説明

色が薄く、粉化しにくい臭いの少ない酵素粒子

本発明は、水性の精製された酵素溶液から酵素粒子を製造する方法であって、(a)目的酵素を溶液中に残しつつイオン交換クロマトグラフィーを行う工程、(b)適当な濃度に調整する工程、および(c)造粒工程を含んで成ることを特徴とする方法に関する。必要に応じて、コーティング工程(d)を組み込んでもよい。酵素粒子は、このようにクロマトグラフィーによって穏やかに脱色および脱臭された酵素濃縮物から得られるものであるので、有利な効果を奏するものである。粒子をコーティングして薄い色の粒子を得る場合では、従来必要とされていた量よりも少ない顔料を用いてコーティング層を形成することができる。粒子は、コーティングによって弾力性が増し、粉化しにくいものとなっている。本発明の粒子は、洗剤およびクリーニング剤に使用するのに特に適当である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、工業用酵素の製造の分野に関する。また、本発明は、クロマトグラフィーによって穏やかに脱色および脱臭された酵素濃縮物から得られる酵素粒子(または酵素顆粒)に関している。
【0002】
酵素が用いられる工業分野の中でも特に重要な分野は、洗剤、クリーニング剤および化粧品の分野である。このような分野においては、酵素自体が製品中で活性剤として機能している。繊維工業(または繊維改質分野)および食品工業では、酵素は、原料を実際の製品へと変える補助剤として主に機能している。工業用酵素は、用途に応じて、液体形態で調製されたり、または固形粒子形態で調製されたりすることが一般的である。
【0003】
洗剤およびクリーニング剤に用いるために、種々の酵素が開発されている(特に、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルロースおよびリパーゼは重要な酵素である)。そのような適当な組成物は従来技術として開示されている。アミラーゼを適当に用いた例としては、以下の出願が参照される:WO/0244350A2(α−アミラーゼ活性を有するシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ);WO02/10356A2、WO03/014358A2、WO03/002711A2、WO03/054177A2、DE10309803.8A1(α−アミラーゼ);未公開のDE102004048590.9および未公開のDE102004048591.7(自動食洗機に用いられるα−アミラーゼ含有組成物)。WO96/34092A2、WO01/32817A1およびWO93/22414A1は、例えば、セルロースならびにセルロースを含んだ洗剤およびクリーニング剤に関している。WO97/08281A1、WO95/27029A1およびWO97/41212A1は、例えば、リパーゼならびにリパーゼを含んだ洗剤およびクリーニング剤に関している。また、WO91/02792A1、WO92/21760A1、WO95/23221A1、WO03/038082A2、WO02/088340A2、WO03/054185A1、WO03/056017A2、WO03/055974A2、WO03/054184A1、未公開のDE102004027091.0、未公開のDE10360805.2および未公開のDE102004019751.2。また、例えば、WO98/55579A1の出願には、2種類の異なるプロテアーゼを洗剤において隣接状態で用いることができることが記載されており、クリーニング剤に更に好ましく用いることが可能である旨が開示されている。
【0004】
酵素は、微生物を発酵させた後、対応する液体媒体から精製することによって一般に生成される。濃縮した酵素溶液を得るための精製または濃縮プロセスは、従来技術として既知である。精製には、濾過、沈殿または沈降などの技術がよく用いられており、バイオマスの分離後、分離、精密濾過または限外濾過などのより高性能な手法でもって酵素濃縮物を得ている。
【0005】
例えば、WO01/37628A2の出願では、バイオテクノロジーを用いて製造された有用物質を培養液および/または発酵溶液から得る方法が開示されている。この方法では、有用物質を含んだ水溶液から水に不溶性な固形分を分離した後、得られた溶液を限外濾過により濾過して有用物質を含んだ溶液を濃縮している。そして、分離された固形分を水洗工程に付している(この際、濃縮工程からの濾液を洗液として用いている)。
【0006】
多くの精製法は、バイオマスから分離された酵素濃縮物から変性タンパク質および着色化合物を除去するには不充分である。あるいは、そのような精製法では、変性タンパク質および着色化合物と共に、多くの安定化要因が除去されてしまうことになる。いずれにせよ、生成物の品質が不充分となってしまう。酵素濃縮物は、沈殿物が得られる程度の物質および/または粒子を有しているか、あるいは、透明な溶液では、酵素濃縮物の酵素安定性は不充分である。このような不都合な点は、そのような濃縮物が組み込まれる生成物(特に濃縮物から得られる酵素粒子)に影響を及ぼすことになる。
【0007】
濃縮酵素溶液を脱色および脱臭する方法は、従来技術として知られている。沈殿法として、例えば有機溶剤またはポリマーを用いた沈殿法があり、特に、硫酸ナトリウムを用いた目的タンパク質の塩析がある(H.Ruttloffによる「工業用酵素(Industrielle Enzyme)」(Behr’s出版(ハンブルグ))の6.3.3.6章の第376頁〜第379頁を参照のこと)。この沈殿法では、タンパク質が沈殿し、共存物質は上澄液に残存する。しかしながら、この沈殿法では、沈殿および再懸濁によってタンパク質の一部が変性してしまい、安定化物が分離除去されてしまうことになるので、全体としては安定性が損なわれることになる。「工業用酵素」の第378頁に記載された表を参照すると、収率は約50%となっている。
【0008】
更に別な方法として、酵素を吸着精製する方法がある。例えばイオン交換樹脂を用いた吸着精製法が挙げられる(H.Ruuloff(1994):「工業用酵素(Industrielle Enzyme)」、Behr’s出版(ハンブルグ)の6.3.3.7章および6.3.3.8の第379頁〜第396頁を参照のこと)。この吸着精製法では、目的タンパク質をクロマトグラフィー材料と結合させた後、別の媒体で目的タンパク質を溶出させる。しかしながら、変性してしまうこと及びフォルディング効果(folding effect)が生じることに起因して、多くの場合は不充分な収率となってしまう。第378頁の表を参照すると、種々のクロマトグラフィー(アフィニティークロマトグラフィーは除く)に対して得られる収率は最大60%であることが分かる。特定のアフィニティークロマトグラフィー材料は一般的にはより性能がよいものの、非常に感度が高く製造コストが高くなってしまう。アフィニティークロマトグラフ材料は、製薬業界では多く用いられているものの、工業用酵素の製造には全く用いられていない。
【0009】
例えばWO97/41212A1およびWO93/22414A1等の特許文献には、酵素を吸着精製する例が開示されている。WO97/41212A1には、洗剤およびクリーニング剤に用いるのに適当な多くのアルカリ性リパーゼが開示されている。多くの場合、そのような特許文献に記載されているアルカリ性リパーゼの精製法には、クロマトグラフィー工程が含まれている。酵素を実質的に精製した状態で得るために、ゲル濾過によってサイズに基づいた分級を行ったり、および/または、イオン交換クロマトグラフィーによって目的酵素をカラム材料と結合させた後、目的酵素を澄んだ分級物として溶出させたりしている。WO93/22414A1には、種々のセルロースの混合物を含んだクリーニング剤組成物が開示されている。セルロース混合物は、ゲル濾過によってサイズに基づいた分級を行うことによって、また、ある物理化学的特性に基づいてイオン交換クロマトグラフィーを用いて分級を行うことによって、より複雑なセルロース混合物を分離することによって得られている。
【0010】
キャリヤー材料を用いて、液体溶液から汚染物質を減少させることを目的とした逆の観点に基づいた手法は、現在、食料品原料に対してのみ行われている。特に砂糖(または糖)の脱色については、一連の異なるイオン交換クロマトグラフィー工程によって行うことがハンドブック「DIAION(登録商標)、イオン交換樹脂および合成吸着剤のマニュアル」(第2版、三菱化成株式会社(日本、東京)、1.5.1993、第93頁〜第100頁)に記載されている。そのような手法には、各々独立した選択性の非常に高い精製工程であって、汚染物質が適当な材料に保持される精製工程が含まれている。
【0011】
未公開の出願DE10304066では、濃縮物の貯蔵安定性をできるだけ高くするために、固形分から酵素濃縮物(特に不可逆的に変性したタンパク質)を除去すると共に、酵素濃縮物の脱色を行っている。即ち、着色化合物(予備発酵から得られる媒体の構成要素を殺菌することで得られる着色化合物であって、たいていは茶色に着色している)を除去している。脱色は、可能であるならば、目的タンパク質の安定性を増加させる因子を分離することなく行われている。つまり、DE10304066では、
(a)濃縮された酵素溶液を供する工程、
(b)固形物、特に、異種タンパク質および/または不活性酵素を分離する工程、ならびに
(c)強塩基性陰イオン交換クロマトグラフィーを行う工程
によって特徴づけられる方法が考案されている。
【0012】
特に、更に処理することによって、付加的な溶剤(例えば安定化剤)を含んだ混合物が得られることになる。しかしながら、固形粒子物となるように変化させることに関しては、出願DE10304066には詳細に記載されていない。
【0013】
造粒法については多くの従来技術が存在する。その中でも最も重要と考えられる方法は、G.Heinzeの「(Handbuch der Agglomerationstechnik)」(1999年、Verlag Wiley−VCH、Weinheim、Germany、ISBN3−527−29788−X、第65頁〜第170頁)に記載されている方法である。
【0014】
多くの特許文献には、酵素粒子のコーティングが開示されている。ある特許文献では、酵素自体を1つの層として適用することも提案されている。例えばWO93/07263A2では、そのように酵素自体を層として適用して多くの目的に供することが記載されている。特に、酵素の放出を遅らせることによって、外界の影響に対して保護すると共に、そのような酵素粒子から生じ得る酵素汚染物質の量を減少させている。しかしながら、コーティングされた酵素の色を覆い隠したり、あるいは、臭いを防いだりすることついての記載はほとんどない。WO93/07260A1の出願では、対象となる酵素濃縮物の生物物理学的性質に関してのみ記載されており、バインダーまたは粉体を加えて処理を容易することが提案されている。
【0015】
WO92/11347A2の出願では、酵素溶液から酵素粒子を製造する方法が開示されている。濃縮された培養液には、最終的に得られる粒子基準で、10重量%〜35重量%の穀類(grain meal)を含んで成る添加剤が加えられる。更に、着色剤または顔料を含んだコーティング剤は、粒子の本来の色が覆い隠されるように、そのような粒子に必要に応じて供することができる。しかし、対象となっている酵素濃縮物の脱色または脱臭については開示されていない。
【0016】
造粒剤としてリン酸化デンプンを含んだ同様の酵素粒子が、WO97/40128A1の出願に開示されている。この出願でも、対象となる酵素濃縮物の脱色または脱臭について開示されていない。その代わり、粒状の酵素濃縮物の本来の色を顔料で覆い隠すことが提案されている。本願の実施例では、粒子に付着性を有する酸化チタン(ポリエチレングリコールを主に含んで成る)を用いている。
【0017】
WO95/02031A1の出願には、カプセル化又は封入されていない粒子の本来の色に対してコーティングすることや、臭気成分の拡散を防いで可能な限り臭いを抑えることが記載されている。この出願では、微細な無機顔料、融点が45〜65℃のアルコールもしくはアルコール混合物、アルコール用の乳化剤、顔料用の分散剤、および、水を含んで成る溶液がカプセル系として開示されている。
【0018】
WO98/26037A2の出願では、貯蔵安定性の向上を図ることに加えて、酵素濃縮物の本来の色についての問題に対処しており、また、粒子の臭いも抑えている。そのため、水に溶解性を有さない微細分散状態の顔料(例えば二酸化チタン)、水に対して溶解性を有していない室温で固形状態の有機材料(例えばエトキシ化脂肪アルコール)および必要に応じて加えられる流動促進剤を含んだカプセル系が用いられている。この場合では、不必要な性質が遮蔽されているに過ぎず、そのような不必要な性質の原因となる化合物は除去されていない。
【0019】
本願明細書に記載された上述の文献から理解できることであるが、酵素濃縮物を調製するために、酵素濃縮物を安定化させたり、面倒な問題を引き起こす不純物を除去したりすることは既知である。また、得られる酵素成分の臭いを防ぎ、酵素成分の色を覆い隠すのに特に望ましいものとなるように(特にコーティングにとって望ましいものとなるように)、酵素濃縮物の更なる処理により固形粒子を得ている。しかしながら、その一方で、既に適当に調製された酵素濃縮物を利用することによって、酵素粒子を色および臭いの点で望ましくすることについては、今まで考えられていなかった。これは、常套の方法で脱色および脱臭された酵素濃縮物の安定性が乏しいことに起因して、酵素粒子の色および臭いの点で更に望ましくすることが今まで考えられていなかったからともいえる。
【0020】
これまでのところ、固形粒子が得られるように、特に穏やかに調製された酵素濃縮物を処理することを目的とした従来技術は存在していなかった。特に、コーティングによって、そのような酵素濃縮物を更に処理すること及びそのようにコーティングされた粒子の性質については、今まで開示ないし提案もされていない。
【0021】
従って、本発明の課題は、比較的安定性があって、臭いが少なく、好ましい色を有する固形の酵素粒子を提供することである。このような酵素粒子に対しては、コーティングを施すことができる。コーティングされた酵素粒子は、常套の手法でコーティングされた酵素粒子と同等の薄い色を有しているものの、機械的な応力(ストレス)が作用しても、粉化しくい特徴を有している。このような酵素粒子またはコーティングされた酵素粒子は、洗剤またはクリーニング剤にブレンドするのに特に適している。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明では、
精製された水性の酵素溶液から酵素粒子を製造する方法であって、
(a)目的酵素を溶液中に残しつつイオン交換クロマトグラフィーを行う工程、
(b)適当な濃度に調整する工程、および
(c)造粒工程
によって特徴付けられる方法を提供する。
【0023】
工程(a)のイオン交換クロマトグラフィーでは、酵素濃縮物が穏やかに脱色および脱臭される。そして、工程(b)および工程(c)では、そのように穏やかに脱色および脱臭された酵素濃縮物が更に処理されて酵素粒子が得られることになる。かかる濃縮物は、別の方法で脱色および脱臭された濃縮物よりも安定な濃縮物であり、例えば未公開の出願DE10304066で例示されるような濃縮物である。このように濃縮物が安定であるので、本発明においては粒子の安定性がより高くなる。また、酵素濃縮物は、常套的に調製された酵素濃縮物よりも、脱色に起因してより薄い色(または明るい色)を帯びていると共に、臭いが少なくなっている。このように魅力的な薄い色および減じられた臭いを有する点で、そのような濃縮物から得られる粒子にとっても好ましいことである。
【0024】
引き続いて粒子をコーティングする場合では、粒子自体のより薄い色に起因して、必要な顔料はより少量となる。そのように顔料が少量であると、コーティングされた粒子に付加的な有利な特性がもたらされることになり、特に、機械的な応力が作用しても粉化しにくい特性がもたらされる。それゆえ、かかる粒子は、更なる処理にとって適しており、例えば洗剤またはクリーニング剤などの特定の組成物にブレンドするのに特に適している。
【0025】
本発明の対象は、酵素粒子の製造方法であって、上述の工程、特にイオン交換クロマトグラフィーを実施する工程を特徴とする製造方法である。必要に応じて、工程(d)として酵素粒子をコーティングする工程を加えてもよい。本発明の更なる対象は、本発明の方法で得られる粒子であり、また、そのような粒子を含んで成る組成物(特に洗剤およびクリーニング剤)である。
【0026】
本発明の上述の態様および更なる態様について、以下でより詳細に説明する。
【0027】
工程(a)に先立って行われる、精製された水性酵素溶液に関連した処理は、従来技術として当業者に既知である。それは、発酵処理の最後に行われ製造に先だって行われる下流側プロセスとして一般的に知られている。そのような下流側プロセスによって、実質的にバイオマスの無い濃縮した水性酵素溶液が得られることになる。一般的には、工程(a)に先立って行われる処理には、細胞の軟塊化ならびに細胞残渣の除去(特にペレット化工程、デカント工程および遠心分離工程)などの部分的な工程が複数含まれている。また、そのような工程(a)に先立って行われる処理では、分離、精密濾過、限外濾過または無菌濾過、脱臭および濃縮(即ち、酵素が中程度の濃度となるような溶媒の除去)などが行われ得、または、オプションの工程などが行われ得る。
【0028】
温度範囲、pH範囲、イオン強度範囲のみならず、特に工程(a)が行われる前での調整された酵素濃度範囲などの最適な条件範囲は、各々の酵素に対してそれぞれ決められるものである。特に、濃縮を時間的に中断して、得られる酵素濃縮物にタンパク質の沈殿が(量的に)全く生じないように、濃縮を調整する必要がある。DE10304066の出願で調べられたBacillus lentusに由来のプロテアーゼに対する最適な濃度範囲は、700000〜800000HPU/gである。700000〜800000HPU/gよりも濃度が高いと、沈殿する固形分の量が、活性に比例して直ぐに増加し、有用な生成物が相当に損失してしまうことになる。例えば市販のロトベーパ(rotovapor)または市販の薄膜エバポレーターを濃縮に用いることができる。
【0029】
例えばベンチスケールの遠心分離機で7000gで10分間遠心分離することによって、懸濁分または固形分が1体積%以下となるように酵素溶液を調整することは更に有利となる。そのように酵素溶液を調整しなければ、次に行う工程における損失が非常に増加してしまう。濃縮工程で形成される沈殿物(固形分)の除去は、特に溶解度積の近傍おいて
異種タンパクおよび/または不活性酵素に対して特に適用される。このような工程は分離を意味している。分離は、既知の方法(例えばセパレーターを用いる方法)によって行われる。なお、基本的には分離に際して濾過を行うことができる。例えばWO01/37628A2号に記載されているような限外濾過を行うことも可能である。この方法では、中程度の濃度にまで濃縮された比較的澄んだ固形分の少ない酵素溶液が得られることになる。
【0030】
更に、酵素と相性が良く、正の電荷を有するようなpHにまで酵素溶液が調整される。
【0031】
陰イオン交換体(吸着剤)を用いる工程(a)は、本発明の中心を成すものであり、予め精製された酵素溶液が脱色される。工程(a)では、適当に選択された条件下にて、色素不純物(より具体的にはメイラード化合物)が樹脂に吸着される一方、正に帯電したタンパク質が、交換体の強い正電荷に起因して樹脂に結合せず、実質的に透明な溶液として溶出液と共に得られることになる。従って、工程(a)では、濃縮された酵素溶液から色素成分が選択的に分離される一方、目的酵素および酵素安定化因子の少なくとも一部が溶液に残存することになる(化学的な点からいうと、酵素安定化因子は主としてタンパク質である)。
【0032】
より正確には、生成物がクロマトグラフ物質に吸着されるのではなく、分離すべき不純物がクロマトグラフに吸着されるので、生成物のクロマトグラフィーではない。それゆえ、工程(a)は濾過の一種であると理解できる。しかしながら、真のクロマトグラフ物質を用いなければならず、また、それがクロマトグラフ物質として機能する事実(即ち、材料を結合させた後で、再生操作において、結合させた材料を溶出させること)を考慮すると、工程(a)は、「クロマトグラフィー」という用語を用いて最も適切に表される工程であるといえる。図1を参照すると、クロマトグラフィーから生じる流れ(溶出液)が、引き続いて行われる濃縮工程で用いられることが分かる。また、有用な目的生成物を残しつつ、再生工程に際して再生液を用いて不必要な不純物(特に色素成分および臭気成分)を除去することも分かる。
【0033】
従来技術と比較した本発明の方法の有利な点は、対象となる有用材料(即ち、酵素タンパク質)を溶液中に残すことであり、即ち、そのような有用材料を変性させたり復元させたりしなくてもよいので、有用物質の三次元構造が変化しないことである。従って、有用物質が、更なる処理が行われる相に残存し、系外へは排出されないので、上述したような高い収率を得ることができる。
【0034】
図1において太い矢印で示すように、樹脂(即ち、陰イオン交換体材料)に結合した色素成分は、その後に行われる分離工程で溶出させることになる。即ち、樹脂に結合した色素成分の溶出は、有用材料を含んだ相(有用な生成物から成る相)および最後の画分が除かれた後で行われる。このような溶出は、イオン強度が高い溶液(例えば濃縮したNaCl溶液)を用いて行われる。陰イオン交換体材料(またはアニオン交換体材料)は、対応する対イオン(例えばNaOH)を用いることによって再生することができる。用いられるクロマトグラフ材料によっては、シンプルな塩を用いてもよい。このような陰イオン交換体材料を安価な対イオンまたは塩を用いて処理できるので、精製効果が得られると共に殺菌効果が得られることになる。従って、このようなシステムは、定置洗浄(CIP:Cleaning In Place)に適している。
【0035】
工程(a)の後では、望ましくない臭気成分、沈殿物および色素成分が液体酵素から除かれている。液体酵素は、種々の温度で長時間保存した場合であっても、色の薄い澄んだ鮮やかな色を有していると共に、高い安定性を有している。精製された濃縮酵素溶液には、特に色素不純物が減少しているのであるが、実質的に無色の不純物が依然含まれ得る。このような無色の不純物は、それらが安定化効果に部分的に寄与するので非常に好ましく、濃縮酵素溶液から除去しなくてもよい。
【0036】
付加的な中間の工程を実施してもよく、または、上述の工程に加えて又は上述の工程と共に、かかる付加的な中間の工程を実施してもよい。例えば、1つ又はそれ以上の付加的なクロマトグラフィー工程において、濃縮酵素溶液から他の不純物を選択的に除去してよく、より具体的には、他のキャリヤー物質を用いることによって、濃縮酵素溶液から他の不純物を選択的に除去してもよい。このような除去は、各々個々のケースで適切となり得る工程で行ってもよく、工程(a)について説明したクロマトグラフィー処理の直前または直後にて有利に行うことができる。また、場合によっては、かかる除去を濾過または再溶解化などの中間工程として別個に行ってもよい。
【0037】
適当な濃度に調整する工程(b)は、当業者に既知である。特に、出発酵素溶液について説明した方法(工程(a)の前に行う処理)を用いることができる。
【0038】
また、酵素溶液を固形粒子へと変化させる工程(c)は、従来技術として専ら知られている。一般に、固形粒子は、特別な添加物と酵素とが混合した粒子形状として扱われる。工程(c)には、例えば、流動床での造粒、混合を伴った造粒(垂直ミキサー、向流式ペレット化ミキサー、フレキソミックス・アグロメレーター(Flexomix agglomerator)、プローシェアミキサーまたはRuberg製ミキサーで行う造粒)、ロール式造粒(例えば回転式造粒機またはディスク造粒機で行うロール式造粒)、または、成形造粒(例えばプレス、エクストルーダーまたは加圧ロールを用いた成形造粒)が含まれる。このような技術は、G.Heinzeの「(Handbuch der Agglomerationstechnik)」(1999年、Verlag Wiley−VCH、Weinheim、Germany、ISBN3−527−29788−X、第65頁〜第170頁)に記載されている。
【0039】
例えば欧州特許EP168526B1には、好ましい方法が開示されており、その方法では、酵素粒子が、水で膨潤し得るデンプン、ゼオライトおよび水溶性造粒補助剤を含んで成る。欧州特許EP168526B1で提案されている製造法は、発酵溶液の濃縮、不溶性成分の除去、添加剤の供給、および、得られた混合物の造粒から実質的に構成されている(必要に応じて塗膜形成ポリマーおよび色素成分を用いた粒子のカプセル化が行われる)。WO92/11347A2では、製造された酵素粒子が、粒状洗剤および粒状クリーニング剤に用いるのに好ましい性質を有しており、酵素、膨潤性デンプン、水に対して溶解性の有機ポリマー(造粒補助剤)、穀類および水を含んで成る。添加剤の組成は、酵素活性を大きく損ねることない酵素処理を可能とする。
【0040】
例えばWO97/40128A1には、非常に溶解性の高い酵素粒子に対して用いることができる好ましい押出法が開示されている。かかる押出法では、酵素およびキャリヤー(例えばポリエチレングリコールおよび/またはポリエトキシレート)の他に、リン酸化デンプン(phosphated starch)が酵素粒子に含まれ得る。
【0041】
以下では、本発明の理解のために本発明の好ましい態様について説明する。
【0042】
好ましい態様では、本発明の方法には、コーティング工程(d)が付加的に含まれている。
【0043】
基本的には、実質的に無色であって天然の臭いがする粒子をコーティングすることは、外部の不利な影響から成分を保護する点で意味がある。そのような外部の不利な影響としては、水分が粒子を膨潤させて破壊をもたらすこと、水分が、粒子に含まれ得る酵素を活性化させ得ること、および、酸素が不活性な影響をもたらすことが挙げられる。
【0044】
基本的には、酵素粒子に対して用いることができる従来技術のコーティング又は当業者に既知のコーティングが可能である。有利には、まず、工程(c)から得られる粒子を例えばマルメライザーで球形にした後、例えば流動床リアクターを用いて含水量を減らし、その後、保護層を設ける。常套のミキサー(例えばドイツのLoedige Companyから市販されているミキサー)または流動床を用いて行うことができる。
【0045】
いわゆる溶融コーティングで保護層を設けてよい。この場合、ポリマー(例えば高分子アルコール)とかかるポリマーに対する乳化剤とを溶着させる。有利には、粒子に対して色をもたらす顔料も併せて溶着させる。このような溶融コーティングは、例えばWO95/02031A1に開示されている(特に、洗剤およびクリーニング剤に対して使用される方法が開示されている)。顔料としては、白色の二酸化チタンを用いることが好ましい。
【0046】
WO98/26037A2には別の好ましい方法が開示されており、「溶媒を加えてコーティング後に溶媒を除去する」ことを行わない方法が開示されている。かかる方法では、水に不溶な微細な無機物質たる顔料を付着させ、場合によっては流動促進剤および融点が40〜70度の有機物質を付着させる。また、かかるコーティングは、その後に洗剤中およびクリーニング剤中に混ぜ入れられる粒子に対して特に適当である。
【0047】
本発明の方法では、工程(a)において、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することが好ましい。特に、好ましくはpH5〜11、より好ましくはpH6〜8の範囲にて最大限の交換容量を有する材料を用いて陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することが好ましい。pH値としては、これらのpH値の間に存在する全ての自然数によって表されるpH値だけでなく、自然数でない数値によって表されるpH値も含まれる。
【0048】
工程(a)の強塩基性陰イオン交換クロマトグラフィーがむしろ本発明の根底を成しているといえる。工程(a)では、多くの色素不純物が陰イオン交換体材料に吸着される一方、正に帯電したタンパク質は吸着されない。天然の水溶性のタンパク質(特に分泌タンパク質)が中程度のpH値で水に対して溶解性を有しているので、極端なpH範囲を選択するのではなく弱塩基〜中性のpH範囲を選択する方が特に有利となる。
【0049】
特にアルカリ性タンパク質、例えば好アルカリ性微生物から分泌される酵素(特にプロテアーゼ)は、アルカリ性範囲に等電点を有しているので、イオン交換体が最も効率的に機能する好ましいpH範囲においては正に帯電している。従って、そのようなアルカリ性タンパク質はクロマトグラフ材料に結合しない。本発明の方法にとって理想的なpHは、各々のタンパク質に対して実験を行って決められるものであり、工程(a)に応じて調整しなければならない。実施例1では、アルカリ性プロテアーゼを選択しておりpH値は7.5であった。個々のケースでは、最大交換容量が目的酵素のIEPと調和した陰イオン交換体が選択されることになる。
【0050】
好ましくは、工程(a)に用いる陰イオン交換体は、官能基として第4級アンモニウム基を含んでいる。より好ましくは、工程(a)で用いる陰イオン交換体が、官能基として少なくとも2つのアルキル基によって置換された第4級アンモニウム基を含んでおり、1つ又は2つ炭素原子を有する少なくとも2つのアルキル基によって置換された第4級アンモニウム基を含んでいる。尚、場合によっては、かかる第4級アンモニウム基が、炭素原子を1つ又は2つ有する水酸基によって付加的に置換されていてもよい。
【0051】
このような陰イオン交換体は、その化学的性質に起因して、工程(a)で用いるのに特に適していることが判った。陰イオン交換体は、特に色素不純物を結合させる一方、目的酵素は結合させないという非常に重要な機能を有している。陰イオン交換体は、個々のケースに応じて最適化される。
【0052】
更に好ましくは、工程(a)に用いる陰イオン交換体が、トリメチルアンモニウム基またはジメチルエタノールアンモニウム基を官能基として含んでいる。ジメチルエタノールアンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基よりも僅かに弱塩基性であるので、このような基を用いることによって個々のタンパク質に対して最適化を図ることができる。
【0053】
更に好ましくは、pH5〜9、好ましくはpH6〜8.5、より好ましくはpH7〜8の範囲において陰イオン交換クロマトグラフィーを実施する。pH値としては、これらのpH値の間に存在する全ての自然数によって表されるpH値だけでなく、自然数でない数値によって表されるpH値も含まれる。
【0054】
工程(a)に用いるイオン交換体は、0.7〜1.2meq/ml、好ましくは0.8〜1.1meq/ml、より好ましくは0.9〜1.0meq/mlの交換容量を有していることが好ましい。交換容量の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0055】
単位体積当たりのモル等量として表される交換容量は、陰イオン交換体材料において官能基がどのくらい占有しているかを示している。特に本願の実施例1によって、上述の交換容量の数値が特に有利な数値であることが実験的に判明している。交換容量は、定量的に求めるのが困難な不純物が酵素溶液中でどれほどの濃度で存在するかによって左右される。適切な範囲は、各ケースごとに実験を行って決めなければならず、先行する工程で分子量がより大きい化合物と共に不純物がどれくらい分離されたのかに特に左右される。
【0056】
工程(a)で用いるイオン交換体は、0.2〜0.7mmの有効孔サイズを有しており、好ましくは0.3〜0.6の有効孔サイズ、より好ましくは0.4〜0.5mmの有効孔サイズを有していることが好ましい。有効孔サイズの数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数だけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0057】
この有効孔サイズの範囲は、実験を行って決められるものであり、精製された酵素のサイズおよび酵素溶液の純度に依存している。分子量がより大きい残存化合物が多くなればなるほど、カラムが閉塞し易くなる。そのようにカラムが閉塞し易い場合には、孔サイズの大きい陰イオン交換体材料を用いるのを避けなければならない。ちなみに、孔がより小さくなるに従って分離能力が増加することになる。適切な範囲はケースごとに実験によって決められる。本願の実施例で用いた約27kDの分子量を有するプロテアーゼに対しては、有効孔サイズ0.45mmのクロマトグラフ物質が好ましいことが判った。かなり大きいタンパク質又はかなり小さいタンパク質に対しては、それらに応じてより大きい有効孔サイズまたはより小さい有効孔サイズを有したクロマトグラフ物質を選択しなければならない。
【0058】
工程(a)で用いるイオン交換体の材料は、150〜3000μmの粒子サイズ分布、好ましくは175〜1500μmの粒子サイズ分布、より好ましくは200〜800μmの粒子サイズ分布を有していることが好ましい。
【0059】
このような粒子サイズ分布の範囲は、本願の実施例1に従って実験を行って決められるものであり、ケースごとに実験的に確認して適宜調整する必要がある。
【0060】
工程(a)で用いるイオン交換体は、多孔性プラスチックポリマーに基づいて形成されており、より好ましくはスチレン−DVBコポリマーに基づいて形成されている。
【0061】
基本的には、本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換体に適したキャリヤーとしては、同様の目的で用いられる従来技術の材料が挙げられ、例えば、ゲル形態のキャリヤーが用いられる。工程(a)では、多孔性ポリマーに基づいて形成された強塩基性陰イオン交換体が技術的な性質の点で好ましい。特に、スチレン/DVBコポリマーに基づいて形成された強塩基性陰イオン交換体が有利であることが判明した。このような陰イオン交換体材料は、不純物に対して不活性であり、例えば、加水分解酵素が陰イオン交換体材料にアクセスすることができないので、後に行われる再生工程(例えばNaOHを用いて行われ得る再生工程)には影響を与えない。
【0062】
上述したような性質を有するクロマトグラフ材料は、従来技術として詳細に開示されている。DIAION(登録商標)シリーズの材料は、例えば、「DIAION(登録商標)、イオン交換樹脂および合成吸着剤のマニュアル、第1巻」(三菱化成株式会社(日本、東京)、1995年6月、第104頁〜第108頁)に記載されており、また、「DIAION(登録商標)、製品パンプレット」(2001年6月1日、第4頁〜第6頁)に記載されている。尚、かかるマニュアルまたはパンフレットは、メーカー(製造業者)またはSummit Chemicals Europe GmbH(ドイツ、デュッセルドルフ)から入手することができる。これらのマニュアルまたはパンフレットに記載されている強塩基性陰イオン交換体を挙げると、例えば、DIAION(登録商標)SA、DIAION(登録商標)PAおよびDIAION(登録商標)HPAのシリーズがある。そのうちの1つであるDIAION(登録商標)PA308Aは、本願の実施例1にて好適に用いられたものである。
【0063】
化学的性質が上記の材料と類似するような使用可能な材料を、上述の好ましい性質の記載に基づいて当業者が製造してもよい。あるいは、そのような化学的性質が上記の材料と類似する使用可能な材料を他のメーカーから入手してもよい。そして、このような材料を用いた態様もまた好ましい。例えば、ダウ・ケミカルズ(Dow Chemicals)から市販されているDOW MSA Marathon(登録商標)およびRohm & Hassから市販されているAmberlite(登録商標)900CLを用いると、同程度の結果を得ることができる。
【0064】
本発明で行われるクロマトグラフィーが満足のいくものとするには、クロマトグラフ材料に加えて、プロセス条件も考慮しなければならない。プロセス条件としては、固定相体積比(加えられた溶液の体積とカラム体積との比)および滞留時間(単位時間および材料1g当たりの酵素量によって表される)が挙げられる。
【0065】
例えば、工程(a)のクロマトグラフィーは、0.1〜100の固定相体積比、好ましくは0.5〜40の固定相体積比、より好ましくは1〜4の固定相体積比でもって行うことが好ましい。固定相体積比の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数だけでなく自然数でない数値も含まれている。
【0066】
上述の固定相体積(実施例1の実験によって決められる)では、濃縮ができる限り行われ、澄んだ濾液が得られる点で最適である。なお、固定相体積は、陰イオン交換体材料の性質および精製される酵素の性質に応じて、個々のケースごとに決めなければならない。
【0067】
更に、工程(a)のクロマトグラフィーについての平均滞留時間は、0.01〜2g−酵素/g−イオン交換材料/min、好ましくは0.025〜0.1g−酵素/g−イオン交換材料/min、より好ましくは0.04〜0.06g−酵素/g−イオン交換材料/min、更に好ましくは0.05g−酵素/g−イオン交換材料/minとなる値である。つまり、陰イオン交換材料1g当たり、0.01〜2g、好ましくは0.025〜0.1g、より好ましくは0.04〜0.06g、更に好ましくは0.05gの酵素が1分間滞留するような値である。
【0068】
この熱力学的な数値によって、分離プロセスが規定されることになる。上述の滞留時間の数値は、実施例1によって最適であることが示されている。尚、かかる数値は、材料の性質および精製される酵素の性質に応じて、個々のケースごとに決めなければならない。
【0069】
特に好ましい本発明の方法は、実質的に自動に制御される方法である。
【0070】
工程(a)のクロマトグラフィーは、溶出液の導電率(または導電度)によって制御されることが好ましい。特に、最初の画分(有用な生成物が全く存在していないか又は僅かにしか存在していない画分)と有用な生成物との分離および/または有用な生成物と最後の画分(有用な物質が僅かにしか存在していない画分)との分離を行うために、溶出液の導電率に基づいてクロマトグラフィーが制御される。
【0071】
組み込むことが特に容易な制御法としては、あるポイントにおいて処理された材料の導電率(μS/cm)を測定し、その結果を用いてプロセスを制御する制御法である。従って、最初の画分〜有用な生成物〜最後の画分の遷移状態を導電率の変化から把握することができる。そして、各々の液体ストリームは適当な制御ユニットで適切に移送できることになる。
【0072】
更に好ましくは、イオン交換クロマトグラフィーから得られる最初の画分および/または最後の画分の少なくとも一部を酵素溶液へと戻すことによって、工程(a)のクロマトグラフィーを行うことが好ましい。
【0073】
WO01/37628A2では、付加的な洗浄工程に濾液を用いることが提案されている。洗浄工程に濾液を用いると、画分を更に濃縮させることができる(酵素分子が濃縮される)。このような手法は、基本的には、カラムから洗い出される不純物によって制限され得る。個々のケースごとに、得られる濃度と生成物の質(即ち、純度)との間でバランスを取る必要がある。
【0074】
工程(b)での適当な濃度の調整は、酵素溶液を濃縮することによって行うことが好ましい。
【0075】
工程(a)の後に得られる酵素溶液は、場合によっては濃縮されすぎている可能性があるので、工程(b)では、適当な濃度に調整されるように付加的な溶剤を加えなければならない。しかしながら、一般的には、溶液はむしろ希釈されすぎている。なぜなら、クロマトグラフィーの分離効率および得られる有用な生成物の全収率というものは、最適な希釈に依存しているからである。そのように溶液は希釈されすぎているので、酵素溶液を濃縮することが好ましい。この点、本発明で、体積が減るように沈殿および再溶解を行うことはあまり適当ではない。なぜなら、上述したように、所望の同伴する物質も損失することになるからである。実際は、クロマトグラフィー実施後に存在する溶剤のみを減少させる手法が好ましい。そのような手法は従来技術として既知であり、工程(a)の前に行われる手法として既に説明を行っている。例えば、市販のロトベーパまたは市販の薄膜エバポレーターを工程(b)に用いてもよい。ロトベーパまたは薄膜エバポレーターは、装置パラメーターおよび反応時間によって制御することが可能である。
【0076】
工程(b)で行う濃縮は、体積基準で1.01〜10の濃縮比、好ましくは1.1〜8の濃縮比、より好ましくは1.2〜4の濃縮比でもって行うことが好ましい。濃縮比の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0077】
濃縮比は、濃縮された溶液の体積に対するクロマトグラフィーに用いられる溶液の出発体積の比から算出することができる。この工程(b)は、水が除去される造粒工程のための調製ともいえる。それゆえ、所望の最終体積およびパラメーターは、クロマトグラフィー後の酵素溶液の濃度に基づくだけでなく、造粒工程(c)の条件にも基づいている。最終的には、そのような所望の最終体積およびパラメーターは、造粒に用いられる装置に関連したパラメーターを用いて経験的に最適化する必要がある。このような最適化は、当業者がよく行うことである。
【0078】
更に、工程(b)の濃縮開始時の固形分含量(または乾燥物質含量)は、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%であることが好ましい。固形分含量の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0079】
この実験的に最適化可能な固形分含量の値は、まず、クロマトグラフィーがどのように実施されたのかに依存する。かかる値は最適な分離にとっては重要であり、引き続く工程が、そのような値になるように調整されることになる。固形分含量が下限値近くまたは下限値よりも相当に小さい場合では、連続的な2つの工程でもって濃縮を実施することができ、場合によっては2つの異なるプロセスまたは機能の異なる装置を用いて濃縮を実施ししてもよい。
【0080】
更に好ましくは、加熱によって濃縮を実施する。
【0081】
更に好ましくは、工程(b)で行う酵素溶液の加熱による濃縮は、5〜70℃、好ましくは10〜60℃の温度、より好ましくは20〜40℃の温度、最も好ましくは35℃の温度で行う。これらの温度は、酵素溶液の蒸気圧に基づいて得られるものである。また、温度の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0082】
各々の装置ユニットに対して設定される温度は、調製された酵素の性質と特に適合するものである。温度が高くなると、プロセスが促進されるものの、一般に酵素に悪影響を及ぼすことになる。最適な温度は実験によって決めなければならない。本願明細書の実施例1では、約50mバールの条件下の約35℃の温度が、スブチリシン(サブチリシン)の調製にとって有利であることが判った。
【0083】
適当な濃度に調整する工程(b)が終了する時点の固形分含量(または乾燥物質含量)は、8〜50重量%、好ましくは9〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%であることが好ましい。固形分含量の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0084】
かかる固形分含量は、液状の酵素およびその希釈物の生物物理学的性質(例えば、粘度または後に加えられる化合物との混和性)を決定付けるものであるので、引き続いて行われる造粒にとって重要である。尚、造粒システムを個々に選択することによって固形分含量が最適化されるので、そのような造粒システムを個々のケースごとに実験で決めておく必要がある。例えば、薄膜式蒸発または限外濾過を選択してもよい。限外濾過では、固有の上限値を越えないようにする。
【0085】
工程(b)で行う濃度調整は、粘度が1〜1000mPa・s、好ましくは1〜500mPa・s、より好ましくは1〜200mPa・sとなるように行うことが好ましい。粘度の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0086】
上述したように、粘度の数値は、その後に行われる造粒条件に特に依存する。
【0087】
本発明の方法には、プロテアーゼが含まれることが好ましい。工程(b)では、プロテアーゼ活性が、濃縮物1g当たり、200000〜2000000HPU、好ましくは500000〜1500000HPU、より好ましくは800000〜1200000HPUとなるように調整することが好ましい。かかるプロテアーゼ活性の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0088】
以上、本発明の酵素の処理について説明してきた。酵素は工業的に特に有用であるので、酵素によって好ましい態様がもたらされることになる。しかしながら、適当な溶剤系およびクロマトグラフ物質を見つけることができ、適当な検知反応を得ることができるのであれば、本発明のプロセスは、いずれの水溶性タンパク質に対しても適用できる。つまり、例えば、ペプチド(例えばペプチド・ホルモン、薬理学的に重要なオリゴペプチド)および抗体を本発明のプロセスに適用できることを意味している。ちなみに、抗体は、例えば検知するのに好ましい。本願明細書において、タンパク質とは、全て、酵素として理解されるものである。
【0089】
目的酵素は、一般的な意味で技術的に有用な酵素であり、好ましくは加水分解酵素またはオキシドレダクターゼ(もしくは酸化還元酵素)、より好ましくはプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、クチナーゼまたはペルオキシダーゼである。そのような酵素は、固形粒子形態で有利に用いる用途があれば、そのような用途の分野で好ましいものとなる。例えば、DE10304066の出願で液体用途に用いられるプロテアーゼおよびアミラーゼもまた好ましい。その中でも、プロテアーゼは、洗剤およびクリーニング剤の酵素として特に重要であるので好ましい。尚、プロテアーゼ粒子の好ましい処理については、本願明細書の実施例1に記載している。
【0090】
タンパク質分解活性(HPUで示される)は、基質としてカゼインを用いた測定によって得ることができる(Tenside7(1970年)に記載されている方法に従って行われる)。基質溶液は、水道水(0.029%(wt/vol)のCaCl・2HO、0.014%(wt/vol)のMgCl、・6HOおよび0.021%(wt/vol)のNaHCOを含んでおり、15°dHの硬度(ドイツ硬度)を有している水道水)中に、その1ml当たり12mgのカゼイン(メーカー:Hammarsten、販売業者:Merck、Darmstadt、No.2242)および30mMのTrisが含まれている。基質溶液は70℃まで加熱し、50℃にて0.1NのNaOHを用いることによってpH8.5となるように調整した。プロテアーゼ溶液は、水道水に2%(wt/vol)の無水トリポリリン酸ナトリウムを加えて調製した(pHは塩酸を用いて8.5となるように調整した)。600μlのカゼイン溶液に、酵素溶液を200μl加えた。得られた混合物は、50℃で15分間インキュベートした。0.44Mトリクロロ酢酸(TCA)および0.22M酢酸ナトリウム含んだ3%(vol/vol)酢酸を600μl加えることによって反応を停止させた。氷で15分間冷却した後、遠心分離によってTCA−不溶性タンパク質を分離した。900mlのアリコートと300μlのNaOHと混合し、TCA−可溶性ペプチドを含んだかかる混合物の290nmにおける光学濃度を測定した。600μlのTCA溶液を600μlのカゼイン溶液に加えた後、200μlの酵素溶液を加えることによって調整した。このような実験条件下では、290nmで0.500ODの吸光係数を有するプロテアーゼ溶液は、10Pu/mlの活性を有している。
【0091】
濃度調整は、工程(c)または工程(d)からの粒子が有し得る活性がどのようなものかによって左右される。洗剤およびクリーニング剤で使用するには、約1000000HPU/gの最終的な活性が有利であることが判った。このような活性を得るための濃縮については、実施例1に記載されている。
【0092】
特に濃度調整の間では、付加的な成分を酵素調製物に加えてもよい。固形の酵素調製物は貯蔵によって変性する傾向があり、その活性が損なわれるので、特に濃縮調整に際して安定化剤を加えることが好ましい。そのような安定化剤自体は従来技術において知られている。例えば、安定化剤としては、水活性を生物物理学的な調整に起因して、温度変化に対して安定効果を奏する化合物(例えば、ポリオールであり、その中でも好ましくはグリセリン、より好ましくは1,2−プロパンジオール)、または、プロテアーゼを可逆的に失活させる化合物(ホウ素含有プロテアーゼ阻害剤またはホウ酸含有プロテアーゼ阻害剤)を挙げることができ、あるいは、酸化を防止する化合物(例えば、還元剤、酸化防止剤および遷移金属化合物)を挙げることができる。尚、そのような化合物は、液体形態で加えられることが好ましい。なぜなら、溶液状態で得られるからであり、および/または、最適な混合が得られるからである。尚、最後に水分を除去してもよい(以下の記載を参照のこと)。
【0093】
もし用途の観点から多くの成分を要する場合では、造粒の実施に先だって、そのような成分を加えてもよい。例えば、洗剤およびクリーニング剤の粒子に用いる場合では、界面活性剤、ビルダー(助剤)、香料または他の成分を加えてもよい。例えば、WO98/50511A1の出願のように、前駆体および誘導体が色移り防止剤として機能する粒状シクロデキストリンを予めブレンドしてもよい。
【0094】
工程(c)の造粒は、押出形成することによって行うことが好ましい。そのような方法については、用いる装置と併せて、既に説明は行っている。二軸押出機(二軸エクストルーダー)を用いることが特に好ましい。二軸押出機は、本願の実施例で使用されている装置である。押出成形によって得られる押出物(一般的には依然水分を含んでいる)は、乾燥機へと移送することができる。乾燥機は、例えば、流動床乾燥機(以下参照のこと)。押出形成することなく、流動床乾燥機で造粒を行う場合では、移送工程は省略される。押出形成を用いると、自己安定性を有し、好ましい溶解挙動(特に洗剤およびクリーニング剤に使用するのに有利な挙動)を有する粒子を形成することができる。
【0095】
ダイ・プレートの穴サイズまたはナイフ速度を調整することによって、押出成形から得られる粒子の平均粒子サイズが100〜10000μm、好ましくは200〜50000μm、より好ましくは400〜1000μmとなるように、工程(c)の造粒を調整することが好ましい。平均粒子サイズの数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0096】
粒子のサイズは、それが用いられる用途の分野に応じて決められ得る。例えば、得られる粒子を洗剤およびクリーニング剤に用いる場合では、機械的安定性及び洗浄液中での迅速な溶解性(できる限り迅速な溶解性)が特に考慮されなければならない。最適なサイズは実験を行って決める必要がある。また、最適なサイズは、当業者に知られている造粒制御系から得ることができる。
【0097】
工程(b)から得られる酵素濃縮物が1種類または複数の種類の成分と混ぜられることによって、工程(c)の造粒が行われることが好ましい。酵素濃縮物に混ぜられる成分は、穀類、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、滑剤(可塑剤)、糖類および酵素安定化剤から成る群から選択される成分である。
【0098】
造粒に関連する好ましい混合物については、文献を参照して既に説明を行っている。成分組成によって、得られる粒子またはコーティングされた粒子の物理的性質が決められる。そのような物理的性質は、例えば、機械的安定性および溶解速度である。溶解速度は、水の粒子細部(粒子の毛細現象を引き起こす部分)への浸透がどれくらい迅速に行われるかに影響を及ぼす(かかる水の浸透によって粒子の破壊が引き起こされることになる)。そのような物理的性質は、膨潤性化合物および/または可溶性化合物を使用することによって制御することができる。そのような化合物自体は従来技術として既に知られている。特に、ポリエチレングリコールまたはポリビニルアルコール等のポリオールが、滑剤(可塑剤)として機能する。滑剤には溶媒を選択的に加えてもよい。加えられる溶媒は乾燥に際して除去されることが好ましい。糖類としては、主に、単糖類、オリゴ糖またはそれらの混合物が挙げられる。本願の実施例では、サッカロースを用いた。
【0099】
本発明の方法では、工程(c)で得られる粒子を乾燥することが好ましい。
【0100】
上述したように、乾燥は、粒子を別の装置へと移送して行われ得る。できるのであれば、造粒が行われる装置と同じ装置で乾燥を行ってもよい。乾燥によって、酵素調製物(特に加水分解酵素から得られる酵素調製物)の含水分が減り、一般的にはより安定性が増すことになる。尚、含水分は、最終用途では、粒子の所望の溶解を促進させるように機能し得る。
【0101】
必要に応じて実施される工程(d)についての有利な態様については、既に説明を行っている。
【0102】
有利で好ましい本発明の方法は、
0〜30重量%の顔料、
0〜30重量%可塑剤、
5〜97.5重量%の塗膜形成成分(流動化剤)、および
場合によって加えられる付加的な成分
を用いて工程(d)のコーティングを実施する。
【0103】
本発明では、実施例1で実証されているように、工程(c)で得られる粒子が、従来の粒子よりも明るく臭いが抑えられたものとなっている。ある特別な場合では、コーティングは省略してよく、そうでない場合であっても、より薄く塗布するコーティング(特に少ない顔料で行うコーティング)だけで一般的には充分である。このことは、白色顔料を用いたコーティングの場合に特に当てはまることである。一般的なコーティング成分に起因して、粒子の性質(例えば弾力性)、特に表面特性(例えば表面の粉化速度)が影響を受けることになる。有利には、コーティングによって、顔料がより少なくあまり微細とならない粒子がもたらされ、粉化衝撃がより小さくなる。より薄くコーティングする場合は、原料がより少なくなり、コスト的な効果が期待される。
【0104】
本願の実施例では、ポリエチレングリコール2000および6〜20重量%の二酸化チタンのコーティング剤を用いており、そのようなコーティング剤が特に有利であることが示されている。コーティングに対しては既知の装置を用いてよい。本願の実施例では、噴霧式流動床塗布機(Topspray fluidized bed coaster)を用いている。
【0105】
尚、上述したような安定化剤をオプションの成分として添加してもよい。粒子の最終用途にとって有益な物質を付加的に加えることが好ましい。上述したように、粒子を洗剤およびクリーニング剤に用いる場合には、例えば界面活性剤またはビルダー(助剤)を加えてもよい。例えば、WO95/17493A1では、添加剤の更なる例が開示されており、銀腐食防止剤、漂白剤および/または漂白活性剤(特に自動食洗機用の組成に加えられるような添加剤)を加えている。
【0106】
コーティング剤は、2.5〜27.5重量%の顔料、好ましくは5〜25重量%の顔料を含んでいる成るものが好ましい。顔料の重量%の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0107】
このような顔料(特に白色顔料)の重量%に関する数値範囲は、本願の実施例において実証されている。
【0108】
更に、コーティング剤が、0.5〜15重量%の可塑剤、好ましくは1〜5重量%の可塑剤を含んで成るものが好ましい。可塑剤の重量%の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0109】
このような可塑剤の重量%の数値は、特に、設定された条件下での薄膜形成時の流動性に依存するものである。しかしながら、本発明では、脆性を有する固形顔料がより少ないことに起因して流動性が自然と増すことになるので、可塑剤の重量%の数値は、従来技術で通常見られる場合よりも小さくなる。
【0110】
更に、コーティング剤が、7.5〜95重量%の塗膜形成成分、好ましくは10〜90重量%の塗膜形成成分、より好ましくは20〜80重量%の塗膜形成成分を含んで成るものが好ましい。塗膜形成成分の重量%の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0111】
更に、被膜厚さ(またはコーティング厚さ)が、1〜150μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmであることが好ましい。被膜厚さの数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0112】
一般には、本発明の被膜厚さは、必要な顔料が相当な量減ることに起因して、現在見られる典型的な被膜厚さよりも小さくすることができる。尚、実施例1における被膜は、約80重量%のPEGおよび約20重量%の二酸化チタンから成っているが、その平均厚さは約20μmとなっている。
【0113】
技術的に適用できる酵素、好ましくはプロテアーゼ、より好ましくはアルカリ性プロテアーゼが工程(a)に組み込まれることが好ましい。
【0114】
工程(d)から得られる粒子は、特に工程(c)の造粒が制御されていることに起因して、110〜5000μmの平均粒子サイズ、好ましくは200〜2000μmの平均粒子サイズ、より好ましくは400〜1200μmの平均粒子サイズを有している。平均粒子サイズの数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0115】
このような平均粒子サイズの数値は、工程(c)で得られる数値よりも幾分大きくなっているが、粒子仕様に応じて調整されることになる。尚、コーティングで形成される被膜によって、粒子には弾力性がもたらされ、粒子成分が保護されることを理解されよう。
【0116】
プロテアーゼが工程(a)で組み込まれる態様において、工程(c)または工程(d)から得られる粒子は、工程(b)で濃度が調整されていることに起因して、50000〜500000HPU/g、好ましくは100000〜200000HPU/g、より好ましくは140000〜380000HPU/gの平均活性を有することが好ましい。平均活性の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0117】
尚、このような平均活性の数値は、例えば、種々の洗剤組成中のプロテアーゼ濃度を制御するのに好ましいものである。
【0118】
これまで説明してきた本発明の方法によって得られる酵素粒子であって、好ましい性質を有する酵素粒子もまた本発明を成すものである。
【0119】
また、そのような酵素粒子を含んだ組成物も本発明を成している。
【0120】
本願明細書においては、組成物は、活性成分として酵素粒子が含まれた組成物または成分を意味している。このような組成物は、それが用いられる分野によって決められることになる。粒子またはそこに含まれる酵素の安定性が不十分な組成物に対しては、コーティングされた粒子とすることによって、付加的な成分が設けられるので特に有利である。
【0121】
粒子またはそこに含まれる酵素の安定性が不十分な組成物とは、適当にコーティングすると安定性を有するようなもの(例えば液体組成物、より好ましくは無水物)を意味している。尚、安定性は、イオン強度、ならびに、水スキャベンジャーおよび/またはビルダーの存在によって制御できる。
【0122】
好ましい態様では、組成物は、全体として固形状となっており、好ましくは粉体形態、より好ましくはタブレット錠に圧密された形態を有している。
【0123】
溶解の観点から、タブレットの安定性は、液体組成物の安定性と比べて、あまり重要ではない。尚、かかるタブレットの製造は、従来技術として以前から知られている。
【0124】
好ましい態様では、組成物は、洗剤またはクリーニング剤である。
【0125】
従って、本発明の態様には、種々のあらゆる種類の洗浄組成物が含まれている。例えば、洗濯機または人の手による洗濯時もしくはクリーニング時において、そのまま使用できる組成物および濃縮物(販売されているサイズのまま用いることができ、使用に際して薄めることのない組成物および濃縮物)などが含まれている。本願明細書で用いる「洗剤」には、例えば、繊維、カーペットまたは天然繊維に対して用いられる洗剤が含まれる。また、本願明細書で用いる「クリーニング剤」には、例えば、食洗機または人の手による食洗に用いられる洗浄剤が含まれており、あるいは、硬い表面(例えば、金属、ガラス、陶器品、セラミック、タイル、石、塗面、プラスチック、木材、革製品などの表面)に対して用いられる洗浄剤が含まれる。本発明の好ましい態様では、このようないずれの種類の洗剤またはクリーニング剤であっても、本発明の方法で得られる酵素粒子を用いることができる。
【0126】
本発明の態様には、従来技術で用いられる形態および/または用途に基づいて決められる形態など種々の形態の洗剤またはクリーニング剤が含まれる。このような形態としては、例えば、固体形態または粉体形態が含まれる他、場合によっては、複数の相から成る形態、圧密された形態、または、圧密されていない形態などが含まれる。更には、押出形成された形態、タブレット形態または袋状形態が含まれる。そのような形態を有する洗剤またはクリーニング剤は、小分けして詰められてもよく、または、そのように小分けされていなくてもよい。本発明の方法で得られる酵素粒子が安定に保持される限り、洗剤またはクリーニング剤は、液体形態、ペースト形態またはゲル形態のいずれであってもかまわない。
【0127】
また、工業用途に用いられる洗剤およびクリーニング剤のみならず、市販されることになる洗剤およびクリーニング剤であって、特に消費者が求めるような成分を含んだ洗剤およびクリーニング剤であってもかまわない。
【0128】
好ましい態様では、本発明の洗剤またはクリーニング剤は、その1g当たり、2μg〜20mgの活性酵素、好ましくは5μg〜17.5mgの活性酵素、より好ましくは20μg〜15mgの活性酵素、更に好ましくは50μg〜10mgの活性酵素を有している。活性酵素量の数値としては、これらの数値の間に存在する全ての自然数が含まれるだけでなく自然数でない数値も含まれる。
【0129】
本発明の洗剤またはクリーニング剤に含まれる成分は、本発明の方法で得られる酵素粒子(場合によっては他の酵素)だけではなく、必要に応じて加えられる従来技術で既知の成分である。このような成分としては、例えば、酵素安定化剤、界面活性剤(例えば非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤および/または両性界面活性剤)、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、ビルダー、溶剤、増粘剤などを挙げることができる。また、場合によっては更に一般的な成分を含ませてもよく、例えば、重要と考えられるものだけを挙げるとすると、金属イオン封鎖剤、電解質、蛍光増白剤、再付着防止剤、色移り防止剤、発泡防止剤、色素、香料、抗菌剤および/または紫外線吸収剤等がある(尚、そのような成分も従来技術として既知である)。
【0130】
本発明の理解に際しては、これまで引用した文献を参照することができる。そのような文献では、洗剤およびクリーニング剤についてもっぱら記載されている。例えば、アミラーゼに関連する使用については、WO02/44350A2(α−アミラーゼ活性を有するシクロデキストリン−グルカノトランスフェラーゼについて)、WO02/10356、WO03/014358A2、WO03/002711A2、WO03054177A2、DE10309803.8A1(α−アミラーゼ)、未公開のDE102004048590.9(自動食洗機用のα−アミラーゼ含有洗剤)および未公開のDE102004048591.7(自動食洗機用のα−アミラーゼ含有洗剤)に記載されている。また、例えば、セルラーゼを含んだ洗剤およびクリーニング剤についてはWO96/34092A2およびWO01/32817A1に記載され、リパーゼを含んだ洗剤およびクリーニング剤についてはWO97/08281A2およびWO95/27029A1に記載され、また、プロテアーゼを含んだ洗剤およびクリーニング剤についてはWO91/02792A1、WO92/21760A1、WO95/23221A1、WO03/038082A2、WO02/088340A2、WO03/054185A1、WO03/056017A2、WO03/055974A2、WO03/054184A1、未公開のDE102004027091.0、未公開のDE10360805.2および未公開のDE102004019751.2に記載されている。
【0131】
以下では、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0132】
実施例1
プロテアーゼ粒子の製造
【0133】
工程0:精製された水性酵素溶液の調製
まず、グラム陽性菌(プロテアーゼが形成され、プロテアーゼ分泌されるグラム陽性菌)の上澄み発酵液を得るために、濃縮されたプロテアーゼ溶液を調製した。かかる調製に際しては、DE10304066の実施例1に記載された一連の工程を実施した。つまり、「バイオマス分離」「最適な条件範囲の決定」、「最適な条件範囲となるまで酵素溶液を濃縮する工程(a)」および「生じる沈殿物(固形分)の分離工程(b)」を行った。これによって、活性が750000HPU/gで固形分含量が25重量%のプロテアーゼ溶液を10l得た。国際的に認められているCIE−LAB表色系(DIN5033−3およびDIN6174に規定されている)に基づくと、プロテアーゼ溶液の外観は、L値(明るさ)が60であり、a値(赤−緑)が3.0であり、b値(黄−青)が60であった。
【0134】
工程(a):イオン交換クロマトグラフィー
引き続いて、pH7.5において強塩基性陰イオン交換クロマトグラフィーを実施した。かかるクロマトグラフィーは、三菱(日本、東京)または三菱化学ヨーロッパ社(ドイツ、デュッセルドルフ)から市販されている強塩基性陰イオン交換樹脂DIAION(登録商標)Pa308Lを固定相として用いることによって実施した。この強塩基性陰イオン交換体の2.5lをシーブプレート内蔵ガラスカラムに設けた。固定相高さは300mmであった。推進力は高さに起因した位置エネルギーであった。固定相体積比(BV:イオン交換樹脂体積に対する酵素濃縮物の体積比)および滞留時間に基づいて、クロマトグラフィーを実施した。実際には固定相体積比BVを2〜5とし、イオン交換樹脂1kgおよび1分間当たりの酵素溶液の投与量を0.05kgとした。また、このようなクロマトグラフィーは重力流でもって実施した。
【0135】
分離原理は、キャリヤー物質に親和力のない酵素は液体ストリームに同伴される一方、共存物質は固定キャリヤーに吸着されることに基づいている。収率を増加させるために、最後の画分はカラムに再度戻した。カラムに吸着された化合物(特に色素成分および臭気成分)をNaCl溶液およびNaOH溶液を用いて洗い流すことによって、固定相を再生させた。
【0136】
このようにして、僅かに着色されたプロテアーゼ濃縮物を15l得た。濃縮物の活性は490000HPU/g(初期活性基準で収率98%)であった。CIE−LAB表色系を測定すると、L値=92、a値=1.5、b値=20であった。
【0137】
工程(b):適当な濃度への調整
工程(a)から得られたプロテアーゼ濃縮物の濃度を調整するために、熱濃縮法を用いた。市販のロータリー・エバポレーター(ロタベーパー:ビュッヒ(Buechi)、スイス、)を用いて、約35度および50mバールの条件下で酵素溶液の濃縮を行い、最終的な活性が約1000000HPU/gとなるまで濃縮した。
【0138】
工程(c):造粒
押出成形によって造粒を行った。工程(b)から得られる濃縮されたプロテアーゼ溶液に対して、トウモロコシ澱粉、小麦全粒粉、PEG2000(BASF、ドイツ)、セルロースおよびサッカロースを添加した。これはバッチミキサー(Loedie社)にて行った。
【0139】
得られた混合物は、異方向回転二軸押出機(Lihotzki社、ドイツ)を用いることによって直接的に押出成形に付した。これにより得られた押出物(水分を依然含んでいる)を、固定相ドライヤー(WSG5、Glatt社、ドイツ)で穏やかに(即ち40℃以下の条件で)乾燥させた。
【0140】
得られた粒子は、非常に薄い色をしており、固形原料の本来の色を僅かに有していた。CIE−LAB表色系を測定すると、L値=81、a値=2、b値=15であった。これに対して、比較例となるように同様に処理された粒子(工程(a)を行わず、常套な手法で脱色して得られた粒子)では、L値=67、a値=4、b値=18であった。
【0141】
工程(d):コーティング
工程(c)から得られた粒子を、PEG20000(BASF)およびルチル型二酸化チタン(Huntsman、英国)から成る水性懸濁液を用いてコーティングした。市販の噴霧式流動床塗布機(WSG5、Glatt社)を用いた。温度は40℃以下となるように保持した。コーティングにより得られた被膜は、約80重量%のPEGおよび約20重量%の二酸化チタンから成っており、平均の被膜層厚さは約20μmであった。
【0142】
コーティングされた粒子のCIE−LAB表色系を測定すると、L値=82、a値=1、b値=8であった。比較例となるような粒子(工程(c)の比較例の粒子を工程(d)に付して得られた粒子)では、L値=76、a値=2、b値=8であった。
【0143】
再実験では、本発明の粒子のコーティング剤に含まれる二酸化チタンの量を約6重量%にまで低くした。この場合でも色の値は、上記の比較例の粒子よりも悪くならなかった。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は、本発明の酵素粒子の製造を示したフロー図である。かかるフロー図では、オプションとして行うコーティング工程が含まれている。尚、図1には、精製された水性酵素溶液を調製する工程が示されている。つまり、(a)イオン交換体を用いてイオン交換クロマトグラフィーを実施する工程(再生媒体を流すことによって色素成分および臭気物をイオン交換体から分離させており、必要に応じて、クロマトグラフィーから得られた最初の画分または最後の画分(クロマトグラフィーに通された再生液)の一部が再度クロマトグラフィーに付されるように再循環させる)、(b)濃縮することによって適当な濃度になるように調整する工程、(c)固形物を添加して、最終生成物が得られるように造粒を行う工程、および(d)コーティング懸濁物の形態の層を設けることによって最終生成物に対してコーティングする工程(必要に応じて行われる工程)示されている。工程(c)から得られる最終生成物である酵素粒子は本発明に含まれると共に、工程(d)から得られる最終生成物であるコーティングされた酵素粒子も本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製された水性の酵素溶液から酵素粒子を製造する方法であって、
(a)目的酵素が溶液中に存在した状態でイオン交換クロマトグラフィーを実施する工程、
(b)適当な濃度に調整する工程、および
(c)造粒工程、
を含んで成る方法。
【請求項2】
(d)コーティング工程
を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において、pH5〜11、特に好ましくはpHの6〜8にて最大限の交換容量を有する材料を好ましくは用いることによって、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)に用いる陰イオン交換体は、官能基として、第4級アンモニウム基を含み、好ましくは少なくとも2つのアルキル基によって置換された第4級アンモニウム基、より好ましくは1つまたは2つの炭素原子を有する少なくとも2つのアルキル基によって置換された第4級アンモニウム基を含んでおり、場合によっては1つまたは2つの炭素原子を有する水酸基によって更に置換された第4級アンモニウム基を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)に用いる陰イオン交換体が、官能基として、トリメチルアンモニウム基またはジメチルエタノールアンモニウム基を含んで成る、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
pH5〜9、好ましくはpH6〜8.5、より好ましくはpH7〜8において陰イオン交換クロマトグラフィーを実施する、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程(a)に用いる陰イオン交換体が、0.7〜1.2meq/ml、好ましくは0.8〜1.1meq/ml、より好ましくは0.9〜1.0meq/mlの交換容量を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程(a)に用いる陰イオン交換体が、0.2〜0.7mm、好ましくは0.3〜0.6mm、より好ましくは0.4〜0.5mmの有効孔サイズを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程(a)に用いる陰イオン交換体の材料が、150〜3000μm、好ましくは175〜1500μm、より好ましくは200〜800μmの粒子サイズ分布を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程(a)に用いる陰イオン交換体が、多孔性プラスチックポリマー、好ましくはスチレン−DVBコポリマーに基づいて形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(a)のイオン交換クロマトグラフィーが、0.1〜100の固定相体積比、好ましくは0.5〜40の固定相体積比、より好ましくは1〜4の固定相体積比を有するように実施する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
工程(a)のイオン交換クロマトグラフィーについての平均滞留時間が、0.01〜2g−酵素/g−イオン交換材料/min、好ましくは0.025〜0.1g−酵素/g−イオン交換材料/min、より好ましくは0.04〜0.06g−酵素/g−イオン交換材料/min、更に好ましくは0.05g−酵素/g−イオン交換材料/minとなる値である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
最初の画分と有用な生成物との分離および/または有用な生成物と最後の画分との分離のために、溶出液の導電率によって工程(a)のイオン交換クロマトグラフィーを制御する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
イオン交換クロマトグラフィーから得られる最初の画分および/または最後の画分の少なくとも一部を、イオン交換クロマトグラフィーに付される前の酵素溶液に戻すことによって、工程(a)のイオン交換クロマトグラフィーを実施する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
酵素溶液を濃縮することによって、工程(b)にて適当な濃度に調整する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
濃縮比が体積基準で1.01〜10、好ましくは1.1〜8、より好ましくは1.2〜4となるように、工程(b)にて濃縮を行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)で行う濃縮の開始時における固形分含量が、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
加熱することによって濃縮を行う、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
5℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは20℃〜40℃、更に好ましくは35℃の温度(酵素溶液の蒸気圧に基づいて得られる温度)において、工程(b)で酵素溶液の加熱による濃縮を行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
適当な濃度にする工程(b)の調整の終了時における固形分含量が、8〜50重量%、好ましくは9〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
1〜1000mPa・s、好ましくは1〜500mPa・s、より好ましくは1〜200mPa・sの粘度となるように、工程(b)にて濃度を調整する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
プロテアーゼを含んで成る方法であって、工程(b)におけるプロテアーゼ活性が、濃縮物1g当たり、200000〜2000000HPU、好ましくは500000〜1500000HPU、より好ましくは800000〜1200000HPUとなるように調整される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
押出成形することによって、工程(c)の造粒を行う、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
100〜10000μm、好ましくは200〜5000μm、より好ましくは400〜1000μmの平均粒子サイズが押出成形で得られるように、特にダイ・プレートの穴サイズまたはナイフ速度によって工程(c)の造粒の調整する、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
穀類、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、滑剤(可塑剤)、糖類および酵素安定化剤から成る群から選択される1または複数の成分と工程(b)から得られる酵素濃縮物とを混合することによって、工程(c)の造粒を行う、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
工程(c)で得られる粒子を乾燥させる、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
0〜30重量%の顔料、
0〜30重量%可塑剤、
5〜97.5重量%の塗膜形成成分(流動化剤)、および
場合によって加えられる付加的な成分
を用いて、工程(d)のコーティングを実施する、請求項2〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
コーティング剤が、2.5〜27.5重量%の顔料、好ましくは5〜25重量%の顔料を含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
コーティング剤が、0.5〜15重量%の可塑剤、好ましくは1〜5重量%の可塑剤を含んで成る、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
コーティング剤が、7.5〜95重量%の塗膜形成成分、好ましくは10〜90重量%の塗膜形成成分、より好ましくは20〜80重量%の塗膜形成成分を含んで成る、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
被膜厚さが、1〜150μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである、請求項2〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
技術的に適用可能な酵素、好ましくはプロテアーゼ、より好ましくはアルカリ性プロテアーゼが、工程(a)に組み込まれている、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
工程(c)で行う造粒が制御されることに特に起因して、工程(d)で得られる粒子が、110〜5000μm、好ましくは200〜2000μm、より好ましくは400〜1200μmの平均粒子サイズを有する、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
プロテアーゼが工程(a)に組み込まれており、工程(c)または工程(d)で得られる粒子が、特に工程(b)で濃度が調整される結果、50000〜500000HPU/g、好ましくは100000〜450000HPU/g、より好ましくは140000〜380000HPU/gの平均活性を有する、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれかに記載の方法によって得られる、酵素粒子。
【請求項36】
請求項35に記載の酵素粒子を含んで成る組成物。
【請求項37】
全体が固体形態、好ましくは粉末形態または圧密された形態であって、より好ましくはタブレット形状に圧密された形態を有する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
組成物が洗剤またはクリーニング剤である、請求項36または37に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−515166(P2007−515166A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544329(P2006−544329)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014286
【国際公開番号】WO2005/063975
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】