図9では、前記シート材料20は、前記モールドコア7の長さに対応する特定の長さで上及び下方へ伸び、又はこの長さに切断される。このシート材料20の幅、(即ち、ここでは図9における左から右まで)に沿って、図8中の前述の個々の部分は、前記折り畳み部24に折り目を付けること、及び/又は、切り目を設けることによって形成される。本実施形態において、同様に、前記結合部25は、重合のために傾斜状に切断される。折り畳み処理の後に、前記折り畳み部24には、例えば接着剤が備えられ、及び/又は、接着ストリップが備えられる。図10は、前記シート材料20の側面図である。ここでは、この構成において前記折り畳み部24がV形状の切り目を有することがわかる。前記シート材料には、一方の面及び又は両面に、任意的に分離フィルム及び/又はオートクレーブフィルムが備えられ得る。
【0066】
このようにして用意されたシート材料20は、次に、図8の前記モールドコア7の断面形状に応じた折り畳み処理を受ける。この際には、例えば、前記ヘッド壁23が取り付けられている前記2つの側壁22が、前記ベース壁21回りに左側及び右側で時計回り方向及び反時計回り方向に折り畳まれ、前記2つのヘッド壁23の自由端部が前記結合部25において重合され、互いに対して結合される。前記折り畳み処理は、例えば前記モールドコアの長手方向に沿って(図9の図面の平面において上下方向に延びる)、適切な折り畳みツール内で自動的に行われ得る。この点に関し、コア内部スペース18の断面形状を有するコアは、容易に想像できる更なる折り畳みツールとして作用し得る。
【0067】
支持コアとして内側に配置されたモールドコア7を備えた前記強化部材1の移動時、及び、前記ベースコンポーネント11への配置時、そして他の目的のために、前記強化部材1及び前記モールドコア7を固定する必要がある場合もある。図11は、前記第1実施形態に係る前記モールドコア7及び図1に係る前記強化部材1の固定を大まかに示し、図12は、図11に示される固定の変形例を示す。少なくとも部分硬化した強化部材1によって前記空洞6の内表面は前もって作られ、又は、既に形成されているので、前記強化部材1に当接する前記モールドコア7の側面8の少なくとも1つには固定部材26を設けることができる。図示されない実施形態においては、接着テープのように、前記固定部材26を側面8、及び/又は、前記強化部材1の空洞6の内表面に取り付けることができる。図11及び12に示される構成においては、前記固定部材26は、磁気ストリップ、又は、金属ストリップ/金属シートである。図11において、前記固定部材26には、前記固定部材26が前記モールドコア7の長手方向に沿って導入可能にする断面形状が備えられており、この場合には、前記モールドコア7の長手方向に対して直交する方向に関し、前記固定部材26はその断面形状のために前記モールドコアに確実に保持される。ここでは、前記固定部材26に対応する断面形状をもつ凹部が前記モールドコア7の上部に作られ、前記固定部材26の表面が前記強化部材1のヘッド5の内表面に当接されている。前記ヘッド5の反対の外側には、固定補助部材27が取り付けられている。前記固定補助部材27は、この場合には磁力によって、前記固定部材26と協働する。本実施形態においては、前記固定補助部材27は磁化可能なシート状金属ストリップである。この構成が前記モールドコア7と前記強化部材1とを何も残さずに固定可能としており、前記固定補助部材27は簡単な接着方法で取り付けられる。前記強化部材が前記ベースコンポーネント11に置かれた後、オートクレーブを通過する前に、前記固定補助部材27は再び取り除かれる。前記モールドコア7の側面8において、図12に示されるように、前記固定部材26は単純な凹部内に接着され得る。前記固定部材26及び前記固定補助部材27は、両方とも磁気ストリップとされ得る。壁の薄いモールドコア7の場合、例えば図6に係る前記第2実施形態においては、前記固定部材26の凹部が設けられる部分を厚くしなければならない。
【0068】
しかしながら、コルク材料を含有する、本発明に係る前記モールドコア7は、前記強化部材1が前記ベースコンポーネント11に直接形成される製造方法において使用することもできる。この点に関し、図13は、本発明の第2の方法による製造時の本発明に係る繊維複合コンポーネント10の実施形態の概略斜視図である。
【0069】
この場合、前記モールドコア7は、例えば図6の前記第2の実施形態に係るコア内部スペース18を備えた構成である。2つのモールドコア7は、前記内表面部12に接するベース面9で前記ベースコンポーネント11上に配置されている。前記モールドコア7は繊維半製品28の1つ以上の層で覆われ、前記繊維半製品28には、その後に、充填剤が含浸されて、強化部材を備えたモールド部13を形成する。しかしながら、前記繊維半製品は樹脂を予め含浸させることも可能であり、これによりプリプレッグとされる。その後、硬化処理が前述のように行われる。
【0070】
本発明は、航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントを製造するために図に示された特定の方法に限定されない。
【0071】
従って、例えば、本発明の概念は、スポーツ装置又はモータースポーツ部門の繊維複合コンポーネントに適用することもできる。
【0072】
さらに、モールドコアの形状は、様々な方法で変更することもできる。
【0073】
さらに、複数のモールドコアを使用して、1つのモールドコアを形成することも可能である。この点に関する目的は、多くのモールドコアによって、より複雑な形状を提供することである。その結果、より複雑な繊維複合コンポーネントを製造することが可能となる。
【0074】
例えば、T形状ストリンガー、L形状ストリンガー、U形状ストリンガー、パイプ、これらの部材の混合形態などの他の強化部材は、支持コアとしてコルク含有材料から成る、本発明に係る前記モールドコア7で支持され得る。この目的のために、前記モールドコア7は、支持されるべき前記強化用部材の部分の断面又は形状を有する。固定は、例えば前記図11又は12のように、実行され得る。
【0075】
図14において図1に係る前記強化部材を備えた本発明に係る前記モールドコアの第5実施形態の概略の断面図で示されるように、図8に係る前記折り畳みコアは、ヘッド部分において、広範囲にわたる結合部25をもつ2つのヘッド壁23による平面状の重合部を有することもできる。この構成は、既に硬化した強化部材1であって、前記モールドコア7によって形成される必要がないヘッド部分を有する強化部材1に特に適している。
【0076】
折り畳みコアの代わりに、前記モールドコア7は個々のプレートで構成することも可能である。
【0077】
前記モールドコア7は、中実材料から製造することも可能である。この点に関し、図15aから図15cは、図6の本発明に係る前記モールドコアの前記第2実施形態の変形例のためのコア素材29、処理中の状態、及び最終形状の概略斜視図である。この点に関し、内部スペース18を備えた中空コアとしてのこのモールドコア7の形成工程は、例えば圧縮成形法において、製造されるコア素材29又は中実部材を用意するサブステップを含む。例えば、前記モールドコア7の外及び内部の輪郭は、フライス加工及び/又は切削ツール30によって作られる。コアの前記内部スペース18を形成するための前記フライス加工及び/又は切削ツール30の外部形状は、前記コア内部スペース18の幾何学的断面形状に対応する。回転する前記フライス加工及び/又は切削ツール30は、前記中実部材においてその長手方向に沿って動かされ、同時に、前記フライス加工及び/又は切削ツール30の軸部31によって前記モールドコアのヘッド壁23に長手方向に沿ったスロット32が作成される。この長手方向に沿ったスロット32は、コルク含有材料の取付ストリップによって、及び/又は、磁気ストリップを備えた固定部材26(例えば、図11及び12参照)によって閉じることができる。前記強化部材1の内部形状に適合する前記モールドコア7の外部形状は、例えば前記コア素材29のフライス加工及び/又は切削加工等の対応する機械加工によって作られる。しかしながら、前記コア素材29には、前もって最終的な外形を備えることも可能である。
【0078】
本発明は、繊維複合コンポーネント10、特に航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントの製造方法を提供する。この製造方法は、外部形状を画するためのコアツール14を用いてコルク含有材料からモールドコア7を形成するステップと、製造されるべき前記繊維複合コンポーネント10の少なくとも1つのモールド部13を形成するために、前述のように形成された前記モールドコア7を製造されるべき前記繊維複合コンポーネント10のベースコンポーネント11上で少なくとも部分硬化した強化部材1に当接するように配置するステップと、前記繊維複合コンポーネント10を製造するために、少なくとも前記モールド部13を熱及び/又は圧力によって多段階でチャージするステップとを含む。また、本発明は、モールドコア7及び繊維複合コンポーネント10も提供する。
【0079】
[本発明の好ましい実施形態]
1.繊維複合コンポーネント(10)、特に航空及び航空宇宙産業のための繊維複合コンポーネントの製造方法は、外部形状を画するためのコアツール(14)を用いてコルク含有材料から前記モールドコア(7)を形成するステップと、製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)の少なくとも1つのモールド部(13)を形成するために、前述のように形成された前記モールドコア(7)を製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)のベースコンポーネント(11)上で少なくとも部分硬化した強化部材(1)に当接するように配置するステップと、前記繊維複合コンポーネント(10)を製造するために、少なくとも前記モールド部(13)を熱及び/又は圧力によって多段階でチャージするステップとを含む。
【0080】
2.実施形態1に係る方法は、前記モールドコア(7)を前記強化部材(1)に固定するために、少なくとも1つの固定部材(26)が設けられていることを特徴とする。
【0081】
3.実施形態2に係る方法は、前記少なくとも1つの固定部材(26)が前記モールドコア(7)に取り付けられており、前記少なくとも1つの固定部材(26)が前記強化部材(1)に脱着可能に取り付けられ得る少なくとも1つの固定補助部材(27)と協働し、例えば、前記少なくとも1つの固定部材(26)及び前記少なくとも1つの固定補助部材(27)が磁気ストリップで形成されていることを特徴とする。
【0082】
4.繊維複合コンポーネント(10)、特に航空及び航空宇宙産業のための繊維複合コンポーネントの製造方法は、外部形状を画するためのコアツール(14)を用いてコルク含有材料から前記モールドコア7を形成するステップと、このように形成された前記モールドコア(7)を、製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)のベースコンポーネント(11)に配置し、且つ、製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)の少なくとも1つのモールド部(13)を形成するための形成された前記モールドコア(7)の少なくとも一部に少なくとも1つの繊維半製品(28)を置くステップと、前記繊維複合コンポーネント(10)を製造するために、少なくともモールド部(13)を熱及び/又は圧力によって多段階でチャージするステップとを含む。
【0083】
5.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)が、少なくとも部分的に耐引裂性の織物及び/又は耐引裂性の分離フィルムから構成される強化層(16)で形成されていることを特徴とする。
【0084】
6.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)を形成する際に、強化手段(17)が、形成されるべき前記モールドコア(7)の外部形状のうち、鋭角に形成されるべき移行部に配置されていることを特徴とする。
【0085】
7.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)の形成中及び/又は後に、例えば研削及び/又は研磨等の機械加工処理、及び/又は、追加で適用される分離フィルム、及び/又は、液体分離剤によって、製造される前記モールドコア(7)に分離層(15)が適用されることを特徴とする。
【0086】
8.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)が少なくとも2つのコアセグメント(19)から構成されていることを特徴とする。
【0087】
9.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)がコア内部スペース(18)を備えた中空コアとして形成されていることを特徴とする。
【0088】
10.前述の実施形態の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)の形成工程が、シート材料(20)を設けるサブステップと、素材を所定の大きさに切断するサブステップと、折り畳みツールで前記素材を折り畳むサブステップと、コアツール(14)によって前記素材を結合するサブステップとを含む。
【0089】
11.実施形態1から9の少なくとも1つに係る方法は、前記モールドコア(7)が圧縮成形法によって形成されていることを特徴とする。
【0090】
12.繊維複合コンポーネント(10)、特に航空及び航空宇宙産業用のベースコンポーネント(11)上に強化部材(1)を製造するために用いられるモールドコア(7)は、コルク含有材料を用いて形成されている。
【0091】
13.実施形態12に係るモールドコア(7)は、実施形態1から11の少なくとも1つに係る方法によって製造されていることを特徴とする。
【0092】
14.少なくとも1つの強化部材(1)を備えた繊維複合コンポーネント(10)、特に航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネントは、実施形態12若しくは13に係るモールドコア(7)によって、及び/又は、実施形態1から11の少なくとも1つに係る方法によって製造されている。
【0093】
15.実施形態14に係る繊維複合コンポーネント(10)は、前記モールドコア(7)が、吸音材及び断熱材として、並びに/又は、衝撃性能及び/若しくは溶け落ち性能を改善するために、少なくとも1つの強化部材(1)に当接するように配置されていることを特徴とする。
【符号の説明】
【0094】
1 強化部材
2 ウェブ
3 脚部
4 結合面
5 ヘッド
6 空洞
7 モールドコア
8 側面
9 モールドコアのベース面
10 繊維複合コンポーネント
11 ベースコンポーネント
12 内表面部
13 モールド部
14 コアツール
15 分離層
16 強化層
17 強化手段
18 コア内部スペース
19 コアセグメント
20 シート材料
21 ベース壁
22 側壁
23 ヘッド壁
24 折り畳み部
25 結合部
26 固定部材
27 固定補助部材
28 繊維半製品
29 コア素材
30 フライス加工及び/又は切削ツール
31 軸部
32 長手方向に沿ったスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネント(10)の製造方法であって、
外部形状を画するためのコアツール(14)を用いて、中実部材として又はコア内部スペース(18)を備えた中空コアとしてコルク含有材料から形成され且つ少なくとも1つの固定部材(26)が設けられるモールドコア(7)を形成するステップと、
製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)の少なくとも1つのモールド部(13)を形成するために前記モールドコア(7)が製造されるべき前記繊維複合コンポーネント(10)のベースコンポーネント(11)上で少なくとも部分硬化した強化部材(1)に当接した状態で、前記モールドコア(7)の前記少なくとも1つの固定部材(26)が前記強化部材(1)に脱着可能に取り付けられる少なくとも1つの固定補助部材(27)と磁気的に協働して前記モールドコア(7)を前記強化部材(1)に固定するように、前記モールドコア(7)を配置するステップと、
前記繊維複合コンポーネント(10)を製造するために、少なくとも前記モールド部(13)を熱及び/又は圧力によって多段階でチャージするステップとを備えていることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの固定部材(26)及び前記少なくとも1つの固定補助部材(27)が磁気ストリップ又は金属ストリップとして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記モールドコア(7)の形成中及び/又は後に、例えば、研削及び/又は研磨による機械加工処理、及び/又は、追加で適用される分離フィルム、及び/又は、液体分離剤によって、製造される前記モールドコア(7)に分離層(15)が適用されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記モールドコア(7)の形成工程は、シート材料(20)を用意するサブステップと、素材を所定の大きさに切断するサブステップと、折り畳みツールを用いて前記素材を折り畳むサブステップと、コアツール(14)によって前記素材を結合するサブステップとを備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記モールドコア(7)が圧縮成形法によって形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法によって、航空及び航空宇宙産業用の繊維複合コンポーネント(10)を製造するために用いられるモールドコア(7)であって、中実部材として、又は、コア内部スペース(18)を備えた中空コアとしてコルク含有材料から形成され、且つ、少なくとも1つの固定部材(26)が設けられていることを特徴とするモールドコア(7)。
【請求項7】
耐引裂性の織物、及び/又は、耐引裂性の分離フィルムから構成される少なくとも1つの強化層(16)を少なくとも部分的に備えていることを特徴とする請求項6に記載のモールドコア(7)。
【請求項8】
強化手段(17)が前記モールドコア(7)の外部形状のうち鋭角の移行部に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のモールドコア(7)。
【請求項9】
少なくとも2つのコアセグメント(19)を備えていることを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載のモールドコア(7)。
【請求項10】
シート材料(20)の折り畳み素材から形成されていることを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載のモールドコア(7)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−525279(P2012−525279A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507693(P2012−507693)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055451
【国際公開番号】WO2010/125001
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(311014956)エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー (54)
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
【Fターム(参考)】