説明

航空機用エンジンユニット

本発明は、ジェットエンジン(2)と、サスペンションパイロン(4)と、複数のエンジンファスナーとを具備してなる航空機用エンジンユニット(1)に関する。本発明によれば、複数のファスナーは、エンジンのファンケーシングに対して取り付けられると共にジェットエンジンの前後方向軸線(5)およびその垂直方向(Z)によって規定される平面を中心として対称に配置された第1のエンジン前部ファスナー(6a)と第2のエンジン前部ファスナー(6b)とを具備してなり、この第1および第2のエンジンファスナーは、それがジェットエンジンの前後方向(X)に沿ってかつその垂直方向に沿って作用する力に抗するよう構成されている。さらに、複数のエンジンファスナーはまた、それが垂直方向に沿って作用する力に抗するよう構成された後部エンジンファスナー(9)を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ジェットエンジン(ターボジェット)と、サスペンションパイロンと、当該サスペンションパイロンとジェットエンジンとの間に介在させられた複数のエンジンサスペンションとを具備してなるタイプの航空機用のエンジンアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の様式で、そうしたエンジンアセンブリのサスペンションパイロンは、ターボジェット型エンジンと、当該アセンブリが取り付けられる航空機の翼との間の接続インターフェースを形成するよう設計されている。それは、関係するターボジェットによって生じる力を航空機の構造体へと伝達し、しかもそれはまた、エンジンと航空機との間の燃料、電気、油圧および空気圧システムの接続を可能とする。
【0003】
力を伝達するために、パイロンは、たいてい「箱」型の、つまり上側および下側桁材および横断リブを介して互いに接続された側面パネルのアセンブリから形成された剛構造体を具備してなる。
【0004】
エンジンとパイロンの剛構造体との間には取り付けシステムが介在させられるが、このシステムは概して複数のエンジンサスペンションを具備してなり、これは、通常、エンジンファンケーシングまたはエンジン中心ケーシングに対して取り付けられた前部および後部サスペンションに分けられる。
【0005】
さらに取り付けシステムは、エンジンによって生じる推力に抗するためのデバイスを具備してなる。従来、このデバイスは、たとえば、第一にはエンジンファンケーシングの後部に対して、そして第二にはパイロンの剛構造体に対して取り付けられたサスペンション(たとえば後部サスペンション)に対して連結された2本の横方向連結ロッドの形態であった。
【0006】
参考までに言うと、サスペンションパイロンは、当該パイロンの剛構造体と航空機の翼との間に介在させられた第2の取り付けシステムと関連付けられるが、この第2のシステムは、通常、二つまたは三つのサスペンションを具備してなることに留意されたい。
【0007】
最後に、パイロンは、空力フェアリングを支持しながら、上記システムを分離し、かつ適所にて保持するための補助構造体を備える。
【0008】
当業者には公知であるように、そして抗推力デバイスが存在するにもかかわらず、エンジンが生み出すこの推力は、通常、度合いが変化するエンジンの前後方向の撓みを、すなわち航空機の横方向に沿って作用するトルクに起因する撓みを発生させる。
【0009】
特に航空機の巡航段階の間に、そうした撓みが生じると、回転するコンプレッサーおよびタービンブレードとエンジン中心ケーシングとの間に大きな摩擦が生じる。
【0010】
さらに、上記前後方向の撓み現象、したがって回転するブレードの摩擦に起因する現象は、現代のターボジェットに関して、バイパス比を増大させるための絶え間ない進行中の追及によって不可避的に設計者がターボジェットコア直径に比べてファン直径を増大させようとするという事実によって著しく深刻なものとなっていることに留意されたい。
【0011】
直面する摩擦の主たる帰結はエンジンの早期損耗であり、これは当然ながらエンジン寿命および性能に悪影響を及ぼす。
【0012】
前後方向の撓みに起因した接触がほとんど起きないように適当な動作クリアランスが選択された別の場合には、エンジンの効率は著しく低下する。
【0013】
その他のエンジン撓み現象は、たとえば垂直方向にあるいは水平方向に作用する突風によって生じることがあるが、これによってコンプレッサーおよびタービンの回転するブレードとエンジンの中心ケーシングとの間に摩擦が生じることがある点にも留意されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ本発明の目的は、従来技術に基づく実施形態に関連する上記欠点を少なくとも部分的に解消する、航空機用のアセンブリを提供すること、ならびにそうしたアセンブリを少なくとも一つ備える航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明の対象は、ジェットエンジンと、サスペンションパイロンと、サスペンションパイロンとジェットエンジンとの間に介在させられた複数のエンジンサスペンションとを具備してなる航空機用のエンジンアセンブリである。本発明によれば、複数のエンジンサスペンションは、ジェットエンジンのファンケーシングに対して取り付けられると共にジェットエンジンの前後方向軸線およびその垂直方向によって規定される平面を中心として対称に配置された第1のエンジン前部サスペンションと第2のエンジン前部サスペンションとを具備してなり、第1および第2のエンジン前部サスペンションは、それぞれ、ジェットエンジンの前後方向に沿ってかつその垂直方向に沿って作用する力に抗するよう構成されている。さらに複数のエンジンサスペンションはまた、ジェットエンジンの垂直方向に沿って作用する力に抗するよう構成されたエンジン後部サスペンションを具備してなる。
【0016】
したがって、第1および第2のエンジン前部サスペンションをファンケーシングに取り付け可能とすることによって、両者を互いに大きく離間させて配置することが可能となる。この大きな離間距離は次のような利点を有する。すなわち、所与の軸線まわりのモーメントに関係する、それらが抗しなければならない力は、中心ケーシングに対して取り付けられたエンジンサスペンション同士が互いに大きく離間できない従来技術に基づく一般的な解決策に見られる対応する力よりも当然ながら小さなものであるという事実に起因して、上記エンジンサスペンションの構造を格段に簡素化できる。
【0017】
さらに、これら二つの前部サスペンションおよびサスペンションパイロンは有利なことにはターボジェットの高温部から距離を置いて配置できるが、これによって、これらの要素に加えられるであろう熱の影響が著しく低減される。
【0018】
さらに、もはや横方向ロッドタイプの抗推力デバイスの存在を必要としないそうした構造によれば、ターボジェットによって生じる全ての力には、本質的に、第1、第2および第3のエンジン前部サスペンションがファンケーシング上で抗することになる。なぜなら、パイロンと中心ケーシングすなわち排気ケーシングとの間に残るリンクのみがエンジン後部サスペンションからなり、その主要な役割はターボジェットの後部の垂直振動を制限することだからである。
【0019】
したがって、エンジンサスペンションのこの独特の構成は、この撓みがターボジェットによって得られたスラストによるものであるか、あるいは航空機のさまざまな飛行段階の間に遭遇するであろう突風によるものであるかに関係なく、中心ケーシングに見られる撓みを、かなりの程度低減させる。
【0020】
こうして撓みが上記のとおり著しく低減されるので、回転するコンプレッサーおよびタービンブレードとエンジンの中心ケーシングとの間の摩擦が著しく低減され、これによってこれらブレードの損耗に起因する効率の損失が格段に低減される。
【0021】
好ましくは、エンジン後部サスペンションはターボジェットの垂直方向に沿って作用する力にのみ抗するよう設計され、かつ複数のエンジンサスペンションは、ジェットエンジンの前後方向軸線およびその垂直方向によって規定される平面がそれを通るようにファンケーシングに対して取り付けられた第3のエンジン前部サスペンションを具備してなり、この第3のエンジン前部サスペンションは、ターボジェットの横方向に沿って作用する力にのみ抗するよう設計される。
【0022】
したがって、エンジンファンケーシングに取り付けられていないエンジンサスペンションだけが、ターボジェットの垂直方向に沿って作用する力のみに抗するよう設計されたエンジン後部サスペンションである。これは、たとえエンジン後部サスペンションが環状ファン流ダクト内に配置されていても、単に垂直力に抗するというその機能は比較的小さな寸法しか必要としないことを意味し、この後部サスペンションによって引き起こされるファン流れの乱れは非常に小さなものとなる。したがって、これによって全体的なエンジン性能に関して、かなりの利益がもたらされる。
【0023】
さらに、垂直力のみに抗する後部サスペンションが環状ファンフローダクトに配置されたエンジンサスペンションだけである上記形態に関して、第1、第2および第3のエンジンサスペンションをファンケーシングの外周環状部分に取り付けることが可能であり、この結果、それらは有利なことに互いに十分に分離した位置を占有できる。
【0024】
好ましくは、ターボジェットの前後方向軸線および当該ターボジェットの横方向によって規定される平面は、第1および第2のエンジン前部サスペンションと交差する。それゆえ、ターボジェットシャフトにおいて力に抗することになるので、ターボジェットのシャフトの前後方向の撓みが有利なことに著しく低減される。
【0025】
最後に、ある代替例においては、横方向抵抗連結ロッドからなる抗推力デバイスを使用せず常に静定取り付けシステムを形成する複数のエンジンサスペンションを得るために、複数のサスペンションは第3の上記前部サスペンションを含まず、エンジン後部サスペンションがターボジェットの横方向に沿って作用する力にも抗するようなものとされることに留意されたい。
【0026】
本発明の別な目的は、上述したようなエンジンアセンブリを少なくとも一つ備えた航空機である。
【0027】
本発明のそれ以外の利点ならびに特徴は、以下の非限定的説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明について説明する。
【0029】
図1を参照すると、同図には本発明の第1の好ましい実施形態に基づく航空機用エンジンアセンブリ1が示されているが、このアセンブリ1は航空機(図示せず)の翼の下に固定されるよう設計されたものである。
【0030】
概して、エンジンアセンブリ1は、ジェットエンジン(ターボジェット)2と、サスペンションパイロン4と、このパイロン4の下にターボジェット2を取り付けている複数のエンジンサスペンション6a,6b,8,9(サスペンション6bは図1においてはサスペンション6aの陰に隠れている)とを具備してなる。参考までに言うと、アセンブリ1はポッド(図示せず)によって取り囲まれるよう設計されており、かつサスペンションパイロン4は航空機の翼の下にこのアセンブリ1を吊り下げるために別な一連のサスペンション(図示せず)を具備してなることに留意されたい。
【0031】
以下の説明を通して、慣例に従い、Xとはターボジェット2の前後方向軸線5と平行である方向であり、Yはこのターボジェット2と交差する方向であり、そしてZは垂直方向あるいは高さである(これら三つの方向X,YおよびZは互いに直交する)。
【0032】
さらに、「前」および「後」との用語は、ターボジェット2によって加えられる推力の結果として生じる、航空機の移動方向と関連付けて解釈するべきであり、この方向は矢印7で大まかに示している。
【0033】
図1に関して、サスペンションパイロン4の剛構造体10のみが示されていることが分かる。図示していない当該パイロン4のその他の構成要素、たとえば空力フェアリングを支持しながらシステムを分離しかつ保持するための補助構造体については、従来使用されているものと同一あるいは類似の一般的な構成要素であって当業者にはよく知られている。したがって、それらについての詳しい説明は省略する。
【0034】
さらに、ターボジェット2は、環状ファンダクト14を画定している前端部に、大きなファンケーシング12を備え、かつ後端部付近には、このターボジェットのコアを取り囲むより小さな中心ケーシング16を備える。最後に、中心ケーシング16は、ケーシング16よりも大きな排気ケーシング17によって後方に延長されている。明らかに、ケーシング12,16および17は互いに堅固に固定されている。以上の説明から分かるように、ジェットエンジン(ターボジェット)が高いバイパス比を持つことが望ましい。
【0035】
図1から分かるように、本発明の固有の特徴の一つは、第1のエンジン前部サスペンション6aおよび第2のエンジン前部サスペンション6bは、いずれも、軸線5およびZ方向によって規定される平面Pを中心として対称的に、ファンケーシング12に対して取り付けられるよう設計されているという事実に見出される。
【0036】
ここで図2を参照すると、概略的に示す第1のサスペンション6aおよび第2のサスペンション6bは上記平面Pを中心として対称的に配置されていることが、そして好ましくはファンケーシング12の外周環状部に、さらに詳しくは当該部分の後端部付近に両方とも配置されていることが分かる。
【0037】
前後方向軸線5とY方向とで規定される第2の平面P'がサスペンション6a,6bのそれぞれを通るように、第1および第2のエンジン前部サスペンション6a,6bを、円筒形外面18を備えたファンケーシング12の環状外周部上に互いに直径方向に沿って対向するよう設けることも可能であろう。
【0038】
図2に矢印で大まかに示すように、第1および第2のエンジン前部サスペンション6a,6bのそれぞれは、それが、X方向に沿ってかつZ方向に沿ってターボジェット2によって生じる力に抗することができるが、Y方向に沿って作用する力には抗することができないように設計される。
【0039】
このようにして、互いに大きく離間した二つのサスペンション6a,6bは、X方向に沿って作用するモーメント、およびZ方向に沿って作用するモーメントに共同で抗する。
【0040】
図2を参照すると、大まかに示された第3のエンジン前部サスペンション8を認識できるが、これもまた、ファンケーシング12の環状外周部に対して(やはり好ましくは当該部分の後端付近に)取り付けられている。
【0041】
サスペンション6a,6b,8は、実際上好ましくは環状外周部分の後部に配置されたエンジンの構造体部分(図示せず)によってケーシング12の外周環状部分に対して取り付けられている。にもかかわらず、依然としてファンケーシング12の環状外周部上であってエンジンのさらに前方にサスペンション6a,6b,8が取り付けられるように、構造体部分が外周環状部のさらに前方に配置されたエンジンを備えることも可能であろう。
【0042】
第3のサスペンション8はファンケーシング12の最も高い部分に、したがって外周環状部分の最も高い部分に配置されており、この結果、上記第1の平面Pは仮想的にそれを通っている。さらに、YZ平面(図示せず)は、好ましくは、三つのサスペンション6a,6bおよび8を通っている。
【0043】
図2に矢印で大まかに示すように、第3のエンジンサスペンション8は、それがY方向に沿ってターボジェット2によって生じる力にのみ抗することができ、XおよびZ方向に沿って作用する力には抗することができないよう設計されている。
【0044】
図2を参照すると、大まかに示されかつ剛構造体10(同図には示していない)と排気ケーシング17との間に(好ましくは当該ケーシング17の最も大きな直径を備えた部分において)取り付けられたエンジン後部サスペンション9が存在することが分かる。参考までに、第1の平面Pは好ましくは、この後部サスペンション9を仮想的に通っていることに留意されたい。
【0045】
図2に矢印で大まかに示すように、エンジン後部サスペンション9は、それがZ方向に沿ってターボジェット2によって生じる力にのみ抗することができ、したがってXおよびY方向に沿って作用する力には抗することができないよう設計されている。
【0046】
このようにして、当該サスペンション9は、二つの前部サスペンション6a,6bと共に、Y方向に沿って作用するモーメントに抗する。
【0047】
当然ながら、上記後部サスペンション9は別の位置に、すなわちターボジェット2の中心ケーシング16(好ましくはその後部)に、あるいは中心ケーシング16と排気ケーシング17との間の接続部20に配置することができる。
【0048】
それゆえ、全ての場合に関して、上記後部サスペンション9は、高バイパス比を備えたターボジェットの環状ファン流ダクト(参照数字を付していない)に配置される。にもかかわらず、その機能が垂直力への抵抗に限定されるという事実は、それが比較的小さなものであることを意味し、この結果、この後部サスペンション9によって引き起こされるファン流れの乱れは最小限のものとなる。ゆえに、これは、ターボジェットの全体的性能に関してかなりの利益をもたらし得る。
【0049】
たとえ図1および図2ではエンジンサスペンション6a,6b,8および9が大まかに示されていても、これらサスペンションは、たとえばシャックルおよびフィッティングのアセンブリに関連する手法のような当業者には周知の手法を用いて構成できることを理解すべきである点に留意されたい。
【0050】
上述したように、いま説明した形態に関連する主要な利点の一つは、ファンケーシング12のエンジン前部サスペンション6a,6b,8の特定のポジションによって、さまざまな航空機の飛行状況において生じる中心ケーシング16の撓みが著しく低減され、したがってこの中心ケーシング16との接触に伴う摩擦の低減によってコンプレッサーおよびタービンブレードの損耗が大幅に軽減されるという事実に見出される。さらに、他の利点は、エンジンの製造時に動作クリアランスを小さなものとすることができ、したがってより良好な効率が実現されるという可能性に見出される。
【0051】
図4にはサスペンションパイロンの例証的実施形態を示すが、同図には剛構造体10のみが示されている。
【0052】
まず、この剛構造体10は、上述した第1の平面Pを中心として対称となるよう設計されていることに留意されたい。
【0053】
上記剛構造体10は、この方向と実質的に平行なX方向に沿って構造体10の一端から他端へと延在する中央ねじれ箱体22を具備してなる。参考までに言うと、この箱体22は、平行なXZ平面内でX方向に沿って延在すると共に平行なYZ平面内に配置された横方向リブ(参照数字を付していない)によって互いに連結された二つの側方桁材(参照数字を付していない)から形成可能である。
【0054】
さらに、剛構造体10は、箱体22の前端部において、Y方向に沿ってこの箱体22の両側に突出している二つの側方箱体24a,24bを支持している。
【0055】
二つの側方箱体24a,24bはまた二つのエンジン前部サスペンション6a,6bを支持し、しかもそれぞれ好ましくは、円形断面ならびに中央箱体22およびターボジェットの前後方向軸線5と平行な前後方向軸線34を有する略円筒形仮想面(図示せず)の一部を協働で画定する下側外皮26a,26bを有している。言い換えれば、上記二つの下側外皮26a,26bのそれぞれの曲率は、それを、その全長にわたって、この仮想面の周りに、それと接触した状態で配置できるように調節される。したがって、概して言うと、二つの側方箱体24a,24bは、ターボジェット2の中心ケーシング16の周囲であってかつそれから距離をおいて配置することが可能な円形断面を有する略円筒形包絡面/ケージの一部を形成している。明らかに、この形態はアセンブリ1を通過するファン空気流を改善する。
【0056】
図4に概略的に示すように、エンジン前部サスペンション6aは側方箱体24aの前部閉塞フレーム28aに対して取り付けられ、一方、エンジン前部サスペンション6bは側方箱体24bの前部閉塞フレーム28bに対して取り付けられるが、図4はまた、エンジン前部サスペンション8が箱体22の前部閉塞フレーム31に設置されており、フレーム28a,28b,31は同一のYZ平面内に配置されていることを示している点に留意されたい。
【0057】
図3は、本発明の第2の好ましい実施形態の代替例に基づく航空機用のエンジンアセンブリ1を示す(サスペンションパイロンは示していない)。
【0058】
このアセンブリは、第1の好ましい実施形態に関連して説明したものと類似している。したがって、同じ参照数字を用いて指し示した構成要素は同一または類似の構成要素に対応する。
【0059】
第2の好ましい実施形態における主要な差異は、第3のエンジン前部サスペンションが排されたこと、およびエンジン後部サスペンション9がZ方向に沿って作用するモーメントに抗するだけでなく、Y方向に沿って作用するモーメントにも抗するよう構成されていることである。
【0060】
ゆえに、第1のものに類似した上記第2の好ましい実施形態は、静定取り付けシステムを形成する複数のエンジンサスペンションを得るための代替案をもたらす。
【0061】
明らかに、当業者であれば、単に非限定的実例として説明してきた、航空機用のエンジンアセンブリ1に対して、さまざまな変更を施すことができる。この点に関して、たとえば、パイロン4は航空機の翼の下に吊り下げるのに適した形態を有するものを示したが、当該パイロンはまた、翼の上にあるいは航空機の胴体の後部にさえ搭載可能であるように、別の形態を有するものとすることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の好ましい実施形態による航空機用のエンジンアセンブリの側面図である。
【図2】図1に示すアセンブリにおけるターボジェットの概略斜視図であり、サスペンションパイロンはエンジンサスペンションをより分かりやすく示すために省略してある。
【図3】図2と類似の図であるが、アセンブリは本発明の第2の好ましい実施形態に係る様式である。
【図4】図1に示すアセンブリのサスペンションパイロンの斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 航空機用エンジンアセンブリ
2 ジェットエンジン(ターボジェット)
4 サスペンションパイロン
6a,6b,8,9 エンジンサスペンション
10 剛構造体
12 ファンケーシング
14 環状ファンダクト
16 中心ケーシング
17 排気ケーシング
18 円筒形外面
20 接続部
22 中央箱体
24a,24b 側方箱体
26a,26b 下側外皮
28a,28b,31 前部閉塞フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットエンジン(2)と、サスペンションパイロン(4)と、前記サスペンションパイロン(4)と前記ジェットエンジン(2)との間に介在させられた複数のエンジンサスペンション(6a,6b,8,9)と、を具備してなる航空機用のエンジンアセンブリ(1)であって、
前記複数のエンジンサスペンション(6a,6b,8,9)は、
前記ジェットエンジンの前記ファンケーシング(12)に対して取り付けられると共に前記ジェットエンジンの前後方向軸線(5)およびその垂直方向(Z)によって規定される平面を中心として対称に配置された第1のエンジン前部サスペンション(6a)と第2のエンジン前部サスペンション(6b)とを具備してなり、
前記第1および第2のエンジン前部サスペンション(6a,6b)は、それぞれ、前記ジェットエンジン(2)の前後方向(X)に沿ってかつその垂直方向(Z)に沿って作用する力に抗するよう構成されており、かつ、
前記複数のエンジンサスペンション(6a,6b,8,9)はさらに、前記ジェットエンジン(2)の前記垂直方向(Z)に沿って作用する力に抗するよう構成されたエンジン後部サスペンション(9)を具備してなることを特徴とする航空機用のエンジンアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記エンジン後部サスペンション(9)は前記ジェットエンジン(2)の前記垂直方向(Z)に沿って作用する力にのみ抗するよう構成されてなり、かつ
前記複数のエンジンサスペンション(6a,6b,8,9)はさらに、前記ジェットエンジン(2)の前記前後方向軸線(5)およびその垂直方向(Z)によって規定される前記平面がそれを通るように前記ファンケーシング(12)に対して取り付けられた第3のエンジン前部サスペンション(8)を具備してなり、
前記第3のエンジン前部サスペンション(9)は、前記ジェットエンジン(2)の前記横方向(Y)に沿って作用する力にのみ抗するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1、第2および第3のエンジン前部サスペンション(6a,6b,8)は前記ファンケーシング(12)の外周環状部(18)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記ジェットエンジン(2)の前記前後方向軸線(5)およびその横方向(Y)によって規定される平面は、前記第1および第2のエンジン前部サスペンション(6a,6b)を通るようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記エンジン後部サスペンション(9)は、前記ジェットエンジン(2)の横方向(Y)に沿って作用する力にも抗するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記エンジン後部サスペンション(9)は、前記ジェットエンジン(2)の中心ケーシング(16)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記エンジン後部サスペンション(9)は、前記ジェットエンジン(2)の排気ケーシング(17)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記エンジン後部サスペンション(9)は、前記ジェットエンジン(2)の中心ケーシング(16)とその排気ケーシング(17)との間の接続部(20)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記複数のエンジンサスペンション(6a,6b,8,9)は、静定取り付けシステムを形成していることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の航空機用のアセンブリ(1)。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエンジンアセンブリ(1)を少なくとも一つ具備してなることを特徴とする航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545572(P2008−545572A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512887(P2008−512887)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050469
【国際公開番号】WO2007/000546
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)