船舶推進機のシフト装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶推進機のシフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶推進機のシフト装置として、特開昭63-137098 号公報に記載の如く、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成されるものがある。ここで、船舶推進機において、リモコンケーブルの配線は、折れ曲がり部が船体構造の都合により不均一になり易く、長期の使用により摩耗が偏在することとなる。このとき、上記従来の船舶推進機のシフト装置によれば、リモコンケーブルを2分したので、摩耗による交換時、摩耗が大きく正しいストロークを伝えない方のリモコンケーブルだけを付け替えれば良いというメリットがある。
【0003】一方、従来より遠隔操作部には、前進操作に際し、1本のリモコンケーブルを引き操作する引き型のものと、押し操作する押し型のものの2種類がある。
【0004】他方、推進ユニットには、前進、中立、後進の3位置に切換わる前後進切換装置が設けられ、且つリモコンケーブルが引き操作されるに対応し、プロペラが右回転又は左回転の一方に定めた正転方向に回転し、前進する正転型推進ユニットと、同様にリモコンケーブルが引き操作されるに対応し、プロペラが逆転し、前進する逆転型推進ユニットとがある。即ち、リモコンケーブルが押し操作されるときにはプロペラが、正転型推進ユニットでは逆転し、逆転型推進ユニットでは正転する。尚、プロペラには正転時前進する正転用プロペラと、逆転時前進する逆転用プロペラがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然るに、遠隔操作部の艤装、推進ユニットの艤装は複雑で手間を要する。このため、引き型と押し型の2種類の遠隔操作部と、正転用プロペラを付けた正転型と逆転用プロペラを付けた逆転型の2種類の推進ユニットとを互いに付け間違えた場合には、それらを再艤装する必要かプロペラの型を列仕様のものに付け替える必要があり、修復に多大の困難を伴う。
【0006】また、引き型の遠隔操作部と正転型推進ユニットをそれぞれ艤装した船において、正転型推進ユニットにおけるプロペラ損傷時、船体内に、逆転用プロペラしかない場合にも、修復に多大の困難を伴う。
【0007】また、船体内等の狭小スペースに設置されるシフト装置にあっては、コンパクト化を図ることが極めて重要である。
【0008】本発明は、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更可能とし、且つコンパクトなシフト装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが略等しい位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける第1インナーケーブル取付部A1、第2インナーケーブル取付部A2を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1、A2の腕の長さより長い前記遠隔操作部と連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを取付ける第3インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第3インナーケーブル取付部Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部Cと、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A1、A2に連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Dとを設けるようにしたものである。
【0010】請求項2に記載の本発明は、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる少なくとも2つの位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける少なくとも2つの第1インナーケーブル取付部A、第2インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1と第2のインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、揺動レバーの他方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A、Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバーに設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されるようにしたものである。
【0011】
【作用】請求項1に記載の本発明によれば、下記■、■の作用がある。
【0012】■2本のリモケンケーブルのうちの一方のもののインナーケーブルを2つのインナーケーブル取付部A1、A2いずれかに付け替えることにより、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更できる。従って、引き型と押し型の2種類の遠隔操作部と、正転型と逆転型の2種類の推進ユニットを互いに付け間違えた場合や、正転型推進ユニットにおけるプロペラ損傷時、船体内に逆転用プロペラしかない場合に、遠隔操作部を組み替える等の必要なく、簡単に修復できる。
【0013】■揺動レバーの一方側にインナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、2つのインナーケーブル取付部A1、A2に対応するアウターケーブル取付部Dとを設けたから、揺動レバー回りのケーブル取回しスペースを該レバーの揺動する方向の一方側に集中し、コンパクト化できる。また、2つのインナーケーブル取付部A1、A2の腕の長さをインナーケーブル取付部Bの腕の長さより短くしたから、該レバーの長手方向サイズも可及的に短縮され、コンパクト化できる。
【0014】請求項2に記載の本発明によれば、下記■、■の作用がある。
【0015】■2つのリモコンケーブルのうちの一方のもののアウターケーブルを、揺動レバーの反対側のアウターケーブル取付部に付け替えることにより、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更できる。従って、引き型と押し型の2種類の遠隔操作部と、正転型と逆転型の2種類の推進ユニットを互いに付け間違えた場合や、正転型推進ユニットにおけるプロペラ損傷時、船体内に逆転用プロペラしかない場合に、遠隔操作部を組み替える等の必要なく、簡単に修復できる。
【0016】■揺動レバーに設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されたから、揺動レバー回りのケーブル取り回しスペースを該レバーの長手方向の一方側に集中し、コンパクト化できる。
【0017】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す模式図、図2R>2は図1のレバー装置を示す拡大図、図3は図2のIII −III 線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図、図5は図2のV方向に沿う矢視図、図6は切換弁の切換状態を示す模式図、図7は前後進切換装置を示す断面図、図8は2機掛航走状態を示す模式図、図9は本発明の第2実施例を模式図、図10は本発明の第3実施例を示す模式図、図11は本発明の第4実施例を示す模式図である。
【0018】
(第1実施例)(図1〜図8参照)船内外機10は、第1図に示す如く、船体11に固定されるジンバルハウジング12に操舵軸を介してジンバルリング13を転舵可能に支持し、ジンバルリング13のチルト軸を介して推進ユニット14を傾動可能に支持している。即ち、推進ユニット14はチルト軸のまわりに傾動してチルトアップ可能とされる。10Aは一対の傾動用のチルトシリンダである。
【0019】船体11の内部にはエンジン15が設置されている。
【0020】推進ユニット14の上部には入力軸16が略水平配置され、入力軸16の前端部には自在継手17を介してエンジン15の出力軸18が連結されている。
【0021】推進ユニット14の上部から下部にはプロペラ軸19に連結される中間軸20が略垂直配置されている。
【0022】このとき、中間軸20の下端部には歯車21が固定され、プロペラ軸19の前端部には歯車21に常時噛合う歯車22が固定されている。そして、プロペラ軸19の後端部にはプロペラ23が固定されている。
【0023】また、中間軸20の上端部には被動歯車24が固定され、入力軸16の中央部の前後にはそれぞれ被動歯車24に噛合う正転歯車25と逆転歯車26が遊転自在に支持されている。
【0024】そして、入力軸16の中央部まわりにおける正転歯車25と逆転歯車26の間には、正転歯車25と逆転歯車26とを入力軸16に対して選択的に結合する油圧クラッチ27が配設されている。
【0025】ここで、入力軸16の中央部まわりには、図7に示す如く、クラッチハウジング28が溶接接合され、クラッチハウジング28内の正転歯車25側に正転用油圧クラッチ27Fを形成し、クラッチハウジング28内の逆転歯車26側に逆転用油圧クラッチ27Rを形成している。
【0026】このとき、正転用油圧クラッチ27Fは以下の如く構成されている。即ち、クラッチハウジング28の前方側内奥部には加圧室29が形成されるとともに正転用ピストン30が収納されている。また、クラッチハウジング28の前方側内部には、クラッチハウジング28に係合するクラッチ板31と正転歯車25にスプライン結合する摩擦板32とが交互に配置されている。クラッチハウジング28の最も内奥部側に位置するクラッチ板31は正転用ピストン30と当接し、クラッチハウジング28の最も前端部側に位置するクラッチ板31は該クラッチハウジング28に固定されている圧力板33に当接している。尚、正転用ピストン30は戻しばね34によりクラッチ板31から離れる方向に付勢されている。この正転用油圧クラッチ27Fにあっては、船内外機10を前進させるとき、加圧室29に高圧油を供給するようになっている。
【0027】ここで、入力軸16に支持する正転歯車25は、入力軸16まわりの該歯車25に対する一側にて後述する如くに固定配置される前方軸受72により背面支持されるスラスト軸受72Aと、該歯車25に対する他側にて上記戻しばね34を背面支持するスラストワッシャ35、及びスラスト軸受36により、挟圧保持される。
【0028】尚、油圧クラッチ27を入力軸16にサブ組付けし、該入力軸16に未だ正転歯車25を組込まない段階で、戻しばね34、及びスラストワッシャ35は入力軸16に装着してある止め輪37により保持される。組立完了後、スラストワッシャ35は正転歯車25、スラスト軸受36の存在により戻しばね34を押込んで、止め輪37に当接することなく、スラストワッシャ35と止め輪37の間には隙間gを生ずる(図7参照)。
【0029】また、逆転用油圧クラッチ27Rは以下の如く構成されている。即ち、クラッチハウジング28の後方側内奥部には加圧室39(不図示)が形成されるとともに逆転用ピストン40が収納されている。また、クラッチハウジング28の後方側内部には、クラッチハウジング28に係合するクラッチ板41と逆転歯車26にスプライン結合する摩擦板42とが交互に配置されている。クラッチハウジング28の最も内奥部側に位置するクラッチ板41は逆転用ピストン40と当接し、クラッチハウジング28の最も後端部側に位置するクラッチ板41は該クラッチハウジング28に固定されている圧力板43に当接している。尚、逆転用ピストン40は戻しばね44によりクラッチ板41から離れる方向に付勢されている。この逆転用油圧クラッチ27Rにあっては、船内外機10を後進させるとき、加圧室39に高圧油を供給するようになっている。
【0030】ここで、入力軸16に支持する逆転歯車26は、入力軸16まわりの該歯車26に対する一側にて後述する如くに固定配置される後方軸受73により背面支持されるスラスト軸受73Aと、該歯車26に対する他側にて上記戻しばね44を背面支持するスラストワッシャ45、及びスラスト軸受46とにより挟圧保持される。
【0031】尚、油圧クラッチ27を入力軸16にサブ組付けし、該入力軸16に未だ逆転歯車26を組込まない段階で、戻しばね44、及びスラストワッシャ45は入力軸16に装着してある止め輪47により保持される。組立完了後、スラストワッシャ45は逆転歯車26、スラスト軸受46の存在により戻しばね44を押込んで、止め輪47に当接することなく、スラストワッシャ45と止め輪47の間には隙間gを生ずる(図7参照)。
【0032】更に、入力軸16の後端部には油圧クラッチ27のための油圧ポンプ内蔵切換弁50(前後進切換装置)が連結されている。
【0033】油圧ポンプ内蔵切換弁50は、入力軸16の後端部に連結されて駆動されるギヤポンプを内蔵しており、推進ユニット14の下部の歯車21、22の歯車収容室に連通する如くに推進ユニット14に延設されているオイル吸込路から吸込んだオイルを加圧し、このオイルを調圧弁にて適正な油圧に調整した状態で、オイル吐出路から切換弁側に送る。
【0034】切換弁50はハウジング53内にステムバルブ59を配設し、ステムバルブ59の操作軸部に連結されているシフトレバー60にケーブル等を介して加えられる遠隔操作力によって該ステムバルブ59を自軸まわりに回転可能とする。また、ステムバルブ59の自軸に交差する一端受圧面からステムバルブ59の外周部に形成したオイル分配外周面に延びるオイル供給路61をステムバルブ59内に穿設している。また、ハウジング53におけるステムバルブ59の受圧面に臨む部分には前述したギヤポンプのオイル吐出路を開口し、ハウジング53におけるステムバルブ59のオイル分配外周面に臨む部分には正転用油圧クラッチ27Fに連通する正転油路64と逆転用油圧クラッチ27Rに連通する逆転油路65とを開口している。そして、ステムバルブ59の回転により上記オイル供給路61を上記正転油路64と逆転油路65に選択的に連通して上記オイル吐出路58から供給される高圧油を上記正転用油圧クラッチ27Fと逆転用油圧クラッチ27Rに選択的に分配し、結果として下記(1) 〜(3) の中立モード、正転モード、又は逆転モードを確立可能とする。尚、ステムバルブ59は、ハウジング53、推進ユニット14に延設され歯車収容室に達しているオイルドレン路62に連なるオイル排出路63を備えている。
【0035】(1) 中立モード(図6(B)参照)
切換弁装置50のステムバルブ59がオイル供給路61を正転油路64、逆転油路65のいずれにも連通されず、正転油路64、逆転油路65をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、正転用油圧クラッチ27Fの加圧室29、及び逆転用油圧クラッチ27Rの加圧室39とも高圧油を供給されず、両油圧クラッチ27F、27Rがクラッチ切離し状態となり、入力軸16の回転力は正転歯車25、逆転歯車26のいずれにも伝達されず、ひいてはプロペラ23を回転停止する。
【0036】(2) 正転モード(図6(C)参照)
リモコンケーブルを引くとき、シフトレバー60が切換弁50を変位させ、切換弁50のステムバルブ59がオイル供給路61を正転油路64に連通し、逆転油路65をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、正転用油圧クラッチ27Fの加圧室29に高圧油を供給され、正転用油圧クラッチ27Fがクラッチ接続状態となり、入力軸16の回転力は正転歯車25に伝達され、ひいてはプロペラ23を正転回転する。
【0037】(3) 逆転モード(図6(A)参照)
リモコンケーブルを押すとき、シフトレバー60が切換弁50を変位させ、切換弁50のステムバルブ59がオイル供給路61を逆転油路65に連通し、正転油路64をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、逆転用油圧クラッチ27Rの加圧室39に高圧油が供給され、逆転用油圧クラッチ27Rがクラッチ接続状態となり、入力軸16の回転力は逆転歯車26に伝達され、ひいてはプロペラ23を逆転回転する。
【0038】尚、本明細書では、エンジン15の出力は右回転し、プロペラ23は後方から見て右回転する状態を正転とし、左回転する状態を逆転とする。
【0039】本実施例のようにリモコンケーブルを引くとき、入力軸16の回転力が正転歯車25に伝達され、プロペラ23が正転回転するものが正転型推進ユニットである。一方、推進ユニットにはリモコンケーブルを引くとき、入力軸16の回転力が逆転用歯車26に伝達され、プロペラ23が逆転回転する逆転型推進ユニットがある。
【0040】然るに、船内外機10にあっては、以下の如くのシフト装置100を有する。即ち、シフト装置100は、船体11内に設けた遠隔操作装置101と、推進ユニット14の切換弁50に設けたシフトレバー60との間にレバー装置102を配置し、遠隔操作装置101とレバー装置102とを入力側リモコンテーブル103で連結し、レバー装置102とシフトレバー60とを出力側リモコンテーブル104で連結している。
【0041】レバー装置102は基台105に揺動レバー106を有している。そして、揺動レバー106には、揺動中心までの腕の長さが略等しい 2つの長孔状のインナーケーブル取付部A1 、A2 を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 の腕の長さより長いインナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバー106の一方側に、上記インナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 に対応する 2つのアウターケーブル取付部D1 、D2 とを設けている。
【0042】本実施例では、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。そして、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに選択的に取付けでき、そのアウターケーブル104Bをインナーケーブル取付部A1に対応するアウターケーブル取付部D1 、インナーケーブル取付部D2 に対応するアウターケーブル取付部D2 のいずれかに選択的に取付けできるようにしている。
【0043】ここで、本シフト装置100を構成する遠隔操作装置101が操作レバー101Aを前に倒す前進操作時に入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを引き状態とする引き型であるとすれば、シフト装置100の作動は下記(A) 、(B) の如くになる。
【0044】(A) 出力側リモコンテーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー106のインナーケーブル取付部A1 に取付けられている場合、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aも引き状態となり、切換弁50は図6(C)の正転状態となる。これにより、エンジン14の右回転出力は、正転歯車25、被動歯車24、歯車21、22を介してプロペラ23を右回転させる。従って、推進ユニット14が正転型であり、プロペラ23が右回転するときに前進となる右回転用プロペラ(正転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。遠隔操作装置101の後進操作時には、以上の逆となる。
【0045】(B) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー106のインナー取付部A2 に取付けられると、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aが押し状態となり、切換弁50は図6(A)の如くの逆転状態となり、プロペラ23を逆転、即ち左回転させる。従って、この場合には、推進ユニット14が逆転型であり、プロペラ23が左回転するときに前進となる左回転用プロペラ(逆転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。遠隔操作装置101の後進操作時には、以上の逆となる。
【0046】尚、レバー装置102にあっては、揺動レバー106の各インナーケーブル取付部A1 、A2 、Bに対する各インナーケーブル103A、104Aの取付構造を図3に示す如くとしている。即ち、揺動レバー106の各インナーケーブル取付部A1 、A2 、Bにボルト付ピン107をナット108により固定し、ボルト付ピン107のピン部分にインナーケーブル103A、104Aのエンド部材109をワッシャ110、止めピン111により固定するものである。
【0047】また、レバー装置102にあっては、基台105に対する揺動レバー106の取付構造を図4に示す如くとしている。即ち、基台105と揺動レバー106との間にワッシャ112を介装し、該揺動レバー106をワッシャ113を介してボルト114により該基台105に締結するものである。115はボルトカバーである。
【0048】また、船内外機10にあっては、基台105の各アウターケーブル取付部C、D1 、D2 に対する各アウターケーブル103B、104Bの取付構造を図5R>5に示す如くとしている。即ち、基台105の各アウターケーブル取付部C、D1 、D2 にステー116をボルト117により固定し、ステー116にピン118を介して係着したクランプレバー119によりアウターケーブル103B、104Bをステー116との間に挟着するものである。図2において、116Aは基台105に設けたステー回り止め凹部である。
【0049】次に、本実施例の作用について説明する。
【0050】■ 2本のリモコンケーブル103、104のうちの出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに付け替えることにより、遠隔操作装置101が推進ユニット14の切換弁50に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更できる。従って、引き型と押し型の 2種類の遠隔操作装置101と、正転型と逆転型の 2種類の推進ユニット14とを互いに付け間違えた場合や、正転型推進ユニット14におけるプロペラ損傷時、船体内に逆転用プロペラしかない場合に、遠隔操作装置101を組み替える等の必要なく、簡単に修復できる。
【0051】■揺動レバー106の一方側に、インナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、 2つのインナーケーブル取付部A1、A2 に対応するアウターケーブル取付部D1 、D2 とを設けたから、揺動レバー106回りのケーブル取り回しスペースを該レバー106の揺動する方向の一方側に集中し、コンパクト化できる。また、 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 の腕の長さをインナーケーブル取付部Bの腕の長さより短くしたから、該レバー106の長手方向サイズも可及的に短縮され、コンパクト化できる。尚、図1において、Lはレバー装置102の長手方向サイズ、Wは幅方向サイズである。
【0052】尚、本実施例は、腕の長さの長いインナーケーブル取付部Bに入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを取付け、短いインナーケーブル取付部A1 、A2 に出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを取付けたから、遠隔操作装置101側のケーブルストロークが推進ユニット14側のケーブルストロークより長い。従って、遠隔操作装置101側のケーブルストロークが推進ユニット14側のケーブルストロークより短い場合には、入力側リモコンケーブル103と出力側リモコンケーブル104の配置を変更すれば良い。
【0053】図8は、船体に推進ユニット14を 2基掛けし、本実施例のシフト装置100を 2組使用してシフト操作するものである。左舷側、右舷側とも同一の型の推進ユニット14A、14Bを使用し、正転型に対しては引き型の、逆転型に対しては押し型の遠隔操作装置をそれぞれの操作用に配置している。
【0054】このとき、左舷側のシフト装置100は、本実施例の(A) における如くであり、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを揺動レバー106のインナーケーブル取付部A1 に取付け、推進ユニット14Aのプロペラ23を右回転させて前進せしめる。他方、右舷側のシフト装置100は、本実施例の(B) における如くであり、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを揺動レバー106のインナーケーブル取付部A2 に取付け、推進ユニット14Bのプロペラ23を左回転させて前進せしめる。これにより、船体中心に対し、左右のプロペラ23を対称的に回転させることにて前後進することとなり、安定した 2基掛け航走を実現できる。
【0055】
(第2実施例)(図9参照)シフト装置120は、レバー装置121の揺動レバー122に、揺動中心までの腕の長さが略等しい 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 の腕の長さより長いインナー取付部Bを設け、揺動レバー122の一方側に、上記インナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 に対応するアウターケーブル取付部Dとを設けたものである。
【0056】そして、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに選択的に取付けでき、そのアウターケーブル104Bを基台123に回動自在に支持されているアウターケーブル取付部Dに取付けている。
【0057】従って、このシフト装置120にあっては、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに付け替えるとき、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部Dから取外すことを要しない。
【0058】ここで、本シフト装置120を構成する遠隔操作装置101が操作レバー101Aを前に倒す前進操作時に入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを押し状態とする押し型であるとすれば、シフト装置120の作動は下記(A) 、(B) の如くである。
【0059】(A) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー122のインナーケーブル取付部A2 に取付けられている場合、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aは引き状態となり、プロペラ23を右回転させる。従って、推進ユニット14が正転型であり、プロペラ23が右回転するときに前進となる右回転用プロペラ(正転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。
【0060】(B) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー122のインナーケーブル取付部A1 に取付けられると、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aは押し状態となり、プロペラ23を左回転させる。従って、推進ユニット14が逆転型であり、プロペラ23が左回転すると前進となる左回転用プロペラ(逆転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。
【0061】
(第3実施例)(図10参照)シフト装置130は、レバー装置131の揺動レバー132に、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる 2つのインナーケーブル取付部A、Bを設け、揺動レバー132の一方側に、上記 2つのインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに対応するアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、他方側に、上記 2つのインナーケーブル取付部A、Bのうちの一方であるBに対応するアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバー132に設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されるようにしたものである。
【0062】尚、本実施例では、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Aに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部D、Eのいずれかに選択的に取付けている。これによれば、出力側リモコンケーブル104の取付替えにより、入力側リモコンケーブル103の引き操作により、出力側リモコンケーブル104に引きと押しのいずれをも選択的に付与できる。
【0063】次に、本実施例の作用について説明する。
【0064】■2つのリモコンケーブル103、104のうちの一方である出力側リモコンケーブル104のアウターケーブル104Bを、揺動レバー132の反対側のアウターケーブル取付部D、Eに付け替えることにより、遠隔操作装置101が推進ユニット14の切換弁50に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更できる。従って、引き型と押し型の2種類の遠隔操作装置101と、正転型と逆転型の2種類の推進ユニット14を互いに付け間違えた場合や、正転型推進ユニット14におけるプロペラ損傷時、船体内に逆転用プロペラしかない場合に、遠隔操作装置101を組み替える等の必要なく、簡単に修復できる。
【0065】■揺動レバー132に設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されたから、揺動レバー132回りのケーブル取り回しスペースを該レバー132の長手方向の一方側に集中し、コンパクト化できる。
【0066】
(第4実施例)(図11参照)本実施例では、上記第3実施例のシフト装置130において、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Aに取付け、そのアスターケーブル103Bをアウターケーブル取付部C、Eのいずれかに選択的に取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部Dに取付けている。これによれば、入力側リモコンケーブル103の取付替えにより、入力側リモコンケーブル103の引き操作により、出力側リモコンケーブル104に引きと押しのいずれをも選択的に付与できる。
【0067】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更可能とし、且つコンパクトなシフト装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施例を示す模式図である。
【図2】図2は図1のレバー装置を示す拡大図である。
【図3】図3は図2のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は図2のV方向に沿う矢視図である。
【図6】図6は切換弁の切換状態を示す模式図である。
【図7】図7は前後進切換装置を示す断面図である。
【図8】図8は2機掛航走状態を示す模式図である。
【図9】図9は本発明の第2実施例を模式図である。
【図10】図10は本発明の第3実施例を示す模式図である。
【図11】図11は本発明の第4実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
14 推進ユニット
50 油圧ポンプ内蔵切換弁(前後進切換装置)
100 シフト装置
101 遠隔操作装置
102 レバー装置
103、104 リモコンケーブル
106 揺動レバー
103A、104A インナーケーブル
103B、104B アウターケーブル
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶推進機のシフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶推進機のシフト装置として、特開昭63-137098 号公報に記載の如く、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成されるものがある。ここで、船舶推進機において、リモコンケーブルの配線は、折れ曲がり部が船体構造の都合により不均一になり易く、長期の使用により摩耗が偏在することとなる。このとき、上記従来の船舶推進機のシフト装置によれば、リモコンケーブルを2分したので、摩耗による交換時、摩耗が大きく正しいストロークを伝えない方のリモコンケーブルだけを付け替えれば良いというメリットがある。
【0003】一方、従来より遠隔操作部には、前進操作に際し、1本のリモコンケーブルを引き操作する引き型のものと、押し操作する押し型のものの2種類がある。
【0004】他方、推進ユニットには、前進、中立、後進の3位置に切換わる前後進切換装置が設けられ、且つリモコンケーブルが引き操作されるに対応し、プロペラが右回転又は左回転の一方に定めた正転方向に回転し、前進する正転型推進ユニットと、同様にリモコンケーブルが引き操作されるに対応し、プロペラが逆転し、前進する逆転型推進ユニットとがある。即ち、リモコンケーブルが押し操作されるときにはプロペラが、正転型推進ユニットでは逆転し、逆転型推進ユニットでは正転する。尚、プロペラには正転時前進する正転用プロペラと、逆転時前進する逆転用プロペラがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然るに、遠隔操作部の艤装、推進ユニットの艤装は複雑で手間を要する。このため、引き型と押し型の2種類の遠隔操作部と、正転用プロペラを付けた正転型と逆転用プロペラを付けた逆転型の2種類の推進ユニットとを互いに付け間違えた場合には、それらを再艤装する必要かプロペラの型を列仕様のものに付け替える必要があり、修復に多大の困難を伴う。
【0006】また、引き型の遠隔操作部と正転型推進ユニットをそれぞれ艤装した船において、正転型推進ユニットにおけるプロペラ損傷時、船体内に、逆転用プロペラしかない場合にも、修復に多大の困難を伴う。
【0007】また、船体内等の狭小スペースに設置されるシフト装置にあっては、コンパクト化を図ることが極めて重要である。
【0008】本発明は、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更可能とし、且つコンパクトなシフト装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが略等しい位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける第1インナーケーブル取付部A1、第2インナーケーブル取付部A2を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1、A2の腕の長さより長い前記遠隔操作部と連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを取付ける第3インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第3インナーケーブル取付部Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部Cと、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A1、A2に連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Dとを設けるようにしたものである。
【0010】請求項2に記載の本発明は、遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる少なくとも2つの位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける少なくとも2つの第1インナーケーブル取付部A、第2インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1と第2のインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、揺動レバーの他方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A、Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバーに設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されるようにしたものである。
【0011】
【作用】請求項1に記載の本発明によれば、下記
【0012】
【0013】
【0014】請求項2に記載の本発明によれば、下記
【0015】
【0016】
【0017】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す模式図、図2R>2は図1のレバー装置を示す拡大図、図3は図2のIII −III 線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図、図5は図2のV方向に沿う矢視図、図6は切換弁の切換状態を示す模式図、図7は前後進切換装置を示す断面図、図8は2機掛航走状態を示す模式図、図9は本発明の第2実施例を模式図、図10は本発明の第3実施例を示す模式図、図11は本発明の第4実施例を示す模式図である。
【0018】
(第1実施例)(図1〜図8参照)船内外機10は、第1図に示す如く、船体11に固定されるジンバルハウジング12に操舵軸を介してジンバルリング13を転舵可能に支持し、ジンバルリング13のチルト軸を介して推進ユニット14を傾動可能に支持している。即ち、推進ユニット14はチルト軸のまわりに傾動してチルトアップ可能とされる。10Aは一対の傾動用のチルトシリンダである。
【0019】船体11の内部にはエンジン15が設置されている。
【0020】推進ユニット14の上部には入力軸16が略水平配置され、入力軸16の前端部には自在継手17を介してエンジン15の出力軸18が連結されている。
【0021】推進ユニット14の上部から下部にはプロペラ軸19に連結される中間軸20が略垂直配置されている。
【0022】このとき、中間軸20の下端部には歯車21が固定され、プロペラ軸19の前端部には歯車21に常時噛合う歯車22が固定されている。そして、プロペラ軸19の後端部にはプロペラ23が固定されている。
【0023】また、中間軸20の上端部には被動歯車24が固定され、入力軸16の中央部の前後にはそれぞれ被動歯車24に噛合う正転歯車25と逆転歯車26が遊転自在に支持されている。
【0024】そして、入力軸16の中央部まわりにおける正転歯車25と逆転歯車26の間には、正転歯車25と逆転歯車26とを入力軸16に対して選択的に結合する油圧クラッチ27が配設されている。
【0025】ここで、入力軸16の中央部まわりには、図7に示す如く、クラッチハウジング28が溶接接合され、クラッチハウジング28内の正転歯車25側に正転用油圧クラッチ27Fを形成し、クラッチハウジング28内の逆転歯車26側に逆転用油圧クラッチ27Rを形成している。
【0026】このとき、正転用油圧クラッチ27Fは以下の如く構成されている。即ち、クラッチハウジング28の前方側内奥部には加圧室29が形成されるとともに正転用ピストン30が収納されている。また、クラッチハウジング28の前方側内部には、クラッチハウジング28に係合するクラッチ板31と正転歯車25にスプライン結合する摩擦板32とが交互に配置されている。クラッチハウジング28の最も内奥部側に位置するクラッチ板31は正転用ピストン30と当接し、クラッチハウジング28の最も前端部側に位置するクラッチ板31は該クラッチハウジング28に固定されている圧力板33に当接している。尚、正転用ピストン30は戻しばね34によりクラッチ板31から離れる方向に付勢されている。この正転用油圧クラッチ27Fにあっては、船内外機10を前進させるとき、加圧室29に高圧油を供給するようになっている。
【0027】ここで、入力軸16に支持する正転歯車25は、入力軸16まわりの該歯車25に対する一側にて後述する如くに固定配置される前方軸受72により背面支持されるスラスト軸受72Aと、該歯車25に対する他側にて上記戻しばね34を背面支持するスラストワッシャ35、及びスラスト軸受36により、挟圧保持される。
【0028】尚、油圧クラッチ27を入力軸16にサブ組付けし、該入力軸16に未だ正転歯車25を組込まない段階で、戻しばね34、及びスラストワッシャ35は入力軸16に装着してある止め輪37により保持される。組立完了後、スラストワッシャ35は正転歯車25、スラスト軸受36の存在により戻しばね34を押込んで、止め輪37に当接することなく、スラストワッシャ35と止め輪37の間には隙間gを生ずる(図7参照)。
【0029】また、逆転用油圧クラッチ27Rは以下の如く構成されている。即ち、クラッチハウジング28の後方側内奥部には加圧室39(不図示)が形成されるとともに逆転用ピストン40が収納されている。また、クラッチハウジング28の後方側内部には、クラッチハウジング28に係合するクラッチ板41と逆転歯車26にスプライン結合する摩擦板42とが交互に配置されている。クラッチハウジング28の最も内奥部側に位置するクラッチ板41は逆転用ピストン40と当接し、クラッチハウジング28の最も後端部側に位置するクラッチ板41は該クラッチハウジング28に固定されている圧力板43に当接している。尚、逆転用ピストン40は戻しばね44によりクラッチ板41から離れる方向に付勢されている。この逆転用油圧クラッチ27Rにあっては、船内外機10を後進させるとき、加圧室39に高圧油を供給するようになっている。
【0030】ここで、入力軸16に支持する逆転歯車26は、入力軸16まわりの該歯車26に対する一側にて後述する如くに固定配置される後方軸受73により背面支持されるスラスト軸受73Aと、該歯車26に対する他側にて上記戻しばね44を背面支持するスラストワッシャ45、及びスラスト軸受46とにより挟圧保持される。
【0031】尚、油圧クラッチ27を入力軸16にサブ組付けし、該入力軸16に未だ逆転歯車26を組込まない段階で、戻しばね44、及びスラストワッシャ45は入力軸16に装着してある止め輪47により保持される。組立完了後、スラストワッシャ45は逆転歯車26、スラスト軸受46の存在により戻しばね44を押込んで、止め輪47に当接することなく、スラストワッシャ45と止め輪47の間には隙間gを生ずる(図7参照)。
【0032】更に、入力軸16の後端部には油圧クラッチ27のための油圧ポンプ内蔵切換弁50(前後進切換装置)が連結されている。
【0033】油圧ポンプ内蔵切換弁50は、入力軸16の後端部に連結されて駆動されるギヤポンプを内蔵しており、推進ユニット14の下部の歯車21、22の歯車収容室に連通する如くに推進ユニット14に延設されているオイル吸込路から吸込んだオイルを加圧し、このオイルを調圧弁にて適正な油圧に調整した状態で、オイル吐出路から切換弁側に送る。
【0034】切換弁50はハウジング53内にステムバルブ59を配設し、ステムバルブ59の操作軸部に連結されているシフトレバー60にケーブル等を介して加えられる遠隔操作力によって該ステムバルブ59を自軸まわりに回転可能とする。また、ステムバルブ59の自軸に交差する一端受圧面からステムバルブ59の外周部に形成したオイル分配外周面に延びるオイル供給路61をステムバルブ59内に穿設している。また、ハウジング53におけるステムバルブ59の受圧面に臨む部分には前述したギヤポンプのオイル吐出路を開口し、ハウジング53におけるステムバルブ59のオイル分配外周面に臨む部分には正転用油圧クラッチ27Fに連通する正転油路64と逆転用油圧クラッチ27Rに連通する逆転油路65とを開口している。そして、ステムバルブ59の回転により上記オイル供給路61を上記正転油路64と逆転油路65に選択的に連通して上記オイル吐出路58から供給される高圧油を上記正転用油圧クラッチ27Fと逆転用油圧クラッチ27Rに選択的に分配し、結果として下記(1) 〜(3) の中立モード、正転モード、又は逆転モードを確立可能とする。尚、ステムバルブ59は、ハウジング53、推進ユニット14に延設され歯車収容室に達しているオイルドレン路62に連なるオイル排出路63を備えている。
【0035】(1) 中立モード(図6(B)参照)
切換弁装置50のステムバルブ59がオイル供給路61を正転油路64、逆転油路65のいずれにも連通されず、正転油路64、逆転油路65をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、正転用油圧クラッチ27Fの加圧室29、及び逆転用油圧クラッチ27Rの加圧室39とも高圧油を供給されず、両油圧クラッチ27F、27Rがクラッチ切離し状態となり、入力軸16の回転力は正転歯車25、逆転歯車26のいずれにも伝達されず、ひいてはプロペラ23を回転停止する。
【0036】(2) 正転モード(図6(C)参照)
リモコンケーブルを引くとき、シフトレバー60が切換弁50を変位させ、切換弁50のステムバルブ59がオイル供給路61を正転油路64に連通し、逆転油路65をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、正転用油圧クラッチ27Fの加圧室29に高圧油を供給され、正転用油圧クラッチ27Fがクラッチ接続状態となり、入力軸16の回転力は正転歯車25に伝達され、ひいてはプロペラ23を正転回転する。
【0037】(3) 逆転モード(図6(A)参照)
リモコンケーブルを押すとき、シフトレバー60が切換弁50を変位させ、切換弁50のステムバルブ59がオイル供給路61を逆転油路65に連通し、正転油路64をオイル排出路63を介してオイルドレン路62に連通する。これにより、逆転用油圧クラッチ27Rの加圧室39に高圧油が供給され、逆転用油圧クラッチ27Rがクラッチ接続状態となり、入力軸16の回転力は逆転歯車26に伝達され、ひいてはプロペラ23を逆転回転する。
【0038】尚、本明細書では、エンジン15の出力は右回転し、プロペラ23は後方から見て右回転する状態を正転とし、左回転する状態を逆転とする。
【0039】本実施例のようにリモコンケーブルを引くとき、入力軸16の回転力が正転歯車25に伝達され、プロペラ23が正転回転するものが正転型推進ユニットである。一方、推進ユニットにはリモコンケーブルを引くとき、入力軸16の回転力が逆転用歯車26に伝達され、プロペラ23が逆転回転する逆転型推進ユニットがある。
【0040】然るに、船内外機10にあっては、以下の如くのシフト装置100を有する。即ち、シフト装置100は、船体11内に設けた遠隔操作装置101と、推進ユニット14の切換弁50に設けたシフトレバー60との間にレバー装置102を配置し、遠隔操作装置101とレバー装置102とを入力側リモコンテーブル103で連結し、レバー装置102とシフトレバー60とを出力側リモコンテーブル104で連結している。
【0041】レバー装置102は基台105に揺動レバー106を有している。そして、揺動レバー106には、揺動中心までの腕の長さが略等しい 2つの長孔状のインナーケーブル取付部A1 、A2 を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 の腕の長さより長いインナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバー106の一方側に、上記インナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 に対応する 2つのアウターケーブル取付部D1 、D2 とを設けている。
【0042】本実施例では、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。そして、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに選択的に取付けでき、そのアウターケーブル104Bをインナーケーブル取付部A1に対応するアウターケーブル取付部D1 、インナーケーブル取付部D2 に対応するアウターケーブル取付部D2 のいずれかに選択的に取付けできるようにしている。
【0043】ここで、本シフト装置100を構成する遠隔操作装置101が操作レバー101Aを前に倒す前進操作時に入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを引き状態とする引き型であるとすれば、シフト装置100の作動は下記(A) 、(B) の如くになる。
【0044】(A) 出力側リモコンテーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー106のインナーケーブル取付部A1 に取付けられている場合、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aも引き状態となり、切換弁50は図6(C)の正転状態となる。これにより、エンジン14の右回転出力は、正転歯車25、被動歯車24、歯車21、22を介してプロペラ23を右回転させる。従って、推進ユニット14が正転型であり、プロペラ23が右回転するときに前進となる右回転用プロペラ(正転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。遠隔操作装置101の後進操作時には、以上の逆となる。
【0045】(B) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー106のインナー取付部A2 に取付けられると、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aが押し状態となり、切換弁50は図6(A)の如くの逆転状態となり、プロペラ23を逆転、即ち左回転させる。従って、この場合には、推進ユニット14が逆転型であり、プロペラ23が左回転するときに前進となる左回転用プロペラ(逆転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。遠隔操作装置101の後進操作時には、以上の逆となる。
【0046】尚、レバー装置102にあっては、揺動レバー106の各インナーケーブル取付部A1 、A2 、Bに対する各インナーケーブル103A、104Aの取付構造を図3に示す如くとしている。即ち、揺動レバー106の各インナーケーブル取付部A1 、A2 、Bにボルト付ピン107をナット108により固定し、ボルト付ピン107のピン部分にインナーケーブル103A、104Aのエンド部材109をワッシャ110、止めピン111により固定するものである。
【0047】また、レバー装置102にあっては、基台105に対する揺動レバー106の取付構造を図4に示す如くとしている。即ち、基台105と揺動レバー106との間にワッシャ112を介装し、該揺動レバー106をワッシャ113を介してボルト114により該基台105に締結するものである。115はボルトカバーである。
【0048】また、船内外機10にあっては、基台105の各アウターケーブル取付部C、D1 、D2 に対する各アウターケーブル103B、104Bの取付構造を図5R>5に示す如くとしている。即ち、基台105の各アウターケーブル取付部C、D1 、D2 にステー116をボルト117により固定し、ステー116にピン118を介して係着したクランプレバー119によりアウターケーブル103B、104Bをステー116との間に挟着するものである。図2において、116Aは基台105に設けたステー回り止め凹部である。
【0049】次に、本実施例の作用について説明する。
【0050】
【0051】
【0052】尚、本実施例は、腕の長さの長いインナーケーブル取付部Bに入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを取付け、短いインナーケーブル取付部A1 、A2 に出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを取付けたから、遠隔操作装置101側のケーブルストロークが推進ユニット14側のケーブルストロークより長い。従って、遠隔操作装置101側のケーブルストロークが推進ユニット14側のケーブルストロークより短い場合には、入力側リモコンケーブル103と出力側リモコンケーブル104の配置を変更すれば良い。
【0053】図8は、船体に推進ユニット14を 2基掛けし、本実施例のシフト装置100を 2組使用してシフト操作するものである。左舷側、右舷側とも同一の型の推進ユニット14A、14Bを使用し、正転型に対しては引き型の、逆転型に対しては押し型の遠隔操作装置をそれぞれの操作用に配置している。
【0054】このとき、左舷側のシフト装置100は、本実施例の(A) における如くであり、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを揺動レバー106のインナーケーブル取付部A1 に取付け、推進ユニット14Aのプロペラ23を右回転させて前進せしめる。他方、右舷側のシフト装置100は、本実施例の(B) における如くであり、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aを揺動レバー106のインナーケーブル取付部A2 に取付け、推進ユニット14Bのプロペラ23を左回転させて前進せしめる。これにより、船体中心に対し、左右のプロペラ23を対称的に回転させることにて前後進することとなり、安定した 2基掛け航走を実現できる。
【0055】
(第2実施例)(図9参照)シフト装置120は、レバー装置121の揺動レバー122に、揺動中心までの腕の長さが略等しい 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 の腕の長さより長いインナー取付部Bを設け、揺動レバー122の一方側に、上記インナーケーブル取付部Bに対応するアウターケーブル取付部Cと、上記 2つのインナーケーブル取付部A1 、A2 に対応するアウターケーブル取付部Dとを設けたものである。
【0056】そして、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに選択的に取付けでき、そのアウターケーブル104Bを基台123に回動自在に支持されているアウターケーブル取付部Dに取付けている。
【0057】従って、このシフト装置120にあっては、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部A1 、A2 のいずれかに付け替えるとき、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部Dから取外すことを要しない。
【0058】ここで、本シフト装置120を構成する遠隔操作装置101が操作レバー101Aを前に倒す前進操作時に入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aを押し状態とする押し型であるとすれば、シフト装置120の作動は下記(A) 、(B) の如くである。
【0059】(A) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー122のインナーケーブル取付部A2 に取付けられている場合、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aは引き状態となり、プロペラ23を右回転させる。従って、推進ユニット14が正転型であり、プロペラ23が右回転するときに前進となる右回転用プロペラ(正転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。
【0060】(B) 出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aが揺動レバー122のインナーケーブル取付部A1 に取付けられると、遠隔操作装置101の前進操作によりインナーケーブル104Aは押し状態となり、プロペラ23を左回転させる。従って、推進ユニット14が逆転型であり、プロペラ23が左回転すると前進となる左回転用プロペラ(逆転用プロペラ)を使用していれば前進状態となる。
【0061】
(第3実施例)(図10参照)シフト装置130は、レバー装置131の揺動レバー132に、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる 2つのインナーケーブル取付部A、Bを設け、揺動レバー132の一方側に、上記 2つのインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに対応するアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、他方側に、上記 2つのインナーケーブル取付部A、Bのうちの一方であるBに対応するアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバー132に設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されるようにしたものである。
【0062】尚、本実施例では、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Aに取付け、そのアウターケーブル103Bをアウターケーブル取付部Cに取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部D、Eのいずれかに選択的に取付けている。これによれば、出力側リモコンケーブル104の取付替えにより、入力側リモコンケーブル103の引き操作により、出力側リモコンケーブル104に引きと押しのいずれをも選択的に付与できる。
【0063】次に、本実施例の作用について説明する。
【0064】
【0065】
【0066】
(第4実施例)(図11参照)本実施例では、上記第3実施例のシフト装置130において、入力側リモコンケーブル103のインナーケーブル103Aをインナーケーブル取付部Aに取付け、そのアスターケーブル103Bをアウターケーブル取付部C、Eのいずれかに選択的に取付けている。また、出力側リモコンケーブル104のインナーケーブル104Aをインナーケーブル取付部Bに取付け、そのアウターケーブル104Bをアウターケーブル取付部Dに取付けている。これによれば、入力側リモコンケーブル103の取付替えにより、入力側リモコンケーブル103の引き操作により、出力側リモコンケーブル104に引きと押しのいずれをも選択的に付与できる。
【0067】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、遠隔操作部が推進ユニットの前後進切換装置に伝えるリモコンケーブルの操作方向を引き方向か押し方向かのいずれかに簡単に変更可能とし、且つコンパクトなシフト装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施例を示す模式図である。
【図2】図2は図1のレバー装置を示す拡大図である。
【図3】図3は図2のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は図2のV方向に沿う矢視図である。
【図6】図6は切換弁の切換状態を示す模式図である。
【図7】図7は前後進切換装置を示す断面図である。
【図8】図8は2機掛航走状態を示す模式図である。
【図9】図9は本発明の第2実施例を模式図である。
【図10】図10は本発明の第3実施例を示す模式図である。
【図11】図11は本発明の第4実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
14 推進ユニット
50 油圧ポンプ内蔵切換弁(前後進切換装置)
100 シフト装置
101 遠隔操作装置
102 レバー装置
103、104 リモコンケーブル
106 揺動レバー
103A、104A インナーケーブル
103B、104B アウターケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】 遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが略等しい位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける第1インナーケーブル取付部A1、第2インナーケーブル取付部A2を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1、A2の腕の長さより長い前記遠隔操作部と連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを取付ける第3インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第3インナーケーブル取付部Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部Cと、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A1、A2に連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Dとを設けたことを特徴とする船舶推進機のシフト装置。
【請求項2】 遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる少なくとも2つの位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける少なくとも2つの第1インナーケーブル取付部A、第2インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1と第2のインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、揺動レバーの他方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A、Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバーに設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されることを特徴とする船舶推進機のシフト装置。
【請求項1】 遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが略等しい位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける第1インナーケーブル取付部A1、第2インナーケーブル取付部A2を設けるとともに、揺動中心までの腕の長さが上記2つのインナーケーブル取付部A1、A2の腕の長さより長い前記遠隔操作部と連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを取付ける第3インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第3インナーケーブル取付部Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部Cと、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A1、A2に連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Dとを設けたことを特徴とする船舶推進機のシフト装置。
【請求項2】 遠隔操作部と、推進ユニットの前後進切換装置との間に配置され、それら遠隔操作部と前後進切換装置のそれぞれとリモコンケーブルで連結されるレバー装置を備えて構成される船舶推進機のシフト装置において、レバー装置の揺動レバーに、揺動中心までの腕の長さが互いに異なる少なくとも2つの位置に前記前後進切換装置に連結するリモコンケーブルのインナーケーブルを選択的に取付ける少なくとも2つの第1インナーケーブル取付部A、第2インナーケーブル取付部Bを設け、揺動レバーの一方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1と第2のインナーケーブル取付部A、Bのそれぞれに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付けるアウターケーブル取付部C、Dのそれぞれを設け、揺動レバーの他方側の揺動レバーを支持する基台に、上記第1又は第2インナーケーブル取付部A、Bに連結されるリモコンケーブルのアウターケーブルを取付ける少なくとも1つのアウターケーブル取付部Eを設け、揺動レバーに設けられるインナーケーブル取付部A、Bが揺動中心と各アウターケーブル取付部C、D、Eとを結ぶ線の一方側に配置されることを特徴とする船舶推進機のシフト装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図4】
【図6】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【特許番号】特許第3019224号(P3019224)
【登録日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発行日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−163314
【出願日】平成3年6月10日(1991.6.10)
【公開番号】特開平4−362364
【公開日】平成4年12月15日(1992.12.15)
【審査請求日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【登録日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発行日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年6月10日(1991.6.10)
【公開番号】特開平4−362364
【公開日】平成4年12月15日(1992.12.15)
【審査請求日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
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